JP2013216799A - 遮熱性粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性はもとより、遮熱性に優れるとともに、結露防止性にも優れた遮熱性粘着シートを提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも片面に、遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系粘着剤層を有する遮熱性粘着シートであり、ポリビニルアルコール系フィルムが、二軸延伸されたポリビニルアルコール系フィルムであり、アクリル系粘着剤層が、架橋されてなるアクリル系粘着剤層であり、遮熱性微粒子が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種である遮熱性粘着シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムを用いた遮熱性粘着シートに関するものであり、更に詳しくは、窓ガラス等に貼着して用いた際に、熱線を遮蔽し遮熱性能を有するとともに、結露防止性能にも優れた遮熱性粘着シートに関する。
建物の窓、乗り物の窓、あるいは冷蔵、冷凍ショーケースの窓等において、暑さの軽減、省エネルギー化等を図るために、これらの窓に熱線を反射または吸収する性能を付与することが考えられている。その一つの方法として遮熱性の透明シートを貼着する方法がある。
従来の透明性の高い遮熱性粘着シートを作製する方法としては、誘電体の多層薄膜または金属膜または透明導電膜の薄膜をスパッタリング、蒸着等の方法を用いて、透明シート上に遮熱性層として成膜し、さらに粘着剤を塗布する方法が採用されている。この方法では、遮熱性の粘着シートを作製する場合、2回以上の異なった成膜工程が必要となるという問題点があり、より簡便に遮熱性透明シートを製造する方法が求められている。
このような遮熱性粘着シートとして、例えば、特許文献1において、疎水性アンチモン含有酸化スズとバインダー樹脂を用い、可視光に対しては透明で熱線のみを遮蔽するコーティング剤が提案されており、また、特許文献2において、ハードコート層または粘着剤層に熱線遮蔽性微粒子を含有させた、可視光に対しては透明で熱線のみを遮蔽する粘着シートが提案されている。
更に、特許文献3においては、アクリル酸アルキルエステルモノマーおよび/またはメタアクリル酸アルキルエステルモノマーのいずれかに熱線遮蔽性微粒子を分散させて重合したアクリル共重合体を含む熱線遮蔽性粘着層を有する熱線遮蔽性透明シートも提案されている。
特開平7−257922号公報 特開平8−281860号公報 特開平10−8010号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示の粘着シートの場合にあっては、熱線遮蔽層、粘着剤層、ハードコート層を有する3層構造となっており、製造工程の簡素化については不充分であった。
更に、特許文献3に開示の粘着シートについては、遮熱性効果は有するものの、陳列用冷蔵庫等のガラス窓に使用した際には、結露が発生してしまうものであり、更なる改良が求められている。
そこで、本発明はこのような背景下において、透明性はもとより、遮熱性に優れるとともに、結露防止性にも優れた遮熱性粘着シートを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、基材フィルムにポリビニルアルコール系フィルムを用い、粘着剤層に遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系樹脂を用いることにより、透明性はもとより、遮熱性に優れるとともに、結露防止性にも優れた効果を奏することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系フィルム[I]の少なくとも片面に、遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系粘着剤層[II]を有することを特徴とする遮熱性粘着シートに関するものである。
本発明の遮熱性粘着シートは、透明性はもとより、遮熱性に優れるとともに、結露防止性にも優れた効果を有するものであり、特に、ガラス等に貼着した場合には特に顕著な効果を有し、とりわけ、建築や自動車等の窓ガラス、陳列用冷蔵庫等に非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の遮熱性粘着シートは、ポリビニルアルコール系フィルム[I]の少なくとも片面に、遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系粘着剤層[II]を有するものである。
まず、本発明で用いられるポリビニルアルコール系フィルム[I](以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある。)について説明する。
本発明で用いられるPVA系フィルム[I]は、PVA系樹脂を用いて製膜されたフィルムである。
PVA系樹脂としては、PVAや変性PVAが挙げられ、PVAは、酢酸ビニルを単独重合し、更にそれをケン化して製造される。また変性PVAは、酢酸ビニルと酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体を共重合させた後ケン化して製造されるものであり、その変性量としては通常10モル%以下、好ましくは7モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。
