JPWO2016147318A6 - 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Abstract
共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、前記共重合体(A)の重量平均分子量よりも小さい重量平均分子量を有し、共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)と、イソシアネート系架橋剤(C)とを含有する粘着性組成物であって、前記共重合体(B)を構成するモノマーにおける前記水酸基を有するモノマーの割合が、前記共重合体(A)を構成するモノマーにおける前記水酸基を有するモノマーの割合よりも大きく、前記共重合体(A)および前記共重合体(B)を構成するモノマーの質量部数の合計100質量部に対し、前記共重合体(A)および前記共重合体(B)を構成する前記カルボキシル基を有するモノマーの質量部数の合計が、0.1〜1.0質量部であり、前記共重合体(A)と前記共重合体(B)とにおける質量を基準とした配合比が、90:10〜10:90であることを特徴とする粘着性組成物。
Description
本発明は、粘着性組成物、粘着性組成物の製造方法、粘着剤(粘着性組成物を架橋させた材料)および粘着シートに関するものであり、特に、偏光板等の光学部材の保護シート用として好適な粘着性組成物、粘着性組成物の製造方法、粘着剤および粘着シートに関するものである。
粘着シートを被着体から素早く剥離する用途に使用する場合、高速剥離における粘着力(以下「高速粘着力」という場合がある)が比較的小さいことが適している。
例えば、偏光板の少なくとも一方の面に対して、表面を保護するための保護シートを貼付することがある。この偏光板から保護シートを剥離する際、作業性の観点から、大きな力を要することなく素早く剥離できる方が有利である。特に近年、偏光板のサイズの拡大に伴い、剥離する面積も広くなっており、高速粘着力が小さい粘着シートの要求性が高まっている。
一方、上記粘着シートと被着体との積層体をロール・トゥ・ロール等で取り扱う際に、上記粘着シートが被着体から意図せずに剥がれることがないよう、低速剥離における粘着力(以下「低速粘着力」という場合がある)を十分に有する必要がある。したがって、比較的小さい高速粘着力を有することと、十分な低速粘着力を有することとを両立した粘着シートが求められている。
このような性質を有する粘着シートは、アクリル系重合体、架橋剤およびスズ触媒を含む粘着性組成物を架橋させた粘着剤を用いて得ることができる。特に、スズ触媒を使用することで、高速粘着力を低下させるとともに、低速粘着力をある程度の大きさに維持することができる。しかしながら、このようにして得られた粘着シートはスズ化合物を含んでおり、環境に対する負荷という問題を有する。
引用文献1および2には、スズ化合物を使用することなく製造された粘着シートが開示されている。引用文献1では、スズ化合物の代わりに、ジルコニウム化合物を使用している(引用文献1の請求項1)。また、引用文献2では、架橋促進剤として、ビスマス等を含む金属有機化合物を使用している(引用文献2の請求項1および2)。
しかしながら、引用文献1のようにジルコニウム化合物を使用した場合、粘着力を十分に低下させることができず、高速粘着力が比較的小さい粘着シートを得ることはできない。また、引用文献2のようにビスマス化合物を使用した場合、低速粘着力は低下する一方、高速粘着力は十分に低下しない。したがって、従来の技術では、スズ化合物を使用することなく、比較的小さい高速粘着力を有することと、十分な低速粘着力を有することとを両立した粘着シートを製造することは困難であった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、比較的小さい高速粘着力および十分な低速粘着力を有する粘着シートを得ることができる粘着性組成物、当該粘着性組成物の製造方法および粘着剤、ならびに当該粘着シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量よりも小さい重量平均分子量を有し、共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)と、イソシアネート系架橋剤(C)とを含有する粘着性組成物であって、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーにおける前記水酸基を有するモノマーの割合が、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーにおける前記水酸基を有するモノマーの割合よりも大きく、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーの質量部数の合計100質量部に対し、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成する前記カルボキシル基を有するモノマーの質量部数の合計が、0.1〜1.0質量部であり、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とにおける質量を基準とした配合比が、90:10〜10:90であることを特徴とする粘着性組成物を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係る粘着性組成物によれば、高分子量の共重合体(A)と比較して、低分子量の共重合体(B)が、架橋点となる水酸基を多く有することにより、比較的小さい高速粘着力と十分な低速粘着力とを有する粘着シートを得ることができる。
上記発明(発明1)において、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は、5万〜50万であり、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の重量平均分子量は、0.2万〜10万であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.01〜5質量%含有することが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が、当該共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.1〜10質量%含有することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、エチレンオキシドを含有することが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記粘着性組成物は、スズ化合物を含有しないことが好ましい(発明6)。
第2に本発明は、前記粘着性組成物(発明1〜6)を製造する方法であって、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーを、転化率50〜90%でラジカル重合して、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造する工程(1)と、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーと、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーとを、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の存在下でラジカル共重合して、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を製造する工程(2)と、前記イソシアネート系架橋剤(C)を添加する工程(3)とを備えたことを特徴とする粘着性組成物の製造方法を提供する(発明7)。
