JP2013214688A - フィルムコンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムコンデンサの耐湿性を向上させることを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため本発明のフィルムコンデンサ7は、少なくとも一方の電極層(例えば正極層9)が、アルミニウムを主成分とし、さらに亜鉛と、マグネシウムと、を含み、亜鉛の原子濃度のピークp2より正極層9の表層側にマグネシウムの原子濃度のピークp1を有する。これにより本発明は、正極層9と端面電極11との密着性を維持しつつ、電極層の酸化劣化を抑制し、耐湿性を高めることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は各種電子機器、電気機器、産業機器、自動車等に使用され、特に、ハイブリッド自動車のモータ駆動用インバータ回路の平滑用、フィルタ用、スナバ用に最適な金属化フィルムコンデンサに関するものである。
図5に示す従来のフィルムコンデンサ1は、誘電体フィルム2を介して正負の電極層3、4を対向させたコンデンサ素子と、コンデンサ素子の両端に形成された端面電極5、6と、を備えている。
電極層3、4はアルミニウムからなり、それぞれ誘電体フィルム2上に蒸着されたものである。電極層3、4は、一端が端面電極5または6と接続される。
端面電極5、6は亜鉛からなり、溶射によって形成される。
端面電極5、6と接続される電極層3、4の端部3A、4Aは、電極層3、4の表層に亜鉛の層を備えている。これにより端面電極5、6と電極層3、4との密着性を高め、フィルムコンデンサのtanδを下げることができる。
なお、この出願の発明に近似する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2009−206296号公報
従来のフィルムコンデンサ1では、耐湿性が低下することがあった。
その理由は、電極層3、4の端部3A、4Aに亜鉛の層を形成しようとすると、電極層3、4の全体に亜鉛が拡散するからである。すなわち、例えば蒸着によって亜鉛の層を形成する場合、端部3A、4Aのみに局所的に蒸着する事は難しく、電極層3、4全体にも亜鉛の粒子が飛散することがある。そして亜鉛は腐食しやすいため、電極層3、4の酸化が進み、結果としてフィルムコンデンサの耐湿性が低下するのである。
そこで本発明は、フィルムコンデンサの耐湿性を向上させることを目的とする。
この課題を解決するために本発明は、少なくとも一方の電極層は、アルミニウムを主成分とし、さらに亜鉛と、マグネシウムと、を含み、マグネシウムの原子濃度のピークは、亜鉛の原子濃度のピークより電極層の表層側に存在するものとした。
本発明によるフィルムコンデンサは、耐湿性を向上させることができる。
その理由は、亜鉛の層上にマグネシウムの層を形成したからである。即ち、マグネシウムはすばやく酸化して不動態を形成するため、下層の亜鉛の腐食を抑制できる。そしてその結果、フィルムコンデンサの耐湿性を向上できる。
実施の形態におけるフィルムコンデンサの構成を示した断面図 (a)実施の形態における正極層の平面図、(b)実施の形態における負極層の平面図 実施の形態におけるフィルムコンデンサの製造方法を示す図 実施例1における電極層の有効電極部の組成を示す図 従来のフィルムコンデンサの構成を示した断面図
図1に示すフィルムコンデンサ7は、第一の誘電体フィルム8と、第一の誘電体フィルム8を介して対向する正負の電極層(図1の正極層9、負極層10)と、を備えたコンデンサ素子と、コンデンサ素子の両端に形成された端面電極11、12と、を備えている。以下、正極となる電極層を正極層9、負極となる電極層を負極層10と記載する。正極層9、負極層10を総称する場合、電極層と記載する。
図1、図2(a)、図2(b)では、第一の誘電体フィルム8上に正極層9が形成され、第二の誘電体フィルム13上に負極層10が形成されている。正極層9、負極層10は、第一の誘電体フィルム8を介して対向している。
