JP2013213691A - 推定装置および推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二次電池の劣化状態のうち、摩耗に伴う劣化を推定する。
【解決手段】 二次電池(10)の劣化状態を推定する推定装置であって、劣化状態のうち、二次電池の摩耗による劣化量を推定するコントローラ(30)を有する。コントローラは、アレニウスの式に基づく推定式であって、時間の経過とともに劣化量を上昇させる推定式を用いて、劣化量を推定する。また、コントローラは、二次電池の内部における塩濃度の偏りが解消された状態において、劣化量を学習したとき、学習した劣化量を基準とした推定式を用いて、劣化量を推定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二次電池の劣化状態、具体的には、摩耗に伴って発生する劣化量を推定する推定装置および推定方法に関する。
特許文献1には、アレニウスプロットを用いて、劣化後の二次電池における容量を算出する技術が記載されている。具体的には、アレニウスプロットを特定する数式に、二次電池の充電状態や温度を代入することにより、電池容量の劣化速度を算出している。二次電池の温度は、温度センサを用いて取得することができる。
特開2000−228227号公報
特許文献1に記載の技術において、劣化速度を算出するための温度には、温度センサによる検出誤差が含まれてしまう。これにより、推定された劣化速度は、実際の劣化速度からずれてしまうことがあり、電池劣化の推定精度が低下してしまう。
本願第1の発明は、二次電池の劣化状態を推定する推定装置であって、劣化状態のうち、二次電池の摩耗による劣化量を推定するコントローラを有する。コントローラは、アレニウスの式に基づく推定式であって、時間の経過とともに劣化量を上昇させる推定式を用いて、劣化量を推定する。また、コントローラは、二次電池の内部における塩濃度の偏りが解消された状態において、劣化量を学習したとき、学習した劣化量を基準とした推定式を用いて、劣化量を推定する。
本願第1の発明によれば、推定式だけを用いて、摩耗に伴う劣化量を推定するのではなく、摩耗に伴う劣化量の学習値も考慮して、摩耗に伴う劣化量を推定している。推定式だけでは、推定された劣化量が、実際の劣化量から離れてしまうことがある。ここで、劣化量を学習したときには、学習値としての劣化量は、実際の劣化量と等しくなる。そこで、劣化量を学習した後は、学習値としての劣化量を基準として用い、推定式から劣化量を推定することにより、推定された劣化量が実際の劣化量からずれてしまうのを抑制することができる。すなわち、摩耗に伴う劣化量の推定精度を向上させることができる。
劣化量としては、初期における二次電池の内部抵抗と、劣化後における二次電池の内部抵抗との比(いわゆる、摩耗劣化係数)を用いることができる。一方、劣化量としては、二次電池の抵抗変化率や容量維持率を用いることもできる。抵抗変化率は、初期の二次電池における抵抗と、劣化後の二次電池における抵抗との比で表される。容量維持率は、劣化状態にある単極(正極や負極)の容量と、初期状態にある単極(正極や負極)の容量との比で表される。
推定式としては、下記式(I)を用いることができる。
上記式(I)において、ΔKは、劣化量の変化量、ΔKa1は、二次電池の保存に伴う劣化量の変化量、ΔKa2は、二次電池の通電に伴う劣化量の変化量、tは、時刻、Δtは、時刻変化である。
保存に伴う劣化量の変化量は、二次電池の温度および充電状態の少なくとも一つから特定することができる。具体的には、保存に伴う劣化量の変化量と、温度(および/又は充電状態)との対応関係を予め求めておき、この対応関係を用いて、保存に伴う劣化量の変化量を特定することができる。また、通電に伴う劣化量の変化量は、二次電池の温度、充電状態および通電量の少なくとも一つから特定することができる。具体的には、通電に伴う劣化量の変化量と、温度(充電状態、通電量も含まれることがある)との対応関係を予め求めておき、この対応関係を用いて、通電に伴う劣化量の変化量を特定することができる。
劣化量の初期値は、二次電池の状態が互いに異なる領域毎にメモリに記憶することができる。二次電池の状態としては、例えば、二次電池の温度や充電状態がある。二次電池の温度が異なれば、劣化量の初期値が異なることになる。また、二次電池の充電状態が異なれば、劣化量の初期値が異なることにある。そこで、温度や充電状態に応じて、劣化量の初期値をメモリに予め記憶させておくことができる。
ここで、劣化量を学習したときには、劣化量を学習したときの領域に含まれる初期値と、学習した劣化量との関係を用いて、他の領域に含まれる初期値を補正することができる。これにより、学習情報を、未学習領域(他の領域)に含まれる初期値に反映させることができ、未学習領域において、劣化量を推定するときには、初期値を補正した値を用いることができる。このように初期値を補正しておくことにより、初期値を用いる場合に比べて、劣化量の推定精度を向上させることができる。
二次電池の劣化状態には、摩耗による劣化と、塩濃度の偏りに伴う劣化とが含まれる。したがって、実際の二次電池の劣化状態から、摩耗による劣化を除外すれば、塩濃度の偏りに伴う劣化を特定することができる。本願第1の発明によれば、摩耗による劣化の推定精度を向上させることができるため、塩濃度の偏りに伴う劣化の推定精度を向上させることもできる。具体的には、二次電池の現在の劣化量から、推定式を用いて推定された劣化量を減算することにより、塩濃度の偏りに伴う劣化量を算出することができる。
塩濃度の偏りに伴って発生する劣化量は、推定電流と、測定電流と、推定式を用いて推定された劣化量とに基づいて算出することができる。推定電流とは、電池モデルを用いて算出される二次電池の電流である。ここで、推定電流は、推定式を用いて推定される劣化量に対応した二次電池の抵抗変化率と、二次電池の充放電時における抵抗変化率との比率を用いて、補正しておくことができる。具体的には、比率を推定電流に乗算することにより、推定電流を補正することができる。測定電流とは、二次電池の電流を測定する電流センサを用いて取得された電流である。
本願第2の発明は、二次電池の劣化状態を推定する推定方法である。まず、劣化状態のうち、二次電池の摩耗による劣化量を、アレニウスの式に基づく推定式であって、時間の経過とともに劣化量を上昇させる推定式を用いて推定する。そして、二次電池の内部における塩濃度の偏りが解消された状態において、劣化量を取得したとき、取得した劣化量を基準とした推定式を用いて、劣化量を推定する。本願第2の発明においても、本願第1の発明と同様の効果を得ることができる。
摩耗劣化係数および時間の関係を示す図である。 電池システムの構成を示す図である。 摩耗劣化係数ΔKの算出処理を示すフローチャートである。 摩耗劣化係数Kの算出処理を示すフローチャートである。 二次電池の構成を示す概略図である。 二次電池における電解液の塩濃度分布を説明する図である。 電解液の塩濃度と反応抵抗との関係を示す図である。 電極内における電解液の塩濃度の低下を説明する図である。 電極内における電解液の塩濃度の低下を説明する図である。 電池モデル式で用いられる変数等の一覧を示す図である。 電池モデルを説明する概念図である。 極座標で示された活物質モデルを示す概念図である。 二次電池の端子電圧と各種平均電位との関係を示す図である。 拡散係数の温度依存性を説明する図である。 開放電圧(正極)および局所SOCの関係を示す図である。 開放電圧(負極)および局所SOCの関係を示す図である。 コントローラの内部構成を示す概略図である。 電極間における電解液の塩濃度と、電流推定誤差との間の相関図である。 電池状態推定部の処理を示すフローチャートである。 ハイレート劣化が解消されたときの抵抗変化率を記憶する処理を示すフローチャートである。 ハイレート抵抗上昇量を算出する処理を示すフローチャートである。 抵抗変化率のマップを示す図である。 抵抗変化率の補正方法を説明する図である。 抵抗変化率の補間方法を説明する図である。 抵抗変化率のマップを作成する処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施例について説明する。
二次電池は、様々な要因によって劣化することがあり、二次電池の劣化には、摩耗劣化およびハイレート劣化が含まれる。摩耗劣化とは、二次電池を構成する材料が時間の経過とともに摩耗することによって発生する劣化である。ハイレート劣化とは、二次電池の内部における塩濃度の偏りによって発生する劣化である。塩濃度の偏りは、例えば、所定値以上のレートにおいて、二次電池を充電又は放電したときに発生しやすい。
本実施例は、二次電池の摩耗劣化を推定するものである。具体的には、アレニウスの式に基づいて、現在の二次電池における摩耗劣化を推定する。ここで、アレニウスの式を用いるときには、測定(学習)して得られた摩耗劣化を基準として、現在の摩耗劣化を推定する。以下に、現在の摩耗劣化を推定する方法について、具体的に説明する。
まず、現在の摩耗劣化に対応した摩耗劣化係数を算出する。摩耗劣化係数は、初期状態にある二次電池の内部抵抗(Rini)と、劣化後の二次電池の内部抵抗(R)との比(R/Rini)で表される。摩耗劣化係数を用いることにより、二次電池の劣化状態を評価することができる。ここで、初期状態とは、二次電池が劣化していない状態であり、例えば、二次電池を製造した直後の状態とすることができる。現在の摩耗劣化係数Kは、下記式(1)を用いて算出することができる。
上記式(1)において、ΔKは、アレニウスの式から特定される摩耗劣化係数であり、Kは、摩耗劣化の学習によって特定される摩耗劣化係数である。上記式(1)に示すように、現在の摩耗劣化係数Kは、摩耗劣化係数ΔK,Kの総和となる。また、ΔK(t0+iΔt)は、時刻変化Δtに対する摩耗劣化係数ΔKの変化量であり、t0は、摩耗劣化の学習を行ったときのタイミングである。iは、0〜nまでの値であり、nは、上記式(2)によって表される。t1は、摩耗劣化係数Kを推定するときの現在の時刻である。
摩耗劣化係数ΔKは、アレニウスの式に基づいて、下記式(3)で表される。また、下記式(3)は、下記式(4)で表すことができる。
上記式(3)に示すように、時刻Δtが経過した後の摩耗劣化係数ΔK(t+Δt)は、前回の摩耗劣化係数ΔK(t)と、保存劣化に伴う摩耗劣化係数ΔKの変化量ΔKa1と、通電劣化に伴う摩耗劣化係数ΔKの変化量ΔKa2とで表される。保存劣化とは、二次電池を通電せずに放置することに伴う劣化、言い換えれば、時間が経過することに伴う劣化である。通電劣化とは、二次電池に電流が流れることに伴う劣化である。
上記式(4)において、第2項は、保存劣化に対応した式であり、第3項は、通電劣化に対応した式である。ここで、Tは、二次電池の温度であり、Iは、二次電池に流れる電流(通電量)である。A,λは、保存劣化に対応した係数であり、A,λは、通電劣化に対応した係数である。A,A,λ,λは、二次電池のSOC(State of Charge)に依存する。SOCは、満充電容量に対する現在の充電容量の割合を示す。
電池温度T、電流IおよびSOCを取得すれば、上記式(4)に基づいて、摩耗劣化係数ΔK(t+Δt)を算出することができる。ここで、電池温度Tは、温度センサを用いて取得することができ、電流Iは、電流センサを用いて取得することができる。SOCは、二次電池のOCVから特定することができる。SOCおよびOCVは、対応関係を有しているため、この対応関係を予め求めておけば、OCVを特定することにより、SOCを特定することができる。一方、電流Iを積算することによって、SOCを算出することもできる。
また、摩耗劣化係数Kは、下記式(5)に基づいて算出することができる。
