JP2014026917A - 電気化学デバイス用電解液及びリチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気化学デバイス特性、特に電気化学デバイスとしての長期耐久性に優れた電気化学デバイス、例えばリチウムイオン二次電池、を与えることのできる電解液を提供する。
【解決手段】非水溶媒と、電解質と、フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物と、を含む電気化学デバイス用電解液。また、前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物を、1,3−プロパンスルトン又は1,4−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物とした、電気化学デバイス用電解液。
【選択図】なし
【解決手段】非水溶媒と、電解質と、フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物と、を含む電気化学デバイス用電解液。また、前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物を、1,3−プロパンスルトン又は1,4−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物とした、電気化学デバイス用電解液。
【選択図】なし
Description
本発明は電気化学デバイス用電解液及びリチウムイオン電池に関する。
近年の電子技術の発展及び環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が多くあり、それに貢献できるものへの期待はますます高くなっている。例えば、発電デバイスとして太陽電池が挙げられ、蓄電デバイスとして、二次電池、キャパシタ及びコンデンサなどが挙げられる。蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、従来、主に携帯機器用充電池として使用されていたが、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車用電池としての使用も期待されている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、リチウムを吸蔵及び放出可能な活物質を主体として構成された正極と負極とがセパレータを介して配された構成を有する。リチウムイオン二次電池の正極は、正極活物質としてのLiCoO2、LiNiO2又はLiMn2O4等と、導電剤としてのカーボンブラック又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された正極合剤が、アルミニウム等からなる正極集電体上に被覆されて形成される。負極は、負極活物質としてのコークス又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された負極合剤が、銅等からなる負極集電体上に被覆されて形成される。セパレータは、多孔性ポリオレフィン等により形成され、その厚さは数μmから数百μmと非常に薄い。正極、負極及びセパレータは、電池内で電解液に浸漬されている。電解液としては、例えば、LiPF6又はLiBF4のようなリチウム塩を、プロピレンカーボネート又はエチレンカーボネートのような非プロトン性溶媒に、あるいはポリエチレンオキシドのようなポリマーに溶解させた電解液が挙げられる。
リチウムイオン二次電池は、現在、携帯機器の充電池として主に用いられている(例えば特許文献1参照)。また、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車などの自動車用途の電池としても展開が開始されており、リチウムイオン二次電池の用途及び市場は更に大幅に拡大している傾向にある。従来のリチウムイオン電池としては、例えば、特許文献2、3及び4に記載されたものが挙げられる。
ところで、携帯機器の充電池として主に用いられているリチウムイオン二次電池の溶媒には、非水溶媒系の電解液が用いられている。ところが、充放電に伴い、徐々にその非水溶媒が分解したり、電極剤成分が電解液中に溶出したりする。このことは、リチウムイオン二次電池の充放電特性や保存特性を低下させる原因となっている。これらを改善するために、例えば、より分解し難い溶媒を用いたり、分解や溶出を引き起こし難い電極を用いたりする手法が挙げられる。しかしながら、その場合には、溶媒や電極の選択肢を狭めることとなり、他の性能を犠牲にすることとなる。
また、充放電特性や保存特性の低下を抑止するために、様々な添加剤を電解液に導入する検討も行われている。そのような添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト及びスルホランなどが知られており、これらは多くの電解液に用いられている。添加剤を含有する電解液を用いることで、電池の性能は向上するが、耐久性、出力特性、高温や低温での充放電安定性をなどの各種性能を更に高めるために、新たな添加剤を含有する種々の電解液の開発は求められ続けている。特に、近い将来に大きな展開が期待されている自動車用途やパワー(高パワー、大型パワー)用途、住宅用途や大型用途においては、従来の民生用の小型携帯機器用途以上に、高負荷環境や高負荷条件でリチウムイオン二次電池が用いられる。したがって、新たな電解液に対する要求も、より強いものとなっている。
本発明は、上記事情にかんがみてなされたものであり、電気化学デバイス特性、特に電気化学デバイスとしての長期耐久性に優れた電気化学デバイス、例えばリチウムイオン二次電池、を与えることのできる電解液、及びその電解液を含有するリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく、様々な添加剤を電解液に配合し、その電気化学デバイスへの応用の可能性を検討した。その結果、フッ素原子を有する環状スルホン酸エステルを用いることにより、電気化学デバイスとしての長期耐久性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]非水溶媒と、電解質と、フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物と、を含む電気化学デバイス用電解液。
[2]前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物は、1,3−プロパンスルトン又は1,4−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物である、上記電気化学デバイス用電解液。
[3]前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物は、1分子中に1〜4個のフッ素原子を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、上記電気化学デバイス用電解液。
[4]前記非水溶媒は、1種類以上のカーボネート溶媒を含む、上記電気化学デバイス用電解液。
[5]リチウムイオン二次電池に用いられる、上記電気化学デバイス用電解液。
[6]上記電気化学デバイス用電解液と、
正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、
負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、
を備えるリチウムイオン二次電池。
[7]前記正極は、前記正極活物質として、リチウム含有化合物を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[8]前記リチウム含有化合物は、リチウムを有する金属酸化物及びリチウムを有する金属カルコゲン化物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[9]前記負極は、前記負極活物質として、金属リチウム、炭素材料、及び、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料、からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[1]非水溶媒と、電解質と、フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物と、を含む電気化学デバイス用電解液。
