JP2013208602A - 硫酸廃液処理装置および硫酸廃液処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体製造プロセスで洗浄液などとして用いられた過酸化水素を含む硫酸廃液を加熱するリボイラ12を備え、リボイラ12による加熱によって硫酸廃液に含まれる過酸化水素を熱分解し、熱分解によって発生する分解ガスを含むガスを硫酸廃液から分離する熱分解気液分離部1と、熱分解気液分離部1でガスの分離を行った硫酸廃液を加熱するリボイラ33を備え、リボイラ33で加熱された硫酸廃液を減圧下で蒸留する蒸留部2とを有し、過酸化水素を含む硫酸廃液を、工業規模で長時間連続して処理することを可能とする。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、蒸留部に、過酸化水素を含む廃硫酸を収容、加熱して含有過酸化水素を分解する脱気塔を設けた廃硫酸精製装置が記載されている。該精製装置では、蒸留部で廃硫酸を蒸留する前に、脱気塔で廃硫酸をマントルヒータなどにより加熱処理して廃硫酸に含有される過酸化水素を分解する。蒸留部では、脱気後の廃硫酸が常法にて蒸留精製される。
硫酸廃液の蒸留に先立ち分解ガスを硫酸廃液から分離するため、ガスの発泡により蒸留操作が妨げられることはなく、また、減圧下で蒸留するため、比較的低温の蒸留温度で高濃度に硫酸を濃縮することができる。
さらに、硫酸廃液の加熱温度は、150℃以上であることが好ましい。150℃未満では、過酸化水素の熱分解の反応速度が小さいため反応容積を大きくする必要がある。
例えば、過酸化水素を含む硫酸廃液として、硫酸濃度70質量%、過酸化水素濃度2質量%のSPMの廃液を想定する。このSPMの廃液を150℃に加熱すると、下記式にしたがって過酸化水素が熱分解する。
H2O2→H2O+(1/2)O2
過酸化水素の半減期は、150℃では1分以下であるので、上記滞留の滞留時間を10分間とすれば、過酸化水素濃度は、(1/2)10<(1/1000)となり、0.002質量%程度まで低下すると考えられる。
したがって、熱分解用加熱部における硫酸廃液の加熱温度は、150℃以上が好ましい。また、熱分解気液分離部に硫酸廃液が滞留する滞留時間は、5分間以上であれば十分であるが、10分間以上が好適である。
上記蒸留部は、硫酸廃液の蒸発が行われる蒸留部本体と、蒸留部本体内を減圧する減圧部と、蒸留部本体で蒸発した蒸気を凝縮する凝縮部とを有するもので構成できる。
蒸留部本体の構造は、特定の構造に限定されるものではないが、硫酸の回収効率や凝縮液処理の容易性の観点から、蒸留部本体は棚段を有するものが好ましい。減圧部により減圧しつつ蒸留部本体内で硫酸廃液の蒸留を行うことにより、比較的低温で、硫酸廃液の硫酸濃度を高くして硫酸の回収効率を向上するとともに、凝縮液の硫酸濃度を低くして凝縮液の処理を容易にすることができる。
以下、本発明の一実施形態の硫酸廃液処理装置を図1に基づいて説明する。
硫酸廃液処理装置は、熱分解気液分離部1と、蒸留部2とを有し、熱分解気液分離部1で処理した硫酸廃液を蒸留部2に導入可能になっている。
熱分解気液分離部1は、硫酸廃液を収容する密閉容器形状の熱分解気液分離部本体10と、熱分解気液分離部本体10内の硫酸廃液を熱分解気液分離部本体10の底部側から取り出して熱分解気液分離部本体10の中央部に戻して硫酸廃液を環流させる熱分解用加熱循環ライン11と、熱分解用加熱循環ライン11に介設されて熱分解用加熱循環ライン11を流れる硫酸廃液を加熱するリボイラ12とを備えている。リボイラ12は、本発明の熱分解用加熱部に相当する。
熱分解気液分離部本体10内のスプレーノズル15の上部側には、ミスト分離板17が配設されている。ミスト分離板17は多孔板や網などにより構成することができる。
硫酸廃液移送ライン3には、バルブ5が介設されており、熱分解気液分離部本体10の貯液位置には、熱分解気液分離部本体10内の硫酸廃液の液面の検知を行い、バルブ5の開度を調整する液面指示調節計4が設けられている。
蒸留部本体31の貯液位置には、蒸留部本体31内の硫酸廃液の液温を検知してバルブ43の開度を調節する温度指示調節計44が接続されている。
濃縮液移送ライン37には、移送ポンプ38、バルブ39が上流側から下流側にかけてこの順に介設されており、蒸留部本体31の貯液位置には、蒸留部本体31内の硫酸廃液の液面の検知を行い、バルブ39の開度を調整する液面指示調節計40が設けられている。
