一般に、充電施設は、電力会社から電力供給される。各電力会社は、最大供給能力の範囲内で需用家に電力供給するが、季節や時間帯によって、電力供給能力(最大供給能力)に対する余裕度が変化する。例えば、猛暑となる夏期においては、エアコン等の使用により電力供給能力に近い電力使用状況となって、電力供給能力に対する余裕度が殆どなくなる、つまり、電力供給が逼迫した状況となることがある。電力会社は、電力会社が管轄するエリアの電力供給能力に対して実際に使用している電力量の割合を表す電力使用率(%)に関する情報をリアルタイムで提供する。この電力使用率を使って電力供給が逼迫している状況であることを知らせることにより、需用家に対して節電を呼びかけている。この電力使用率は、その値が大きいほど電力供給能力に対する余裕度が低いことを表している。
電力供給能力に対する余裕度は、電力供給管轄エリア毎に異なる。しかしながら、従来の情報提供システムにおいては、電力供給管轄エリア毎の電力使用状況に関係なく、車両の走行経路案内を行ったり、充電施設の位置情報を提供したりする。このため、電力供給が逼迫していない電力供給管轄エリアが近くに存在していても、電力供給が逼迫している電力供給管轄エリアに車両を案内してしまうことがある。この場合には、充電施設においてバッテリ充電が制限されてしまったり、停電が発生してバッテリ充電ができなかったりする。
また、多数の車両がナビゲーション装置によって同一経路に沿って案内されることによって、その経路で渋滞が発生し、その渋滞時のアイドリングがバッテリ残量の低下を招くことがある。そうしたケースにおいて、特に、案内された経路が電力供給の逼迫している電力供給管轄エリアであった場合には、その電力供給管轄エリア内での電力使用量を増大させてしまい、電力供給状態を更に悪化させてしまう。これにより、充電施設でのバッテリ充電が一層厳しくなってしまう。一方で、隣接する電力供給管轄エリアにおいては、電力供給能力に十分な余裕がある状況となっていることもある。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、適切な電力供給管轄エリアでバッテリ充電を行えるような情報提供を行うことを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、外部電源により充電可能な車載バッテリ(20)を電源として走行する車両(10)のユーザに対して、目的地までの走行経路を表す情報、あるいは、前記バッテリを充電するための充電施設の位置を表す情報を提供する情報提供システムにおいて、電力供給管轄エリア毎の電力供給能力に対する余裕度を表す電力余裕度を取得する電力余裕度取得手段(313,513,S16,S23)と、2つの電力供給管轄エリアにおいて走行可能な走行経路あるいは到達可能な充電施設が存在する場合には、前記電力余裕度取得手段により取得された電力余裕度に基づいて、前記電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路を表す情報、あるいは、前記電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設の位置を表す情報を提供する電力余裕度対応情報提供手段(315,515,S19,S20,S29)とを備えたことにある。
本発明においては、電力余裕度取得手段が、複数の電力供給管轄エリア毎の電力供給能力に対する余裕度を表す電力余裕度を取得する。例えば、電力会社が提供する現時点における電力使用率(%)を表す情報を取得する。この電力使用率は、電力会社の電力供給能力(供給可能な最大電力量)に対して現在使用している電力量の割合を表す。従って、電力使用率を電力余裕度の指標として使用することができる。この場合、電力余裕度は、電力使用率が大きくなるほど低くなる。
電力余裕度対応情報提供手段は、2つの電力供給管轄エリアにおいて走行可能な走行経路あるいは到達可能な充電施設が存在する場合、つまり、車両が2つの電力供給管轄エリアの境界近傍に位置しており、2つの電力供給管轄エリアにおいて実質的に走行可能な走行経路あるいは到達可能な充電施設が存在する場合には、電力余裕度に基づいて、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路を表す情報、あるいは、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設の位置を表す情報を提供する。
従って、本発明によれば、車両は、電力余裕度の高い(電力使用率の低い)方の電力供給管轄エリアに誘導される。これにより、電力余裕度の高い電力供給管轄エリアにおいてバッテリ充電をすることができる。また、電力余裕度の低い電力供給管轄エリアにおいて渋滞が発生しにくくなるため、電力余裕度の低い電力供給管轄エリアにおいてバッテリ充電が集中することが抑制される。一方、電力余裕度の高い電力供給管轄エリアにおいて、仮に、渋滞が発生して渋滞によるバッテリ消費を補うようにバッテリ充電が集中して行われたとしても、余裕を持ってバッテリ充電用の電力を供給することができる。従って、充電施設においてバッテリ充電が制限されてしまったり、バッテリ充電ができなかったりするといった不具合を防止することができる。また、複数の電力供給管轄エリア間における電力余裕度を平滑化することができる。これにより、車両とは無関係の電力需要家においても、十分な電力供給が受けられるようになる。
尚、電力余裕度を取得するにあたっては、例えば、自車両の位置を検出する車両位置検出手段を備え、車両位置検出手段により検出された自車両位置、あるいは、自車両位置から目的地までの走行経路に基づいて、自車両位置あるいは走行経路の周辺の電力供給管轄エリアを特定して、その特定した電力供給管轄エリアの電力余裕度を取得するようにするとよい。
また、例えば、電力余裕度対応情報提供手段は、2つの電力供給管轄エリアにおいて走行可能な走行経路あるいは到達可能な充電施設が存在するか否かについて判定する存在判定手段(S17,S25)と、存在判定手段により2つの電力供給管轄エリアにおいて走行可能な走行経路あるいは到達可能な充電施設が存在すると判定された場合に、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路を設定する、あるいは、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設を抽出する経路/施設設定手段(S20,S29)と、設定された走行経路、あるいは、抽出された充電施設の位置を表す情報を提供する情報提供手段(S15,S27)とを備えるとよい。
