JP2013211174A - 電気化学デバイス用電解液、セパレータ、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

電気化学デバイス用電解液、セパレータ、及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易に電極とセパレータ及び/又は電解液(電解質)との接着性を向上させる電気化学デバイス用電解液を提供する。
【解決手段】非水溶媒と、電解質と、ポリウレタンと、を含有する電解液であって、前記ポリウレタンは、1分子当たり3つのイソシアナート基を有する化合物と、1分子当たり2つのイソシアナート基を有する化合物と、水酸基を有する鎖状高分子とを含む原料を反応させて得られるものであることを特徴とする電気化学デバイス用電解液。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気化学デバイス用電解液、セパレータ及びリチウムイオン二次電池に関する。
現在、環境問題への関心の高まりや、石油エネルギー及び原子力エネルギーへの依存脱却の見地から、エネルギー分野における新技術の要請が非常に強くなっている。特に、新エネルギー又は再生エネルギーと言われている新規な発電デバイス、及び、新規な発電デバイスから生み出されたエネルギーを蓄えるための蓄電デバイスへの要請が非常に高く、また、それらのデバイスを構成する部材への期待も高い。例えば、発電デバイスとして太陽電池及び燃料電池のますますの普及と共に、それらの性能向上などが期待されている。一方、蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池を代表とする、二次電池及びキャパシタへの関心が高い。
蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、元来、主として携帯電話及びノートパソコンを中心とする小型携帯機器用の充電地として使用されていた。近年では、それらに加えて、産業機器のバックアップ電源用電池などにも採用されており、より大型の用途を含む広範な用途への展開が進んでいる。また、リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車及び電気自動車用の充電池としても使用され始めており、最近では、住宅に用いられる蓄電池などへの展開も期待されている。
蓄電デバイスとして代表的なリチウムイオン二次電池は、一般に、リチウムを吸蔵、放出可能な活物質を主体として構成された正極と負極とが、セパレータを介して配された構成を有する。リチウムイオン二次電池では、正極は、正極活物質としてのLiCoO2、LiNiO2、LiMn24等と、導電剤としてのカーボンブックや黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンやラテックス、ゴム等とが混合された正極合剤が、アルミニウム等からなる正極集電体上に被覆されて形成される。負極は、負極活物質としてのコークスや黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンやラテックス、ゴム等とが混合された負極合剤が、銅等からなる負極集電体上に被覆されて形成される。セパレータは、多孔性ポリオレフィン等にて形成され、その厚みは数μmから数百μmと非常に薄い。正極、負極及びセパレータは、電池内で電解液に含浸されている。電解液としては、例えば、LiPF6、LiBF4のようなリチウム塩を、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートのような非プロトン性溶媒やポリエチレンオキシドのようなポリマーに溶解させた電解液が挙げられる。
ところで、リチウムイオン二次電池は、数年から数十年の長期間にわたって使用されるものであるため、高効率及び低コストに加え、長寿命(高耐久)及び高安全性も求められている。また、近年の大型用途を見据えた二次電池に対しては、高容量化の要請もある。しかしながら、リチウムイオン二次電池において、高安全化、高容量・高効率等の優れた電池特性を長期にわたって継続するには、まだ課題が残っている。
その理由の一つとして、セパレータと電極との接着性、及び電解液(電解質)相と電極との接着性が挙げられる。リチウムイオン二次電池では、充放電を行う中でガスが発生したり、電極活物質の膨張や収縮が起こったりする場合もあるが、その際にセパレータと電極との接着性、又は電解液(電解質)相と電極との接着性が不足していると、両者が剥離することがある。両者が剥離すると、それらの間でのズレに起因して、正極と負極とが直接接触して電池が短絡したり、セパレータと電極との間、電解液(電解質)相と電極との間に気泡などの隙間が生じ、それが充放電の不均一化を引き起こしたりする。短絡した電池では、発熱・発火などの不安全な状態になったり、充放電が不安定になったりする可能性がある。充放電が不均一になった電池では、長期にわたる安定した充放電挙動が得られなくなったり、設計よりも低い電池容量しか得られなくなったりする。
また、セパレータと電極との接着性、又は電解液(電解質)相と電極との接着性が不足している電池では、電池を組み立てる段階(充放電を行う前の段階)でそれらが互いに剥離することがある。それを抑制するために電池組み立て装置に、それらのズレが生じないように工夫する必要があり、例えば、セパレータや電極に接着性を有する材料を塗布するなどの工夫が必要となるため、電池作製上の負荷が大きくなる。
そこで、これらの課題を解決するためにセパレータ又は電解液(電解質)相と電極との間に接着層を配する方法が提案されている。例えば、接着層として、ポリビニリデンジクロライドを用いる方法(例えば特許文献1参照)、アクリル酸エステルやα‐オレフィンなどの重合性官能基を有するポリマーを用いる方法(例えば、特許文献2〜4参照)が提案されている。
特開2003−86162号公報 特開平7−37419号公報 特開平10−302843号公報 特開2003−151632号公報
しかしながら、特許文献1〜4に提案されたような接着層を用いる方法では、接着層の厚さが抵抗になったり、接着層の厚みの制御が不十分になったりすることで、充放電特性などの電気化学デバイス特性が低下しやすいことが明らかになった。また、重合性官能基を有する接着層では、その接着層の材料を重合するときにガスが発生したり、体積変化に基づく空孔が発生したりすることもあり、セパレータと電極との接着、電解液(電解質)相と電極との接着に十分な効果を得ることが難しかった。さらには、セパレータ上に接着層を形成する工程が増えることで、電気化学デバイスの作製プロセスが煩雑になるという課題もあった。