処理対象として、例えば、半導体製造プロセスにおけるバッチ式洗浄工程で使用されたSPM廃液が用いられる。ただし、本発明としては過硫酸を含む硫酸廃液の発生源が特に限定されるものではない。
熱分解気液分離部1では、廃液供給ライン13を通じてSPM廃液(以下、硫酸廃液という)が供給され、スプレーノズル15によって熱分解気液分離部1内に散液される。この際に廃液供給ライン13を流れる硫酸廃液の流量は、流量指示調節計16によって検知され、流量指示調節計16は所定の流量となるようにバルブ14の開度を調整する制御を行う。
一方、液面指示調節計4によりバルブ5の開度が制御されて、熱分解気液分離部本体10内の硫酸廃液の液面が一定に維持される。液面調整によって、熱分解気液分離部本体10内の液深を0.7以上とするのが望ましく、1.0以上とするのが一層望ましい。液深は、液面指示調節計18による液面調整によって調整することができる。ここで液深とは、熱分解気液分離部本体10内での液深さ(L)/熱分解気液分離部本体10の内径(d)を意味している。
また、熱分解気液分離部本体10内には、硫酸廃液が好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上滞留するのが望ましい。滞留時間は、廃液供給ライン13による硫酸廃液の供給流量と液面指示調節計4によるバルブ5における廃液流量によって調整できる。
凝縮器25で分離、冷却されたガスは、ガス排出ライン28を通じて排出され、空気供給ライン29から供給される空気が混合されて希釈、冷却される。その後、オゾン分解反応器30でガスに含まれるオゾンが分解され、大気中に排出される。
蒸留部本体31内は、真空ポンプ35により、例えば250〜350Torrに減圧される。
なお、熱分解気液分離部1から蒸留部本体31に供給される硫酸廃液は、硫酸廃液に含まれる過酸化水素の熱分解の反応熱により例えば180℃程度の高温になっており、リボイラ33により硫酸廃液を加熱するために要するエネルギーを低減することができる。
硫酸廃液は、熱分解気液分離部1において分解ガスが十分に分離されており、蒸留部本体31内の真空度が分解ガス等で低下して蒸留速度が低下するのを回避できる。
次に、本発明の他の実施形態の硫酸廃液処理装置を図2に基づいて説明する。
本実施形態の硫酸廃液処理装置は、蒸留部で得られる濃縮液の顕熱により、熱分解気液分離部に供給される硫酸廃液を予熱するとともに、蒸留部において蒸気を断熱圧縮して得られた凝縮液の顕熱を、蒸留部本体の硫酸廃液を加熱する熱源として利用して、装置全体の省エネルギー化を図ったものである。その他の構成は、前記実施形態1と同様であり、簡略に説明する。
加熱器49は、スチームを熱源として廃液供給ライン50を流れる硫酸廃液を熱交換によって加熱する。なお、加熱器49では、加熱器49の下流側で廃液供給ライン50を流れる硫酸廃液の温度を検知して加熱器49に供給されるスチーム供給量を調整して硫酸廃液の加熱温度をフィードバック制御してもよい。
なお、熱分解気液分離部本体48内の液面を検知して、該液面が一定のレベルとなるように廃液廃液移送ライン3aで移送される硫酸廃液の流量をバルブなどによって制御するようにしてもよい。
塔底液排出ライン68は送液ポンプ69の下流側で、予熱器52に熱交換可能に接続され、その下流側で濃縮液が系外に排出される。
蒸気圧縮機66の圧縮蒸気排出側には、圧縮蒸気排出ライン75が接続されており、圧縮蒸気排出ライン75にリボイラ65が熱交換可能に介設されている。なお、蒸留部本体64内の硫酸廃液の液温を検知して、液温が設定値となるように圧縮蒸気排出ライン75を通してリボイラ65に供給される圧縮蒸気量を調整して蒸留部本体64内の液温を制御するようにしてもよい。
送液ポンプ51によって過酸化水素を含む硫酸廃液が廃液供給ライン50を通じて送液され、予熱器52による予熱および加熱器49による加熱を経て、熱分解気液分離部1aの熱分解気液分離部本体48に供給される。
予熱器52および加熱器49による加熱により、硫酸廃液は沸騰しない温度である例えば150℃〜180℃かつ沸点未満(例えば沸点より10℃以上低い温度)に加熱される。予熱器52では、蒸留部本体64内の濃縮液の顕熱を利用するので、エネルギー効率を高めることができる。
