JP2013210334A - 切削インサートの形状評価方法、切削インサートの製造方法及び切削インサート - Google Patents
切削インサートの形状評価方法、切削インサートの製造方法及び切削インサート Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】多角形平板状の切削インサートにおける切れ刃の辺の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分の形状を評価する切削インサートの形状評価方法である。少なくとも直線部分と円弧部分を含む前記切れ刃の直交座標における輪郭形状を測定する測定工程と、円弧部分の曲率中心を求め曲率中心から切れ刃の測定点まで距離Rと、曲率中心を中心とした円弧部分のある一点から前記切れ刃の測定点に至るまでの角度θを設定してインサートの切れ刃の輪郭形状の測定データを極座標に変換する座標変換工程と、極座標における境界部分の曲率中心から切れ刃の測定点までの距離Rが、円弧部分の曲率中心から切れ刃の測定点までの平均距離Rxに対して、所定許容範囲に収まっているか否かで切削インサートの良否を判定する判定工程とを備える。
【選択図】図3
Description
このように切削インサートの切れ刃の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分に不連続部分が生じる原因は、研磨用砥石の摩耗が進行することに伴い該砥石の形状が刻々変化することもあって、円弧部分に沿って該砥石を移動させながら研磨加工する際に、辺の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分で、その研磨加工を正確に終了させることが困難なためである。
ところで、従来、被削材の加工精度につながる、多角形平板状の切削インサートの切り刃の辺の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分に不連続部分が生じていることを的確に評価する方法は未だ見出されておらず、その開発が待たれていた。
すなわち、本発明の切削インサートの形状評価方法は、多角形平板状の切削インサートにおける切れ刃の辺の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分の形状を評価する切削インサートの形状評価方法であって、少なくとも前記直線部分と前記円弧部分を含む前記切れ刃の直交座標における輪郭形状を測定する測定工程と、前記円弧部分の曲率中心を求め該曲率中心から前記切れ刃の測定点まで距離Rと、前記曲率中心を中心とした前記円弧部分のある一点から前記切れ刃の測定点に至るまでの角度θを設定して、前記インサートの切れ刃の輪郭形状の測定データを極座標に変換する座標変換工程と、前記極座標における前記境界部分の前記曲率中心から前記切れ刃の測定点までの距離Rが、前記円弧部分の前記曲率中心から前記切れ刃の測定点までの平均距離Rxに対して、所定許容範囲に収まっているか否かで切削インサートの良否を判定する判定工程と、を備えることを特徴する。
このように切れ刃の刃先の円弧部分が曲率中心からの距離すなわち曲率半径が一定であるとの仮定のもと、切削インサートの辺の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分の形状を、前記曲率中心から測定点まで距離Rに基づいて切削インサートの良否を判定するので、切削インサートの形状に対する的確な評価が行なえる。
この場合、本件の発明者等は、種々実験を行い、極座標における境界部分の曲率中心から切れ刃の測定点までの距離Rが、円弧部分の曲率中心から切れ刃の測定点までの平均距離Rxに対して±1μm内に収まっていれば、当該切削インサートによって被削材に対し切削加工を行う場合、高精度加工が行なえることを確認した。これについては後述する実施例の説明で明らかにする。
また、本発明の切削インサートは、請求項2に記載の切削インサートの形状評価方法により良と評価されたことを特徴する。
これにより、最終的に、良好な加工精度が得られる高品質の切削インサートを得ることができる。
図1は本発明の実施形態の切削インサートの形状評価方法及び切削インサートの製造方法の対象となる切削インサートを示すものである。また、図2は同切削インサートの平面図である。
切削インサートは、図1に示すように多角形平板状、具体的には菱形平板状をなすインサート本体1を有し、その一方の菱形面がすくい面2とされるとともに他方の菱形面が着座面3とされ、これらすくい面2と着座面3の周囲に配置される4つの周面が逃げ面4とされ、すくい面2と逃げ面4との交差稜線部に切れ刃5が形成されている。
この測定データから、まず円弧部分5Bの曲率中心Oを求める。そして、曲率中心Oから切れ刃5の各測定点まで距離Rと、曲率中心Oを中心とした前記円弧部分のある一点から切れ刃5の測定点に至るまでの角度θを設定し、切削インサート1の切れ刃5の輪郭形状の測定データを極座標に変換する(ステップS2−2)。