[2]前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物は、1,3−プロパンスルトン又は1,4−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物である、上記電気化学デバイス用電解液。
[3]前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物は、1分子中に1〜4個のフッ素原子を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、上記電気化学デバイス用電解液。
[4]前記非水溶媒は、1種類以上のカーボネート溶媒を含む、上記電気化学デバイス用電解液。
[5]リチウムイオン二次電池に用いられる、上記電気化学デバイス用電解液。
[6]上記電気化学デバイス用電解液と、
正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、
負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、
を備えるリチウムイオン二次電池。
[7]前記正極は、前記正極活物質として、リチウム含有化合物を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[8]前記リチウム含有化合物は、リチウムを有する金属酸化物及びリチウムを有する金属カルコゲン化物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[9]前記負極は、前記負極活物質として、金属リチウム、炭素材料、及び、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料、からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む、上記リチウムイオン二次電池。
本発明によると、電気化学デバイス特性、特に電気化学デバイスとしての長期耐久性に優れた電気化学デバイス、例えばリチウムイオン二次電池を与えることのできる電解液、及びその電解液を含有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
本実施形態における電気化学デバイス用電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、非水溶媒と、電解質と、フッ素原子含有環状スルホン酸エステルとを含む。
本実施形態における電気化学デバイス用電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、非水溶媒と、電解質と、フッ素原子含有環状スルホン酸エステルとを含む。
<非水溶媒>
非水溶媒としては、様々なものを用いることができる。その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン,ε―カプロラクトンなどの酸エステル類;ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン及びアセトンなどのケトン類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン及びヘキサフルオロベンゼンなどの炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン及び含フッ素エーテルなどのエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、エチレンジアミン及びピリジンなどのアミン類;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートなどのカーボネート類;アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、スクシノニトリル、マロノニトリル及びメトキシアセトニトリルなどのニトリル類;N−メチルピロリドン(NMP)などのラクタム類;スルホラン及び3−メチルスルホラン、ジメチルスルホン及びエチルメチルスルホンなどのスルホン類;プロパンスルトン及びブタンスルトンなどのスルホン酸エステル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;シリコンオイル及び石油などの工業オイル類;並びに、食用油が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
非水溶媒としては、様々なものを用いることができる。その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン,ε―カプロラクトンなどの酸エステル類;ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン及びアセトンなどのケトン類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン及びヘキサフルオロベンゼンなどの炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン及び含フッ素エーテルなどのエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、エチレンジアミン及びピリジンなどのアミン類;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートなどのカーボネート類;アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、スクシノニトリル、マロノニトリル及びメトキシアセトニトリルなどのニトリル類;N−メチルピロリドン(NMP)などのラクタム類;スルホラン及び3−メチルスルホラン、ジメチルスルホン及びエチルメチルスルホンなどのスルホン類;プロパンスルトン及びブタンスルトンなどのスルホン酸エステル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;シリコンオイル及び石油などの工業オイル類;並びに、食用油が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
非水溶媒として、イオン液体を用いることもできる。イオン液体とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる液体である。
有機カチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、及びジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
有機カチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、及びジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、例えば、PF6アニオン、PF3(C2F5)3アニオン、PF3(CF3)3アニオン、BF4アニオン、BF2(CF3)2アニオン、BF3(CF3)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、Tf(トリフルオロメタンスルフォニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン、ジシアノアミンアニオン、ハロゲン化物アニオンを用いることができる。
これらの非水溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
