JP2013213409A - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通気抵抗を小さくして吸気効率を良好に維持することができる内燃機関の吸気装置を供する。
【解決手段】吸気通路(P)が部分的に仕切り機構(70)により上側吸気通路(Up)と下側吸気通路(Lp)に仕切られ、仕切り機構(70)は、支持部(71)に摺動自在に支持された延出スライド板(72)が吸気下流側に延出し吸気ポート(44)の湾曲部に進退自在に設けられる内燃機関の吸気装置。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両に搭載される内燃機関の吸気装置に関する。
内燃機関の燃焼室から延出する吸気ポートの下側壁面に吸気を直線状に制御する方向制御板(フラップ)を出没自在に設け、吸気弁のリフト量が小さいときに方向制御板を突出し、吸気弁のリフト量が大きいときは方向制御板を没するように制御することで、弁リフト量の全リフト領域で吸気流量を大きくして吸気効率を向上させる例がある(特許文献1参照)。
特開平6−108862号公報
特許文献1には、燃焼室内に生じるタンブルについては記載がないが、吸気ポートが燃焼室に案内する吸気のうちで吸気弁口のシリンダ軸(シリンダボアの中心軸)に近い内側縁側から燃焼室に吸入される吸気が、排気側に向け流入しながらシリンダボアの排気側を下降した後にピストン頂面に沿って流れを曲げて吸気側を上昇することで縦渦いわゆるタンブルが発生するので、吸気ポートの下側壁面から突出する方向制御板は吸気を排気側に向けて燃焼室に流入し、タンブルを発生し易い。
タンブルを形成することで、燃焼室上部の点火プラグの周りに燃料を送り成層化して燃焼効率を向上させることができる。
しかし、吸気ポートの壁面から方向制御板が出没するので、方向制御板が突出したときは、吸気ポートの流路面積が小さくなり、通気抵抗が発生して吸気効率を低下させる。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、通気抵抗を小さくして吸気効率を良好に維持することができる内燃機関の吸気装置を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
シリンダブロック(16)のシリンダボア(16b)内を摺動自在に嵌合されるピストン(25)の頂面と同頂面が対向するシリンダヘッド(17)の天井面(41)との間に燃焼室(40)が構成され、
前記シリンダヘッド(17)の前記天井面(41)に開口した吸気弁口(42)と排気弁口(43)から各々吸気ポート(44)と排気ポート(45)が互いに離れる方向に湾曲しながら延出して形成され、
吸気ポート(44)にインレットパイプ(20)が接続されて連続した吸気通路(P)が構成され、
前記インレットパイプ(20)にスロットル弁(22)が設けられた内燃機関の吸気装置において、
前記吸気通路(P)が部分的に仕切り機構(70)により上側吸気通路(Up)と下側吸気通路(Lp)に仕切られ、
前記仕切り機構(70)は、支持部(71)に摺動自在に支持された延出スライド板(72)が吸気下流側に延出し吸気ポート(44)の湾曲部に進退自在に設けられることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の内燃機関の吸気装置において、
前記支持部(71)は、前記吸気通路(P)を上下に仕切るように固定された仕切り支持板(71)であり、
前記延出スライド板(72)は、前記仕切り支持板(71)に重なり摺動自在に支持され、吸気下流側に延出して吸気ポート(44)の湾曲部に進退自在に設けられることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
請求項2記載の内燃機関の吸気装置において、
内燃機関が低負荷状態のときに前記延出スライド板(72)を進行させて上側吸気通路(Up)を絞り、高負荷状態のときに前記延出スライド板(72)を退行させることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
請求項3記載の内燃機関の吸気装置において、
前記仕切り支持板(71)の上流側に延長するように設けられた仕切板(60)により前記吸気通路(P)が仕切られて前記上側吸気通路(Up)と前記下側吸気通路(Lp)が上流側に延長して形成され、