この図1に示す構造以外にも、例えば第一の誘電体フィルム8の一方の面に正極層9を形成し、他方の面に負極層10を形成してもよい。
また、巻回形のコンデンサ素子を形成する場合は、正極層9、負極層10とともに第一の誘電体フィルム8、第二の誘電体フィルム13を一体的に巻回し、正極層9と負極層10とが、第一の誘電体フィルム8、第二の誘電体フィルム13と対向するように形成する。
第一の誘電体フィルム8と第二の誘電体フィルム13は、外部電極取り出しのため、幅方向に1mm程度ずらして重ね合わせている。
正極層9は、端面電極11と接続され、端面電極12と絶縁されている。正極層9と端面電極12との間には、正極層9が形成されておらず、第一の誘電体フィルム8が露呈している。
負極層10は、端面電極12と接続され、端面電極11と絶縁されている。負極層10と端面電極11との間には、負極層10が形成されておらず、第二の誘電体フィルム13が露呈している。
第一の誘電体フィルム8、第二の誘電体フィルム13は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルサルファイド、ポリスチレン等の絶縁性有機高分子からなるフィルムである。
正極層9は第一の誘電体フィルム8の表面に、負極層10は第二の誘電体フィルム13の表面に、蒸着によって形成できる。
端面電極11、12は、亜鉛を溶射して形成される。亜鉛は比較的融点が低いため、溶射しても誘電体フィルムや電極層が変形、変質しにくい。また低温で端面電極11、12を形成でき、生産性が高い。
正極層9、負極層10の少なくとも一方は、アルミニウムを主成分とし、さらに亜鉛と、マグネシウムと、を含み、マグネシウムの原子濃度のピークが亜鉛の原子濃度のピークよりも電極層の表層側にある。
これにより本実施の形態では、正極層9、負極層10の少なくとも一方は亜鉛を含むため、端面電極11または端面電極12を、亜鉛を溶射して形成する際に軟化しやすくなり、結合強度が向上する。したがって、フィルムコンデンサ7のtanδを低減できる。さらに亜鉛の含有率の高い層上に、マグネシウムの含有率の高い層を形成したため、亜鉛の層が電極層の全体に形成されてしまっても、マグネシウムの層によって酸化劣化を抑制できる。そしてその結果、フィルムコンデンサ7の耐湿性を向上できる。
上記の正極層9、負極層10は、蒸着法により形成した。図3に示すように、真空蒸着装置14の内部において、第一の誘電体フィルム8、または第二の誘電体フィルム13を巻き取ったローラー15から第一の誘電体フィルム8または第二の誘電体フィルム13をドラム16に密着させながら移動させる。そしてローラー17に巻き取りながら、蒸着材料を真空蒸着し、マグネシウムの原子濃度のピークを亜鉛の原子濃度のピークより表層に存在させる。アルミニウムや亜鉛、マグネシウムの蒸着材料は、るつぼ18に充填される。
(実施例1)
実施例1のフィルムコンデンサ7は、第一の誘電体フィルム8上に蒸着によって正極層9を形成し、第二の誘電体フィルム13上に蒸着によって負極層10を形成した。
また正極層9、負極層10は、いずれも低抵抗部9A、10Aと、有効電極部9B、10Bとからなる。
さらに正極層9は、低抵抗部9Aと有効電極部9Bとを合わせた全体で、アルミニウムを主成分とし、さらにマグネシウムと亜鉛とを含む。負極層10も、低抵抗部10Aと有効電極部10Bとを合わせた全体で、アルミニウムを主成分とし、さらにマグネシウムと亜鉛とを含む。
低抵抗部9A、10Aは、正極層9、負極層10の表層に亜鉛を多く蒸着して形成する。実施例1では、低抵抗部9A、10Aは、有効電極部9B、10Bよりも厚くなる。
実施例1の低抵抗部9A、10Aは、正極層9、負極層10における抵抗値が5Ω/□以下の領域を指す。また低抵抗部9Aは端部9Fから2.5mm以下の幅に形成した。低抵抗部10Aは端部10Fから2.5mm以下の幅に形成した。抵抗値は、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計ロレスタGP MCP−T610型を用い、定電流印加方式の4端子4探針法で測定した。