充放電に寄与する電解質の電離度を高めるために、非水溶媒は、高誘電率の溶媒を1種以上含むことが好ましい。具体的には、25℃における比誘電率が10以上である溶媒を含むと好ましく、20以上である溶媒を含むとより好ましい。同様の観点から、非水溶媒は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートに代表される環状カーボネート;アセトニトリル及びプロピオニトリルに代表されるニトリル;ジメトキシエタン;グライムなどのエーテル類からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、カーボネート溶媒を1種以上含むことがより好ましく、環状カーボネートを1種以上含むことが更に好ましい。
また、非水溶媒は、電解質の溶解性、伝導度及び電離度という機能を全て良好にするために、2種以上の溶媒の混合溶媒であることが好ましい。この混合溶媒における非水溶媒としては、上記と同様のものを例示できる。このときの溶媒は様々な組成比のものを選択することができる。非水溶媒が混合溶媒である場合、上記と同様の観点から、高誘電率の溶媒と低粘性の溶媒とが含まれることが好ましい。高誘電率の溶媒としては、25℃における比誘電率が10以上である溶媒を含むと好ましい。高誘電率の溶媒は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートに代表される環状カーボネート;アセトニトリル及びプロピオニトリルに代表されるニトリル;ジメトキシエタン;グライムなどのエーテル類からなる群より選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、環状カーボネートを1種以上含むことが更に好ましい。低粘性の溶媒としては、25℃における粘度が1cps以下である溶媒を含むと好ましい。低粘性の溶媒は、ジメチルカーカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネート;アセトニトリル及びプロピオニトリルに代表されるニトリル;γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンに代表されるラクトンからなる群より選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、鎖状カーボネートを1種以上含むことが更に好ましい。
非水溶媒として、環状の非プロトン性極性溶媒とその他の溶媒との混合溶媒を用いる場合、イオン伝導の観点から、環状の非プロトン性極性溶媒(2種以上の場合にはその混合物)が、その他の溶媒(2種以上の場合にはその混合物)よりも体積比で少量であることが好ましい。
<電解質>
本実施形態における電解質は、電解液において、通常の非水電解質として用いられているものであれば特に限定されず、いずれのものであってもよいが、中でも、電池特性などの電気化学デバイス特性の観点から、リチウム塩を含むことが好ましい。リチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2CkF2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2CkF2k+1)2〔kは1〜8の整数〕、LiPFn(CkF2k+1)6-n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiBFn(CkF2k+1)4-n〔nは1〜3の整数、kは1〜8の整数〕、LiB(C2O4)2で表されるリチウムビス(オキサレート)ボレート、LiBF2(C2O4)で表されるリチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート、LiPF3(C2O4)で表されるリチウムトリフルオロ(オキサレート)フォスフェート、LiPO2F2、Li2PO3Fが挙げられる。
本実施形態における電解質は、電解液において、通常の非水電解質として用いられているものであれば特に限定されず、いずれのものであってもよいが、中でも、電池特性などの電気化学デバイス特性の観点から、リチウム塩を含むことが好ましい。リチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2CkF2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2CkF2k+1)2〔kは1〜8の整数〕、LiPFn(CkF2k+1)6-n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiBFn(CkF2k+1)4-n〔nは1〜3の整数、kは1〜8の整数〕、LiB(C2O4)2で表されるリチウムビス(オキサレート)ボレート、LiBF2(C2O4)で表されるリチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート、LiPF3(C2O4)で表されるリチウムトリフルオロ(オキサレート)フォスフェート、LiPO2F2、Li2PO3Fが挙げられる。
また、下記一般式(5a)、(5b)又は(5c)で表されるリチウム塩を電解質として用いることもできる。
LiC(SO2R11)(SO2R12)(SO2R13) (5a)
LiN(SO2OR14)(SO2OR15) (5b)
LiN(SO2R16)(SO2OR17) (5c)
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
LiC(SO2R11)(SO2R12)(SO2R13) (5a)
LiN(SO2OR14)(SO2OR15) (5b)
LiN(SO2R16)(SO2OR17) (5c)
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
これらの電解質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの電解質のうち、電池特性などの電気化学デバイス特性や電池安定性などの電気化学デバイス安定性の観点から、LiPF6、LiBF4及びLiN(SO2CkF2k+1)2〔kは1〜8の整数〕が好ましい。
電解質の濃度は、本発明の目的達成を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、電解液とフッ素含有環状スルホン酸エステル化合物との混合液に対して、好ましくは0.1〜3モル/リットル、より好ましくは0.5〜2モル/リットルの濃度で含有される。
<フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物>
フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物とは、環状スルホン酸エステルを構成する水素原子の少なくとも1個以上がフッ素原子で置換された化合物のことを示す(以下、「含フッ素環状スルホン酸エステル」と表記する。)。上記環状スルホン酸エステルは、更に置換基を有していてもよい。
フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物とは、環状スルホン酸エステルを構成する水素原子の少なくとも1個以上がフッ素原子で置換された化合物のことを示す(以下、「含フッ素環状スルホン酸エステル」と表記する。)。上記環状スルホン酸エステルは、更に置換基を有していてもよい。
本実施形態における、置換基を有しない含フッ素環状スルホン酸エステルとしては、本発明の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、環状スルホン酸エステルの環を構成する炭素数が3〜8であると好ましく、その環を構成する炭素数が3〜8のスルトンであるとより好ましく、例えば、1,3−プロパンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物、1,4−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物及び1,5−ペンタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物が挙げられる。
