JP5840391B2 - 転がり軸受装置 - Google Patents
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Description
この発明における第1の発明の転がり軸受装置は、前記前提構成において、振切用鍔状部の内側面が、この振切用鍔状部の内側面に対向する前記保持器の端面から離れている。
前記「端部付近」とは、内輪の外径面のうち、保持器の端面よりも軸方向外側の部分を指す。
この発明における第2の発明の転がり軸受装置は、前記前提構成において、前記外輪のうち、振切用鍔状部の径方向外方に位置する外輪端面に、軸受内で潤滑に供された潤滑油を軸受外に排出する切欠部を設ける。軸受潤滑に必要な潤滑油が軸受内に供給された後、振切用鍔状部で径方向外方へ振り飛ばされる。この振り飛ばされた潤滑油が切欠部から軸受外に円滑に排出される。これにより潤滑油が滞留し難くなる。
前記切欠部の底面は、径方向外方に向かうに従って軸方向外側に至るように傾斜する断面形状に形成されていても良い。前記切欠部のある外輪端面のうち、外輪内径縁側の排出口を拡大することができ、これにより、振り飛ばされた潤滑油をより排出し易くできる。
前記振切用鍔状部は、前記割り口を形成する端面が、互いに平行でかつ割り口における振切用鍔状部の円周方向に対して傾斜したテーパ面であり、割り口の隙間が負隙間または零であるものとしても良い。この場合、内輪および振切用鍔状部が回転したとき、この振切用鍔状部の円周方向の両側の端面に生じ得る攪拌抵抗を、両端面が離間したものより小さくすることができる。
前記いずれかの転がり軸受装置が、工作機械主軸の支持に用いられるものであっても良い。
この発明における第2の発明の転がり軸受装置は、前記前提構成において、前記外輪のうち、振切用鍔状部の径方向外方に位置する外輪端面に、軸受内で潤滑に供された潤滑油を軸受外に排出する切欠部を設けたため、軸受内へ浸入した潤滑油を軸受外に円滑に排油し、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制することができる。
この発明における第3の発明の転がり軸受装置は、前記前提構成において、軸受内部側に臨む内側面は、径方向外方に向かうに従って軸方向外側に至るように傾斜する断面形状に形成されているため、軸受内へ浸入した潤滑油を軸受外に円滑に排油し、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制することができる。
この発明における第4の発明の転がり軸受装置は、前記前提構成において、前記内輪の外径面の端部付近に円周溝を設け、この円周溝に、円周方向の1箇所に割り口を有する一つ割り形状の振切用鍔状部を装着したため、軸受内へ浸入した潤滑油を軸受外に円滑に排油し、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制することができる。
図2に示すように、転がり軸受は、内外輪1,2である一対の軌道輪と、内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在する複数の転動体3と、これら転動体3を保持するリング状の保持器4とを有する。この転がり軸受はアンギュラ玉軸受からなり、転動体3として、鋼球やセラミックス球等からなる玉が適用される。
外輪2の軌道面2aの軸方向両側に、外輪内径面2bと、カウンタボア2cとがそれぞれ形成されている。前記外輪内径面2bに保持器4が案内されるように構成されている。
図3(A)に示すように、給排油機構Kuは、環状油路8と、給油口9と、排油口10とを有する。これらのうち環状油路8は、図1左側に示すように、軌道輪延長部6の外周面に設けられる断面凹形状の内輪側円周溝11と、間座7の内周面に設けられ、前記内輪側円周溝11に対して径方向に対向するように配設される間座側円周溝12とで成る。これら内輪側円周溝11と間座側円周溝12とで断面矩形孔状で環状に連なる環状油路8が形成される。
図4は、この転がり軸受装置における潤滑油の流れを示す断面図である。
軸受を例えば立軸で使用する場合、軸受運転時、以下の(1)〜(5)のように潤滑油が流れる。同図における矢符は潤滑油の流れを示す。
(1) 潤滑油を給油口9から環状油路8に供給する。
(2) 内輪側円周溝11に沿って潤滑油が流れ、軸受を冷却する。
(3) 軸受を冷却した潤滑油が、排油口10から排出される。