本発明の他の特徴は、前記車載バッテリのバッテリ残量を取得するバッテリ残量取得手段(70,S11,S21)を備え、前記電力余裕度取得手段は、前記バッテリ残量取得手段により取得されたバッテリ残量が閾値を下回ったときに前記電力余裕度を取得し(S13−S16,S22−S23)、前記電力余裕度対応情報提供手段は、前記電力余裕度取得手段により電力余裕度が取得されたときに、前記電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路を表す情報、あるいは、前記電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設の位置を表す情報を提供することにある。
本発明においては、バッテリ残量取得手段が車載バッテリのバッテリ残量を取得する。バッテリ残量とは、車載バッテリの保有する容量(電気エネルギー保有量)を直接的に表すものに限らず、車載バッテリの充電率など電気エネルギーの消費度合を判定できる指標となる値を意味している。電力余裕度取得手段は、バッテリ残量が閾値を下回ったときに、電力余裕度を取得する。この閾値は、予め設定した一定値であってもよいが、一定値に限るものではなく、例えば、目的地が設定されている場合には、目的地までの走行に必要なバッテリ容量に応じて可変設定されるもの、ユーザが予め設定できるものなど任意に設定できるものであってもよい。また、バッテリ残量に対応する自車両の航続距離が、閾値(例えば、一定値、あるいは、目的地までの走行距離に応じて可変される閾値)を下回ったときに電力余裕度を取得するようにしてもよい。
電力余裕度対応情報提供手段は、電力余裕度取得手段により電力余裕度が取得されたとき、つまり、バッテリ残量が閾値を下回ったときに、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路を表す情報、あるいは、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設の位置を表す情報を提供する。走行経路を表す情報の提供としては、例えば、目的地が設定されている場合であれば、その目的地までの走行経路に関して、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路を表す情報を提供する。また、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設への走行経路を表す情報を提供してもよい。
これにより、車両のユーザは、バッテリ残量が低下したときに、適切な走行経路情報あるいは充電施設情報の提供を受けることができる。従って、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアにおいてバッテリ充電をすることができる。
本発明の他の特徴は、前記電力余裕度対応情報提供手段は、経路案内中において、前記電力余裕度取得手段により電力余裕度が取得されたときに、経路案内中の走行経路が通る電力供給管轄エリアよりも電力余裕度が高い電力供給管轄エリアを通る走行経路がある場合には、経路案内する走行経路を、前記電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路に切り替えること(S13〜S20)にある。
本発明においては、電力余裕度対応情報提供手段は、走行経路を表す情報の提供として、目的地への走行経路案内を行う。この場合、電力余裕度対応情報提供手段は、経路案内中において、バッテリ残量が閾値を下回って電力余裕度が取得されたときに、経路案内中の走行経路が通る電力供給管轄エリアよりも電力余裕度が高い電力供給管轄エリアを通る走行経路がある場合には、経路案内する走行経路を、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路に切り替える。これにより、バッテリ残量が低下したときに、車両を、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに誘導することができる。従って、電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアにてバッテリ充電を行うことができる。また、電力余裕度の低い電力供給管轄エリアに車両を誘導しないため、電力余裕度の低い電力供給管轄エリアでの渋滞の発生を抑えて、渋滞に伴ったバッテリ充電の集中を抑制することができる。これにより、複数の電力供給管轄エリア間における電力余裕度を平滑化することができる。
本発明の他の特徴は、前記電力余裕度対応情報提供手段は、前記経路案内中の走行経路が通る電力供給管轄エリアの電力余裕度が閾値を超えている場合には、前記走行経路の切り替えを行わないこと(S18)にある。
本発明においては、経路案内中において、電力余裕度が取得されたときに、経路案内中の走行経路が通る電力供給管轄エリアの電力余裕度が閾値を超えている場合には、走行経路の切り替えを行わない。つまり、他の電力供給管轄エリアにおける電力余裕度との大小関係に関わらず、走行経路の切り替えを行わない。従って、必要以上に走行経路の切り替えを行わないため、一層適切な走行経路の情報を提供することができる。例えば、経路案内中の走行経路が通る電力供給管轄エリアの電力余裕度が閾値を超えているか否かを判定する電力余裕度判定手段を設け、電力余裕度対応情報提供手段は、この電力余裕度判定手段による判定に基づいて、経路案内中の走行経路が通る電力供給管轄エリアの電力余裕度が閾値を超えている場合には、走行経路の切り替えを行わないようにするとよい。
本発明の他の特徴は、前記電力供給管轄エリアの地図上における領域を表すエリア領域を、前記電力余裕度に応じた表示態様で電力供給管轄エリア毎に区別して画面表示する管轄エリア表示手段(S15,S27)を備えたことにある。
本発明においては、管轄エリア表示手段が、電力供給管轄エリアの地図上における領域を表すエリア領域を、電力余裕度に応じた表示態様で電力供給管轄エリア毎に区別して画面表示する。従って、ユーザは、この画面表示により、電力供給管轄エリア毎の電力余裕状況を簡単に把握することができ、一層適切な行動計画を立てることができる。
また、本発明は、情報提供システムに加えて端末装置(30,500)あるいはサーバー(100’)にも適用できるものである。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の一実施形態に係る情報提供システムについて図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の情報提供システムを表す。