前記仕切板(60)の上流端縁の近傍で基端を軸支されて吸気上流側に向けた先端を上下に揺動自在として吸気振分け弁(61)が設けられ、
吸気制御手段により内燃機関が低負荷状態のときは前記吸気振分け弁(61)で下側吸気通路(Lp)を狭くして吸気を大部分上方に振り分けて前記上側吸気通路(Up)を流れるように前記吸気振分け弁(61)を位置決めするとともに前記延出スライド板(72)を進行させ、高負荷状態のときは前記吸気振分け弁(61)を前記仕切板(60)と同一平面をなすようにして前記仕切板(60)に仕切られた割合に吸気を上下に振り分けるように前記吸気振分け弁(61)を位置決めするとともに前記延出スライド板(72)を退行させることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、
請求項4記載の内燃機関の吸気装置において、
前記仕切り機構(70)は、前記吸気振分け弁(61)の回動により吸気上流側に引っ張られるワイヤ(84)の他端がばねにより吸気下流側の進行方向に付勢された前記延出スライド板(72)に結着され、前記吸気振分け弁(61)の回動に応じて前記延出スライド板(72)が進退することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、
請求項3記載の内燃機関の吸気装置において、
前記仕切り機構(70)は、前記スロットル弁(22)の回動により吸気上流側に引っ張られるワイヤ(74)の他端がばね(73)により吸気下流側の進行方向に付勢された前記延出スライド板(72)に結着され、前記スロットル弁(22)の回動に応じて前記延出スライド板(72)が進退することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の吸気装置。
請求項7記載の発明は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関の吸気装置において、
前記仕切り機構(70)は、前記吸気制御手段(66)により制御されるアクチュエータにより前記延出スライド板(72)を進退させることを特徴とする。
請求項1記載の内燃機関の吸気装置によれば、吸気通路(P)が部分的に仕切り機構(70)により上側吸気通路(Up)と下側吸気通路(Lp)に仕切られ、仕切り機構(70)は、支持部(71)に摺動自在に支持された延出スライド板(72)が吸気下流側に延出し吸気ポート(44)の湾曲部に進退自在に設けられるので、内燃機関の負荷状態の関係なく通気抵抗を可及的に小さくして吸気効率を良好に維持することができる。
請求項2記載の内燃機関の吸気装置によれば、支持部(71)は、吸気通路(P)を上下に仕切るように固定された仕切り支持板(71)であり、延出スライド板(72)は、仕切り支持板(71)に重なり摺動自在に支持され、吸気下流側に延出して吸気ポート(44)の湾曲部に進退自在に設けられるので、仕切り支持板(71)から延出スライド板(72)を進行させたとき、吸気通路(P)を長尺に亘って上下に仕切ることができ、吸気を円滑に案内することができる。
請求項3記載の内燃機関の吸気装置によれば、内燃機関が低負荷状態のときに前記延出スライド板(72)を進行させて上側吸気通路(Up)を絞り、高負荷状態のときに前記延出スライド板(72)を退行させるので、内燃機関が低負荷状態のときに延出スライド板(72)を進行させて上側吸気通路(Up)を絞り、高負荷状態のときに延出スライド板(72)を退行させるので、内燃機関の負荷状態の関係なく通気抵抗を可及的に小さくして吸気効率を良好に維持することができるともに、内燃機関が低負荷状態のとき、延出スライド板(72)を進行させて上側吸気通路(Up)をさらに上側に絞ることで、流速を高めた吸気を排気側に向けて燃焼室(40)に流入して強い渦流のタンブルを発生させて燃焼効率を向上させることができ、内燃機関が高負荷状態のときは、延出スライド板(72)を退行させることで、タンブルを適度に抑える代わりに、通気抵抗を小さくして吸気効率を高めることができるため、内燃機関の負荷状態に応じてタンブルの渦流の強さを調整して燃焼効率の最適化を図ることができる。