(4) 軸受潤滑に必要な潤滑油が、ラビリンス14を経由して軸受内に供給される。
(5) 軸受の潤滑に供された潤滑油は、自重により振切用鍔状部17に衝突し、内輪回転による遠心力によりこの振切用鍔状部17の径方向外方へ振り切って飛ばされる。この振り飛ばされた潤滑油が切欠部13から軸受外に円滑に排出される。
軌道輪延長部6および間座7には、給油口9から環状油路8に供給された潤滑油を、斜面1bを介して内輪軌道面1aに導くラビリンス14を設けたため、潤滑油の供給量を抑制することができる。これにより、攪拌抵抗の増加をさらに確実に防止することができる。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。
図5に示すように、振切用鍔状部17のうち、軸受内部側に臨む内側面17aは、径方向外方に向かうに従って軸方向外側に傾斜する断面形状に形成されていても良い。この場合、軸受内で潤滑に供された潤滑油が振切用鍔状部17に衝突した後、この振切用鍔状部17の内側面17aの基端側から径方向外方に沿って流れ易くなる。したがって、潤滑油を軸受外により円滑に排油することができる。
図7に示すように、外輪2のうち振切用鍔状部17の径方向外方に位置する外輪端面と、この外輪端面に繋がる外輪内径面との角部に、径方向外方に向かうに従って軸方向外側に至るように傾斜する断面形状に形成された傾斜面22を設けたものとしても良い。この場合、外輪端面と外輪内径面との角部付近に存する潤滑油が傾斜面22に沿って流れ、潤滑油をより排出し易くできる。
図8および図9の構成によると、振切用鍔状部17Aの円周方向の両端部17Aa,17Aaを離間させ、この振切用鍔状部17Aを拡径させた後、弾性を利用して内輪1の前記円周溝23に容易に装着することが可能となる。さらにこの構成によると、振切用鍔状部17を内輪1の外径面に一体に設けたものより、内輪1を簡単に加工することができる。これにより加工工数の低減を図れる。
この構成によると、内輪1および振切用鍔状部17Bが回転したとき、この振切用鍔状部17Bの円周方向の両側の端面17Ba,17Baに生じ得る攪拌抵抗を、両端面が離間したものより小さくすることができる。
潤滑油漏れ防止機構25は、上側の軸受に隣接する間座幅面に設けた円周溝26と、この円周溝26に連通し同間座幅面に設けた排出用切欠き27とを有する。間座幅面は間座端面とも言う。前記円周溝26は、軸受軸心と同心の断面凹形状で上側の軸受の軸受空間に臨み、且つ、同軸受の内輪外径面1cよりも所定小距離径方向外側に配設される。前記排出用切欠き27は、間座幅面のうち、円周溝26の円周方向の1箇所から径方向内外にわたって延びるように切欠き形成されている。
(1) 上側の軸受内に供給された潤滑油は、潤滑に供された後、この潤滑油の自重により下部へ流れる。
(2) 前記潤滑油は、自重および内輪回転による遠心力により、間座幅面に設けた円周溝26に流れ込む。
(3) 円周溝26に流れ込んだ潤滑油は、この円周溝26に沿って流れ、排出用切欠き27にて径方向外方に排出される。
以上説明した円周溝26および排出用切欠き27により、上側の軸受内で潤滑に供された潤滑油が、隣接する下側の軸受へ不所望に漏れることを防ぐことが可能となる。
このように転がり軸受装置28,28を、立型の工作機械主軸の支持に用いた場合、軸受内へ浸入した潤滑油を軸受外に円滑に排油することができる。したがって、潤滑油の攪拌抵抗による軸受の温度上昇を抑制して、軸受の高速運転を可能とすることができる。
本実施形態に係る転がり軸受装置を、横型の工作機械主軸の支持に用いることも可能である。
2…外輪
1a,2a…軌道面
3…転動体
4…保持器
6…軌道輪延長部
7…間座
8…環状油路
9…給油口
10…排油口
13…切欠部
17,17A,17B…振切用鍔状部
25…潤滑油漏れ防止機構
28…転がり軸受装置
30…主軸
Ku…給排油機構
Claims (12)
- 内外輪の軌道面間に、保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受と、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置において、
前記内輪の外径面の端部付近に、径方向外方へ突出する環状の振切用鍔状部を設け、この振切用鍔状部の内側面が、この振切用鍔状部の内側面に対向する前記保持器の端面から離れており、
