JP2013213553A - 転がり軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制し、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制することができる転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】 転がり軸受装置は、転がり軸受Brと、給排油機構Kuとを備える。給排油機構Kuは、内輪延長部6の外周面に設けられた内輪円周溝8と、外輪間座7に設けられた給油路9と、外輪間座7に設けられた排油口10と、抑制弁Sとを有する。抑制弁Sは、外輪間座7における外輪2に隣接する間座端面と、軸受における間座端面に臨む軸受端部との隣合う面に設けられて、外輪間座7の内周面と内輪1の外周面との間のすきまδ1を通って、軸受空間A1内に浸入する潤滑油の油量を抑制する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば、工作機械主軸を回転自在に支持する転がり軸受装置に関し、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置に関する。
軸受の冷却と、軸受に対する潤滑油の給排油を行う機構を有する潤滑装置が提案されている(特許文献1)。この潤滑装置では、図16に示すように、内輪端面に接する内輪間座50を設け、外輪端面に接する潤滑油導入部材51を設けている。内輪52のうち前記内輪端面から内輪軌道面に繋がる斜面に円周溝53を設けると共に、前記潤滑油導入部材51にノズル54を設け、このノズル54から前記円周溝53内に軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を吐出するようになっている。
特開2008−240946号公報
図16の構造では、軸受内へ多量の潤滑油が浸入し軸受内で潤滑油が滞留すると、攪拌抵抗が増加し、軸受の温度が上昇して、高速回転が不可能となる場合がある。
ここで本件出願人は、図17に示す転がり軸受装置を提案している。同図に示すように、内輪1には、軸方向に延びる内輪延長部6を設け、外輪2に隣接し且つ内周面が内輪延長部6に対向する間座7を設けている。この場合、軸受運転時、以下の(1)〜(5)のように潤滑油が軸受内部に浸入する。同図における矢符は潤滑油の流れを示す。
(1) 潤滑油を給油路9から供給する。
(2) 潤滑油が内輪円周溝8に当たる。
(3) 潤滑油は、回転中の内輪1から遠心力を受けて、間座7の内周面7aに当たる。
(4) 潤滑油は、内輪延長部6の外周面と、間座7の内周面との径方向すきまから軸受内に浸入する。このとき転がり軸受装置を例えば立軸の支持に用いる場合には、内周面7aに当たった潤滑油が、排油口に向かうまでの経路途中で重力等の作用により、排油口であまり排出されずに軸受内に多量に浸入する場合がある。
(5) このように潤滑油が多量に浸入すると、軸受内に潤滑油が滞留する。この滞留した潤滑油が軸受の発熱の原因となり、高速運転が不可能となる。
この発明の目的は、軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制し、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制することができる転がり軸受装置を提供することである。
この発明の転がり軸受装置は、内外輪の軌道面間に、保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受と、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置において、前記内輪に軸方向に延びる内輪延長部を設けると共に、外輪に隣接し且つ内周面が前記内輪延長部に対向する外輪間座を設け、前記給排油機構は、内輪延長部の外周面に設けられた内輪円周溝と、前記外輪間座に設けられ、潤滑油を前記内輪円周溝へ向けて吐出する給油口を有する給油路と、前記外輪間座に設けられ、前記給油口とは異なる円周方向位置で内輪円周溝に連通し、潤滑油を排出する排油口と、前記外輪間座における外輪に隣接する間座端面と、軸受における前記間座端面に臨む軸受端部との隣合う面に設けられて、外輪間座の内周面と内輪の外周面との間のすきまを通って、内外輪の軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制する抑制弁とを有することを特徴とする。