上記酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート、等が挙げられる。
また、PVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂を用いることもでき、かかる側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
更に、変性PVAとしては、PVAを後変性することにより製造することもできる。かかる後変性の方法としては、PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記PVA系樹脂の重合度が1100以上、平均ケン化度90モル%以上であることが好ましく、重合度の更に好ましい範囲は1100〜4000、特に好ましい範囲は1200〜2600であり、平均ケン化度の更に好ましい範囲は95〜100モル%、特に好ましい範囲は99〜100モル%である。かかる重合度が低すぎるとフィルムとしたときの機械強度が低下する傾向にある。なお、重合度が高すぎると製膜および延伸時の加工性が低下する傾向にある。平均ケン化度が低すぎると耐水性が低下する傾向にあるので、比較的高いものを選ぶことが好ましい。なお、上記重合度及び平均ケン化度は、JIS K6726に準じて測定される。
また、上記PVA系樹脂の4重量%水溶液の粘度としては、2.5〜100mPa・s(20℃)が好ましく、更には2.5〜70mPa・s(20℃)、特には2.5〜60mPa・s(20℃)が好ましい。該粘度が低すぎるとフィルム強度等の機械的物性が低下する傾向があり、高すぎるとフィルムへの製膜性が低下する傾向がある。
尚、上記粘度はJIS K6726に準じて測定されるものである。
これらのPVA系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明では、上記PVA系樹脂を用いてフィルム製膜するのであるが、かかる製膜方法も公知のものでよく、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上にPVA系樹脂溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によって製膜される。
かかるPVA系フィルムは、無延伸フィルムとして用いてもよいが、通常一軸延伸或いは二軸延伸フィルムとして用いることが好ましく、特に高湿度下での寸法安定性の点から、二軸延伸フィルムとして用いるのが好ましい。かかる一軸および二軸延伸フィルムの流れ方向(MD方向)の延伸倍率としては2.5〜5倍であることが好ましい。
かかる延伸処理方法は、通常行われる一軸延伸方法や、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、公知方法に従い行うことが可能である。
以下、二軸延伸フィルムの具体的な製法について説明する。
上記PVA系樹脂を用いて、PVA系フィルム(延伸前PVA系フィルム)を製膜するわけであるが、通常は、製膜用の原液として、PVA系樹脂濃度が5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%のPVA系樹脂−水の組成物を調製する。
かかるPVA系樹脂−水組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類の可塑剤やフェノール系、アミン系等の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤、着色料、香料、増量剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤等の通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。また、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のPVA系樹脂以外の他の水溶性樹脂を混合してもよい。
PVA系フィルムの製膜法については、特に限定されないが、上記PVA系樹脂−水組成物を押出機に供給して溶融混練した後、Tダイ法、インフレーション法により押出し製膜し、乾燥する方法が好ましい。
かかる方法における押出機内での溶融混練温度は、50〜170℃、特には55〜160℃が好ましい。かかる温度が低すぎるとフィルム肌の不良を招き、高すぎると発泡現象を招く傾向にある。また、製膜後のフィルムの乾燥については、70〜120℃で行うことが好ましく、更には80〜100℃で行うことが好ましい。
上記で得られたPVA系フィルムに対して、更に二軸延伸を施すことにより、本発明で好ましく用いられる二軸延伸PVA系フィルムとなる。
かかる二軸延伸については、機械の流れ方向(MD方向)の延伸倍率が2.5〜5倍、幅方向(TD方向)の延伸倍率が2〜4.5倍であることが好ましく、特に好ましくはMD方向の延伸倍率が3〜5倍、TD方向の延伸倍率が2.5〜4.5倍である。該MD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難くかつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎるとフィルムがMD方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、TD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難く、かつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎると工業的にフィルムを製造する際に延伸時の破断が多発する傾向がある。