前記給排油機構から供給され軸受内で潤滑に供された潤滑油を、前記振切用鍔状部に衝突させ、内輪回転による遠心力により径方向外方へ振り切るものとしたことを特徴とする転がり軸受装置。 - 請求項1において、前記内輪に軸方向に延びる軌道輪延長部を設けると共に、外輪に、前記軌道輪延長部に対向する間座を設け、これら軌道輪延長部と間座とにわたって給排油機構を設けた転がり軸受装置。
- 内外輪の軌道面間に、保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受と、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置において、
前記内輪の外径面の端部付近に、径方向外方へ突出する環状の振切用鍔状部を設け、
前記給排油機構から供給され軸受内で潤滑に供された潤滑油を、前記振切用鍔状部に衝突させ、内輪回転による遠心力により径方向外方へ振り切るものとし、前記外輪のうち、振切用鍔状部の径方向外方に位置する外輪端面に、軸受内で潤滑に供された潤滑油を軸受外に排出する切欠部を設けた転がり軸受装置。 - 請求項3において、前記切欠部における外輪端面からの深さAと、前記振切用鍔状部の軸方向厚みBとの関係がA>Bの関係にある転がり軸受装置。
- 請求項3または請求項4において、前記切欠部の底面は、径方向外方に向かうに従って軸方向外側に至るように傾斜する断面形状に形成されている転がり軸受装置。
- 内外輪の軌道面間に、保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受と、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置において、
前記内輪の外径面の端部付近に、径方向外方へ突出する環状の振切用鍔状部を設け、
前記給排油機構から供給され軸受内で潤滑に供された潤滑油を、前記振切用鍔状部に衝突させ、内輪回転による遠心力により径方向外方へ振り切るものとし、軸受内部側に臨む内側面は、径方向外方に向かうに従って軸方向外側に至るように傾斜する断面形状に形成されている転がり軸受装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記外輪のうち振切用鍔状部の径方向外方に位置する外輪端面と、この外輪端面に繋がる外輪内径面との角部に、径方向外方に向かうに従って軸方向外側に至るように傾斜する断面形状に形成された傾斜面を設けた転がり軸受装置。
- 内外輪の軌道面間に、保持器に保持された複数の転動体を介在させた転がり軸受と、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を軸受内に供給すると共に、軸受外に排出する給排油機構とを備えた転がり軸受装置において、
前記内輪の外径面の端部付近に、径方向外方へ突出する環状の振切用鍔状部を設け、
前記給排油機構から供給され軸受内で潤滑に供された潤滑油を、前記振切用鍔状部に衝突させ、内輪回転による遠心力により径方向外方へ振り切るものとし、前記内輪の外径面の端部付近に円周溝を設け、この円周溝に、円周方向の1箇所に割り口を有する一つ割り形状の振切用鍔状部を装着した転がり軸受装置。 - 請求項8において、前記振切用鍔状部は、前記割り口を形成する端面が、互いに平行でかつ割り口における振切用鍔状部の円周方向に対して傾斜したテーパ面であり、割り口の隙間が負隙間または零である転がり軸受装置。
- 請求項8または請求項9において、前記振切用鍔状部は、内輪よりも線膨張係数の小さい材料から成る転がり軸受装置。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記内輪に軸方向一方に延びる軌道輪延長部を設けると共に、外輪に、前記軌道輪延長部に対向する間座を設け、これら軌道輪延長部と間座とにわたって給排油機構を設け、軸受を複数個組合わせた場合に、いずれか一つの軸受内で潤滑に供された潤滑油が、隣接する軸受へ漏れることを防ぐ潤滑油漏れ防止機構を、前記隣接する軸受に設けた前記間座における、前記一つの軸受に隣接する間座端面に設け、前記隣接する軸受の内輪の外径面における、前記軌道輪延長部とは軸方向逆側の端部付近に、前記振切用鍔状部を設けた転がり軸受装置。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、工作機械主軸の支持に用いられるものである転がり軸受装置。
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