JP2755099B2 - ナフタレンジカルボン酸の製造法 - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸の製造法

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JP2755099B2
JP2755099B2 JP5045261A JP4526193A JP2755099B2 JP 2755099 B2 JP2755099 B2 JP 2755099B2 JP 5045261 A JP5045261 A JP 5045261A JP 4526193 A JP4526193 A JP 4526193A JP 2755099 B2 JP2755099 B2 JP 2755099B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジイソプロピルナフタ
レン(以後、「DIPN」と云うこともある。)を分子
状酸素により液相酸化して、ナフタレンジカルボン酸
(以後、「NDCA」と云うこともある。)を製造する
方法に関する。NDCAは耐熱性や強度が高く、また酸
素通過量が低いなどエンジニアリングプラスチックとし
て優れた特性を有するポリエチレンナフタレート(PE
N)などのポリエステル及びポリアミドを製造するため
の原料である。
【0002】
【従来の技術】DIPNをコバルト、マンガンなどの重
金属と臭素化合物からなる触媒の存在下、分子状酸素に
より液相酸化してNDCAを製造する方法は公知であ
り、各種の提案がなされている(特開平1−121240号、
特開昭63−250344号、特開平1−160943号、特開昭60−
89445号、特開昭60−89446号など)。これらのうち、特
開昭60−89445号公報記載の方法は2,6−DIPNを
炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸を少なくとも50重
量%含む溶媒中で、コバルト及び/又はマンガンよりな
る重金属と臭素からなる触媒の存在下に、該重金属を
2,6−DIPN 1モル当たり、少なくとも0.2モル使
用する液相空気酸化法であり、特開昭60−89446号公報
記載の方法は該重金属を溶媒に対して少なくとも1重量
%存在させる液相空気酸化法である。特開昭60−89445
号公報及び特開昭60−89446号公報に開示された実施例
では、酢酸溶媒中で重金属を2,6−DIPN 1モルに
対して0.28〜3.9モルと多量に用いることにより、2,
6−NDCAが収率70〜90%もの高成績で得られてい
る。多量の触媒を用いる効果は明確ではないが、反応初
期に多量に生成する酸化中間体で触媒が失活し、反応系
内での賦活・再生が遅いため、これを補うために多量の
触媒が必要であると特開昭60−89445号公報及び特開昭6
0−89446号公報に記載されている。
【0003】反応条件については、特開昭60−89445号
公報、特開昭60−89446号公報記載の実施例では反応温
度は160〜200℃、反応圧力は20〜30kg/cm2G(ゲージ圧
力)であり、特開平1−121240号公報記載の実施例では
180〜200℃、反応圧力は15〜30kg/cm2Gであり、特開
昭63−250344号公報記載の実施例では180〜200℃、反応
圧力は15kg/cm2Gであり、そして、特開平1−160943
号公報記載の実施例では200℃, 30kg/cm2Gである。
【0004】以上の従来技術は共通点として、酢酸およ
び/又はプロピオン酸を溶媒として用い、コバルト、マ
ンガンなどの重金属触媒と臭素化合物触媒存在下に、D
IPNを液相空気酸化してNDCAを製造する際に、D
IPNに対して多量の重金属および臭素触媒を使用し、
かつ160〜200℃、15〜30kg/cm2Gの高温高圧の条件下
でNDCAを得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきた従来の
DIPNを酸化してNDCAを製造する方法は、いずれ
も、反応中に触媒が失活していくため2,6−DIPN
に対してコバルト、マンガン等の重金属触媒及び臭素化
合物を多量に用いなければならず、また、反応温度と反