本実施形態における、置換基を有する含フッ素環状スルホン酸エステルとしては、本発明の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、環状スルホン酸エステルの環を構成する炭素数が3〜8であると好ましく、その環を構成する炭素数が3〜8であるスルトンであるとより好ましく、例えば、1,3−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物、ペンタン−2,5−スルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物、ブタン−2,4−スルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物、ナフタレン−1,8−スルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物、及び3H−2,1,1−ベンゾオキサチオール=1,1−オキシドの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物が挙げられる。
本実施形態の含フッ素環状スルホン酸エステルは、本発明の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、1,3−プロパンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物、又は、1,4−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物であると好ましい。
含フッ素環状スルホン酸エステルのフッ素原子の置換数は1個以上4個以下が好ましく、1個以上3個以下がより好ましい。
上記化合物は簡易な製造方法で高い電気化学デバイス性能を示すことができるために有用である。なお、環状スルホン酸エステルをフッ素化した化合物を電解液に使用すると、電解液の電気化学的安定性と粘度とを調整できる点が有用である。
本実施形態における含フッ素環状スルホン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、含フッ素環状スルホン酸エステルの電解液中での含有割合は、非水溶媒と電解質との総量100質量部に対して、0.1〜70質量部であることが好ましく、0.5〜50質量部であることがより好ましく、1〜30質量部であることが更に好ましい。含フッ素環状スルホン酸エステルの含有割合が上記範囲内であると、より良好な電気化学デバイス特性を発現することができる。
本実施形態における電解液には、必要に応じて、他の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、熱安定剤、難燃剤、熱暴走抑制剤、過充電抑制添加剤、増粘剤、乳化剤、強化剤、ゲル化剤、電極保護剤、電極皮膜形成剤及び酸トラップ剤が挙げられる。また、フッ素原子を有しない環状スルホン酸エステルを添加剤として含んでもよい。これらの添加剤は、固体(塊状)、粉末状及び液体状のいずれであってもよく、また、電解液に溶解するものであっても、溶解しないものであってもよい。
電解液における添加剤の含有割合は、本発明の目的の達成を阻害せず、かつ、添加剤の使用目的を達成できる範囲において選択されるものである。良好な電気化学デバイス特性と添加剤による効果との両立の観点から、添加剤の含有割合は、非水溶媒と電解質との総量100質量部に対して、0.05質量部〜20質量部であることが好ましく、0.1質量部〜10質量部であることがより好ましい。
本実施形態における電解液の調製方法は、そこに含まれる各成分を混合する方法であれば特に限定されず、それぞれの成分を混合する順は問わない。具体的には、例えば、所定量の電解質と非水溶媒とを混合して予備的な電解液含有液を調製した後、含フッ素環状スルホン酸エステルをその予備的な電解液含有液に混合することにより電解液を得ることができる。あるいは、全ての成分を所定量で同時に混合することにより電解液を得ることも可能である。あるいは、環状スルホン酸エステルを含む電解液又は環状スルホン酸エステルと非水溶媒とを混合して電解液前駆液を調製した後、in−sisuで環状スルホン酸エステルから含フッ素環状スルホン酸エステルに転化して、必要に応じて電解質を混合して本実施形態の電解液を調製してもよい。
本実施形態の電気化学デバイスは、本実施形態の電解液を備える以外は特に限定されないが、リチウムイオン二次電池である場合、正極と負極とセパレータと本実施形態に係る電解液とを備える。正極、負極及びセパレータは、例えば下記に説明するものである。
<正極>
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては、例えば、下記一般式(6a)及び(6b)で表される複合酸化物、トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物、オリビン型リン酸化合物が挙げられる。
LixMO2 (6a)
LiyM2O4 (6b)
ここで、式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては、例えば、下記一般式(6a)及び(6b)で表される複合酸化物、トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物、オリビン型リン酸化合物が挙げられる。
LixMO2 (6a)
LiyM2O4 (6b)
ここで、式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
より具体的には、例えば、LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO2、LiMn2O4、Li2Mn2O4に代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;LizMO2(MはNi、Mn、Co、Al及びMgからなる群より選ばれる2種以上の元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物;LiFePO4で表されるリン酸鉄オリビンが挙げられる。また、正極活物質として、例えば、S、MnO2、FeO2、FeS2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2、MoS2及びNbSe2に代表されるリチウム以外の金属の酸化物も例示される。さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールに代表される導電性高分子も正極活物質として例示される。
また、正極活物質としてリチウム含有化合物を用いると、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよく、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えばLitMuSiO4、Mは上記式(6a)と同義であり、tは0〜1の数、uは0〜2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物並びにリン酸化合物が好ましい。
より具体的には、かかるリチウム含有化合物としてリチウムを有する金属酸化物、リチウムを有する金属カルコゲン化物及びリチウムを有するリン酸金属化合物が好ましく、リチウムを有する金属酸化物及びリチウムを有する金属カルコゲン化物がより好ましく、例えば、それぞれ下記一般式(7a)、(7b)で表される化合物が挙げられる。
LivMIO2 (7a)
LiwMIIPO4 (7b)
ここで、式中、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。
LivMIO2 (7a)
LiwMIIPO4 (7b)
ここで、式中、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。