本発明は、上記事情にかんがみてなされたものであり、簡易に電極とセパレータ及び/又は電解液(電解質)との接着性を向上させる電気化学デバイス用電解液、セパレータ、及びそれらを備えるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく、電極とセパレータとの接着性を大いに向上させることができる電解質について検討を行った。その結果、ポリウレタンを含有する特定の電解質を用いることにより、電極とセパレータとの接着性を向上させることができ、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]非水溶媒と、電解質と、ポリウレタンと、を含有する電解液であって、前記ポリウレタンは、1分子当たり3つのイソシアナート基を有する化合物と、1分子当たり2つのイソシアナート基を有する化合物と、水酸基を有する鎖状高分子とを含む原料を反応させて得られるものであることを特徴とする電気化学デバイス用電解液。
[2]前記原料は、前記2つのイソシアナート基を有する化合物を、イソシアナート基のモル基準で、前記3つのイソシアナート基を有する化合物の3〜100倍含む、[1]に記載の電気化学デバイス用電解液。
[3]前記ポリウレタンを1〜20質量%含有する、[1]又は[2]に記載の電気化学デバイス用電解液。
[4]前記3つのイソシアナート基を有する化合物は、イソシアヌレート型ポリイソシアナートを含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の電気化学デバイス用電解液。
[5]前記水酸基を有する鎖状高分子は、下記一般式(1)で表されるポリカーボネートジオールを含む、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の電気化学デバイス用電解液。
Figure 2013211174
(式中、Rは2価の有機基を示し、nは正の整数を示す。)
[6]前記ポリカーボネートジオールは、その数平均分子量が800以上である、[5]記載の電気化学デバイス用電解液。
[7][1]〜[6]のいずれか1つに記載の電気化学デバイス用電解液を含む塗膜を備える、セパレータ。
[8][1]〜[6]のいずれか1つに記載の電気化学デバイス用電解液と、セパレータと、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、を備えるリチウムイオン二次電池。
[9][7]に記載のセパレータと、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、を備えるリチウムイオン二次電池。
本発明によると、簡易に電極とセパレータ及び/又は電解液(電解質)との接着性を向上させる電気化学デバイス用電解液、セパレータ、及びそれらを備えるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態の電気化学デバイス用電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、非水溶媒と、電解質と、ポリウレタンとを含む電解液であって、ポリウレタンは1分子当たり3つのイソシアナート基を有する化合物(以下、「3官能イソシアナート化合物」ともいう。)と、1分子当たり2つのイソシアナート基を有する化合物(以下、「2官能イソシアナート化合物」ともいう。)と、水酸基を有する鎖状高分子とを含む原料を反応させて得られるものである。また、本実施形態のセパレータは、上記電解質と、上記ポリウレタンとを含む塗膜を備えるものであり、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上記電解液及び上記セパレータのうち少なくとも一方と、正極と、負極とを備えるものである。
<電解液>
本実施形態に係る電解液は、非水溶媒と電解質とポリウレタンとを含有し、液状であってもゲル状であってもよい。
非水溶媒としては、特に限定されず様々なものを用いることができるが、室温で液体である非水溶媒を用いるのが一般的である。そのような非水溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチルなどの酢酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン及びε―カプロラクトンなどのラクトン類などの酸エステル類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン及び3−ペンタノンなどのケトン類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン及びヘキサフルオロベンゼンなどの炭化水素類;ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン及びフルオロアルキルエーテルなどのエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;エチレンジアミン及びピリジンなどのアミン類;イミダゾール類;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートなどのカーボネート類;アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル及びメトキシアセトニトリルなどのニトリル類;スルホランなどのスルホン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;シリコンオイル及び石油などの工業オイル類;並びに食用油が挙げられる。
また、非水溶媒としてイオン液体を用いることもできる。イオン液体とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる常温溶融塩である。イオン液体は、難燃性であり、爆発性が低く、蒸気圧がほとんどないこと、熱やイオンの伝導性が高いこと、及び、イオン種の選択によって物性制御デザインが可能であることなどが特徴である。
有機カチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン及びトリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、並びにジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、例えば、PF6アニオン、PF3(C253アニオン、PF3(CF33アニオン、BF4アニオン、BF2(CF32アニオン、BF3(CF3)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、Tf(トリフルオロメタンスルフォニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン、ジシアノアミンアニオン及びハロゲン化物アニオンが挙げられる。
これらの非水溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