上記式(4)において、R(t0)は、時刻t0における二次電池の内部抵抗であり、R(ini)は、初期状態にある二次電池の内部抵抗である。
上述した推定方法を用いたときの摩耗劣化係数Kの挙動について、図1を用いて説明する。図1は、摩耗劣化係数Kの挙動を示す一例である。
図1に示すように、二次電池が初期状態(時刻ini)にあるとき、摩耗劣化係数Kは、1である。同様に、二次電池が初期状態(時刻ini)にあるとき、摩耗劣化係数Kは、1であり、摩耗劣化係数ΔKは、0である。時刻t0において、摩耗劣化の学習が行われるまでは、摩耗劣化係数Kは、1のままである。すなわち、時刻t0までは、上記式(1)に示す摩耗劣化係数Kは、1のままとなり、摩耗劣化係数Kは、摩耗劣化係数ΔKが変化することに応じて変化する。言い換えれば、摩耗劣化係数Kは、上記式(3)又は上記式(4)によって特定される摩耗劣化係数ΔKに沿って変化することになる。
時刻t0において、摩耗劣化の学習が行われると、摩耗劣化係数Kが算出される。具体的には、時刻t0において、二次電池の内部抵抗Rを測定することにより、摩耗劣化係数Kを算出することができる。時刻t0では、時刻iniから時間が経過しており、二次電池に摩耗劣化が発生している。このため、摩耗劣化の学習によって得られる摩耗劣化係数K(t0)は、1よりも大きな値となる。ここで、時刻t0では、摩耗劣化係数Kは、摩耗劣化係数Kと等しくなる。
時刻t0以降では、摩耗劣化係数K(t0)を基準として、摩耗劣化係数Kが算出される。具体的には、上記式(1)に示す摩耗劣化係数Kとして、摩耗劣化係数K(t0)が用いられ、摩耗劣化係数K(t0)と、推定した摩耗劣化係数ΔKとを加算することにより、摩耗劣化係数Kが算出される。
このように、時刻t0を境界として、上記式(1)に示す摩耗劣化係数Kで用いられる値が、1からK(t0)に上昇する。ここで、時刻t0の前後において、摩耗劣化係数ΔKの算出式は変わらないため、時刻t0までの摩耗劣化係数ΔKの変化率(時間に対する変化率)と、時刻t0以降の摩耗劣化係数ΔKの変化率(時間に対する変化率)とは、等しくなる。
摩耗劣化を学習したときには、現在の摩耗劣化に対応した摩耗劣化係数Kを取得することができるが、摩耗劣化を学習していないときには、摩耗劣化係数Kは、変化しないことになる。ここで、時間の経過とともに、二次電池の摩耗劣化は進行するため、摩耗劣化を学習しない間において、摩耗劣化係数Kは、現在の二次電池における摩耗劣化係数からずれることになる。特に、時間が経過するほど、摩耗劣化係数Kは、現在の摩耗劣化係数から離れることになる。
このように摩耗劣化係数Kを取得するだけでは、現在の摩耗劣化に対応した摩耗劣化係数を推定し難くなり、推定精度が低下してしまう。
一方、上記式(3)、(4)に基づいて、摩耗劣化係数ΔKを算出するときには、上述したように、電池温度T、電流IおよびSOCを取得する必要がある。ここで、電池温度Tには、温度センサによる検出誤差が含まれ、電流Iには、電流センサによる検出誤差が含まれてしまう。また、SOCには、推定誤差が含まれてしまう。このような誤差によって、上記式(3)、(4)から算出された摩耗劣化係数ΔKは、現在の摩耗劣化に対応した摩耗劣化係数からずれてしまう。
また、上記式(4)から分かるように、摩耗劣化係数ΔKを算出するたびに、温度センサや電流センサによる検出誤差が積算されてしまう。このように検出誤差が積算されると、上記式(4)から算出された摩耗劣化係数ΔKは、現在の摩耗劣化に対応した摩耗劣化係数から離れてしまう。
本実施例によれば、摩耗劣化係数Kを学習するたびに、この摩耗劣化係数Kを基準として用い、摩耗劣化係数Kと、上記式(3)、(4)から算出される摩耗劣化係数ΔKとを用いて、摩耗劣化係数Kを算出している。摩耗劣化係数ΔKだけでは、摩耗劣化係数ΔKが現在の摩耗劣化係数から離れてしまうが、学習した摩耗劣化係数Kを基準として用いることにより、摩耗劣化係数Kを現在の摩耗劣化係数に近づけることができる。すなわち、現在の摩耗劣化係数を推定する精度を向上させることができる。
次に、摩耗劣化を学習する方法について説明する。ハイレート劣化は、塩濃度の偏りによって発生するため、塩濃度の偏りが緩和すれば、ハイレート劣化を解消させることができる。ここで、二次電池を放置することにより、塩濃度の偏りを緩和することができる。二次電池を放置することとは、二次電池に電流を流さずに放置することである。塩濃度の偏りが緩和される時間(例えば、最大値)を実験などによって予め決めておけば、二次電池の放置時間が緩和時間を超えたことを確認することにより、ハイレート劣化が解消されたことを判別することができる。
ハイレート劣化が解消されたことを判別した後に、二次電池の内部抵抗Rを測定することにより、摩耗劣化係数Kを算出することができる。図1に示す時刻t0では、ハイレート劣化が解消されており、摩耗劣化係数Kが算出されている。
図2は、本実施例の電池システムの構成を示す図である。図2に示す電池システムは、車両に搭載することができる。車両としては、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)およびEV(Electric Vehicle)がある。HVは、車両を走行させるための動力源として、後述する組電池に加えて、内燃機関又は燃料電池といった他の動力源を備えている。PHVでは、HVにおいて、外部電源からの電力を用いて組電池を充電できる。EVは、車両の動力源として、組電池だけを備えている。
組電池100は、直列に接続された複数の二次電池10を有する。二次電池10の数は、組電池100の要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。監視ユニット21は、組電池100の端子間電圧を検出したり、二次電池10の電圧Vbを検出したりする。監視ユニット21の検出結果は、コントローラ30に出力される。
電流センサ22は、組電池100に流れる電流Ibを検出し、検出結果をコントローラ30に出力する。ここで、充電電流Ibを正の値とし、放電電流Ibを負の値としている。温度センサ23は、組電池100の温度Tbを検出し、検出結果をコントローラ30に出力する。
コントローラ30は、メモリ30aを有しており、メモリ30aは、コントローラ30が所定処理(例えば、本実施例で説明する処理)を行うための各種の情報を記憶している。本実施例では、メモリ30aが、コントローラ30に内蔵されているが、コントローラ30の外部にメモリ30aを設けることもできる。
組電池100の正極端子には、システムメインリレーSMR−Bが接続されている。システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。組電池100の負極端子には、システムメインリレーSMR−Gが接続されている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gには、システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗24が並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗24は、直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。電流制限抵抗24は、組電池100を負荷(具体的には、インバータ31)と接続するときに、突入電流が流れるのを抑制するために用いられる。
組電池100をインバータ31と接続するとき、コントローラ30は、まず、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗24に電流が流れることになる。
次に、コントローラ30は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えた後に、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ31の接続が完了し、電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。コントローラ30には、イグニッションスイッチのオン/オフに関する情報が入力され、コントローラ30は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わることに応じて、電池システムを起動する。
一方、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、コントローラ30は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ31の接続が遮断され、電池システムは、停止状態(Ready-Off)となる。
インバータ31は、組電池100からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ32に出力する。モータ・ジェネレータ32としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータ32は、インバータ31からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ32によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達される。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ32は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ31は、モータ・ジェネレータ32が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池100に出力する。これにより、組電池100は、回生電力を蓄えることができる。
本実施例では、組電池100をインバータ31に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、組電池100を昇圧回路に接続し、昇圧回路をインバータ31に接続することができる。昇圧回路を用いることにより、組電池100の出力電圧を昇圧することができる。また、昇圧回路は、インバータ31から組電池100への出力電圧を降圧することができる。
図3は、摩耗劣化係数ΔKを算出する処理を示すフローチャートである。図3に示す処理は、コントローラ30によって実行される。
ステップS101において、コントローラ30は、タイマを用いて、二次電池10を放置しているときの時間t1を計測する。時間t1は、二次電池10に電流が流れている時間である。また、コントローラ30は、温度センサ23の出力に基づいて、二次電池10の温度Tb1を取得する。二次電池10の温度Tbは、時間の経過とともに変化することもあり、温度Tbが変化するときには、温度Tb1として、平均値を用いることができる。さらに、ステップS101において、コントローラ30は、二次電池10のSOCを算出する。
ステップS102において、コントローラ30は、ステップS101で取得した計測時間t1が所定時間Δt_th1以上であるか否かを判別する。計測時間t1が所定時間Δt_th1以上であるとき、コントローラ30は、ステップS103の処理を行う。一方、計測時間t1が所定時間Δt_th1よりも短いとき、コントローラ30は、ステップS101の処理を継続する。
ステップS103において、コントローラ30は、上記式(3)に示す係数ΔKa1を算出する。係数ΔKa1は、温度およびSOCに依存するため、ステップS101の処理で取得した電池温度Tb1およびSOCから、係数ΔKa1を算出することができる。