かかる二軸延伸は、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸にて行われるが、二軸延伸を行うにあたっては、PVA系フィルムの含水率を5〜30重量%、特には20〜30重量%に調整しておくことが好ましい。含水率の調整は、乾燥前のPVA系フィルムを引き続き乾燥する方法、含水率5重量%未満のPVA系フィルムを水に浸漬あるいは調湿等を施す方法等により行うことができる。かかる含水率が低すぎても、高すぎても延伸工程でMD方向、TD方向の延伸倍率を高めることが困難となる傾向がある。
更に、二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、PVA系樹脂の融点より低い温度を選択することが好ましく、特には140〜250℃であることが好ましい。熱固定温度が、融点より80℃以上低い温度の場合は、寸法安定性が低下し収縮率が大きくなる傾向があり、一方、融点より高い場合は、フィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。また、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
また、必要に応じて、熱変形性をさらに減少させる目的で、かかる二軸延伸PVA系フィルムに、水溶液への接触および乾燥の加工を施すことも可能である。水溶液との接触においては、通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃の水溶液が用いられ、水溶液との接触時間は、水溶液の温度に応じて適宜選択されるが、工業的には10〜60秒であることが好ましい。
かかる水溶液との接触方法については、例えば、水溶液への浸漬や水溶液の噴霧、水溶液の塗布、スチーム処理などが挙げられ、これらを併用することもできる。水溶液との接触の後、工業的には、エアーシャワー等で非接触的に表面の付着水を取り除き、次いでニップロール等で接触的な水分除去を次に行うことが好ましい。また、乾燥機の種類としては、例えば、金属ロールやセラミックロール等に直接接触して乾燥する方法、あるいは非接触型の乾燥機を用いる方法などが挙げられる。
かかる水溶液との接触と乾燥の後に、得られた二軸延伸PVA系フィルムを再度巻き取ってロール状とする場合は、フィルムの水分量を通常3重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%にすることが望まれる。かかる水分量が多すぎるとフィルムロールの中でフィルム同士が密着してしまう傾向があり、再度加工のための巻き出しを行う際にフィルムが破損するなどの問題を発生するおそれがある。
かくして本発明で好適に用いられる二軸延伸PVA系フィルムが得られる。
本発明で用いられるPVA系フィルム[I]の厚みは、通常10〜50μmであり、好ましくは12〜45μm、特に好ましくは14〜40μmであり、薄すぎると被着体に貼着させる際の作業性が低下する傾向があり、厚すぎるとPVA系フィルムの生産性及び粘着剤層の形成性が低下する傾向がある。なお、二軸延伸PVA系フィルムとして本発明に供する場合には延伸後のフィルム厚みとして上記の範囲に調整することとなる。
また、上記PVA系フィルム[I]については、ガラス等に貼着した際の保護効果を発揮する点から、その破断伸度として、23℃、50%RH調湿条件下において、150%以上であることが好ましく、さらには180%以上が好ましい。なお、破断伸度の上限としては通常、400%である。ここで、フィルムの破断伸度は、JIS K 7127(1999年)に準拠して測定される。また、PVA系フィルムの破断強度としても、ガラス等に貼着した際の保護効果を発揮する点から、23℃、50%RHにおいて、150MPa以上であることが好ましく、更には250MPa以上であることが好ましい。なお、破断強度の上限値としては、通常、350MPaである。
また、PVA系フィルム[I]の全光線透過率としては、視認性の点で50%以上、特には70%以上、更には90%以上であることが好ましい。なお、全光線透過率の上限値としては通常99%である。
PVA系フィルム[I]の透湿性は、調湿と結露防止の点で、40℃、90%RHにおいて50g/m・24hr・25μm以上であることが好ましく、更には70g/m・24hr・25μm以上であることが好ましい。なお、透湿性の上限値としては通常7000g/m・24hr・25μmである。
PVA系フィルム[I]の表面張力は、結露防止の点で、20dyne/cm以上、特には30dyne/cm以上、更には40dyne/cm以上が好ましい。なお、表面張力の上限値としては、通常、73dyne/cmである。
次に、本発明で用いられる遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系粘着剤層[II]について説明する。