電解液をリチウムイオン二次電池に用いる場合、非水溶媒が、非プロトン性溶媒であると好ましく、その中でも非プロトン性極性溶媒がより好ましい。その具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートに代表される環状カーボネート;γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンに代表されるラクトン;スルホランに代表される環状スルホン;テトラヒドロフラン及びジオキサンに代表される環状エーテル;メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネート、並びに、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートの有する水素原子の一つ以上をフッ素原子で置換した含フッ素カーボネートに代表される鎖状カーボネート;アセトニトリル、プロピオニトリル及びアジポニトリルに代表されるニトリル;ジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジグライム、トリグライム、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチルエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロプロピルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、及びヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルに代表される鎖状エーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル及びプロピオン酸エチルに代表される鎖状カルボン酸エステル;スルホラン、ジメチルスルホキシド及びエチレンサルファイトなどの含硫黄化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の電解液では、電解質の電離度、例えば、リチウムイオン二次電池におけるリチウム塩の電離度を高めるために、非水溶媒は、環状の非プロトン性極性溶媒を1種又は2種以上含むことが好ましい。同様の観点から、非水溶媒は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートに代表される環状カーボネートを1種又は2種以上含むことがより好ましい。環状の化合物は誘電率が高く、電解質の電離を助ける。
電解質は、電解液において、通常の非水電解質として用いられているものであれば特に限定されず、いずれのものであってもよい。電解液がリチウムイオン二次電池に用いられる場合、電解質としてリチウム塩が用いられる。リチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2k2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2k2k+12〔kは1〜8の整数〕、LiPFn(Ck2k+16-n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiBFn((Ck2k+14-n〔nは1〜3の整数、kは1〜8の整数〕、LiB(C242で表されるリチウムビス(オキサレート)ボレート、LiBF2(C22)で表されるリチウムジフルオロオキサリルボレート、及びLiPF3(C22)で表されるリチウムトリフルオロオキサリルフォスフェートが挙げられる。
また、下記一般式(3a)、(3b)又は(3c)で表されるリチウム塩を電解質として用いることもできる。
LiC(SO211)(SO212)(SO213) (3a)
LiN(SO2OR14)(SO2OR15) (3b)
LiN(SO216)(SO2OR17) (3c)
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
これらの電解質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。リチウムイオン二次電池用途では、これらの電解質のうち、電池特性や安定性に加え、ゲル化能を高める観点から、LiPF6、LiBF4及びLiN(SO2k2k+12〔kは1〜8の整数〕が好ましい。
電解質の濃度は任意であり特に限定されないが、電解質は、非水溶媒の量を基準として、好ましくは0.1〜3モル/リットル、より好ましくは0.5〜2モル/リットルの濃度で含有される。
ポリウレタンは、ウレタン結合(−OCONH−)を分子内に有する高分子化合物である。ウレタン結合は、イソシアナート基(−NCO)と水酸基(−OH)とを反応させて生成することができる。具体的には、イソシアナート基を2つ以上有する化合物(ポリイソシアナート)と水酸基を2つ以上有する化合物とを反応させることでポリウレタンが得られる。イソシアナート基を有する化合物及び/又は水酸基を有する化合物として、高分子量の化合物を選択し、それらの化合物を反応させることにより、より高分子量のポリウレタンを合成することができる。
ポリウレタンは耐油性に優れる高分子であるため、耐電解液性に優れると共に保液性が高く、長期にわたって電解液の性能を保持することができる。また、ポリウレタンは、要求特性に応じて、変性したものであってもよい。
本実施形態に係るポリウレタンは、3官能イソシアナート化合物と2官能イソシアナート化合物と水酸基を含有する鎖状高分子とを含む原料を反応させて得られるものである。
3官能イソシアナート化合物は、架橋構造を形成するために必要であり、当該架橋構造が電解液をゲル化させることに効果を奏する。また、2官能イソシアナート化合物を用いることで、柔軟かつ弾性の高いポリウレタンを形成することができる。イソシアナート基を有する化合物としては、ビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型及びブロック型のいずれであってもよい。3官能イソシアナート化合物及び2官能イソシアナート化合物は、それぞれ、1種を単独で又は2種を組み合わせて用いられる。
具体的には、2官能イソシアナート化合物として、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチルー4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアナート及びノルボルナンジイソシアナートメチルが挙げられる。また、2官能イソシアナート化合物は、2つの水酸基を有する化合物(以下、「ジオール化合物」ともいう。)と、上述の2官能イソシアナート化合物とを反応させて得られる、ウレタン結合を有しかつ両末端にイソシアナート基を有する化合物であってもよい。
3官能イソシアナート化合物としては、例えば、上述の2官能イソシアナート化合物を3量体化したイソシアヌレート型ポリイソシアナート、アダクト型ポリイソシアナート、ビュレット型ポリイソシアナートの他、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアナート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアナート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアナート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアナート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアナート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアナート及びポリメリックMDI(ジフェニルメタン・ジ・イソシアナート)が挙げられる。取扱い性と電解液の性能とを良好なバランスで有する観点から、3官能イソシアナート化合物はイソシアヌレート型ポリイソシアナートを含むと好ましい。