上記一般式(7a)で表される化合物は一般に層状構造を有し、上記一般式(7b)で表される化合物は一般にオリビン構造を有する。これらの化合物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属元素の一部をAl、Mg、その他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したものも挙げられる。更に、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものも挙げられる。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.05μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。正極活物質の数平均粒子径は湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計)により測定することができる。あるいは、透過型電子顕微鏡にて観察した粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することでも得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
正極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、正極が作製される。
ここで、正極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
ここで、正極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
<負極>
負極は、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。すなわち、負極は、負極活物質として、金属リチウム、炭素材料、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料、及び、リチウム含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましく、金属リチウム、炭素材料及びリチウムと合金形成が可能な元素を含む材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有するとより好ましい。そのような材料としては、金属リチウムの他、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックに代表される炭素材料が挙げられる。これらのうち、コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体は、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。なお、本発明においては、負極活物質に金属リチウムを採用した電池もリチウムイオン二次電池に含めるものとする。
負極は、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。すなわち、負極は、負極活物質として、金属リチウム、炭素材料、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料、及び、リチウム含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましく、金属リチウム、炭素材料及びリチウムと合金形成が可能な元素を含む材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有するとより好ましい。そのような材料としては、金属リチウムの他、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックに代表される炭素材料が挙げられる。これらのうち、コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体は、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。なお、本発明においては、負極活物質に金属リチウムを採用した電池もリチウムイオン二次電池に含めるものとする。
更に、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料としては、リチウムと合金を形成可能な元素を含む材料も挙げられる。この材料は金属又は半金属の単体であっても合金であっても化合物であってもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。
なお、本明細書において、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含める。また、合金が、その全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素を有していてもよい。その合金の組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存する。
このような金属元素及び半金属元素としては、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、特に好ましいのはチタン、ケイ素及びスズである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)からなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタンの化合物、スズの化合物及びケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられ、チタン、スズ又はケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
また、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料としてリチウム含有化合物も挙げられる。リチウム含有化合物としては、正極材料として例示したものと同じものを用いることができる。
また、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料としてリチウム含有化合物も挙げられる。リチウム含有化合物としては、正極材料として例示したものと同じものを用いることができる。
負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。負極活物質の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この負極合剤含有ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、負極が作製される。
ここで、負極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
ここで、負極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
正極及び負極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。
<セパレータ>
本実施形態のリチウムイオン電池は、正負極の短絡防止等の安全性付与ために、正極と負極との間にセパレータ備える。セパレータとしては、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
本実施形態のリチウムイオン電池は、正負極の短絡防止等の安全性付与ために、正極と負極との間にセパレータ備える。セパレータとしては、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
本実施形態におけるセパレータの材質は、例えば、セラミック、ガラス、樹脂及びセルロースが挙げられる。樹脂としては、合成樹脂であっても天然樹脂(天然高分子)であってもよく、また、有機樹脂であっても無機樹脂であってもよいが、セパレータとしての性能に優れるという観点から、有機樹脂であることが好ましい。有機樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、並びに、液晶ポリエステル及びアラミドなどの耐熱樹脂が挙げられる。セパレータの材質は、耐熱性の観点から、セラミック及びガラスが好ましく、ハンドリング性及び耐熱性の観点から、ポリエステル、ポリアミド、液晶ポリエステル、アラミド、及びセルロースが好ましい。また、コスト及び加工性の観点から、ポリオレフィンが好ましい。これらの材質のうち、樹脂を採用する場合、単独重合体でも共重合体でもよく、また、複数種の樹脂の混合体及びアロイを用いてもよい。