なお、上記熱分解およびガス分離を十分に行うためには、上記実施形態1と同様に、熱分解気液分離部本体48内における気相でのガス空塔速度は7mm/秒以下であることが好ましく、液相での液空塔速度は5.5mm/秒以下であることが好ましい。また、熱分解気液分離部本体48内の硫酸廃液の液深Lと熱分解気液分離部本体48の横断面の直径dとの比L/dは、0.7以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。
なお、熱分解気液分離部本体48内では、硫酸廃液が好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上滞留するように、硫酸廃液移送ライン3aから移送される硫酸廃液の流量を調整する。
蒸留部本体64では、供給された硫酸廃液が循環ポンプ73により塔底液循環ライン72を通して循環されるとともに、リボイラ65で加熱される。
蒸留部本体64内では、リボイラ65による加熱によって硫酸廃液の一部が蒸発し、蒸気排出ライン74を通して蒸気が排出され、蒸気圧縮機66に吸引されて断熱圧縮される。 蒸気圧縮機66では、断熱圧縮により高温の圧縮蒸気が生成され、圧縮蒸気排出ライン75を通じてリボイラ65に供給され、硫酸廃液との熱交換後、凝縮液として排出される。
リボイラ65により、蒸留部本体64内の硫酸廃液が、170〜180℃に加熱されており、熱源として、蒸気圧縮機66での断熱圧縮により得られた凝縮液の顕熱を利用するため、エネルギー効率を高めることができる。
次に、本発明のさらに他の実施形態の硫酸廃液処理装置を図3に基づいて説明する。
なお、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略しまたは簡略化する。
本実施形態の硫酸廃液処理装置は、熱分解気液分離部の後段に、複数段の蒸留部を設けたものである。
すなわち、熱分解気液分離部1に備える熱分解気液分離部本体10は、SPM廃液(以下硫酸廃液という)が、廃液供給ライン13を通じて供給され、スプレーノズル15によって熱分解気液分離部本体10内に散液される。熱分解気液分離部本体10内は減圧することはなく、硫酸廃液は、加熱循環ライン19で循環されつつ、リボイラ12によって沸騰しない温度、例えば150℃〜180℃かつ沸点未満(例えば沸点より10℃以上低い温度)とされる。
熱分解気液分離部本体10内では、ガス空塔速度は7mm/秒以下、液空塔速度は5.5mm/秒以下が望ましい。
凝縮器25で冷却されたガスは、ガス排出ライン28を通じて排出され、空気供給ライン29から供給される空気が混合されて希釈、冷却され、オゾン分解反応器30でガスに含まれるオゾンが分解され、大気中に排出される。
第1蒸留部2−1では、理論棚段36a(棚段+リボイラー段)を有する真空蒸留部本体31aを備えている。
真空蒸留部本体31a内の圧力は真空ポンプ35aによって350Torrに減圧調整される。真空蒸留部本体31a内の硫酸廃液は、循環ポンプ41aにより、蒸留用加熱循環ライン32aを通じて循環され、リボイラ33aで蒸留可能な温度である180℃に加熱される。蒸留部本体31aで生成された蒸気は、蒸気排出ライン45aを通じて凝縮器34aに導入され、凝縮液が得られる。凝縮液は凝縮液排出ライン47aから排出され、その他のガス成分は、排気ライン46aを通じて真空ポンプ35aで排気される。
真空蒸留部本体31b内の圧力は真空ポンプ35bによって25Torrに減圧調整される。真空蒸留部本体31b内の硫酸廃液は、循環ポンプ41bにより、蒸留用加熱循環ライン32bを通じて循環され、リボイラ33bで蒸留可能な温度である200℃に加熱される。硫酸廃液は第1蒸留部2−1で硫酸が濃縮されており、より高い蒸留温度が選定される。
蒸留部本体31bで生成された蒸気は、蒸気排出ライン45bを通じて凝縮器34bに導入され、凝縮液が得られる。凝縮液は凝縮液排出ライン47bから排出され、その他のガス成分は、排気ライン46bを通じて真空ポンプ35bで排気される。
濃縮された濃縮液は、バルブ39bで移送量が調整されつつ濃縮液移送ライン37bを通じて移送ポンプ38bで移送される。なお、低純度の硫酸を使用可能な用途であれば、濃縮された硫酸溶液は、そのまま再利用することが可能になる。また、濃縮された硫酸溶液の一部を再利用するようにしてもよい。高純度化が必要な硫酸廃液は、後段の蒸留部に移送される。
