JP5831631B2 - 電池システムおよび、二次電池の分極判別方法 - Google Patents

電池システムおよび、二次電池の分極判別方法 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池の分極が解消されているか否かを判別する電池システムおよび判別方法に関する。
特許文献1に記載の技術では、イグニッションキーがオフに切り替わってからの時間が所定時間を経過しているとき、バッテリの分極が解消されていると判別している。イグニッションキーがオフに切り替わると、バッテリの充放電が行われなくなるため、バッテリの分極を解消方向に変化させることができる。そして、バッテリの分極が解消されていると判別したとき、バッテリの電流および電圧をサンプリングし、電流および電圧に基づいて、バッテリのSOC(State of Charge)を推定している。
バッテリに分極が発生していると、分極の変動によって、SOCの推定精度が低下してしまうおそれがある。そこで、特許文献1に記載の技術では、バッテリの分極が解消されていることを確認したうえで、バッテリのSOCを推定することにより、SOCの推定精度を向上させるようにしている。
特開2007−121030号公報(図10) 特開2008−243373号公報
特許文献1に記載の技術では、バッテリの分極が解消されているか否かを判断するための所定時間として、分極の解消に必要十分な時間を設定している。すなわち、所定時間として、固定値を用いている。
所定時間として固定値を用いると、分極が解消されているか否かの判断を誤ってしまうおそれがある。具体的には、バッテリの分極は、バッテリの充放電履歴に応じて変化するため、所定時間(固定値)が経過するまで待たなくても、分極が解消されていることがある。また、所定時間(固定値)が経過した後であっても、分極が解消されていないこともある。
また、バッテリの分極には、通常、活物質内の分極や、電解液内の分極が含まれているが、特許文献1では、これらの分極を考慮していない。
本願第1の発明である電池システムは、充放電を行う電池ユニットと、電池ユニットの分極状態を推定するコントローラと、を有する。コントローラは、拡散方程式を用いることにより、電池ユニットの活物質内の濃度分布を算出するとともに、電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、活物質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第1分極解消時間を算出する。
また、コントローラは、拡散方程式を用いることにより、電池ユニットの電解質内の濃度分布を算出するとともに、電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、電解質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第2分極解消時間を算出する。ここで、コントローラは、電池ユニットの充放電を行っていない時間が、第1分極解消時間および第2分極解消時間のうち、長い側の分極解消時間よりも長いとき、電池ユニットの分極が解消されていると判別する。
本願第1の発明では、拡散方程式(後述する電池モデル式)を用いて、活物質内の濃度分布や電解質内の濃度分布を算出しており、現在の電池ユニット内の濃度分布を取得することができる。現在の濃度分布を取得できれば、拡散方程式に基づいて、濃度分布が許容範囲内に収まるまでの時間(分極解消時間)を算出することができる。このように分極解消時間を算出することにより、現在の電池ユニットの状態(濃度分布)を反映した分極解消時間を取得することができ、分極が解消されるまでの時間を適切に見積もることができる。
ここで、電池ユニットの分極には、活物質内の濃度分布による分極と、電解質内の濃度分布による分極とが含まれる。本発明では、活物質内および電解質内の濃度分布をそれぞれ考慮して、第1分極解消時間および第2分極解消時間のうち、長い側の分極解消時間を、電池ユニットの分極が解消される時間としている。これにより、電池ユニットの充放電を行っていない間の時間が、電池ユニットの分極解消時間よりも長いときには、活物質内の分極および電解質内の分極が共に解消されていると判別することができる。すなわち、電池ユニットにおいて、活物質内および電解質内の分極のうち、少なくとも一方が残ったままとなるのを防止することができる。
電池ユニットの充放電を行っていない時間が、長い側の分極解消時間よりも長いとき、電圧センサを用いて電池ユニットの電圧を取得することができる。ここで、電池ユニットの分極が解消されているとき、取得された電圧は、電池ユニットの開放電圧と見なすことができる。電池ユニットの充電状態(SOC:State of Charge)および開放電圧の対応関係を示す情報を用いれば、取得した電圧(開放電圧)に対応した充電状態を特定することができる。
本発明では、分極が解消された電池ユニットの電圧を取得することにより、電池ユニットの開放電圧を精度良く取得できる。すなわち、分極に伴う電圧変化量を除外することができるため、電池ユニットの開放電圧を取得しやすくなる。開放電圧を精度良く取得できれば、開放電圧に基づいて、充電状態を精度良く推定することができる。ここで、開放電圧を精度良く取得できなければ、開放電圧に対応した充電状態を特定するときに、充電状態を精度良く取得できなくなる。
電池ユニットの充放電を行っていない時間が、長い側の分極解消時間よりも短いときには、電池ユニットの分極が解消されていないと判別される。この場合には、電池ユニットの充放電を行っていない間における電池ユニットの電圧降下特性を用いて、電池ユニットの開放電圧を算出することができる。これにより、電池ユニットに分極が発生していても、電池ユニットの開放電圧を特定することができる。そして、算出した開放電圧に基づいて、電池ユニットの充電状態を推定することができる。
活物質内の濃度分布から算出される平均濃度と活物質内の濃度との差が最大となる最大濃度に基づいて、第1分極解消時間を特定することができる。すなわち、最大濃度および第1分極解消時間の対応関係を予め求めておき、この対応関係を用いることにより、最大濃度に対応した第1分極解消時間を特定することができる。
第2分極解消時間は、電解質内の濃度分布に基づいて特定することができる。すなわち、電解質内の濃度分布および第2分極解消時間の対応関係を予め求めておき、この対応関係を用いることにより、電解質内の濃度分布に対応した第2分極解消時間を特定することができる。
活物質内の濃度分布を算出するときには、まず、活物質の中心および界面における濃度を境界条件として設定しておくことができる。この設定の下で、拡散方程式を用いることにより、活物質内の濃度分布を算出することができる。
電池ユニットは、単電池で構成したり、電気的に接続された複数の単電池で構成したりすることができる。また、電池ユニットは車両に搭載することができ、電池ユニットから出力された電気エネルギを、車両を走行させる運動エネルギに変換することができる。
本願第2の発明は、充放電を行う電池ユニットの分極状態を判別する判別方法である。拡散方程式を用いることにより、電池ユニットの活物質内の濃度分布を算出するとともに、電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、活物質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第1分極解消時間を算出する。また、拡散方程式を用いることにより、電池ユニットの電解質内の濃度分布を算出するとともに、電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、電解質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第2分極解消時間を算出する。
ここで、電池ユニットの充放電を行っていない時間が、第1分極解消時間および第2分極解消時間のうち、長い側の分極解消時間よりも長いとき、電池ユニットの分極が解消されていると判別する。本願第2の発明においても、本願第1の発明と同様の効果を得ることができる。