この構成によると、軸受運転時、外輪間座の給油路から潤滑油を供給すると、内輪延長部の外周面の内輪円周溝に沿って潤滑油が流れる。これにより軸受を冷却する。軸受を冷却した油は、外輪間座の排油口から排出される。また内輪円周溝に供給された潤滑油は、遠心力を受け、外輪間座の内周面に衝突する。この衝突した潤滑油の一部は、外輪間座の内周面と内輪の外周面との間のすきまから軸受空間内に浸入しようとする。但し、外輪間座の前記間座端面と前記軸受端部との隣合う面に抑制弁を設けたため、軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制することができる。抑制弁によって多量の潤滑油が軸受空間内に浸入することを防ぐことができる。したがって、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制して、軸受の高速回転を可能とすることができる。
前記内輪の外周面における、前記すきまよりも軸受側に円周溝を設け、この円周溝と抑制弁とでラビリンス構造を成すものとしても良い。前記ラビリンス構造により、軸受空間内への潤滑油の浸入をさらに抑制することができる。
前記抑制弁の先端部に、径方向内方に延びる径方向のリップと、軸方向に延びる軸方向のリップとをそれぞれ設け、前記径方向のリップと前記円周溝の溝底面との間に径方向すきまを設け、前記軸方向のリップと前記円周溝の溝側面との間に軸方向すきまを設けたものとしても良い。この場合、軸受空間内への潤滑油の浸入を、径方向すきまと軸方向すきまとでさらに抑制することができる。
前記抑制弁が、弾性体またはゴムから成るものとしても良い。
前記抑制弁の先端部に、内輪に軽接触するリップを設けたものとしても良い。このリップは軸受運転中、常に潤滑油にさらされているため、前記リップの摩耗は抑制される。このリップは内輪に軽接触しているため、このリップ先端と内輪との間から軸受空間内への潤滑油の浸入が阻止される。
前記抑制弁には、軸受空間内へ潤滑油を供給する孔が設けられているものであっても良い。軸受潤滑に必要な潤滑油は、前記孔から軸受空間内に供給される。
前記抑制弁の前記孔を2箇所以上設けたものであっても良い。
前記孔を円周方向に沿って等間隔に配設したものであっても良い。これらの場合、軸受への潤滑をより確実に行うことができる。
前記外輪間座の排油口に、潤滑油の内輪円周溝に沿う流れを規制する障壁を設けたものであっても良い。この場合、内輪の回転に伴い内輪円周溝に沿って流れる潤滑油は、障壁に当たり、排油口に回収され易くなる。これにより、潤滑油が軸受内部に滞留することを抑制することができ、したがって、軸受内部の攪拌抵抗の増加を防止し得る。
前記障壁を、外輪間座の排油口における周方向長さの中央部に配設したものであっても良い。この場合、軸受が正回転する場合に、内輪円周溝に沿って正回転方向に流れる潤滑油を前記障壁で規制し、排油口に円滑に導くことができる。軸受が逆回転する場合にも、内輪円周溝に沿って逆回転方向に流れる潤滑油を前記障壁で規制し、排油口に円滑に導くことができる。
前記障壁は、内輪延長部における内輪円周溝の底面付近まで延びる延在部を含むものとしても良い。この場合、内輪円周溝に沿って流れる潤滑油を、障壁により確実に衝突させることができる。これにより、延在部がない障壁に比べて、排油口から回収される潤滑油の回収効率を高めることができる。
前記障壁は、潤滑油の流れ方向に応じて可動する弁構造であっても良い。この場合、軸受の正回転、逆回転にかからわず、潤滑油の流れ方向に応じて障壁を可動させて、潤滑油を排油口に円滑に導くことができる。
前記障壁は、排油口における半径方向内方の円周方向一側部から、半径方向外方の開口縁に向かうに従って、前記排油口における周方向長さの中央部に至るように傾斜する傾斜部を含むものであっても良い。この場合、潤滑油が傾斜部に沿って円滑に流れるため、排油口から回収される潤滑油の回収効率の向上を図ることができる。
前記障壁は、排油口にて軸方向に並ぶ2つの壁部を有し、各壁部は、排油口における半径方向内方の円周方向一側部から、前記排油口における半径方向外方の円周方向他側部に至るようにそれぞれ傾斜すると共に、これら軸方向に並ぶ2つの壁部が互いに交差するように設けられるものであっても良い。この場合、軸受の正回転、逆回転にかからわず、潤滑油がいずれか一方の壁部に沿って円滑に流れるため、排油口から回収される潤滑油の回収効率の向上を図ることができる。
前記いずれかの転がり軸受装置は、工作機械主軸の支持に用いられるものであっても良い。