請求項4記載の内燃機関の吸気装置によれば、前記仕切り支持板(71)の上流側に延長するように設けられた仕切板(60)により前記吸気通路(P)が仕切られて前記上側吸気通路(Up)と前記下側吸気通路(Lp)が上流側に延長して形成され、前記仕切板(60)の上流端縁の近傍で基端を軸支されて吸気上流側に向けた先端を上下に揺動自在として吸気振分け弁(61)が設けられ、吸気制御手段により内燃機関が低負荷状態のときは前記吸気振分け弁(61)で下側吸気通路(Lp)を狭くして吸気を大部分上方に振り分けて前記上側吸気通路(Up)を流れるように前記吸気振分け弁(61)を位置決めするとともに前記延出スライド板(72)を進行させ、高負荷状態のときは前記吸気振分け弁(61)を前記仕切板(60)と同一平面をなすようにして前記仕切板(60)に仕切られた割合に吸気を上下に振り分けるように前記吸気振分け弁(61)を位置決めするとともに前記延出スライド板(72)を退行させるので、内燃機関が低負荷状態のとき吸気振分け弁(61)により全ての吸気が流れる上側吸気通路(Up)を、延出スライド板(72)を進行させて絞ることになるので、益々強い渦流のタンブルを形成することができる。
請求項5記載の内燃機関の吸気装置によれば、前記仕切り機構(70)は、吸気振分け弁(61)の回動により吸気上流側に引っ張られるワイヤ(84)の他端がばねにより吸気下流側の進行方向に付勢された延出スライド板(72)に結着され、吸気振分け弁(61)の回動に応じて延出スライド板(72)が進退するので、吸気振分け弁(61)の回動を利用して簡単な構造で延出スライド板(72)を内燃機関の負荷状態に応じて進退させることができる。
請求項6記載の内燃機関の吸気装置によれば、前記仕切り機構(70)は、スロットル弁(22)の回動により吸気上流側に引っ張られるワイヤ(74)の他端がばね(73)により吸気下流側の進行方向に付勢された延出スライド板(72)に結着され、前記スロットル弁(22)の回動に応じて延出スライド板(72)が進退するので、スロットル弁(22)の回動を利用して簡単な構造で延出スライド板(72)を内燃機関の負荷状態に応じて進退させることができる。
請求項7記載の内燃機関の吸気装置によれば、前記仕切り機構(70)は、前記吸気制御手段(66)により制御されるアクチュエータにより延出スライド板(72)を進退させるので、アクチュエータを駆動制御することで延出スライド板(72)を内燃機関の負荷状態に応じて進退させることができる。
本発明の一実施の形態に係る内燃機関を搭載した自動二輪車の右側面図である。 同内燃機関の右側断面図である。 シリンダブロックの上面図である。 シリンダヘッドの下面図である。 燃焼室の天井面の説明図である。 低負荷状態における内燃機関の要部断面図である。 高負荷状態における内燃機関の要部断面図である。 仕切り機構の斜視図である。 スロットル弁の斜視図である。 別の実施の形態に係る内燃機関の低負荷状態における要部断面図である。 低負荷状態における同内燃機関の要部断面図である。 高負荷状態における同内燃機関の要部断面図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図9に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る内燃機関10を搭載した自動二輪車1の全体側面図である。
本自動二輪車1の車体フレーム2は、ヘッドパイプ2aから後方へ左右一対のメインフレーム2b,2bが延出した後に下方に屈曲して急傾斜部2ba,2baを形成し、その下部をくの字に前方に屈曲させて下端部に至っている。
またヘッドパイプ2aから斜め急角度に下方へ左右一対のダウンフレーム2c,2cが、側面視でメインフレーム2bの急傾斜部2baに略平行に延出している。
メインフレーム2b,2bの急傾斜部2ba,2baの上部からはシートレール2d,2dが後方に延出し、同シートレール2d,2dの中央部と急傾斜部2ba,2baの下部とを連結したバックステー2e,2eがシートレール2d,2dを支持している。
以上のような車体フレーム2において、ヘッドパイプ2aにはフロントフォーク3が枢支され、その下端に前輪4が軸支され、メインフレーム2b,2bの下部に設けられたピボットプレート2fに前端を軸支されたリヤフォーク5が後方へ延出し、その後端に後輪6が軸支され、リヤフォーク5の後部とシートレール2d,2dの中央部との間にリヤクッション7が介装されている。
メインフレーム2b,2bには燃料タンク8が架設され、燃料タンク8の後方にシート9がシートレール2d,2dに支持されて設けられている。
車体フレーム2に搭載される内燃機関10は、SOHC型2バルブの単気筒4ストローク内燃機関であり、車体に対してクランク軸20を車体幅方向に指向させ、気筒を若干前傾させて起立した姿勢で懸架される。
