JPH08283197A - ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸の製造方法

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JPH08283197A
JPH08283197A JP8808195A JP8808195A JPH08283197A JP H08283197 A JPH08283197 A JP H08283197A JP 8808195 A JP8808195 A JP 8808195A JP 8808195 A JP8808195 A JP 8808195A JP H08283197 A JPH08283197 A JP H08283197A
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JP
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ndca
acid
water
crude
catalyst
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JP8808195A
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English (en)
Inventor
Tomoyoshi Yamamoto
友義 山本
Mitsutatsu Yasuhara
充樹 安原
Nobuhiro Takei
信広 武井
Takayuki Kato
貴行 加藤
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大量の廃液の再利用と、運転コストを安く重
金属触媒の高効率的利用を図るNDCAの製造方法を提
供する。 【構成】 ジイソプロピルナフタレンを酸化してナフタ
レンジカルボン酸を生成させ、該反応液を固液分離して
粗ナフタレンジカルボン酸を得、該粗ナフタレンジカル
ボン酸を鉱酸水溶液で洗浄し、該洗浄液の一部を洗浄液
として循環再使用することを特徴とするナフタレンジカ
ルボン酸の製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジイソプロピルナフタ
レン(以後、「DIPN」と云うこともある。)を分子
状酸素により液相酸化して、ナフタレンジカルボン酸
(以後、「NDCA」と云うこともある。)を製造する
際に重金属触媒を効率よく回収しうる方法に関する。N
DCAは耐熱性や強度が高く、また酸素通過量が低いな
どエンジニアリングプラスチックとして優れた特性を有
するポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエ
ステル及びポリアミドを製造するための原料である。
【0002】
【従来の技術】DIPNをコバルト、マンガンなどの重
金属と臭素化合物からなる触媒の存在下、分子状酸素に
より液相酸化してNDCAを製造する方法は公知であ
り、各種の提案がなされている(特開平1−12124
0号公報、特開昭63−250344号公報、特開平1
−160943号公報、特開昭60−89445号公
報、特開昭60−89446号公報など)。2,6−N
DCAとトリメリット酸の併産方法として、2,6−N
DCAとトリメリット酸重金属塩を固体混合物として反
応液から分離し、該固体混合物に鉱酸水溶液を加えてト
リメリット酸重金属塩を選択的に溶解し、2,6−ND
CAを濾別し、濾液を冷却してトリメリット酸を析出さ
せて濾別し、濾液中に残った重金属を炭酸アルカリ又は
重炭酸アルカリを加えて炭酸塩や重炭酸塩の形で回収す
る方法も知られている(特開昭62−212340号公
報)。NDCAをアルコールで反応させてエステル化
