JP2022125728A - 粘着剤および粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光板等の光学部材に適用したときに、耐久性に優れた粘着剤および粘着シートを提供する。【解決手段】エチレンカーボネート含有モノマーを含む(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を含有する粘着性組成物から得られる粘着剤であって、80℃における貯蔵弾性率G’(80)が、0.04MPa以上である粘着剤。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤および粘着シートに関するものであり、特に、偏光板等の光学部材用として好適な粘着剤および粘着シートに関するものである。
一般的に、液晶パネルにおいては、偏光板や位相差板をガラス基板等に接着するのに粘着剤組成物から形成された粘着剤層が使用されることが多い。しかし、偏光板や位相差板等の光学部材は熱等により収縮し易いため、熱履歴により収縮が生じ、その結果、該光学部材に積層されている粘着剤層がその収縮に追従できずに、界面で剥がれ(いわゆる浮き、剥がれ)が生じるといった問題が指摘されている。
上記のような浮きや剥がれを防止し、耐久性を向上させる方法としては、光学部材の収縮時の応力が小さい粘着剤層を用いる方法の他、粘着力が高く、かつ、形態安定性に優れた粘着剤層を偏光板等の光学部材に貼り合せることにより、光学部材の収縮自体を抑えこむ方法がある。後者の方法としては、特許文献1に示されるように、貯蔵弾性率の高い粘着剤を用いることが提案されている。
特開2006-235568号公報
特許文献1に示される粘着剤は、粘着シートの製造工程で活性エネルギー線の照射が必要であるため、生産性は必ずしも高くはなかった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、偏光板等の光学部材に適用したときに、耐久性に優れた粘着剤および粘着シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、重合体を構成するモノマー単位として、下記式(1)
Figure 2022125728000002

に示されるエチレンカーボネート構造を有するエチレンカーボネート含有モノマーを含む(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を含有する粘着性組成物から得られる粘着剤であって、80℃における貯蔵弾性率G’(80)が、0.04MPa以上であることを特徴とする粘着剤を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)においては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が側鎖にエチレンカーボネート構造を含むものとなる。これにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が比較的高くなって、粘着剤の凝集力が強くなる。このように凝集力が強く、かつ、上記のように大きい貯蔵弾性率G’(80)を有することにより、当該粘着剤を偏光板、位相差板等の光学部材に適用したときに、光学部材の加熱等による収縮を粘着剤層により抑えこむことができる。その結果、当該光学部材と粘着剤層との界面に浮きや剥がれが発生することが抑制され、優れた耐久性が発揮される。また、エチレンカーボネート構造に起因する極性の観点から、上記粘着剤は、粘着力、特にガラスに対する粘着力が高いものとなる。したがって、上記粘着剤を介して、偏光板、位相差板等の光学部材をガラスに接着したときに、特に高い耐久性が発揮される。
上記発明(発明1)においては、23℃における貯蔵弾性率G’(23)が、0.04MPa以上、50MPa以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)においては、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、前記エチレンカーボネート含有モノマーを0.1質量%以上、30質量%以下含むことが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1~3)においては、ゲル分率が、40%以上、90%以下であることが好ましい(発明4)。
第2に本発明は、少なくとも粘着剤層を備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記粘着剤(発明1~4)からなることを特徴とする粘着シートを提供する(発明5)。
上記発明(発明5)においては、前記粘着シートが、基材を備えており、前記基材が、光学部材であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明6)においては、前記光学部材が、偏光板であることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明5)においては、前記粘着シートが、2枚の剥離シートを備えており、前記粘着剤層が、前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持されていることも好ましい(発明8)。
本発明に係る粘着剤および粘着シートは、偏光板等の光学部材に適用したときに、耐久性に優れる。
本発明の第1の実施形態に係る粘着シートの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る粘着シートの断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着剤〕
本実施形態に係る粘着剤は、重合体を構成するモノマー単位として、下記式(1)
Figure 2022125728000003