なお、ここでは、角度θの基点は、円弧部分5Bの中心としたが、これに限られることなく、例えば、円弧部分5Bの一端側あるいは他端側に設定してもよい。
なお、ここでは、3個の測定点の測定データ(距離R)の局所平均値Rbを採用しているが、これに限られることなく、2個の測定点の平均値を局所平均値Rbとしても、あるいは3個以上〜7個以内のいずれかの複数の測定点の平均値を局所平均値Rbとしてもよい。さらに、測定点の個数に代わり、ある測定範囲を定め、その測定範囲内(例えば切れ刃に沿った数μm)にある測定点の平均値をその測定範囲の局所平均値としてもよい。
図5に示す例では、局所平均値Rbが平均距離Rxよりも1μm以上小さくなっている。つまり、平均距離Rxに対する局所平均値Rbが−1μmを超えているので、切削インサート1の形状を「否」と判定した。言い換えれば、切れ刃5の辺の直線部分5Aと刃先の円弧部分5Bとの境界部分5Cに凹みが生じて、それら直線部分5Aと円弧部分5Bとが不連続となっていると判定した。
追加工は、例えば、切れ刃5の辺の直線部分5Aと刃先の円弧部分5Bとの境界部分5C及びその近傍に対して、ブラシ処理、ラップ処理、ショットブラスト処理、あるいはレーザー加工を行い、境界部分5Cの凹みや凸部を除去する加工である。
以上のような、切削インサートであると、切れ刃5の辺の直線部分5Aと刃先の円弧部分5Bとの境界部分5Cに凹みや凸部を有さず連続した形状となっているので、被削材に対して高精度の加工が行なえる。
例えば、前記実施形態では、菱形平板状の切削インサート1を研磨加工する場合を例に挙げて説明したが、これに限られることなく、他の多角形平板状、例えば3角形平板状のあるいは6角形平板状の切削インサートを加工する場合にも、本発明は適用可能である。
また、前記実施形態では、角部に形成した凹部8にcBN焼結体よりなる切刃チップ9がロウ付けにより接合された切削インサート1を例に挙げて説明したが、これに限られることなく、切削チップを有することなく一体型の切削インサートを加工する場合にも、本発明は適用可能である。
また、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、前記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
切削試験はSCM420よりなる丸棒被削材の外周旋削を行い、切削条件は切削速度180m/min、送り0.2mm/rev、切り込み0.2mmであり、乾式切削であった。
これにより、極座標における境界部分5Cの曲率中心Oから切れ刃5の測定点までの距離の局所平均値Rbと円弧部分5Bにおける曲率中心Oから切れ刃5の測定点までの平均距離Rxとの差Lと最大高さRmaxとは明らかに相関関係があり、前記差Lが小さければ、被削材に対して面粗さの小さい良好な切削加工が行なえることが確認できた。
5 切れ刃
5A 切れ刃の辺の直線部分
5B 切れ刃の刃先の円弧部分
5C 切れ刃の辺の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分
7 台金
9 切刃チップ
Claims (4)
- 多角形平板状の切削インサートにおける切れ刃の辺の直線部分と刃先の円弧部分との境界部分の形状を評価する切削インサートの形状評価方法であって、
少なくとも前記直線部分と前記円弧部分を含む前記切れ刃の直交座標における輪郭形状を測定する測定工程と、
前記円弧部分の曲率中心を求め該曲率中心から前記切れ刃の測定点まで距離Rと、前記曲率中心を中心とした前記円弧部分のある一点から前記切れ刃の測定点に至るまでの角度θを設定して、前記インサートの切れ刃の輪郭形状の測定データを極座標に変換する座標変換工程と、
前記極座標における前記境界部分の前記曲率中心から前記切れ刃の測定点までの距離Rが、前記円弧部分の前記曲率中心から前記切れ刃の測定点までの平均距離Rxに対して、所定許容範囲に収まっているか否かで切削インサートの良否を判定する判定工程と、
を備えることを特徴する切削インサートの形状評価方法。 - 前記判定工程における所定許容範囲は±1μmであることを特徴とする請求項1に記載の切削インサートの形状評価方法。
- 切削インサートとなる中間部材に対して輪郭形状を整えるための研磨加工を施す研磨工程と、
前記請求項1または2に記載の切削インサートの形状評価方法によって前記中間部材が良否のいずれになるかを評価する評価工程と、
前記評価工程で良と評価した場合には研磨加工を終了し、前記評価工程で否と評価した場合には該評価工程で良と評価できるまで、当該切削インサートに対して追加工を施すことを特徴とする切削インサートの製造方法。 - 前記請求項2に記載の切削インサートの形状評価方法により良と評価されたことを特徴する切削インサート。
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