JP2013220774A - 自動車の前部構造 - Google Patents

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Toru Hayashi
徹 林
達矢 ▲高▼橋
Tatsuya Takahashi
Hideki Yokoyama
英樹 横山
Koichi Nakano
孝一 中野
Osami Ono
修実 大野
Koichiro Shimada
幸一郎 島田
Shiro Nakatani
志郎 中谷
Masatoki Kito
応時 鬼頭
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Abstract

【課題】シャッタを車体構成部材(シュラウド参照)や補機(熱交換器参照)に対してコンパクトに配設しながら、該シャッタが緩衝手段の衝突物に対する緩衝反力の外乱となることを抑制できる、つまり前突予知時、前突時においてシャッタを平面化し、緩衝手段の衝突エネルギ吸収の妨げにならない自動車の前部構造の提供を目的とする。
【解決手段】車体前部に設けられた開口部13,14と、開口部13,14の後方に設けられたシャッタ34と、シャッタ34の後方に設けられた車体構成部材19または補機と、を備えた自動車の前部構造であって、前突予知時または前突時にシャッタ34を正面視平面側に揺動させるシャッタ揺動手段を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

この発明は、車体前部に設けられた開口部と、該開口部の後方に設けられたシャッタと、該シャッタの後方に設けられた車体構成部材(シュラウド参照)または補機(熱交換器参照)と、を備えたような自動車の前部構造に関する。
従来、車両と接触する歩行者(衝突物)を保護するためには、バンパビームなどの軽衝突荷重吸収部材よりも前方に緩衝材を設ける構造が採用されていた。
衝突物のダメージの程度は、衝撃と曲げモーメントとに大別され、特に、曲げモーメントが発生すると、衝突物のダメージが大きくなることが知られている。
曲げモーメントを小さくするためには、車体前面を広く平坦にすればよいが、空力特性や冷却風取入れ口を車体前面に形成する必要があることから、車体前面を広く平坦にするには限界があり、このため従来においては、車体前面の上下幅が比較的小さい受け面で衝突物を緩衝することを考慮して、緩衝材の反力を低く抑えているので、この分、長い緩衝ストロークが必要であった。
一方で、冷却風導入口から走行風を取入れると、空気抵抗が増加するので、冷却風導入口を開閉可能に成すシャッタを設ける場合があるが、該シャッタは歩行者保護に寄与するものではなく、シャッタを設けることで車両前部の前後長さが大きくなる問題点があった。
上述の緩衝材としては格子状や側面から見た断面形状がハット状または筒状などの衝撃吸収変形部材を設けたり、バンパフェイスやグリルにリブまたはフランジを形成し、これらリブまたはフランジを潰して、衝撃吸収することが考えられる。
ここで、上述のリブやフランジは、様々な衝突態様に対して、設計意図の通りに潰れない場合には、所期の歩行者保護性能が確保できない。上述のシャッタのように車両前後方向に延び、角度が一定でない部材は、緩衝時に反力が安定しない不確定要素となるので、該シャッタは緩衝材よりも後方に離間させて設けられるのが常であり、このため車両前部の前後長が長くなる問題点があった。
ところで、特許文献1には、平板状の上部シャッタと下部シャッタとを設け、これら各シャッタを上下方向に移動可能に構成した車体前部構造が開示されているが、これらの各シャッタはフロントグリルから大幅に車両後方に離間していると共に、閉時と開時において車両前後方向寸法は略同等であるので、衝突予知時、衝突時に車両前後方向寸法を減じることによって、周辺他部品の緩衝ストロークを確保するものではない。また導風方向もできずシャッタの下流に乱流が生じやすいなど、整流の観点で不利であった。
また、特許文献2には、外気導入時において支点から後方に延び、外気遮断時において支点から上下方向に延びるシャッタを設け、外乱(外力)がシャッタに作用した場合、その外乱を逃してシャッタの破損を防止するように構成したものが開示されているが、該シャッタを平面化して緩衝材や緩衝のために潰れやすくされた周辺他部品の緩衝ストロークを確保するものではない。