に示されるエチレンカーボネート構造を有するエチレンカーボネート含有モノマーを含む(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を含有する粘着性組成物から得られるものであることが好ましく、80℃における貯蔵弾性率G’(80)が、0.04MPa以上であることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。本明細書における貯蔵弾性率G’の試験方法は、後述する試験例に示す通りである。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、上記エチレンカーボネート含有モノマーから構成されたものであることで、本実施形態に係る粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の側鎖としてエチレンカーボネート構造を含むものとなる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が側鎖にエチレンカーボネート構造を含むと、側鎖間の相互作用が強くなり、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が比較的高いものとなる。これにより、当該粘着剤の凝集力が強くなる。このように凝集力が強く、そして、80℃における貯蔵弾性率G’(80)が上記のように大きいことにより、偏光板、位相差板等の光学部材に適用したときに、加熱等により当該光学部材が収縮しようとした場合であっても、その光学部材の収縮自体を粘着剤層により抑えこむことができる。その結果、当該光学部材と粘着剤層との界面に浮きや剥がれが発生することが抑制される。このように、本実施形態に係る粘着剤は、偏光板、位相差板等の光学部材に適用したときに、耐久性に優れるものである。また、本実施形態に係る粘着剤は、エチレンカーボネート構造に起因する極性の観点から、粘着力、特にガラスに対する粘着力が高いものとなる。したがって、本実施形態に係る粘着剤を介して、偏光板、位相差板等の光学部材をガラスに接着したときに、特に高い耐久性が発揮される。
本実施形態に係る粘着剤の80℃における貯蔵弾性率G’(80)は、上記耐久性の観点から、0.04MPa以上であることが好ましく、0.05MPa以上であることがより好ましく、特に0.06MPa以上であることが好ましく、さらには0.07MPa以上であることが好ましい。また、当該貯蔵弾性率G’(80)は、適切な粘着力を得る観点から、10MPa以下であることが好ましく、5MPa以下であることがより好ましく、特に1MPa以下であることが好ましく、さらには0.10MPa以下であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤の23℃における貯蔵弾性率G’(23)は、上記耐久性の観点から、0.04MPa以上であることが好ましく、0.09MPa以上であることがより好ましく、特に0.11MPa以上であることが好ましく、さらには0.14MPa以上であることが好ましい。また、当該貯蔵弾性率G’(23)は、適切な粘着力を得る観点から、50MPa以下であることが好ましく、10MPa以下であることがより好ましく、特に5MPa以下であることが好ましく、さらには1MPa以下であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤の80℃における損失正接tanδ(80)は、高温時の流動性付与の観点から、0.15以上であることが好ましく、0.18以上であることがより好ましく、特に0.20以上であることが好ましく、さらには0.22以上であることが好ましい。また、当該損失正接tanδ(80)は、高温時の剛性付与の観点から、1.00以下であることが好ましく、0.80以下であることがより好ましく、特に0.60以下であることが好ましく、さらには0.40以下であることが好ましい。なお、本明細書における損失正接tanδの試験方法は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係る粘着剤の23℃における損失正接tanδ(23)は、流動性付与の観点から、0.15以上であることが好ましく、0.22以上であることがより好ましく、特に0.25以上であることが好ましく、さらには0.28以上であることが好ましい。また、当該損失正接tanδ(23)は、剛性付与の観点から、1.50以下であることが好ましく、1.00以下であることがより好ましく、特に0.80以下であることが好ましく、さらには0.70以下であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤は、重合体を構成するモノマー単位として、前述した式(1)に示されるエチレンカーボネート構造を有するエチレンカーボネート含有モノマーを含む(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを含む粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)から得られるものであることが好ましい。
(1)粘着性組成物の成分
(1-1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、下記式(1)
Figure 2022125728000004

に示されるエチレンカーボネート構造を含有するエチレンカーボネート含有モノマーを含む。エチレンカーボネート含有モノマーとしては、エチレンカーボネート構造を含むとともに、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する他のモノマーとの間で重合反応を行うことができるものである限り特に限定されない。
エチレンカーボネート含有モノマーの好ましい例としては、エチレンカーボネート構造を有する有機基と(メタ)アクリロイルオキシ基とが結合した構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような、(メタ)アクリル酸エステルの例としては、下記式(2)
Figure 2022125728000005

で示されるアクリル酸エステル、または下記式(3)
Figure 2022125728000006

で示されるメタクリル酸エステルが挙げられる。なお、式(2)および式(3)のいずれにおいても、nは0以上の整数を表す。上記式(2)および式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステルの中でも、nが1以上である(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、nが2以上である(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。nが1以上であることで、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の側鎖としてのエチレンカーボネート基は、主鎖から比較的離れた位置に存在することとなり、得られる粘着剤中に存在するエチレンカーボネート構造同士が相互に重なり合う確率が高まる。これにより、エチレンカーボネート構造同士によるスタッキング相互作用が働いて、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)を好適に発現し易くなり、耐久性により優れたものとなる。上記nの上限値は特に限定されないが、重合性の観点から、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、特に4以下であることが好ましく、さらには3以下であることが好ましい。