電池システムの構成を示す図である。 二次電池の構成を示す概略図である。 電池モデル式で用いられる変数等の一覧を示す図である。 電池モデルを説明する概念図である。 極座標で示された活物質モデルを示す概念図である。 二次電池の端子電圧と各種平均電位との関係を示す図である。 拡散係数の温度依存性を説明する図である。 開放電圧(正極)および局所SOCの関係を示す図である。 開放電圧(負極)および局所SOCの関係を示す図である。 コントローラの内部に設けられた電池状態推定部の構成を示す概略図である。 電池状態推定部の処理を説明するフローチャートである。 二次電池のSOCを推定する処理を説明するフローチャートである。 二次電池のSOCを推定する処理を説明するフローチャートである。 分極解消時間と、電池温度と、リチウム濃度差との関係を示す図である。 分極解消時間と、電池温度と、リチウム濃度分布との関係を示す図である。 分極が解消されるときの電圧変化を示す図である。
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本実施例である電池システムの構成を示す図である。図1に示す電池システムは、車両に搭載することができる。車両としては、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)およびEV(Electric Vehicle)がある。
HVは、車両を走行させるための動力源として、後述する組電池に加えて、内燃機関又は燃料電池といった他の動力源を備えている。PHVでは、HVにおいて、外部電源からの電力を用いて組電池を充電できる。EVは、車両の動力源として、組電池だけを備えており、外部電源からの電力供給を受けて、組電池を充電することができる。外部電源とは、車両の外部において、車両とは別に設けられた電源(例えば、商用電源)である。
組電池100は、電気的に直列に接続された複数の二次電池(電池ユニットに対応する)1を有する。単電池としての二次電池1には、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などがある。二次電池1の数は、組電池100の要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。
本実施例の組電池100では、すべての二次電池1が電気的に直列に接続されているが、これに限るものではない。すなわち、組電池100には、電気的に並列に接続された複数の二次電池1を含めることもできる。監視ユニット201は、組電池100の端子間電圧を検出したり、各二次電池1の電圧Vbを検出したりし、検出結果をコントローラ300に出力する。
組電池100を構成する複数の二次電池1が、複数の電池ブロック(電池ユニットに対応する)に分けられているとき、監視ユニット201は、各電池ブロックの電圧を検出することもできる。電池ブロックは、電気的に直列に接続された複数の二次電池1によって構成されており、複数の電池ブロックが電気的に直列に接続されることにより、組電池100が構成される。
電流センサ202は、組電池100に流れる電流Ibを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。ここで、放電電流Ibを正の値(Ib>0)とし、充電電流Ibを負の値(Ib<0)としている。温度センサ203は、組電池100(二次電池1)の温度Tbを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。複数の温度センサ203を用いることにより、互いに異なる位置に配置された二次電池1の温度Tbを検出することもできる。
コントローラ300は、メモリ300aを有しており、メモリ300aは、コントローラ300が所定処理(例えば、本実施例で説明する処理)を行うための各種の情報を記憶している。また、コントローラ300は、タイマ300bを有している。タイマ300bは、後述するように、イグニッションスイッチがオフとなっている時間(継続時間)、言い換えれば、組電池100の充放電が行われていない時間(継続時間)を計測するために用いられる。本実施例では、メモリ300aやタイマ300bが、コントローラ300に内蔵されているが、コントローラ300の外部にメモリ300aやタイマ300bを設けることもできる。
組電池100の正極端子と接続された正極ライン(ケーブル)PLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。組電池100の負極端子と接続された負極ライン(ケーブル)NLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gには、システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204が電気的に並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204は、電気的に直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。電流制限抵抗204は、組電池100を負荷(具体的には、インバータ205)と接続するときに、突入電流が流れるのを抑制するために用いられる。
組電池100をインバータ205と接続するとき、コントローラ300は、まず、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗204に電流が流れることになる。
次に、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えた後に、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ205の接続が完了し、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。コントローラ300には、車両のイグニッションスイッチに関する情報が入力され、コントローラ300は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わることに応じて、電池システムを起動する。
一方、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ205の接続が遮断され、電池システムは、停止状態(Ready-Off)となる。
インバータ205は、組電池100からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ206に出力する。モータ・ジェネレータ206としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータ206は、インバータ205からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ206によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ206は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ205は、モータ・ジェネレータ206が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池100に出力する。これにより、組電池100は、回生電力を蓄えることができる。
本実施例では、組電池100をインバータ205に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、組電池100およびインバータ205の間の電流経路において、昇圧回路を設けることができる。昇圧回路は、組電池100の出力電圧を昇圧し、昇圧後の電力をインバータ205に出力することができる。また、昇圧回路は、インバータ205の出力電圧を降圧し、降圧後の電力を組電池100に出力することができる。
次に、本実施例で用いられる電池モデルについて説明する。図2は、二次電池1の構成を示す概略図である。ここでは、二次電池1の一例として、リチウムイオン二次電池を用いている。図2に示す座標軸xは、電極の厚み方向における位置を示す。