特許文献1、2に開示された何れの従来構造においても、衝突予知時または衝突時にシャッタを平面化して、緩衝材や周辺他部品が潰れることによる衝突エネルギ吸収の妨げにならないようにするという技術思想は存在しない。
特開2010−149691号公報 特開2012−1112号公報
そこで、この発明は、前突予知時または前突時にシャッタを正面視平面側に揺動させるシャッタ揺動手段を備えることで、シャッタの車両前後方向寸法を減じることが可能となり、該シャッタを車体構成部材(シュラウド参照)や補機(熱交換器参照)に対してコンパクトに配設しながら、該シャッタが緩衝手段の衝突物に対する緩衝反力の外乱となることを抑制できる、つまり前突予知時、前突時においてシャッタを平面化し、他の緩衝手段の衝突エネルギ吸収の妨げにならない自動車の前部構造の提供を目的とする。
この発明による自動車の前部構造は、車体前部に設けられた開口部と、上記開口部の後方に設けられたシャッタと、上記シャッタの後方に設けられた車体構成部材または補機と、を備えた自動車の前部構造であって、前突予知時または前突時に上記シャッタを正面視平面側に揺動させるシャッタ揺動手段を備えたものである。
上記構成によれば、前突予知時または前突時には、上述のシャッタ揺動手段が上記シャッタを正面視平面側に揺動させるので、シャッタを車体構成部材(シュラウド参照)や補機(熱交換器参照)に対してコンパクトに配設しながら該シャッタが緩衝手段の衝突物に対する緩衝反力の外乱となることを抑制することができる。つまり、シャッタを平面化して、緩衝手段の衝突エネルギ吸収の妨げにならないようにすることができる。
この発明の一実施態様においては、上記車体前部の開口部の周縁部またはグリル部位に緩衝部材が設けられたものである。
上述の緩衝部材は、グリルやバンパフェイスに設けられた緩衝リブ、緩衝用フランジや発泡材に設定してもよい。
上記構成によれば、前突予知時または前突時にシャッタが正面視平面側に揺動するので、上述の緩衝部材がつぶれて変形して、衝撃エネルギを吸収することができる。つまり、シャッタが緩衝部材の緩衝反力の外乱となることを抑制することができ、車両前部の前後長を該シャッタの前後方向寸法分、長くすることなくコンパクトに配設しつつ、緩衝部材による安定した緩衝機能を確保することができ、安全性能を確保することができる。
この発明の一実施態様においては、自動車の前突を予知する前突予知手段、または、自動車の前突を検知する前突検知手段と、上記シャッタの駆動部とが設けられ、前突予知時または前突検知時に、上記シャッタを正面視平面になる側に駆動するシャッタ制御手段が設けられたものである。
上述のシャッタの駆動部は、モータなどのアクチュエータに設定してもよく、シャッタ制御手段はECUによるプログラムに設定してもよい。
上記構成によれば、前突予知手段が自動車の前突を予知した時、または前突検知手段が自動車の前突を検知した時、シャッタ制御手段が駆動部を介してシャッタを正面視平面になる側に強制的に駆動する。
このため、シャッタを衝突前または衝突初期に平面化することができ、該シャッタが緩衝手段の衝突エネルギ吸収の妨げになるのを防止することができる。
この発明の一実施態様においては、上記シャッタ揺動手段は、衝突荷重を受けて上記シャッタを正面視平面側に揺動すべく、該シャッタから前方に延びる突出部材であることを特徴とする。
上記構成によれば、突出部材が衝突物と直接またはバンパフェイスなどを介して先当たりして、シャッタを揺動させて平面化することができる。
この発明の一実施態様においては、上記シャッタは、該シャッタ前端よりも後方部が軸支され、シャッタ前端が下方へ揺動するように構成されたものである。
上記構成によれば、次のような効果がある。
すなわち、衝突物は自動車の前部にその上方から被さるように倒れる場合が多いので、シャッタ前端を下方へ揺動することで、該シャッタを確実に閉じることができ、安全かつ安定した歩行者保護を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記シャッタは、該シャッタ前端よりも後方部が支軸により軸支され、上記支軸よりも前方部を上記シャッタ揺動手段に設定したものである。