この発明の転がり軸受装置は、内外輪の軌道面間に、保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受と、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置において、前記内輪に軸方向に延びる内輪延長部を設けると共に、外輪に隣接し且つ内周面が前記内輪延長部に対向する外輪間座を設け、前記給排油機構は、内輪延長部の外周面に設けられた内輪円周溝と、前記外輪間座に設けられ、潤滑油を前記内輪円周溝へ向けて吐出する給油口を有する給油路と、前記外輪間座に設けられ、前記給油口とは異なる円周方向位置で内輪円周溝に連通し、潤滑油を排出する排油口と、前記外輪間座における外輪に隣接する間座端面と、軸受における前記間座端面に臨む軸受端部との隣合う面に設けられて、外輪間座の内周面と内輪の外周面との間のすきまを通って、内外輪の軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制する抑制弁とを有するため、軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制し、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制することができる。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受装置の断面図である。 同転がり軸受装置の要部の断面図である。 同転がり軸受装置における図2のA部の拡大図である。 同転がり軸受装置における潤滑油の流れを示す平面図である。 この発明の他の実施形態に係る転がり軸受装置の要部の拡大断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受装置の要部の拡大断面図である。 (A)は、この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受装置の要部の平面図、(B)は同図7(A)のVII(B) - VII(B) 線端面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受装置の要部の平面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受装置の要部の平面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受装置の要部の平面図である。 (A)は、この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受装置において、内輪が同図反時計回りに回転するときの状態を表す要部の平面図、(B)は、同内輪が同図時計回りに回転するときの状態を表す要部の平面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座の斜視図である。 同外輪間座の要部を内径側から拡大して示す斜視図である。 同外輪間座の要部の平面図である。 この発明のいずれかの実施形態に係る転がり軸受装置を、工作機械主軸を支持する転がり軸受に適用した例を示す概略断面図である。 従来例の転がり軸受の潤滑装置の要部の断面図である。 潤滑油が軸受内部へ浸入する参考提案例を示す要部の断面図である。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図1に示すように、この実施形態に係る転がり軸受装置は、転がり軸受Brと、給排油機構Kuとを備えている。
図2に示すように、転がり軸受Brは、内外輪1,2である一対の軌道輪と、内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在する複数の転動体3と、これら転動体3を保持するリング状の保持器4とを有する。この転がり軸受はアンギュラ玉軸受からなり、転動体3として、鋼球やセラミックス球等からなる玉が適用される。
内輪1は、内輪本体部5と、この内輪本体部5から一体に延びる内輪延長部6とを有する。この例では、内輪延長部6は、内輪本体部5の軌道面1aに対し接触角を成す作用線Lの偏り側から幅方向に延びる。内輪本体部5は、軸受としての必要な強度を満たすと共に、例えば、軸受の呼び番号毎に定められる主要寸法である内輪内径寸法および幅寸法に設けられる。但し、これら内輪内径寸法および幅寸法に必ずしも限定されるものではない。内輪本体部5における外周面の中央部に軌道面1aが形成されている。内輪本体部5の外周面のうち、軌道面1aにそれぞれ繋がる両側の外周面は、平坦な外径面に形成されている。内輪延長部6は、内輪本体部5よりも軸方向に突出した部分であり、具体的には、例えば、外輪2の端面2dよりも軸方向に突出する部分である。この内輪延長部6には、軸受空間A1と内輪円周溝8とを区画し、且つ、後述の円周溝6aを形成する区画壁B1が設けられている。なお、内輪延長部6の外周面における、区画壁B1の外周面とは軸方向逆側の外周面と、この外周面に対向する外輪間座7の内周面との間には、例えば、隣接する軸受等に潤滑油が漏洩することを抑制する径方向のすきまδ3を設けている。