上記発明(発明7)においては、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を製造する工程(2)において、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーと、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーとを、転化率70〜100%でラジカル重合することが好ましい(発明8)。
第3に本発明は、前記粘着性組成物(発明1〜6)を架橋してなる粘着剤を提供する(発明9)。
第4に本発明は、基材と、粘着剤層とを備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記粘着剤(発明9)からなることを特徴とする粘着シートを提供する(発明10)。
上記発明(発明10)において、前記粘着シートは、被着体を保護するための保護シートであることが好ましい(発明11)。
上記発明(発明11)において、前記被着体は、光学部材であることが好ましい(発明12)。
本発明によれば、スズ化合物を含まず、比較的小さい高速粘着力および十分な低速粘着力を有する粘着シートを得ることができる粘着性組成物、当該粘着性組成物の製造方法および粘着剤、ならびに当該粘着シートを得ることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着性組成物〕
本実施形態に係る粘着性組成物は、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)と、イソシアネート系架橋剤(C)とを含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
本実施形態に係る粘着性組成物は、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)と、イソシアネート系架橋剤(C)とを含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
また、本実施形態に係る粘着性組成物では、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する。第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量よりも小さい重量平均分子量を有し、共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する。
さらに、本実施形態に係る粘着性組成物では、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーにおける水酸基を有するモノマーの割合が、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーにおける水酸基を有するモノマーの割合よりも大きい。第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーの質量部数の合計100質量部に対し、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するカルボキシル基を有するモノマーの質量部数の合計は、0.1〜1.0質量部である。第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とにおける質量を基準とした配合比は、90:10〜10:90である。
本実施形態に係る粘着性組成物を用いて得られる粘着シートでは、低速剥離の際、より長い鎖長を有する第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、比較的少ない数の架橋点を有し、より自由度が高く、変形しやすいことにより、十分な粘着力を示すと推定される。一方、高速剥離の際、多くの架橋点を有する第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)によって、上記共重合体(A)の動きは拘束され、変形し難くいことにより、比較的小さい粘着力を示すと推定される。
本実施形態に係る粘着性組成物では、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、それぞれ、共重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基を有するモノマーを含有する。カルボキシル基を有するモノマーは、架橋の促進剤として作用する。したがって、本実施形態に係る粘着性組成物では、カルボキシル基を有するモノマーが、モノマー構成単位として共重合体(A)および共重合体(B)に含まれることで、スズ触媒といったその他の架橋促進剤の使用を省略することができる。
本実施形態に係る粘着性組成物では、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーの質量部数の合計100質量部に対し、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するカルボキシル基を有するモノマーの質量部数の合計が、0.1〜1.0質量部であり、0.15〜0.8質量部であることが好ましく、特に0.30〜0.6質量部であることが好ましい。カルボキシル基を有するモノマーの質量部数の合計が1.0質量部以下であることで、架橋反応が過度に促進されて、粘着性組成物が粘着剤の形成前にゲル化することが防止され、十分なポットライフを確保することができる。一方、カルボキシル基を有するモノマーの質量部数の合計が0.1質量部以上であることで、架橋促進の効果を得ることができる。
第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基を有するモノマーを0.01〜2.00質量%含有することが好ましく、特に0.05〜1.50質量%含有することが好ましく、さらには0.30〜1.00質量%含有することが好ましい。当該モノマーの含有量が2.00質量%以下であることで、粘着性組成物のポットライフがより優れたものとなる。また、当該モノマーの含有量が0.01質量%以上であることで、カルボキシル基による架橋促進の効果が十分に得られ、これにより、共重合体(B)を主体に形成される架橋構造の一部に、共重合体(A)が水酸基を介して結合してなる構造が良好に形成され、得られる粘着シートの高速粘着力を低く抑えることができる。
第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基を有するモノマーを0.01〜0.99質量%含有することが好ましく、特に0.05〜0.80質量%含有することが好ましく、さらには0.20〜0.60質量%含有することが好ましい。当該モノマーの含有量が0.99質量%以下であることで、粘着性組成物のポットライフがより優れたものとなる。また、当該モノマーの含有量が0.01質量%以上であることで、カルボキシル基による架橋促進の効果が得られ、これにより、良好な架橋構造が形成され、得られる粘着シートの高速粘着力を低く抑えることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、酢酸ビニル等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋促進の観点から、特に、カルボキシル基を有するモノマーとして、アクリル酸を使用することが好ましい。