上記構成によれば、自動車前部にその上方から衝突物が被さるように倒れた際、支軸よりも前方部が下方へ揺動して、確実にシャッタを閉止することができ、部品点数の増加を招くことなく歩行者保護を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記シャッタは、該シャッタ前端よりも後方に車両前後方向に対し交差する方向に揺動中心が設けられ、シャッタを正面視平面側に揺動することで、シャッタ前端が後方へ揺動変位するように構成されたものである。
上記構成によれば、シャッタ前端を後方に揺動変位させることで、衝突物とシャッタとの間隔を大きくして緩衝ストロークを拡大することができる。
この発明によれば、前突予知時または前突時にシャッタを正面視平面側に揺動させるシャッタ揺動手段を備えたので、シャッタを車体構成部材(シュラウド参照)や補機(熱交換器参照)に対してコンパクトに配設しながら、該シャッタが緩衝手段の衝突物に対する緩衝反力の外乱となることを抑制できる、つまり前突予知時、前突時においてシャッタを平面化し、緩衝手段の衝突エネルギ吸収の妨げにならないようにすることができる効果がある。
本発明の自動車の前部構造を示す斜視図 図1の要部の側面図 図2の要部の分解斜視図 シャッタの支持構造を示す平面図 図4のA−A線矢視断面図 シャッタ閉止時の側面図 制御回路ブロック図 シャッタの閉止処理を示すフローチャート 自動車の前部構造の他の実施例を示す側面図 図9の要部の分解斜視図 自動車の前部構造のさらに他の実施例を示す側面図 シャッタ閉止時の側面図 自動車の前部構造のさらに他の実施例を示し、(a)はシャッタ開放時の側面図、(b)はシャッタ閉止時の側面図
シャッタを車体構成部材(シュラウド参照)や補機(熱交換器参照)に対してコンパクトに配設しながら、該シャッタが緩衝手段の衝突物に対する緩衝反力の外乱となることを抑制できる、つまり前突予知時、前突時においてシャッタを平面化し、緩衝手段の衝突エネルギ吸収の妨げにならないようにするという目的を、車体前部に設けられた開口部と、上記開口部の後方に設けられたシャッタと、上記シャッタの後方に設けられた車体構成部材または補機と、を備えた自動車の前部構造において、前突予知時または前突時に上記シャッタを正面視平面側に揺動させるシャッタ揺動手段を備えるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車の前部構造を示し、図1は前部構造を示す概略斜視図、図2は図1の要部側面図(但し、シャッタ支持部材としての固定バーをシュラウドに取付ける位置において縦断した側面図)である。
図2において、エンジンルーム1の左右両サイドを車両の前後方向に延びる車体強度部材としてのフロントサイドフレーム2,2を設け、左右一対の各フロントサイドフレーム2,2(但し、図面では一方のフロントサイドフレーム2のみを示す)の前端部には、フランジ3,4を介してクラッシュカン5,5(図面では、一方のクラッシュカン5のみを示す)を取付けている。このクラッシュカン5は衝撃エネルギを吸収するエネルギ吸収部材である。
左右一対のクラッシュカン5,5の前端部相互間には、車幅方向に延びるバンパビーム6を取付けている。このバンパビーム6は軽衝突荷重吸収部であって、該バンパビーム6は図2に示すように、車両前方が開放した断面ハット形状のバンパビーム本体7と、該バンパビーム本体7の開放部を前側から閉塞するクロージングプレート8とを接合固定して構成したもので、バンパビーム本体7とクロージングプレート8との間には、車幅方向に延びる閉断面6aを形成して、軽衝突時に必要な反力を確保すべく構成している。
上述のクロージングプレート8の前面には、緩衝部材としてのEA部材9(EAは、エネルギ・アブソーバの略)を配置している。このEA部材9はクロージングプレート8の車幅方向の長さの略全長にわたって設けられている。
図2に示すように、上述のエンジンルーム1の上方はボンネット10で開閉可能に覆われており、該ボンネット10の下部にはボンネットレインフォースメント11が一体的に取付けられている。
また、エンジンルーム1の前方はバンパフェイス12で覆われている。このバンパフェイス12は図2に示すように、上部12aと、中間部12bと、下部12cとを備えており、図1,図2に示すように、上部12aと中間部12bとの間には、車幅方向に延びる上側開口部13が形成されており、中間部12bと下部12cとの間にも、車幅方向に延びる下側開口部14が形成されている。