外輪2の軌道面2aの軸方向両側に、外輪内径面2bと、斜面状のカウンタボア2cとがそれぞれ形成されている。前記外輪内径面2bに保持器4が案内されるように構成されている。
図1に示すように、給排油機構Kuは、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する機構である。外輪2に隣接して外輪間座7を設け、この外輪間座7の内周面を、内輪延長部6の外周面に対向させている。給排油機構Kuは、内輪円周溝8と、給油路9と、径方向のすきまδ1と、排油口10と、抑制弁としての抑制弁Sとを有する。前記内輪円周溝8は、内輪延長部6の外周面に設けられている。
図1左側に示すように、外輪間座7のうち円周方向の一部に、潤滑油を内輪円周溝8へ向けて吐出する給油口18を有する給油路9が形成されている。この給油路9は、外輪間座7の外周面から、径方向に貫通する段付きの貫通孔状に形成されている。図4に示すように、給油路9から供給された潤滑油は、給油口18から吐出されて内輪円周溝8に供給される。この潤滑油は、内輪円周溝8に沿って、内輪1の回転方向L1と同一方向に進み、軸受の冷却に供される。冷却に供された潤滑油は、排油口10および後述の切欠部13から排出される。
外輪間座7のうち、前記給油路9とは異なる円周方向位置には、潤滑油を外部に排出する排油口10が形成されている。排油口10は、図1右側に示すように、外輪間座7の外周面から径方向に貫通して内輪円周溝8に連通するように形成されている。図4に示すように、給油路9に対し、排油口10の位相が所定の位相角度α(この例ではα=270度)となるように設けられている。
図3に示すように、径方向のすきまδ1は、内輪延長部6の外周面のうち内輪円周溝8よりも軸受側に形成される外周面と、外輪間座7の内周面との間に設けられる。換言すれば、内輪延長部6における区画壁B1の外周面と、外輪間座7の内周面との間に、径方向のすきまδ1が設けられる。潤滑油は、すきまδ1、および、抑制弁Sと円周溝6aとの間の径方向すきまδ2を通って内外輪1,2の軸受空間A1内に導入される。
抑制弁Sは、軸受空間A1内に浸入する潤滑油の油量を抑制するものである。この抑制弁Sは、外輪間座7における外輪2に隣接する間座端面と、軸受における前記間座端面に臨む軸受端部との隣合う面に設けられる。この例では、間座端面における内周部分に、段差を成す環状凹み部7aが形成され、この環状凹み部7aに抑制弁Sが嵌合固定されている。抑制弁Sは、弾性体またはゴムから成り、断面略矩形状の基端部Saと、この基端部Saの内周縁から半径方向内方に延びるリップSbとを有する。これら基端部SaとリップSbとが図示外の金型により一体に形成される。外輪間座7の前記環状凹み部7aに基端部Saが嵌合され、基端部SaおよびリップSbが軸受空間A1内に入り込むことを阻止している。
内輪延長部6の区画壁B1における、前記すきまδ1よりも軸受側に円周溝6aを設け、この円周溝6aと抑制弁Sとでラビリンス構造を成す。円周溝6aは、溝底面6aaと、この溝底面6aaの軸方向両側縁にそれぞれ繋がる溝側面6ab,6acとで成り、一方の溝側面6abが前記すきまδ1に繋がり、他方の溝側面6acが内輪本体部6の外周面に繋がる。一方の溝側面6abは、径方向内方(溝底面6aa)に向かうに従って内輪本体部側に至るように傾斜する断面形状に形成され、他方の溝側面6acは、径方向外方に向かうに従って内輪本体部側に至るように傾斜する断面形状に形成されている。
前記リップSbと円周溝6aにおける溝底面6aaとの間には、径方向すきまδ2が設けられている。したがって、内輪円周溝8から、すきまδ1、δ2を順次、通過した潤滑油のみが、軸受空間A1内に浸入する。すきまδ1だけでなく抑制弁Sにより径方向すきまδ2を設けたことにより、軸受空間A1内に浸入する潤滑油の油量を抑制し得る。このように抑制弁Sを設けたことで、多量の潤滑油が軸受空間A1内に浸入することを防止し得る。前記「多量の潤滑油」とは、潤滑油が攪拌抵抗となって、例えば、実験やシミュレーション等により定められる温度以上に軸受が温度上昇するような潤滑油の油量を言う。