なお、エチレンカーボネート含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記エチレンカーボネート含有モノマーを、0.1質量%以上含有することが好ましく、0.5質量%以上含有することがより好ましく、特に1質量%以上含有することが好ましく、さらには3質量%以上含有することが好ましい。これにより、粘着剤中におけるエチレンカーボネート基によるスタッキング相互作用効果が高まって、得られる粘着剤の凝集力が向上し、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)や粘着力を好適に発現し易くなり、粘着シート1は耐久性により優れたものとなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記エチレンカーボネート含有モノマーを、30質量%以下含有することが好ましく、25質量%以下含有することがより好ましく、特に20質量%以下含有することが好ましく、さらには18質量%以下含有することが好ましい。これにより、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)が満たされ易いものとなる。
本実施形態における(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。これにより、得られる粘着剤は、良好な粘着性を発現することができる。アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、粘着性の観点から、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
上記の中でも、良好な粘着性を付与する観点から、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、アルキル基の炭素数が1~14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが特に好ましく、アルキル基の炭素数が1~10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがさらに好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましく挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、良好な粘着性を付与する観点から、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましく、特に75質量%以上含有することが好ましく、さらには80質量%以上含有することが好ましい。また、他のモノマーの含有量を確保する観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを99質量%以下含有することが好ましく、98質量%以下含有することがより好ましく、特に95質量%以下含有することが好ましく、さらには94質量%以下含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマーとして、分子内に反応性官能基を有する反応性官能基含有モノマーを含有することも好ましい。反応性官能基含有モノマーを含有することで、当該反応性官能基含有モノマー由来の反応性官能基を介して、後述する架橋剤(B)と反応して、架橋構造としての三次元網目構造が形成される。これにより、得られる粘着剤は凝集力が高くなり、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)や粘着力を好適に発現し易くなって、耐久性により優れたものとなる。
上記反応性官能基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらの中でも、架橋剤(B)との反応性に優れる観点から、水酸基含有モノマーが好ましい。これらの反応性官能基含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、架橋剤(B)との反応性および他の単量体との重合性の観点から、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマーとして、反応性官能基含有モノマーを、下限値として0.1質量%以上含有することが好ましく、0.4質量%以上含有することがより好ましく、特に0.8質量%以上含有することが好ましく、さらには1.0質量%以上含有することが好ましい。また、上限値として20質量%以下含有することが好ましく、10質量%以下含有することがより好ましく、特に5質量%以下含有することが好ましく、さらには3質量%以下含有することが好ましい。反応性官能基含有モノマーの含有量が上記範囲にあることにより、得られる粘着剤において良好な架橋構造が形成され、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)や粘着力を好適に発現し易く、耐久性により優れたものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを含まないことも好ましい。カルボキシ基は酸成分であるため、カルボキシ基含有モノマーを含有しないことにより、粘着剤の貼付対象に、酸により不具合が生じるもの、例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜や、金属膜、金属メッシュなどが存在する場合にも、酸によるそれらの不具合(腐食、抵抗値変化等)を抑制することができる。
ここで、「カルボキシ基含有モノマーを含まない」とは、カルボキシ基含有モノマーを実質的に含有しないことを意味し、カルボキシ基含有モノマーを全く含有しない他、カルボキシル基による透明導電膜や金属配線等の腐食が生じない程度にカルボキシ基含有モノマーを含有することを許容するものである。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に、モノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下の量で含有することを許容するものである。