ここで、上述のバンパビーム6はバンパフェイス12の中間部12bの上下高さ位置に対応して、そのリヤ側に配設されたものである。
さらに、エンジンルーム1の下方は、図2に示すように、アンダカバー15で覆われている。このアンダカバー15は複数のクリップなどの取付け部材16を用いて、バンパフェイス12の下部12c後縁部に取付けられている。
図1,図2に示すように、上述のバンパビーム6の後方で、かつエンジンルーム1内には、メインラジエータ17とサブラジエータ18とを車幅方向に略一直線状に並設しており、メインラジエータ17の後部には、ファン、ファンモータ、ファンカウリングを取付けて、クーリングユニット(図示せず)を構成している。
上述のメインラジエータ17はアッパタンクとロアタンクとの間に、ウォータチューブおよびフィンを有する熱交換器で、クーラントなどのエンジン冷却水を走行風などを利用して空冷するものである。上述のサブラジエータ18も同様の熱交換器であるが、ターボ車においてはサブラジエータ18に代えてインタクーラを、この位置に配置してもよい。
ここで、上述のメインラジエータ17およびサブラジエータ18は、シュラウドアッパ19U、シュラウドロア19Lおよびシュラウドサイド19S(図3参照)を備えた方形枠状のラジエータシュラウド19で囲繞されている。
図2に示すように、上述のシュラウドロア19Lの下部にはスティフナ取付け用の突部19aを一体形成し、この突部19aには、ボルトなどの取付け部材20を用いてロアスティフナ21を取付けている。
このロアスティフナ21はバンパフェイス12の下部12cの上下高さ位置と対応する上下位置で、かつ上述のEA部材9の前面よりも車両前方へ突出するように設けられた足払い部材であて、車両と歩行者との接触時に、歩行者の足を払って、当該歩行者を車両下部へ巻き込むことを防止すると共にボンネット10上に載せることにより衝突物の傷害を低減するための部材である。
図2に示すように、バンパフェイス12の上側開口部13には、導風口22aを有する上部グリル22を取付けており、同様に、下側開口部14にも、導風口23aを有する下部グリル23を取付けている。但し、図1では図示の便宜上、各グリル22,23の図示を省略している。
この実施例1においては、上述の各グリル22,23は緩衝部材を兼ねるように、その車両前後方向の長さが一般的なグリルに対して長く形成されている。
なお、図1において、24はヘッドランプ、25はフロントフェンダ、26はフロントウインドガラス、27はレーダ、28はカメラ、29はバンパフェイス12における中間部12b背面に取付けられた衝突センサである。
図3は、図2の要部の分解斜視図であって、図2,図3に示すように、バンパフェイス12の上側開口部13の後方および下側開口部14の後方には、それぞれ可動シャッタユニット30,31が設けられている。
可動シャッタユニット30,31の後方には車体構成部材としての上述のラジエータシュラウド19が設けられており、上下の可動シャッタユニット30,31は、図2,図3に示すようにラジエータシュラウド19のシュラウドサイド19Sの前部に取付けられている。
図3に分解斜視図で示すように、可動シャッタユニット30,31は、シャッタ支持部材として、後側に位置する左右一対の固定バー32,32と、前側に位置する左右一対の可動バー33,33とを備えており、左右の各バー32,32,33,33間に上下方向に間隔を隔てて複数枚のシャッタ34を横架している。
ここで、後側に位置する固定バー32,32には複数の取付け片32a,32aが一体または一体的に設けられており、ボルトなどの取付け部材35を用いて該固定バー32がラジエータシュラウド19のシュラウドサイド19Sの前部に固定されている。
また、図2に示すように、上側の可動シャッタユニット30はバンパビーム6の上方に位置するように配設されており、下側の可動シャッタユニット31はバンパビーム6の下方に位置するように配設されている。
図4は可動シャッタユニットの平面図、図5は図4のA−A線矢視断面図であって、図4,図5に示すように、各シャッタ34の後側左右には、一対の支軸36,36が設けられており、各シャッタ34の前側左右には一対のピン37,37が設けられている。