図2に示すように、固定側の軌道輪である外輪2には、軸受内で潤滑に供された潤滑油を軸受外に排出する切欠部13が設けられている。外輪2における、外輪間座7が設けられる側とは軸方向逆側の外輪端面に、切欠部13が設けられている。この切欠部13を、図4に示すように、内輪1の回転方向L1に沿う、給油路9と排油口10との間に配設している。この例では、切欠部13は、例えば、給油路9に対し90度の位相角度をもって配設され、且つ、排油口10に対し180度の位相角度をもって配設されている。
作用効果について説明する。
図1に示すように、軸受運転時、外輪間座7の給油路9から潤滑油を供給すると、内輪延長部6の外周面の内輪円周溝8に沿って潤滑油が流れる。これにより軸受を冷却する。軸受を冷却した油は、外輪間座7の排油口10から排出される。また内輪円周溝8に供給された潤滑油は、遠心力を受け、外輪間座7の内周面に衝突する。この衝突した潤滑油の一部は、外輪間座7の内周面と内輪延長部6の外周面との間のすきまδ1、径方向すきまδ2を順次通って軸受空間A1内に浸入する。軸受空間A1内で潤滑に供された潤滑油は、切欠部13から軸受外に排出される。
以上説明したように前記すきまδ1だけでなく抑制弁Sにより径方向すきまδ2を設けたことにより、軸受空間A1内に浸入する潤滑油の油量を抑制し得る。このように抑制弁Sを設けたことで、多量の潤滑油が軸受空間A1内に浸入することを防止し得る。内輪1の外周面における、前記すきまδ1よりも軸受側に円周溝6aを設け、この円周溝6aと抑制弁Sとでラビリンス構造を成すものとしたため、ラビリンス構造のない構成のものより、軸受空間A1内への潤滑油の浸入をさらに抑制することができる。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。
図5に示すように、抑制弁Sの先端部に、径方向内方に延びる径方向のリップSbと、軸方向に延びる軸方向のリップScとをそれぞれ設けた構成にしても良い。これらリップSb,Scにより断面L字形状に形成される。前記径方向のリップSbと円周溝6aの溝底面6aaとの間に径方向すきまδ2を設け、前記軸方向のリップScと円周溝6aの溝側面6abとの間に軸方向すきまδ4を設けている。この場合、軸受空間A1内への潤滑油の浸入を、径方向すきまδ2と軸方向すきまδ4でさらに抑制することができる。
図6に示すように、抑制弁Sの先端部に、内輪延長部6における一方の溝側面6abに軽接触するリップSdを設けても良い。この例の抑制弁Sは、基端部Saと、リップ本体SLとを有する。リップ本体SLの先端部分に、径方向内方に延びる非接触のリップSbと、軸方向に延びる軽接触のリップSdとが分岐して断面L字形状に設けられている。リップ本体SLの基端部分は、基端部Saの軸方向厚さt1よりも薄肉で、且つ、各リップSb,Sdの厚みよりも厚肉に形成されている。リップ本体SLの基端部分には、軸受空間A1内に潤滑油を供給する孔haが2箇所以上設けられている。これら孔haは、円周方向に沿って等間隔に配設されている。但し、複数の孔haを不等間隔に配設することも可能である。軸受空間A1内に浸入させるべき潤滑油の油量により、各孔haの直径寸法および孔haの個数が定められる。
この構成によると、軽接触のリップSdは軸受運転中、常に潤滑油にさらされているため、前記リップSdの摩耗は抑制される。このリップSdは内輪1の溝側面6abに軽接触しているため、このリップ先端と内輪1との間から軸受空間A内への潤滑油の浸入が阻止される。軸受潤滑に必要な潤滑油は、前記リップ本体SLの基端部分に設けた孔haから軸受空間A1内に供給される。また複数の孔haを円周方向に沿って等間隔に配設したため、軸受への潤滑をより確実に行うことができる。
図7(A),(B)に示すように、外輪間座7の排油口10に、潤滑油の内輪円周溝8に沿う流れを規制する障壁14を設けても良い。この障壁14は、外輪間座7の排油口10における周方向長さLaの中央部に配設される半径方向に延びる矩形板状である。障壁14は、排油口10の開口縁から、同排油口10における半径方向内周付近まで延びる。この障壁14によると、内輪1の回転に伴い内輪円周溝8に沿って流れる潤滑油は、障壁14に当たり、排油口10に回収され易くなる。これにより、潤滑油が軸受内部に滞留することを抑制することができ、したがって、軸受内部の攪拌抵抗の増加を防止し得る。また、障壁14を、外輪間座7の排油口10における周方向長さLaの中央部に配設したため、軸受が正逆回転いずれの場合にも、内輪円周溝8に沿って潤滑油を前記障壁14で規制し、排油口10に円滑に導くことができる。
図8に示すように、障壁14は、内輪延長部6における内輪円周溝8の底面付近まで延びる延在部14aを含むものとしても良い。この場合、内輪円周溝8に沿って流れる潤滑油を、障壁14により確実に衝突させることができる。これにより、延在部14aがない障壁に比べて、排油口10から回収される潤滑油の回収効率を高めることができる。