し、NDCA中に含まれている重金属酸化触媒を酸成分
含有アルコール溶液で洗浄して分離回収する方法も知ら
れている(特開平5−253496号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した方法
は、以下のような問題がある。
【0004】特開昭62−212340号公報に示され
ているような重金属触媒の回収方法は、洗浄用の鉱酸水
溶液の濃縮工程が入るが、濃縮工程はエネルギーコスト
がかかり経済的ではない、また、濃縮工程がなければ、
後工程で処理しなければならない廃液が大量に発生す
る、など欠点がある。
【0005】また、特開平5−253496号公報に示
されているような方法では、特開平6−72949号公
報に示されるようにDIPNの酸化反応に於いては、多
量の水が生成し、これが酸化反応に悪影響を与える。そ
こで、この水を積極的に抜き出すことが望ましいとして
いるが、酸化反応で生成する水が廃液となることは解決
されていない。
【0006】重金属触媒は比較的高価であり、従って、
触媒液を循環使用することはもちろんのこと、NDCA
に付着した触媒も回収して再使用することが望ましい
が、上記の如く従来の粗NDCAからの重金属酸化触媒
の回収は効率的と言えず、工業的製造方法としては問題
があった。
【0007】本発明の目的は、前記問題点を解消し、大
量の廃液の再利用と、運転コストを安く重金属触媒の高
効率的利用を図るNDCAの製造方法を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討し
た結果、粗NDCAを鉱酸水溶液で洗浄した液の一部を
次の粗NDCAの洗浄液として循環再使用しても洗浄さ
れたNDCAの純度にはほとんど影響がなく、一方、こ
の循環再使用によってトリメリット酸等の副産物の濃度
を高めてその回収を容易にし、ひいては廃液処理負担を
大巾に軽減できることを見出した。そして、DIPNを
酸化してNDCAを生成させる際に生じた副生水を粗N
DCA洗浄液を調製する際の鉱酸の希釈液に用いること
によってNDCA製造プロセスから排出される廃液量自
体を大巾に削減できることを見出した。
【0009】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
のであり、ジイソプロピルナフタレンを酸化してナフタ
レンジカルボン酸を生成させ、該反応液を固液分離して
粗ナフタレンジカルボン酸を得、該粗ナフタレンジカル
ボン酸を鉱酸水溶液で洗浄し、該洗浄液の一部を洗浄液
として循環再使用することを特徴とするナフタレンジカ
ルボン酸の製造方法と、上記方法において、ジイソプロ
ピルナフタレンの酸化の際に生成する水を分離して、こ
れを粗ナフタレンジカルボン酸の洗浄に使用することを
特徴とするナフタレンジカルボン酸の製造方法を提供す
るものである。
【0010】本発明における原料であるジイソプロピル
ナフタレン(DIPN)としては、2,6−体、2,7
−体の他、全ての異性体、及びこれらの混合物を使用す
ることが出来る。ホルミルナフトエ酸、アセチルナフト
エ酸、イソプロピルナフトエ酸などのその酸化誘導体を
原料に用いてもよい。DIPN供給量は、使用する溶媒
に対して、1〜40重量%であってよい。
【0011】本発明において使用する溶媒としては、酢
酸および/又はプロピオン酸あるいは、酢酸および/又
はプロピオン酸と他の溶媒との混合物を用いても差し支
えない。酢酸および/又はプロピオン酸と他の溶媒との
混合物を酸化溶媒として使用する場合には、酢酸および
/又はプロピオン酸が溶媒中に占める割合を少なくとも
50重量%以上、特に60重量%以上に保つことが好ま
しい。50重量%未満では、酸化速度が抑えられ、ND
CA収率が低下するので好ましくない。他の溶媒として
は、ベンゼン、モノクロロベンゼン、モノブロモベンゼ