二次電池1は、正極141と、負極142と、セパレータ143とを有する。セパレータ143は、正極141および負極142の間に位置しており、電解液を含んでいる。なお、電解液の代わりに、固体電解質を用いることもできる。すなわち、正極141および負極142の間に、固体電解質の層を設けることができる。
正極141は、アルミニウムなどで形成された集電板141aを有しており、集電板141aは、二次電池1の正極端子11と電気的に接続されている。負極142は、銅などで形成された集電板142aを有しており、集電板142aは、二次電池1の負極端子12と電気的に接続されている。
負極142および正極141のそれぞれは、球状の活物質142b,141bの集合体で構成されている。二次電池1を放電するとき、負極142の活物質142bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を放出する化学反応が行われる。また、正極141の活物質141bの界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収する化学反応が行われる。負極142および正極141の間でのリチウムイオンLi+の授受によって、二次電池1の充放電が行われ、充電電流Ib(Ib<0)または放電電流Ib(Ib>0)が生じる。
本実施例に用いられる基礎的な電池モデル式は、以下の式(1)〜(11)からなる基礎方程式で表される。図3は、電池モデル式で用いられる変数および定数の一覧表を示す。
以下に説明するモデル式中の変数および定数に関して、添字eは電解液中の値であることを示し、sは活物質中の値であることを示す。添字jは、正極および負極を区別するものであり、jが1であるときには正極における値を示し、jが2であるときには負極における値を示す。正極および負極における変数又は定数を包括的に表記する場合には、添字jを省略する。また、時間の関数であることを示す(t)の表記、電池温度の依存性を示す(T)の表記、あるいは、局所SOCθの依存性を示す(θ)等について、明細書中では表記を省略することもある。変数又は定数に付された記号♯は、平均値を表わす。
上記式(1),(2)は、電極(活物質)における電気化学反応を示す式であり、バトラー・ボルマーの式と呼ばれる。
電解液中のリチウムイオン濃度保存則に関する式として、下記式(3)が成立する。活物質内のリチウム濃度保存則に関する式として、下記式(4)の拡散方程式と、下記式(5),(6)に示す境界条件式が適用される。下記式(5)は、活物質の中心部における境界条件を示し、下記式(6)は、活物質のうち、電解液と接触する界面(以下、単に「界面」ともいう)における境界条件を示す。
活物質の界面における局所的なリチウム濃度分布(濃度分布)である局所SOCθjは、下記式(7)で定義される。下記式(7)中のcsejは、下記式(8)に示されるように、正極および負極の活物質界面におけるリチウム濃度を示している。csj,maxは、活物質内での限界リチウム濃度を示している。
電解液中の電荷保存則に関する式として、下記式(9)が成立し、活物質中の電荷保存則に関する式として、下記式(10)が成立する。活物質界面での電気化学反応式として、電流密度I(t)と、反応電流密度jj Liとの関係を示す下記式(11)が成立する。
上記式(1)〜(11)の基礎方程式で表される電池モデル式は、以下に説明するように、簡易化することができる。電池モデル式の簡易化により、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
負極142および正極141のそれぞれにおける電気化学反応を一様なものと仮定する。すなわち、各電極142,141において、x方向における反応が均一に生じるものと仮定する。また、各電極142,141に含まれる複数の活物質142b,141bでの反応が均一と仮定するので、各電極142,141の活物質142b,141bを、1個の活物質モデルとして取り扱う。これにより、図2に示す二次電池1の構造は、図4に示す構造にモデリングすることができる。
図4に示す電池モデルでは、活物質モデル141b(j=1)および活物質モデル142b(j=2)の表面における電極反応をモデリングすることができる。また、図4に示す電池モデルでは、活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウムの拡散(径方向)と、電解液中のリチウムイオンの拡散(濃度分布)とをモデリングすることができる。さらに、図4に示す電池モデルの各部位において、電位分布や温度分布をモデリングすることができる。
図5に示すように、各活物質モデル141b,142bの内部におけるリチウム濃度csは、活物質モデル141b,142bの半径方向の座標r(r:活物質モデルの中心からの距離、rs:活物質の半径)上での関数として表すことができる。ここで、活物質モデル141b,142bの周方向における位置の依存性は、無いものと仮定している。図5に示す活物質モデル141b,142bは、界面での電気化学反応に伴う、活物質の内部におけるリチウム拡散現象を推定するために用いられる。活物質モデル141b,142bの径方向にN分割(N:2以上の自然数)された各領域(k=1〜N)について、リチウム濃度cs,k(t)が、後述する拡散方程式に従って推定される。
図4に示す電池モデルによれば、基礎方程式(1)〜(6),(8)は、下記式(1’)〜(6’),(8’)で表すことができる。
上記式(3’)では、電解液中のリチウム濃度を時間に対して不変と仮定することによって、cej(t)が一定値であると仮定する。また、活物質モデル141b,142bに対しては、拡散方程式(4)〜(6)が極座標方向の分布のみを考慮して、拡散方程式(4’)〜(6’)に変形される。上記式(8’)において、活物質の界面におけるリチウム濃度csejは、図5に示したN分割領域のうちの最外周の領域におけるリチウム濃度csi(t)に対応する。
電解液中の電荷保存則に関する上記式(9)は、上記式(3’)を用いて、下記式(12)に簡易化される。すなわち、電解液の電位φejは、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる電解液中の平均電位φej♯は、下記式(12)を電極厚さLjで積分した下記式(13)によって求められる。
負極142については、下記式(12)に基づいて、下記式(14)が成立する。このため、電解液の平均電位φe2♯と、負極142およびセパレータ143の境界における電解液の電位との差(電位差)は、下記式(15)で表される。正極141については、電解液の平均電位φe1♯と、正極141およびセパレータ143の境界における電解液の電位との差(電位差)は、下記式(16)で表される。
活物質中の電荷保存則に関する上記式(10)についても、下記式(17)に簡易化することができる。すなわち、活物質の電位φsjについても、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる活物質中の平均電位φsj♯は、下記式(17)を電極厚さLjで積分した下記式(18)によって求められる。このため、正極141に関して、活物質の平均電位φs1♯と、活物質モデル141bおよび集電板141aの境界における活物質の電位との差(電位差)は、下記式(19)で示される。同様に、負極142については、下記式(20)が成立する。
図6は、二次電池1の端子電圧V(t)と、上述したように求めた各平均電位との関係を示す。図6において、セパレータ143では、反応電流密度jj Liが0であるため、セパレータ143での電圧降下は、電流密度I(t)に比例し、Ls/κs eff・I(t)となる。
また、各電極中における電気化学反応を一様と仮定したことにより、極板の単位面積当たりの電流密度I(t)と反応電流密度(リチウム生成量)jj Liとの間には、下記式(21)が成立する。
図6に示す電位関係および上記式(21)に基づいて、電池電圧V(t)については、下記式(22)が成立する。下記式(22)は、図6に示す下記式(23)の電位関係式を前提とする。
次に、平均過電圧η♯(t)を算出する。jj Liを一定にするとともに、バトラー・ボルマーの関係式において、充放電効率を同一として、αajおよびαcjを0.5とすると、下記式(24)が成立する。下記式(24)を逆変換することにより、平均過電圧η♯(t)は、下記式(25)により求められる。
