JP2013217277A - 燃料動粘度算出方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子制御ユニット4により、燃料噴射弁2−1〜2−nによる燃料噴射の際のレール圧の降下の大きさと、燃料噴射弁2−1〜2−nによる燃料噴射の際の燃料の消費量とに基づいて、所定の演算式により燃料の体積弾性係数Kが算出され(S102〜S106)、次いで、体積弾性係数Kと燃料動粘度νとの相関関係に基づいて予め設定された動粘度マップから、先に算出された体積弾性係数Kに対応する燃料動粘度νが求められ(S108)、求められた燃料動粘度νを基にインジェクタリーク量の補正が可能となっている(S110)。
【選択図】図2
Description
かかるコモンレール式燃料噴射制御装置において、精度良く、安定した燃料噴射制御を行うには、インジェクタから噴射される燃料量に加えて、インジェクタの摺動部分などから漏れる燃料量も把握し、噴射量を制御することが必要である。
ところが、インジェクタにおける漏れ燃料量は、実際には、レール圧と燃料温度だけではなく、燃料の種類、換言すれば、燃料動粘度の違いも変動要因となることが知られている。
このような観点から、例えば、高圧ポンプの吐出量を演算算出し、その算出値を基に燃料の動粘度の推定値を求め、かかる推定値を燃料噴射制御に用いるようにしたコモンレール式燃料噴射制御装置等が提案されている(例えば、特許文献1等参照)
また、燃料動粘度の推定値を得るに際して、コモンレール式燃料噴射制御装置を特別の運転モードで安定な状態とする必要があるため、推定値を得るまでの処理時間が比較的長く、処理を実行する電子制御ユニットの負荷が大となるという問題がある。
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、少なくとも前記調量弁の駆動制御により前記コモンレールのレール圧を制御可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における前記燃料の動粘度を算出する燃料動粘度算出方法であって、
前記燃料の体積弾性係数を、前記燃料噴射弁による燃料噴射の際のレール圧の降下の大きさと、前記燃料噴射弁による燃料噴射の際の燃料の消費量とに基づいて、所定の演算式により算出し、
前記体積弾性係数と燃料動粘度との相関関係に基づいて予め設定された動粘度マップから、前記算出された体積弾性係数に対応する燃料動粘度を求めるよう構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るコモンレール式燃料噴射制御装置は、
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、電子制御ユニットにより、少なくとも前記調量弁が駆動制御されて前記コモンレールのレール圧を制御可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記燃料噴射弁による燃料噴射の際のレール圧の降下の大きさと、前記燃料噴射弁による燃料噴射の際の燃料の消費量とに基づいて、所定の演算式により前記燃料の体積弾性係数を算出し、
前記体積弾性係数と燃料動粘度との相関関係に基づいて予め設定された動粘度マップから、前記算出された体積弾性係数に対応する燃料動粘度を求め得るよう構成されてなるものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における燃料動粘度算出方法が適用されるコモンレール式燃料噴射制御装置について、図1を参照しつつ説明する。
このコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をエンジン3の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁2−1〜2−nと、燃料噴射制御処理や後述するレール圧制御処理などを実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)4を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる構成自体は、従来から良く知られているこの種の燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
かかる構成において、燃料タンク9の燃料は、供給ポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4に制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
また、供給ポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても良いものである。
燃料噴射弁2−1〜2−nは、エンジン3の気筒毎に設けられており、それぞれコモンレール1から高圧燃料の供給を受け、電子制御ユニット4による噴射制御によって燃料噴射を行うようになっている。
本発明の実施の形態においては、エンジン3の動作状態に応じて、調量弁6と圧力制御弁12のそれぞれの動作状態を適宜変えることで、適切なレール圧制御の実現が図られるようになっている。
かかる電子制御ユニット4には、コモンレール1の圧力を検出する圧力センサ11の検出信号が入力される他、エンジン回転数やアクセル開度、また、燃料温度などの各種の検出信号が、エンジン3の動作制御や燃料噴射制御に供するために入力されるようになっている。