低抵抗部9A、10Aを形成する工程において、亜鉛を蒸着する際、蒸着微粒子が放射状に飛散し、有効電極部9B、10Bにも亜鉛が含まれる。
実施例1の有効電極部9B、10Bは、さらに大電極部9C、10Cと小電極部9D、10Dとで構成してもよい。
図1、図2(a)に示すように、大電極部9Cと小電極部9D間、隣接する小電極部9D間は絶縁部19によって区分けされ、細いヒューズ部9Eによって接続される。
図1、図2(b)に示すように、大電極部10Cと小電極部10D間、隣接する小電極部10D間は絶縁部20によって区分けされ、細いヒューズ部10Eによって接続される。
絶縁部19、20は電極層が形成されておらず、第一の誘電体フィルム8、または第二の誘電体フィルム13が露呈している。
正極層9、負極層10の端面電極11、12と接続される方を大電極部9C、10C、反対側を小電極部9D、10Dとすることによって、電流密度に応じて電極幅を変えることができ、電極層の抵抗を小さくできる。
正極層9の低抵抗部9Aは、正極層9の端面電極11と接続される端部9F側に形成される。有効電極部9Bは、第一の誘電体フィルム8を介して負極層10と対向し、フィルムコンデンサ7の正極として機能する。
負極層10の低抵抗部10Aは、端面電極12と接続される端部10Fに形成される。有効電極部10Bは第一の誘電体フィルム8を介して正極層9と対向し、フィルムコンデンサ7の負極として機能する。
実施例1の正極層9、負極層10は、主材料がアルミニウムからなり、アルミニウムの原子濃度は亜鉛とマグネシウムの原子濃度の和より大きい。
実施例1では、電極層全体におけるアルミニウムの原子濃度は平均すると50atm%以上である。亜鉛の原子濃度は1atm%以上40atm%以下、マグネシウムの含有率は、0.5atm%以上45atm%以下程度である。
図4はX線光電子分光(XPS)分析結果から求めた、正極層9、負極層10の有効電極部9B、10Bの表層からの深さ(距離)換算値(nm)と原子濃度(atm%)との関係を示す。深さ換算値は、同条件における二酸化ケイ素膜のスパッタレートとアルミニウムのスパッタレートの比較から換算した。
図4では表層から深さ換算値で約2nmのところにマグネシウムの原子濃度のピークp1が存在する。さらに表層にはO原子が存在し、酸化膜が形成されている事が分かる。
マグネシウムの原子濃度のピーク値は、本実施例1では、約5atm%である。マグネシウムの原子濃度のピーク値は1atm%以上45atm%以下程度が好ましい。この範囲で電極層の耐湿性を向上させることができる。耐湿性に関する詳細な説明は後述する。
また表層から深さ換算値で約3nmの領域に亜鉛の原子濃度のピークp2が存在する。亜鉛の原子濃度のピークp2より、マグネシウムの原子濃度のピークp1の方が、それぞれの電極層の表層側に存在している。
亜鉛の原子濃度のピーク値は、本実施例1では、4atm%である。亜鉛は融点が低いが、耐湿性も低いため、亜鉛の原子濃度のピーク値は1atm%以上70atm%以下程度が好ましい。
また表層から深さ換算値で約6.5nmの領域にアルミニウムの原子濃度のピークp3が存在する。本実施例では、アルミニウムの原子濃度のピークp3より、マグネシウム、亜鉛の原子濃度のピークp1、p2の方が、電極層の表層側に存在している。
アルミニウムの原子濃度のピーク値は、本実施例1では、約65atm%である。ここでアルミニウムは体積抵抗率が低く、薄く形成できるため、絶縁破壊が生じた場合、その周辺が素早く飛散し、絶縁回復(セルフヒーリング)しやすい。したがって電極層にアルミニウムを用いると耐電圧性が高くなるため、アルミニウムの原子濃度のピーク値は50atm%以上が好ましい。
本実施例1の電極層の構成は以上である。
下記(表1)は、電極層の抵抗値Ω/□毎に、本実施例1の耐湿性を、比較例1を基準に比較したものである。