図9に示すように、障壁14Aをテーパ形状にしても良い。この例の障壁14Aは、例えば、三角柱形状からなり、排油口10における半径方向内方の円周方向両側部から、半径方向外方の開口縁に向かうに従って、前記排油口10における周方向長さLaの中央部P1に至るように傾斜する傾斜部14Aa,14Aaを含む。前記中央部P1を通る半径方向に対する各傾斜部14Aa,14Aaの傾斜角度α1,α1は、同一角度に設定され、且つ、排油の回収を阻害しない角度に規定される。一方の傾斜部14Aaの半径方向内方側の端部と、他方の傾斜部14Aaの半径方向内方側の端部との距離Lbは、この障壁14Aを排油口10の外径方向から挿入して組み立てる組立性から、排油口10の周方向長さ(幅寸法)Laと略同一とされている。これら両端部を結ぶ辺が、外輪間座7における前記中央部P1を通る接線と平行になるように傾斜部14Aa,14Aaが設けられる。
この構成によると、潤滑油が傾斜部14Aaに沿って円滑に流れるため、排油口10から回収される潤滑油の回収効率の向上を図ることができる。また各傾斜部14Aaにより、軸受が正逆回転いずれの場合にも、内輪円周溝8に沿って潤滑油を、傾斜部14Aaに沿って円滑に流し排油口10に円滑に導くことができる。
図10の例は、図9と同様に、障壁14Bをテーパ形状にした例であるが、障壁14Bを2分割構造とすることにより、一方の傾斜部14Baの半径方向内方側の端部と、他方の傾斜部14Baの半径方向内方側の端部との距離Lbを、排油口10の周方向長さLaよりも大きくしている。各傾斜部14Baの端部は、それぞれ内輪延長部6における内輪円周溝8の底面付近まで延びる。このように障壁14Bが内輪延長部6と外輪間座7とにまたがる場合には、障壁14Bは組立性を考慮し排油口10の外径方向から挿入されるため、排油口10の幅寸法<前記距離Lbとすると、障壁14Bを2分割以上の構造にしないと成立しない。図10の例では、各傾斜部14Ba,14Baの端部間の距離Lb>排油口10の周方向長さLaとし、障壁14Bを傾斜部14Ba,14Baを含む2分割構造とすることで、図9の例よりも潤滑油の回収効率の向上をさらに図ることができる。また各傾斜部14Baを排油口10の外径方向から挿入して障壁14Bを容易に組み立てることができ、製造コストの低減を図れる。
図11に示すように、障壁14Cは、潤滑油の流れ方向に応じて可動する弁構造であっても良い。図11(A)は、内輪1が同図反時計回りに回転するときの状態を表す要部の平面図であり、同図(B)は、同内輪1が同図時計回りに回転するときの状態を表す要部の平面図である。外輪間座7の排油口10における半径方向内方には、弁体14Caの長手方向一端が揺動自在に支持されている。内輪1が回転する場合、内輪円周溝8に沿って内輪回転方向に流れる潤滑油が、弁体14Caの長手方向他端を押圧して可動させる。この場合、軸受の正回転、逆回転にかからわず、潤滑油の流れ方向に応じて障壁14Cを可動させて、潤滑油を排油口10に円滑に導くことができる。また弁体14Caを可動させる駆動源等が不要であるため、構造を簡単化することができる。
図12〜図14の例は、障壁14Dは、排油口にて軸方向に並ぶ2つの壁部14Da,14Daを有する。図13は外輪間座7の要部を内径側から拡大して示す斜視図であり、図14は同外輪間座7の要部の平面図である。図13,図14に示すように、各壁部14Da,14Daは、排油口10における半径方向内方の円周方向一側部から、前記排油口10における半径方向外方の円周方向他側部に至るようにそれぞれ傾斜すると共に、これら軸方向に並ぶ2つの壁部14Da,14Daが互いに交差するように設けられる。
この場合、軸受の正回転、逆回転にかからわず、潤滑油がいずれか一方の壁部14Daに沿って円滑に流れるため、排油口10から回収される潤滑油の回収効率の向上を図ることができる。
図15は、前述のいずれかの転がり軸受装置を、立型の工作機械主軸の支持に用いた例を概略示す断面図である。この例では、アンギュラ玉軸受を含む転がり軸受装置28,28を、2個背面組み合わせでハウジング29に設置し、これらの転がり軸受装置28,28により主軸30を回転自在に支持する。各軸受装置28における内輪1は、内輪位置決め間座31,31および主軸30の段部30a,30aにより軸方向に位置決めされ、内輪固定ナット32により主軸30に締め付け固定されている。主軸上側の間座7および主軸下側の外輪2は、外輪押え蓋34,34によりハウジング29内に位置決め固定されている。また主軸上側の外輪端面と、主軸下側の間座幅面との間には、間座35が介在されている。