かかるアクリル系粘着剤層[II]は、アクリル系樹脂及び遮熱性微粒子を含有するアクリル系樹脂組成物(A)が架橋されてなるアクリル系粘着剤層である。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、アクリル酸エステル系モノマーを重合してなるものであるが、好ましくはPVA系フィルム[I]との密着性の点で、水酸基含有モノマーとアクリル酸エステル系モノマーを含有する重合成分を重合させてなるアクリル系樹脂であることが好ましい。
本発明における水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
また、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマーを用いてもよい。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、更には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることも好ましく、更に0.2%以下、殊には0.1%以下のものを使用することが好ましい。
上記水酸基含有モノマー以外のその他共重合成分として、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、必要に応じて水酸基含有モノマー以外の官能基含有モノマー (以下、単に「官能基含有モノマー」と記すことがある。)やその他の共重合性モノマーが挙げられる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルエステル等が挙げられる。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルについては、アルキル基の炭素数が、通常1〜12、特には1〜8、更には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸フェニルエステルとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステル、テトラヒドロフルリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、更に好ましくは遮熱性微粒子の分散性の点でn−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
かかる官能基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、窒素含有モノマー、リン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー等が挙げられ、単独又は2種以上併用して用いられる。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
その他の共重合性モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
上記水酸基含有モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、官能基含有モノマー、その他共重合性モノマーのモノマー成分を重合することによりアクリル系樹脂(A)を製造するのであるが、かかる重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行うことができる。
かかる水酸基含有モノマーは、アクリル系樹脂の共重合成分として、共重合成分全体に対して15重量%以上含有することが好ましく、少なすぎるとPVA系フィルム[I]との密着性が低下する傾向がある。水酸基含有モノマーの含有量の好ましい範囲は15〜90重量%であり、更には20〜70重量%、特には25〜50重量%である。なお、水酸基含有モノマーの含有量が多すぎるとアクリル系樹脂の保存安定性が低下する傾向がある。
また、水酸基含有モノマー以外の重合成分の含有割合としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが0〜85重量%、特には10〜85重量%、更には30〜80重量%であることが好ましく、水酸基含有モノマー以外の官能基含有モノマーが0〜40重量%、特には0〜30重量%、更には0〜20重量%であることが好ましく、その他の共重合モノマーが0〜50重量%、特には0〜40重量%、更には0〜30重量%であることが好ましい。
かくして得られるアクリル系樹脂の重量平均分子量については、通常5万〜30万であることが、アクリル系樹脂溶液の粘度が低くなり、高固形分化を行ないやすくなる点で好ましく、特には6万〜25万、更には7万〜20万、殊には8万〜18万であることが好ましい。
また、アクリル系樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、特に限定されないが、7以下であることが好ましく、特には5.5以下が好ましく、更には4.5以下が好ましく、殊には3.5以下が好ましい。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
更に、アクリル系樹脂のガラス転移温度は一概には特定されないが、−80〜−20℃、特には−75〜−25℃、更には−60〜−30℃が好ましく、ガラス転移温度が高すぎるとタックが不足する傾向があり、低すぎると粘着シートとしての保存安定性が低下する傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるもので、また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。また、ガラス転移温度はFoxの式より算出されるものである。
