JP2013213098A - 保冷用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一の染料を内包したマイクロカプセル、マイクロカプセルに内包されていない第二の染料、及び保冷剤を含有する保冷用組成物であって、前記第一の染料及び第二の染料は、互いに色彩が異なり、前記第一の染料が液晶性染料であり、前記マイクロカプセルの温度に依存した色彩の変化により、色彩が変化することを特徴とする保冷用組成物。
【選択図】なし
Description
保冷剤の使用前には、保冷剤が対象物を保冷可能な所望の温度にまで十分に冷却され、凍結しているか、凍結状態を確認することが必要であり、それを可能とするため、保冷剤以外に着色剤を含有する保冷用組成物が種々検討されてきている。このような保冷用組成物は、例えば、これが凍結する温度など、特定の温度を境として、着色剤に由来する色彩が変化(変色)して、目的とする温度にまで冷却され、凍結しているか否か、視認可能となっている。そして、このような保冷用組成物としては、例えば、染料を含有する保冷用組成物が開示されている(特許文献1参照)。
本発明は、第一の染料を内包したマイクロカプセル、マイクロカプセルに内包されていない第二の染料、及び保冷剤を含有する保冷用組成物であって、前記第一の染料及び第二の染料は、互いに色彩が異なり、前記第一の染料が液晶性染料であり、前記マイクロカプセルの温度に依存した色彩の変化により、色彩が変化することを特徴とする保冷用組成物を提供する。
本発明の保冷用組成物においては、前記第一の染料を内包したマイクロカプセルが、冷却による凍結時に、−20℃以下の温度で発色するものであることが好ましい。
本発明の保冷用組成物においては、前記第一の染料を内包したマイクロカプセルの含有量が、0.15〜0.35質量%であることが好ましい。
かかる保冷用組成物は、前記MC染料の色彩が変化(変色)する機能を利用して、保冷用組成物の色彩を変化させる(変色させる)ものであり、前記第一の染料として液晶性染料を使用することにより、上記の色彩の変化が明瞭なものである。
溶媒は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
溶媒は、水又は水を含有する混合溶媒であることが好ましい。
前記無機塩としては、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、硝酸カリウム(KNO3)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、アンモニウムミョウバン(Al(NH4)(SO4)2)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO4)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩素酸カリウム(KClO3)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、臭化カリウム(KBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、ホウ酸(H3BO3)、ホウ砂(Na2B4O7)、ミョウバン(AlK(SO4)2)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ナトリウム(NaI),硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸マグネシウム(MgSO4),リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸三ナトリウム(Na3PO4)等が例示できる。
前記有機塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のカルボン酸塩;グレタミン酸ナトリウム等のアミノ酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩等が例示できる。
前記塩は、無機塩であることが好ましい。
塩は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
MC染料は、例えば、壁材及び染料の組み合わせによって、色彩が変化する温度を調節可能である。
例えば、MC染料が冷却によって発色するものである場合には、冷却によってMC染料が発色する温度と、発色していたMC染料が昇温によって消色する温度とは、必ずしも一致する必要はなく、MC染料が冷却によって消色するものである場合には、冷却によってMC染料が消色する温度と、消色していたMC染料が昇温によって発色する温度とは、必ずしも一致する必要はない。
保冷用組成物が過冷却状態のとき、保冷用組成物の温度が、MC染料が変色する温度よりも低くなると、保冷用組成物は凍結していないにも関わらず、MC染料の変色によって色彩が変化してしまい、保冷用組成物の冷却状態を、凍結の有無に基づいて確認する場合には、その確認がしづらくなることがある。そこで、上記のように、前記温度差を大きく設定することで、保冷用組成物の凍結の有無をより容易に視認できるようになる。したがって、汎用性が高いことが想定される保冷用組成物として、凍結温度が−10〜−1℃であるものが例示できるが、このような保冷用組成物中のMC染料としては、冷却時に−20℃以下の温度で変色(発色又は消色)するものが好ましく、冷却時に−20℃以下の温度で発色するものがより好ましい。ただし、本発明の保冷用組成物は、MC染料の変色でもたらされる色彩の変化が大きいことで、優れた効果を奏するので、必ずしも、MC染料の変色温度と、保冷用組成物の凍結温度とが、特定の関係を満たす必要性はない。
なお、ここで「第一の染料と第二の染料とは互いに色彩が異なる」とは、第一の染料と第二の染料との間に、目視によって明確に認識できる程度の、色相の差が存在することを意味し、第一の染料と第二の染料との間の色差(ΔE)が12以上であることが好ましい。
前記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」と略記することがある)、グアーガム、ペクチン、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコールが例示できる。
前記防腐剤としては、食品保存料、酸化防止剤が例示でき、パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロタミン、有機窒素硫黄系化合物等が例示できる。
配合成分の添加方法及び混合方法は特に限定されず、保冷用組成物の凍結温度よりも高い温度において、各配合成分が均一に溶解又は分散するように、任意に調節できる。