本実施形態に係る粘着性組成物では、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が、それぞれ、共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを含有する。本実施形態に係る粘着性組成物は、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(C)を含むため、イソシアネート基との反応性に優れる水酸基が、共重合体(A)および(B)において架橋点として作用する。
本実施形態に係る粘着性組成物では、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーにおける水酸基を有するモノマーの割合が、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーにおける水酸基を有するモノマーの割合よりも大きい。このように、より低分子量の共重合体(B)が、より多くの水酸基を有することにより、高速剥離の際に共重合体(B)が共重合体(A)を拘束し易くなり、粘着力が十分に低下する。
第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.01〜5質量%含有することが好ましく、特に0.05〜1質量%含有することが好ましく、さらには0.1〜0.5質量%含有することが好ましい。
第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.1〜10質量%含有することが好ましく、特に0.6〜8質量%含有することが好ましく、さらには1.1〜5質量%含有することが好ましい。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、アクリル酸4−ヒドロキシブチルは、架橋反応における高い反応性を示すため、高速粘着力をより低下させ易いという観点から、水酸基を有するモノマーとして、アクリル酸4−ヒドロキシブチルを使用することが好ましい。
本実施形態に係る粘着性組成物では、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、共重合体を構成するモノマー単位として、アルキレンオキシド鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、アルキレンオキシド鎖含有アクリル酸エステルと称する場合がある。)を含有することも好ましい。アルキレンオキシド鎖のアルキレンとしては、炭素数2〜4のアルキレンであることが好ましく、特に、炭素数2のエチレンオキシドであることが好ましい。この場合、アルキレンオキシド鎖含有アクリル酸エステル1分子中のアルキレンオキシド鎖の平均付加モル数は、1〜20モルであることが好ましく、特に3〜15モルであることが好ましく、さらには6〜10モルであることが好ましい。第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)がモノマー単位としてアルキレンオキシド鎖含有(メタ)アクリル酸エステルを含むことで、この粘着剤にイオン電導性の帯電防止剤を添加した場合に、粘着剤中の帯電防止剤の移動性が高まることにより、帯電防止剤の効果をより得ることができる。なお、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、共重合体を構成するモノマー単位として、アルキレンオキシド鎖含有(メタ)アクリル酸エステルを含有してもよいものの、共重合体(A)が高分子量であることに起因して、粘着性組成物の粘度が上がり過ぎ、加工性が悪化する場合がある。そのため、アルキレンオキシド鎖含有(メタ)アクリル酸エステルは第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)のみに含まれることが好ましい。また、アルキレンオキシド鎖の末端は、架橋剤と反応しないよう炭素数1〜4のアルキル基で保護されていることが好ましい。さらに、帯電防止剤の添加効果をより発揮させると共に、共重合体(A)との相溶性の両立を図る観点から、共重合体(B)中において、モノマー単位として、アルキレンオキシド鎖含有(メタ)アクリル酸エステルを1〜30質量%含有させることが好ましく、5〜20質量%含有させることがより好ましく、10〜17質量%含有させることが特に好ましい。
本実施形態に係る粘着性組成物では、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が、それぞれ、共重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。これにより、所望の粘着性を発現する粘着剤を得ることができる。
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」という場合がある。)としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、より好ましい粘着性を得る観点から、アルキル基の炭素数が4〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、そのような例としては、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。特に、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルの両方を使用することが好ましい。
得られる粘着剤の粘着性を付与しつつ、前述の水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーの配合割合も確保する観点から、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、それぞれ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー構成単位として60〜99.8質量%含有することが好ましい。さらに、共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー構成単位として85〜99.6質量%含有することがより好ましい。また、共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー構成単位として65〜85質量%含有することがより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸ブチルの両方を使用する場合、低速粘着力と高速粘着力との両立を図る観点から、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)のそれぞれにおけるアクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸ブチルとの比率は、質量換算で95:5〜50:50であることが好ましく、特に90:10〜60:40であることが好ましい。なお、共重合体(A)では、当該比率は、質量換算で74:26〜65:35であることがさらに好ましい。