ンなどに例示される、酸化に対して安定な溶媒を用い
る。最も好ましい溶媒は酢酸である。
【0012】水の存在はある程度は許容されるが、多量
に存在すると酸化を阻害するので好ましくない。水含量
は、コバルトとマンガンなど重金属の合計モル量に対し
て10倍モル以下、好ましくは7倍モル以下、特に5倍
モル以下が適当である。10倍モルを越えると触媒活性
の低下が著しく、NDCA収率が低下する。さらには、
生成したナフタレンジカルボン酸(固体スラリー)の粘
着性が増加し、酸化槽や配管の壁に厚く付着し、閉塞の
原因となることが見いだされた。10倍モル以下で運転
すれば、流動性の優れたさらさらとしたNDCAが得ら
れ、閉塞の心配がない。
【0013】従って、酸化反応溶液中のコバルトやマン
ガン等の重金属の合計モル量に対して水のモル量が10
倍以下になるように、酸化反応液に供給するクロルベン
ゼンやベンゼンの量及び凝縮液の内、クロルベンゼンあ
るいはベンゼンに富む相の循環量を定める必要がある。
【0014】酸化触媒としては、少なくともコバルト、
マンガンよりなる重金属塩と臭素化合物を併用して用い
る。これらの重金属は酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機
酸塩、ハロゲン化物などが挙げられるが、これらのうち
有機酸塩、特に酢酸塩が好ましい。臭素化合物として
は、臭素(Br2)、臭化水素、臭化水素塩などの無機臭
素化合物、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭
化エチレンなどの臭化アルキルが挙げられる。これらの
中で臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ア
ンモニウム、臭化コバルト、臭化マンガンが特に好まし
い。
【0015】コバルト、マンガンを合計した重金属のD
IPNに対する使用量は、モル比で表現して、0.1≦
(Co+Mn)/DIPN≦10、特に0.5≦(Co+M
n)/DIPN≦4が好ましい。この範囲以下では、N
DCA収率が低下し、トリメリット酸の副生量が著しく
増加する。この範囲以上では、多量の触媒を使用するこ
とになるので、分子状酸素含有ガスの吹き込み管に触媒
が析出し、閉塞する等、工業的に好ましくない事態が起
きる。
【0016】酸化反応促進剤である臭素化合物のコバル
トおよびマンガン金属の合計量に対する使用量は、モル
比で表現して0.1≦Br/(Co+Mn)≦1、特に
0.2≦Br/(Co+Mn)≦0.5が好ましい。こ
の範囲以下では、酸化反応が円滑に進まず、NDCA収
率が低下する。この範囲以上では、臭素のナフタレン環
への付加反応が起き、NDCA収率の低下、NDCA純
度の低下や品質悪化をもたらし、さらには排出される気
相に同伴する臭化メチル量が増加するので、大気汚染の
問題が生ずる等、好ましくない。
【0017】分子状酸素含有ガスとしては、空気をその
まま使用することが出来る。また、酸素や空気を不活性
ガスで希釈したものを用いることが出来る。酸素分圧と
しては、0.2〜2kg/cm2が好ましい。
【0018】モノクロルベンゼン又はベンゼンの酸化反
応槽への供給量は、酸化反応で生成した水100重量部
に対して100〜1000重量部、より好ましくは25
0〜750重量部である。尚、ここにいう供給量とは、
リサイクルされるクロルベンゼン又はベンゼンと新たに
供給するクロルベンゼン又はベンゼンの合計供給量を意
味する。クロルベンゼン又はベンゼン供給量が100重
量部未満になると、効率良く水が酸化槽から除去出来
ず、循環触媒中に水が蓄積し、触媒活性を落とす欠点が
ある。クロルベンゼン又はベンゼンを1000重量部を
越えて供給しても酸化生成水の除去効率は高まらず、寧
ろクロルベンゼン又はベンゼン量の増加による冷却器能