情報提供システムに適用される車両10は、車載バッテリを外部電源により充電可能なプラグイン式車両である。例えば、車載バッテリの電力で走行用モータを駆動する電気自動車(EV)や、車載バッテリと燃料との両方を車両駆動用のエネルギー源として走行するプラグイン式ハイブリッド車両(PHV)などが適用可能となっている。
情報提供システムは、車両10に設けられる車載情報通信端末装置30(以下、車載端末と呼ぶ)、充電制御ユニット40(以下、充電ECU40と呼ぶ)と、車両情報センターに設けられるセンターサーバー100と、電力会社毎に設けられる電力情報サーバー200と、充電スタンド等の充電施設毎に設けられる充電施設端末300と、車載端末30,センターサーバー100,電力情報サーバー200,充電施設端末300を相互に通信可能に接続するインターネット等の通信回線網400とを備えている。通信回線網400には、無線基地局410が接続され、車載端末30は、この無線基地局410を介して通信回線網400に接続される。
車両10の車載バッテリ20(以下、バッテリ20と呼ぶ)は、家庭用のコンセントから充電することができるだけでなく、外出先においては、充電施設に設けられた給電装置310を用いて充電することができる。給電装置310は、電力供給を管轄する電力会社から電力供給され、充電用ケーブル110を介して車両10に充電用電力を供給する。
車両10は、バッテリ20を充電するための構成として、充電用ケーブル110の接続プラグ111の接続口である受電口50と、受電口50に供給される電力をバッテリ20の充電用電力に変換してバッテリ20を充電する充電器60と、充電器60によるバッテリ20への充電を制御する充電ECU40とを備えている。バッテリ20には、バッテリ20の充電状態を示す値であるSOC(State Of Charge)を検出するSOC検出器70が設けられる。SOC検出器70は、SOCとしてバッテリ20の充電率X(%)を表す信号を充電ECU40に出力する。バッテリ20の充電率Xは、バッテリ20の残容量と対応するものであるため、以下、バッテリ20の充電率Xをバッテリ残量Xと呼ぶ。尚、SOC検出器70は、バッテリ20の残容量を検出するように構成してもよい。
車両10は、走行駆動系の構成として、バッテリ20から出力される直流電力を三相交流電力に変換するモータドライバ(例えば、インバータ)80と、モータドライバ80から出力される三相交流電力により駆動されて車輪Wを回転させる走行用のモータ85と、運転者の運転操作に応じてモータドライバ80の出力を制御するモータ制御ユニット90(以下、モータECU90と呼ぶ)とを備えている。
充電ECU40は、マイクロコンピュータを主要部として備え、バッテリ20の充電時においては、SOC検出器70により検出されるバッテリ残量Xがユーザの設定した目標値に達するまで充電器60を作動させてバッテリ20を充電する。また、充電ECU40は、車両走行中においてもSOC検出器70により検出されるバッテリ残量Xを表す情報を車載端末30を含む各種の制御装置に所定の周期で送信する。尚、バッテリ残量Xは、充電ECU40を介さずにSOC検出器70から車載端末30を含む各種の制御装置に送信されてもよい。
車載端末30は、図2に示すように、マイクロコンピュータを主要部として備えた主制御部31と、タッチパネル式ディスプレイで構成される表示部32および操作部33と、音声案内するためのアンプやスピーカを備えた発音部34と、無線基地局410を介して外部と交信するための無線通信部35と、GPS衛星からの電波に基づいて自車両の現在位置座標を検出するGPSユニットおよび車両10の進行方向を検出するジャイロセンサを備えた車両位置検出部36と、地図情報、施設情報、電力供給管轄エリア情報や各種の車両特性などを記憶する記憶部37を備えている。
車両10には、車両の状態を制御する図示しない複数の電子制御装置(以下、車両ECUと呼ぶ)が設けられる。充電ECU40やモータECU90を含む各車両ECUは、CAN(Controller Area Network)通信システムのCAN通信ラインに接続されるとともに、CAN通信ラインを介して車載端末30に接続される。そして、車両ECUは、予め設定された手順に従って各種の車両情報(例えば、走行距離情報、SOC情報、車両診断情報、各種要求情報等)を車載端末30を介してセンターサーバー100に送信する。センターサーバー100は、これらの車両情報および外部から取得した外部情報に基づいて、車両ユーザに有益なサービス情報を車載端末30に送信する。
以下、車載端末30およびセンターサーバー100の機能に関しては、本発明と関係する構成、つまり、電力余裕度に応じた走行経路案内および充電施設案内に係る構成のみについて説明する。
車載端末30に設けられる主制御部31は、自車両の情報(車両ID、現在位置情報、SOC情報など)や各種の要求をセンターサーバー100に送信する車両情報送信部311と、目的地への走行経路を算出し自車両を目的地に案内するナビゲーション制御部312と、センターサーバー100から送信される電力余裕度情報を取得する電力余裕度情報取得部313と、センターサーバー100から送信される充電施設情報を取得する充電施設情報取得部314と、充電施設や電力余裕度に関連する充電関連情報をユーザに提供する充電関連情報提供部315とを備えている。各機能部311〜315は、マイクロコンピュータの制御プログラムの実行により実現されるものである。
センターサーバー100は、マイクロコンピュータおよび大容量記憶装置を主要部として構成され、図1に示すように、通信回線網400と接続して通信制御を行う通信制御部101と、車両情報をユーザ情報とあわせて管理する車両情報管理部102と、各電力会社の電力余裕度情報を管理する電力情報管理部103と、各充電施設の充電施設情報を管理する充電施設情報管理部104とを備えている。
電力情報サーバー200は、マイクロコンピュータを主要部として構成され、電力会社毎に設けられる。電力情報サーバー200は、電力会社が電力供給するエリア(電力供給管轄エリア)における電力使用状況を表す情報をリアルタイムでセンターサーバー100に送信する。電力使用状況を表す情報は、例えば、電力供給管轄エリアにおける電力供給能力(最大供給能力)に対する実際に供給されている電力量の割合(%)である電力使用率を表す。従って、この電力使用率により、電力供給管轄エリアにおける電力余裕度を把握することができる。以下、電力使用状況を電力余裕度という用語を使って説明する。また、電力使用率を表す情報を電力余裕度情報と呼ぶ。電力余裕度は、電力使用率が高いほど低下し、例えば、電力使用率をY(%)とすると、(100−Y)%として表わすことができる。
尚、電力供給管轄エリアは、1つの電力会社が電力供給するエリア全体を表すものであってもよいし、1つの電力会社が電力供給するエリアを複数に区分したエリアであってもよく、電力余裕度を管理できるエリアを1単位として設定したものであればよい。