本実施形態における(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマーとして、他のモノマーをさらに含有してもよい。当該他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等の脂環式構造含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム重合体であってもよいし、ブロック重合体であってもよい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、上述した各モノマーを常法によって重合することにより得ることができる。例えば、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、水溶液重合法などにより重合して調製することができる。中でも、重合時の安定性および使用時の取り扱い易さの観点から、有機溶媒中で行う溶液重合法で調製するのが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、80万以上であることが好ましく、100万以上であることがより好ましく、特に120万以上であることが好ましく、さらには140万以上であることが好ましい。このように重量平均分子量が比較的大きいことにより、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)が満たされ易くなる。また、当該重量平均分子量は、300万以下であることが好ましく、250万以下であることがより好ましく、特に200万以下であることが好ましく、さらには180万以下であることが好ましい。これにより、好ましい粘着力が発現され易くなる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
なお、本実施形態に係る粘着性組成物Pは、以上説明した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を1種含有するものであってもよく、または2種以上含有するものであってもよい。また、本実施形態に係る粘着性組成物Pは、以上説明した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)とともに、別の(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有するものであってもよい。
(1-2)架橋剤(B)
本実施形態における粘着性組成物Pは、架橋剤(B)を含有することが好ましい。前述した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が当該重合体を構成するモノマーとして上述した反応性官能基含有モノマーを含む場合には、架橋剤(B)は、当該反応性官能基含有モノマーの反応性官能基と反応し、三次元網目構造を形成する。これにより、得られる粘着剤の凝集力が向上し、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)や粘着力を好適に発現し易くなって、耐久性により優れたものとなる。
架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。なお、架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートが好ましい。
粘着性組成物P中における架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、特に0.10質量部以上であることが好ましく、さらには0.12質量部以上であることが好ましい。また、架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、特に1質量部以下であることが好ましく、さらには0.5質量部以下であることが好ましい。架橋剤(B)の含有量が上記範囲にあることで、架橋の程度が適度なものとなり、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)や粘着力を好適に発現し易くなって、耐久性により優れたものとなる。
(1-3)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えばシランカップリング剤、帯電防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、屈折率調整剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶剤は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
粘着性組成物Pがシランカップリング剤を含有すると、得られる粘着剤は、ガラス部材やプラスチック板との密着性がより向上し、耐久性がより優れたものとなる。
シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性がよく、光透過性を有するものが好ましい。
かかるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着性組成物Pがシランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、2質量部以下であることが好ましく、特に1質量部以下であることが好ましく、さらには0.5質量部以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であることで、得られる粘着剤は被着体に対して良好な密着性を発現するものとなり、耐久性により優れたものとなる。
また、粘着性組成物Pが帯電防止剤を含有すると、得られる粘着剤層を有する粘着シートにおいて、静電作用によるゴミの付着や、被着体への電気的悪影響を抑制することができる。
帯電防止剤としては、例えば、イオン性化合物、ノニオン性化合物等が挙げられるが、中でもイオン性化合物が好ましい。イオン性化合物は、室温で液体(イオン性液体)であってもよいし、固体(イオン性固体)であってもよい。ここで、本明細書におけるイオン性化合物とは、カチオンとアニオンとが主として静電気引力によって結び付いてなる化合物をいう。なお、帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合せて使用してもよい。
イオン性化合物としては、含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましく、粘着力向上の観点から、特にアルカリ金属塩が好ましい。
アルカリ金属塩の具体例としては、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、カリウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。これらの中でも、粘着力向上の観点から、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。
粘着性組成物Pが帯電防止剤を含有する場合、その含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、特に1.0質量%以上であることが好ましく、さらには2.0質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、特に7質量%以下であることが好ましく、さらには4質量%以下であることが好ましい。帯電防止剤を上記範囲で含有することで、後述する表面抵抗率を所望の範囲に調整し易くなる。