ここで、上記式(4)に示す係数A,λは、SOCに依存するため、係数A,λおよびSOCの対応関係を実験などによって予め特定しておけば、SOCから係数A,λを特定することができる。係数A,λおよびSOCの対応関係を示す情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。上記式(4)に示す第2項に、係数A,λ、電池温度Tb1および時間Δt(=Δt_th1)を代入すれば、係数ΔKa1を算出することができる。
ステップS104において、コントローラ30は、計測時間t1をクリア(ゼロ)にする。図3に示す処理を次回に行うとき、ステップS101の処理では、クリアにされた状態から時間t1を計測することになる。
ステップS105において、コントローラ30は、組電池100(二次電池10)に電流が流れているか否かを判別する。具体的には、コントローラ30は、電流センサ22の出力に基づいて、二次電池10に電流が流れているか否かを判別することができる。二次電池10に電流が流れているとき、コントローラ30は、ステップS106の処理を行う。一方、二次電池10に電流が流れていないとき、コントローラ30は、ステップS110の処理を行う。
ステップS106において、コントローラ30は、タイマを用いて、二次電池10に電流が流れているときの時間t2を計測する。また、コントローラ30は、温度センサ23の出力に基づいて、二次電池10の温度Tb2を取得する。二次電池10の温度Tbは、時間の経過とともに変化することもあり、温度Tbが変化するときには、温度Tb2として、平均値を用いることができる。
さらに、ステップS106において、コントローラ30は、二次電池10のSOCを算出する。また、コントローラ30は、二次電池10に電流が流れているときの通電量ΔAhを算出する。通電量ΔAhは、電流センサ22によって検出された電流Ibを積算することによって算出することができる。
ステップS107において、コントローラ30は、ステップS106の処理で取得した計測時間t2が所定時間Δt_th2以上であるか否かを判別する。ここで、所定時間Δt_th2は、ステップS102の処理で用いられる所定時間Δt_th1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。計測時間t2が所定時間Δt_th2以上であるとき、コントローラ30は、ステップS108の処理を行う。一方、計測時間t2が所定時間Δt_th2よりも短いとき、コントローラ30は、ステップS106の処理を継続する。
ステップS108において、コントローラ30は、上記式(3)に示す係数ΔKa2を算出する。係数ΔKa2は、温度、SOCおよび電流(通電量)に依存するため、ステップS106の処理で取得した電池温度Tb2、SOCおよび通電量ΔAhから、係数ΔKa2を算出することができる。
ここで、上記式(4)に示す係数A,λは、SOCに依存するため、係数A,λおよびSOCの対応関係を実験などによって予め特定しておけば、SOCから係数A,λを特定することができる。係数A,λおよびSOCの対応関係を示す情報は、メモリ30aに記憶しておくことができる。上記式(4)に示す第3項に、係数A,λ、電池温度Tb2、電流I(=通電量ΔAh)および時間Δt(=Δt_th2)を代入すれば、係数ΔKa2を算出することができる。
ステップS109において、コントローラ30は、計測時間t2および通電量ΔAhをクリア(ゼロ)にする。図3に示す処理を次回に行うとき、ステップS106の処理では、クリアにされた状態において、時間t2を計測したり、通電量ΔAhを算出したりする。
ステップS110において、コントローラ30は、ステップS103の処理で算出した係数ΔKa1と、ステップS108の処理で算出した係数ΔKa2とを上記式(3)に代入することにより、摩耗劣化係数ΔKを算出する。上記式(3)、(4)に示すΔK(t)としては、1が用いられる。ここで、二次電池10に電流が流れているときには、係数ΔKa1,ΔKa2に基づいて、摩耗劣化係数ΔKが算出される。一方、二次電池10に電流が流れていないときには、係数ΔKa1だけに基づいて、摩耗劣化係数ΔKが算出される。すなわち、ΔKa2は0となる。
図4は、摩耗劣化係数Kを算出する処理を示すフローチャートである。図4に示す処理は、コントローラ30によって実行される。
ステップS201において、コントローラ30は、イグニッションスイッチがオフであるか否かを判別する。イグニッションスイッチがオフであれば、コントローラ30は、ステップS202の処理を行う。一方、イグニッションスイッチがオンであれば、コントローラ30は、ステップS207の処理を行う。
ステップS202において、コントローラ30は、タイマを用いて時間t3の計測を行う。時間t3は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったタイミングから、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わるタイミングまでの時間である。すなわち、時間t3は、二次電池10を放置している時間となる。
ステップS203において、コントローラ30は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったか否かを判別する。イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わっていなければ、ステップS202の処理を継続して行う。イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると、コントローラ30は、ステップS204の処理を行う。
ステップS204において、コントローラ30は、ステップS202の処理で得られた計測時間t3が放置時間trestを超えているか否かを判別する。放置時間trestとは、上述したように、ハイレート劣化が解消されるまでの時間であり、実験などにより、予め定めておくことができる。放置時間trestに関する情報は、メモリ30aに記憶することができる。計測時間t3が放置時間trestよりも短いとき、コントローラ30は、ステップS207の処理を行う。
一方、計測時間t3が放置時間trestよりも長いとき、コントローラ30は、ステップS205において、ハイレート劣化が解消されていると判別する。ステップS206において、コントローラ30は、図1で説明したように摩耗劣化係数Kを学習し、摩耗劣化係数Kの算出に用いられる摩耗劣化係数Kを学習後の値に更新する。更新される摩耗劣化係数Kに関する情報は、メモリ30aに記憶することができる。
ステップS207において、コントローラ30は、上記式(1)に基づいて、摩耗劣化係数Kを算出する。すなわち、摩耗劣化係数Kの学習が次に行われるまでは、今回更新された摩耗劣化係数Kを基準とし、上記式(1)に基づいて、摩耗劣化係数Kが算出される。ここで、ステップS201又はステップS204の処理からステップS207の処理に進むときには、ステップS206の処理(摩耗劣化係数Kの学習)が行われていないため、摩耗劣化係数Kを算出するときには、更新されていない摩耗劣化係数Kが用いられる。
例えば、図1において、時刻t0までは、摩耗劣化係数Kの学習が行われないため、摩耗劣化係数Kを算出するときには、摩耗劣化係数Kとして、1が用いられる。時刻t0において、摩耗劣化係数Kの学習が行われると、摩耗劣化係数Kが更新され、時刻t0以降では、最新の摩耗劣化係数Kを用いて、摩耗劣化係数Kが算出される。
本実施例によれば、学習値としての摩耗劣化係数Kと、アレニウスの式に基づいて特定される摩耗劣化係数ΔKとを用いて摩耗劣化係数Kを算出することにより、摩耗劣化係数Kを実際の摩耗劣化に対応した摩耗劣化係数に近づけることができ、摩耗劣化係数の推定精度を向上させることができる。摩耗劣化係数ΔKが実際の摩耗劣化係数から離れても、摩耗劣化係数Kの学習を行ったときには、摩耗劣化係数Kを基準として摩耗劣化係数ΔKが算出されるため、摩耗劣化係数Kを実際の摩耗劣化係数に近づけることができる。
本発明の実施例2について説明する。本実施例では、実施例1で推定した摩耗劣化係数Kcに基づいて、ハイレート劣化を推定するものである。二次電池10の劣化には、摩耗劣化およびハイレート劣化が含まれることがあり、摩耗劣化を精度良く推定できれば、ハイレート劣化も精度良く推定することができる。
まず、本実施例で用いられる電池モデルについて説明する。
図5は、二次電池10の構成を示す概略図である。ここでは、二次電池10の一例として、リチウムイオン二次電池を用いている。二次電池10は、負極(電極ともいう)12と、セパレータ14と、正極(電極ともいう)15とを有する。セパレータ14は、負極12および正極15の間に位置しており、電解液を含んでいる。図5に示す座標軸xは、電極の厚み方向における位置を示す。
負極12および正極15のそれぞれは、球状の活物質18の集合体で構成されている。二次電池10を放電するとき、負極12の活物質18の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を放出する化学反応が行われる。また、正極15の活物質18の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収する化学反応が行われる。
負極12は、銅などで構成された集電板13を有しており、集電板13は、二次電池10の負極端子11nと電気的に接続されている。正極15は、アルミニウムなどで構成された集電板16を有しており、集電板16は、二次電池10の正極端子11pと電気的に接続されている。負極12および正極15の間でのリチウムイオンLi+の授受によって、二次電池10の充放電が行われ、充電電流Ib(<0)または放電電流Ib(>0)が生じる。
二次電池10の放電時において、負極12から放出されたリチウムイオンは、拡散および泳動によって正極15に移動して、正極15に吸収される。このとき、電解液内におけるリチウムイオンの拡散に遅れが生じると、負極12内の電解液では、リチウムイオン濃度(すなわち電解液の塩濃度)が増加する。一方、正極15内の電解液では、リチウムイオン濃度が減少する。この様子を図6に示す。図6に示した平均塩濃度とは、二次電池10の全体において、電解液の塩濃度が均一になったときの値である。例えば、二次電池10の長時間の放置によって、電解液の塩濃度を均一にすることができる。
図7は、電解液塩濃度および反応抵抗の関係を示す。反応抵抗は、活物質18の界面において反応電流が発生したときに、等価的に電気抵抗として作用する抵抗であり、言い換えれば、電極表面におけるリチウムイオンの出入りに関する抵抗成分である。反応抵抗は、電荷移動抵抗とも呼ばれる。
図7に示す特性によれば、反応抵抗は、電解液塩濃度の関数であることが分かる。特に、電解液塩濃度が閾値cthよりも高い領域では、電解液塩濃度の変化に対して反応抵抗の変化は緩やかである。また、電解液塩濃度が閾値cthよりも低い領域では、電解液塩濃度の変化に対して反応抵抗の変化が急である。すなわち、電解液塩濃度が閾値cthよりも低い領域では、電解液塩濃度が閾値cthよりも高い領域と比較して、電解液塩濃度に対する反応抵抗の変化率が大きい。
図6および図7を考慮すると、放電時に正極15内での電解液塩濃度が減少した場合であっても、正極15内の電解液塩濃度が閾値cthよりも高いときには、反応抵抗の低下はほとんど生じないことが分かる。一方、正極15内の電解液塩濃度が閾値cthよりも低いときには、正極15内での電解液塩濃度の低下は、反応抵抗の増加を招くことが分かる。
このような反応抵抗の増加の要因として、例えば、図8Aに示すように、電解液の平均塩濃度が低下することによって、正極15内の電解液塩濃度が閾値cthよりも低くなることが考えられる。また、例えば、図8Bに示すように、放電が繰り返されて累積的に正極15内の電解液塩濃度が低下することによって、正極15内の電解液塩濃度が閾値cthよりも低くなることが考えられる。