耐湿性は、85℃/85%r.h.の高温高湿度の条件下で500Vの電圧を900時間印加し続けた後のフィルムコンデンサ1の容量変化を測定し、算出した。容量変化が小さいほど、耐湿性が高いと判断した。
下記(表1)において、比較例1よりも耐湿性が上がった場合、即ち容量変化が抑制されている場合を+と示し、比較例1と比べてほぼ同じ容量変化である場合を±と示した。
比較例1の電極層は、アルミニウムを主成分とし、さらに亜鉛を含むが、マグネシウムを含まない。比較例1の電極層は、本実施例1と同様に、表層から深さ換算値で約3nmの領域に亜鉛の原子濃度のピークが存在する。亜鉛の原子濃度のピーク値は、本実施例1と同様に、4atm%である。また本実施例1と同様に、表層から深さ換算値で約6.5nmの領域にアルミニウムの原子濃度のピークが存在する。アルミニウムの原子濃度のピークより、亜鉛の原子濃度のピークの方が、電極層の表層側に存在している。アルミニウムの原子濃度のピーク値は、約65atm%である。その他の実施例1と同様の構成については説明を省略する。
Figure 2013214688
本実施例1では、フィルムコンデンサ7の耐湿性を向上させることができる。特に電極層の抵抗が5Ω/□以上、30Ω/□以下の範囲で比較例1と比べて優位な効果が得られる。
その理由を以下に示す。
はじめに、図5に示すような、比較例2と比較例3のフィルムコンデンサ1を用いてマグネシウムによる耐湿性の向上について説明する。
比較例2は、正負いずれの電極層3、4もアルミニウム単体で形成したものである。
比較例3は、正負いずれの電極層3、4もアルミニウムを主成分とし、5atm%のマグネシウムを含む。マグネシウムの原子濃度のピークは、アルミニウムの原子濃度のピークより電極層3、4の表層側にある。
比較例2、比較例3のいずれの電極層3、4の厚みも、24.0nmとした。上記比較例2、比較例3のフィルムコンデンサ1の耐湿性を測定した。
耐湿性の測定方法は、85℃/85%r.h.の高温高湿度の条件下で500Vの電圧を900時間印加し続けた後のフィルムコンデンサ1の容量変化率(%)を求めたものである。すなわち容量変化率は(電圧印加後のコンデンサ容量Ct−電圧印加前のコンデンサ容量C0)/C0を百分率(%)で示すものである。
耐湿性を測定した結果、比較例2の耐湿性は−37.0%であったのに対し、比較例3では−15.5%となり、耐湿性が大きく向上していることが分かった。
その理由を以下に説明する。
マグネシウムはアルミニウムよりもイオン化傾向が大きいため、すばやく酸化膜を形成し、不動態となってその下の亜鉛の層やアルミニウムの層の酸化劣化を抑制できる。
このように酸化膜を形成する反応により、電極層3、4の酸化劣化が抑制される。
したがって、比較例3のように電極層3、4にマグネシウムを含有させることで、不動態膜が形成されやすく、容量変化を抑制し、耐湿性を高めることができる。
ここで亜鉛はアルミニウムよりイオン化傾向が小さいため、酸化しにくく、不動態を形成しないため、アルミニウムより更に耐湿性が低い。本実施例1のフィルムコンデンサ7は、電極層に亜鉛を含むが、亜鉛の層上にマグネシウムの層を形成したため、電極層の酸化劣化を抑制し、耐湿性を向上させることができたと考えられる。
なお、上記(表1)に示す電極層の抵抗値が3Ω/□以下と低い場合は、即ち電極層が非常に厚い場合であり、電極層が多少酸化劣化しても、電極層として機能する領域が多く残存するため、容量変化が小さくなる。また電極層の抵抗値が50Ω/□以上と高い場合は、即ち電極層の膜厚が非常に薄い場合であり、マグネシウムの含有量も少ないため、酸化劣化を抑制する効果も小さくなる。
以上より本実施例1は、耐湿性が高く、特に電極層の抵抗が5Ω/□以上、30Ω/□以下の範囲で比較例1と比べて優位な効果が得られる。
また下記(表2)は、コンデンサの電位傾度毎に、本実施例1の耐湿性を、比較例1を基準に比較したものである。
耐湿性の測定方法は、(表1)の場合と同じである。電位傾度とは、印加電圧(V)を電極層の膜厚(μm)で割った値である。下記(表2)において、比較例1と比べて耐湿性が上がった場合、+と示し、比較例1と比べてほぼ変わらなかった場合を±で示した。