電力情報サーバー200は、管轄エリアID(電力供給管轄エリアを特定するID)を付加した電力余裕度情報を所定の周期で、あるいは、電力余裕度が変化する度に、通信回線網400を介してセンターサーバー100に送信する。
センターサーバー100の電力情報管理部103は、各電力情報サーバー200から電力余裕度情報が送信される度に、その電力余裕度情報を管轄エリアIDと対応付けて記憶更新する。従って、電力情報管理部103は、常に最新の電力供給管轄エリアごとの電力余裕度情報を記憶している。また、電力情報管理部103は、各電力供給管轄エリアの地図上における領域を表すエリア領域情報を記憶している。従って、地図上における任意の位置が、どの電力供給管轄エリアに属しているのかわかるようになっている。
充電施設端末300は、マイクロコンピュータを主要部として構成され、各充電施設に設けられる。充電施設端末300は、給電装置310の使用状況および予約状況に基づいて、給電装置310の空き情報を作成し、空き情報に施設ID(充電施設を特定するID)を付加した充電施設情報をセンターサーバー100に送信する。この空き情報は、例えば、当該充電施設において利用可能な給電装置310の時間帯毎の台数を充電方式(急速充電/普通充電)別に表した情報である。充電施設端末300は、給電装置310の使用状況および予約状況が変化する度に、あるいは、所定の周期で、最新の充電施設情報をセンターサーバー100に送信する。
センターサーバー100の充電施設情報管理部104は、各充電施設端末300から充電施設情報が送信される度に、その充電施設情報を施設IDと対応付けて記憶更新する。従って、充電施設情報管理部104は、常に最新の充電施設毎の充電施設情報を記憶している。また、充電施設情報管理部104は、予め各充電施設IDに対応する個別情報(充電施設の名称、住所、地図上の位置、営業時間帯等)を記憶しており、施設IDを特定することで個別情報を取得することができるようになっている。
この情報提供システムにおいては、目的地が設定されている場合には、車載端末30がバッテリ残量、電力余裕度に基づいて自車両位置から目的地までの走行経路を設定し、その設定した走行経路を車両10が走行するようにナビゲーションを行う。また、この情報提供システムにおいては、目的地が設定されていない場合には、車載端末30がバッテリ残量、電力余裕度に基づいて車両周辺の充電施設を検索し、検索された充電施設情報をユーザに知らせる。また、車載端末30を使って充電施設の検索操作が行われた場合には、電力余裕度に基づいて車両周辺の充電施設を検索し、検索された充電施設情報をユーザに知らせる。何れにおいても、車載端末30は、センターサーバー100にアクセスして必要な情報(電力余裕度情報、充電施設情報)を取得する。
次に、車載端末30が行う走行経路案内処理について説明する。図3は、車載端末30(主制御部31)が実行する走行経路案内ルーチンを表す。この走行経路案内ルーチンは、ユーザが車載端末30を操作して目的地を設定すると起動し、所定の周期で繰り返される。走行経路案内ルーチンが起動すると、車載端末30は、ステップS11において、現在のバッテリ残量Xを読み込む。バッテリ残量Xは、充電ECU40あるいはSOC検出器70から読み込むことができる。続いて、ステップS12において、バッテリ残量Xに基づいて、バッテリ残量Xで車両10が走行可能な距離を表す航続距離L1を計算する。車載端末30は、バッテリ残量Xと航続距離L1との関係を表す関係データ(例えば、航続距離マップ)を記憶部37に記憶しており、この関係データを参照してバッテリ残量Xに対応する航続距離L1を計算する。
続いて、車載端末30は、ステップS13において、航続距離L1と、自車両位置から目的地までの設定走行経路における走行予想距離L2とに基づいて、バッテリ充電を行う必要があるか否かを判断する。例えば、走行予想距離L2に余裕距離L3を加算した値である閾値(L2+L3)を計算し、航続距離L1が閾値(L2+L3)を下回っている場合に、バッテリ充電を行う必要があると判定する。この走行経路案内ルーチンが最初に起動した段階においては、まだ走行経路が設定されていない。従って、車載端末30は、走行経路案内ルーチンの起動時においては、「No」と判定して、その処理をステップS14に進める。
尚、ステップS13においては、航続距離L1と閾値(L2+L3)とを比較しているが、この判断は、バッテリ残量Xが、走行距離(L2+L3)を走行するために必要なバッテリ残量を下回っているか否かを判断することと同等である。例えば、走行予想距離L2と余裕距離L3とを加算した距離(L2+L3)を走行するために必要となるバッテリ残量を閾値Xrefに設定し、現在のバッテリ残量Xが閾値Xrefを下回っているか否かを判断するようにしても同様の判定結果が得られる。従って、このステップS13の処理は、バッテリ残量Xが閾値を下回っているか否かを判断する処理である。
車載端末30は、ステップS14においては、予め設定されている優先順位(最短時間優先、最短距離優先、有料道路優先等)に従って目的地への走行経路を設定する。つまり、電力余裕度に基づかない通常のルールに従って走行経路を設定する。続いて、車載端末30は、ステップS15において、設定した走行経路(設定走行経路と呼ぶ)を表示部32に表示するとともに発音部34を使って経路案内を行う。つまり、目的地へのナビゲーションを行う。
車載端末30は、こうした処理を所定の周期で繰り返す。この場合、車両10が設定走行経路を走行しているうちは、ステップS14の走行経路設定処理をスキップするが、車両10が設定走行経路から外れた場合には、ステップS14において、走行経路を再設定する。
バッテリ残量Xが低下して航続距離L1が閾値(L2+L3)を下回ると(S13:Yes)、車載端末30は、その処理をステップS16に進め、センターサーバー100にアクセスして電力余裕度情報を取得する。この場合、車載端末30は、車両位置検出部36により検出される自車両位置を表す情報をセンターサーバー100に送信して電力余裕度情報を要求する。この要求により、センターサーバー100は、自車両位置が存在する電力供給管轄エリア、および、自車両位置近傍の(実質的に自車両が走行可能な)他の電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を選択して送信する。この場合、自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが1つしかない場合には、その1つの電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を送信する。