放電時に正極15内の電解液塩濃度が低下することによって、反応抵抗が上昇する場合を例示したが、充電時にも、負極12内の電解液塩濃度が低下することによって、反応抵抗が上昇する。
反応抵抗と、電極12,15での電子e-の移動に対する純電気的な抵抗(純抵抗)とを併せたものが、二次電池10をマクロに見た場合の電池抵抗(内部抵抗)における直流抵抗成分に相当する。
本実施例に用いられる基礎的な電池モデル式は、以下の式(6)〜(16)からなる基礎方程式で表される。図9は、電池モデル式で用いられる変数および定数の一覧表を示す。
以下に説明するモデル式中の変数および定数に関して、添字eは電解液中の値であることを示し、sは活物質中の値であることを示す。添字jは、正極および負極を区別するものであり、jが1であるときには正極における値を示し、jが2であるときには負極における値を示す。正極および負極における変数又は定数を包括的に表記する場合には、添字jを省略する。また、時間の関数であることを示す(t)の表記、電池温度の依存性を示す(T)の表記、あるいは、局所SOCθの依存性を示す(θ)等について、明細書中では表記を省略することもある。変数又は定数に付された記号♯は、平均値を表わす。
上記式(6),(7)は、電極(活物質)における電気化学反応を示す式であり、バトラー・ボルマーの式と呼ばれる。
電解液中のリチウムイオン濃度保存則に関する式として、下記式(8)が成立する。活物質内のリチウム濃度保存則に関する式として、下記式(9)の拡散方程式と、下記式(10),(11)に示す境界条件式が適用される。下記式(10)は、活物質の中心部における境界条件を示し、下記式(11)は、活物質の電解液との界面(以下、単に「界面」ともいう)における境界条件を示す。
活物質界面における局所的なリチウム濃度分布である局所SOCθjは、下記式(12)で定義される。下記式(12)中のcsejは、下記式(13)に示されるように、正極および負極の活物質界面におけるリチウム濃度を示している。csj,maxは、活物質内での限界リチウム濃度を示している。
電解液中の電荷保存則に関する式として、下記式(14)が成立し、活物質中の電荷保存則に関する式として、下記式(15)が成立する。活物質界面での電気化学反応式として、電流密度I(t)と、反応電流密度jj Liとの関係を示す下記式(16)が成立する。
上記式(6)〜(16)の基礎方程式で表される電池モデル式は、以下に説明するように、簡易化することができる。電池モデル式の簡易化により、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
負極12および正極15のそれぞれにおける電気化学反応を一様なものと仮定する。すなわち、各電極12,15において、x方向における反応が均一に生じるものと仮定する。また、各電極12,15に含まれる複数の活物質18での反応が均一と仮定するので、各電極12,15の活物質18を、1個の活物質モデルとして取り扱う。これにより、図5に示す二次電池の構造は、図10に示す構造にモデリングすることができる。
図10に示す電池モデルでは、活物質モデル18p(j=1)および活物質モデル18n(j=2)の表面における電極反応をモデリングすることができる。また、図10に示す電池モデルでは、活物質モデル18p,18nの内部におけるリチウムの拡散(径方向)と、電解液中のリチウムイオンの拡散(濃度分布)とをモデリングすることができる。さらに、図10に示す電池モデルの各部位において、電位分布や温度分布をモデリングすることができる。
図11に示すように、各活物質モデル18p,18nの内部におけるリチウム濃度csは、活物質モデル18p,18nの半径方向の座標r(r:各点の中心からの距離、rs:活物質の半径)上での関数として表すことができる。ここで、活物質モデル18p,18nの周方向における位置依存性は、無いものと仮定している。図11に示す活物質モデル18p,18nは、界面での電気化学反応に伴う、活物質の内部におけるリチウム拡散現象を推定するために用いられる。活物質モデル18p,18nの径方向にN分割(N:2以上の自然数)された各領域(k=1〜N)について、リチウム濃度cs,k(t)が、後述する拡散方程式に従って推定される。
図10に示す電池モデルによれば、基礎方程式(6)〜(11),(13)は、下記式(6’)〜(11’),(13’)で表すことができる。
上記式(8’)では、電解液の濃度を時間に対して不変と仮定することによって、cej(t)が一定値であると仮定する。また、活物質モデル18n,18pに対しては、拡散方程式(9)〜(11)が極座標方向の分布のみを考慮して、拡散方程式(9’)〜(11’)に変形される。上記式(13’)において、活物質の界面におけるリチウム濃度csejは、図11に示したN分割領域のうちの最外周の領域におけるリチウム濃度csi(t)に対応する。
電界液中の電荷保存則に関する上記式(14)は、上記式(8’)を用いて、下記式(17)に簡易化される。すなわち、電解液の電位φejは、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる電解液中の平均電位φej♯は、下記式(17)を電極厚さLjで積分した下記式(18)によって求められる。
負極12については、下記式(17)に基づいて、下記式(19)が成立する。このため、電解液平均電位φe2♯と、負極12およびセパレータ14の境界における電解液電位との電位差は、下記式(20)で表される。正極15については、電解液平均電位φe1♯と、正極15およびセパレータ14の境界における電解液電位との電位差は、下記式(21)で表される。
活物質中の電荷保存則に関する上記式(15)についても、下記式(22)に簡易化することができる。すなわち、活物質の電位φsjについても、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる活物質中の平均電位φsj♯は、下記式(22)を電極厚さLjで積分した下記式(23)によって求められる。このため、正極15に関して、活物質平均電位φs1♯と、活物質モデル18pおよび集電板16の境界における活物質電位との電位差は、下記式(24)で示される。同様に、負極12については、下記式(25)が成立する。
図12は、二次電池10の端子電圧V(t)と、上述したように求めた各平均電位との関係を示す。図12において、セパレータ14では、反応電流密度jj Liが0であるため、セパレータ14での電圧降下は、電流密度I(t)に比例し、Ls/κs eff・I(t)となる。
また、各電極中における電気化学反応を一様と仮定したことにより、極板の単位面積当たりの電流密度I(t)と反応電流密度(リチウム生成量)jj Liとの間には、下記式(26)が成立する。
図12に示す電位関係および上記式(26)に基づいて、電池電圧V(t)については、下記式(27)が成立する。下記式(27)は、図12に示す式(28)の電位関係式を前提とする。
次に、平均過電圧η♯(t)を算出する。jj Liを一定にするとともに、バトラー・ボルマーの関係式において、充放電効率を同一として、αajおよびαcjを0.5とすると、下記式(29)が成立する。下記式(29)を逆変換することにより、平均過電圧η♯(t)は、下記式(30)により求められる。
図12を用いて平均電位φs1、φs2を求め、求めた値を上記式(27)に代入する。また、上記式(30)から求めた平均過電圧η1♯(t)、η2♯(t)を上記式(28)に代入する。この結果、上記式(6’)、(26)および上記式(7’)に基づいて、電気化学反応モデル式に従った電圧−電流関係モデル式(M1a)が導出される。
リチウム濃度保存則(拡散方程式)である上記式(9’)および境界条件式(10’),(11’)によって、活物質モデル18p,18nについての活物質拡散モデル式(M2a)が求められる。
モデル式(M1a)の右辺第1項は、活物質表面での反応物質(リチウム)濃度により決定される開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を示し、右辺第2項は、過電圧(η1♯−η2♯)を示し、右辺第3項は、二次電池に電流が流れることによる電圧降下を示す。すなわち、二次電池10の直流純抵抗が,式(M2a)中のR(T)で表わされる。
式(M2a)において、反応物質であるリチウムの拡散速度を規定するパラメータとして用いられる拡散係数Ds1、Ds2は温度依存性を有する。したがって、拡散係数Ds1、Ds2は、例えば、図13に示すマップを用いて設定することができる。図13に示すマップは、予め取得しておくことができる。図13において、横軸の電池温度Tは、温度センサ23を用いて取得された温度である。図13に示すように、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度の低下に応じて低下する。言い換えれば、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度の上昇に応じて上昇する。
拡散係数Ds1、Ds2について、温度の依存性だけでなく、局所SOCθの依存性を考慮してもよい。この場合、電池温度T、局所SOCθおよび拡散係数Ds1、Ds2の関係を示すマップを予め用意しておけばよい。
式(M1a)に含まれる開放電圧U1は、図14Aに示すように、局所SOCθの上昇に応じて低下する。また、開放電圧Uは、図14Bに示すように、局所SOCθの上昇に応じて上昇する。図14Aおよび図14Bに示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθに対応した開放電圧U1、Uを特定することができる。
式(M1a)に含まれる交換電流密度i01、i02は、局所SOCθおよび電池温度Tの依存性を有する。したがって、交換電流密度i01、i02、局所SOCθおよび電池温度Tの関係を示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθおよび電池温度Tから、交換電流密度i01、i02を特定することができる。
直流純抵抗Rは、温度の依存性を有する。したがって、直流純抵抗Rおよび電池温度Tの関係を示すマップを予め用意しておけば、電池温度Tから直流純抵抗Rを特定することができる。なお、上述したマップについては、二次電池10に関する周知の交流インピーダンス測定等の実験結果に基づいて作成することができる。
図10に示す電池モデルは、さらに簡略化することができる。具体的には、電極12,15の活物質として、共通の活物質モデルを用いることができる。図10に示す活物質モデル18n,18pを、1つの活物質モデルとして扱うことにより、下記式(31)に示すような式の置き換えができる。下記式(31)では、正極15および負極12の区別を示す添字jが省略される。
モデル式(M1a)、(M2a)は、下記式(M1b)、(M2b)で表すことができる。また、1つの活物質モデルを用いた電池モデルでは、電流密度I(t)および反応電流密度jj Liの関係式として、上記式(26)の代わりに、下記式(26’)が適用される。
上記式(M1a)中のarcsinh項を一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1c)が得られる。このように線形近似することにより、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