前記容器の材質は、封入された保冷用組成物の色彩の変化(変色)が視認可能な程度に透明性を有していれば、特に限定されず、好ましいものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド;ポリエステル等の合成樹脂が例示できる。これらの中でも、耐低温脆性、耐水性及び耐薬品性等に優れる点から、ポリオレフィンが好ましく、成形が容易で、高い強度を有する高密度ポリエチレンがより好ましい。
また、本発明の保冷用組成物は、冷却による凍結及び昇温による解凍を繰り返しても、効果が損なわれることが無いので、繰り返し利用にも適したものである。
(MC染料)
・第一の染料として青色液晶性染料が内包されたMC染料(ミクロン社製、冷却時の発
・顕色剤及び青色ロイコ染料を内包したMC染料(記録素材総合研究所製)
色開始温度:−12.4℃、発色完了温度:−21.6℃)
(第二の染料)
・赤色102号(ダイワ化成社製)
(増粘剤)
・カルボキシメチルセルロース(関東化学社製)
(防腐剤)
・有機窒素硫黄系化合物(パーマケム・アジア社製「トップサイド630」)
<保冷用組成物の製造>
室温(20〜25℃)において、硫酸ナトリウム(3質量部)、カルボキシメチルセルロース(1質量部)、有機窒素硫黄系化合物(0.1質量部)、水(95.9質量部)を添加及び混合して、各配合成分を溶解させて水溶液とした後、この水溶液に第二の染料として赤色102号を混合し、さらに、青色液晶性染料が内包されたMC染料を混合して、攪拌し、保冷用組成物を得た。このとき、表1に示すように、赤色102号の配合量は、得られた保冷用組成物中での含有量が0.002質量%となるように調節し、MC染料の配合量は、得られた保冷用組成物中での含有量が0.3質量%となるように調節した。得られた保冷用組成物は、さらに高密度ポリエチレン製の容器に封入した。
(色差(ΔE))
得られた容器入りの保冷用組成物を−25℃の凍結庫内で冷却し、凍結させた。この間、保冷用組成物は、凍結してから色彩が変化した。すなわち、MC染料の発色温度は、保冷用組成物の凍結温度よりも低かった。そして、冷却前の保冷用組成物、すなわち、色彩が変化する前で且つ凍結前の保冷用組成物(以下、「変色前の保冷用組成物」と略記する)と、色彩が変化した直後の保冷用組成物(以下、「変色後の保冷用組成物」と略記する)について、色差測定器「X−rite 530」(エックスライト社製)を使用してL*、a*、b*を測定した。L*、a*、b*は、容器の上から保冷用組成物に色差測定器をあてて測定した。
(色差(ΔE)の算出)
ΔE=[(L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)2]1/2 ・・・・(I)
(式中、L1*は変色後の保冷用組成物のL*の値であり、L2*は変色前の保冷用組成物のL*の値であり、a1*は変色後の保冷用組成物のa*の値であり、a2*は変色前の保冷用組成物のa*の値であり、b1*は変色後の保冷用組成物のb*の値であり、b2*は変色前の保冷用組成物のb*の値であり、L1*、a1*及びb1*は同時期の値であり、L2*、a2*及びb2*は同時期の値である。)
上記のΔE算出時において、変色前後での保冷用組成物の色彩の変化を、下記基準にしたがって目視で評価した。結果を表1に示す。
◎:変色前後での色彩の変化が極めて大きく、冷却による凍結状態の視認がとりわけ容易である。
○:変色前後での色彩の変化が大きく、冷却による凍結状態の視認が極めて容易である。
△:変色前後での色彩の変化が明瞭であり、冷却による凍結状態の視認が容易である。
×:変色前後での色彩の変化が不明瞭であり、冷却による凍結状態の視認が困難である。
得られた保冷用組成物を、60℃で3時間、16時間及び24時間静置した試料を一つずつ調製し、次いで、これらを−25℃まで冷却して凍結させ、凍結時の退色の有無を確認した。結果を表1に示す。
表1に示すように、MC染料の含有量を0.3質量%に代えて0.2質量%としたこと以外は、実施例1と同様に、保冷用組成物を製造及び評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、MC染料の含有量を0.3質量%に代えて0.4質量%としたこと以外は、実施例1と同様に、保冷用組成物を製造及び評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、MC染料の含有量を0.3質量%に代えて0.1質量%としたこと以外は、実施例1と同様に、保冷用組成物を製造及び評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、含有量が0.3質量%となるように、青色液晶性染料を内包したMC染料を配合するのに代えて、含有量が0.3質量%となるように、青色ロイコ染料を内包したMC染料を配合したこと以外は、実施例1と同様に、保冷用組成物を製造及び評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、MC染料を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様に、保冷用組成物を製造及び評価した。結果を表1に示す。
これに対し、比較例1の保冷用組成物は、変色前後での色彩の変化が明瞭であり、冷却による凍結状態の視認が容易であったが、青色液晶性染料ではなく青色ロイコ染料を内包したMC染料を含有することにより、退色が顕著で、実用性に劣るものであった。また、比較例2の保冷用組成物は、MC染料を含有していないことにより、変色前後での色彩の変化が不明瞭であり、冷却による凍結状態の視認が困難であって、実用性を有しないものであった。
Claims (3)
- 第一の染料を内包したマイクロカプセル、マイクロカプセルに内包されていない第二の染料、及び保冷剤を含有する保冷用組成物であって、
前記第一の染料及び第二の染料は、互いに色彩が異なり、
前記第一の染料が液晶性染料であり、
前記マイクロカプセルの温度に依存した色彩の変化により、色彩が変化することを特徴とする保冷用組成物。 - 前記第一の染料を内包したマイクロカプセルが、冷却による凍結時に、−20℃以下の温度で発色するものであることを特徴とする請求項1に記載の保冷用組成物。
- 前記第一の染料を内包したマイクロカプセルの含有量が、0.15〜0.35質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の保冷用組成物。
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