Figure 2013214688
本実施例1では、特にコンデンサの電位傾度が150V/μm以上の範囲で、比較例1と比べて優位な耐湿性向上効果を得られる。電位傾度が100V/μm以下の領域では、酸化劣化が殆ど無いため、本実施例1の電極層は、電位傾度が150V/μm以上の場合に使用することがより有効である。
また本実施例1では、フィルムコンデンサ7のtanδを低くすることができる。
その理由は、融点の低い亜鉛を電極層に含有させているからである。亜鉛の融点は419.5℃であり、アルミニウムの融点は約660℃、マグネシウムの融点は約650℃である。よって電極層に亜鉛を含有させることで、端面電極11、12を亜鉛溶射により形成する工程で、電極層の亜鉛が軟化し、電極層と端面電極11、12とが密着する。そしてその結果、フィルムコンデンサ7のtanδを低くすることができる。
また本実施例では、フィルムコンデンサ7の高いセルフヒーリング性を維持することができる。その理由は、電極層の主材料をアルミニウムとしたからである。アルミニウムは亜鉛やマグネシウムより電気抵抗が小さい。したがって、アルミニウムを主原料とすることで電極層を薄く形成でき、飛散し易くなり、セルフヒーリング性が高まる。
また本実施例では、アルミニウムの原子濃度のピークp3が亜鉛の原子濃度のピークp2よりも下層にあるため、アルミニウムが飛散することで亜鉛が飛散しやすくなり、セルフヒーリング性を高めることができる。
(実施例2)
本実施例2では、実施例1の構成に加え、電極層のマグネシウムの分布を変えたものである。
実施例2は、正極層9の低抵抗部9Aが形成されている端部9F、すなわち端面電極11側の端部9Fより、有効電極部9Bの中央領域の方が、アルミニウムに対するマグネシウムの原子比率が高くなるものとした。
また負極層10の低抵抗部10Aが形成されている端部10F、すなわち端面電極12側の端部10Fより、有効電極部10Bの中央領域の方が、アルミニウムに対するマグネシウムの原子比率が高くなるものとした。
アルミニウムとマグネシウムの原子比率が99.5:0.5〜55:45の範囲で端部9Fと有効電極部9B間、および端部10Fと有効電極部10B間で濃度勾配をつけることで、マグネシウムによる耐湿性向上効果を得られる。
下記(表3)は、アルミニウムとマグネシウムの原子比率を変え、それぞれの容量変化率から耐湿性を算出したものである。
また下記(表3)において、アルミニウム:マグネシウムの原子比率を100:0の場合の容量変化を基準に、容量変化を5%以上抑制できた場合を+、容量変化を10%以上抑制できた場合を++、容量変化を20%以上抑制できた場合を+++と示した。容量変化率の測定方法は、実施例1で説明した方法と同じであり、85℃/85%r.h.の高温高湿度の条件下で500Vの電圧を900時間印加し続けた後のフィルムコンデンサの容量変化率(%)を求めたものである。
Figure 2013214688
以上のように、アルミニウムとマグネシウムの原子濃度比率が99.5:0.5以上にマグネシウムが多いと耐湿性が高まり、55:45より多くマグネシウムを含んでも耐湿性向上効果が頭打ちになってくることから、99.5:0.5〜55:45の範囲とすることでマグネシウムによる耐湿性向上効果が効率よく得られる。
また本実施例2では、低抵抗部9A、10A側よりも有効電極部9B、10B側のマグネシウムの含有量が多いため、コンデンサの容量に寄与する有効電極部9B、10Bの耐湿性をより効率よく向上させることができる。
(実施例3)
本実施例3では、実施例1の構成に加え、電極層の亜鉛の分布を変えたものである。
実施例3では、正極層9の低抵抗部9Aが形成されている端部9F、すなわち端面電極11側の端部9Fの方が、有効電極部9Bの中央領域よりもアルミニウムに対する亜鉛の原子濃度比率が高い。