そして、上述の支軸36を固定バー32に枢支させる一方、上述のピン37は可動バー33に枢支させている。これにより、上述の各シャッタ34が、該シャッタ前端よりも後方部が支軸36で軸支され、シャッタ34の前端が下方へ揺動するように構成したものである。
また、前側に位置する可動バー33と、後側に位置する固定バー32と、複数枚のシャッタ34とで、平行リンク機構38を構成し、前突予知時または前突時に複数枚のシャッタ34を、図6に示すように、正面視平面側に同時に揺動させるように構成している。
すなわち、図3に示すように、固定バー32の下部と対応する位置にはモータ39を配置し、このモータ39の回転軸には、シャッタ34の前後方向の長さと等しいアーム40を取付け、該アーム40の遊端つまり前端を連結ピン41を介して可動バー33の下部に連結し、モータ39の図示反時計方向への回転時に、アーム40で連結ピン41を介して可動バー33を下方に移動させ、平行リンク機構38により複数のシャッタ34を正面視平面側に同時に揺動させるように構成したものである。
上述のモータ39、アーム40、連結ピン41からなるシャッタ揺動機構に代えて、複数の支軸36のうちの1つの支軸36をモータ39で直接駆動するように構成してもよいことは勿論である。
なお、図中、矢印Fは車両の前方を示す。
図7はシャッタ34を駆動制御する制御回路ブロック図を示し、ECU50(エンジン・コントロール・ユニットの略)は、衝突センサ29、レーダ27、カメラ28、エンジン水温センサ45、トランスミッション油温センサ46、スロットルセンサ47、車速センサ48からの各種信号入力に基づいて、上下の各モータ39,39を同時に駆動する。
上述の衝突センサ29は、図2に示すようにバンパフェイス12の中間部12b背面に設けられており、この衝突センサ29は加速度センサ(いわゆるGセンサ)で構成されていて、自車両の前突を検知する前突検知手段である。
上述のカメラ28はCCDカメラなどで構成され、該カメラ28とレーダ27とで自車両の前突を予知する前突予知手段49を構成している。
また、上述のエンジン水温センサ45はエンジン冷却水の水温を検出し、トランスミッション油温センサ46はトランスミッション内の潤滑オイルの温度を検出し、スロットルセンサ47はスロットル弁の開度を検出し、車速センサ48は自車両の車速を検出する。
さらに、モータ39は、図3で示したように、アーム40、連結ピン41、平行リンク機構38を介して複数のシャッタ34を同時に正面視平面側に揺動させる。この場合、各シャッタ34はその前端が下方へ揺動する。
ここで、上述のECU50はROMおよびRAMを内蔵しており、このECU50は前突予知時または前突検知時に上述のシャッタ34を正面視平面になる側に駆動するシャッタ制御手段(図8に示すフローチャートのステップS5参照)を兼ねる。
このように構成した自動車の前部構造の作用を、図8に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
ステップS1で、ECU50は衝突センサ29、レーダ27、カメラ28、エンジン水温センサ45、トランスミッション油温センサ46、スロットルセンサ47、車速センサ48からの各種信号を読込む。
次のステップS2で、ECU50は衝突センサ29からの信号に基づいて自車両が衝突物と衝突したか否かを判定し、YES判定時にはステップS5にスキップする一方、NO判定時には次のステップS3に移行する。
このステップS3で、ECU50はレーダ27およびカメラ28からの信号に基づいて衝突予知処理を実行し、次のステップS4で、ECU50は衝突予知か否かを判定し、YES判定時にはステップS5に移行する一方、NO判定時には別のステップS6に移行する。
ステップS6では、ECU50は通常処理を実行する。一方、ステップS5では、前突予知時または前突検知時に対応してECU50は上下の各モータ39,39を同時に駆動し、アーム40、連結ピン41、平行リンク機構38を介して複数のシャッタ34を同時に正面視平面側に揺動して閉止させ(図6参照)、シャッタ34が緩衝部材(グリル22,23の後部参照)の歩行者に対する緩衝反力の外乱となることを抑制する。つまり、シャッタ34の平面化により、該シャッタ34が他の緩衝部材の衝突エネルギ吸収の妨げにならないようにする。