また、共重合体(B)では、当該比率は、質量換算で85:15〜76:24であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る粘着性組成物では、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、カルボキシル基を有するモノマーおよび水酸基を有するモノマーの作用を妨げないためにも、反応性を有する官能基を含まないモノマーが好ましい。かかる他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、シリコーン(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等の非架橋性のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、スチレン等のビニルモノマーなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、上記の第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記の第2の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る粘着性組成物では、前述の通り第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)よりも架橋点を多く有することに加え、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の重量平均分子量は、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量よりも小さい。これにより、比較的低い高速粘着力および十分な低速粘着力を効果的に実現することができる。
第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は、5万〜50万であることが好ましく、特に10万〜40万であることが好ましく、さらには15万〜30万であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の重量平均分子量は、0.2万〜10万であることが好ましく、特に0.5万〜5万であることが好ましく、さらには1万〜2万であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着性組成物において、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とにおける質量を基準とした配合比は、90:10〜10:90である。特に、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の配合量の方が、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の配合量よりも多いことが好ましく、例えば、上記配合比は、45:55〜10:90であることが好ましく、特に42:58〜20:80であることが好ましく、さらには40:60〜30:70であることが好ましい。第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の配合量の方が多いことにより、低速粘着力を高く維持しつつ高速粘着力が低減するという効果が得られる。
イソシアネート系架橋剤(C)は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。なかでも、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体を使用することが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イソシアネート系架橋剤(C)の含有量は、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、特に1〜8質量部であることが好ましく、さらには2〜6質量部であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着性組成物は、可塑剤を含有してもよい。可塑剤を含有させることで、得られる粘着剤の粘着力を容易に制御することができる。
可塑剤の具体例としては、アセチルクエン酸トリブチル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
可塑剤の含有量は、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の合計100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、特に3〜15質量部であることが好ましく、さらには6〜12質量部であることが好ましい。
上記粘着性組成物には、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、帯電防止剤、屈折率調整剤などを添加することができる。
本実施形態に係る粘着性組成物は、スズ化合物を含有しないことが好ましい。特に、本実施形態に係る粘着性組成物は、有機スズ化合物を含有しないことが好ましい。本実施形態に係る粘着性組成物では、カルボキシル基を有するモノマーによって架橋が促進されるため、架橋促進剤としてスズ触媒といったスズ化合物を含有させる必要がない。粘着性組成物がスズ化合物を含有しないことにより、環境への負荷が低減された粘着剤を得ることができる。
〔粘着性組成物の製造方法〕
本実施形態に係る粘着性組成物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
本実施形態に係る粘着性組成物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、先に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および(B)を、好ましくは後述する重合溶媒中で、それぞれ別個に通常のラジカル重合法により調製する。次に、得られた両共重合体の溶液を混合し、固形分濃度が10〜40質量%になるように希釈溶媒を加える。最後に、イソシアネート系架橋剤(C)を添加し、十分に混合することにより、溶媒で希釈された粘着性組成物を得る。
また、上記粘着性組成物は、以下に示す一連重合によって製造することが好ましい。
具体的には、
(1)第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーを含有する混合液(a)において、転化率50〜90%でラジカル重合して、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造した後、
(2)第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーを含有する混合液(b)を添加し、当該モノマーと第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーとを、上記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の存在下で、好ましくは転化率70〜100%でラジカル共重合して、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を製造し、次いで、