あるいは、センターサーバー100が全ての電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を送信し、車載端末30が、自車両位置が存在する電力供給管轄エリア、および、自車両位置近傍の(実質的に自車両が走行可能な)他の電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を選択するようにしてもよい。車載端末30は、記憶部37に電力供給管轄エリア情報を記憶しており、この記憶部37から電力供給管轄エリア情報を読み出すことにより、地図上における電力供給管轄エリアの領域を取得し、この領域と自車両位置とに基づいて上記の電力供給管轄エリアを選択する。
続いて、車載端末30は、ステップS17において、自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが複数あるか否かを判断する。自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが1つしか無い場合(S17:No)には、その処理をステップS14に進める。車載端末30は、自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが複数ある場合(S17:Yes)には、ステップS18において、最初に設定した設定走行経路が含まれる電力供給管轄エリアの電力余裕度Aが、予め設定した閾値Arefを下回っているか否かを判断する。この閾値Arefは、本実施形態においては電力供給状態が逼迫していると判断できる値に設定されている。車載端末30は、電力余裕度Aが閾値Arefを超えている場合(S18:No)、つまり、電力供給状態が逼迫していない場合には、その処理をステップS14に進めて上記の処理を続ける。
一方、電力余裕度Aが閾値Aref以下となっている場合(S18:Yes)、つまり、最初に設定した設定走行経路が含まれる電力供給管轄エリアの電力供給状態が逼迫している場合には、ステップS19において、その電力供給管轄エリアに隣接する他の電力供給管轄エリアにおける電力余裕度Aが、最初に設定した設定走行経路が含まれる電力供給管轄エリアの電力余裕度Aよりも高い(大きい)か否かを判断する。ここでは、電力供給管轄エリアを区別するために、最初に設定した設定走行経路が含まれる電力供給管轄エリアをメインエリアと呼び、メインエリアに隣接する他の電力供給管轄エリアをサブエリアと呼ぶ。また、メインエリアにおける電力余裕度Aをメイン電力余裕度Amainと呼び、サブエリアにおける電力余裕度Aをサブ電力余裕度Asubと呼ぶことにする。従って、このステップS19においては、メインエリアにおけるメイン電力余裕度Amainと、サブエリアにおけるサブ電力余裕度Asubとを比較し、サブ電力余裕度Asubがメイン電力余裕度Amainよりも高いか否かを判断する。
尚、ステップS18の判断にあたって、最初に設定した設定走行経路が複数の電力供給管轄エリアにまたがっている場合には、走行経路が最も長くなるエリアをメインエリアに設定すればよい。
また、サブエリアの有無については、例えば、最初に設定した設定走行経路からの迂回度合が設定値を超えない範囲において、走行経路の設定可能な他の電力供給管轄エリアがあるか否かを判断すればよい。この迂回度合の設定値は、迂回にかかる距離あるいは走行時間などが設定されるものであればよい。また、迂回度合の設定値は、メイン電力余裕度Amainが低いほど大きな値に設定するようにしてもよい。また、迂回度合の設定値は、メイン電力余裕度Amainに対するサブ電力余裕度Asubが高いほど、大きな値に設定するようにしてもよい。この場合、ステップS17における判断処理においては、迂回度合の設定処理を行った後に、設定された迂回度合に基づいてサブエリアがあるか否かを判断するようにすればよい。また、サブエリアが2つ以上存在する場合には、メインエリアよりも電力余裕度の高いサブエリアであれば、それらの任意の1つ、あるいは、全てを対象として走行経路を設定すればよい。
車載端末30は、ステップS19において、サブ電力余裕度Asubがメイン電力余裕度Amainよりも高いと判断した場合は、その処理をステップS20に進め、サブ電力余裕度Asubがメイン電力余裕度Amain以下である判断した場合は、その処理をステップS14に進める。車載端末30は、ステップS20において、電力余裕度の高いサブエリアを走行する走行経路を設定する。車載端末30は、記憶部37に記憶されている電力供給管轄エリア情報を読み出して、地図上における電力供給管轄エリアの領域を取得し、この領域に基づいて、サブエリアを走行する走行経路を設定する。この場合、サブエリア内において、通常の優先順位にしたがって走行経路を設定するとよい。また、目的地まで全てサブエリアを走行する走行経路を設定する必要はなく、サブエリアにおける走行距離が少なくともメインエリアにおける走行距離よりも長くなるように走行経路を設定すればよい。
また、走行経路の設定にあたって、車載端末30は、センターサーバー100にアクセスして最新の充電施設情報(空き情報、充電施設の位置情報)を取得し、サブエリア内において利用可能な充電施設が設けられた道路を通るように走行経路を設定する。尚、センターサーバー100から充電施設情報を取得することに代えて、記憶部37に記憶されている充電施設情報を取得するようにしてもよい。
車載端末30は、ステップS20において走行経路を設定すると、その処理をステップS15に進めて設定走行経路を示した地図を表示部32に表示するとともに、発音部34を使って経路案内を行う。この場合、表示部32に表示した地図上に、サブエリアに設けられた充電施設の位置を表す施設アイコンを表示する。尚、メインエリアの充電施設については、施設アイコンを表示しない、あるいは、グレー表示するようにして、メインエリアでのバッテリ充電をユーザに勧めないようにするとよい。
また、車載端末30は、電力余裕度に応じた表示態様でメインエリアとサブエリアとを区別して表示部32に表示する。例えば、表示部32に表示される地図において、電力余裕度が低い方のエリアを赤色で表示し、電力余裕度が高い方のエリアを白色で表示する。これにより、ユーザは、表示部32に表示された地図から、電力供給管轄エリアの境界、および、その領域を一目で把握することができる。また、ユーザは、電力供給が逼迫した状況となっている電力供給管轄エリアに車両が案内されない理由を理解することができる。尚、表示色による表示態様に加えて、例えば、電力余裕度(電力使用率)を数値で表示するようにしてもよい。
車載端末30は、走行経路案内ルーチンを所定の周期で繰り返す。この場合、ステップS15における走行経路案内は、継続して実行される。走行経路案内ルーチンは、車両10が目的地に到着すると、あるいは、目的地設定が解除されると終了する。また、目的地が変更されると、変更された目的地を使って再起動する。