図6を用いて平均電位φs1、φs2を求め、求めた値を上記式(22)に代入する。また、上記式(25)から求めた平均過電圧η1♯(t)、η2♯(t)を上記式(23)に代入する。この結果、上記式(1’),(21)および上記式(2’)に基づいて、電気化学反応モデル式に従った電圧−電流関係モデル式(M1a)が導出される。
リチウム濃度保存則(拡散方程式)である上記式(4’)および境界条件式(5’),(6’)によって、活物質モデル141b,142bについての活物質拡散モデル式(M2a)が求められる。
モデル式(M1a)の右辺第1項は、活物質表面での反応物質(リチウム)濃度により決定される開放電圧(OCV)を示し、右辺第2項は、過電圧(η1♯−η2♯)を示し、右辺第3項は、二次電池1に電流が流れることによる電圧降下を示す。すなわち、二次電池1の直流純抵抗が、上記式(M2a)中のRd(T)で表わされる。
上記式(M2a)において、反応物質であるリチウムの拡散速度を規定するパラメータとして用いられる拡散係数Ds1、Ds2は温度依存性を有する。したがって、拡散係数Ds1、Ds2は、例えば、図7に示すマップを用いて設定することができる。図7に示すマップは、予め取得しておくことができる。図7において、横軸の電池温度Tは、温度センサ203を用いて取得された温度である。図7に示すように、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度の低下に応じて低下する。言い換えれば、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度の上昇に応じて上昇する。
拡散係数Ds1、Ds2について、温度の依存性だけでなく、局所SOCθの依存性を考慮してもよい。この場合、電池温度T、局所SOCθおよび拡散係数Ds1、Ds2の対応関係を示すマップを予め用意しておけばよい。
上記式(M1a)に含まれる開放電圧U1は、図8Aに示すように、局所SOCθの上昇に応じて低下する。また、開放電圧U2は、図8Bに示すように、局所SOCθの上昇に応じて上昇する。図8Aおよび図8Bに示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθに対応した開放電圧U1,U2を特定することができる。
上記式(M1a)に含まれる交換電流密度i01、i02は、局所SOCθおよび電池温度Tの依存性を有する。したがって、交換電流密度i01、i02、局所SOCθおよび電池温度Tの対応関係を示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθおよび電池温度Tから、交換電流密度i01、i02を特定することができる。
直流純抵抗Rdは、温度の依存性を有する。したがって、直流純抵抗Rdおよび電池温度Tの対応関係を示すマップを予め用意しておけば、電池温度Tから直流純抵抗Rdを特定することができる。なお、上述したマップについては、二次電池1に関する周知の交流インピーダンス測定等の実験結果に基づいて作成することができる。
図4に示す電池モデルは、さらに簡略化することができる。具体的には、電極142,141の活物質として、共通の活物質モデルを用いることができる。図4に示す活物質モデル141b,142bを、1つの活物質モデルとして扱うことにより、下記式(26)に示すような式の置き換えができる。下記式(26)では、正極141および負極142の区別を示す添字jが省略される。
モデル式(M1a),(M2a)は、下記式(M1b),(M2b)で表すことができる。また、1つの活物質モデルを用いた電池モデルでは、電流密度I(t)および反応電流密度jj Liの関係式として、上記式(21)の代わりに、下記式(21’)が適用される。
上記式(M1a)中のarcsinh項を一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1c)が得られる。このように線形近似することにより、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
上記式(M1c)では、線形近似の結果、右辺第2項も、電流密度I(t)および反応抵抗Rrの積で示される。反応抵抗Rrは、上記式(27)に示されるように、局所SOCθおよび電池温度Tに依存する交換電流密度i01,i02から算出される。したがって、上記式(M1c)を用いるときには、局所SOCθ、電池温度Tおよび交換電流密度i01,i02の対応関係を示すマップを予め用意しておけばよい。上記式(M1c)および上記式(27)によれば、上記式(28)が得られる。
上記式(M1b)における右辺第2項のarcsinh項を線形近似すれば、下記式(M1d)が得られる。
上記式(M1b)は、下記式(M1e)として表すことができる。
上記式(M1e)は、一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1f)で表される。
次に、上述した電池モデル式を用いて二次電池1の状態を推定する構成について説明する。図9は、コントローラ300の内部構成を示す概略図である。電池状態推定部310は、拡散推定部311と、開放電圧推定部312と、電流推定部313と、パラメータ設定部314と、境界条件設定部315とを有する。図9に示す構成において、電池状態推定部310は、上記式(M1f)および上記式(M2b)を用いることにより、電流密度I(t)を算出する。
本実施例では、上記式(M1f)を用いて電流密度I(t)を算出しているが、これに限るものではない。具体的には、上記式(M1a)〜上記式(M1e)のいずれかと、上記式(M2a)又は上記式(M2b)との任意の組み合わせに基づいて、電流密度I(t)を算出することができる。
拡散推定部311は、上記式(M2b)を用い、境界条件設定部315で設定された境界条件に基づいて、活物質内部でのリチウム濃度分布を算出する。境界条件は、上記式(5’)又は上記式(6’)に基づいて設定される。拡散推定部311は、上記式(7)を用い、算出したリチウム濃度分布に基づいて局所SOCθを算出する。拡散推定部311は、局所SOCθに関する情報を開放電圧推定部312に出力する。
開放電圧推定部312は、拡散推定部311が算出した局所SOCθに基づいて、各電極142,141の開放電圧U1,U2を特定する。具体的には、開放電圧推定部312は、図8Aおよび図8Bに示すマップを用いることにより、開放電圧U1,U2を特定することができる。開放電圧推定部312は、開放電圧U1,U2に基づいて、二次電池1の開放電圧を算出することができる。二次電池1の開放電圧は、開放電圧U1から開放電圧U2を減算することによって得られる。
パラメータ設定部314は、電池温度Tbおよび局所SOCθに応じて、電池モデル式で用いられるパラメータを設定する。電池温度Tbとしては、温度センサ203による検出温度Tbを用いる。局所SOCθは、拡散推定部311から取得される。パラメータ設定部314で設定されるパラメータとしては、上記式(M2b)中の拡散定数Ds、上記式(M1f)中の電流密度i0および直流抵抗Rdがある。
電流推定部313は、下記式(M3a)を用いて、電流密度I(t)を算出(推定)する。下記式(M3a)は、上記式(M1f)を変形した式である。下記式(M3a)において、開放電圧U(θ,t)は、開放電圧推定部312で推定された開放電圧U(θ)である。電圧V(t)は、監視ユニット201を用いて取得した電池電圧Vbである。Rd(t)およびi(θ,T,t)は、パラメータ設定部314で設定された値である。
なお、上記式(M1a)〜上記式(M1e)のいずれかの式を用いる場合であっても、上述した式(M3a)と同様の方法によって、電流密度I(t)を算出することができる。
境界条件設定部315は、上記式(21)又は上記式(21’)を用いて、電流推定部313によって算出された電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。そして、境界条件設定部315は、上記式(6’)を用いて、上記式(M2b)における境界条件を更新する。
次に、電池状態推定部310の処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。図10に示す処理は、所定の周期で実行される。