なお、本発明においては、アクリル系樹脂組成物(A)が、アクリル系樹脂を主成分として含有するものである。ここで「主成分として含有する」とは、上記アクリル系樹脂がアクリル系樹脂組成物(A)全量に対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有することを意味する。なお、上限としては通常99.9重量%である。
本発明のアクリル系樹脂組成物(A)で用いられる遮熱性微粒子は、可視光の吸収がなく、近赤外部から遠赤外部にかけて良好な反射特性を有しているものが適している。そのようなものとして、近赤外域にプラズマ波長を持っている電気伝導性の金属酸化物が挙げられる。具体的には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン等を例示することができる。このうち、可視光領域に光吸収性のない酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛が好適である。
また、これらの酸化物の電気導電性を向上させるために第三成分をドープすることは、大変好ましい。このためのドーパントとしては、酸化スズに対してはSb,V,Nb,Ta等が選ばれ、酸化インジウムに対してはZn,Al,Sn,Sb,Ga,Ge等が選ばれ、酸化亜鉛に対しては、Al,Ga,In,Sn,Sb,Nb等が選ばれる。
遮熱性微粒子の製法は、粒径が100nm以下のものが好ましく、気相合成法、液相合成法等の公知の方法により得ることができる。例えば、酸化スズ微粒子については、特開平2−105875に開示されている方法によることができる。
上記遮熱性微粒子の含有量は、アクリル系樹脂100重量部に対して、20〜100重量部であることが好ましく、特には22〜80重量部、更には25〜70であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると遮熱性を顕著に発揮しない傾向があり、多すぎると透過率が低下する傾向がある。
かくしてアクリル系樹脂と遮熱性微粒子を含有してなるアクリル系樹脂組成物(A)が得られ、アクリル系樹脂組成物(A)が架橋されてなるアクリル系粘着剤層が形成される。
上記アクリル系樹脂組成物(A)を架橋する方法としては、〔α〕架橋剤を用いて架橋する方法、〔β〕不飽和基含有化合物および重合開始剤を含有させ、活性エネルギー線および熱の少なくとも一つにより架橋する方法があげられるが、加工の汎用性の点から〔α〕の方法が好ましい。また、架橋度合いに関しては、上記〔α〕の方法のみ、または、〔β〕の方法のみでも充分なものが得られるが、可能であれば、粘着剤の架橋をより一層密にできる点から、上記〔α〕および〔β〕の各方法を併用することも好ましい。
上記〔α〕の方法、即ち、架橋剤を用いて架橋する方法について説明する。
上記架橋剤を用いて架橋する場合は、アクリル系樹脂組成物(A)として、前記アクリル系樹脂及び遮熱性微粒子に加え、さらに架橋剤を含有する樹脂組成物(A)を用いる。
上記架橋剤を用いる場合には、アクリル系樹脂は官能基を有するものであることが好ましく、この官能基と架橋剤が反応することにより架橋(化学架橋)が行なわれる。
上記架橋剤としては、前記アクリル系樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物であればよく、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物、アルデヒド系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物が挙げられる。これらの中でも、基材との密着性を向上させる点やアクリル系樹脂との反応性の点で、イソシアネート系化合物が好適に用いられる。
上記イソシアネート系化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
上記エポキシ系化合物としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アジリジン系化合物としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系化合物としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系化合物としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
金属キレート系化合物としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
また、これらの架橋剤は、単独で使用しても良いし、2種以上併用してもよい。
上記架橋剤の含有量は、前記アクリル系樹脂中に含まれる官能基の量、アクリル系樹脂の重量平均分子量、用途目的により適宜選択できるが、通常は、アクリル系樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましく、さらには0.2〜12重量部、特には1.5〜10重量部であることが好ましい。上記架橋剤が少なすぎると、凝集力が不足し、充分な耐久性が得られがたい傾向があり、多すぎると柔軟性、および粘着力が低下し、耐久性が低下する傾向がある。
