JP2013212320A - 生体情報測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体情報測定装置は、装置本体を手首に装着するバンド機構を備えた生体情報測定装置であって、バンド機構を介して伝達された張力が装置本体の手首に対する押圧変化となって生ずる脈波形で、装着条件で異なる押圧によって得られるいくつかの異なる脈波形の波形変化の特徴をパラメーター化するパラメーター化手段721と、パラメーター化手段721のパラメーターより装着パラメーター列を作成し、装着パラメーター列の中から最適な装着条件に応じた最適パラメーター値を選択する最適パラメーター選択手段722と、最適パラメーター値に基づいてバンド張力を設定する張力設定手段723と、を有する。
【選択図】図7
Description
まず、本実施形態の脈拍計としての腕時計型脈拍計100の概略構成について説明する。
図6は、図2に示す光電センサー部120の内部構成及び動作説明図である。これは図4の断面図において光電センサー部120を拡大したものである。光電センサーケース124内に発光部121及び受光部122を取り付けたセンサー基板123が備えられており、この光電センサーケース124は、さらにケース体104に取り付けられている。光電センサーケース124の下部は照射光603や、微弱な反射光604を検出するために開口しており、また物理的及び化学的に外界から障害されないよう保護ガラス125によって保護されている。この構成において照射光603が照射され皮膚境界面620を経由し皮膚表層部621に到達する。照射光603は、細動脈網306内の脈動に起因するヘモグロビンの増減による吸収量の差からその一部が散乱され、さらにまたその一部が反射光604として受光部122で検出されることになる。
次に腕時計型脈拍計100の内部構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る腕時計型脈拍計100を示す内部回路図である。図7に示すよう腕時計型脈拍計100内部には各種の演算などを行うCPU701、CPU701の作業領域、あるいは装着状態を判定する数値パラメーターなどを格納するRAM703、腕時計型脈拍計100がもつ機能を実現するために必要なプログラムなどが記憶されたROM704、利用者が操作指示入力等を行うための入力部702、発信回路部705から発信される所定の周波数のクロック信号を分周し年月日、時刻を計数しCPU701に出力する計時回路部706、また光電センサー部120、さらに計時情報や脈拍情報を表示し、必要に応じて利用者に各種指示をするための表示部102が配置されており、CPU701と接続されている。また各部は電源回路730からの電力により駆動されている。
光電センサー部120について、図7、図8を用いて説明すると、光電センサー部120は、腕時計型脈拍計内部の動作により発生する動作ノイズの影響を防ぐため、電源回路730より腕時計内部700とは、異なる電力系統として電源線731及び接地線732を用いて駆動される。発光部121は発光制御部801により制御され、発光光量が常に等しくなるよう制御される。さらに発光制御部は、発光制御信号線711経由でCPU701に接続され、脈拍計測が必要な場合だけ発光するように制御される。例えば電力消費を抑えるために間歇的に発光するようにも制御される。また受光部122は受光制御部802により最適な感度になるよう制御され、受光制御信号線712により計測が必要な場合のみ動作するようCPU701から制御されている。受光部122及び受光制御部802で検出された反射波は、光電脈波信号線713経由で光電脈波処理部131に接続される。光電脈波処理部131において光電脈波信号は、増幅回路部710で所定の信号レベルに増幅された後、フィルター回路部714で必要周波数成分のみを取り出し、さらにADC718によりデジタル化されCPU701にデータとして取り込まれる。CPU701に取り込まれたデータは、RAM703に記憶され脈拍数の計測等CPU701の処理に用いられる。