電子制御ユニット4による処理が開始されると、最初に、燃料噴射弁2−1〜2−nにおける燃料噴射タイミングに合わせて、噴射時のレール圧差ΔPの算出が行われる(図2のステップS102参照)。
燃料噴射前後におけるレール圧変化は、図3に概略が示されたように、高圧ポンプ7からの燃料の圧送が開始される(図3の時刻tの時点)と、それまで低下していたレール圧が上昇して、圧送終了時(図3の時刻taの時点)までレール圧は上昇を続けるが、圧送終了後から噴射が行われるまでの間は、燃料噴射弁2−1〜2−nの摺動部分からの燃料漏れであるいわゆる摺動リーク等によってレール圧は漸減してゆく傾向を示す。そして、燃料噴射時にレール圧は、ΔPだけ急速に降下し、その後、漸減してゆく傾向を示す(図3参照)。
本発明の実施の形態においては、この燃料噴射時のレール圧降下を、圧力センサ11の入力信号を基に、レール圧差ΔPとして取得するようにしている。
ここで、噴射時インジェクタ燃料消費量は、燃料噴射弁2−1〜2−nにより燃料噴射が行われた際に、消費された燃料の量であり、燃料噴射弁2−1〜2−nから噴射された燃料の量とコントロール流量の和として表されるものである。
燃料噴射弁2−1〜2−nから噴射された燃料の量として、本発明の実施の形態においては、電子制御ユニット4において従来同様に実行される燃料噴射制御処理において求められる指示燃料噴射量を流用することとしている。指示燃料噴射量は、通常、アクセル開度とエンジン回転数を入力パラメータとして、これらに対応する指示燃料噴射量が読み出し可能に構成されたマップが、予め電子制御ユニット4の適宜な記憶領域に記憶されて燃料噴射制御処理において用いられるようになっている。
すなわち、弾性係数Kは、良く知られているように、K=ΔP×(V/ΔV)として求められるものである。
ここで、ΔPは、弾性係数を求める対象物の圧力変化量であり、本発明の実施の形態においては、先のステップS102において求められた燃料噴射時のレール圧降下の大きさΔPである。
さらに、ΔVは、先にステップS104で算出された噴射時インジェクタ燃料消費量ΔVである。
本発明の実施の形態においては、ステップS106において求められた体積弾性係数Kと、圧力センサ11により検出されたこの時点におけるレール圧Prailとを入力パラメータとして、予め電子制御ユニット4の適宜な記憶領域に記憶された動粘度マップ(図示せず)から読み出されるようになっている。
かかる動粘度マップは、複数のレール圧毎に、種々の体積弾性係数に対する燃料動粘度が、読み出し可能に構成されたものである。
インジェクタリーク量は、燃料噴射弁2−1〜2−nの摺動部分から漏れる燃料の量であり、従来は、レール圧と燃料温度の関数として推定値を算出していたが、実際には、燃料動粘度νもインジェクタリーク量に影響を与える因子である。
このため、本発明の実施の形態においては、予め試験やシミュレーション結果等に基づいて、燃料動粘度νを一つのパラメータとして用いるよう設定されたインジェクタリーク量を算出する演算式によって、インジェクタリーク量の算出が行われるようになっている。なお、このようにして算出されたインジェクタリーク量は、電子制御ユニット4において別個に実行される燃料噴射制御処理へ供されることとなる。
上述のようにステップS110の処理が実行された後は、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
2−1〜2−n…燃料噴射弁
3…エンジン
4…電子制御ユニット
6…調量弁
7…高圧ポンプ
11…圧力センサ
12…圧力制御弁
Claims (2)
- 燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、少なくとも前記調量弁の駆動制御により前記コモンレールのレール圧を制御可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における前記燃料の動粘度を算出する燃料動粘度算出方法であって、
前記燃料の体積弾性係数を、前記燃料噴射弁による燃料噴射の際のレール圧の降下の大きさと、前記燃料噴射弁による燃料噴射の際の燃料の消費量とに基づいて、所定の演算式により算出し、
前記体積弾性係数と燃料動粘度との相関関係に基づいて予め設定された動粘度マップから、前記算出された体積弾性係数に対応する燃料動粘度を求めることを特徴とする燃料動粘度算出方法。 - 燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、電子制御ユニットにより、少なくとも前記調量弁が駆動制御されて前記コモンレールのレール圧を制御可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記燃料噴射弁による燃料噴射の際のレール圧の降下の大きさと、前記燃料噴射弁による燃料噴射の際の燃料の消費量とに基づいて、所定の演算式により前記燃料の体積弾性係数を算出し、
前記体積弾性係数と燃料動粘度との相関関係に基づいて予め設定された動粘度マップから、前記算出された体積弾性係数に対応する燃料動粘度を求め得るよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。
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