JP2013220040A - 食品の包装方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の食品の包装方法は、10℃以下で流通される、固形具材及び液状物からなる食品を容器に盛り付け包装する食品の包装方法であって、温度が35℃〜90℃である食品が盛り付けられた容器の開口部にフィルムを載せてチャンバ内に収納し、チャンバ内を食品の温度における水の飽和蒸気圧よりも低い、食品の温度に応じた所定の圧力以上600mbar以下に減圧した後、800〜1200mbarまで不活性ガスを導入して容器内のガス置換を行い、容器の開口部とフィルムを密封することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
そのため、加熱調理済み食品を包装した製品(食品包装体)を製造する工場では、小売店等からの注文があってから生産を開始、又は見込みで生産する必要があり、計画的な生産ができず、注文数が多量であった、又は変動してしまった場合には生産が逼迫してしまうという問題が有る。また、加熱調理済み食品の製造工場から十分な品質保持期間を残して配送できる範囲は限られるため、狭い地域ごとに比較的小規模な工場を配置し、各地域ごとにその限られた地域の生産要求に対応しているのが実状である。さらに、小売店等では、売れ残った商品を廃棄処分としたり、値引きした処分価格で販売したりすることもあり、長期保管可能な冷凍食品やレトルト食品に比べ無駄が多いという問題が有る。
包装される食品としては、固形具材と液状物からなり、食べられる状態にまで加熱調理された加熱調理済みの食品であれば各種の食品を対象とすることができる。固形具材としては、野菜、肉または魚等の、煮物、焼き物、蒸し物、揚げ物または炒め物や、汁物、米飯、麺類などが例示され、液状物としては、ソース、タレなどが例示される。中でも、固形具材の上に適当量の液状物が掛けられている食品が本発明に適しており、本発明の効果が特に高い。
容器1は、フィルム2に熱溶着することが可能な材料によって構成される。また、容器1は、食品の品質保持期間をより長く保つために、密封後、容器外の酸素を透過させにくい材料からなる。また、容器1は、耐熱性を有する材料によって構成されるが、消費者が食品を温めて食することを所望する場合のために、電子レンジによる加熱にも十分耐えるものであることが好ましい。容器1は、透明であっても不透明であってもよい。
容器1の形状は、盛り付けられる内容物(食品)の種類に応じたものが選択されるが、包装時に、容器内のガス交換がしやすい広口のものを用いることが好ましい。また、本発明の実施形態で包装される食品は固形具材と液状物からなるため、包装性及び外観の点から、底の深い容器を用いることが好ましい。また、容器1の底部に仕切りを設け、主菜や複数の副菜をそれぞれ収容する形状であってもよい。
図2に示される包装機4は、加熱調理後の食品が盛り付けられた容器1にフィルム8を被せて、容器内のガス置換を行った後、容器1とフィルム8を熱溶着して密封し、包装容器3の形をした製品(食品包装体)を製造するものである。
このような包装機4は、上部ハウジング5と、下部ハウジング6と、ベルトコンベヤ9と、図示されていない、フィルム8を上部ハウジング5と下部ハウジング6との接合面に配置し搬送するフィルム搬送部と、ガス充填部と、各部材の制御及びチャンバ内の圧力及びガスの制御を行う制御部とから構成される。
上部ハウジング5には、容器1とフィルム8を熱溶着させるためのヒートシール部材及びフィルム8を切り取るカッターが備え付けられている。下部ハウジング6は、上部ハウジング5に向かって上昇及び下降するものであり、上下のハウジングが接合することによりチャンバが形成される。また、下部ハウジング6は、チャンバが形成される際、容器1を収納する部材も有する。ガス充填部は、不活性ガスをチャンバへ導入するガスを充填している部材である。
制御部は、各部材の制御を行うとともに、チャンバ内の圧力の制御及び不活性ガスの導入条件の制御を行う。
まず、包装される食品のうち、固形具材が容器1へ盛り付けられる。固形具材は、煮る、焼く、蒸す等の調理方法により加熱されたものが用いられる。食材がその内部にまで加熱されることにより、殺菌が同時に行われるからである。
調理後の固形具材は、充填(盛付け)が容易となる程度の温度まで冷却される。冷却後の固形具材は、衛生管理下、人手によって、または充填装置によって、容器1に充填(盛付け)される。