図10は、本実施形態に係る通常動作時の光電脈波信号例を示す図である。即ち、光電センサー部120及び光電脈波処理部131によって処理されCPU701で取得されRAM703の波形記憶領域753に保存されたデータをプロットした光電脈波信号例である。脈拍計測においてCPU701は、ROM704の脈拍計数プログラム743を起動する。脈拍計数プログラム743によりCPU701は、前記データからなるデータ列を逐次比較し増加から減少に移る点、即ち、極大となる点を求め頂点901を決定する。同時に時計計時部130よりその時点の時刻t1を決定し頂点情報とともにRAM703に記録する。光電脈波信号は、さらに減少し底部911で最小となった後再び増加に転ずる。底部911の時刻s1も同様に記録される。以下同様に次に再び増加から減少に転ずる点を頂点902、その時刻をt2、減少から増加に転ずる点を底部912、以下同様に頂点903及び時刻tn、底部913、その時刻sn−1、底部914、その時刻snを決定し、波形記憶領域753に記録する。
こうして得られRAM703に記録された時刻列t1,t2,…,tnより脈拍計数プログラム743は、(n−1)個の時刻の差を平均処理したものとして平均脈拍間隔を計算する。さらに脈拍計数プログラム743は、平均脈拍間隔の逆数演算により脈拍数を算出する。この脈拍数はRAM703の作業領域754に保存され、同時に脈拍数表示110のように表示部102に現時点の脈拍数として表示される。
一般に動脈は管法則に従うことが医学的に認知されている。
図11は、本実施形態に係る血管の従う管法則の説明図である。言い換えると、図11は、横軸が血管の内部と外部の圧力差、本適用例でいえば血圧と押圧の差を横軸としてそのときの体積を縦軸としてグラフ化したものである。図11によれば、同一の脈拍TP1,TP2,TP3,TP4に対して体積変動はそれぞれV1,V2,V3,V4であり、同じ圧力変動に対して血管内外の圧力差が異なる場合には体積変動は大きく異なることが分かる。血圧の変動は、一拍ごとにはほぼ同じであり、脈拍変動に対する血管の容積変動は押圧に大きく依存することを意味している。光電脈波信号の例では、押圧は血管の体積変動を通じヘモグロビン数の変動となり光電脈波信号の信号強度に大きな影響を与えることになる。つまり管法則、図11によれば押圧を加えることで、非加圧の場合に比較して、より大きな光電脈波信号を採れ、装置の信頼性及び安定性の向上を図ることができる。
図12は、本実施形態に係る血管に対する外部圧力と脈拍との関係を模式的に示す図である。図12においては、説明を簡単にするため図11の管法則は無視して考えることとする。基本脈拍列1101において血管の体積変化を模式的に三角形の連続として表現する。この基本脈拍列1101に直線的に変化する押圧変化1102が加わったとすると、押圧変化1102の下側の部分では、力の差から血管の体積変化は起こらず、血管の体積は脈拍列1103のように変化する。図12から押圧と一拍周期中の信号と無信号の比(T1 1/T1 2)と(Tn 1/Tn 2)とは互いに反比例することが分かる。
図7、図13を用いて本実施形態におけるパラメーター化部721の動作を説明する。
図13は、本実施形態に係る装着時又は最適装着条件を探すときの光電脈波信号例を示す図である。パラメーター化部721は、時計計時部130からの信号に基づき一定の時間間隔τで光電脈波信号線713からADC718を通じて光電脈波信号をデジタル的に取得する。パラメーター化部721は、波形記憶領域753に保存されたデータからなるデータ列を逐次比較し光電脈波信号が減少から増加に移る点、すなわち極小となる点を求め底部B0を決定する。同時に時計計時部130よりその時点の時刻S0を決定しRAM703の作業領域754に記録する。光電脈波信号は、さらに増加し頂点P1で極大となった後再び減少に転ずる。頂点P1における波高値A1、その時刻T1も同様に作業領域754に記録される。さらに引き続き減少から増加に転ずる点を底部B1とし同様にその時刻S1を作業領域754に記録する。パラメーター化部721は、作業領域754に記録されたデータから式(1)により当該1拍周期におけるデューティー比D1を算定することができる。
D1=(T1−S0)/(S1−S0) …(1)