(3)イソシアネート系架橋剤(C)、ならびに所望により可塑剤および各種添加剤を添加する。
(1)第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーを含有する混合液(a)において、転化率50〜90%でラジカル重合して、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造した後、
(2)第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーを含有する混合液(b)を添加し、当該モノマーと第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーとを、上記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の存在下で、好ましくは転化率70〜100%でラジカル共重合して、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を製造し、次いで、
(3)イソシアネート系架橋剤(C)、ならびに所望により可塑剤および各種添加剤を添加する。
混合液(a)に含有される第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーは、前述した通りである。また、混合液(a)における、カルボキシル基を有するモノマー、水酸基を有するモノマーおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、それぞれ、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマー単位として前述した含有量と同じとすることができる。
混合液(b)に含有される第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーは、前述した通りである。また、混合液(b)における、カルボキシル基を有するモノマー、水酸基を有するモノマー、アルキレンオキシド鎖含有(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、それぞれ、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマー単位として前述した含有量と同じとすることができる。
混合液(a)と混合液(b)との配合比は、質量換算で90:10〜10:90であることが好ましい。特に、混合液(b)の配合量の方が、混合液(a)の配合量よりも多いことが好ましく、例えば、上記配合比は、45:55〜10:90であることが好ましく、特に42:58〜20:80であることが好ましく、さらには40:60〜30:70であることが好ましい。
イソシアネート系架橋剤(C)および可塑剤の具体例は、それぞれ前述した通りである。また、イソシアネート系架橋剤(C)および可塑剤の配合量は、それぞれ、粘着性組成物中の含有量として前述した量と同じであってよい。この場合、上記工程(2)において生成された第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の合計100質量部に対して、前述した量のイソシアネート系架橋剤(C)または可塑剤を使用することができる。
上記の一連重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
〔粘着剤〕
本実施形態に係る粘着剤は、上記粘着性組成物を架橋してなるものである。上記粘着性組成物の架橋は、加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、粘着性組成物の希釈溶媒等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
本実施形態に係る粘着剤は、上記粘着性組成物を架橋してなるものである。上記粘着性組成物の架橋は、加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、粘着性組成物の希釈溶媒等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
加熱処理を行う場合、加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、30秒〜3分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。さらに、加熱処理後、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けることが特に好ましい。
上記の加熱処理(及び養生)により、イソシアネート系架橋剤(C)によって、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が架橋して、三次元網目構造を形成する。特に、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の方が架橋点を多く有するため、第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)同士の架橋が優先的に生じるものと推定される。
以上説明した粘着剤は、光学部材用として好ましく用いることができる。特に、光学部材を保護するための保護シートの粘着剤層として好ましく使用することができる。光学部材の例としては、偏光板が挙げられる。上記粘着剤を用いて粘着剤層を形成することで、高速粘着力が比較的小さく、十分な低速粘着力を示す粘着シートを得ることができる。
〔粘着シート〕
図1に示すように、本実施形態に係る粘着シート1は、下から順に、剥離シート12と、剥離シート12の剥離面に積層された粘着剤層11と、粘着剤層11に積層された基材13とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
図1に示すように、本実施形態に係る粘着シート1は、下から順に、剥離シート12と、剥離シート12の剥離面に積層された粘着剤層11と、粘着剤層11に積層された基材13とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
粘着シート1において、粘着剤層11は、前述した粘着性組成物を架橋してなる粘着剤からなる。このため、本実施形態に係る粘着シート1は、高速粘着力が比較的小さく、低速粘着力を十分有する。
本実施形態に係る粘着シート1は、被着体を保護するためのものであることが好ましい。すなわち、粘着シート1は、保護シートであることが好ましい。被着体としては、例えば光学部材が挙げられる。光学部材としては、例えば、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム等が挙げられる。本実施形態に係る粘着シート1は、高速粘着力が比較的小さく、低速粘着力を十分有するため、保護シートのように被着体から素早く剥離する用途に特に適している。
粘着剤層11の厚さは、粘着シート1の使用目的に応じて適宜決定されるが、通常2〜50μm、好ましくは5〜30μmの範囲であり、例えば、粘着シートが、光学部材、特に偏光板の保護シートである場合には、5〜30μm、特に10〜25μmであることが好ましい。
基材13としては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できるが、特に、保護シートの基材として使用されるものが好ましく、さらには、偏光板といった光学部材の保護シートの基材として使用されるものが好ましい。