この走行経路案内ルーチンによれば、バッテリ残量Xが閾値を下回った場合には、その時点から車両10を電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアに誘導することができる。例えば、図4の表示画面Gに示すように、車両10の出発地P1において目的地P2を設定した時には、破線矢印に示す走行経路が設定される。そして、車両10が出発地P1を出発した後の位置P3において、バッテリ充電が必要であると判断されると(S13:Yes)、メインエリアにおけるメイン電力余裕度Amainと、サブエリアにおけるサブ電力余裕度Asubとが比較され、サブ電力余裕度Asubがメイン電力余裕度Amainより高い場合には、図の実線矢印にて示す走行経路案内に切り替えられる。図中において、符号Bで示したラインがメインエリアとサブエリアとの境界線を表し、グレーで塗りつぶしたエリア(図面の下側)がメインエリアである。これにより、車両10は、電力余裕度の高い方の電力供給エリアに誘導されることになる。
また、表示画面Gには、車両10が誘導されるエリア(サブエリア)における設定走行経路上の充電施設位置に充電施設アイコンCが表示されるため、ユーザは、迷うことなく充電施設に立ち寄ることができる。また、表示画面Gには、電力余裕度に応じた表示態様でメインエリアとサブエリアとが区別されて表示されるため、ユーザは、経路案内を無視して電力余裕度の低い方のエリアへ進入しないようになる。
このように走行経路案内ルーチンによれば、バッテリ残量が低下したときに車両10を電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに誘導するため、ユーザは、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアにてバッテリ充電を行うことができる。また、電力余裕度の低い電力供給管轄エリアに車両10を誘導しないため、電力余裕度の低い電力供給管轄エリアでの渋滞の発生を抑えて、渋滞に伴ったバッテリ充電の集中を抑制することができる。電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアの充電施設の位置情報をユーザに提供するため、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアにてバッテリ充電を行うようにユーザを誘導することができる。これらの結果、複数の電力供給管轄エリアにおける電力余裕度を平滑化することができる。
また、ステップS18において、電力余裕度Aが閾値Aref以上である場合、つまり、最初に設定した設定走行経路が含まれる電力供給管轄エリアの電力供給状態が逼迫していないと判断した場合には、設定走行経路を切り替えない。これにより、必要以上に走行経路の切り替えが行なわれないため、一層適切な走行経路案内を行うことができる。
また、表示画面Gには、電力余裕度に応じた表示態様でメインエリアとサブエリアとが地図上に区別されて表示されるため、ユーザは、この表示画面Gから電力供給管轄エリアごとの電力余裕状況を簡単に把握することができる。従って、ユーザは、一層適切な行動計画を立てることができる。例えば、電力余裕度の低い方のエリアでの行動計画を、電力余裕度の高い方のエリアでの行動計画に変更することができる。これにより、ユーザは、電力供給管轄エリア間における電力余裕度の平滑化に対して更に協力することができる。
次に、ユーザが目的地を設定していない場合における充電施設情報の提供についての実施形態について説明する。図5は、車載端末30(主制御部31)が実行する充電施設案内ルーチンを表す。この充電施設案内ルーチンは、車両10のイグニッションスイッチがオンしている期間において所定の周期で繰り返し実行される。
充電施設案内ルーチンが起動すると、車載端末30は、ステップS21において、現在のバッテリ残量Xを読み込む。バッテリ残量Xは、充電ECU40あるいはSOC検出器70から読み込むことができる。続いて、ステップS22において、バッテリ残量Xが閾値Xrefを下回っているか否かを判断する。この閾値Xrefは、バッテリ充電を行う必要があるか否かを判断するための値であって、固定値であってもよいし、ユーザが任意に設定できる値であってもよい。バッテリ残量Xが閾値Xref以上あれば充電施設案内ルーチンを一旦終了する。
車載端末30は、充電施設案内ルーチンを所定の周期で繰り返す。車両10の走行によって、バッテリ残量Xが閾値Xrefを下回ると(S22:Yes)、車載端末30は、ステップS23において、センターサーバー100にアクセスして、電力余裕度情報を取得する。この場合、車載端末30は、車両位置検出部36により検出される自車両位置を表す情報をセンターサーバー100に送信して電力余裕度情報を要求する。この要求により、センターサーバー100は、自車両位置が存在する電力供給管轄エリア、および、自車両位置近傍の(バッテリ残量Xで自車両が走行可能な)他の電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を選択して送信する。この場合、自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが1つしかない場合には、その1つの電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を送信する。
あるいは、センターサーバー100が全ての電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を送信し、車載端末30が、自車両位置が存在する電力供給管轄エリア、および、自車両位置近傍の(実質的に自車両が走行可能な)他の電力供給管轄エリアの電力余裕度情報を選択するようにしてもよい。車載端末30は、記憶部37に電力供給管轄エリア情報を記憶しており、この記憶部37から電力供給管轄エリア情報を読み出すことにより、地図上における電力供給管轄エリアの領域を取得し、この領域と自車両位置とに基づいて上記の電力供給管轄エリアを設定する。
続いて、車載端末30は、ステップS24において、センターサーバー100に対して、自車両位置から所定距離範囲内に存在する充電施設に関する充電施設情報を要求する。これにより、センターサーバー100は、自車両位置から所定距離範囲内に存在する充電施設に関する充電施設情報を車載端末30に送信する。これにより、車載端末30は、空き情報を含めた最新の充電施設情報を取得する。