また、セパレータは、複数の材質の膜を積層した積層体であってもよい。セパレータが積層体の場合、各層の材質が互いに同じものであっても異なるものであってもよい。積層体のセパレータを作製する場合、ある層を別の層上に形成することを繰り返すことで順に積層して、すなわち逐次多層化して作製してもよく、それぞれ別に作製した複数の膜を張り合わせることで積層体を作製してもよい。
本実施形態におけるセパレータの形態としては、例えば、合成樹脂を製膜して製造した合成樹脂性微多孔膜、合成樹脂又は天然高分子を紡糸した繊維、ガラス繊維又はセラミック繊維を加工した織布、不織布、編布、抄紙、並びに、合成樹脂、セラミック粒子及びガラスの微粒子を配列して作製した膜が挙げられる。
セパレータは、複数の製法で作製した複数の膜を重ねることにより作製してもよく、複数の製法で作製した膜を逐次多層化することにより作製してもよい。
本実施形態におけるセパレータは、膜の補強、充放電の補助、耐熱性向上などの観点から、上記以外の成分、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機粒子、無機粒子をセパレータの表面及び/又は内部に含んでもよい。
<電池>
本実施形態における電池の作製方法としては、一般的な方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば下記の方法を選択することができる。
まず、電池ケース(外装)に、正極、負極及びセパレータを用いて作製された積層体を収容することで電池構造体を作製する。そして、その中に、本実施形態の電解液を注入することで電池を作製することができる。
本実施形態における電池の作製方法としては、一般的な方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば下記の方法を選択することができる。
まず、電池ケース(外装)に、正極、負極及びセパレータを用いて作製された積層体を収容することで電池構造体を作製する。そして、その中に、本実施形態の電解液を注入することで電池を作製することができる。
積層体は、例えば、まず、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形したりすることで作製できる。
本実施形態における電池の製造方法においては、電池ケース内部に電解液を注入する際、非水溶媒に電解質と含フッ素環状スルホン酸エステルとが溶解した液体状態で注入することができる。
本実施形態における電池の製造方法においては、電池内部を加圧したり、減圧したりする工程を含むこともできる。加圧や減圧の方法は特に限定されず、また、上記加熱と、減圧や加圧を同時に行っても別々に行ってもよい。これらの工程を経ることにより、電池構造体の電極及びセパレータへの電解液の含浸性が向上し得ることがある。
上述の各工程を経た後、必要に応じて、電池構造体に残りの部材を組み込んだり、電池ケース(外装)が完全に密閉(シール)されていない場合には密閉したりして、電池を得ることができる。なお、必要に応じて、上述の各工程を経た後に、電池の余剰部を除去するなど形状を整えたり、電池の再締め付けや再シールを行ったりしてもよい。
本実施形態における電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形及びラミネート形が好適に採用される。その中でも、コイン型、円筒型、角筒型、扁平型及びラミネート型が更に好適に採用され、コイン型及びラミネート型がより好適に採用される。このような形状の電池は、電解液と電池構造体との親和性をより高めることができ、本実施形態における電解液が有する様々な性能を一層高く発現し、また、電池の製造も比較的容易である。また、電池の大きさについても特に限定されず、複数個の電池を重ねたり並べたりする構造も、多数種の電池を併用することも可能である。また、ラミネート型の電池の中でも、軽量性、耐久性、取扱い性及びコストなどの観点から、電池ケース(外装)が、アルミニウムラミネート材のようにアルミニウムフィルムと樹脂とを積層して構成されるものであることが更に好ましい。
本実施形態の電解液を備える電気化学デバイス(特にリチウムイオン二次電池)は、使用時の劣化が抑制されるため、充放電サイクル後の放電容量維持率などで評価される電気化学デバイスとしての長期耐久性に優れたものである。また本実施形態の電解液を備える二次電池(特にリチウムイオン二次電池)は、充電した電池を保存した後の残存容量が大きく、また、その他の電池特性、例えば、放電特性等の電池特性も良好になる。さらには、そのような電気化学デバイスは、上記電気化学デバイス特性を広範な条件(例えば、環境温度、デバイス形態及び容量など)の範囲において優れたものとすることができるものである。電気化学デバイスが二次電池である場合の上記電気化学デバイス特性、すなわち電池特性は、より具体的には、通常の放電容量の他、保存後に放電した際の残存容量、そこから更に充電した後に放電した際の放電容量(容量回復性)、及び、複数回充放電を繰り返した後の放電容量維持率などが挙げられる。また、本実施形態の電解液を備える電気化学デバイスは、その膨れによって確認できるガスの発生も低減されるので、ガスの発生に起因する電気化学デバイス特性の低下も抑制される。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、電解液及びリチウムイオン二次電池の各種特性は下記のようにして測定、評価された。
(i)リチウムイオン二次電池の性能試験(1)
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=6.0mAとなる小型電池を作製した。測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。2.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、3.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。続いて6.0mAの定電流で充電し、4.2Vの定電圧に達した後、4.2Vの定電圧で合計8時間充電を行い、充電が終了した後に充電状態の電池を50℃で30日間保管した。その後の電池について、25℃において6.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。このときの放電容量を残存容量として求めた。その後、再度6.0mAの定電流で4.2Vまで充電し、4.2Vに達した後に4.2Vの定電圧で合計8時間充電を行い、6.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。このときの放電容量を回復容量として求めた。
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=6.0mAとなる小型電池を作製した。測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。2.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、3.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。続いて6.0mAの定電流で充電し、4.2Vの定電圧に達した後、4.2Vの定電圧で合計8時間充電を行い、充電が終了した後に充電状態の電池を50℃で30日間保管した。その後の電池について、25℃において6.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。このときの放電容量を残存容量として求めた。その後、再度6.0mAの定電流で4.2Vまで充電し、4.2Vに達した後に4.2Vの定電圧で合計8時間充電を行い、6.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。このときの放電容量を回復容量として求めた。
(ii)リチウムイオン二次電池の性能試験(2)