力の肥大化、相分離器の大型化、そしてクロルベンゼン
又はベンゼン循環機器類の肥大化といった経済面でのコ
ストアップがもたらされるので、好ましくない。クロル
ベンゼン又はベンゼンは、酸化反応に先立って酸化反応
溶液に添加しておくことが望ましい。DIPNの溶媒と
して使用する方法が特に簡便である。DIPNと別途に
添加してもよいことはいうまでもない。
【0019】反応温度は、150〜180℃の範囲で実
施することが好ましい。この範囲以下では、DIPNか
ら酸化中間体への酸化は速やかに進むが、酸化中間体か
らNDCAへの酸化が円滑に進まず、NDCA収率が低
下する。この範囲を越えると溶媒である酢酸やプロピオ
ン酸の燃焼損失が増加し、経済的に好ましくない。反応
時間は、0.5〜5時間であってよい。
【0020】使用する圧力は、酸化反応槽中に液相が維
持できるような圧力以上であれば良いが、10kg/c
2Gを超過すると溶媒を構成する酢酸及び/又はプロ
ピオン酸の燃焼損失が増加するので好ましくない。空気
を用いた場合の反応圧力は、10kg/cm2G以下で
十分である。通常、反応圧力は5〜10、特に6〜8k
g/cm2Gであってよい。
【0021】本発明方法は、バッチ方式でも連続方式で
も実施できるが、酸化反応槽に連続して原料DIPN、
酸素含有ガス、触媒液を供給し、連続的に生成したND
CA及び触媒液を抜き出す連続方式が特に好ましい。
【0022】上記酸化反応の際に、酸化反応溶液からは
蒸気が出る。そこで、酸化反応槽に冷却器を取り付けて
オフガス中の蒸気を凝縮させ、凝縮液を回収する。この
凝縮液はクロルベンゼンあるいはベンゼンに富む相と水
に富む相の2相に分離してもよいし、まとめてバッチ方
式または連続方式で蒸留し、溶媒である酢酸及び/また
はプロピオン酸と、クロロベンゼンあるいはベンゼン、
水を分離しても良いが、蒸留の方が特に好ましい。
【0023】前記凝縮を行う前に、蒸気を中途まで冷却
して、反応溶媒である酢酸またはプロピオン酸を凝縮さ
せ、これを前記酸化反応溶媒に循環することが好まし
い。この第1の凝縮器の役割は、酸化反応槽のオフガス
に同伴する気相成分の内、水をできるだけ凝縮させず、
酢酸及び/またはプロピオン酸とクロロベンゼンまたは
ベンゼンの一部を凝縮させることにある。前段の凝縮器
(第1凝縮器)で液化しなかった水とクロロベンゼンま
たはベンゼンと酢酸及び/またはプロピオン酸の一部
は、続く後段の凝縮器(第2凝縮器)で完全に凝縮させ
る。後段の凝縮によって得られる第2凝縮液中には、酸
化反応生成水と重金属触媒の配位水が含まれる。従っ
て、第1凝縮器の運転条件は、酸化反応の理論生成水
(DIPN1モル当たり、6モルの水)以上の水が気相
として第2凝縮器に送入されるように、第1凝縮器出口
温度を設定するのがよい。その結果、NDCAと分離さ
れた触媒液中に水が蓄積することなく、触媒液を酸化槽
に循環した場合でも酸化反応液中の水分量を重金属触媒
の合計モル量に対して、10倍モル以下、好ましくは7
倍モル以下、特に好ましくは5倍モル以下に保つことが
出来る。
【0024】上記反応により、生成したNDCAは触媒
液とともにスラリーとして連続的又は間欠的に抜き出さ
れる。その後、例えば濾過により触媒液と分離され、必
要により熱酢酸等により洗浄され、乾燥後粗NDCAと
なる。
【0025】粗NDCAにはナフタレン環が開裂するこ
とで副生するトリメリット酸が0.5〜15%程度、特
に4〜8%程度含まれている。トリメリット酸はコバル
ト、マンガン等の重金属触媒と、酢酸には不溶性の錯塩
を形成するため、粗NDCAには、トリメリット酸見合
いの重金属触媒が必ず含まれている。この錯塩は、水に
は溶けにくいが、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸水溶液によ
り、トリメリット酸錯塩を加水分解し、鉱酸金属塩と、