本発明において、粘着剤形成材料であるアクリル系樹脂組成物(A)には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、ポリオール等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の従来公知の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。
また、上記添加剤の他にも、アクリル系樹脂組成物(A)の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであっても良い。
かくして本発明では、上記のアクリル系樹脂組成物(A)が架橋されてなる、遮熱性粘着シートを形成するアクリル系粘着剤が得られる。
本発明において、上記PVA系フィルム[I]の片面にアクリル系粘着剤層[II]を形成する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)PVA系フィルム[I]上にアクリル系樹脂組成物(A)を塗布、乾燥した後、更に離型シートを貼合する方法、
(2)離型シート上にアクリル系樹脂組成物(A)を塗布、乾燥した後、PVA系フィルム[I]を貼合する方法
なお、実用に供する際には、かかる離型シートを剥がして用いられ、更に離型シートはシリコン系の離型シートであることが好ましい。
上記の塗布に際しては、溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは11〜25重量%である。かかる溶剤としては、アクリル系樹脂組成物(A)を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率については、80%以上であることが好ましく、特には90%以上が好ましい。ゲル分率が低すぎると凝集力が不足する傾向がある。
なお、通常ゲル分率の上限値は100%である。
なお、光学部材用粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、架橋剤の種類と量を調整すること等により達成される。
なお、上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、以下の方法で算出される。
即ち、後述の如く得られる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。但し、基材の重量は差し引いておく。
また、得られるアクリル系粘着剤層[II]の厚みは、乾燥後の膜厚で10〜60μmが好ましく、特には12〜50μmが好ましく、更には15〜40μmが好ましい。この粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると 透過率が低下する傾向がある。
ここで、本発明においては、遮熱性微粒子の含有量とアクリル系粘着剤層[II]の膜厚との間には透過率と遮熱性の点で下記の条件(1)を満足することが好ましい。X×Yの更に好ましい範囲は450〜950、特に好ましくは550〜900である。
400≦X×Y≦1000 (1)
(ここで、Xは、アクリル系樹脂100重量部に対する遮熱性微粒子の含有量(部)であり、Yは、アクリル系粘着剤層[II]の膜厚(μm)である。)
上記X×Yが小さすぎると遮熱効果が低下する傾向があり、大きすぎると透過率が低下する傾向がある。
そして、本発明で得られるアクリル系粘着剤層[II]が形成された遮熱性粘着シートは、直接或いは離型シートを有するものは離型シートを剥がした後、粘着剤層面をガラス等に貼着して、例えば、窓ガラスとして供される。
かくして本発明の遮熱性粘着シートは、PVA系フィルム[I]と遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系粘着剤層[II]を有するものであるため、窓ガラスの可視光透過率や外観を損うことなく遮熱性に優れ、また、結露防止性にも優れた効果を示すものであり、とりわけ建物や乗物、陳列用冷蔵庫等の窓ガラスに貼着して用いるのに好適である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
以下のフィルムを用意した。
〔二軸延伸PVAフィルム[I]の作製〕
ジャケット温度を60〜150℃に設定した二軸押出機型混練機(スクリューL/D=40)のホッパーからPVA(重合度1700、4重量%水溶液の粘度40mPa・s、ケン化度99.7モル%、酢酸ナトリウム含有量0.3%)と水をPVA/水の重量比40/60にて、定量ポンプにより供給し、混練し、吐出量500kg/hrの条件で吐出した。
この吐出物を直ちに一軸押出機(スクリューL/D=30)に圧送し、温度85〜140℃にて混練した後、Tダイより5℃のキャストロールに押出し、90℃の熱風乾燥機で30秒間乾燥し、含水率25%のPVAフィルム(厚み150μm)を作製した。引き続き、かかるPVAフィルムをMD方向に3.5倍延伸した後、テンターでTD方向に3.5倍延伸し、次いで180℃で8秒間熱固定し、二軸延伸PVAフィルム(厚み25μm)を得た。
〔アクリル系樹脂組成物(A)の作製〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル100部を仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05部を加え、攪拌しながら昇温し、還流温度で、2−ヒドロキシエチルアクリレート30部、ブチルアクリレート70部の混合物を2時間にわたって滴下した。重合途中に酢酸エチル10部にAIBN0.05部を溶解させた重合開始剤液を逐次追加しながら、酢酸エチル還流温度で3.5時間重合させた後、希釈してアクリル系樹脂溶液(重量平均分子量(Mw)11万、分散度(Mw/Mn)2.4、ガラス転移温度−44.4℃、固形分70%、粘度3500mP・s(25℃))を得た。