上記式(M1c)では、線形近似の結果、右辺第2項も、電流密度I(t)および反応抵抗Rの積で示される。反応抵抗Rは、上記式(32)に示されるように、局所SOCθおよび電池温度Tに依存する交換電流密度i01,i02から算出される。したがって、上記式(M1c)を用いるときには、局所SOCθ、電池温度Tおよび交換電流密度i01,i02の関係を示すマップを予め用意しておけばよい。上記式(M1c)および上記式(32)によれば、上記式(33)が得られる。
上記式(M1b)における右辺第2項のarcsinh項を線形近似すれば、下記式(M1d)が得られる。
上記式(M1b)は、下記式(M1e)として表すことができる。
上記式(M1e)に含まれる抵抗変化率gは、下記式(34)で示される。
上記式(34)において、Ranは、初期状態における二次電池10の抵抗であり、Rは、使用後(充放電後)における二次電池10の抵抗である。ここで、抵抗Ranは、初期状態における二次電池10の抵抗に限るものではない。抵抗Ranは、抵抗Rの変化に対して基準となる値(固定値)であればよい。例えば、二次電池10を製造した直後における抵抗と、二次電池10の劣化が最大であるときの抵抗(推定値)との間の値(任意)を、抵抗Ranとして設定することができる。
抵抗は、二次電池10の使用に伴う経年的な劣化に応じて変化するため、抵抗Rは、抵抗Ranよりも高くなる。したがって、抵抗変化率gは、1よりも大きな値となる。
上記式(M1e)は、一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1f)で表される。
図15は、コントローラ30の内部構成を示す概略図である。電池状態推定部300は、拡散推定部301と、開放電圧推定部302と、電流推定部303と、パラメータ設定部304と、境界条件設定部305とを含む。図15に示す構成において、電池状態推定部300は、上記式(M1f)および上記式(M2b)を用いることにより、電流密度I(t)を算出する。
本実施例では、上記式(M1f)を用いて電流密度I(t)を算出しているが、これに限るものではない。具体的には、上記式(M1a)〜上記式(M1e)のいずれかと、上記式(M2a)又は上記式(M2b)との任意の組み合わせに基づいて、電流密度I(t)を算出することができる。本実施例では、抵抗変化率gを用いているため、上記式(M1a)〜上記式(M1d)を用いるときには、これらの式のうち、arcsinh項又は、arcsinh項を一次近似(直線近似)した項において、電流密度I(t)に抵抗変化率gを乗算するものとする。
拡散推定部301は、上記式(M2b)を用い、境界条件設定部305で設定された境界条件に基づいて、活物質内部でのリチウム濃度分布を算出する。境界条件は、上記式(10’)又は上記式(11’)に基づいて設定される。拡散推定部301は、上記式(12)を用い、算出したリチウム濃度分布に基づいて局所SOCθを算出する。拡散推定部301は、局所SOCθに関する情報を開放電圧推定部302に出力する。
開放電圧推定部302は、拡散推定部301が算出した局所SOCθに基づいて、各電極12,15の開放電圧U,Uを特定する。具体的には、開放電圧推定部302は、図14Aおよび図14Bに示すマップを用いることにより、開放電圧U,Uを特定することができる。開放電圧推定部302は、開放電圧U,Uに基づいて、二次電池10の開放電圧を算出することができる。二次電池10の開放電圧は、開放電圧Uから開放電圧Uを減算することによって得られる。
パラメータ設定部304は、電池温度Tbおよび局所SOCθに応じて、電池モデル式で用いられるパラメータを設定する。電池温度Tbとしては、温度センサ23による検出温度Tbを用いる。局所SOCθは、拡散推定部301から取得される。パラメータ設定部304で設定されるパラメータとしては、上記式(M2b)中の拡散定数Ds、上記式(M1f)中の電流密度i0および直流抵抗Rがある。
電流推定部303は、下記式(M3a)を用いて、電流密度I(t)を算出(推定)する。下記式(M3a)は、上記式(M1f)を変形した式である。下記式(M3a)において、開放電圧U(θ,t)は、開放電圧推定部302で推定された開放電圧U(θ)である。電圧V(t)は、監視ユニット21を用いて取得した電池電圧Vbである。R(t)およびi(θ,T,t)は、パラメータ設定部304で設定された値である。下記式(M3a)中のgは、抵抗変化率算出部306が算出した抵抗変化率gである。
なお、上記式(M1a)〜上記式(M1e)のいずれかの式を用いる場合であっても、上述した式(M3a)と同様の方法によって、電流密度I(t)を算出することができる。
境界条件設定部305は、上記式(26)又は上記式(26’)を用いて、電流推定部303によって算出された電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。そして、境界条件設定部305は、上記式(11’)を用いて、上記式(M2b)における境界条件を更新する。抵抗変化率算出部306は、上記式(34)で表される抵抗変化率gを算出する。
抵抗Rは、局所SOCθおよび電池温度Tbの変化に応じて変化する。したがって、初期状態にある二次電池10を用いた実験を行うことにより、抵抗R、局所SOCθおよび電池温度Tbの関係を示すマップを予め取得しておくことができる。このマップは、メモリ30aに記憶することができる。抵抗Rは、局所SOCθや電池温度Tbの変化だけでなく、二次電池10の使用(充放電)に伴う経年劣化によっても変化する。
抵抗変化率算出部306は、下記式(35)を用いて、抵抗変化率gを算出する。抵抗変化率算出部306は、算出した抵抗変化率gに関する情報を、電流推定部303、判別部307および抵抗上昇量推定部310に出力する。
上記式(35)において、開放電圧U(θ)は、開放電圧推定部302によって推定された値であり、V(t)は、監視ユニット21から得られた電池電圧Vbである。Ranは、電池温度Tbおよび局所SOCθを特定することにより、電池温度Tb、局所SOCθおよび抵抗Rの関係を示すマップから特定される値である。電流密度I(t)は、電流センサ22による測定電流Ibを単位極板面積で除算した値である。
判別部307は、タイマ307aを備えており、ハイレート劣化が解消されたか否かを判別する。判別部307は、二次電池10を放置している間の計測時間が、予め定められた放置時間trestを超えているか否かを判別し、計測時間が放置時間trestを超えているときには、ハイレート劣化が解消されていると判別する。判別部307には、イグニッションスイッチのオン/オフに関する情報が入力され、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったときに、判別部307は、二次電池10が放置されていると判別する。
記憶部308は、ハイレート劣化が解消されているときの抵抗変化率g(以下、g(t0)という)を記憶する。ここで、t0は、実施例1(図1)で説明した時刻t0に対応している。抵抗変化率g(t0)は、抵抗変化率算出部306によって算出された値である。摩耗劣化推定部309は、記憶部308に記憶された抵抗変化率g(t0)と、摩耗劣化係数ΔKとを用いて、抵抗変化率g(t0)’を算出する。抵抗変化率g(t0)’を算出する方法について、以下に説明する。ここで、摩耗劣化係数ΔKは、実施例1で説明した方法によって算出され、摩耗劣化係数ΔKに関する情報は、摩耗劣化推定部309に入力される。
まず、抵抗変化率g(t0)を摩耗劣化係数Kに変換する。ここで、抵抗変化率g(t0)および摩耗劣化係数Kは、ハイレート劣化が解消された状態で得られる値であり、相関関係がある。実施例1で説明した上記式(5)から分かるように、摩耗劣化係数Kは、内部抵抗R(t0)および内部抵抗R(ini)の比として表される。
上記式(M1f)から、二次電池10の内部抵抗Rは、下記式(36)で表される。下記式(36)において、Rは、直流抵抗を示し、Rは、反応抵抗を示す。
上記式(36)によれば、摩耗劣化係数Kは、下記式(37)で表される。
上記式(37)によれば、記憶部308に記憶された抵抗変化率g(t0)を用いることにより、摩耗劣化係数K(t0)を算出することができる。ここで、時刻iniにおける抵抗変化率gとしては、予め定められた値が用いられる。具体的には、時刻t0,iniにおける電池温度Tから、直流抵抗Rを特定することができる。また、時刻t0,iniにおける電池温度、抵抗変化率gおよび局所SOCθから、反応抵抗Rを特定することができる。時刻t0,iniにおける直流抵抗Rおよび反応抵抗Rを特定することにより、摩耗劣化係数K(t0)を算出することができる。
実施例1で説明したように、摩耗劣化係数Kおよび摩耗劣化係数ΔKを加算することにより、現在の摩耗劣化係数Kを算出することができる。摩耗劣化推定部309は、上述したように、抵抗変化率g(t0)から摩耗劣化係数Kを算出するとともに、算出した摩耗劣化係数Kを、入力された摩耗劣化係数ΔKに加算することにより、摩耗劣化係数Kを算出する。
また、摩耗劣化推定部309は、下記式(38)を用いることにより、摩耗劣化係数Kから抵抗変化率g(t0)’を算出する。
上記式(38)から分かるように、抵抗変化率g(t0)’は、摩耗劣化係数ΔK,Kを考慮した値となる。すなわち、抵抗変化率g(t0)’は、実施例1(図1)で説明した摩耗劣化係数Kに対応した値となる。摩耗劣化推定部309は、算出した抵抗変化率g(t0)’を抵抗上昇量推定部310に出力する。
抵抗上昇量推定部310は、ハイレート抵抗上昇量ΔRを算出(推定)する。ハイレート抵抗上昇量ΔRとは、ハイレート劣化に伴う内部抵抗の上昇量である。電流推定部303で推定された電流密度(推定電流密度という)I(t)と、電流センサ22の測定電流Ibから得られる電流密度(測定電流密度という)I(t)との間に誤差が発生したときに、ハイレート劣化を観測できる。推定電流密度I(t)および測定電流密度I(t)は、同一のタイミングで得られる電流密度である。ハイレート劣化の観測方法に関して、以下に説明する。
上述した電池モデルでは、すべての電流が活物質18を流れて電気化学反応に関与するとの前提で導出されている。しかしながら、実際には、特に低温時等において、電解液および活物質の界面に電気二重層キャパシタが生じることにより、電池電流が、電気化学反応に関与する電気化学反応電流成分と、キャパシタを流れるキャパシタ電流成分とに分流されることがある。この場合には、キャパシタ電流成分を電気化学反応電流成分と分離するように、電池モデル式を構成するのが好ましい。
上述した基礎的な電池モデルでは、電極12,15の表面におけるリチウムイオンの反応、電極12,15の活物質18におけるリチウムイオンの拡散、および電解液でのリチウムイオンの拡散がモデル化されている。これに対し、電池状態推定部300に適用される簡易化された電池モデルは、基礎的な電池モデルにおいて、電極厚さ方向の反応は一様であるとする仮定と、電極12,15でのリチウムイオンの濃度は一定であるとする仮定の下で構成されている。
電解液中のリチウムイオンの濃度、すなわち電解液の塩濃度が十分に高い場合には、簡易化された電池モデルでの上記仮定を満足することはできる。電解液の塩濃度が十分に高い場合には、充放電によって電極内の電解液の塩濃度が変化したとしても、この塩濃度の変化が反応抵抗に及ぼす影響が小さい。したがって、電流密度I(t)を精度良く推定することができる。
一方、簡易化された電池モデルでの上記仮定は、電極内の電解液の塩濃度が低い場合に生じる反応抵抗の上昇が考慮されていない。この反応抵抗の上昇を、ハイレート抵抗上昇という。このため、簡易化された電池モデルによって推定された電流密度I(t)と、電流センサ22による検出電流Ibに対応する電流密度との間には、誤差が生じる。
この点を考慮すると、電流密度の誤差に基づいて、ハイレート劣化(指標)を推定することができる。例えば、電解液の塩濃度(リチウムイオン濃度)の拡散方程式を簡易化することにより、電極内の電解液における塩濃度変化は、下記式(39),(40)によって推定することができる。