基材13としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー等の樹脂からなるプラスチックフィルムが好ましく、単層からなるフィルムであってもよいし、同種又は異種の複数層を積層したフィルムであってもよい。上記の中でも、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
なお、上記プラスチックフィルムは、フィラーの他、耐熱性向上剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。
基材13においては、粘着剤層11との密着性を向上させる目的で、所望により、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれる。
基材13は、透明または半透明であることが好ましい。基材13が透明または半透明であることで、粘着シート1を保護シートとして使用する場合に、被着体に保護シートを貼付した状態で、被着体における貼付面を確認することが可能となる。
基材13の厚さは、粘着シートの用途に応じて設定することができるが、例えば、5〜300μmであることが好ましく、特に10〜200μmであることが好ましい。特に、粘着シートが保護シートである場合には、15〜150μmであることが好ましく、特に20〜80μmであることが好ましい。
剥離シート12としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シートの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
剥離シート12の厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
本実施形態に係る粘着シート1は、高速で剥離した際に要する粘着力が比較的小さい。例えば、本実施形態に係る粘着シートでは、30m/分の速度で剥離するときの粘着剤層の粘着力が、300〜2000mN/25mmであることが好ましく、特に400〜1500mN/25mmであることが好ましく、さらには500〜1000mN/25mmであることが好ましい。
本実施形態に係る粘着シート1は、低速で剥離した際に要する粘着力が十分大きい。例えば、本実施形態に係る粘着シートでは、0.3m/分の速度で剥離するときの粘着剤層の粘着力が、20〜200mN/25mmであることが好ましく、特に40〜150mN/25mmであることが好ましく、さらには50〜120mN/25mmであることが好ましい。
上記粘着シート1を製造するには、剥離シート12の剥離面に、上記粘着性組成物を含む溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着剤層11を形成した後、その粘着剤層11に基材13を積層する。なお、加熱処理の条件については、前述した通りである。
粘着性組成物を希釈して塗布溶液とするための希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物の濃度が10〜40質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物がコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物がそのまま塗布溶液となる。
上記塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
以上の粘着シート1は、高速粘着力が比較的小さく、低速粘着力を十分有するため、粘着シート1を被着体から素早く剥離する場合に作業性に優れている。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着シート1の基材13は省略されてもよい。また、粘着シート1の剥離シート12は省略されてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.工程(1)
アクリル酸2−エチルヘキシル68.04質量部、アクリル酸ブチル30.46質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.23質量部およびアクリル酸1.27質量部の混合液(a)100質量部を調製し、その40質量部を分取し溶液重合法により共重合させて、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製した。この重合体(A)の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)18万であった。また、このときの転化率(モノマーを重合して得られる共重合体の質量を、原料として用いたモノマーの総質量で除した値)は、80%であった。
1.工程(1)
アクリル酸2−エチルヘキシル68.04質量部、アクリル酸ブチル30.46質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.23質量部およびアクリル酸1.27質量部の混合液(a)100質量部を調製し、その40質量部を分取し溶液重合法により共重合させて、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製した。この重合体(A)の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)18万であった。また、このときの転化率(モノマーを重合して得られる共重合体の質量を、原料として用いたモノマーの総質量で除した値)は、80%であった。
2.工程(2)
アクリル酸2−エチルヘキシル65.25質量部、アクリル酸ブチル12.99質量部、メトキシ末端を有するエチレンオキシド鎖(平均付加モル数=9モル)含有アクリル酸エステル16.23質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル4.72質量部およびアクリル酸0.81質量部の混合液(b)100質量部を調製し、その60質量部を分取して、上記工程(1)により得られた共重合体(A)を含む溶液に添加して、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーとともに共重合させた。その後、溶液の一部についてGPCを用いて測定したところ、上記共重合体(A)の重量平均分子量18万のピークトップにほぼ変化がないことを確認するとともに、今回のGPC測定の結果から工程(1)におけるGPC測定の結果を差し引くことにより、新たに重量平均分子量1.5万の共重合体(B)の生成を確認した。ここで、共重合体(A)と共重合体(B)との配合比は、上記工程(1)における転化率が80%であったことから、32:68の質量比となる。
アクリル酸2−エチルヘキシル65.25質量部、アクリル酸ブチル12.99質量部、メトキシ末端を有するエチレンオキシド鎖(平均付加モル数=9モル)含有アクリル酸エステル16.23質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル4.72質量部およびアクリル酸0.81質量部の混合液(b)100質量部を調製し、その60質量部を分取して、上記工程(1)により得られた共重合体(A)を含む溶液に添加して、第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーとともに共重合させた。その後、溶液の一部についてGPCを用いて測定したところ、上記共重合体(A)の重量平均分子量18万のピークトップにほぼ変化がないことを確認するとともに、今回のGPC測定の結果から工程(1)におけるGPC測定の結果を差し引くことにより、新たに重量平均分子量1.5万の共重合体(B)の生成を確認した。ここで、共重合体(A)と共重合体(B)との配合比は、上記工程(1)における転化率が80%であったことから、32:68の質量比となる。