(2)粘着性組成物の調製
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、所望により架橋剤(B)、希釈溶剤および添加剤等を加えることで調製することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより調製することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法により行うことが好ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、無溶剤にて重合してもよい。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
なお、上記重合工程において、2-メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、所望により架橋剤(B)、希釈溶剤および添加剤等を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)を得る。なお、上記各成分のいずれかにおいて、固体状のものを用いる場合、あるいは、希釈されていない状態で他の成分と混合した際に析出を生じる場合には、その成分を単独で予め希釈溶剤に溶解もしくは希釈してから、その他の成分と混合してもよい。
上記希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10~60質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布溶液となる。
(3)粘着剤の形成
本実施形態に係る粘着剤は、前述した粘着性組成物から形成されるものであることが好ましく、具体的には、前述した粘着性組成物Pを架橋することにより形成されるものであることが好ましい。
粘着性組成物Pの架橋は、通常は加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、所望の対象物に塗布した粘着性組成物Pの塗膜から希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
加熱処理の加熱温度は、50~150℃であることが好ましく、特に70~120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒~10分であることが好ましく、特に50秒~5分であることが好ましい。
加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1~2週間程度の養生期間を設けてもよい。この養生期間が必要な場合は、養生期間経過後、養生期間が不要な場合には、加熱処理終了後、粘着剤が形成される。
上記の加熱処理(及び養生)により、架橋剤(B)を介して(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が十分に架橋される。このようにして得られる粘着剤は、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)や粘着力を好適に発現し易く、耐久性に優れたものとなる。
(4)粘着剤の物性
本実施形態における粘着剤のゲル分率は、下限値として40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、特に60%以上であることが好ましく、さらには65%以上であることが好ましい。上記ゲル分率の下限値が上記であることにより、粘着剤の凝集力が高くなり、前述した物性(貯蔵弾性率G’,損失正接tanδ)や粘着力を好適に発現し易く、耐久性がより優れたものとなる。
また、上記ゲル分率は、上限値として90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、特に78%以下であることが好ましく、さらには76%以下であることが好ましい。上記ゲル分率の上限値が上記であると、得られる粘着剤は好適な架橋度を有するものとなり、硬くなり過ぎずに良好な粘着力を発現し、被着体との接着性が優れたものとなる。ここで、粘着剤のゲル分率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
〔粘着シート〕
本発明の一実施形態に係る粘着シートは、少なくとも粘着剤層を備えており、当該粘着剤層が、前述した粘着剤からなるものである。
図1に示すように、第1の実施形態に係る粘着シート1Aは、粘着剤層11と、粘着剤層11の一方の面側に積層された基材13と、粘着剤層11の他方の面に積層された剥離シート12とを備えて構成される。剥離シート12は、その剥離面が粘着剤層11と接するように、粘着剤層11に積層されている。
また、図2に示すように、第2の実施形態に係る粘着シート1Bは、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
1.各要素
1-1.粘着剤層
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bの粘着剤層11は、前述した粘着剤からなるものである。
本実施形態における粘着剤層11の厚さ(JIS K7130に準じて測定した値)は、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、特に9μm以上であることが好ましく、さらには13μm以上であることが好ましい。これにより、偏光板等の光学部材に適用したときに、耐久性により優れたものとなる。また、粘着剤層11の厚さは1000μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、特に50μm以下であることが好ましく、さらには20μm以下であることが好ましい。これにより、粘着剤層11の圧痕や打痕等の外観不具合を抑制し得る。また、当該粘着シート1を使用して得られる表示体の薄型化が可能となる。なお、粘着剤層11は単層で形成してもよいし、複数層を積層して形成することもできる。
1-2.剥離シート
剥離シート12,12a,12bは、粘着シート1の使用時まで粘着剤層11を保護するものであり、粘着シート1A,1B(粘着剤層11)を使用するときに剥離される。本実施形態に係る粘着シート1A,1Bにおいて、剥離シート12a,12bの一方または両方は必ずしも必要なものではない。
剥離シート12,12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シート12,12a,12bの剥離面には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シート12a,12bのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