電池状態推定部310は、ステップS101において、監視ユニット201の出力に基づいて、二次電池1の電圧(電池電圧)Vbを取得する。また、電池状態推定部310は、ステップS102において、温度センサ203の出力に基づいて、二次電池1の温度(電池温度)Tbを取得する。
ステップS103において、電池状態推定部310(拡散推定部311)は、上記式(M2b)を用いた前回の演算時におけるリチウム濃度分布に基づき、局所SOCθを算出する。ステップS104において、電池状態推定部310(開放電圧推定部312)は、ステップS103で得られた局所SOCθから、開放電圧U(θ)を算出する。
ステップS105において、電池状態推定部310(電流推定部313)は、上記式(M1f)を用いて、電流密度Im(t)を算出(推定)する。推定電流密度Im(t)は、電池電圧Vbと、ステップS104で得られた開放電圧U(θ)と、パラメータ設定部314で設定されたパラメータ値とを、上記式(M3a)に代入することによって得られる。
ステップS106において、電池状態推定部310(境界条件設定部315)は、ステップS105で得られた推定電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。また、電池状態推定部310(境界条件設定部315)は、算出した反応電流密度を用いて、上記式(M2b)の活物質界面における境界条件(活物質界面)を設定する。
ステップS107において、電池状態推定部310(拡散推定部311)は、上記式(M2b)を用いて、活物質モデルの内部におけるリチウム濃度分布を算出し、各領域におけるリチウム濃度の推定値を更新する。ここで、最外周の分割領域におけるリチウム濃度(更新値)は、図10に示す処理を次回行うときに、ステップS103における局所SOCθの算出に用いられる。
二次電池1の充放電を行うと、分極が発生するが、この分極が解消された状態であれば、二次電池1のOCV(Open Circuit Voltage)を取得することができる。二次電池1の充放電を行っている間や、二次電池1の充放電を停止した直後において、監視ユニット201によって検出される二次電池1の電圧(CCV:Closed Circuit Voltage)には、分極による電圧変化量も含まれているため、この状態では、二次電池1のOCVを取得することができない。一方、分極が解消された状態において、二次電池1の電圧を検出すれば、検出電圧には、分極による電圧変化量が含まれないことになる。
二次電池1の分極には、活物質内のリチウム濃度分布に伴う分極と、電解液内のリチウム濃度分布に伴う分極とが含まれる。活物質内のリチウム濃度分布は、図5を用いて説明したように、上記式(5),(6)又は、上記式(5’),(6’)によって規定される。すなわち、活物質内のリチウム濃度分布は、電池状態推定部310(拡散推定部311)によって算出される。
上述した電池モデルでは、上記式(3’)に示すよう、電解液内のリチウム濃度を時間に対して不変と仮定することによって、cej(t)が一定値であると仮定している。ここで、電解液内では、二次電池1の充放電に応じて、不均一なリチウム濃度分布(濃度勾配)が発生し、濃度過電圧による電圧降下が発生する。
二次電池1の充電および放電が交互に行われる状況では、充電および放電の一方によって、濃度勾配が発生したとしても、充電および放電の他方によって、濃度勾配が打ち消されることになる。このように、濃度勾配を打ち消し合うことにより、結果として、濃度勾配が非常に小さくなり、上述したように、電解液内のリチウム濃度cej(t)を一定値と仮定することができる。例えば、HVやPHVといった車両では、二次電池1の充電および放電が交互に行われることがあるため、電解液内のリチウム濃度cej(t)を一定値として仮定することができる。
一方、二次電池1の充電および放電が交互に行われない場合には、濃度勾配が打ち消し合うこともなく、濃度勾配が発生したままとなる。具体的には、二次電池1を充電し続けたり、二次電池1を放電し続けたりしたときには、電解液内において、濃度勾配が発生しやすくなる。例えば、EVやPHVといった車両では、二次電池1を放電し続けることにより、車両を走行させることがある。また、二次電池1のSOCが低下したときには、外部電源の電力を二次電池1に供給して、二次電池1を充電し続けることがある。このような場合には、電解液内において、濃度勾配が発生しやすくなる。
電解液内のリチウム濃度分布Δcは、例えば、下記式(29),(30)を用いて推定することができる。
上述した分極は、二次電池1を充放電せずに、放置することによって解消することができる。すなわち、二次電池1を充放電せずに放置すれば、リチウム濃度を拡散させることができ、リチウム濃度分布(すなわち、分極)を解消させることができる。ここで、放置とは、二次電池1を充放電させないで放置することをいう。二次電池1を放置する時間が長いほど、二次電池1の分極を解消させやすくなる。
ここで、二次電池1の分極が解消されているか否かを判別するための時間(分極判別時間という)として、固定値を用いると、以下に説明する不具合が生じる。
二次電池1の分極は、二次電池1の充放電履歴に応じて変化するため、二次電池1を放置した時間が分極判別時間(固定値)よりも短くても、分極が解消されていることがある。また、二次電池1を放置した時間が分極判別時間(固定値)よりも長くても、分極が解消されていないおそれもある。分極判別時間として、分極が解消されたと判別できる十分な時間(長時間)を設定すれば、分極が解消されていることを判別できるが、分極判別時間が経過するまでは、分極が解消されたと判別することができない。すなわち、分極が解消されたと判別するまでに、必要以上に時間がかかってしまう。
そこで、本実施例では、上述した電池モデルを用いることにより、二次電池1の現在の分極を適切に把握し、この分極に基づいて、二次電池1の分極が解消されているか否かを判別するようにしている。
二次電池1の分極が解消された状態において、監視ユニット201を用いて、二次電池1の電圧を取得すれば、分極に伴う電圧変化量を無視できるため、監視ユニット201による検出電圧をOCVと見なすことができ、OCVの取得精度を向上させることができる。OCVの取得精度を向上させれば、二次電池1のSOCを推定する精度も向上させることができる。ここで、SOCとは、満充電容量に対する現在の充電容量の割合を示す。
二次電池1のSOCは、二次電池1のOCVと対応関係があるため、この対応関係を予め求めておけば、OCVを取得することにより、SOCを特定(推定)することができる。ここで、取得したOCVが、実際のOCV(真の値)からずれていると、OCVおよびSOCの対応関係を用いてSOCを推定しても、推定したSOCは、実際のSOC(真の値)からずれてしまう。このため、OCVの取得精度を向上させることにより、SOCの推定精度も向上させることができる。
上述したように、二次電池1の分極には、活物質内のリチウム濃度分布による分極と、電解液内のリチウム濃度分布による分極とが含まれている。このため、本実施例では、上述した電池モデルを用いることにより、活物質内のリチウム濃度分布に基づいて、活物質内の分極を把握するとともに、電解液内のリチウム濃度分布に基づいて、電解液内の分極を把握するようにしている。
具体的には、まず、活物質内のリチウム濃度分布に基づいて、活物質内の分極が解消されるまでの時間(分極解消時間)を特定するとともに、電解液内のリチウム濃度分布に基づいて、電解液内の分極が解消されるまでの時間(分極解消時間)を特定する。そして、2つの分極解消時間のうち、長い側の分極解消時間を、二次電池1の全体における分極が解消される時間としている。これにより、二次電池1を放置する時間が、長い側の分極解消時間を超えていることを判別すれば、活物質内の分極および電解液内の分極がいずれも解消されていると判別することができる。
本実施例では、上述した電池モデルを利用することにより、二次電池1の現在の分極を適切に把握することができる。すなわち、電池モデルを利用することにより、活物質内や電解液内における現在のリチウム濃度分布を把握することができ、分極が解消されるまでの時間として、現在のリチウム濃度分布に対応した時間を把握することができる。