真空蒸留部本体31c内の圧力は真空ポンプ35cによって25Torrに減圧調整される。真空蒸留部本体31c内の硫酸廃液は、加熱部33cによって硫酸を蒸留可能な温度である230℃に加熱される。
蒸留部本体31cで生成された蒸気は、蒸気排出ライン45cを通じて凝縮器34cに導入され、凝縮液が得られる。凝縮液は凝縮液排出ライン47cから排出され、その他のガス成分は、排気ライン46cを通じて真空ポンプ35cで排気される。凝縮液は、蒸留によって蒸発した硫酸が凝縮したものであり、96質量%の硫酸濃度を有している。また、高沸点の不純物物質は、蒸留部本体31b内の塔底液に残存しており、凝縮液は高純度な硫酸溶液となる。したがって、凝縮液は、高純度の硫酸溶液として再利用することが可能になる。
残存した塔底液(残渣)は、廃液移送ライン37cを通じて移送され、廃棄される。その量は少量であり、廃棄処理も容易に行うことができる。
次に、熱分解気液分離部100および蒸留部200を備える処理システム全体について図4に基づいて説明する。
処理システムは、SPM廃液(以下硫酸廃液という)が導入される廃液タンク110を有し、廃液タンク110に一端が接続された廃液供給ライン111の他端が熱分解気液分離部100の熱分解気液分離部本体101に接続されている。廃液供給ライン111には、送液ポンプ112、バルブ113、加熱器114が上流側から下流側にかけてこの順に介設されている。加熱器114は、スチームが供給されてスチームと硫酸廃液との間で熱交換をする。
また、廃液供給ライン111には、廃液供給ライン111を流れる硫酸廃液の流量を検知して、バルブ113の開度を制御する流量指示調節計115が設けられている。さらに、廃液供給ライン111には、廃液供給ライン111を流れる硫酸廃液の液温を加熱器114の下流側で検知して、加熱器114に供給するスチームの流量を調整するバルブ116の開度を制御する温度指示調節計117が設けられている。
凝縮器123では冷却水(CW)とガスとの間で熱交換が行われる。凝縮器123には、凝縮液排出ライン124と分離排ガスライン125とが接続されている。凝縮液排出ライン124は、凝縮液タンク240に接続され、分離排ガスライン125は、空気供給ライン126が合流して、混合ガス排気ライン127に接続されており、混合ガス排気ライン127を通して混合ガスを大気に放出(ベント)する。
熱分解気液分離部本体101には、内部の硫酸廃液の液面を検知してバルブ103の開度を調整する液面指示調節計104が設けられている。
上記各構成によって熱分解気液分離部100が構成されている。
蒸留部本体202の塔底には、蒸留用加熱循環ライン203の一端が接続され、他端が蒸留部本体202の下方部に接続されている。蒸留用加熱循環ライン203には、循環ポンプ(図示しない)、リボイラ204が上流側から下流側にかけてこの順に介設されている。リボイラ204には、スチームが供給されるスチーム供給ラインが熱交換可能に接続されており、スチーム供給ラインには、バルブ205が介設されている。
蒸留部本体201の貯液位置には、蒸留部本体201内の硫酸廃液の液温を検知してバルブ205の開度を調節する温度指示調節計206が接続されている。
また、蒸留部本体202の貯液位置には、蒸留部本体202内の硫酸廃液の液面の検知を行い、バルブ222の開度を調整する液面指示調節計223が設けられている。
SPM廃液(以下硫酸廃液という)は、廃液タンク110に導入され、送液ポンプ112で廃液供給ライン111を通じて熱分解気液分離部本体101に供給される。この際に、廃液供給ライン111を流れる硫酸廃液は流量指示調節計115で流量が検知され、流量指示調節計115は所定の流量が得られるようにバルブ113の開度を調整する制御を行う。また、廃液供給ライン111を流れる硫酸廃液は、加熱器114で加熱され、加熱された硫酸廃液は、温度指示調節計117で液温が検知される。温度指示調節計117は、加熱器114で加熱された硫酸廃液が所定の液温となるように、加熱器114に供給するスチームの流量をバルブ116の開度によって調整する制御を行う。この加熱によって硫酸廃液は150℃〜180℃かつ沸点未満(例えば沸点より10℃以上低い温度)の温度となる。