トリメリット酸とに遊離させ、完全に溶解させることが
できる。
【0026】粗NDCAを塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸水
溶液で洗浄する。洗浄槽はバッチ式でも連続式でもかま
わない。洗浄温度は60℃以上90℃以下が好ましい。
それ以上であると、洗浄液が蒸発し易く、またそれ以下
では、鉱酸により遊離したトリメリット酸が析出してく
るため好ましくない。鉱酸洗浄液はpHを2以下、好ま
しくは1程度とし、さらに粗NDCAに含まれる金属触
媒量相当の鉱酸を加える。こうすることで、遊離したト
リメリット酸が再び、金属触媒と錯塩を形成することを
防ぐことができる。洗浄液の量は、スラリー濃度が10
〜40%好ましくは15〜25%になる量が好ましい。
スラリー濃度がそれ以上であると洗浄効率が悪く、それ
以下であると、洗浄槽が大きくなり経済的ではない。
【0027】洗浄槽から抜き出されたNDCAは、遠心
分離、濾過等により洗浄液と分離される。分離されたN
DCAは水により洗浄され、乾燥された後、所定の用途
に供される。例えばエステル化工程に送られメタノール
等のアルコールによりジアルキルエステルに変換後、晶
析や精密蒸留により精製することが出来る。洗浄に用い
る水は、酸化反応の排出ガスから回収された水及び、乾
燥時に回収される水を用いる。
【0028】一方、濾別された洗浄液は、洗浄水と一緒
にされる。このうち、洗浄に必要な液量(15〜25%
の粗NDCAスラリー液をつくる為の量)は、粗NDC
Aに付着している重金属触媒と等モル分の鉱酸が添加さ
れ、洗浄槽へ戻され、再び洗浄に利用される。
【0029】洗浄に必要な量の残りは抜き出されて冷却
される。この時、トリメリット酸の結晶が析出すれば濾
別する。続けて炭酸イオンを生じる化合物を加え、重金
属触媒を水に不溶性の炭酸塩とし、固液分離し高収率で
回収することが出来る。こうして得られた重金属触媒の
炭酸塩は、酢酸に溶解させ、再び触媒液として利用する
ことが出来、触媒活性をまったく損なわない。
【0030】以下に実施例を挙げて本発明方法を説明す
る。
【0031】
【実施例】図1に示す装置を使用した。この装置の酸化
反応槽1にはチタンライニングされた容量10lのもの
を用いた。この酸化反応槽1はディスクタービン型多段
攪拌翼を備えており、この反応槽1には原料供給ライン
2、触媒循環ライン3、ガス吹込ライン4、オフガス排
出ライン5、凝縮液循環ポンプ8及び生成物抜出ライン
14が接続されている。
【0032】オフガス排出ライン5には第1凝縮器6を
経て第1凝縮液受器7が接続され、第1凝縮液受器7の
底部は凝縮液循環ポンプ8に接続されていてそこに溜ま
った凝縮液を酸化反応槽1に循環しうるようになってい
る。第1凝縮液受器7の上部からは第2凝縮器9を経て
第2凝縮液受器10に接続されている。第2凝縮液受器
10の上部にはオフガス排出管が接続され、一方、下部
からは連続蒸留器11に接続されていて、そこで水、酢
酸、クロルベンゼン等に分留される。クロルベンゼン留
分取出口はクロルベンゼン循環ライン12を経て原料供
給ライン2に接続されている。このクロルベンゼン循環
ライン12の途中にはクロルベンゼンを補給するクロル
ベンゼン供給ライン13が接続されている。
【0033】生成物抜出ライン14は濾過器15に接続
されている。濾過器15の濾液側出口は触媒循環ライン
3を経て酸化反応槽1に接続されている。この濾過器1
5には連続蒸留器11の酢酸留分取出口から配管接着さ
れ、濾過器15内の濾過ケーキは熱酢酸で洗浄できるよ
うになっている。乾燥器16の蒸気出口は第3凝縮器1
7に接続され、第3凝縮器17の凝縮液出口は上記酢酸
留出取出口と濾過器15を結ぶ配管の途中に接続されて
いる。
【0034】乾燥器16で乾燥された粗NDCAは洗浄