3官能イソシアナート化合物及び2官能イソシアナート化合物は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、デュラネートシリーズ(旭化成ケミカルズ社製商品名)、三井化学株式会社の製品、東ソー株式会社及び日本ポリウレタン株式会社の製品が挙げられる。
ポリウレタンの原料において、3官能イソシアナート化合物と2官能イソシアナート化合物との含有比は特に限定されるものではない。ただし、その原料に含まれるイソシアナート化合物の平均イソシアナート基数((原料中のイソシアナート化合物が有するイソシアネート基の合計モル数)/(原料中のイソシアナート化合物の合計モル数))が3に近いほど、電解液は強固で自立性の高いゲルになり、平均イソシアナート基数が2に近いほど、電解液は柔軟で接着性の高いゲルになる傾向にある。かかる観点から、ポリウレタンの原料が、2官能イソシアナート化合物を、イソシアナート基のモル数基準で、3官能イソシアナート化合物の3〜100倍含むと、自立性と柔軟性とのバランスが良好となり、また、電解液におけるイオン伝導性にも優れるため好ましい。同様の観点から、3〜75倍含むと好ましく、3〜50倍含むとより好ましい。
また、水酸基を有する鎖状高分子は、その分子量(数平均分子量)が300以上のものであり、分子量が800以上10000以下のものが好ましい。また、1つの分子当たり水酸基を2つ以上含む高分子(以下、「ポリオール」ともいう)が好ましく、1つの分子当たり水酸基を2つ含むものであってもよい。そのような鎖状高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコールに代表されるポリアルキレンジオール;ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、並びにポリカーボネートジオールが挙げられる。また、これらの鎖状高分子は側鎖を有していてもよい。水酸基を有する鎖状高分子がポリアルキレングリコールを含むと、様々な分子量の化合物を容易に入手でき、設計の自由度が高い点及びハンドリング性に優れる点から好ましい。また、水酸基を有する鎖状高分子が、下記一般式(1)で表されるポリカーボネートジオールを含むと好ましい。
Figure 2013211174
ここで、式中、Rは2価の有機基を示し、nは正の整数を示す。かかるポリカーボネートジオールを用いると、電解液に含まれる非水溶媒が、好適なカーボネート溶媒を含む場合に、それらの構造が近いことから、水酸基を有する鎖状高分子と電解液との親和性が良好になり、イオン伝導性を低下させ難い点で好ましい。Rは、それぞれ独立して炭素数1〜100の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基が好ましく、アルキレン基には酸素原子及び/又は硫黄原子が含まれていてもよい。中でも、炭素数3〜50の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基(酸素原子が含まれていてもよい)であるとより好ましい。特に、Rがヘキサメチレン基であると、電解液の各種特性が良好なバランスとなる点から好ましい。また、nは、後述のように、上記一般式(1)で表される化合物の数平均分子量が300以上となるような数であると好ましく、800以上10000以下となるような数であるとより好ましい。
上述のイソシアナート化合物及び水酸基を有する鎖状高分子としては、様々な分子量又は数平均分子量を有するものを用いることができる。一般には、高分子量のイソシアナート化合物や鎖状高分子を用いると、ウレタン結合数が減少し、リチウムイオン二次電池用とでは、リチウムイオンの拡散性が向上し、電池性能が向上する傾向にある。一方、低分子量のイソシアネート化合物や鎖状高分子を用いると、電解液などへの溶解性が高くなり、ハンドリング性に優れる傾向にある。水酸基を有する鎖状高分子は、数平均分子量が300以上であると、ハンドリングの観点及び上述のリチウムイオンの拡散性の観点から好ましい。同様の観点から、数平均分子量が800以上10000以下であるとより好ましく、1500以上5000以下であると更に好ましい。
水酸基を有する鎖状高分子は、常法により合成されてもよく、市販品を入手してもよい。例えば、1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、又はジエチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートとをエステル交換、縮合反応させることでヘキサメチレン基を有するポリカーボネートジオールが得られる。また、ポリカーボネートジオールの市販品としては、例えば、デュラノールシリーズ(旭化成ケミカルズ社製商品名)、宇部興産株式会社の製品、日本ポリウレタン株式会社の製品が挙げられる。その他、水酸基を有する鎖状高分子として、日油株式会社やライオン株式会社のPEGを用いることもできる。水酸基を有する鎖状高分子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の電解液は、非水溶媒と電解質とを含む母液に、事前に合成したポリウレタンを添加して調製することができる。あるいは、電解液は、非水溶媒と電解質とポリウレタンとを同時に混合して調製することもできる。あるいは、非水溶媒と電解質とを含む母液にポリウレタンの原料である、イソシアナート化合物と水酸基を有する鎖状高分子とを添加し、その液中で、ポリウレタンを合成して、電解液を得てもよい。その液中でポリウレタンを合成すると、工程が簡略化できると共に、調製した電解液の組成が均一になる点で好ましい。
電解液における、非水溶媒と電解質とポリウレタンとの混合比は目的に応じて選択できるが、電解液は、その全量に対して、ポリウレタンを1〜20質量%含むと、取扱い性と電気化学デバイス特性との点から好ましい。
また、非水溶媒に対し電解質を好ましくは0.1〜3モル/リットル、より好ましくは0.5〜2モル/リットル含む液に対して、ポリウレタンの含有量は、質量基準のポリウレタン:(非水溶媒と電解質との混合物)で、好ましくは1:99〜30:70、より好ましくは5:95〜20:80である。このような組成で電解液を調製することで、電気化学デバイス特性、接着性及び取扱い性をより良好なものとすることができる。