上記式(39),(40)において、Δceは、負極内における電解液の塩濃度と、正極内における電解液の塩濃度との差である(図6参照)。Deffは、電解液の有効拡散係数であり、εeは、電解液の体積分率であり、t+ 0はリチウムイオンの輸率であり、Fはファラデー定数である。Δtは、電流密度の推定処理を行う時間間隔(時間刻み)であり、Δxは拡散距離(図6参照)である。Tは電池温度であり、I(t)は電流密度である。
例えば、二次電池10を放電するとき、塩濃度差Δceは、図6に示すように、負極での塩濃度の増加量と、正極での塩濃度の減少量との合計となる。塩濃度の増加量および減少量は、平均塩濃度に対する変化量である。
上記式(39)、(40)によって推定された電極間での電解液の塩濃度差Δceと、電流推定誤差(I−I)(Iは推定電流密度、Iは測定電流密度)との相関を図16に示す。図16によれば、塩濃度差Δceが大きくなるときに、電流推定誤差が大きくなる傾向がある。
したがって、塩濃度差Δceが大きいときの電流推定誤差(I−I)の値を、ハイレート劣化として利用することができる。ここで、塩濃度差Δceが大きいという条件としては、例えば、塩濃度差Δceの値が、予め設定された所定値以上であるという条件、または、塩濃度差Δceの値が、予め設定された所定範囲内に存在するという条件がある。本実施例では、推定電流密度Iおよび測定電流密度Iの差分を用いているが、これに限るものではなく、推定電流密度Iおよび測定電流密度Iの比を用いることもできる。
塩濃度差Δceが大きい領域において電流推定誤差(I−I)が発生するのは、電極内での電解液の塩濃度が低下することによって発生する電池抵抗の上昇分が、実際の二次電池10と電池モデルとで異なるからであると考えられる。一方、電池抵抗の上昇を含む電圧変化量ΔVは、実際の二次電池10と電池モデルとで等しい。実際に発現する電池抵抗をRとし、電池モデルにおける電池抵抗をRとすると、下記式(41)が成り立つ。
本実施例では、上記式(41)に関連して、下記式(42)を定義する。
ΔV(t1)は、二次電池10の電圧降下量を示す。I(t1)は、電流センサ22による検出電流Ibから得られた電流密度であり、R(t1)は、検出電流Ibが得られたときの電池抵抗である。I(t1)は、電流推定部303によって推定された電流密度I(t)であり、R(t1)は、電流推定部303によって推定された電流密度I(t)に対応する電池抵抗である。I(t0)は、二次電池10を放置することによってハイレート劣化が解消したときの電流密度であり、R(t0)は、電流密度I(t0)に対応する電池抵抗である。ここで、t1は、図1に示す時刻t1に対応し、t0は、図1に示す時刻t0に対応する。
上記式(42)において、下記式(43)の関係が成り立つ。
上記式(42)において、電池抵抗R(t1)には、ハイレート抵抗上昇量が含まれる可能性があり、電池抵抗R(t1)は、ハイレート劣化が発生していないときの電池抵抗R(t0)よりも高くなる。
上記式(M1f)によれば、上記式(42)は、下記式(44)で表すことができる。
上記式(44)において、ハイレート劣化に影響を与えない成分に関する値(I×R)は省略する。また、温度T(t0)を温度T(t1)と仮定する。このように仮定すると、上記式(44)は、下記式(45)で表される。
上記式(45)は、下記式(46)に変形することができる。
上記式(46)によれば、抵抗変化率g(t1),g(t0)を算出しておき、電流推定部303によって電流密度I(t1)を推定すれば、ハイレート劣化が発生していないときの電流密度I(t0)を推定することができる。
ハイレート劣化に伴う抵抗上昇量ΔRは、下記式(47)で示すように、ハイレート劣化による電池抵抗Rと、摩耗劣化による電池抵抗Rr0との差分に相当する。
上記式(47)の両辺に電池電流Iを掛ければ、下記式(48)に示すように、ハイレート劣化による電圧降下量ΔVhrを算出することができる。
推定電流密度Iから算出される推定抵抗Rについて、ハイレート劣化の影響が小さく、無視できるものと仮定すると、抵抗Rr0は、推定抵抗Rと見なすことができる。このため、上記式(47),(48)は、下記式(49),(50)で表される。
一方、ハイレート劣化は、推定電流Iおよび測定電流Iの誤差として観察できるため、ハイレート劣化に伴う電圧降下量ΔVhmは、下記式(51)で表される。
上記式(51)において、ΔIは、電流推定誤差である。
測定値としての電圧降下量ΔVhrと、推定値としての電圧降下量ΔVhmとが等しいと仮定すると、上記式(49)〜(51)から下記式(52)が得られる。
上記式(52)から下記式(53)が得られる。
また、上記式(42)を用いれば、ハイレート抵抗上昇量ΔR(t1)を、下記式(54)で表すことができる。
上記式(54)に含まれる補正係数ξは、下記式(55)で表される。
上記式(55)によれば、抵抗変化率g(t1), g(t0)と、電流推定部330によって推定された電流密度I(t1)とに基づいて、ハイレート劣化が発生していないときの電流密度I(t0)を算出することができる。ここで、抵抗変化率g(t0)としては、摩耗劣化推定部309によって算出された抵抗変化率g(t0)’が用いられる。
電流密度I(t0)を算出すれば、上記式(42)に基づいて、電池抵抗R(t0)を算出(推定)することができる。すなわち、電圧降下量ΔV(t1)を電流密度I(t0)で除算すれば、電池抵抗R(t0)を算出することができる。電流密度I(t0)および電池抵抗R(t0)を算出できれば、上記式(54)を用いて、ハイレート抵抗上昇量ΔR(t1)を算出することができる。
一方、下記式(56)に示すように、ハイレート抵抗上昇率γを定義することができる。ハイレート抵抗上昇率γは、ハイレート劣化を評価するために用いることができる。
ハイレート抵抗上昇率γを用いてハイレート劣化を評価する方法としては、例えば、許容値γlimを設定しておき、ハイレート抵抗上昇率γが許容値γlimを超えているときに、ハイレート劣化が発生していると判定することができる。許容値γlimは、ハイレート抵抗上昇量ΔR(t1)と、ハイレート劣化が発生していないときの電池抵抗R(t0)とに基づいて設定される。電池抵抗R(t0)は、摩耗劣化による抵抗に相当する。ここで、二次電池10の寿命を考慮して、摩耗劣化による抵抗と、ハイレート抵抗上昇量ΔR(t1)とを予め決めておけば、許容値γlimを設定することができる。
また、ハイレート抵抗上昇率γが許容値γlimを超えているときには、ハイレート劣化が発生していると判定することができる。ハイレート劣化が発生しているときには、二次電池10の入出力を制限することができる。二次電池10の入出力を制限する場合としては、電圧、電流および電力のうち、少なくとも1つの制御パラメータを制限することができる。入出力を制限する方法については、周知であるため、詳細な説明は省略する。
一方、解消値γaを設定しておくことにより、ハイレート劣化が解消されているか否かを判別することもできる。解消値γaは、許容値γlimよりも低い値であり、予め定めておくことができる。
上記式(56)に示すように、ハイレート抵抗上昇率γを定義することにより、電流密度I(t1),I(t1)を取得するだけで、ハイレート抵抗上昇率γを算出することができ、ハイレート抵抗上昇量ΔRを算出する場合と比べて、演算負荷を低減することができる。
次に、電池状態推定部300の処理について、図17に示すフローチャートを用いて説明する。図17に示す処理は、所定の周期で実行される。
電池状態量推定部300は、ステップS301において、監視ユニット21の出力に基づいて電池電圧Vbを取得し、ステップS302において、温度センサ23の出力に基づいて電池温度Tbを取得する。
ステップS303において、電池状態推定部300(拡散推定部301)は、上記式(M2b)を用いた前回の演算時におけるリチウム濃度分布に基づき、局所SOCθを算出する。ステップS304において、電池状態推定部300(開放電圧推定部302)は、ステップS303で得られた局所SOCθから、開放電圧U(θ)を算出する。
ステップS305において、電池状態推定部300(電流推定部303)は、上記式(M1f)を用いて、電流密度I(t)を算出(推定)する。推定電流密度I(t)は、電池電圧Vbと、ステップS303で得られた開放電圧U(θ)と、パラメータ設定部304で設定されたパラメータ値とを、上記式(M3a)に代入することによって得られる。
推定電流密度I(t)(I(t1)と同じ)が得られれば、上記式(42)を用いて、推定抵抗R(t1)を算出することができる。ここで、抵抗変化率算出部306は、上記式(35)を用いることにより、抵抗変化率gを算出する。
具体的には、上記式(35)において、開放電圧U(θ)として、開放電圧推定部302が推定した値を用い、電圧V(t)として、監視ユニット21から取得した電池電圧Vbを用いることができる。また、電池温度Tb、局所SOCθおよび抵抗Ranの関係を示すマップを用いることにより、電池温度Tbおよび局所SOCθから抵抗Ranを特定することができる。電流密度I(t)としては、電流センサ22による検出電流Ibから特定される電流密度I(t)を用いることができる。
ステップS306において、電池状態推定部300(境界条件設定部305)は、ステップS305で得られた推定電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。また、電池状態推定部300(境界条件設定部305)は、算出した反応電流密度を用いて、上記式(M2b)の活物質界面における境界条件(活物質界面)を設定する。
ステップS307において、電池状態推定部300(拡散推定部301)は、上記式(M2b)を用いて、活物質モデルの内部におけるリチウムイオン濃度分布を算出し、各領域におけるリチウムイオン濃度の推定値を更新する。ここで、最外周の分割領域におけるリチウムイオン濃度(更新値)は、図17に示す処理を次回行うときに、ステップS303における局所SOCθの算出に用いられる。
図18は、抵抗変化率gの学習処理を説明するフローチャートである。図18に示す処理は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったときに、判別部307によって行われる。図18に示す処理は、実施例1で説明したように、ハイレート劣化が解消されたことを確認した後に行われる。
ステップS401において、判別部307は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったタイミングから、タイマ307aを用いた時間t4の計測を行う。ステップS402において、判別部307は、ステップS401で取得した計測時間t4が許容時間taを超えていないか否かを判別する。
許容時間taとは、ハイレート劣化の影響を無視できる時間であり、予め設定することができる。イグニッションスイッチがオンになった直後の時間帯では、ハイレート劣化が発生しにくい状況にあるため、この時間帯を許容時間taとして設定する。許容時間taに関する情報は、予めメモリ30aに記憶しておくことができ、判別部307は、許容時間taに関する情報をメモリ30aから読み出すことができる。
計測時間t4が許容時間taよりも短いとき、判別部307は、ステップS403において、抵抗変化率算出部306によって算出された抵抗変化率g(t0)を記憶部308に記憶する。判別部307は、抵抗変化率算出部306から抵抗変化率gを取得しており、計測時間t4が許容時間taよりも短いときには、抵抗変化率算出部306から取得した抵抗変化率gを記憶部308に記憶する。