応圧力が高いという共通の問題点がある。
【0006】本発明は、触媒をリサイクル使用してもコ
バルト、マンガン等の重金属触媒の活性低下が少なく、
長時間に渡り安定した高収率で、そして高品質のNDC
Aを製造でき、かつ反応温度及び反応圧力を低下できる
方法を提供することをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決して、コバルト、マンガンなどの重金属および臭
素化合物存在下に、DIPNを分子状酸素含有ガスによ
り液相酸化してNDCAを得る方法について種々検討し
た。その結果、DIPNに対して多量の重金属および臭
素化合物触媒を使用し、かつ160〜200℃、15〜30kg/cm
2Gの高温高圧の条件下でDIPNを液相酸化してND
CAを製造する条件では、初期段階でのNDCA収率は
確かに高い値が得られるが、一方ではコバルト、マンガ
ン等の重金属触媒の活性低下(劣化)が激しいことを見
出した。そして、反応液にスラリーとして懸濁するND
CAを濾過器や遠心分離器を用いて、NDCAと固液分
離して回収される触媒(コバルト、マンガン等の重金属
及び臭素化合物を含む酢酸又はプロピオン酸溶液)を酸
化反応槽にリサイクル使用した場合には、循環触媒中に
酸化反応によって生成した水がかなり蓄積する結果、初
期の触媒活性を維持することが困難となり、水の蓄積に
つれて経時的にNDCA収率が低下し、同時に不純物副
生量が増加することがわかった。これらにより、製品N
DCAの収率低下のみならず、純度低下や色相悪化を引
き起こすなど工業生産する上に好ましくない事実が起き
ていることを見出すに至った。リサイクル使用が困難な
場合には、NDCAの生産速度を維持するために多量の
新鮮な触媒を再投入しなければならず、さらには廃触媒
量の増加に伴う処理手段を講じなくてはならず、NDC
A製造工程数が増加してコストが高くなるという欠点が
判明した。
【0008】そこで、本発明者らは、コバルト、マンガ
ンなどの重金属および臭素化合物存在下に、DIPNを
分子状酸素含有ガスにより液相酸化してNDCAを得る
方法について鋭意研究した結果、酸化反応溶液内にクロ
ルベンゼンあるいはベンゼンを存在させると生成した水
の蒸発量が増え、しかも酸化反応溶液から蒸発した気相
を凝縮させて得られた凝縮液は2相に分かれてそのうち
の1相に水のほとんどが集まることを見出した。そこ
で、従来の還流方式を変えて凝縮液を一旦集め、水の分
配率が少ないクロルベンゼン相又はベンゼン相のみを酸
化反応溶液内に戻してやり、酸化反応で生成した水の殆
どが分配している相を系外に抜き出すことにより、循環
触媒及び酸化反応液に含まれる水の蓄積を抑え、触媒活
性の低下を大幅に減少させ、前記の目的を達成すること
が出来た。
【0009】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
のであり、ジイソプロピルナフタレンを少なくともコバ
ルト、マンガン、セリウム又はニッケルのうちの1種の
重金属塩と臭素化合物とからなる触媒を含み酢酸、プロ
ピオン酸又は両者の混合物を溶媒とする溶液中で分子状
酸素により酸化してナフタレンジカルボン酸を製造する
際に、この酸化反応を行わせる溶液にクロルベンゼン又
はベンゼンを供給し、該酸化反応溶液から排出される気
相を冷却して凝縮させ、クロルベンゼンあるいはベンゼ
ンに富む相と水に富む相に分相する該凝縮液のうちクロ
ルベンゼンあるいはベンゼンに富む相は前記酸化反応溶
液内へ循環し、水に富む相は系外に抜き出すことを特徴
とするナフタレンジカルボン酸の製造方法を提供するも
のである。又は、該酸化反応溶液から排出される気相を
部分的に凝縮させて得られる部分凝縮液を該酸化反応溶
液に循環すると共に、残りの気相を冷却して完全凝縮さ
せた後、クロルベンゼンあるいはベンゼンに富む相と水
に富む相に分相する該完全凝縮液の内、クロルベンゼン
あるいはベンゼンに富む相は前記酸化反応液に循環し、
水に富む相は系外に抜き出すことを特徴とするナフタレ
ンジカルボン酸の製造方法を提供するものである。
【0010】本発明における原料であるジイソプロピル
ナフタレン(DIPN)としては、2,6−体、2,7
−体の他、全ての異性体、及びこれらの混合物を使用す