このように、高温の液状物が固形具材上に充填されることにより、加熱殺菌処理後の固形具材に付着した空気中の浮遊粉塵または浮遊菌を殺菌することができる。また、食品が包装されるまでの間、食品の表面を高温に保つことにより、再度、細菌が食品の表面に付着することを抑えることができる。
このように、液状物が充填された各容器1は、包装機4のベルトコンベア9上に並べられる。
このとき、容器1内の食品の温度は35〜90℃に維持される。このような範囲の温度を維持することにより、食品の表面部分に付着した細菌等を殺菌することができる。なお、このような温度範囲の中でも強い殺菌作用を有する80℃以上に食品の温度が維持されていることが好ましい。80℃以上であれば、食品の表面に付着する細菌数を最小限に抑えた食品を包装することができる。
チャンバ7が形成されると、まず、チャンバ7内を食品の温度(中心品温)における水の飽和蒸気圧より低い、食品の温度に応じて定まる所定の圧力以上600mbar以下になるように減圧し、その後、800〜1200mbarになるまでガス充填部から不活性ガスを導入する。
なお、不活性ガスは、除菌のためのフィルターを介してチャンバ7へ導入される。
また、高温の食品を包装するため、冷却により食品の表面が空気中の浮遊菌に汚染されることもないので二次殺菌も不要となる。さらに、容器に食品を美しく盛り付けた状態のままで、売り場に商品(製品)を並べることができる。また、突沸により、液状物や固形具材の油脂分がフィルムに付着することで生じる未シール製品の製造を防止することもできる。また、食品が形状破壊されることもないため風味、食感も損なわれることがない。
ブロッコリーやいんげんといった緑色野菜が有する色彩(緑色)は、新鮮さを示す指標となるものであり、消費者が商品を購入する際、購入の有無を決める重要な判断材料の一つとなるものであるが、従来、このような色彩は製造後1〜2日しか維持することができなかった。しかし、今回、容器内を99.5%以上という高い置換率のガス交換が可能になったことにより、加熱調理後、1週間以上経過しても、出来たてとほぼ遜色のない緑色を維持することができるようになった。
また、このように、食品の品質保持期間が延長されることにより、十分な品質保持期間を残してより広域に配送でき、生産工場の集約化による生産性の効率が可能となり、さらには廃棄ロスの低減が可能となる。
所定のサンプルについて、温度及びチャンバ内の減圧時の圧力を所定の条件にしたときの容器内のガス置換率及び外観を調べる試験を行った。
(実験条件)まず、タピオカ澱粉(松谷化学工業)55gと食紅1gを水に加熱溶解させた後、所定の温度で容器1(215×125×32mm)に40g充填したサンプルを作成した。サンプルは、図2に示すようなガス置換包装機( QX-775, Ishida Europe )のチャンバ7内に収納し、フィルムを容器8に被せ、チャンバ7内を所定の圧力まで減圧した後、1000mbarまでガスを導入して容器内のガス置換を行い、密封包装した。
(評価方法)サンプルを密封したもの(包装体)3の外観の評価は、サンプルを密封した後、フィルム内面に澱粉溶液がどの程度付着しているかを目視で評価した。すなわち、フィルムに澱粉溶液が全く付着せず外観に全く影響がないものを◎、突沸が起こりフィルムにわずかに澱粉溶液が付着しているものの外観にほとんど影響がないものを○、突沸が起こりフィルムに多く澱粉溶液が付着し外観が非常に悪いものを×とした。
ガス置換率の評価は、包装容器内のガスが、99.5%以上置換されているものを◎、95%以上置換されているものを○で表した。
表1にこの実験から得られた結果を示す。また、図4は、水の飽和蒸気圧曲線を示すグラフである。
また、ガス置換率に関しては、表1に示されるように、いずれのサンプルであっても、チャンバ内の圧力を600mbar以下に減圧した後にガス置換行えば、包装容器内を95%以上ガス置換することができ、さらに、500mbar以下に減圧した後にガス置換を行えば、99.5%以上という高い置換率でガス置換できることが確認された。
本発明の食品の包装方法を適用して、高温の食品を包装した食品包装体を製造し経時実験を行った。
3穴トレイ(171×127×32mm)の容器1に加熱調理した鶏のから揚げ4個、ブロッコリー2個及び人参のグラッセ1個を充填した。容器1ヘ充填された固形具材は、スチームコンベクションオーブン内で中心品温が80℃以上になるように加熱殺菌処理を行った。