内燃機関10のクランク軸12を回転自在に軸支するクランクケース11は、クランク軸12の後方に配設されるメイン軸13とカウンタ軸14の間に変速歯車機構15が構成されており、カウンタ軸14は出力軸であり、後輪6の回転軸との間にチェーン(図示せず)が架渡され動力が後輪6に伝達される。
図2を参照して、クランクケース11の上には、1本の鋳鉄製のシリンダライナ16Lが鋳込まれたシリンダブロック16と、シリンダブロック16の上にガスケットを介してシリンダヘッド17が重ねられ、スタッドボルトにより一体に締結され、シリンダヘッド17の上方をシリンダヘッドカバー18が覆っている。
クランクケース11の上に重ねられるシリンダブロック16,シリンダヘッド17,シリンダヘッドカバー18は、クランクケース11から若干前傾した姿勢で上方に延出している(図1,図2参照)。
このように車体フレームに搭載された内燃機関10の若干前傾して立設されたシリンダヘッド16から後方に連結管19を介してインレットパイプ20が延出し、インレットパイプ20にはスロットル弁22を内蔵するバタフライ型のスロットルボディ21が設けられるとともに、インジェクタ23が装着され、さらに後記する吸気振分け弁61が設けられている。
このインレットパイプ20の後端に連結されるエアクリーナ24が側面視でメインフレーム2aとシートレール2dとバックステー2eに囲まれた空間に配設される(図1参照)。
また、シリンダヘッド13から前方に延出した排気管25は、下方に屈曲し、さらに後方に屈曲してクランクケース12の下面に沿って後方にかつ右側に寄って後輪6の右側に配置されたマフラー26に連結している。
図2を参照して、クランクケース11は左右割りで、左右クランクケースの合せ面に形成された開口にシリンダライナ16Lの下端部が嵌入してシリンダブロック16が若干前傾して上方に突出しており、同シリンダライナ16Lの内部のシリンダボア16bにピストン25が往復摺動自在に嵌合され、ピストン25のピストンピン25pとクランク軸12のクランクピン12pとの間をコンロッド26が連接してクランク機構を構成している。
シリンダブロック16のシリンダボア16b内を摺動するピストン25の頂面25tと同頂面25tが対向するシリンダヘッド17の天井面41との間に燃焼室40が構成される。
シリンダヘッド17には、天井面41にシリンダボア16bの中心軸であるシリンダ軸Cに関して互いに反対位置に1つずつ吸気弁口42と排気弁口43が燃焼室40に臨んで開口されるとともに、吸気弁口42と排気弁口43から各々吸気ポート44と排気ポート45が互いに離れる方向に湾曲しながら延出して形成されている。
吸気ポート44は、吸気弁口42から後方に延出し、連結管19を介してインレットパイプ20に連通し、排気ポート45は排気管25に連結される。
シリンダヘッド16に一体に嵌着された弁ガイド34i,34eにそれぞれ摺動可能に支持される吸気弁46および排気弁47は、シリンダヘッド13の上に設けられる動弁機構30により駆動されて、吸気ポート44の吸気弁口42および排気ポート45の排気弁口43をクランク軸12の回転に同期して開閉する。
図2を参照して、動弁機構30は、シリンダヘッド17の上に1本のカム軸31が左右方向に指向して軸支されたSOHC型内燃機関の動弁機構であり、カム軸31の斜め前後上方にロッカアームシャフト32e,32iが支持され、後方のロッカアームシャフト32iに吸気ロッカアーム33iが揺動自在に中央を軸支され、前方のロッカアームシャフト32eに排気ロッカアーム33eが揺動自在に中央を軸支されている。
吸気ロッカアーム33iの一端は、カム軸31の吸気カムロブに接し、他端がスプリングで付勢された吸気弁46のバルブステム46sの上端に調整ねじを介して接し、排気ロッカアーム33eの一端は、カム軸31の排気カムロブに接し、他端がスプリングで付勢された排気弁47のバルブステム47sの上端に調整ねじを介して接し、カム軸31の回転により吸気ロッカアーム33iと排気ロッカアーム33eが揺動して吸気弁46と排気弁47を開閉駆動する。
図3は、シリンダブロック16の上面図であり、シリンダヘッド17との合せ面16fにシリンダボア16bの円孔と動弁機構30に動力を伝達するチェーンを挿通するチェーン室16cの矩形孔が穿設されている。