得られたアクリル系樹脂溶液142部(固形分100部)に、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)(メチルエチルケトン30%分散体)を固形分で35部配合し、更に、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−55E(日本ポリウレタン社製))を固形分で2部配合し、アクリル系樹脂組成物を得た。
〔粘着シートの作製〕
上記で得た二軸延伸PVA系フィルム[I]の片面に、上記アクリル系樹脂組成物(A)をアプリケーターにて塗工し、その後、100℃の乾燥機で2分間乾燥して、乾燥膜厚20μmのアクリル系粘着剤層を形成し、遮熱性粘着シートを得た。
得られた遮熱性粘着シートについて、以下の評価を行った。
(1500nmの透過率)
分光光度計(日本分光社製 V−7200)で1500nmの透過率を測定した。
透過率が低いほど遮熱性に優れているものであり、透過率が30%以下であると良好である。
(全光線透過率)
ヘイズメーター(日本電色社製、NDH2000)にて透過率を測定した。
全光線透過率が高いほど透明性に優れているものであり、全光線透過率が60%以上であると良好である。
(結露防止性)
3mm厚みのガラス板に遮熱性粘着シートを貼着して、10℃で5分間静置した後、20℃×90%RHの環境に持ち込み15秒後にフィルム部分の結露の有無を観察し、下記の基準で評価した。
○・・・結露なし
×・・・結露あり
実施例2〜4、比較例1
実施例1に準じて、表1に示す通りに粘着シートを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
比較例2
実施例1において、二軸延伸PVAフィルム[I]をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ38μm)(東レ社製)に変更した以外は同様に行い、粘着シートを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
Figure 2013216799
上記の通り、遮熱性微粒子を含有しないアクリル系粘着剤層を形成した粘着シートである比較例1では遮熱性を有しないものであり、また、PVA系フィルムではないポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた粘着シートである比較例2では結露防止性を有しないものであるのに対して、PVA系フィルムを用い、遮熱性微粒子を含有させたアクリル系粘着剤層を形成した粘着シートである実施例1〜4では、透明性に優れ、遮熱性及び結露防止性に優れた遮熱性粘着シートであることが分かる。
本発明の遮熱性粘着シートは、PVA系フィルム[I]と遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系粘着剤層[II]を有するものであるため、窓ガラスの可視光透過率や外観を損うことなく遮熱性に優れ、また、結露防止性にも優れた効果を示すものであり、とりわけ建物や乗物の窓ガラスに貼着して用いるのに好適である。

Claims (9)

  1. ポリビニルアルコール系フィルム[I]の少なくとも片面に、遮熱性微粒子が含有されてなるアクリル系粘着剤層[II]を有することを特徴とする遮熱性粘着シート。
  2. ポリビニルアルコール系フィルム[I]が、二軸延伸されたポリビニルアルコール系フィルムであることを特徴とする請求項1記載の遮熱性粘着シート。
  3. アクリル系粘着剤層[II]が、アクリル系樹脂及び遮熱性微粒子を含有するアクリル系樹脂組成物(A)が架橋されてなるアクリル系粘着剤層であることを特徴とする請求項1または2記載の遮熱性粘着シート。
  4. アクリル系樹脂が、水酸基含有モノマーを15重量%以上含有する重合成分を重合させてなるアクリル系樹脂であることを特徴とする3記載の遮熱性粘着シート。
  5. 遮熱性微粒子が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の遮熱性粘着シート。
  6. アクリル系樹脂組成物(A)において、アクリル系樹脂100重量部に対して、遮熱性微粒子の含有量が20〜100重量部であることを特徴とする遮熱性粘着シート。
  7. アクリル系粘着剤層[II]の厚みが、乾燥後の膜厚で10〜60μmであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の遮熱性粘着シート。
  8. 下記の条件(1)を満足することを特徴とする請求項3〜7いずれか記載の遮熱性粘着シート。
    400≦X×Y≦1000 (1)
    (ここで、Xは、アクリル系樹脂100重量部に対する遮熱性微粒子の含有量(部)であり、Yは、アクリル系粘着剤層[II]の膜厚(μm)である。)
  9. ガラスに貼着して用いられることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の遮熱性粘着シート。
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