ることが出来る。DIPN供給量は、使用する溶媒に対
して、1〜40重量%であってよい。
【0011】本発明において使用する溶媒としては、酢
酸および/又はプロピオン酸あるいは、酢酸および/又
はプロピオン酸と他の溶媒との混合物を用いても差し支
えない。酢酸および/又はプロピオン酸と他の溶媒との
混合物を酸化溶媒として使用する場合には、酢酸および
/又はプロピオン酸が溶媒中に占める割合を少なくとも
50重量%以上、特に60重量%以上に保つことが好まし
い。50重量%未満では、酸化速度が抑えられ、NDCA
収率が低下するので好ましくない。他の溶媒としては、
ベンゼン、モノクロロベンゼン、モノブロモベンゼンな
どに例示される、酸化に対して安定な溶媒を用いる。最
も好ましい溶媒は酢酸である。
【0012】水の存在はある程度は許容されるが、多量
に存在すると酸化を阻害するので好ましくない。水含量
は、コバルトとマンガンなど重金属の合計モル量に対し
て10倍モル以下、好ましくは7倍モル以下、特に5倍モ
ル以下が適当である。10倍モルを越えると触媒活性の低
下が著しく、NDCA収率が低下する。さらには、生成
したナフタレンジカルボン酸(固体スラリー)の粘着性
が増加し、酸化槽や配管の壁に厚く付着し、閉塞の原因
となることが見いだされた。10倍モル以下で運転すれ
ば、流動性の優れたさらさらとしたNDCAが得られ、
閉塞の心配がない。
【0013】従って、酸化反応溶液中のコバルトやマン
ガン等の重金属の合計モル量に対して水のモル量が10倍
以下になるように、酸化反応液に供給するクロルベンゼ
ンやベンゼンの量及び凝縮液の内、クロルベンゼンある
いはベンゼンに富む相の循環量を定める必要がある。
【0014】酸化触媒としては、少なくともコバルト、
マンガン、セリウム、ニッケルのうちの1種の重金属塩
と臭素化合物を併用して用いる。触媒活性の高さや製品
であるNDCAと塩を形成しないことなどからコバルト
とマンガンの組合せが最も好ましい。これらの重金属
は、酢酸または/およびプロピオン酸に可溶性のもので
あり、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物など
が挙げられるが、これらのうち有機酸塩、特に酢酸塩が
好ましい。臭素化合物としては、臭素(Br2)、臭化水
素、臭化水素塩などの無機臭素化合物、臭化メチル、臭
化エチル、臭化プロピル、臭化エチレンなどの臭化アル
キルが挙げられる。これらの中で臭化水素、臭化ナトリ
ウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化コバル
ト、臭化マンガンが特に好ましい。
【0015】コバルトとマンガンを併用することによ
り、コバルトまたはマンガンを単独で使用した場合と較
べて高い触媒作用が認められる。触媒として使用する両
重金属の比は、原子比で0.1≦Co/(Co+Mn)≦0.
9、特に0.2≦Co/(Co+Mn)≦0.7が好ましい。この
範囲を外れると、NDCA収率が低下する。
【0016】コバルト、マンガンを合計した重金属のD
IPNに対する使用量は、モル比で表現して、0.1≦
(Co+Mn)/DIPN≦10、特に0.5≦(Co+Mn)
/DIPN≦4が好ましい。この範囲以下では、NDC
A収率が低下し、トリメリット酸の副生量が著しく増加
するだけでなく、トリメリット酸がコバルトやマンガン
などの重金属と錯体を形成し、触媒損失量を増加させて
しまう。この範囲以上では、多量の触媒を使用すること
になるので、生成し析出したNDCAに重金属が同伴
し、NDCAの純度低下をもたらすだけでなく、触媒損
失につながる。また、反応器が大きくなり、NDCA生
産性が低下する、分子状酸素含有ガスの吹き込み管に触
媒が析出し、閉塞する等、工業的に好ましくない事態が
起きる。
【0017】酸化反応促進剤である臭素化合物のコバル
トおよびマンガン金属の合計量に対する使用量は、モル
比で表現して0.1≦Br/(Co+Mn)≦1、特に0.2≦
Br/(Co+Mn)≦0.5が好ましい。この範囲以下で
は、酸化反応が円滑に進まず、NDCA収率が低下す
る。この範囲以上では、臭素のナフタレン環への付加反
応が起き、NDCA収率の低下、NDCA純度の低下や