図4は、シリンダブロック16に重ね合わされるシリンダヘッド17の下面図であり、シリンダブロック16に合せ面16fに対向する合せ面17fに、シリンダボア16bに対応して燃焼室40の天井面41が凹んで形成されるとともに、チェーン室16cに対応して連通するチェーン室17cが穿設されている。
シリンダヘッド17の合せ面17fにおける燃焼室40の天井面41の円形開口縁41sがシリンダボア16bの円孔に一致する。
天井面41の後側に大径の吸気弁口42が開口し、天井面41の前側に吸気弁口42より幾らか小径の排気弁口43が開口している。
また、天井面41には点火プラグ(図示せず)が先端を突出させるプラグ孔48が穿設されている。
図5は、シリンダヘッド17の燃焼室40をシリンダ軸Cの軸方向に視た、すなわちシリンダ軸方向視で示した図であり、同図5を参照して、吸気弁口42が燃焼室40の天井面41のシリンダボア16bの円孔に対応する円形の天井面開口縁41sよりシリンダ軸方向視で外側にはみ出してオフセットしており、吸気弁口42は天井面開口縁41sからはみ出した三日月状のはみ出し部42a(図5の散点で示した部分)を有する。
吸気弁口42の開口縁42sの開口全周長に対するはみ出し部42aの開口周長の割合をマスキング割合Rmとすると、本吸気弁口42のオフセットによるマスキング割合Rmは20〜50%程度である。
また、図5を参照して、天井面41には、吸気弁口42と排気弁口43を長径方向両側に囲む楕円状の横断面形状を有してドーム状凹部51が形成されており、天井面41のうちドーム状凹部51の外側の左右1対の三日月状部分にそれぞれスキッシュ52,52が形成されている。
そして、吸気弁口42の外周囲に、吸気弁口42の三日月状のはみ出し部42aの両端部辺りから吸気弁口42の開口縁42sに沿って湾曲した1対のガイド壁面53,53が、互いに対向して前記排気弁口43側に向けて徐々に拡開して形成されている。
以上のように形成されたシリンダヘッド17の燃焼室40の天井面41に対して、シリンダブロック16のシリンダボア16bは、図3および図6,図7,図8に示すように、シリンダボア16bのシリンダヘッド17側の開口縁における吸気弁口42のはみ出し部42aに対向する後側部分を吸気弁46の移動方向に吸気弁46のかさ部46p周縁に沿って最大バルブリフト位置まで切り欠いた切欠き円曲面55が形成されている。
図7,図8,図9に示すように、切欠き円曲面55は、鋳鉄製のシリンダライナ16Lが鋳込まれたアルミ合金製のシリンダブロック16のシリンダライナ16Lの端面を覆う部分に斜めに切り欠かれて形成されている。
この切欠き円曲面55に沿って切欠き円曲面55に近接して吸気弁46のかさ部46p周縁が移動するので、吸気弁46が開いて最大バルブリフト位置まで移動する間、吸気弁口42の外側縁側(はみ出し部42a側)からの吸気は、吸気弁46のかさ部46p周縁と切欠き円曲面55との極めて狭い隙間を通らなければならず燃焼室40への吸入が殆ど妨げられマスキングされた状態にある。
したがって、吸気弁口42の外側縁側からの吸気は、マスキングされて燃焼室40には僅かに吸入されるだけで、吸気弁口42の内側縁側からの吸入が主になり、よってタンブルが発生し易い構造となっている。
なお、ピストン25の頂面25tの周縁部の吸気弁口42のはみ出し部42aに対向する部分が吸気弁46のかさ部46pの端面46pfと平行に切り欠かれてピストン切欠き面56が形成されており(図6参照)、吸気行程でピストン25の下降とともに吸気弁46が開弁しリフトするときに、外側縁側からの吸気の流入方向とピストン切欠き面(56)が垂直となるため、吸気弁口42の外側縁側から燃焼室40に吸気の吸入が促されることはなく、逆タンブルの発生がより抑えられている。
そして、吸気系のインレットパイプ20から連結管19を介して吸気ポート44に至る吸気通路Pにおいて、吸気ポート44の上流側に仕切り機構70が設けられて、仕切り機構70により吸気ポート44が上側吸気通路Upと下側吸気通路Lpに仕切られている。
仕切り機構70は、吸気通路P(吸気ポート44)を上下に仕切るように仕切り支持板71が吸気ポート44の上流部に上下を半分に仕切って固定されている。
仕切り支持板71を上下いずれかに偏って設けるよりも、上下を半分に仕切る位置に設けることで、通気抵抗を極力小さくして吸気効率の向上を図ることができる。
図8に示すように、仕切り機構70の仕切り支持板71は、扁平な直方体形状をなし、内部にスリット状の空隙71sが形成されて薄い箱状をなし、空隙71sに左右横長矩形のスライド基板72aが前後に摺動自在に嵌挿されており、スライド基板72aから横幅を若干狭くした延出スライド板72が仕切り支持板71の前壁71fを貫通して前方に長尺に延出している。