槽20に入れて洗浄される。洗浄槽20の底部には洗浄
物抜出ライン21を経て濾過器22に接続されている。
この濾過器22の濾過側出口は冷却槽26に接続され、
その配管の途中には洗浄槽20と結ぶ洗浄液循環ライン
24が分岐している。冷却槽26は濾過器27を経て触
媒析出槽28に接続され、触媒析出槽28からはさらに
濾過器29に接続されている。濾過器29で回収された
回収触媒は触媒循環ライン3の途中へ戻されるようにな
っている。濾過器22には連続蒸留器11の水留分取出
口から配管23に接続され、濾過器22内の濾過ケーキ
を水洗できるようになっている。乾燥器25の蒸気出口
は凝縮器に接続され、そこで凝縮された水は連続蒸留器
11の水留分とともに濾過ケーキを水洗できるようにな
っている。乾燥器25で乾燥されたNDCAは本法の最
終製品として取り出され、必要によりさらに精製されて
使用に供される。
【0035】上記の装置を用い、原料供給ライン2を経
由して溶融した2,6−DIPNを400g/hr、ク
ロルベンゼン供給ライン13とクロルベンゼン循環ライ
ン12から酸化反応槽1に供給されるクロルベンゼンの
合計量が417g/hrになるように調節して酸化反応
槽1に供給した。酢酸コバルト(無水塩換算)189g/
hr、酢酸マンガン(無水塩換算)183g/hr、臭
化ナトリウム54g/hr、酢酸3631g/hrにな
るように補充触媒液を触媒補充ライン30を経由して酸
化反応槽1に加え、ガス吹込ライン4からコンプレッサ
ーで加圧した空気を酸素740g/hr、窒素2340
g/hrになるように供給し170℃、8kg/cm2
Gで連続運転を行った。
【0036】第1凝縮器6の出側温度が128℃になる
ように制御し、オフガスに同伴する酸化反応槽1の気相
成分を部分凝縮させた。この第1凝縮液は受器7に溜ま
り、受器7の液面が一定になるように、酸化反応槽1に
連続循環した。第1凝縮器6で凝縮しなかった成分は、
第2凝縮器9で35℃まで冷却し完全に凝縮させた。第
2凝縮液は連続蒸留し、酢酸1394g/hr、クロロ
ベンゼン417g/hr、反応生成水221g/hrを
回収した。
【0037】反応液は酸化反応槽1内の液量が一定とな
るように抜き出し、1時間ごとに加圧濾過器15で濾過
し、熱酢酸で洗浄し粗NDCAを得た。粗NDCAの洗
浄には第2凝縮液、第3凝縮器17から回収された酢酸
及び、飽和蒸気圧分失われる酢酸を補充して用いた。濾
別し触媒液、及び熱酢酸洗浄液は触媒循環ライン3から
酸化反応槽1に戻した。
【0038】粗NDCAは乾燥し、付着していた酢酸は
第3凝縮器17で凝縮させ206g/hr回収し、粗N
DCAの洗浄に用いた。乾燥した粗NDCAの重量は、
398g/hrで安定し、NDCAの収率は90%であ
った。またトリメリット酸収率は5.0%であった。こ
の粗NDCAはコバルト1.13wt%、マンガン1.
53wt%を含んでいた。
【0039】以上の操作を1時間ごとに行った。1時間
の間に得られた乾燥粗NDCA398gはNDCA洗浄
槽20に入れ、濃硫酸27g、蒸留水1773gからな
る硫酸洗浄液1800gを加えてスラリー濃度18wt
%とした。これを70℃で30分間、攪拌洗浄し、加圧
濾過器22で固液分離した。濾過ケーキは水で洗浄して
乾燥し、エステル化用NDCAとした。乾燥時に回収し
た水198gは、第2凝縮液から回収された反応生成水
191gと共に洗浄用の水として用いた。エステル化用
NDCAには、コバルト123ppm、マンガン167
ppm、トリメリット酸546ppmが含まれていた。
【0040】濾別された硫酸洗浄液は、洗浄水と混合
し、その内1780gを洗浄用として濃硫酸20g(粗
NDCAに含まれているコバルト、マンガンに相当する
量)を添加し、洗浄槽20に戻した。この様な操作を繰
り返す内に、硫酸洗浄液の濃度は、コバルトイオン1.