さらにパラメーター化部721は、デューティー比D1と、既に記録された波高値A1とを一対として、パラメーター755(図14参照)として作業領域754に記録する。
図14は、本実施形態に係る腕時計型脈拍計100のパラメーターの構成を示す図である。
管法則によれば細動脈網306が同一の圧力変動に対し、最大の体積変動を生ずるのは血圧と押圧の差が0の付近である。医学的には、このときの血圧値は平均血圧付近であると認知されている。したがって細動脈網306の平均血圧に等しい押圧が加わったとき光電脈波信号の振幅は最大となり、最適な装着状態となる。押圧を変化させながら光電脈波信号を測定し、パラメーター化部721により一拍周期内の振幅と、デューティー比からなるパラメーター755を測定し、そのデータ列を記録するとともに、最大振幅時のデューティー比を最適デューティー比として記憶しておき、測定ごとのデューティー比を比較することで測定条件の評価ができる。
こうして図13において押圧O1に対するパラメーターとして波高値A1及びデューティー比D1からなる組を得、一番目のパラメーターであることを示す添字”1”とともに装着パラメーター列756として装着パラメーター列記憶領域751に格納する。これにより最適パラメーター選択部722は第一番目の脈波の計測を終了する。
同様な計測を10回繰り繰り返すことで波高値A1及びデューティー比D1の組から波高値A10及びデューティー比D10の組まで10個の装着パラメーター列を得ることができる。
最適パラメーター選択部722により装着パラメーター列が決定された後、腕時計型脈拍計100は、脈拍計として利用者の通常の使用が可能となる。本実施形態により利用者が腕時計型脈拍計100を装着する装着法を各部の動作に基づき説明する。
腕時計型脈拍計100を装着する場合利用者は、スイッチ109を押下し入力部702を通じCPU701に装着開始を指示する。これにより最適値選択部723が機能を開始し加圧指示表示106を点滅する。利用者は同時に使用説明書などで推奨され、最適条件の決定過程で置いた手首上部位置に腕時計型脈拍計100を置き、さらに張力設定手段の一部であるバンド固定部203を上方に引上げ徐々に締付け力F1を増やしながら締付け力F2を増やしていく。最適値選択部723は、パラメーター化部721をさらに機能させ脈波計測を開始する。この過程を繰り返すことで最適値選択部723は、(A1’,D1’),(A2’,D2’)…なるパラメーター列を得る。波高値A1’,A2’,…は、人体の状態や装着部位の微妙な違いによって異なるが、図12の説明の通りデューティー比D1’,D2’,…は、最適条件のデューティー比D1,D2,…のどれかに等しい値をとる。利用者が加圧指示表示106の指示により締付け力F2を増やしていくことで最適値選択部723は、デューティー比D1’,D2’,…を取得し、図13の例では、デューティー比がデューティー比D5と同じ値になると押圧O5が最適になったと判断する。ここで最適値選択部723は、加圧指示表示106の点滅を止め、利用者はバンド固定部203でバンドを固定する。このようにして利用者は最適な脈波信号が得られる状態でバンドを固定することができる。
本実施形態では通常の脈拍測定において、測定の安定性を検出し利用者に対し装着条件の改善を促すこともできる。これについて内部動作に基づく説明をする。
通常の装着時は、脈拍計数プログラム743が起動し同時に乖離状態検出部724も機能している。脈拍計数プログラム743は、一拍周期ごとにさらにパラメーター化部721を機能させ周期のデューティー比を決定し、さらに乖離状態検出部724は、デューティー比と最適パラメーター記憶領域752に格納されているパラメーターのデューティー比、例えば、図13の例では、デューティー比D5とを比較し、ほぼ等しければ最適な装着が維持されていると判断する。デューティー比がデューティー比D5より小さい場合は押圧が少ないと判断でき、表示部102は、加圧指示表示106を用いてこれを点滅し利用者に知らせる。またデューティー比がデューティー比D5より大きい場合は、表示部102は、減圧指示表示108を用いてこれを点滅し利用者に改善を求めることができる。表示部102は、乖離状態検出部724の出力に基づいて利用者に測定の可否或いはバンド機構200の占め具合の情報を表示する。