剥離シート12,12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20~150μm程度である。
1-3.基材
基材13としては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できる。例えば、所望の光学部材の他、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布または不織布;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。
光学部材としては、例えば、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム等が挙げられる。中でも偏光板(偏光フィルム)は、収縮し易く、寸法変化が大きいため、耐久性の観点から、前述した実施形態に係る粘着剤(上記粘着剤層11)を形成する対象として好適である。
基材13の厚さは、その種類によっても異なるが、例えば光学部材の場合には、通常10μm~500μmであり、好ましくは30μm~300μm、より好ましくは40μm~90μmである。
2.粘着シートの製造
上記粘着シート1Aを製造するには、好ましくは、剥離シート12の剥離面に、上記粘着性組成物を含む溶液(塗布溶液)を塗布し、加熱処理を行って粘着剤層11を形成した後、その粘着剤層11に基材13を積層する。その後、必要に応じて、養生期間を設ける。なお、加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
また、上記粘着シート1Bを製造するには、好ましくは、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物を含む塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着剤層11を形成した後、その粘着剤層11に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。その後、必要に応じて、養生期間を設ける。
上記塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
3.粘着シートの物性
(1)粘着力
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bのソーダライムガラスに対する粘着力は、下限値として、1N/25mm超であることが好ましく、8N/25mm以上であることがより好ましく、特に12N/25mm以上であることが好ましく、さらには15N/25mm以上であることが好ましい。粘着力の下限値が上記であると、偏光板等に適用したときの耐久性がより優れたものとなる。一方、上記ソーダライムガラスに対する粘着力の上限値は特に限定されないが、リワーク性が必要になる場合のことも考慮すると、100N/25mm以下であることが好ましく、60N/25mm以下であることがより好ましく、特に40N/25mm以下であることが好ましく、さらには30N/25mm以下であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bの無アルカリガラスに対する粘着力は、下限値として、1N/25mm超であることが好ましく、7N/25mm以上であることがより好ましく、特に9N/25mm以上であることが好ましく、さらには14N/25mm以上であることが好ましい。粘着力の下限値が上記であると、偏光板等に適用したときの耐久性がより優れたものとなる。一方、上記無アルカリガラスに対する粘着力の上限値は特に限定されないが、リワーク性が必要になる場合のことも考慮すると、100N/25mm以下であることが好ましく、60N/25mm以下であることがより好ましく、特に40N/25mm以下であることが好ましく、さらには30N/25mm以下であることが好ましい。
なお、上記粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180度引き剥がし法により測定した粘着力をいい、具体的な試験方法は、後述する試験例に示す通りである。
(2)ヘイズ値
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bの粘着剤層11のヘイズ値は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、特に5%以下であることが好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。粘着剤層11のヘイズ値が上記であることにより、光透過性に優れ、光学用として好適なものとなる。上記ヘイズ値の下限値は、特に限定されず、0%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。
なお、上記ヘイズ値は粘着剤層の厚さも含めた特性値であり、粘着剤層の厚さにかかわらず、上記ヘイズ値を満たすことが好ましい。ここで、本明細書におけるヘイズ値は、JIS K7136:2000に準じて測定した値とする。
(3)表面抵抗率
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bまたは粘着剤層11に帯電防止性が要求される場合、粘着剤層11の表面抵抗率は、1.0×1012Ω/sq以下であることが好ましく、特に5.0×1011Ω/sq以下であることが好ましく、さらには5.0×1010Ω/sq以下であることが好ましい。表面抵抗率が上記の値以下であることで、表示体において十分な帯電防止性を発揮することができる。かかる表面抵抗率は、粘着性組成物Pが帯電防止剤を含有することで達成することが可能となる。上記表面抵抗率の下限値は、特に制限されないが、耐久性に悪影響を及ぼさないとの観点から5.0×10Ω/sq程度である。なお、粘着剤層の表面抵抗率の測定は、JIS K6911に準じて行うものとし、具体的には後述する試験例に示す通りである。
4.粘着シートの使用
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bは、表示体(ディスプレイ)を製造するのに好適に用いられる。例えば、液晶セルと偏光板とから構成される液晶表示装置を製造するには、粘着シート1Aの基材13として偏光板を使用し、当該粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合すればよい。
また、例えば、液晶セルと偏光板との間に位相差板が配置される液晶表示装置を製造するには、一例として、まず、粘着シート1Bの一方の剥離シート12a(または12b)を剥離して、粘着シート1Bの露出した粘着剤層11と位相差板とを貼合する。次いで、基材13として偏光板を使用した粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、粘着シート1Aの露出した粘着剤層11と上記位相差板とを貼合する。さらに、上記粘着シートBの粘着剤層11から他方の剥離シート12b(または12a)を剥離して、粘着シートBの露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合する。