また、本実施例では、活物質内の分極に対応した分極解消時間と、電解液内の分極に対応した分極解消時間とを考慮することにより、二次電池1の全体において、分極が解消されるまでの時間を特定している。ここで、2つの分極解消時間のうち、一方の分極解消時間だけを考慮したときには、活物質および電解液のいずれかにおいて、分極が残ったままとなってしまうことがある。
例えば、活物質内の分極に対応した分極解消時間だけを考慮したときであって、電解液内の分極に対応した分極解消時間が、活物質内の分極に対応した分極解消時間よりも長いときには、電解液内の分極が残ったままとなってしまうことがある。この場合には、電解液内の分極が解消されていないため、監視ユニット201を用いて取得した電圧は、実際のOCVからずれてしまう。
本実施例では、2つの分極解消時間のうち、長い側の分極解消時間を、二次電池1の全体における分極が解消される時間としている。このため、活物質内の分極および電解液内の分極が共に解消されていることを判別することができ、活物質および電解液のいずれかにおいて、分極が残ったままとなるのを防止することができる。これにより、分極が解消されたと判別した後に、監視ユニット201を用いて取得した電圧は、実際のOCVからずれにくくなる。
ここで、二次電池1のSOCを推定する処理について、図11Aおよび図11Bに示すフローチャートを用いて説明する。図11Aおよび図11Bに示す処理は、コントローラ300によって実行される。図11Aおよび図11Bに示す処理を開始するとき、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gはオンであり、図1に示す電池システムは起動状態にある。
ステップS201において、コントローラ300は、活物質内のリチウム濃度分布を算出する。具体的には、コントローラ300は、図10に示す処理を行うことにより、活物質内のリチウム濃度分布を算出することができる。ステップS202において、コントローラ300は、上記式(29),(30)を用いて、電解液内のリチウム濃度分布を算出する。
ステップS203において、コントローラ300は、監視ユニット201の出力に基づいて、二次電池1の電圧V1を取得する。ここで、二次電池1の電圧を検出するときには、二次電池1の内部抵抗に起因した電圧変化量を無視できる程度の電流を二次電池1に流すことが好ましい。電圧V1に関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。
ステップS204において、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替えたか否かを判別する。イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わると、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンからオフに切り替わるため、コントローラ300は、ステップS204において、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったか否かを判別していることになる。
システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンからオフに切り替わるまでは、ステップS201からステップS203の処理が繰り返して行われ、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンからオフに切り替わったときには、ステップS205の処理に進む。
ステップS205において、コントローラ300は、ステップS201の処理で算出されたリチウム濃度分布に基づいて、リチウム平均濃度csaveを算出する。具体的には、コントローラ300は、下記式(31)を用いて、リチウム平均濃度csaveを算出する。
上記式(31)に示すリチウム濃度csj,k(t)(k=1〜N)は、図5に示したように、活物質モデル141b,142bを径方向にN分割した各領域のリチウム濃度であり、拡散モデル式(M2a),(M2b)により推定される。また、ΔVkは、各分割領域の体積を示し、Vは活物質全体の体積を示す。また、正極および負極における活物質モデルを共通化した場合には、共通化された活物質モデル内の各領域のリチウム濃度cs,k(t)(k=1〜N)の平均値を、上記式(31)と同様に求めることによって、リチウム平均濃度csave(t)を求めることができる。
また、ステップS205において、コントローラ300は、リチウム平均濃度csaveと、各領域のリチウム濃度csj,kとの差(濃度差)を算出し、最大の濃度差を特定する。
ステップS206において、コントローラ300は、活物質内のリチウム濃度分布に基づいて、分極解消時間(第1分極解消時間に相当する)T1を算出する。分極解消時間T1は、活物質内の分極が解消されるまでの時間、言い換えれば、活物質内のリチウム濃度分布が均一化されるまでの時間である。活物質内の分極は、活物質内のリチウム濃度分布に依存し、リチウム濃度分布が均一化されれば、活物質内の分極が解消されることになる。
分極解消時間T1は、例えば、図12に示すマップを用いて特定することができる。図12に示すマップは、二次電池1の温度と、ステップS205の処理で算出されたリチウム濃度差(最大値)と、分極解消時間T1との対応関係を示している。図12に示すマップは、実験などによって予め求めておくことができ、マップに関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。
図12に示すマップを用いれば、二次電池1の温度およびリチウム濃度差(最大値)を取得することにより、分極解消時間T1を特定することができる。図12に示すように、リチウム濃度差(最大値)が大きくなるほど、分極解消時間T1が長くなり、言い換えれば、リチウム濃度差(最大値)が小さくなるほど、分極解消時間T1が短くなる。また、二次電池1の温度が高くなるほど、分極解消時間T1が短くなり、言い換えれば、二次電池1の温度が低くなるほど、分極解消時間T1が長くなる。
図12に示すマップを作成するときには、二次電池1を放置して、リチウム濃度差(最大値)が許容範囲内に収まるまでの時間を計測し、この計測時間を分極解消時間T1とすることができる。ここで、活物質内の分極が完全に解消される状態だけでなく、活物質内の分極が解消されているとみなせる状態も考慮して、許容範囲を適宜設定することができる。すなわち、活物質内の分極に伴う電圧変化が、二次電池1の電圧に影響を与えない範囲内において、許容範囲を適宜設定することができる。
本実施例では、二次電池1の温度、リチウム濃度差(最大値)および分極解消時間T1の対応関係に基づいて、分極解消時間T1を特定しているが、これに限るものではない。具体的には、リチウム濃度差(最大値)および分極解消時間T1との対応関係を予め求めておき、この対応関係を用いて、リチウム濃度差(最大値)に対応した分極解消時間T1を特定することができる。
ステップS207において、コントローラ300は、電解液内のリチウム濃度分布(上記式(29)に示すΔc)に基づいて、分極解消時間(第2分極解消時間に相当する)T2を算出する。分極解消時間T2は、電解液内の分極が解消されるまでの時間、言い換えれば、電解液内のリチウム濃度分布が均一化されるまでの時間である。電解液内の分極は、電解液内のリチウム濃度分布に依存し、リチウム濃度分布が均一化されれば、電解液内の分極が解消されることになる。
分極解消時間T2は、図13に示すマップを用いて特定することができる。図13に示すマップは、二次電池1の温度と、ステップS202の処理で算出されたリチウム濃度分布と、分極解消時間T2との対応関係を示している。図13に示すマップは、実験などによって予め求めておくことができ、マップに関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。
図13に示すマップを用いれば、二次電池1の温度およびリチウム濃度分布を取得することにより、分極解消時間T2を特定することができる。図13に示すように、リチウム濃度分布が大きくなるほど、分極解消時間T2が長くなり、言い換えれば、リチウム濃度分布が小さくなるほど、分極解消時間T2が短くなる。また、二次電池1の温度が高くなるほど、分極解消時間T2が短くなり、言い換えれば、二次電池1の温度が低くなるほど、分極解消時間T2が長くなる。