続いて、車載端末30は、ステップS25において、自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが複数あるか否かを判断する。自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが1つしか無い場合(S25:No)には、ステップS26において、その電力供給管轄エリアにおける充電施設情報に基づいて、車両周辺の充電施設を抽出する。充電施設の抽出にあたっては、予め設定されている優先順位(充電施設への到達最短時間優先、充電施設への到達最短距離優先、バッテリ充電完了までの最短時間優先、最安料金優先、急速充電優先等)にしたがって優先順に充電施設を抽出する。つまり、電力余裕度に基づかない通常のルールに従って充電施設を選択する。
続いて、車載端末30は、ステップS27において、上記の抽出した充電施設に関する情報(少なくとも充電施設の位置情報)、および、バッテリ充電を勧めるメッセージを表示部32に表示する。この場合、表示部32に地図を表示しその地図上に充電施設の位置を示す充電施設アイコンを表示する地図表示モードと、表示部32に充電施設リストを優先順位で表示するリスト表示モードとが選択可能となっており、車載端末30は、ユーザの選択により表示モードを切り替える。例えば、地図表示モードにおいては、充電施設アイコンの1つが選択されたときに、その充電施設に関する空き情報、到達時間などの詳細情報を別画面に表示するようにしてもよい。また、リスト表示モードにおいては、施設名称とあわせて上記詳細情報を表示し、充電施設リストから特定の充電施設が選択された場合には、表示部32の画面表示を地図表示に切り替えて、選択された充電施設の位置を示す充電施設アイコンを地図上に表示するようにしてもよい。また、各表示モードにおいて、特定の充電施設が選択設定された場合には、その充電施設を目的地に設定してナビゲーションを開始するようにしてもよい。
一方、自車両の走行可能な電力供給管轄エリアが複数存在する場合(S25:Yes)には、車載端末30は、ステップS28において、これらの電力供給管轄エリアの中に電力余裕度Aが予め設定した閾値Aref以下となっているエリアがあるか否かを判断する。車載端末30は、全ての電力供給管轄エリアにおける電力余裕度Aが閾値Arefを超えている場合には、その処理をステップS26に進める。また、電力供給管轄エリアのうちで1つでも電力余裕度Aが予め設定した閾値Aref以下となるエリアがある場合(S28:Yes)には、車載端末30は、ステップS29において、電力余裕度Aが高い方の電力供給管轄エリアにおける充電施設情報に基づいて車両周辺の充電施設を抽出する。この充電施設の抽出にあたっては、電力余裕度Aが高い方の電力供給管轄エリアにおける充電施設であって、かつ、予め設定されている優先順位(充電施設への到達最短時間優先、充電施設への到達最短距離優先、バッテリ充電完了までの最短時間優先、最安料金優先、急速充電優先等)にしたがって優先順に充電施設を抽出する。
尚、電力供給管轄エリアが3つ以上存在する場合には、最も電力余裕度の高い電力供給管轄エリアにおける充電施設を抽出してもよいし、電力余裕度Aが予め設定した閾値Aref以上となる電力供給管轄エリアが複数あれば、それらの電力供給管轄エリアを対象として充電施設を抽出するようにしてもよい。つまり、少なくとも、電力余裕度Aが最も小さい電力供給管轄エリアを除外した電力供給管轄エリアから充電施設を抽出するようにすればよい。
車載端末30は、ステップS29において充電施設を抽出すると、その処理をステップS27に進めて、上述したように、その充電施設に関する情報、および、バッテリ充電を勧めるメッセージを表示部32に表示する。また、ステップS29において電力余裕度Aが高い方の電力供給管轄エリアから充電施設が抽出された場合、つまり、電力供給が逼迫した状況となっている電力供給管轄エリアが自車両近傍に存在している場合には、電力余裕度に応じた表示態様で電力供給管轄エリアの領域を表示する。例えば、地図表示モードにおいて表示部32に表示される地図上に、電力余裕度が低い方のエリアを赤色で表示し、電力余裕度が高い方のエリアを白色で表示する。これにより、ユーザは、表示部32に表示された地図から、電力供給管轄エリアの境界、および、その領域を一目で把握することができる。また、ユーザは、電力供給が逼迫した状況となっている電力供給管轄エリアにおける充電施設が抽出されなかった理由を理解することができる。
車載端末30は、充電施設案内ルーチンを所定の周期で繰り返す。従って、バッテリ充電によってバッテリ残量Xが閾値Xref以上となった場合には、ステップS27における充電施設表示は行われなくなる。
このように充電施設案内ルーチンによれば、バッテリ残量Xが閾値Xrefを下回った場合には、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアに存在する車両周辺の充電施設を抽出し、抽出した充電施設に関する情報をユーザに提供してバッテリ充電を勧める。従って、バッテリ充電が制限されたり、バッテリ充電ができなかったりするといった不具合を低減することができる。また、電力余裕度の低い方の電力供給管轄エリアでの電力使用を抑制するため、複数の電力供給管轄エリアにおける電力余裕度を平滑化することができる。
また、電力余裕度Aが閾値Aref以上である場合(S28:No)においては、電力余裕度に関係なく通常の優先順位に従って充電施設を抽出する。これにより、必要以上に遠くの充電施設を抽出することがなく、一層適切な充電施設の案内を行うことができる。
以上、本実施形態の情報提供システムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、車載端末30を使ってユーザに対して走行経路を表す情報、あるいは、充電施設の位置を表す情報を提供する構成であるが、車載端末30に代えて、図1に破線で示すように、車両10のユーザが所持する携帯通信端末装置500(以下、単に携帯端末500と呼ぶ)を使ってユーザに対して走行経路を表す情報、あるいは、充電施設の位置を表す情報を提供するようにしてもよい。例えば、スマートフォンを携帯端末500として使用することができる。