したがって、延出スライド板72は、スライド基板72aとともに仕切り支持板71に重なり摺動自在に支持されて、仕切り支持板71から突出した部分が前後に進退する。
延出スライド板72は、仕切り支持板71に支持されて吸気ポート44の湾曲部に向かって進退するので、延出スライド板72が進行したときは、先端が外側湾曲面に近づき上側吸気通路Upをさらに上側に絞り上側吸気通路Upの通路面積を狭める(図6参照)。
図8を参照して、仕切り機構70の仕切り支持板71の内部空隙71sには、仕切り支持板71の後壁71rとスライド基板72aとの間に左右1対のスプリング73,73が介装されて、スライド基板72aおよび延出スライド板72を前方に押圧付勢している。
そして、スライド基板72aの左右に一端を結着した1対のワイヤ74,74が、後方に延びて、仕切り支持板71の後壁71rの左右に穿孔された小孔71h,71hを貫通して、さらに後方に延びている。
後方に延びた1対のワイヤ74,74は、後端がスロットル弁22に結着される。
図9に示すように、バタフライ型のスロットル弁22には、下流側の面の下半分に左右1対の扇形状をしたリール板75,75が立設されている。
リール板75は、約90度開いた扇形状をして、扇形の一方の端縁がスロットル弁22の下流側の面にあって垂直に突出してスロットル弁22に一体に形成されている。
1対のリール板75,75の円弧面には周方向に溝75v,75vが形成されており、前記後方に延びた左右1対のワイヤ74,74は、それぞれ左右のリール板75,75の溝75v,75vに嵌り巻付いて、端部がスロットル弁22の下端部に結着されている。
スロットル弁22が吸気通路Pを閉じているとき、あるいは図6に示すように、スロットル弁22のスロットル開度が小さいとき、仕切り機構70の延出スライド板72がスプリング73の付勢力により進行して上側吸気通路Upの通路面積を狭めている。
図6を参照して、スロットル開度が小さく内燃機関10が低負荷状態にあるとき、延出スライド板72が進行することで上側吸気通路Upをさらに上側に絞り上側吸気通路Upの通路面積を徐々に小さくするので、上側吸気通路Upを流れる吸気の流速が高速化して、流速を高めた吸気が上側吸気通路Upの上側湾曲面に沿って流れ、吸気弁口42の内側縁側から燃焼室(40)に流入して排気側に流れるため、強い渦流のタンブルを発生させて燃焼効率を向上させることができる。
前記したように、吸気弁口42の外側縁側からの吸気はマスキングされているので、逆タンブルの発生は抑制されこともあって、より強い渦流のタンブルを発生させることができる。
そして、スロットル弁22を図6で時計回りに回動し、スロットル開度を大きくすると、リール板75,75が一体に回動してワイヤ74,74を巻き取るように後方に引っ張るので、延出スライド板72がスプリング73の付勢力に抗して後方に退行する。
図7は、スロットル開度が最大で内燃機関10が高負荷状態のときを示しており、延出スライド板72が退行して、延出スライド板72による上側吸気通路Upの通路面積は、下側通路Lpの通路面積と変わりない。
そのため、吸気は上側吸気通路Upと下側通路Lpを同じように流れ、タンブルは適度に抑えられる代わりに、通気抵抗を小さくして吸気効率を高めることができる。
タンブルの状態は、クランク軸の1回転当りのタンブルの回転数であるタンブル比Rtで表わすことができる。
タンブル比Rt=タンブル回転角速度/クランク軸角速度
タンブル比Rtが大きければ、強い渦流がタンブルが発生している。
内燃機関10の負荷状態すなわちスロットル弁22のスロットル開度θに対する延出スライド板72のスライド量s,タンブル比Rt,吸気流量Qの変化を、図10に示す。
延出スライド板72のスライド量sは、仕切り機構70によりスロットル開度θに比例して大きくなる。
タンブル比Rtは、スロットル開度θが小さい低負荷状態では最も大きく、スロットル開度θが大きくなるに従い徐々にタンブル比Rtは小さく抑えられている。
一方、吸気流量Qは、スロットル開度θが大きくなる程、増加して吸気効率が向上している。
延出スライド板72がスロットル弁22とワイヤ74により連結され、スロットル弁22の回動を利用して簡単な構造で、延出スライド板72を内燃機関の負荷状態に応じて進退させることができる。
次に、別の実施の形態に係る吸気装置について図11および図12に基づき説明する。