本実施形態に電解液には、必要に応じて更に添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、熱安定剤、難燃剤、熱暴走抑制剤、過充電抑制添加剤、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、強化剤、電極保護皮膜形成用の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、固体(塊状)、粉末状であってもよいし、液体状であってもよいし、電解液に溶解するものであっても、溶解しないものであってもよい。
電解液における添加剤の添加量は、本発明の目的の達成を阻害せず、かつ、添加剤の使用目的を達成できる範囲において選択されるものである。ただし、良好な電池などの電気化学デバイス特性と添加剤による効果との両立を図るためには、添加剤の含有量は、非水溶媒と電解質との合計量100質量部に対して0.5質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜10質量部が更に好ましい。
本実施形態の電解液は、液状であってもよく、ゲル状であってもよいが、組み立て精度の高い電気化学デバイスを容易に得る観点から、ゲル状であることが好ましい。
以下、上述の電解液の他、セパレータと正極と負極とを備えるリチウムイオン二次電池について、詳細に説明するが、本発明に係る電解液及びセパレータはその用途に限定されない。
<セパレータ>
本実施形態に係るセパレータは、正負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間に備えられるものである。セパレータは、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
本実施形態に用いるセパレータの材質は、例えば、セラミック、ガラス、樹脂及びセルロースが挙げられ、従来、セパレータの材質として用いられているものであってもよい。樹脂としては、合成樹脂であっても天然樹脂(天然高分子)であってもよく、また、有機樹脂であっても無機樹脂であってもよいが、セパレータとしての性能に優れている観点から、有機樹脂であると好ましい。有機樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、並びに、液晶ポリエステル及びアラミドなどの耐熱樹脂が挙げられる。セパレータの材質(セパレータが後述のように電解質とポリウレタンとを含む塗膜を備える場合は、その塗膜以外の材質。以下同様。)は、高い耐熱性の観点から、セラミック及びガラスが好ましく、ハンドリング性及び耐熱性の観点から、ポリエステル、ポリアミド、液晶ポリエステル、アラミド、及びセルロースが好ましい。また、セパレータの材質は、コスト及び加工性の観点から、ポリオレフィンが好ましい。これらの材質のうち、樹脂を採用する場合、単独重合体である樹脂を用いてもよく、共重合樹脂を用いてもよく、また、複数種の樹脂の混合体及びアロイを用いてもよい。
また、セパレータは、複数の材質の膜を積層した積層体であってもよい。セパレータが積層体の場合、各層の材質が互いに同じものであっても異なるものであってもよい。積層体のセパレータを作製する場合、ある層を別の層上に形成することを繰り返すことで順に積層して、すなわち逐次多層化して作製してもよく、それぞれ別に作製した複数の膜を張り合わせることで積層体を作製してもよい。
本実施形態に用いるセパレータの形態は、例えば、合成樹脂を製膜して製造した合成樹脂性微多孔膜、合成樹脂又は天然高分子を紡糸した繊維、ガラス繊維又はセラミック繊維を加工した織布、不織布、編布、抄紙、並びに、合成樹脂及びガラスの微粒子を配列して作製した膜が挙げられる。
本実施形態のセパレータは、膜の補強、充放電の補助、耐熱性向上などの観点から、上記以外の成分、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機粒子、無機粒子をセパレータの表面及び/又は内部に含んでもよい。
本実施形態におけるセパレータは、セパレータと正極との間、及び/又は、セパレータと負極との間の接着性を向上させる観点から、上述の膜の片面又は両面に上記電解液を塗布して塗膜を形成したものであることが好ましく、塗布された電解液は、セパレータの孔の少なくとも一部に浸透していると更に好ましい。電解液を塗布して塗膜を形成する方法としては、例えば、ポリウレタンの原料(上述のイソシアネート化合物及び水酸基を有する鎖状高分子)と有機液体とを含む混合溶液を調製し、それをセパレータに塗布し、セパレータを加熱することでポリウレタンを得ると共に不要な有機液体を除去し、その後、電解質と非水溶媒とからなる母電解液に含浸させる方法、事前に調製したポリウレタンと電解質と非水溶媒と必要に応じて追加した有機液体を含有する電解液をセパレータ上に塗布した後に不要な有機液体を除去する方法が挙げられる。また、上述の塗布する方法としては、例えば浸漬(ディップ)塗工法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法及び刷毛塗り法を用いることができる。
ポリウレタン原料溶液をセパレータ上に塗布するときの有機液体として、上記電解液に含まれ得るのと同じ非水溶媒、又は、上記電解質と上記非水溶媒とを含む液を用いると、その後の不要な溶媒除去を簡素化又は不要化できるために有用である。また、事前に調製したポリウレタンと電解質と非水溶媒とを含有する電解液をセパレータに塗布する場合、調製したポリウレタンに上記電解液に含まれ得る非水溶媒などの有機液体を含浸させてから塗布すると、塗布ムラを抑制できる。
このようにして得られるセパレータは、上記電解液に含まれる電解質とポリウレタンとを含む塗膜を備えるものである。
<正極>
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては、例えば、下記一般式(6a)、(6b)で表される複合酸化物、トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物が挙げられる。
LixMO2 (6a)
Liy24 (6b)
ここで、式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
より具体的には、例えば、LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO2、LiMn24、Li2Mn24に代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;LizMO2(MはNi、Mn、Co、Al及びMgからなる群より選ばれる2種以上の元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物;LiFePO4で表されるリン酸鉄オリビンが挙げられる。また、正極活物質として、例えば、S、MnO2、FeO2、FeS2、V25、V613、TiO2、TiS2、MoS2、NbSe2に代表されるリチウム以外の金属の酸化物も例示される。さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールに代表される導電性高分子も正極活物質として例示される。