手首上部と腕時計底面の間に圧力センサーを配置し腕時計型脈拍計の装着状態をモニターする方法と比較し、光電センサー部の状態と手首との装着状態を光電脈波信号のディーティ比としてパラメーター化することで光電センサーの装着場所での状態を直接的に数値として把握し、さらにこれを利用者に提供することでより信頼性の高い、安定性のある装着法を提供できる。また、通常の脈拍計測の計測よりも押圧による光電脈波信号の変化を正確に把握でき利用者に正しいフィードバックをすることで測定の精度の向上に寄与できる。さらに圧力センサー及びその付加回路などが不要でありより小型の実装や、部品費の低減に寄与できる。
図15は、本変形例に係る腕時計型脈拍計を示す装着断面図である。上記実施形態では、図4のように光電センサーが腕時計型脈拍計100と手首上部301との間に配置された構成として説明したが、本発明はこの構成に限定するものではない。以下本変形例に係る腕時計型脈拍計1300について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。本変形例ではバンド機構に移動部1303を設け、移動部1303に光電センサー部120を配置し、さらにバンド部材202に沿って光電センサーを駆動するための信号線束1304を設けたことを特徴とする。本実施形態では、腕時計型脈拍計100と手首上部301と間に光電センサーが配置されることで、手首サイズの違いはある程度緩和される。一方バンドに光電センサーを装着すると手首サイズの違いにより最適位置に光電センサー部120を配置できるとは限らない。本変形例においては、光電センサー部120を移動できるようにすることで様々な手首サイズに応じて最適なセンサー位置を選択できるようになっている。一般に人体においては、体表直下の細動脈分布は体側より体内側の方が多いことが知られている。手首部における光電脈波信号計測では、センサー接触面直下の細動脈網306の量が光電脈波信号検出に大きな影響をもつため手首上部301よりも手首内側部の方がより大きな光電脈波信号が検出できる。したがって光電センサーをバンド機構内に設けることは光電センサーの性能向上に有効であるが、バンド機構はサイズが限定されており、従来の方法では最適な装着条件の設定及び維持が非常に困難であった。本実施形態により限定バンド機能内に光電センサーを装着し、さらに最適な装着法を提供することが可能となった。
Claims (3)
- 装置本体を手首に装着するバンド機構を備えた生体情報測定装置であって、
前記バンド機構を介して伝達された張力が前記装置本体の前記手首に対する押圧変化となって生ずる脈波形で、装着条件で異なる押圧によって得られるいくつかの異なる該脈波形の波形変化の特徴をパラメーター化するパラメーター化手段と、
前記パラメーター化手段の前記パラメーターより装着パラメーター列を作成し、該装着パラメーター列の中から最適な装着条件に応じた最適パラメーター値を選択する最適パラメーター選択手段と、
前記最適パラメーター値に基づいてバンド張力を設定する張力設定手段と、
を有することを特徴とする生体情報測定装置。 - 前記パラメーターは、脈波の一周期内における脈波振幅及び信号継続時間と周期の比であるデューティー比とからなる数値の組であり、
前記最適パラメーター値は、押圧に対する脈波振幅とデューティー比との組の中で押圧変化に対し最大振幅をもつ周期におけるパラメーターであることを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。 - 脈拍を検出する過程で前記パラメーター化手段の前記パラメーターと前記最適パラメーター値との乖離状態を検出する乖離状態検出手段と、
前記乖離状態検出手段の出力に基づいて使用者に測定の可否或いは前記バンド機構の占め具合の情報を表示する装着状態表示手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
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