この場合、携帯端末500は、車載端末30と同様の機能を備えて構成され、例えば、図6に示すように、主制御部501、表示部502、操作部503、発音部504、無線通信部505、端末位置検出部506、記憶部507を備えている。表示部502、操作部503、発音部504、記憶部507については、車載端末30の表示部32、操作部33、発音部34、記憶部37と同一である。無線通信部505は、通信回線網400を介して外部と交信する機能に加え、車載端末30と相互に近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fiなど)を行う機能を備えている。また、端末位置検出部506は、GPS衛星からの電波に基づいて携帯端末500の現在位置座標を検出する。また、主制御部501は、マイクロコンピュータを主要部として備え、その機能に分類すると、車両情報送受信部511、ナビゲーション制御部512、電力余裕度情報取得部513、充電施設情報取得部514、充電関連情報提供部515を備えている。ナビゲーション制御部512、電力余裕度情報取得部513、充電施設情報取得部514、充電関連情報提供部515は、車載端末30のナビゲーション制御部312、電力余裕度情報取得部313、充電施設情報取得部314、充電関連情報提供部315と同一である。車両情報送受信部511は、車載端末30から車両情報(バッテリ残量Xや設定情報)を受信する機能と、その車両情報をセンターサーバー100に送信する機能とを備えている。
この携帯端末500においては、記憶部507が上述した走行経路案内ルーチンおよび充電施設案内ルーチンを実行するためのアプリケーションプログラムを記憶し、主制御部501が上記アプリケーションプログラムを実行する。携帯端末500が走行経路案内ルーチンおよび充電施設案内ルーチンを実行する場合においては、バッテリ残量Xを車載端末30から読み込むようにし、自車両位置に代えて携帯端末位置を使う(あるいは、車載端末30から自車両位置を読み込む)ようにすればよく、他の処理については、車載端末30と同様に行うことができる。
この携帯端末500を使用した情報提供システムにおいても、上述した作用効果が得られる。また、車載端末30にセンターサーバー100と無線通信するための構成を必要としないため、低コストに実施することができる。
また、車載端末30あるいは携帯端末500に代えて、センターサーバー100が走行経路案内ルーチンおよび充電施設案内ルーチンを実行するようにしてもよい。この場合、図7に示すように、センターサーバー100’は、上述した通信制御部101、車両情報管理部102、電力情報管理部103、充電施設情報管理部104に加えて、走行経路設定部105、充電施設抽出部106、地図情報記憶部107を備えている。走行経路設定部105は、マイコンにより走行経路案内ルーチンを実行する機能部であり、充電施設抽出部106は、マイコンにより充電施設案内ルーチンを実行する機能部である。地図情報記憶部は、走行経路案内ルーチンおよび充電施設案内ルーチンが行われるときに使用する地図情報を記憶している。
センターサーバー100’は、車載端末30(あるいは携帯端末500)からバッテリ残量X、目的地、自車両位置、走行経路優先順位を表す情報を取得し、その情報を使って、走行経路案内ルーチンを実行する。この場合、ステップS15においては、設定した走行経路を表す情報を車載端末30(あるいは携帯端末500)に送信して、車載端末30(あるいは携帯端末500)により経路案内表示を行うようにする。
また、センターサーバー100’は、車載端末30(あるいは携帯端末500)からバッテリ残量X、自車両位置、充電施設優先順位を表す情報を取得し、その情報を使って、充電施設案内ルーチンを実行する。この場合、ステップS27においては、抽出した充電施設を表す情報を車載端末30(あるいは携帯端末500)に送信して、車載端末30(あるいは携帯端末500)により充電施設案内表示を行うようにする。
また、本実施形態における充電施設案内ルーチンにおいては、バッテリ残量が低下してバッテリ充電が必要となったときに、充電施設に関する情報を提供したが、それに代えて、あるいは、それに加えて、ユーザが車載端末30(あるいは携帯端末500)を使って充電施設を検索したときに、車載端末30(あるいは携帯端末500、センターサーバー100’)が、ステップS23〜ステップS29の処理を実行して、充電施設に関する情報をユーザに提供するようにしてもよい。
また、本実施形態における走行経路案内ルーチンにおいては、バッテリ残量が低下してバッテリ充電が必要となったときに、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路に切り替えるようにしたが、バッテリ充電の必要性に関係なく(つまり、バッテリ残量に関係なく)、目的地設定が行われた場合には、その時点から、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路を設定するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、走行経路案内ルーチンと充電施設案内ルーチンとの両方を実行するが、何れか一方のみを実行する構成であってもよい。つまり、電力余裕度に基づいた走行経路案内のみを実行する構成、あるいは、電力余裕度に基づいた充電施設案内のみを実行する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、車載端末30(あるいは携帯端末500)が、電力余裕度情報をセンターサーバー100を介して取得するが、電力情報サーバー200から直接電力余裕度情報を取得する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路あるいは電力余裕度が高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設の位置を表す情報を提供しているが、両方の電力供給管轄エリアにおける走行経路あるいは充電施設の位置を表す情報を提供してもよい。但し、その場合には、走行経路あるいは充電施設の位置を表す情報の提供とともに、電力余裕度の高い電力供給管轄エリアにおける走行経路あるいは充電施設の利用を推奨するように情報提供するとよい。例えば、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路と、電力余裕度の低い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路とを識別可能に画面に表示し、その表示画面において、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアを通る走行経路をユーザが選択するように推奨するようにしてもよい。同様に、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設の位置と、電力余裕度の低い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設の位置とを識別可能に画面に表示し、その表示画面において、電力余裕度の高い方の電力供給管轄エリアに存在する充電施設をユーザが選択するように推奨するようにしてもよい。