これらの中でも、リチウム含有化合物は、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよく、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物、リン酸化合物が好ましい。
より具体的には、かかるリチウム含有化合物としてリチウムを有する金属酸化物、リチウムを有する金属カルコゲン化物が好ましく、例えば、それぞれ下記一般式(7a)、(7b)で表される化合物が挙げられる。
LivI2 (7a)
LiwIIPO4 (7b)
ここで、式中、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。
上記一般式(7a)で表される化合物は一般に層状構造を有し、上記一般式(7b)で表される化合物は一般にオリビン構造を有する。これらの化合物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属元素の一部をAl、Mg、その他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したものも挙げられる。更に、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものも挙げられる。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の数平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。正極活物質の数平均粒子径は湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計)により測定することができる。あるいは、透過型電子顕微鏡にて観察した粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することでも得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
正極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、正極が作製される。
ここで、正極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
本実施形態の正極には、上記電解液に含まれる電解質とポリウレタンとを含む塗膜が備えられていてもよい。このような塗膜を形成する方法は、セパレータにおいて塗膜を形成する方法と同様の方法を用いることができる。
<負極>
負極は、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては金属リチウムの他、例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックに代表される炭素材料が挙げられる。これらのうち、コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体は、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。
更に、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料としては、リチウムと合金を形成可能な金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を含む材料も挙げられる。この材料は金属又は半金属の単体であっても合金であっても化合物であってもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。
なお、本明細書において、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含める。また、合金が、その全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素を有していてもよい。その合金の組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存する。
このような金属元素及び半金属元素としては、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、特に好ましいのはチタン、ケイ素及びスズである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)からなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタンの化合物、スズの化合物及びケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられ、チタン、スズ又はケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極活物質の数平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。負極活物質の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この負極合剤含有ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、負極が作製される。
ここで、負極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
本実施形態の負極には、上記電解液に含まれる電解質とポリウレタンとを含む塗膜が備えられていてもよい。このような塗膜を形成する方法は、セパレータにおいて塗膜を形成する方法と同様の方法を用いることができる。
正極及び負極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。
<電池の作製方法>
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上述の電解液、セパレータ、正極、負極を用いて、公知の方法により作製される。例えば、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させて巻回して巻回構造の積層体にしたり、折り曲げや複数層の積層などによって積層体にしたりして成型する。次いで、電池ケース内にその積層体を収容して、本実施形態に係る電解液をケース内部に注液し、上記積層体を電解液に浸漬して封印することによって、本実施形態のリチウムイオン二次電池を作製することができる。電解液を、正極、負極及びセパレータの少なくとも1つの表面に塗布した後に、上述のようにして積層してもよい。あるいは、上記電解液から作製される、ポリウレタンと電解質とを含む電解質膜を予め作製しておき、正極、負極、電解質膜、及び必要に応じてセパレータを、折り曲げや積層によって積層体にして作製することができる。電解質膜は、例えばポリオレフィン樹脂シート(フィルム)、ポリエステル樹脂シート(フィルム)、フッ素樹脂シート(フィルム)、紙などの基材上に、上記電解液を塗布し、その後必要に応じて溶媒を除去することによって得られる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、ラミネート形などが好適に用いられる。