また負極層10の低抵抗部10Aが形成されている端部10F、すなわち端面電極12側の端部10Fの方が、有効電極部10Bの中央領域よりもアルミニウムに対する亜鉛の原子濃度比率が高い。
本実施例3では、低抵抗部9A、10A側の方が有効電極部9B、10B側より亜鉛の含有量が多い。亜鉛の融点は約419.5℃であり、アルミニウム、マグネシウムより低いため、亜鉛の含有率が多いと、端面電極11、12を溶射する工程で軟化しやすい。したがって、端面電極11と正極層9、端面電極12と負極層10との接着強度を高め、より効率よくフィルムコンデンサ7のtanδを低減できる。
また有効電極部9B、10Bの亜鉛量を減らすことで、フィルムコンデンサ7の耐湿性を向上できる。
なお、電極層における亜鉛のアルミニウムに対する原子濃度比率は、正極層9であれば端部9F側から端部9G側へ、負極層10であれば端部10F側から端部10G側へ、段階的に減らしても良い。電極層の電気抵抗を緩やかに変化させることができる。
また、亜鉛のアルミニウムに対する原子濃度比率を減少させつつ、端部9Fより端部9G側、または端部10Fより端部10G側の、アルミニウムに対するマグネシウムの原子濃度比率を増大させてもよい。亜鉛は耐湿性が低く、マグネシウムは耐湿性が高いため、有効電極部9B、10Bの耐湿性向上により寄与する。また亜鉛とマグネシウムとは、比較的抵抗値が近いため、亜鉛を減少させつつ、マグネシウムを増大させることで、有効電極部9B、10Bの電気抵抗を均一にすることができる。
本発明による金属化フィルムコンデンサは、優れた耐湿性を有しており、各種電子機器、電気機器、産業機器、自動車等に用いられるコンデンサとして好適に採用でき、特に高耐湿性、高耐電圧特性が求められる自動車用分野に有用である。
7 フィルムコンデンサ
8 第一の誘電体フィルム
9 正極層
9A 低抵抗部
9B 有効電極部
9C 大電極部
9D 小電極部
9E ヒューズ部
9F 端部
9G 端部
10 負極層
10A 低抵抗部
10B 有効電極部
10C 大電極部
10D 小電極部
10E ヒューズ部
10F 端部
10G 端部
11 端面電極
12 端面電極
13 第二の誘電体フィルム
14 真空蒸着装置
15 ローラー
16 ドラム
17 ローラー
18 るつぼ
19 絶縁部
20 絶縁部

Claims (4)

  1. 誘電体フィルムと、前記誘電体フィルムを介して対向する正負の電極層と、を有するコンデンサ素子と、
    前記コンデンサ素子の両端に形成された端面電極と、を備え、
    少なくとも一方の前記電極層は、アルミニウムを主成分とし、さらに亜鉛と、マグネシウムと、を含み、
    マグネシウムの原子濃度のピークは、亜鉛の原子濃度のピークより前記電極層の表層側に存在する、
    フィルムコンデンサ。
  2. アルミニウムと亜鉛とマグネシウムとを含む前記電極層は、
    一端が一方の端面電極と接続され、
    他端が他方の端面電極と絶縁され、
    前記一端側のマグネシウムのアルミニウムに対する原子濃度比率は、
    前記電極層の中央領域におけるマグネシウムのアルミニウムに対する原子濃度比率より低い、請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
  3. アルミニウムと亜鉛とマグネシウムとを含む前記電極層は、
    一端が一方の端面電極と接続され、
    他端が他方の端面電極と絶縁され、
    前記一端側の亜鉛のアルミニウムに対する原子濃度比率は、
    前記電極層の中央領域における亜鉛のアルミニウムに対する原子濃度比率より高い、請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
  4. アルミニウムと亜鉛とマグネシウムとを含む前記電極層は、
    前記一端側から前記他端側に向けて段階的に亜鉛のアルミニウムに対する原子濃度比率が減少している、請求項3に記載のフィルムコンデンサ。
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