計測時間t4が許容時間taよりも長いとき、判別部307は、抵抗変化率gを記憶部308には記憶させずに、本処理を終了する。計測時間t4が許容時間taよりも長いとき、抵抗変化率算出部306によって算出された抵抗変化率g(t1)は、抵抗上昇量推定部310に出力される。
次に、現在のハイレート抵抗上昇量ΔRを算出する処理について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、図1に示す時刻t1におけるハイレート抵抗上昇量ΔRを算出(推定)する処理について説明する。
ステップS501において、摩耗劣化推定部309は、記憶部308に記憶された抵抗変化率g(t0)を取得し、抵抗変化率g(t0)から摩耗劣化係数Kを算出する。摩耗劣化係数Kは、上記式(37)を用いて算出することができる。
ステップS502において、摩耗劣化推定部309は、摩耗劣化係数ΔKを取得するとともに、摩耗劣化係数ΔKと、ステップS501で算出した摩耗劣化係数Kとを加算することにより、摩耗劣化係数Kを算出する。摩耗劣化係数ΔKは、実施例1で説明した方法によって算出される。
ステップS503において、摩耗劣化推定部309は、ステップS502で算出された摩耗劣化係数Kに基づいて、抵抗変化率g(t0)’を算出する。抵抗変化率g(t0)’は、上記式(38)を用いて算出することができる。ステップS504において、抵抗上昇量推定部310は、抵抗変化率算出部306から取得した抵抗変化率g(t1)と、摩耗劣化推定部309から取得した抵抗変化率g(t0)’とを用いて、ハイレート抵抗上昇量ΔRを算出する。
抵抗上昇量推定部310は、抵抗変化率g(t0)’および抵抗変化率g(t1)を上記式(55)に代入することにより、補正係数ξを算出する。また、抵抗上昇量推定部310は、上記式(55)を用いて、補正係数ξおよび推定電流密度I(t1)から推定電流密度I(t0)を算出する。推定電流密度I(t0)を算出すれば、上記式(42)から、推定抵抗R(t0)を算出することができる。
抵抗上昇量推定部310は、上記式(54)を用いて、ハイレート抵抗上昇量ΔR(t1)を算出する。具体的には、上記式(54)に対して、測定電流密度I(t1)、推定電流密度I(t1)、補正係数ξおよび推定抵抗R(t0)を代入することにより、ハイレート抵抗上昇量ΔR(t1)を算出することができる。
本実施例によれば、上記式(54)を用いることにより、二次電池10の抵抗上昇量Rに含まれるハイレート抵抗上昇量ΔRを特定することができる。ここで、上記式(49)又は上記式(54)によれば、ハイレート劣化が発生していないときの電池抵抗Rを用いているが、電池抵抗Rにハイレート抵抗上昇量が含まれているおそれもある。
そこで、本実施例では、補正係数ξを用いることにより、ハイレート劣化が発生していないときの電流密度I(t0)や抵抗R(t0)を特定することができ、ハイレート抵抗上昇量ΔRの推定精度を向上させることができる。具体的には、ハイレート劣化が発生していないときの抵抗変化率g(t0)’と、ハイレート劣化が発生しているときの抵抗変化率g(t1)との比率(補正係数ξ)を用いることにより、電流密度I(t1)や電池抵抗R(t1)を、ハイレート劣化が発生していないときの電流密度I(t0)や電池抵抗R(t0)に変換することができる。
ここで、ハイレート劣化が発生していないときの抵抗変化率としては、摩耗劣化推定部309によって算出された抵抗変化率g(t0)’を用いている。記憶部308に記憶された抵抗変化率g(t0)も、ハイレート劣化が発生していないときの抵抗変化率であるが、これは、摩耗劣化係数Kだけに対応している。実施例1で説明したように、二次電池10の摩耗劣化係数(K)は、摩耗劣化係数ΔK,Kの総和として表されるため、ハイレート劣化が発生していないときの抵抗変化率、言い換えれば、摩耗劣化だけに対応した抵抗変化率についても、摩耗劣化係数ΔK,Kの総和を考慮する必要がある。
抵抗変化率g(t0)’は、摩耗劣化係数K(摩耗劣化係数ΔK,Kの合計)に対応した値であり、実施例1で説明したように、摩耗劣化係数Kを用いることにより、摩耗劣化の推定精度を向上させることができる。このため、抵抗変化率g(t0)’を用いて、ハイレート抵抗上昇量ΔRを算出することにより、ハイレート抵抗上昇量ΔRの推定精度も向上させることができる。
本実施例では、Iを推定電流密度とし、Iを測定電流密度としたが、これに限るものではない。推定された電流密度に電極表面積を乗算して得られる電流をIとし、測定電流をIとすることもできる。
本実施例では、抵抗変化率g(t1)、g(t0)を用いて補正係数ξを算出しているが、これに限るものではない。下記式(57)に示すように、抵抗変化率gおよび容量維持率kを用いて補正係数ξを算出することもできる。
容量維持率kは、劣化状態にある単極の容量を、初期状態にある単極の容量で除算した値である。二次電池10が劣化したとき、単極の容量は、初期状態の容量よりも減少する。
正極の容量維持率kは、下記式(58)で表される。
ここで、Q1_iniは、二次電池10が初期状態にあるときの正極15の容量であり、実験などによって予め特定しておくことができる。ΔQは、正極15の容量が劣化に伴って減少する量である。容量維持率kは、劣化後の満充電容量を、初期状態の満充電容量と比較することによって算出することができる。
負極の容量維持率kは、下記式(59)で表される。
ここで、Q2_iniは、二次電池10が初期状態にあるときの負極12の容量であり、実験などによって予め特定しておくことができる。ΔQは、負極12の容量が劣化に伴って減少する量である。容量維持率kは、劣化後の満充電容量を、初期状態の満充電容量と比較することによって算出することができる。
上記式(57)に示す容量維持率kについては、正極15および負極12の少なくとも一方における容量維持率を考慮することができる。
本実施例では、計測時間t1が放置時間trestよりも長いときに、ハイレート劣化が解消していると判定しているが、これに限るものではない。例えば、ハイレート抵抗上昇量ΔRやリチウム塩濃度の偏り量に基づいて、ハイレート劣化が解消しているか否かを判別することができる。ここで、ハイレート劣化の解消を判別するときには、計測時間t1、ハイレート抵抗上昇量ΔRおよびリチウム塩濃度の偏り量のうち、少なくとも1つのパラメータを用いることができる。
ハイレート抵抗上昇量ΔRを用いるときには、ハイレート抵抗上昇量ΔRが、予め定められた解消値よりも小さいときに、ハイレート劣化が解消されていると判別することができる。一方、リチウム塩濃度の偏り量は、上記式(39)に示す塩濃度差Δcによって特定することができる。ここで、塩濃度差Δcが、予め定めた解消値よりも小さいとき、ハイレート劣化が解消されていると判別することができる。
上述した基礎的な電池モデルは、電極12,15の厚さ方向における反応が一様であるとする仮定と、電極12,15におけるリチウムイオンの濃度が一定であるとする仮定の下で構成されている。基礎的な電池モデルの代わりに、電極12,15の間におけるリチウムイオン濃度の差による過電圧Δφ(t)を考慮した電池モデルを用いることもできる。
上記式(14)において、直流抵抗による電圧降下と、リチウムイオン濃度の差による過電圧とが独立していると仮定する。この場合には、下記式(60)に示すように、電極12,15の間におけるリチウムイオン濃度の差による過電圧Δφej(x、t)と、電極12,15の間におけるリチウムイオン濃度の差ΔCej(x、t)との関係が得られる。
上記式(60)から、過電圧Δφ(t)を求めると、下記式(61)となる。
上記式(61)において、Ce,iniは、二次電池10が初期状態にあるときのリチウムイオンの濃度を示す。
上記式(61)を一次近似(線形近似)すると、下記式(62)が得られる。
上記式(62)に示す濃度差は、上記式(39)、(40)から求めることができ、下記式(39’a)、(40’)で表すことができる。
上記式(39’a)は、電極12,15の間におけるリチウムイオン濃度の差に関する式であるため、上記式(40’)に示すように、上記式(40)に示す係数α、βとは異なる係数α、βを定義する。
時間変化Δtがn回進むと、上記式(39’a)は、下記式(39’b)で表すことができる。
上記式(62)に、上記式(39’b)に示す濃度差ΔCを代入すれば、過電圧Δφ(t)を求めることができる。
一方、上記式(M1b)において、過電圧Δφ(t)を考慮すると、下記式(M1g)で表すことができる。
同様に、上記式(M1e)において、過電圧Δφ(t)を考慮すると、下記式(M1h)で表すことができる。
上記式(M1h)を一次近似(線形近似)すると、下記式(M1i)が得られる。
過電圧Δφ(t)を考慮した電池モデルでは、上記式(M1i)を用いて電流密度I(t)を算出することができる。すなわち、上記式(M1f)を用いて電流密度I(t)を算出する過程において、上記式(62)および上記式(39’b)から算出される過電圧Δφ(t)を考慮すればよい。
また、過電圧Δφ(t)を考慮した電池モデルでは、補正係数ξを以下のように求めることができる。
上記式(M1i)を用いて、時間t0,t1における電圧降下量ΔV(t0),ΔV(t1)をそれぞれ求めると、下記式(63)、(64)で表される。時間t0は、ハイレート劣化が解消したときの時間であり、時間t1は、電流などを検出したときの時間である。
上記式(63)、(64)および上記式(55)を用いれば、補正係数ξは、下記式(65)で表すことができる。
また、抵抗変化率gおよび容量維持率kを用いれば、補正係数ξは、下記式(66)で表すことができる。
上記式(65)、(66)は、下記式(67)に示す関係を有する。
補正係数ξは、上記式(65)、(66)に基づいて算出することができるが、上記式(65)、(66)に示す一部のパラメータを、仮定した値として設定すれば、補正係数ξの算出を簡素化することができる。例えば、温度T(t0)が温度T(t1)と等しいと仮定したり、直流純抵抗R(T,t0)が直流純抵抗R(T,t1)と等しいと仮定したりすることができる。また、交換電流密度i(θ,T,t0)が交換電流密度i(θ,T,t1)と等しいと仮定したり、過電圧Δφ(t0)が過電圧Δφ(t1)と等しいと仮定したりすることができる。
本発明の実施例3について説明する。実施例2で説明した抵抗変化率g(t0)の学習は、電池温度およびSOCが特定の状態にあるときに行われる。言い換えれば、特定の電池温度およびSOCに対応した抵抗変化率gだけが学習されることになる。このため、特定の電池温度とは異なる電池温度における抵抗変化率gや、特定のSOCとは異なるSOCにおける抵抗変化率gについては、学習できないことになる。
本実施例は、抵抗変化率gを学習していない条件(電池温度やSOC)において、抵抗変化率gを特定するものである。抵抗変化率gは、電池温度およびSOCに依存するため、図20に示すマップで表すことができる。すなわち、電池温度およびSOCを特定することにより、抵抗変化率gを特定することができる。すべての電池温度や、すべてのSOCについて、抵抗変化率gを学習していないとき、図20に示すマップでは、学習領域および未学習領域が存在する。
抵抗変化率gの学習を行う前は、実験などに基づいて、図20に示すマップが作成される。ここで、マップに記憶された抵抗変化率gは、初期値となる。学習領域では、初期値としての抵抗変化率gが、学習値としての抵抗変化率gに変更される。実施例1で説明したように、摩耗劣化係数Kが学習されると、最新の摩耗劣化係数Kが用いられる。これと同様に、ハイレート劣化が発生していないときの抵抗変化率gを学習したときには、初期値としての抵抗変化率gが、学習値としての抵抗変化率gに変更される。未学習領域では、初期値としての抵抗変化率gが記憶されたままである。