ハウジング29は、ハウジング内筒29aとハウジング外筒29bとを嵌合させたものであり、その嵌合部に、冷却のための通油溝29cが設けられている。ハウジング内筒29aには、各軸受装置28にそれぞれ潤滑油を供給する供給油路36,36が形成されている。これら供給油路36,36は図示外の潤滑油供給源に接続されている。さらにハウジング内筒29aには、潤滑に供された潤滑油を排出する排油溝37および排油路38が形成されている。排油溝37は、各軸受装置28における切欠部13および排油口10にそれぞれ連通する。各排油溝37に、主軸軸方向に延びる排油路38が繋がり、この排油路38から潤滑油が排出されるようになっている。
このように転がり軸受装置28,28を工作機械主軸30の支持に用いた場合、各転がり軸受装置28に、軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制する抑制弁Sを設けたため、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制して、軸受の高速回転を可能とすることができる。
本実施形態に係る転がり軸受装置を、横型の工作機械主軸の支持に用いることも可能である。
1…内輪
2…外輪
1a,2a…軌道面
3…転動体
4…保持器
6…内輪延長部
6a…円周溝
7…外輪間座
8…内輪円周溝
9…給油路
10…排油口
14〜14D…障壁
18…給油口
A1…軸受空間
Br…転がり軸受
ha…孔
Ku…給排油機構
S…抑制弁
Sb…径方向のリップ
Sc…軸方向のリップ
Sd…軽接触のリップ
δ1…すきま

Claims (10)

  1. 内外輪の軌道面間に、保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受と、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置において、
    前記内輪に軸方向に延びる内輪延長部を設けると共に、外輪に隣接し且つ内周面が前記内輪延長部に対向する外輪間座を設け、
    前記給排油機構は、
    内輪延長部の外周面に設けられた内輪円周溝と、
    前記外輪間座に設けられ、潤滑油を前記内輪円周溝へ向けて吐出する給油口を有する給油路と、
    前記外輪間座に設けられ、前記給油口とは異なる円周方向位置で内輪円周溝に連通し、潤滑油を排出する排油口と、
    前記外輪間座における外輪に隣接する間座端面と、軸受における前記間座端面に臨む軸受端部との隣合う面に設けられて、外輪間座の内周面と内輪の外周面との間のすきまを通って、内外輪の軸受空間内に浸入する潤滑油の油量を抑制する抑制弁と、
    を有することを特徴とする転がり軸受装置。
  2. 請求項1において、前記内輪の外周面における、前記すきまよりも軸受側に円周溝を設け、この円周溝と抑制弁とでラビリンス構造を成す転がり軸受装置。
  3. 請求項2において、前記抑制弁の先端部に、径方向内方に延びる径方向のリップと、軸方向に延びる軸方向のリップとをそれぞれ設け、前記径方向のリップと前記円周溝の溝底面との間に径方向すきまを設け、前記軸方向のリップと前記円周溝の溝側面との間に軸方向すきまを設けた転がり軸受装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記抑制弁の先端部に、内輪に軽接触するリップを設けた転がり軸受装置。
  5. 請求項4において、前記抑制弁には、軸受空間内へ潤滑油を供給する孔が設けられている転がり軸受装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記外輪間座の排油口に、潤滑油の内輪円周溝に沿う流れを規制する障壁を設けた転がり軸受装置。
  7. 請求項6において、前記障壁を、外輪間座の排油口における周方向長さの中央部に配設した転がり軸受装置。
  8. 請求項6または請求項7において、前記障壁は、潤滑油の流れ方向に応じて可動する弁構造である転がり軸受装置。
  9. 請求項7または請求項8において、前記障壁は、排油口にて軸方向に並ぶ2つの壁部を有し、各壁部は、排油口における半径方向内方の円周方向一側部から、前記排油口における半径方向外方の円周方向他側部に至るようにそれぞれ傾斜すると共に、これら軸方向に並ぶ2つの壁部が互いに交差するように設けられる転がり軸受装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、工作機械主軸の支持に用いられるものである転がり軸受装置。
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