3.工程(3)
上記工程(2)により得られたアクリル系ポリマー溶液の固形分換算100質量部を分取し、メチルエチルケトンにて固形分濃度20質量%となるように希釈した。そして、イソシアネート系架橋剤(C)として、3.5質量部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートHX」)を添加し、十分に撹拌することにより、粘着性組成物の希釈溶液を得た。
上記工程(2)により得られたアクリル系ポリマー溶液の固形分換算100質量部を分取し、メチルエチルケトンにて固形分濃度20質量%となるように希釈した。そして、イソシアネート系架橋剤(C)として、3.5質量部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートHX」)を添加し、十分に撹拌することにより、粘着性組成物の希釈溶液を得た。
得られた粘着性組成物の希釈溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811,厚さ:38μm)の剥離処理面にナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。
次いで、基材としての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、粘着剤層における剥離シートと反対側の面に貼合し、23℃、50%RHで7日間養生することにより、粘着シートを得た。
〔実施例2〜4,比較例1〜10〕
混合液(a)および(b)の組成を表1に記載されるように変更し、イソシアネート系架橋剤(C)、反応抑制剤、架橋促進剤および可塑剤を表2に記載されるように添加する以外、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
混合液(a)および(b)の組成を表1に記載されるように変更し、イソシアネート系架橋剤(C)、反応抑制剤、架橋促進剤および可塑剤を表2に記載されるように添加する以外、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
ここで、前述した重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
表1に、工程(1)で調製した混合液(a)および工程(2)で調製した混合液(b)の組成並びに混合液(a)と混合液(b)との配合比を示す。また、表2に、表1の混合液の組成等から導き出される共重合体(A)および(B)の組成、並びにその他成分の配合量を示す。また、表1および2に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[アクリル酸エステル共重合体(A)および(B)]
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸ブチル
4HBA:アクリル酸4−ヒドロキシブチル
AA:アクリル酸
EO(9mol):メトキシ基末端を有するポリエチレングリコール鎖(平均付加モル数=9モル)を含有するアクリル酸エステル
[イソシアネート系架橋剤(C)]
コロネートHX:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートHX」)
[架橋促進剤]
BXX3778−10(スズ化合物):ジブチルジラウリルスズ(東洋インキ製造社製,商品名「BXX3778−10」)
プキャット25(Bi化合物):ビスマス系金属有機化合物(日本化学産業製,商品名「プキャット25」,金属量として25質量%)
ZC−150(Zr化合物):ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル社製,商品名「オルガチックスZC−150」)
[アクリル酸エステル共重合体(A)および(B)]
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸ブチル
4HBA:アクリル酸4−ヒドロキシブチル
AA:アクリル酸
EO(9mol):メトキシ基末端を有するポリエチレングリコール鎖(平均付加モル数=9モル)を含有するアクリル酸エステル
[イソシアネート系架橋剤(C)]
コロネートHX:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートHX」)
[架橋促進剤]
BXX3778−10(スズ化合物):ジブチルジラウリルスズ(東洋インキ製造社製,商品名「BXX3778−10」)
プキャット25(Bi化合物):ビスマス系金属有機化合物(日本化学産業製,商品名「プキャット25」,金属量として25質量%)
ZC−150(Zr化合物):ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル社製,商品名「オルガチックスZC−150」)
〔試験例1〕(低速粘着力および高速粘着力の測定)
実施例または比較例で得られた粘着シートから剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を、一方の面がケン化処理された厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムのケン化処理面に貼合し、栗原製作所社製オートクレイブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。その後、この積層体から、50mm幅、120mm長のサンプルを切り出した。
実施例または比較例で得られた粘着シートから剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を、一方の面がケン化処理された厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムのケン化処理面に貼合し、栗原製作所社製オートクレイブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。その後、この積層体から、50mm幅、120mm長のサンプルを切り出した。
上記サンプルを、常圧、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用い、JIS Z 0237:2009に準拠して、剥離速度300mm/min、剥離角度180度の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。この測定結果を、低速粘着力として表3に示す。
また、上記サンプルを、常圧、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用い、JIS Z 0237:2009に準拠して、剥離速度30m/min、剥離角度180度の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。この測定結果を、高速粘着力として表3に示す。
〔試験例2〕(ポットライフの評価)