その中でも、電池作製の容易性の観点から、円筒型、角筒型及びラミネート型がより好適に用いられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、電極とセパレータ及び/又は電解液(電解質)との接着性を大いに向上することが可能となる。具体的には、電解液として、接着性の高い特定のポリウレタンを含む電解液を用いることで、接着性の向上が実現する。接着性を向上させた本実施形態のリチウムイオン二次電池では、高い安全性を確保しつつ電池特性を高いレベル(高耐久、高容量)で安定化させ、特に高密度電極を用いた電池において、充放電容量を高く維持することができ、さらにサイクル特性も優れたものとすることができる。また、電極とセパレータ及び/又は電解液(電解質)とのズレを抑止できるため、電池作製のハンドリングにも優れるものとなり、上述のような優れたリチウムイオン二次電池を容易に作製することが可能となる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、リチウムイオン二次電池の各種電池特性及び安全性は下記のようにして測定、評価された。
(i)接着性及び保液性の評価1
調製した電解液1gを3cm×3cmに切断したセパレータと負極とで挟み、それらの積層方向に1kgf/cm2の荷重を10分間かけ、その後、荷重を解放して負極からセパレータを剥がすときの状態を確認して、下記のように接着性を評価した。
○:荷重を解放してもセパレータ及び負極は互いに剥がれず、漏液が認められなかった。
△:荷重を解放してもセパレータ及び負極は互いに剥がれなかったが、0.2g以下の漏液が認められた。
×:荷重を解放するとセパレータ及び負極は互いにすぐに剥がれ、漏液した。
(ii)接着性及び保液性の評価2
測定用のリチウムイオン二次電池として1C=6mAとなる小型電池を作製した。アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いた。2mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後、定電流で3.0Vまで放電した。その後、6mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行い、6mAの定電流で3.0Vまで放電する充放電サイクルを100サイクル実施した。100サイクル後の電池を解体したときの状態を確認して、下記のように接着性を評価した。
○:電池を解体しても、セパレータ及び負極は互いに剥がれず、漏液が認められなかった。
△:電池を解体してもセパレータ及び負極は互いに剥がれなかったが、液滴の存在が認められた。
×:電池を解体するとセパレータ及び負極は互いにすぐに剥がれ、漏液した。
(iii)放電容量測定
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=84mAとなる単層ラミネート型電池を作製して用いた。測定にはアスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いた。84mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後、84mAの定電流で3.0Vまで放電したときの放電容量を測定した。なお、このときの電池周囲温度は25℃に設定した。
(iv)耐久性(サイクル容量)測定
上記「(iii)放電容量測定」と同様に電池を作製し、同様の測定装置を用いて試験した。84mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計3時間充電を行い、その後、84mAの定電流で3.0Vまで放電することを1サイクルとし、50サイクル行ったときの放電容量を測定した。2サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量を計算し、その値を放電容量維持率として求めた。なお、このときの電池周囲温度は25℃に設定した。
(実施例1)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとを1:1:2の体積比で混合した混合溶媒に対して、1.5MのLiBF4を溶解し、母電解液(X)を得た。母電解液(X)10gに対して、水酸基を有する高分子(以下、「水酸基含有高分子」ともいう。)として数平均分子量が1000のポリエチレングリコール(PEG−1000)を1g添加し、40℃に加熱して均一に溶解させた。続いて、2官能イソシアナート化合物として、旭化成ケミカルズ(株)製のデュラネートD201(商品名)を0.46g添加し、80℃で2時間加熱撹拌した。そして、3官能イソシアナート化合物として、旭化成ケミカルズ(株)製のデュラネートTPA−100(商品名)を0.0352g添加して撹拌した後、サンプルを厚さ2mmのポリテトラフルオロエチレンシート上で、80℃で2時間加熱した。加熱したサンプルを室温まで降温し、ポリテトラフルオロエチレンシートから剥離することで、ゲル状の電解液(a)を得た。
得られた電解液(a)に対して「(i)接着性及び保液性の評価1」を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2〜実施例9、比較例1〜比較例7)
母電解液(X)に対して添加する、水酸基含有高分子、2官能イソシアナート化合物、及び3官能イソシアナート化合物の種類及び添加量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、ゲル状の電解液(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)及び(p)を得、「(i)接着性及び保液性の評価1」を実施した。結果を表1に示す。なお、比較例6では、母電解液(X)10gに対して、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVDF−HFP:ARKEMA社製、商品名「KYNARシリーズ」)を1.5g添加して、80℃で2時間加熱撹拌したサンプルを室温まで降温し、電解液(o)を得た。
Figure 2013211174
(実施例10)
<正極の作製>
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVDF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極(α)を得た。
<負極の作製>
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末I及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末IIと、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、グラファイト炭素粉末I:グラファイト炭素粉末II:カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極(β)を得た。