次に、ステップS7で、ECU50は所定時間の経過後に動作チェックを実行して、シャッタ34を開放する。
シャッタ34が開放されると、走行風がメインラジエータ17、サブラジエータ18に向けて流入して、これらを冷却し、各ラジエータ17,18の過熱が制御できる。
次に、ステップS8で、ECU50はシャッタ34が正常に開放したか否かを判定し、YES判定時には次のステップS9で通常処理を行ない、NO判定時には別のステップS10に移行し、このステップS10で、ECU50は各モータ39,39による動作を禁止すると共に、シャッタ34の故障などの異常状態を乗員に報知する。
このように、図1〜図8で示した実施例1の自動車の前部構造は、車体前部に設けられた開口部(上側開口部13、下側開口部14参照)と、上記開口部13,14の後方に設けられたシャッタ34と、上記シャッタ34の後方に設けられた車体構成部材(ラジエータシュラウド19参照)または補機と、を備えた自動車の前部構造であって、前突予知時または前突時に上記シャッタ34を正面視平面側に揺動させるシャッタ揺動手段(モータ39参照)を備えたものである。
この構成によれば、前突予知時または前突時には、上述のシャッタ揺動手段(モータ39参照)が上記シャッタ34を正面視平面側に揺動させるので、シャッタ34を車体構成部材(ラジエータシュラウド19参照)や補機(熱交換器参照)に対してコンパクトに配設しながら、該シャッタ34が緩衝手段(この実施例では、グリル22,23の後部参照)の衝突物に対する緩衝反力の外乱となることを抑制することができる。つまり、シャッタ34を図6に示すように平面化して、他の緩衝手段の衝突エネルギ吸収の妨げにならないようにすることができる。
また、上記車体前部の開口部13,14の周縁部またはグリル22,23部位に緩衝部材(この実施例では、グリル22,23が緩衝部材を兼ねる)が設けられたものである(図2参照)。
この構成によれば、前突予知時または前突時にシャッタ34が正面視平面側に揺動するので、上述の緩衝部材(グリル22,23参照)がつぶれて変形して、衝撃エネルギを吸収することができる。つまり、シャッタの車両前後方向寸法を減じることにより、該シャッタ34が緩衝部材(グリル22,23参照)の緩衝反力の外乱となることを抑制することができ、該シャッタ34を前後方向にコンパクトに配設しつつ、緩衝部材(グリル22,23参照)による安定した緩衝機能を確保することができ、安全性能を確保することができる。
さらに、自動車の前突を予知する前突予知手段49、または、自動車の前突を検知する前突検知手段(衝突センサ29参照)と、上記シャッタ34の駆動部(モータ39参照)とが設けられ、前突予知時または前突検知時に、上記シャッタ34を正面視平面になる側に駆動するシャッタ制御手段(ECU50制御によるステップS5参照)が設けられたものである(図7,図8参照)。
この構成によれば、前突予知手段49が自動車の前突を予知した時、または前突検知手段(衝突センサ29参照)が自動車の前突を検知した時、シャッタ制御手段(ステップS5参照)が駆動部(モータ39参照)を介してシャッタ34を正面視平面になる側に強制的に駆動する。
このため、シャッタ34を衝突前または衝突初期に平面化して車両前後方向寸法を減じることにより、該シャッタ34が緩衝手段(この実施例では、グリル22,23それ自体が緩衝手段、緩衝部材を兼ねる)の衝突エネルギ吸収の妨げになるのを防止することができる。
加えて、上記シャッタ34は該シャッタ34前端よりも後方部が軸支され、シャッタ34前端が下方へ揺動するように構成されたものである。
この構成によれば、次のような効果がある。
すなわち、衝突物は自動車の前部にその上方から被さるように倒れる場合が多いので、シャッタ34前端を下方へ揺動することで、該シャッタ34を確実に閉じることができ、安全かつ安定した衝突物へのダメージ低減を図ることができる。
また、上記シャッタ34は、該シャッタ34前端よりも後方に車両前後方向に対し交差する方向に揺動中心が設けられ、シャッタ34を正面視平面側に揺動することで、シャッタ34前端が後方へ揺動変位するように構成されたものである。
この構成によれば、シャッタ34前端を後方に揺動変位させることで、衝突物とシャッタ34との間隔を大きくして、緩衝ストロークを拡大することができる。