本吸気装置では、前記実施の形態の仕切り機構70の仕切り支持板71および延出スライド板72の構成は、そのまま吸気ポート44に設けられており、その他の同じ部材は同じ符号を使用する。
吸気通路P内で、仕切り支持板71の上流側に延長するように仕切板60が設けられ、同仕切板60により吸気通路Pが仕切られて前記上側吸気通路Upと前記下側吸気通路Lpが上流側に延長して形成されている。
スロットル弁22の下流側で、仕切板60の上流端縁の近傍で基端を軸支された吸気振分け弁61が設けられている。
吸気振分け弁61は、先端を吸気上流側に向け揺動自在としたフラッグバルブであり、吸気を上下に振り分けることができ、ECU(電子制御ユニット)により制御される。
または、リンクによりスロットル弁22と連動させるロストモーション機構によりスロットル弁22がある程度開いてから吸気振分け弁61が開くようにする。
内燃機関が低負荷状態のときは吸気を大部分上方に振り分けて上側吸気通路Upを流れるように吸気振分け弁61を下方に揺動して先端を吸気通路Pの下側内周面に接して位置決めし(図11参照)、高負荷状態のときは仕切板60に仕切られた割合(上下半分の割合)に吸気を上下に振り分けるように、すなわち吸気通路Pと平行に吸気振分け弁(61)を位置決めする。
この吸気振分け弁61の下面に左右1対の扇形状をしたリール板85,85が立設されている。
1対のリール板75,75の円弧面には周方向に溝が形成されており、前記仕切り機構70の後方に延びた左右1対のワイヤ84,84が、それぞれ左右のリール板85,85の溝に嵌り巻付いて、端部が吸気振分け弁61の下端部に結着されている。
図11を参照して、内燃機関10が低負荷状態にあるとき、吸気振分け弁61を下方に揺動して下側吸気通路Lpを閉じ、吸気を大部分上方に振り分けて上側吸気通路(Up)を流れるようにし、かつ吸気振分け弁61のリール板85に巻き付いたワイヤ84を介して延出スライド板72が前方に進行し、上側吸気通路Upをさらに上側に絞り上側吸気通路Upの通路面積を徐々に小さくするので、上側吸気通路Upを上側湾曲面に沿って流れる吸気が流速を高めて吸気弁口42の内側縁側から燃焼室(40)に流入して排気側に流れるため、かなり強い渦流のタンブルを発生させて燃焼効率を向上させることができる。
図12を参照して、内燃機関10が高負荷状態にあるときは、吸気振分け弁61を吸気通路Pと平行にし上側吸気通路Upと下側吸気通路Lpを流れる吸気量を同じとし、かつ吸気振分け弁61のリール板85に巻き付いたワイヤ84を介して延出スライド板72が後方に退行するので、吸気は上側吸気通路Upと下側通路Lpを同じように流れ、タンブルは適度に抑えられ、代わりに通気抵抗を小さくして吸気効率を高めることができる。
延出スライド板72が吸気振分け弁61とワイヤ84により連結され、吸気振分け弁61の揺動を利用して簡単な構造で、延出スライド板72を内燃機関の負荷状態に応じて進退させることができる。
以上の実施の形態では、延出スライド板72の進退をワイヤを介してスロットル弁22または吸気振分け弁61の回動により行っていたが、吸気通路Pを貫通する回動軸をモータやソレノイドなどのアクチュエータが外側から回動し、同回動軸に嵌着されたリールに仕切り機構の後方に延びたワイヤが巻付き、ECUにより制御されるアクチュエータの駆動によりワイヤを介して延出スライド板を進退させるようにしてもよい。
1…自動二輪車、2…車体フレーム、10…内燃機関、11…クランクケース、12…クランク軸、13…メイン軸、14…カウンタ軸、15…クランクケース、16…シリンダブロック、16b…シリンダボア、17…シリンダヘッド、18…シリンダヘッドカバー、19…連結管、
20…インレットパイプ、21…スロットルボディ、22…スロットル弁、23…インジェクタ、24…エアクリーナ、25…ピストン、26…コンロッド、
30…動弁機構、31…カム軸、32e,32i…ロッカアームシャフト、33i…吸気ロッカアーム、33e…排気ロッカアーム、34i,34e…弁ガイド、
40…燃焼室、41…天井面、42…吸気弁口、42a…はみ出し部、43…排気弁口、44…吸気ポート、45…排気ポート、46…吸気弁、46p…かさ部、46pf…端面、46s…吸気バルブステム、47…排気弁、48…プラグ孔、
51…ドーム状凹部、52…スキッシュ、53…ガイド壁面、54…、55…切欠き円曲面、56…ピストン切欠き面。
60…仕切板、61…吸気振分け弁、62…モータ駆動機構、65…ECU、66…吸気制御手段、