電解液(a)0.1gを、ポリオレフィン製セパレータ(膜厚約10μm)の両面にディップ法で塗布した後、塗布した電解液(a)を含むセパレータを正極(α)と負極(β)とで挟みこむことにより積層体を作製した。その積層体をアルミニウムと樹脂とを積層した材質の電池外装体内に導入し、1kgf/cm2の圧力でそれらの積層方向に荷重をかけつつ厚さを調整して電池(A)を得た。
得られた電池(A)に対して「(ii)接着性と保液性の評価2」を実施した。評価結果を表2に示す。
(実施例11〜18、比較例8〜14)
電解液を表2に示すように変更した以外は実施例10と同様にして、電池(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(K)、(L)、(M)、(N)、(O)及び(P)を得、「(ii)接着性と保液性の評価2」を実施した。評価結果を表2に示す。
Figure 2013211174
(実施例19)
<正極の作製>
正極活物質としてリチウムコバルト酸(LiCoO2)と、導電助剤としてアセチレンブラック(数平均粒子径:42μm、以下同様。)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、89.5:4.5:6.0の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μm、幅200mmのアルミニウム箔に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し、更に150℃で10時間真空乾燥を行い、50mm×30mmの矩形状に打ち抜いて正極(ε)を得た。なお、得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が24.8g/cm2±3%、片面での厚さが82.6μm±3%、密度が3.0g/cm3±3%、塗工幅がアルミニウム箔の幅200mmに対して150mmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト炭素粉末(商品名「MCMB25−28」、大阪ガスケミカル(株)製)と、導電助剤としてアセチレンブラックと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、93.0:2.0:5.0の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ14μm、幅200mmのアルミニウム箔に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し、更に150℃で10時間真空乾燥を行い、52mm×32mmに打ち抜いて負極(ζ)を得た。なお、得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が11.8g/cm2±3%、片面での厚さが84.6μm±3%、密度が1.4g/cm3±3%、塗工幅がアルミニウム箔の幅200mmに対して150mmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
電解液(a)0.5gを、ポリオレフィン製セパレータ(膜厚約10μm)の両面にディップ法で塗布した後、塗布した電解液(a)を含むセパレータを正極(ε)と負極(ζ)とで挟みこむことにより積層体を作製した。その積層体をアルミニウムと樹脂とを積層した材質の電池外装体内に導入し、1kgf/cm2の圧力でそれらの積層方向に荷重をかけつつ厚さを調製して電池(A2)を得た。
得られた電池(A2)に対して「(iii)放電容量測定」と「(iv)耐久性(サイクル容量)測定」を実施した。評価結果を表3に示す。
(実施例20〜27、比較例15〜21)
電解液を表3に示すように変更した以外は実施例19と同様にして、電池(B2)、(C2)、(D2)、(E2)、(F2)、(G2)、(H2)、(I2)、(J2)、(K2)、(L2)、(M2)、(N2)、(O2)及び(P2)を得、(iii)放電容量測定」及び「(iv)耐久性(サイクル容量)測定」を実施した。評価結果を表3に示す。
Figure 2013211174
リチウムイオン二次電池の他、リチウムイオンキャパシタや電気二重層コンデンサなどの電気化学素子、燃料電池、太陽電池などの光電変換素子等に用いることができ、それらの分野に産業上の利用可能性がある。

Claims (9)

  1. 非水溶媒と、電解質と、ポリウレタンと、を含有する電解液であって、
    前記ポリウレタンは、1分子当たり3つのイソシアナート基を有する化合物と、1分子当たり2つのイソシアナート基を有する化合物と、水酸基を有する鎖状高分子とを含む原料を反応させて得られるものであることを特徴とする電気化学デバイス用電解液。
  2. 前記原料は、前記2つのイソシアナート基を有する化合物を、イソシアナート基のモル基準で、前記3つのイソシアナート基を有する化合物の3〜100倍含む、請求項1に記載の電気化学デバイス用電解液。
  3. 前記ポリウレタンを1〜20質量%含有する、請求項1又は2に記載の電気化学デバイス用電解液。
  4. 前記3つのイソシアナート基を有する化合物は、イソシアヌレート型ポリイソシアナートを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液。
  5. 前記水酸基を有する鎖状高分子は、下記一般式(1)で表されるポリカーボネートジオールを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液。
    Figure 2013211174
    (式中、Rは2価の有機基を示し、nは正の整数を示す。)
  6. 前記ポリカーボネートジオールは、その数平均分子量が800以上である、請求項5記載の電気化学デバイス用電解液。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液を含む塗膜を備える、セパレータ。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液と、
    セパレータと、
    正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、
    負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、
    を備えるリチウムイオン二次電池。
  9. 請求項7に記載のセパレータと、
    正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、
    負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、
    を備えるリチウムイオン二次電池。
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