この際に熱分解気液分離部本体101の圧力は、圧力指示調節計122で検知されており、熱分解気液分離部本体101内が所定圧力に維持されるようにバルブ121の開度を調整する制御を行う。所定圧力としては0.2MPa以下で設定されることが好ましい。
凝縮液は、凝縮液環流ライン124を通して凝縮液タンク240に貯留される。
凝縮器123で冷却されたガスは、ガス排出ライン125を通じて排出され、空気供給ライン126から供給される空気が混合されて希釈、冷却され、混合ガス排気ライン127を通して大気中に排出(ベント)される。
蒸留部本体201で生成された蒸気は、蒸気排出ライン210を通じて凝縮器211に導入され、凝縮液が得られる。凝縮液は凝縮液排出ライン212から排出され凝縮液タンク240に貯留される。その他のガス成分は、排気ライン213を通じて真空ポンプ214によって混合ガス排気ライン127に送られてベントされる。
濃縮液移送ライン220を移送される濃縮液は、冷却器224で冷却水(CW)によって冷却され、濃縮液タンク230に収容される。その後、濃縮液タンク230内の濃縮液は、必要に応じてポンプ232によって濃縮液排液ライン231を通じて系外に排液される。
[実施例1]
硫酸濃度70質量%、過酸化水素濃度2.0質量%のSPM廃液を、60m3/dayの流量で図5に示す熱分解気液分離部を用いて24時間連続で処理した。
熱分解気液分離部は、塔頂および塔底がそれぞれ外方に凸状の曲面に形成され、その間が円筒部で構成された中空の熱分解気液分離部本体を有している。熱分解気液分離部本体の円筒部の内径は、1600mm、円筒部の高さは3360mmであり、そのうち、SPMの廃液で満たされる円筒部における液相深さは1120mm、円筒部における気相部分の高さは2240mmである。
なお、運転温度は150℃、熱分解気液分離部本体内の圧力は常圧とした。
また、リボイラによる廃液の循環回数が5回であったとすると、廃液の液空塔速度は、2.2mm/秒であり、液空塔速度の好ましい上限値である5.5mm/秒の約40%であった。
熱分解気液分離部本体における廃液の滞留時間は54分であり、過酸化水素の分解率は100%であった。また、廃液側へのガスの同伴はほとんどなく、ガスの分離効率はほぼ100%であった。
実施例1と同じ組成を有するSPM廃液を150℃に加熱した後に、テフロン(登録商標)製の気液分離膜を用いて気液分離を行った。気液分離膜に供給する際の廃液の流量は1L/分とした。その結果、ガスの分離効率は95%であった。また、2.5m3/時の流量の廃液を処理するためには、必要となる気液分離膜の面積が過大となり、工業規模で処理を行う装置としては実用性に乏しいことが分かった。
図1に示す実施形態において、蒸留部本体31内の運転圧を変えてプロセス計算を行った。結果を表1に示した。
350torr以下の運転圧にすれば硫酸濃度を80質量%以上に濃縮できることがわかる。
以下に示すSPMの廃液について、図4に示すシステムを用いて処理した。
SPM廃液の組成:硫酸濃度70質量%、過酸化水素濃度2.0質量%
廃液の温度:25℃
廃液の流量:40L/分(2.4m3/時)
熱分解気液分解部 温度150℃
蒸留部 温度180℃、圧力350torr
実施例3と同様のSPM廃液について、苛性ソーダ水溶液により中和を行い、続いて工業用水により希釈する通常の廃液処理をした。この結果、35質量%苛性ソーダ水溶液で中和するとともに、過酸化水素濃度を0.2質量%以下に下げるために、工業用水で10倍希釈したので、廃液量が原液量の10倍に増加した。
1a 熱分解気液分離部
2 蒸留部
2a 蒸留部
2−1第1蒸留部
2−2第2蒸留部
2−3第3蒸留部
10 熱分解気液分離部本体
11 熱分解用加熱循環ライン
12 リボイラ
29 空気供給ライン
30 オゾン分解反応器
31 蒸留部本体
32 蒸留用加熱循環ライン
33 リボイラ
34 凝縮器
35 真空ポンプ
48 熱分解気液分離部本体
49 加熱器
52 予熱器
63 空気供給ライン
64 蒸留部本体
66 蒸気圧縮機
100 熱分解気液分離部
101 熱分解気液分離部本体
114 加熱器
200 蒸留部
201 蒸留部本体
203 蒸留用加熱循環ライン
204 リボイラ
214 凝縮器
Claims (16)