図13に示すマップを作成するときには、二次電池1を放置して、リチウム濃度分布が許容範囲内に収まるまでの時間を計測し、この計測時間を分極解消時間T2とすることができる。ここで、電解液内の分極が完全に解消される状態だけでなく、電解液内の分極が解消されているとみなせる状態も考慮して、許容範囲を適宜設定することができる。すなわち、電解液内の分極に伴う電圧変化が、二次電池1の電圧に影響を与えない範囲内において、許容範囲を適宜設定することができる。
本実施例では、二次電池1の温度、リチウム濃度分布および分極解消時間T2の対応関係に基づいて、分極解消時間T2を特定しているが、これに限るものではない。具体的には、リチウム濃度分布および分極解消時間T2との対応関係を予め求めておき、この対応関係を用いて、リチウム濃度分布に対応した分極解消時間T2を特定することができる。
ステップS208において、コントローラ300は、ステップS206の処理で算出された分極解消時間T1と、ステップS207の処理で算出された分極解消時間T2とを比較する。ここで、分極解消時間T1が分極解消時間T2よりも長ければ、ステップS209の処理に進み、分極解消時間T1が分極解消時間T2よりも短ければ、ステップS210の処理に進む。
ステップS209において、コントローラ300は、二次電池1の分極が解消されていると判別する時間(分極解消時間)Tprとして、分極解消時間T1を設定する。ステップS210において、コントローラ300は、分極解消時間Tprとして、分極解消時間T2を設定する。ステップS209,S210の処理では、分極解消時間T1,T2のうち、長い側の分極解消時間を分極解消時間Tprとして設定している。
このように分極解消時間Tprを設定すれば、二次電池1を放置する時間が、分極解消時間Tprよりも長くなることにより、活物質内の分極および電解液内の分極が共に解消していると判別することができる。ここで、分極解消時間T1,T2のうち、短い側の分極解消時間を分極解消時間Tprに設定してしまうと、二次電池1を放置する時間が、分極解消時間Tprよりも長くなっても、活物質内および電解液内の分極のうち、一方の分極が解消されていないことがある。
そこで、本実施例のように、分極解消時間T1,T2のうち、長い側の分極解消時間を分極解消時間Tprに設定することにより、活物質内および電解液内の分極が共に解消されているか否かを判別することができる。
ステップS211において、コントローラ300は、タイマ300bを用いることにより、イグニッションスイッチがオフとなっている時間Toffを計測する。時間Toffは、二次電池1を放置している時間(継続時間)となる。
ステップS212において、コントローラ300は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったか否かを判別する。イグニッションスイッチがオフのままであれば、ステップS211の処理に戻り、時間Toffを計測し続ける。一方、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替われば、ステップS213の処理に進む。イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったときには、時間Toffの計測が終了し、時間Toffに関する情報がメモリ300aに記憶される。
ステップS213において、コントローラ300は、監視ユニット201の出力に基づいて、二次電池1の電圧V2を取得する。ここで、二次電池1の電圧を検出するときには、二次電池1の内部抵抗に起因した電圧変化量を無視できる程度の電流を二次電池1に流すことが好ましい。電圧V2に関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。
ステップS214において、コントローラ300は、ステップS211の処理で取得された時間Toffが、ステップS209又はステップS210の処理で設定された分極解消時間Tprよりも長いか否かを判別する。時間Toffが分極解消時間Tprよりも長いとき、コントローラ300は、二次電池1の分極、すなわち、活物質内の分極および電解液内の分極が解消されていると判別し、ステップS215の処理に進む。一方、時間Toffが分極解消時間Tprよりも短いとき、コントローラ300は、二次電池1の分極が解消されていないと判別し、ステップS216の処理に進む。
ステップS215において、コントローラ300は、ステップS213の処理で取得した電圧V2に基づいて、二次電池1のSOCを算出する。ステップS214の処理からステップS215の処理に進んだときには、二次電池1の分極が解消されているため、電圧V2は、二次電池1のOCVと見なすことができる。このため、SOCおよびOCVの対応関係を示すマップを用いることにより、電圧(OCV)V2に対応したSOCを特定することができる。
ステップS216において、コントローラ300は、ステップS203の処理で取得した電圧V1と、ステップS213の処理で取得した電圧V2とを用いて、二次電池1のOCVである電圧V3を算出する。ここで、二次電池1を放置したときの二次電池1の電圧変化(電圧降下特性)を図14に示す。図14に示すように、二次電池1を放置する時間が経過するにつれて、言い換えれば、二次電池1の分極が解消するにつれて、二次電池1の電圧は、分極に対応した分だけ低下する。すなわち、二次電池1の分極が解消するにつれて、二次電池1の電圧は、OCVとしての電圧V3に近づく。
図14に示すように、イグニッションスイッチをオンからオフに切り替える直前では、二次電池1の電圧がV1となる。そして、二次電池1を放置する時間が経過するにつれて、二次電池1の電圧が低下する。時間Toffが分極解消時間Tprよりも長くなる前に、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると、このタイミングで取得された電圧V2は、OCVとしての電圧V3よりも高くなる。すなわち、電圧V2を取得したときには、二次電池1の分極が残っているため、電圧V2は、分極に対応した電圧変化量の分だけ、OCVとしての電圧V3よりも高くなる。
図14に示す電圧変化は、実験などによって予め求めておくことができ、数式として表すことができる。図14に示す電圧変化は、二次電池1の特性に応じて異なるが、例えば、下記式(32)によって表すことができる。
上記式(32)において、V1は、ステップS203の処理で得られた電圧であり、V3は、二次電池1のOCVである。Toffは、ステップS211の処理で得られた時間であり、τは、分極解消時間Tprに対応した時定数である。分極解消時間Tprおよび時定数τの対応関係を予め決めておけば、この対応関係を用いて、分極解消時間Tprに対応した時定数τを特定することができる。上記式(32)を変形すると、下記式(33)が得られる。
上記式(33)によれば、二次電池1のOCVを算出することができる。具体的には、上記式(33)に対して、電圧V1,V2、時定数τおよび時間Toffを代入することにより、OCVとしての電圧V3を算出することができる。
ステップS217において、コントローラ300は、ステップS216の処理で算出した電圧(OCV)V3に基づいて、二次電池1のSOCを推定する。具体的には、OCVおよびSOCの対応関係を示すマップを用いて、電圧V3に対応したSOCを特定することができる。
本実施例では、現在のリチウム濃度分布に対応した分極解消時間を取得できるため、分極解消時間を適切に見積もることができる。また、電池モデル式を用いて、リチウム濃度分布を推定することにより、推定したリチウム濃度分布に、二次電池1の使用状態、劣化状態や使用環境(特に、温度)を反映させることができる。このため、二次電池1の使用状態、劣化状態や使用環境に応じた分極解消時間を推定することができる。また、分極の解消状態を判別するときに、必要以上に二次電池1を放置させる必要はなく、分極が解消されていると判別できる機会を増やすことができる。