70…仕切り機構、71…仕切り支持板、72…延出スライド板、73…スプリング、74…ワイヤ、75…リール板、
84…ワイヤ、85…リール板。

Claims (7)

  1. シリンダブロック(16)のシリンダボア(16b)内を摺動自在に嵌合されるピストン(25)の頂面と同頂面が対向するシリンダヘッド(17)の天井面(41)との間に燃焼室(40)が構成され、
    前記シリンダヘッド(17)の前記天井面(41)に開口した吸気弁口(42)と排気弁口(43)から各々吸気ポート(44)と排気ポート(45)が互いに離れる方向に湾曲しながら延出して形成され、
    吸気ポート(44)にインレットパイプ(20)が接続されて連続した吸気通路(P)が構成され、
    前記インレットパイプ(20)にスロットル弁(22)が設けられた内燃機関の吸気装置において、
    前記吸気通路(P)が部分的に仕切り機構(70)により上側吸気通路(Up)と下側吸気通路(Lp)に仕切られ、
    前記仕切り機構(70)は、支持部(71)に摺動自在に支持された延出スライド板(72)が吸気下流側に延出し吸気ポート(44)の湾曲部に進退自在に設けられることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
  2. 前記支持部(71)は、前記吸気通路(P)を上下に仕切るように固定された仕切り支持板(71)であり、
    前記延出スライド板(72)は、前記仕切り支持板(71)に重なり摺動自在に支持され、吸気下流側に延出して吸気ポート(44)の湾曲部に進退自在に設けられることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の吸気装置。
  3. 内燃機関が低負荷状態のときに前記延出スライド板(72)を進行させて上側吸気通路(Up)を絞り、高負荷状態のときに前記延出スライド板(72)を退行させることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の吸気装置。
  4. 前記仕切り支持板(71)の上流側に延長するように設けられた仕切板(60)により前記吸気通路(P)が仕切られて前記上側吸気通路(Up)と前記下側吸気通路(Lp)が上流側に延長して形成され、
    前記仕切板(60)の上流端縁の近傍で基端を軸支されて吸気上流側に向けた先端を上下に揺動自在として吸気振分け弁(61)が設けられ、
    吸気制御手段により内燃機関が低負荷状態のときは前記吸気振分け弁(61)で下側吸気通路(Lp)を狭くして吸気を大部分上方に振り分けて前記上側吸気通路(Up)を流れるように前記吸気振分け弁(61)を位置決めするとともに前記延出スライド板(72)を進行させ、高負荷状態のときは前記吸気振分け弁(61)を前記仕切板(60)と同一平面をなすようにして前記仕切板(60)に仕切られた割合に吸気を上下に振り分けるように前記吸気振分け弁(61)を位置決めするとともに前記延出スライド板(72)を退行させることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の吸気装置。
  5. 前記仕切り機構(70)は、前記吸気振分け弁(61)の回動により吸気上流側に引っ張られるワイヤ(84)の他端がばねにより吸気下流側の進行方向に付勢された前記延出スライド板(72)に結着され、前記吸気振分け弁(61)の回動に応じて前記延出スライド板(72)が進退することを特徴とする請求項4記載の内燃機関の吸気装置。
  6. 前記仕切り機構(70)は、前記スロットル弁(22)の回動により吸気上流側に引っ張られるワイヤ(74)の他端がばね(73)により吸気下流側の進行方向に付勢された前記延出スライド板(72)に結着され、前記スロットル弁(22)の回動に応じて前記延出スライド板(72)が進退することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の吸気装置。
  7. 前記仕切り機構(70)は、前記吸気制御手段(66)により制御されるアクチュエータにより前記延出スライド板(72)を進退させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関の吸気装置。
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