次に、固形具材が盛り付けられた容器1に、その具材が高温のうちに、80℃以上の高温のソースを鶏の唐揚げ上に充填した後、包装機4のベルトコンベア9上に配置した。
包装機4において、容器1は、盛り付けられた食品の中心品温が80℃を維持している間にチャンバ7内に収容され、フィルム8が被せられた。次いで、チャンバ7内が300mbarまで減圧された後、窒素ガス100%が1000mbarまで導入され、容器内がガス置換された後、フィルム2と容器1が熱溶着されて、密封包装された。その後、包装容器3は、冷却後、製品(食品包装体)とされた。
上記のように製造した食品包装体3は、10℃下で、7日間または14日間保管し、微生物検査及び品質評価を行った。
(1)微生物検査
7日間または14日間保管された食品包装体の食品についてそれぞれ一般生菌数を測定した。本検査においては、「弁当及びそうざいの衛生規範について」に記載された加熱処理済製品の規格から一般生菌数105cfu/g未満のものについて基準を満たしていると判定した。
(2)品質評価
所定の日数保管された食品包装体の食品の色彩について目視で評価するとともに、微生物検査において基準を満たした食品包装体の食品についてのみ、味の劣化を複数のパネラーにより評価した。
鶏のから揚げ4個、ブロッコリー2個及び人参のグラッセ1個を加熱殺菌処理することなく、容器に充填した後、20℃のソースを鶏のから揚げに充填した。食品が盛り付けられた容器1は、食品の温度が20℃に維持されたまま、包装機4のチャンバ7内に収納し、実施例1と同様の条件で包装して食品包装体を製造した。
上記実施例1と同様に、鶏のから揚げ4個、ブロッコリー2個及び人参のグラッセ1個を容器に充填し、加熱殺菌処理を行い、その後、80℃のソースを鶏のから揚げに充填した容器1を、食品の温度を80℃に維持したまま、包装機4のチャンバ内に収容し、ガス置換包装を行わず、フィルム8を被せ、包装した食品包装体を製造し、上記の実施例1と同様の微生物検査及び品質評価を行った。
包装時に食品の温度が高温でない場合(比較例1)は、製造後14日間経過した後でも、緑色野菜の色彩は維持することができたが、実施例に対して、製造後における生菌数が7日後、14日後と大幅に増加していた。
本発明のガス置換方法を実施しない場合(比較例2)は、実施例1と同様に、製造後の生菌数レベルを維持することができたが、緑色野菜の色彩は退色し、味は劣化した。
2、8 フィルム
3 包装容器(食品包装体)
4 包装機
5 上部ハウジング
6 下部ハウジング
7 チャンバ
9 ベルトコンベア
10 所定位置
Claims (7)
- 10℃以下で流通される、固形具材及び液状物からなる加熱済み食品を容器に盛り付け包装する食品の包装方法であって、
温度が35℃〜90℃である前記食品が盛り付けられた前記容器の開口部にフィルムを載せてチャンバ内に収納し、
前記チャンバ内を前記食品の温度における水の飽和蒸気圧よりも低い、前記食品の温度に応じた所定の圧力以上600mbar以下に減圧した後、800〜1200mbarまで不活性ガスを導入して前記容器内のガス置換を行い、前記容器の前記開口部と前記フィルムとを密封することを特徴とする食品の包装方法。 - 前記食品の温度が85〜90℃である場合は、前記チャンバ内を500mbar以上600mbar以下に減圧することを特徴とする請求項1に記載の食品の包装方法。
- 前記食品の温度が80〜85℃である場合は、前記チャンバ内を400mbar以上600mbar以下に減圧することを特徴とする請求項1に記載の食品の包装方法。
- 前記食品の温度が70〜80℃である場合は、前記チャンバ内を300mbar以上600mbar以下に減圧することを特徴とする請求項1に記載の食品の包装方法。
- 前記食品の温度が55〜70℃である場合は、前記チャンバ内を200mbar以上600mbar以下に減圧することを特徴とする請求項1に記載の食品の包装方法。
- 前記食品の温度が35〜55℃である場合は、前記チャンバ内を100mbar以上600mbar以下に減圧することを特徴とする請求項1に記載の食品の包装方法。
- 前記不活性ガスは、窒素ガス、または、窒素及び二酸化炭素からなる混合ガスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の食品の包装方法。
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