さらに、本実施例では、活物質内のリチウム濃度分布および電解液内のリチウム濃度分布を考慮しているため、二次電池1の全体において、分極が解消されているか否かを判別することができる。これにより、活物質内の分極および電解液内の分極のいずれかが残ったままとなるのを防止できる。
本実施例によれば、二次電池1のSOCを推定する精度を向上させることができるため、二次電池1のSOCから算出される満充電容量の推定精度も向上させることができる。ここで、二次電池1の満充電容量CAPは、下記式(34)を用いて算出することができる。
上記式(34)において、ΣIは、二次電池1の充電又は放電を行っている間の電流積算値であり、充電又は放電を行っている間、電流センサ202によって検出された電流値を積算することによって得られる。SOC_sは、充電又は放電を開始したときの二次電池1のSOCであり、SOC_eは、充電又は放電を終了したときの二次電池1のSOCである。電流積算値ΣIは、二次電池1のSOCが、SOC_sからSOC_eまで変化するまでの間の電流積算値である。
本実施例によって、SOC_s,SOC_eの推定精度を向上させることができれば、満充電容量CAPの推定精度を向上させることができる。二次電池1の満充電容量を推定すれば、二次電池1の劣化状態を確認することができる。二次電池1の劣化が進行すると、二次電池1の満充電容量が低下してしまうため、満充電容量の低下に応じて、二次電池1の劣化状態を特定することができる。
組電池100を構成する複数の二次電池1では、劣化や温度のバラツキが発生することがある。この場合には、複数の二次電池1において、分極解消時間Tprにバラツキが発生してしまうことがある。そこで、組電池100の全体において、分極が解消していることを判別するときには、分極解消時間Tprが最も長い二次電池1を基準として判別することができる。具体的には、各二次電池1に対して分極解消時間Tprを算出し、これらの分極解消時間Tprのうち、最も長い分極解消時間Tprを用いて、組電池100の全体において分極が解消されているか否かを判別することができる。
一方、上述したように、二次電池1の電圧ではなく、電池ブロックの電圧を検出する構成では、本実施例と同様の方法によって、電池ブロックの分極解消時間Tprを推定したり、電池ブロックのSOCを推定したりすることができる。また、組電池100の全体における分極が解消されているか否かを判別するときには、複数の電池ブロックにおける分極解消時間Tprのうち、最も長い時間Tprを基準とすればよい。
一方、二次電池1の分極が解消されたことを確認した後に、二次電池1のOCVを取得すれば、組電池100を構成する複数の二次電池1において、OCVのバラツキを確認することができる。ここで、OCVのバラツキが発生しているときには、均等化処理を行うことにより、OCVのバラツキを低減させることができる。
均等化処理では、各二次電池1に対して均等化回路が電気的に並列に接続されており、特定の均等化回路を動作させることにより、この均等化回路に対応した二次電池1だけを放電させることができる。二次電池1を放電させれば、二次電池1のOCVを低下させることができるため、OCVが高い側の二次電池1を放電させることにより、複数の二次電池1におけるOCVのバラツキを低減させることができる。

Claims (10)

  1. 充放電を行う電池ユニットと、
    前記電池ユニットの分極状態を推定するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    拡散方程式を用いることにより、前記電池ユニットの活物質内の濃度分布を算出するとともに、前記電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、前記活物質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第1分極解消時間を算出し、
    拡散方程式を用いることにより、前記電池ユニットの電解質内の濃度分布を算出するとともに、前記電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、前記電解質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第2分極解消時間を算出し、
    前記電池ユニットの充放電を行っていない時間が、前記第1分極解消時間および前記第2分極解消時間のうち、長い側の分極解消時間よりも長いとき、前記電池ユニットの分極が解消されていると判別する、
    ことを特徴とする電池システム。
  2. 前記コントローラは、
    前記電池ユニットの充放電を行っていない時間が、前記長い側の分極解消時間よりも長いとき、電圧センサを用いて前記電池ユニットの電圧を取得し、
    前記電池ユニットの充電状態および開放電圧の対応関係を示す情報を用いて、取得した電圧に対応した充電状態を特定することを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
  3. 前記コントローラは、前記電池ユニットの充放電を行っていない時間が、前記長い側の分極解消時間よりも短いとき、前記電池ユニットの充放電を行っていない間における前記電池ユニットの電圧降下特性を用いて、前記電池ユニットの開放電圧を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池システム。
  4. 前記コントローラは、
    前記活物質内の濃度分布から算出される平均濃度と、前記活物質内の濃度との差が最大となる最大濃度を算出し、
    前記最大濃度および前記第1分極解消時間の対応関係を用いて、算出した前記最大濃度に対応した前記第1分極解消時間を特定する、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電池システム。
  5. 前記コントローラは、前記電解質内の濃度分布および前記第2分極解消時間の対応関係を用いて、算出した前記電解質内の濃度分布に対応した前記第2分極解消時間を特定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の電池システム。
  6. 前記コントローラは、前記活物質の中心および界面における濃度を境界条件として設定し、前記拡散方程式を用いて、前記活物質内の濃度分布を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の電池システム。
  7. 前記電池ユニットは、単電池であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の電池システム。
  8. 前記電池ユニットは、電気的に接続された複数の単電池を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の電池システム。
  9. 前記電池ユニットは、車両を走行させる運動エネルギに変換される電気エネルギを出力することを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の電池システム。
  10. 充放電を行う電池ユニットの分極状態を判別する判別方法であって、
    拡散方程式を用いることにより、前記電池ユニットの活物質内の濃度分布を算出するとともに、前記電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、前記活物質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第1分極解消時間を算出し、
    拡散方程式を用いることにより、前記電池ユニットの電解質内の濃度分布を算出するとともに、前記電池ユニットの充放電が行われていないと仮定したときに、前記電解質内の濃度分布が許容範囲内に収まるまでの第2分極解消時間を算出し、
    前記電池ユニットの充放電を行っていない時間が、前記第1分極解消時間および前記第2分極解消時間のうち、長い側の分極解消時間よりも長いとき、前記電池ユニットの分極が解消されていると判別する、
    ことを特徴とする判別方法。
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