実施例または比較例にて作製した粘着性組成物の希釈溶液の粘度を、調製した直後、温度23℃および相対湿度50%の条件下に12時間放置した後、ならびに、同条件下に24時間放置した後において、B型粘度計(TOKIMEC社製,製品名:VISCOMETER)を用いて測定した。測定結果から、調製から12時間経過後の粘度の上昇率、および調製から24時間経過後の粘度の上昇率を算出した。これらの上昇率に基づいて、以下を基準にとしてポットライフを評価した。結果を表3に示す。
○:24時間後の上昇率が150%以内
△:12時間後の上昇率が150%以内
×:12時間後の上昇率が150%以上
実施例または比較例にて作製した粘着性組成物の希釈溶液の粘度を、調製した直後、温度23℃および相対湿度50%の条件下に12時間放置した後、ならびに、同条件下に24時間放置した後において、B型粘度計(TOKIMEC社製,製品名:VISCOMETER)を用いて測定した。測定結果から、調製から12時間経過後の粘度の上昇率、および調製から24時間経過後の粘度の上昇率を算出した。これらの上昇率に基づいて、以下を基準にとしてポットライフを評価した。結果を表3に示す。
○:24時間後の上昇率が150%以内
△:12時間後の上昇率が150%以内
×:12時間後の上昇率が150%以上
表3から明らかなように、実施例に係る粘着シートは、比較例に係る粘着シートと比べて、低い高速粘着力を示した。一方、実施例に係る粘着シートは、比較例に係る粘着シートと比べると低い傾向にあるものの、十分な低速粘着力を示した。また、実施例に係る粘着性組成物は、許容可能なポットライフを示し、特に実施例2から4に係る粘着性組成物については、優れたポットライフを示した。
一方、比較例1〜5および7の粘着シートでは、非常に高い高速粘着力を示した。また、比較例6および8〜10については、粘着性組成物のポットライフが非常に短く、粘着剤層を形成する前にゲル化してしまい、粘着シートを製造することができなかった。
本発明の粘着性組成物および粘着剤は、偏光板等の光学部材に対する保護シートの貼合に好適であり、また、本発明の粘着シートは、偏光板等の光学部材の保護シートとして好適である。
1…粘着シート
11…粘着剤層
12…剥離シート
13…基材
11…粘着剤層
12…剥離シート
13…基材
Claims (12)
- 共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、
前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量よりも小さい重量平均分子量を有し、共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーを含有する第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)と、
イソシアネート系架橋剤(C)と
を含有する粘着性組成物であって、
前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーにおける前記水酸基を有するモノマーの割合が、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーにおける前記水酸基を有するモノマーの割合よりも大きく、
前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーの質量部数の合計100質量部に対し、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成する前記カルボキシル基を有するモノマーの質量部数の合計が、0.1〜1.0質量部であり、
前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とにおける質量を基準とした配合比が、90:10〜10:90である
ことを特徴とする粘着性組成物。 - 前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は、5万〜50万であり、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の重量平均分子量は、0.2万〜10万であることを特徴とする請求項1に記載の粘着性組成物。
- 前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.01〜5質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の粘着性組成物。
- 前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が、当該共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の粘着性組成物。
- 前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、エチレンオキシドを含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の粘着性組成物。
- 前記粘着性組成物は、スズ化合物を含有しないことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の粘着性組成物。
- 請求項1〜6に記載の粘着性組成物を製造する方法であって、
前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成するモノマーを、転化率50〜90%でラジカル重合して、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造する工程(1)と、
前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーと、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーとを、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の存在下でラジカル共重合して、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を製造する工程(2)と、
前記イソシアネート系架橋剤(C)を添加する工程(3)と
を備えたことを特徴とする粘着性組成物の製造方法。 - 前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を製造する工程(2)において、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合時に残留するモノマーと、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)を構成するモノマーとを、転化率70〜100%でラジカル重合することを特徴とする請求項7に記載の粘着性組成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の粘着性組成物を架橋してなる粘着剤。
- 基材と、粘着剤層とを備えた粘着シートであって、
前記粘着剤層が、請求項9に記載の粘着剤からなる
ことを特徴とする粘着シート。 - 前記粘着シートは、被着体を保護するための保護シートであることを特徴とする請求項10に記載の粘着シート。
- 前記被着体は、光学部材であることを特徴とする請求項11に記載の粘着シート。
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