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=45.0mAとなる単層ラミネート型電池を作製した。測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。45.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、45.0mAの定電流で3.0Vまで放電し、ここまでを1サイクルの充放電サイクルとした。この充放電サイクルを25℃で50サイクル実施し、2サイクル目に対する50サイクル目の放電容量の値を放電容量維持率として算出した。なお、この試験は50℃の環境下で行った。
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=45.0mAとなる単層ラミネート型電池を作製した。測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。45.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、45.0mAの定電流で3.0Vまで放電し、ここまでを1サイクルの充放電サイクルとした。この充放電サイクルを25℃で50サイクル実施し、2サイクル目に対する50サイクル目の放電容量の値を放電容量維持率として算出した。なお、この試験は50℃の環境下で行った。
(iii)リチウムイオン二次電池の性能試験(3)
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=45.0mAとなる単層ラミネート型電池を作製した。測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。45.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、定電流で3.0Vまで放電し、放電容量を求めた。なお、放電電流は45.0mA及び225mAの2水準とし、試験は25℃の環境下で行った。また、45.0mAでの放電後に、その電池の外観を観察し、以下の基準で評価した。
A:充電前と比較して、電池外観にほとんど差が認められない。
B:充放電後に、電極の積層体と外装体との間に気体の層が発生しているが、電池は膨れていない。
C:充放電後に、電池内全体に気体が発生しており、電池が膨れている。
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=45.0mAとなる単層ラミネート型電池を作製した。測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。45.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で、合計8時間充電を行った。その後、定電流で3.0Vまで放電し、放電容量を求めた。なお、放電電流は45.0mA及び225mAの2水準とし、試験は25℃の環境下で行った。また、45.0mAでの放電後に、その電池の外観を観察し、以下の基準で評価した。
A:充電前と比較して、電池外観にほとんど差が認められない。
B:充放電後に、電極の積層体と外装体との間に気体の層が発生しているが、電池は膨れていない。
C:充放電後に、電池内全体に気体が発生しており、電池が膨れている。
(調製例1)
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジメチルカーボネートと3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン(以下、「FPS」と表記する。)とを、体積比で2:1:3:4:0.5になるように混合し、混合液を得た。この混合液に、LiPF6を1.0モル/L添加して電解液(A)を調製した。なお、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトンは、韓国特許908570号公報に従って合成した。組成を表1に示す。
エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジメチルカーボネートと3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン(以下、「FPS」と表記する。)とを、体積比で2:1:3:4:0.5になるように混合し、混合液を得た。この混合液に、LiPF6を1.0モル/L添加して電解液(A)を調製した。なお、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトンは、韓国特許908570号公報に従って合成した。組成を表1に示す。
(調製例2〜8)
組成を表1に記載のように変更した以外は、調製例1と同様にして電解液(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)(以下、「電解液(B)〜(H)」と表記する。)を調製した。なお、4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン(以下、「FBS」と表記する。)は、韓国特許908570号公報に記載の方法に準じて合成した。
組成を表1に記載のように変更した以外は、調製例1と同様にして電解液(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)(以下、「電解液(B)〜(H)」と表記する。)を調製した。なお、4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン(以下、「FBS」と表記する。)は、韓国特許908570号公報に記載の方法に準じて合成した。
(正極の作製)
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、PVdFとを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVdF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極(a)を、50mm×30mmの矩形状に打ち抜いて正極(b)をそれぞれ得た。
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、PVdFとを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVdF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極(a)を、50mm×30mmの矩形状に打ち抜いて正極(b)をそれぞれ得た。
(負極の作製)
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(I)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(II)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、グラファイト炭素粉末(I):グラファイト炭素粉末(II):カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のもの直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極(c)を、50mm×30mmの矩形状に打ち抜いて負極(d)をそれぞれ得た。
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(I)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(II)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、グラファイト炭素粉末(I):グラファイト炭素粉末(II):カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のもの直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極(c)を、50mm×30mmの矩形状に打ち抜いて負極(d)をそれぞれ得た。