未学習領域では、学習値としての抵抗変化率gを用いることができず、ハイレート劣化の推定精度を向上させることができない。そこで、本実施例では、特定の学習領域における学習前後の抵抗変化率gの関係に基づいて、未学習領域における抵抗変化率gを補正するようにしている。
図21を用いて、未学習領域における抵抗変化率gを補正する方法について説明する。図21において、縦軸は、抵抗変化率gを示し、横軸は、電池温度又はSOCを示す。図21では、2次元の座標系において、抵抗変化率gを特定しているが、電池温度およびSOCの両者を考慮するときには、3次元の座標系において、抵抗変化率gが特定される。
図21において、初期値Aini,Biniのそれぞれは、予め設定された抵抗変化率gである。ここで、初期値Aと同一の条件(電池温度又はSOC)において、抵抗変化率gの学習によって、学習値Aが得られたとする。一方、初期値Biniと同一の条件(電池温度又はSOC)では、抵抗変化率gの学習が行われていないものとする。
この場合には、初期値Ainiおよび学習値Aの関係から特定される補正係数を用いて、初期値Biniを補正することができる。具体的には、補正係数として、初期値Ainiおよび学習値Aの比(A/Aini)を用い、補正係数を初期値Biniに乗算することにより、補正値Bを算出することができる。ここで、初期値Ainiおよび学習値Aの比としては、実施例2で説明した上記式(37)を考慮すると、摩耗劣化係数Kを用いることができる。すなわち、摩耗劣化係数Kを学習したときには、この摩耗劣化係数Kを初期値Biniに乗算することにより、補正値Bを算出することができる。
一方、図22に示すように、抵抗変化率gの学習によって、2つの学習値A,Bが得られたとする。この場合において、学習値Aを取得した条件と、学習値Bを取得した条件との間に位置する条件(未学習領域)については、直線補間によって、抵抗変化率gを算出することができる。すなわち、2つの学習値A,Bを直線で結んだとき、この直線上に位置する抵抗変化率gを未学習領域の抵抗変化率gとすることができる。
図22において、学習値A,Bを取得したときの時間間隔は、所定時間以下であることが好ましい。時間間隔は、学習値A(又は学習値B)を取得したタイミングから、学習値B(又は学習値A)を取得したタイミングまでの時間である。時間間隔が長くなるほど、二次電池10の劣化が進行してしまい、学習値A,Bは、互いに異なる劣化状態で取得された値となってしまう。このため、学習値A,Bに基づいて、直線補間を行っても、未学習領域の抵抗変化率gとして、精度の高い値を得ることができない。
図20に示すマップは、抵抗変化率gの学習を行ったときに更新される。ここで、所定時間の間で、複数の学習値を取得したときには、これらの学習値を図20に示すマップのうち、対応する領域に記憶することができる。そして、未学習領域については、図21又は図22で説明した方法によって、抵抗変化率gを補正することができる。
一方、所定時間を超えて、複数の学習値を取得したときには、直近の学習値だけを用いて、図20に示すマップを更新する。具体的には、図21で説明した方法を用いて、図20に示すマップにおける未学習領域の抵抗変化率gを補正することができる。
図20に示すマップを更新する処理について、図23に示すフローチャートを用いて説明する。図23に示す処理は、コントローラ30によって実行される。ここでは、複数の抵抗変化率gが学習されたものとする。
ステップS601において、コントローラ30は、経過時間t5を算出する。経過時間t5は、複数の抵抗変化率gを学習したタイミングの間における時間間隔である。経過時間t5は、直近に抵抗変化率gを学習したタイミングを基準として決定される。
例えば、抵抗変化率gの学習が3回行われたとき、1回目に学習した抵抗変化率gについては、1回目の学習タイミングから3回目の学習タイミングまでの時間が経過時間t5となる。また、2回目に学習した抵抗変化率gについては、2回目の学習タイミングから3回目の学習タイミングまでの時間が経過時間t5となる。3回目に学習した抵抗変化率gについては、経過時間t5が0となる。このように、複数の抵抗変化率gを学習したときには、抵抗変化率g毎に経過時間t5が算出される。
ステップS602において、コントローラ30は、ステップS601で取得した経過時間t5が所定時間Δt_th5以下であるか否かを判別する。経過時間t5が所定時間Δt_th5以下であるとき、コントローラ30は、ステップS603の処理を行う。一方、経過時間t5が所定時間Δt_th5よりも長いとき、コントローラ30は、ステップS604の処理を行う。
ステップS603において、コントローラ30は、所定時間Δt_th5以下の経過時間t5に対応した抵抗変化率g(学習値)を、図20に示すマップのうち、条件(温度およびSOC)が一致する領域に記憶する。ここで、ステップS602の処理からステップS604の処理に進むとき、学習値としての抵抗変化率gは、マップに記憶されない。すなわち、所定時間Δt_th5よりも長い経過時間t5に対応した抵抗変化率gは、マップに記憶されない。
ステップS604において、コントローラ30は、すべての学習値(抵抗変化率g)に対して、ステップS602,S603の処理を行ったか否かを判別する。すべての学習値について、ステップS602,S603の処理を行っていなければ、ステップS602の処理に戻る。一方、すべての学習値について、ステップS602,S603の処理を行っていれば、ステップS605の処理に進む。
ステップS605において、コントローラ30は、初期値および学習値に基づいて、補正係数を算出する。具体的には、コントローラ30は、補正係数として、初期値としての抵抗変化率gと、学習値としての抵抗変化率gとの比を算出する。ステップS606において、コントローラ30は、ステップS605で算出した補正係数を用いて、未学習領域における初期値を補正する。具体的には、補正係数を初期値に乗算することにより、補正値を算出する。なお、図22で説明した方法によって、補正値を算出することもできる。
ステップS607において、コントローラ30は、ステップS606で算出した補正値を、対応する未学習領域に記憶する。これにより、学習値および補正値によって構成されたマップが得られる。
本実施例によれば、学習領域における初期値および学習値の関係に基づいて、未学習領域の初期値を補正することにより、学習情報を、未学習領域にも反映させることができる。これにより、未学習領域では、補正値を用いてハイレート抵抗上昇量ΔRを算出することができ、初期値を用いてハイレート抵抗上昇量ΔRを算出する場合に比べて、ハイレート抵抗上昇量ΔRの推定精度を向上させることができる。
本実施例では、図20に示すマップとして、抵抗変化率gを特定しているが、これに限るものではない。実施例2で説明したように、容量維持率kを考慮してハイレート抵抗上昇量を推定するときには、容量維持率kを補正することができる。この場合には、容量維持率kに関して、図20に示すマップと同様のマップを作成すればよい。また、摩耗劣化係数Kについても、図20に示すマップと同様のマップを作成することができる。この場合でも、本実施例で説明した方法によって、摩耗劣化係数Kを学習するたびに、未学習領域の摩耗劣化係数Kを補正することができる。
100:組電池 10:二次電池
21:監視ユニット 22:電流センサ
23:温度センサ 24:電流制限抵抗
31:インバータ 32:モータ・ジェネレータ
30:コントローラ 30a:メモリ
11n:負極端子 11p:正極端子
12:負極 15:正極
14:セパレータ 13,16:集電板
18:活物質 18p,18n:活物質モデル
300:電池状態推定部 301:拡散推定部
302:開放電圧推定部 303:電流推定部
304:パラメータ設定部 305:境界条件設定部
306:抵抗変化率算出部 307:判別部
307a:タイマ 308:記憶部
309:摩耗劣化推定部 310:抵抗上昇量推定部

Claims (9)

  1. 二次電池の劣化状態を推定する推定装置であって、
    前記劣化状態のうち、前記二次電池の摩耗による劣化量を推定するコントローラを有し、
    前記コントローラは、
    アレニウスの式に基づく推定式であって、時間の経過とともに前記劣化量を上昇させる推定式を用いて、前記劣化量を推定し、
    前記二次電池の内部における塩濃度の偏りが解消された状態において、前記劣化量を学習したとき、学習した前記劣化量を基準とした前記推定式を用いて、前記劣化量を推定する、
    ことを特徴とする推定装置。
  2. 前記劣化量は、初期における前記二次電池の内部抵抗と、劣化後における前記二次電池の内部抵抗との比で表されることを特徴とする請求項1に記載の推定装置。
  3. 前記コントローラは、前記推定式として下記式(I)を用いる、

    ここで、ΔKは、前記劣化量の変化量、ΔKa1は、前記二次電池の保存に伴う前記劣化量の変化量、ΔKa2は、前記二次電池の通電に伴う前記劣化量の変化量、tは、時刻、Δtは、時刻変化である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の推定装置。
  4. 前記保存に伴う前記劣化量の変化量は、この変化量と、前記二次電池の温度および充電状態の少なくとも一つとの対応関係を示す情報を用いて特定され、
    前記通電に伴う前記劣化量の変化量は、この変化量と、前記二次電池の温度、充電状態および通電量の少なくとも一つとの対応関係を示す情報を用いて特定されることを特徴とする請求項3に記載の推定装置。
  5. 前記二次電池の状態が互いに異なる領域毎に、前記劣化量の初期値を記憶するメモリを有しており、
    前記コントローラは、前記劣化量を学習したときの前記領域に含まれる前記初期値と、学習した前記劣化量との関係を用いて、他の前記領域に含まれる前記初期値を補正することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の推定装置。
  6. 前記コントローラは、前記二次電池の現在の劣化量から、前記推定式を用いて推定された前記劣化量を減算することにより、前記塩濃度の偏りに伴う劣化量を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の推定装置。
  7. 前記二次電池の電流を測定する電流センサを有しており、
    前記コントローラは、
    電池モデルを用いて前記二次電池の推定電流を算出し、
    前記推定式を用いて推定される前記劣化量に対応した前記二次電池の抵抗変化率と、前記二次電池の充放電時における抵抗変化率との比率を、前記推定電流に乗算して、前記推定電流を補正し、
    補正後の前記推定電流と、前記電流センサから取得される測定電流と、前記推定式を用いて推定される前記劣化量とを用いて、前記塩濃度の偏りに伴って発生する劣化量を推定する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の推定装置。
  8. 二次電池の劣化状態を推定する推定方法であって、
    前記劣化状態のうち、前記二次電池の摩耗による劣化量を、アレニウスの式に基づく推定式であって、時間の経過とともに前記劣化量を上昇させる推定式を用いて推定し、
    前記二次電池の内部における塩濃度の偏りが解消された状態において、前記劣化量を取得したとき、取得した前記劣化量を基準とした前記推定式を用いて、前記劣化量を推定する、
    ことを特徴とする推定方法。
  9. 前記二次電池の現在の劣化量から、前記推定式を用いて推定された前記劣化量を減算することにより、前記塩濃度の偏りに伴う劣化量を算出することを特徴とする請求項8に記載の推定方法。
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