7wt%、マンガンイオン2.2wt%、硫酸イオン
6.6wt%、トリメリット酸7.3wt%で安定し
た。洗浄槽20に戻さなかった硫酸洗浄液は、35℃ま
で冷却しトリメリット酸を析出、濾別した。次いで、2
5wt%の炭酸ナトリウム水溶液116gを添加して3
0℃で30分間攪拌した。析出した固体を遠心濾過器2
9で濾別し、第2凝縮液から回収した反応生成水のうち
30gを用いて水洗した。コバルト、マンガンの回収率
はそれぞれ97.8%、96.7%であった。こうして
得られた重金属触媒の炭酸塩は、加熱により分解し酢酸
に不溶性の固体となるため、濾別後すぐに酢酸に溶解さ
せ、補充触媒液とし、触媒補充ライン30から触媒循環
ライン3を経て酸化反応槽1に戻し、不足分は新たな酢
酸コバルト、酢酸マンガンを補充し、触媒液量、及び濃
度を一定に保った。
【0041】この様にして、最終的にトリメリット酸ナ
トリウム、硫酸ナトリウム等を含む処理しなければなら
ない廃液の量は405g/hrであった。
【0042】〔比較例〕酸化反応は実施例と同様の操作
を行った。
【0043】1時間の間に得られた乾燥粗NDCA39
8gはNDCA洗浄槽20に入れ、濃硫酸27g、蒸留
水1773gからなる硫酸洗浄液1800gを加えてス
ラリー濃度18wt%とした。これを70℃で30分
間、攪拌洗浄し、加圧濾過器22で固液分離した。濾過
ケーキを蒸留水389gで洗浄して乾燥し、エステル化
用NDCAとした。エステル化用NDCAには、コバル
ト61ppm、マンガン88ppm、トリメリット酸2
38ppmが含まれていた。
【0044】濾別した硫酸洗浄液と洗浄水は合わせて1
990gであった。この液は冷却したが、トリメリット
酸は飽和溶解度に達していないため析出しなかった。2
5wt%の炭酸ナトリウム水溶液162gを添加して3
0℃で30分間攪拌した後、析出した固体を遠心濾過器
29で濾別し第2凝縮液から回収した反応生成水のうち
30gを用いて洗浄した。コバルト、マンガンの回収率
はそれぞれ98.2%、97.7%であった。またこう
して得られた重金属触媒の炭酸塩は、補充触媒液とし、
触媒補充ライン30から酸化反応槽1に戻した。
【0045】この様にして、最終的に処理しなければな
らない、トリメリット酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等
を含む廃液の量は、2465g/hrであった。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、洗浄液
を循環せず、反応副生水を利用しない場合と較べ、明ら
かに処理しなければならない廃液の量を減らすことが出
来、経済的なプロセスであるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例で使用した装置の構成を示す
フローシートである。
【符号の説明】
1 酸化反応槽 2 原料(DIPN)供給ライン 3 触媒循環ライン 4 ガス吹込ライン 5 オフガス排出ライン 6 第1凝縮器 7 第1凝縮液受器 8 第1凝縮液循環ポンプ 9 第2凝縮器 10 第2凝縮液受器 11 連続蒸留器 12 クロロベンゼン循環ライン 13 クロロベンゼン供給ライン 14 生成物抜出ライン 15 濾過器 16 乾燥器 17 第3凝縮器 20 NDCA洗浄槽 21 洗浄物抜出ライン 22 濾過器 23 リンス水ライン 24 洗浄液循環ライン 25 乾燥器 26 冷却槽 27 濾過器 28 触媒析出槽 29 濾過器 30 触媒補充ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 貴行 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジイソプロピルナフタレンを酸化してナ
    フタレンジカルボン酸を生成させ、該反応液を固液分離
    して粗ナフタレンジカルボン酸を得、該粗ナフタレンジ
    カルボン酸を鉱酸水溶液で洗浄し、該洗浄液の一部を洗
    浄液として循環再使用することを特徴とするナフタレン
    ジカルボン酸の製造方法
  2. 【請求項2】 ジイソプロピルナフタレンの酸化の際に
    生成する水を分離して、これを粗ナフタレンジカルボン
    酸の洗浄に使用することを特徴とする請求項1記載のナ
    フタレンジカルボン酸の製造方法
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002526605A (ja) * 1998-10-07 2002-08-20 ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド 芳香族酸モノマー、ポリマー、製品及びこれらの製造方法
KR100721439B1 (ko) * 2006-06-01 2007-05-23 주식회사 효성 나프탈렌디카르복실산의 정제 공정
JP2013053101A (ja) * 2011-09-05 2013-03-21 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 芳香族カルボン酸の精製方法
JP2013208602A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Kurita Water Ind Ltd 硫酸廃液処理装置および硫酸廃液処理方法

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