(実施例1)
上述のようにして作製した正極(a)と負極(c)とをポリエチレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、SUS製の円盤型電池ケースに挿入した。次いで、その電池ケース内に電解液(A)を0.5mL注入し、積層体を電解液(A)に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池(小型電池)を作製した。このリチウムイオン二次電池を75℃で1時間保持した後、25℃まで降温して電池(A)を得て、(i)リチウムイオン二次電池の性能試験(1)を実施した。結果を表2に示す。
上述のようにして作製した正極(a)と負極(c)とをポリエチレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、SUS製の円盤型電池ケースに挿入した。次いで、その電池ケース内に電解液(A)を0.5mL注入し、積層体を電解液(A)に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池(小型電池)を作製した。このリチウムイオン二次電池を75℃で1時間保持した後、25℃まで降温して電池(A)を得て、(i)リチウムイオン二次電池の性能試験(1)を実施した。結果を表2に示す。
(実施例2〜5、比較例1〜3)
電解液(A)を電解液(B)〜(H)に変更した以外は実施例(1)と同様にして、電池(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)を得て、(i)リチウムイオン二次電池の性能試験(1)を実施した。結果を表2に示す。
電解液(A)を電解液(B)〜(H)に変更した以外は実施例(1)と同様にして、電池(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)を得て、(i)リチウムイオン二次電池の性能試験(1)を実施した。結果を表2に示す。
(実施例6)
アルミニウム層と樹脂層とを積層したラミネートフィルム(絞り加工なし、厚さ120μm、68mm×48mm)2枚を、アルミニウム層側を外側にして重ねて、三辺をシールしてラミネートセル外装を作製した。続いて、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(膜厚20μm、53mm×33mm)を用意し、上述のようにして作製した正極(b)と負極(d)とをセパレータを介して交互に重ね合わせた積層体を、ラミネートセル外装内に配置した。次いで、そのセル外装内に電解液(A)を0.5mL注入し、積層体を電解液に浸漬した。注入後のセルを−90kPaまで減圧し、その後−30kPaに戻すという工程を3回繰り返した後に−90kPaで10分間保持し、常圧に戻して外装体の残り一片を減圧シールすることで電池(A2)を得た。この電池(A2)について、(ii)リチウムイオン二次電池の性能試験(2)及び(iii)リチウムイオン二次電池の性能試験(3)を実施した。結果を表3に示す。
アルミニウム層と樹脂層とを積層したラミネートフィルム(絞り加工なし、厚さ120μm、68mm×48mm)2枚を、アルミニウム層側を外側にして重ねて、三辺をシールしてラミネートセル外装を作製した。続いて、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(膜厚20μm、53mm×33mm)を用意し、上述のようにして作製した正極(b)と負極(d)とをセパレータを介して交互に重ね合わせた積層体を、ラミネートセル外装内に配置した。次いで、そのセル外装内に電解液(A)を0.5mL注入し、積層体を電解液に浸漬した。注入後のセルを−90kPaまで減圧し、その後−30kPaに戻すという工程を3回繰り返した後に−90kPaで10分間保持し、常圧に戻して外装体の残り一片を減圧シールすることで電池(A2)を得た。この電池(A2)について、(ii)リチウムイオン二次電池の性能試験(2)及び(iii)リチウムイオン二次電池の性能試験(3)を実施した。結果を表3に示す。
(実施例7〜10、比較例4〜6)
電解液(A)を電解液(B)〜(H)に変更した以外は実施例1と同様にして、電池(B2)、(C2)、(D2)、(E2)、(F2)、(G2)及び(H2)を得た。これらの電池について、(ii)リチウムイオン二次電池の性能試験(2)及び(iii)リチウムイオン二次電池の性能試験(3)を実施した。結果を表3に示す。
電解液(A)を電解液(B)〜(H)に変更した以外は実施例1と同様にして、電池(B2)、(C2)、(D2)、(E2)、(F2)、(G2)及び(H2)を得た。これらの電池について、(ii)リチウムイオン二次電池の性能試験(2)及び(iii)リチウムイオン二次電池の性能試験(3)を実施した。結果を表3に示す。
上記結果から明らかなように、含フッ素環状カルボン酸エステルを含む電解液を用いると、各種の電池特性が向上し、外観もより良好なものとなる。
本発明によると、電気化学デバイス特性、特に電気化学デバイスとしての長期耐久性に優れた電気化学デバイスを与えることのできる電解液を提供することができる。したがって、そのような特性が求められる電気化学デバイス(例えばリチウムイオン二次電池)に産業上の利用可能性がある。
Claims (9)
- 非水溶媒と、電解質と、フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物と、を含む電気化学デバイス用電解液。
- 前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物は、1,3−プロパンスルトン又は1,4−ブタンスルトンの有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した化合物である、請求項1に記載の電気化学デバイス用電解液。
- 前記フッ素含有環状スルホン酸エステル化合物は、1分子中に1〜4個のフッ素原子を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項1又は2に記載の電気化学デバイス用電解液。
- 前記非水溶媒は、1種類以上のカーボネート溶媒を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液。
- リチウムイオン二次電池に用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液と、
正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、
負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、
を備えるリチウムイオン二次電池。 - 前記正極は、前記正極活物質として、リチウム含有化合物を含む、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記リチウム含有化合物は、リチウムを有する金属酸化物及びリチウムを有する金属カルコゲン化物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極は、前記負極活物質として、金属リチウム、炭素材料、及び、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料、からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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JP2012168484A JP2014026917A (ja) | 2012-07-30 | 2012-07-30 | 電気化学デバイス用電解液及びリチウムイオン電池 |
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- 2012-07-30 JP JP2012168484A patent/JP2014026917A/ja active Pending
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