粘着シート1A,1Bを上記のように偏光板の接着に適用した場合、加熱等により当該偏光板が収縮しようとしても、その偏光板の収縮自体を粘着剤層11により抑えこむことができる。その結果、当該偏光板と粘着剤層11との界面に浮きや剥がれが発生することが抑制され、高い耐久性が発揮される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着シート1Aの剥離シート12は省略されてもよいし、粘着シート1Bにおける剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。また、粘着剤層11と基材13との間には、他の層が介在していてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の調製
アクリル酸n-ブチル78質量部、アクリル酸メチル15質量部、エチレンカーボネート含有モノマーとしてのメタアクリル酸(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル5質量部、およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル2質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)160万であった。
2.粘着性組成物の調製
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート(綜研化学社製,製品名「TD-75」)0.20質量部と、シランカップリング剤としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.2質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液を得た。
3.粘着シートの製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET382150」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布した。そして、塗布層に対し、90℃で1分間加熱処理して粘着剤層を形成した。
次いで、上記で得られた重剥離型剥離シート上の粘着剤層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381130」)とを、当該軽剥離型剥離シートの剥離処理面が粘着剤層に接触するように貼合し、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、厚さ15μmの粘着剤層を有する粘着シート、すなわち、軽剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:15μm)/重剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。
なお、粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG-02」)を使用して測定した値である。
4.粘着剤層付き偏光板の製造
上記の工程2で得られた粘着性組成物の希釈溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381130」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布した。そして、塗布層に対し、90℃で1分間加熱処理して粘着剤層を形成した。
次いで、上記軽剥離型剥離シート上の粘着剤層と、トリアセチルセルロース(TAC)/ポリビニルアルコール(PVA)/シクロオレフィンポリマー(COP)の積層体からなる偏光板(厚さ70μm)のCOP側の面とを貼合し、23℃、50%RHで7日間養生することにより、厚さ15μmの粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板、すなわち、偏光板/粘着剤層(厚さ:15μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着剤層付き偏光板を作製した。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を100質量部(固形分換算値)とした場合の粘着性組成物の各配合(固形分換算値)を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)]
BA:アクリル酸n-ブチル
MA:アクリル酸メチル
ECA:メタアクリル酸(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
4HBA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル
〔実施例2~4,比較例1~2〕
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーの種類および割合、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、ならびに架橋剤(B)の配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板を製造した。なお、実施例4では、粘着性組成物において、さらに帯電防止剤としてリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを2.0質量部配合した。
前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC-8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL-H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔試験例1〕(ゲル分率の測定)
実施例および比較例で作製した粘着シートを80mm×80mmのサイズに裁断して、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM1とする。
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。これにより、粘着剤のゲル分率を導出した。結果を表2に示す。
〔試験例2〕(動的弾性率の測定)