- 過酸化水素を含む硫酸廃液を加熱する熱分解用加熱部を備えるとともに、前記熱分解用加熱部による加熱によって前記硫酸廃液に含まれる前記過酸化水素を熱分解し、前記熱分解によって発生する分解ガスを含むガスを前記硫酸廃液から分離する熱分解気液分離部と、
前記熱分解気液分離部で前記ガスの分離を行った前記硫酸廃液を加熱する蒸留用加熱部を備えるとともに、前記蒸留用加熱部で加熱された前記硫酸廃液を減圧下で蒸留する蒸留部と、を有することを特徴とする硫酸廃液処理装置。 - 前記熱分解気液分離部は、減圧を行うことなく前記ガスの分離を行うものであることを特徴とする請求項1記載の硫酸廃液処理装置。
- 前記熱分解用加熱部は、前記硫酸廃液を沸騰しない温度に加熱するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の硫酸廃液処理装置。
- 前記熱分解気液分離部は、前記硫酸廃液が滞留して気液分離が行われる熱分解気液分離部本体を有し、さらに該熱分解気液分離部本体内の前記硫酸廃液の一部を取り出して、加熱後、前記熱分解気液分離部本体内に戻す熱分解用加熱循環ラインを有し、
前記熱分解用加熱循環ラインに前記熱分解用加熱部が介設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理装置。 - 前記熱分解気液分離部のガス排出側に気液分離凝縮器が接続されており、該気液分離凝縮器の凝縮液を前記熱分解気液分離部に環流する凝縮液環流ラインを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理装置。
- 前記蒸留部は、前記硫酸廃液の蒸発が行われる蒸留部本体と、該蒸留部本体内を減圧する減圧部と、前記蒸留部本体で蒸発した蒸気を凝縮する凝縮部とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理装置。
- 前記蒸留部本体が棚段を有するものであることを特徴とする請求項6記載の硫酸廃液処理装置。
- 前記蒸留部は、前記蒸留用加熱部による前記硫酸廃液の加熱によって発生する蒸気を断熱圧縮して凝縮液を得る断熱圧縮部を有し、
前記蒸留用加熱部は、前記凝縮液の顕熱を熱源の一部または全部とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理装置。 - 前記蒸留部により濃縮された硫酸廃液の顕熱によって前記熱分解気液分離部で加熱される前記硫酸廃液を予熱する予熱部を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理装置。
- 前記熱分解気液分離部で分離されて該熱分解気液分離部から排出された前記ガスに空気を混合して前記ガスを希釈するガス希釈部を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理装置。
- 前記蒸留部を多段に備え、前段側の蒸留部で蒸留によって気相中の硫酸蒸気濃度が低減された前記硫酸廃液を、後段側の蒸留部で蒸留してさらに濃縮された前記硫酸廃液を得ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理装置。
- 過酸化水素を含む硫酸廃液を加熱して前記硫酸廃液中の過酸化水素を熱分解しつつ、前記熱分解により生成された分解ガスを含むガスを前記硫酸廃液から気液分離する熱分解気液分離工程と、
前記ガスが分離された前記硫酸廃液を加熱して減圧下で蒸留し、前記硫酸廃液を濃縮する蒸留工程と、を有することを特徴とする硫酸廃液処理方法。 - 前記熱分解気液分離工程では、減圧することなく前記気液分離を行うことを特徴とする請求項12記載の硫酸廃液処理方法。
- 前記熱分解気液分離工程では、前記硫酸廃液を沸騰させることなく加熱することを特徴とする請求項12または13に記載の硫酸廃液処理方法。
- 前記蒸留工程では、250〜350Torrの減圧下で前記蒸留を行うことを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理方法。
- 前記蒸留工程によって、前記硫酸廃液を硫酸濃度80質量%以上96質量%以下に濃縮することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の硫酸廃液処理方法。
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