図9,図10は自動車の前部構造の他の実施例を示し、図9は前部構造を示す側面図、図10は図9の要部の分解斜視図である。
図9,図10に示すように、この実施例2においては、上下の可動シャッタユニット30,31を構成する左右一対の可動バー33,33の下部から斜め前方下方に向けて延びる左右一対の突出部材51,51を設け、突出部材51が衝突物と直接またはバンパフェイス12などを介して先当たりして、シャッタ34を揺動させて平面化するように構成したものである。
つまり、シャッタ34から可動バー33を介して前方に延びる突出部材51を設け、この突出部材51でシャッタ揺動手段を構成したものである。
図示実施例では、上下の各突出部材51はバンパフェイス12の背面近傍位置まで前方に延びており、この突出部材51でシャッタ34を平面化した後に、該突出部材51が折れやすいように前方に向けて傾斜状に延びており、また該突出部材51は軽微な衝突では後方に押されないように、その前端がバンパフェイス12の前端部背面(またはグリル前端部)よりも後方に離間して配置されている。
このように、図9,図10で示した実施例2においては、上記シャッタ揺動手段は、衝突荷重を受けて上記シャッタ34を正面視平面側に揺動すべく、該シャッタ34から前方に延びる突出部材51で形成されたものである(図9,図10参照)。
この構成によれば、突出部材51が衝突物と直接またはバンパフェイス12などを介して先当たりして、シャッタ34を揺動させて平面化することができる。
なお、この実施例においては、モータ39などのロータリアクチュエータを省略することも可能であるが、図8のフローチャートで説明した各ステップS7,S8,S9の処理を行なうためには、モータ39と突出部材51とを併用することが好ましい。
図9,図10で示したこの実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図9,図10において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図11,図12は自動車の前部構造のさらに他の実施例を示し、図11は前部構造を示すシャッタ開放時の側面図、図12はシャッタ閉止時の側面図である。
この実施例3においては、車両デザインの関係上、バンパビーム6の前端部よりも上部グリル22の前端が車両前後方向の後方に位置する車両に対して、上記前部構造を適用したものである。
この実施例3においても、グリル22,23が緩衝部材を兼ねるように、該グリル22,23の前後方向の長さは、一般的なグリルに対して車両前後方向に長くなるように形成されている。
また、この実施例3においては、1つの可動シャッタユニット30のみを用い、このシャッタユニット30を上側開口部13の後方からバンパビーム6の後方を介して、下側開口部14の後方にかけてスラント状に配設すると共に、先の実施例同様に左右一対の固定バー32をラジエータシュラウド19のシュラウドサイド19Sの前部に固定したものである。
このように構成しても、先の実施例1とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図11,図12において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図13は自動車の前部構造のさらに他の実施例を示し、図13の(a)はシャッタ開放時の側面図、図13の(b)はシャッタ閉止時の側面図である。
この実施例4においてもシャッタ34の前端よりも後方部を、支軸36を介して固定バー32に枢支すると共に、シャッタ34の前端部を、ピン37を介して可動バー33に枢支しているが、この実施例4においては、シャッタ34の支軸36よりも前方部34aをシャッタ揺動手段に設定したものである。
また、この実施例4においては、上述のシャッタ34はその前端が所定角度θ(例えば、5〜10度)下方に下がるように配設されており、自動車前部にその上方から衝突物が被さるように倒れた際、支軸36よりも前方部34aが容易に下方へ揺動すべく構成しているが、上記シャッタ34は水平に配設してもよい。
この実施例4においても、自動車と衝突物との前突時に、図13の(b)に示すように、シャッタ34を平面化して、緩衝手段(グリル22,23の後方部参照)の衝突物に対する緩衝反力の外乱とならないようにすることができる。