実施例および比較例で作製した粘着シートの粘着剤層を複数層積層し、厚さ0.8mmになるように積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ0.8mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
上記サンプルについて、JIS K7244-1に準拠し、粘弾性測定装置(Anton paar社製,製品名「MCR302」)を用いて、ねじりせん断法により、以下の条件で動的粘弾性を測定し、23℃における貯蔵弾性率G’(23)(MPa)、80℃における貯蔵弾性率G’(80)(MPa)、23℃における損失正接tanδ(23)、および80℃における損失正接tanδ(80)を観測した。結果を表2に示す。
測定周波数:1Hz
測定温度範囲:-20℃~140℃
昇温速度:3℃/min
〔試験例3〕(粘着力の測定)
実施例および比較例で作製した粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「PET TA063」,厚さ:100μm)の易接着層に貼合し、重剥離型剥離シート/粘着剤層/PETフィルムの積層体を得た。上記のようにして得られた積層体を25mm幅、100mm長に裁断した。
23℃、50%RHの環境下にて、上記積層体から重剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を下記2種の被着体に貼付し、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。その後、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180度の条件で、PETフィルムと粘着剤層との積層体を被着体から剥離したときの粘着力(N/25mm)を測定した。ここに記載した以外の条件はJIS Z0237:2009に準拠して測定を行った。結果を表2に示す。
<被着体>
・ソーダライムガラス板(日本板硝子社製,製品名「ソーダライムガラス」,厚さ:1.1mm)
・無アルカリガラス板(コーニング社製,製品名「EAGLE XG」,厚さ:1.1mm)
〔試験例4〕(ヘイズ値の測定)
実施例および比較例で作製した粘着シートの粘着剤層をガラスに貼合して、これを測定用サンプルとした。ガラスでバックグラウンド測定を行った上で、上記測定用サンプルについて、JIS K7136:2000に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH-5000」)を用いてヘイズ値(%)を測定した。結果を表2に示す。
〔試験例5〕(耐久性評価)
実施例および比較例で作製した粘着剤層付き偏光板を裁断し、152mm×203mmの大きさのサンプルを作製した。なお、当該サンプル用に、粘着剤層付き偏光板作製(粘着剤層形成)から23℃、50%RHの環境下にて7日間保管した後のものを用意した。上記サンプルから剥離シートを剥がして、露出した粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製,製品名「EAGLE XG」)に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。
その後、下記の耐久条件の環境下に投入し、500時間後に10倍ルーペを用いて、浮きや剥がれの有無を確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表2に示す。
〇:浮きや剥がれが確認されなかったか、0.5mm以下の大きさの浮きや剥がれが確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
×:0.6mm以上の大きさの浮きや剥がれが確認され、実用上問題となるレベルであった。
<耐久条件>
・80℃dry
・60℃,相対湿度90%RH
〔試験例6〕(表面抵抗率の測定)
実施例および比較例で作製した粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の粘着面について、JIS K6911に準拠して、表面抵抗率を測定した。具体的には、23℃、50%RHの環境下において、抵抗率測定器(三菱アナリテック社製,製品名「ハイレスタUP MCP-HT450型」)を使用して、軽剥離型剥離シートを剥離した粘着シート(100mm×100mm)に対して100Vの電圧を10秒間印加した後の、粘着剤層の粘着面の表面抵抗率(Ω/sq)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2022125728000007
Figure 2022125728000008
表2から分かるように、実施例で製造した粘着剤層付き偏光板は、耐久性に優れるものであった。
本発明の粘着剤は、光学部材、例えば偏光板や位相差板の接着に好適であり、また、本発明の粘着シートは、偏光板や位相差板等の光学部材用の粘着シートとして好適である。
1A,1B…粘着シート
11…粘着剤層
12,12a,12b…剥離シート
13…基材

Claims (8)

  1. 重合体を構成するモノマー単位として、下記式(1)
    Figure 2022125728000009

    に示されるエチレンカーボネート構造を有するエチレンカーボネート含有モノマーを含む(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を含有する粘着性組成物から得られる粘着剤であって、
    80℃における貯蔵弾性率G’(80)が、0.04MPa以上である
    ことを特徴とする粘着剤。
  2. 23℃における貯蔵弾性率G’(23)が、0.04MPa以上、50MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、前記エチレンカーボネート含有モノマーを0.1質量%以上、30質量%以下含むことを特徴とする請求項1または2に記載の粘着剤。
  4. ゲル分率が、40%以上、90%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤。
  5. 少なくとも粘着剤層を備えた粘着シートであって、
    前記粘着剤層が、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤からなる
    ことを特徴とする粘着シート。
  6. 前記粘着シートが、基材を備えており、
    前記基材が、光学部材である
    ことを特徴とする請求項5に記載の粘着シート。
  7. 前記光学部材が、偏光板であることを特徴とする請求項6に記載の粘着シート。
  8. 前記粘着シートが、2枚の剥離シートを備えており、
    前記粘着剤層が、前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の粘着シート。
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