このように、図13で示した実施例4においては、上記シャッタ34は、該シャッタ34前端よりも後方部が支軸36により軸支され、上記支軸36よりも前方部34aを上記シャッタ揺動手段に設定したものである(図13参照)。
この構成によれば、自動車前部にその上方から衝突物が被さるように倒れた際、支軸36よりも前方部34aが下方へ揺動して、確実にシャッタ34を閉止することができ、部品点数の増加を招くことなく衝突物へのダメージ低減を図ることができる。また、図3で示したモータ39などのロータリアクチュエータを省略することも可能となる。
図13で示した実施例4においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のシャッタ揺動手段は、モータ39、突出部材51またはシャッタ34の前方部34a(図13参照)に対応し、
以下同様に、
開口部は、上側開口部13、下側開口部14に対応し、
車体構成部材は、ラジエータシュラウド19に対応し、
緩衝部材は、グリル22,23それ自体に対応し、
前突検知手段は、衝突センサ29に対応し、
シャッタの駆動部は、モータ39に対応し、
シャッタ制御手段は、ECU50制御によるステップS5に対応するも
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上述のモータ39に代えて他のロータリアクチュエータを用いてもよく、シャッタ34の軸支位置はその後端部に代えて、前後方向の中間部であってもよい。また、シャッタ34の揺動中心となる支軸を上下方向に指向する構成としてもよい。
以上説明したように、本発明は、車体前部に設けられた開口部と、該開口部の後方に設けられたシャッタと、該シャッタの後方に設けられた車体構成部材または補機と、を備えた自動車の前部構造について有用である。
13,14…開口部
19…ラジエータシュラウド(車体構成部材)
22,23…グリル(緩衝部材)
29…衝突センサ(前突検知手段)
34…シャッタ
34a…前方部(シャッタ揺動手段)
36…支軸
39…モータ(シャッタ揺動手段、シャッタの駆動部)
49…前突予知手段
51…突出部材(シャッタ揺動手段)
S5…シャッタ制御手段

Claims (7)

  1. 車体前部に設けられた開口部と、
    上記開口部の後方に設けられたシャッタと、
    上記シャッタの後方に設けられた車体構成部材または補機と、を備えた
    自動車の前部構造であって、
    前突予知時または前突時に上記シャッタを正面視平面側に揺動させるシャッタ揺動手段を備えたことを特徴とする
    自動車の前部構造。
  2. 上記車体前部の開口部の周縁部またはグリル部位に緩衝部材が設けられた
    請求項1記載の自動車の前部構造。
  3. 自動車の前突を予知する前突予知手段、または、自動車の前突を検知する前突検知手段と、
    上記シャッタの駆動部とが設けられ、
    前突予知時または前突検知時に、上記シャッタを正面視平面になる側に駆動するシャッタ制御手段が設けられた
    請求項1または2記載の自動車の前部構造。
  4. 上記シャッタ揺動手段は、衝突荷重を受けて上記シャッタを正面視平面側に揺動すべく、該シャッタから前方に延びる突出部材である
    請求項1または2記載の自動車の前部構造。
  5. 上記シャッタは、該シャッタ前端よりも後方部が軸支され、シャッタ前端が下方へ揺動するように構成された
    請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車の前部構造。
  6. 上記シャッタは、該シャッタ前端よりも後方部が支軸により軸支され、
    上記支軸よりも前方部を上記シャッタ揺動手段に設定した
    請求項1、2、5の何れか1項に記載の自動車の前部構造。
  7. 上記シャッタは、該シャッタ前端よりも後方に車両前後方向に対し交差する方向に揺動中心が設けられ、シャッタを正面視平面側に揺動することで、シャッタ前端が後方へ揺動変位するように構成された
    請求項1〜6の何れか1項に記載の自動車の前部構造。
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