品質悪化をもたらし、さらには排出される気相に同伴す
る臭化メチル量が増加するので、大気汚染の問題が生ず
る等、好ましくない。
【0018】分子状酸素含有ガスとしては、空気をその
まま使用することが出来る。また、酸素や空気を不活性
ガスで希釈したものを用いることが出来る。酸素分圧と
しては、0.2〜2kg/cm2が好ましい。
【0019】モノクロルベンゼン又はベンゼンの酸化反
応槽への供給量は、酸化反応で生成した水100重量部に
対して100〜1000重量部、より好ましくは250〜750重量
部である。尚、ここにいう供給量とは、リサイクルされ
るクロルベンゼン又はベンゼンと新たに供給するクロル
ベンゼン又はベンゼンの合計供給量を意味する。クロル
ベンゼン又はベンゼン供給量が100重量部未満になる
と、効率良く水が酸化槽から除去出来ず、循環触媒中に
水が蓄積し、触媒活性を落とす欠点がある。クロルベン
ゼンを1000重量部を越えて供給しても酸化生成水の除去
効率は高まらず、寧ろクロルベンゼン量の増加による冷
却器能力の肥大化、相分離器の大型化、そしてクロルベ
ンゼン循環機器類の肥大化といった経済面でのコストア
ップがもたらされるので、好ましくない。クロルベンゼ
ン又はベンゼンは、酸化反応に先立って酸化反応溶液に
添加しておくことが望ましい。DIPNの溶媒として使
用する方法が特に簡便である。DIPNと別途に添加し
てもよいことはいうまでもない。
【0020】反応温度は、150〜180℃の範囲で実施する
ことが好ましい。この範囲以下では、DIPNから酸化
中間体への酸化は速やかに進むが、酸化中間体からND
CAへの酸化が円滑に進まず、NDCA収率が低下す
る。この範囲を越えると溶媒である酢酸やプロピオン酸
の燃焼損失が増加し、経済的に好ましくない。反応時間
は、0.5〜5時間であってよい。
【0021】使用する圧力は、酸化反応槽中に液相が維
持できるような圧力以上であれば良いが、10kg/cm2
を超過すると溶媒を構成する酢酸及び/又はプロピオン
酸の燃焼損失が増加するので好ましくない。空気を用い
た場合の反応圧力は、10kg/cm2G以下で十分である。
通常、反応圧力は5〜10、特に6〜8kg/cm2Gであっ
てよい。
【0022】本発明方法の酸化反応を実施するに当たっ
ては、加熱された気液混合器にジイソプロピルナフタレ
ンと分子状酸素含有ガスを同時に供給して、前もって接
触せしめて気液混合を行った後、この気液混合物を予め
分子状酸素含有ガスにより前酸化したコバルト、マンガ
ン等の重金属塩及び臭素化合物を含む酢酸及び/又はプ
ロピオレン酸溶液中に供給することが望ましい。気液混
合器は、酸素含有ガスと液体である原料DIPNが効率
よく、混合できる構造を有していればよく、その構造は
限定されない。原料DIPN、例えば2,6−DIPN
の融点は70℃であり、固化しやすい。固化によるライン
の閉塞を防止する意味と、触媒を含む酢酸および/又は
プロピオン酸溶液中への原料の拡散効率を高める意味か
ら気液混合器を100〜200℃、特に100〜150℃の範囲で加
熱することが好ましい。気液混合器内での2,6−DI
PNの固化を防止するために、ベンゼン、モノクロルベ
ンゼン、モノブロモベンゼンなどに例示される、酸化に
対して安定な溶媒で希釈しても差し支えないが、クロル
ベンゼン又はベンゼンにこの希釈剤を兼ねさせることが
好ましい。分子状酸素含有ガスの供給速度は、標準状態
の空気供給量に換算してDIPN 1モル当り1000l〜50
00lであってよい。気液混合時間は、気液接触が充分に
行なえる範囲であれば、特に限定されない。
【0023】酢酸および/又はプロピオン酸、あるいは
酢酸および/又はプロピオン酸と他の溶媒との混合物に
コバルト、マンガン等の重金属及び臭素化合物を溶解さ
せて酸化反応に供することになるが、高収率でNDCA
を製造するには、酸素含有ガスで予め前酸化処理を行う
ことが好ましい。処理温度は、室温〜180℃の範囲で行
うことが好ましい。この範囲を越えると溶媒の燃焼損失
が無視できなくなる。圧力は、1〜10kg/cm2Gが好ま
しい。処理時間は、0.5〜5時間であってよい。前酸化
の方法としては、攪拌しながら該触媒溶液に酸素含有ガ
スをノズル、リングスパージャー、焼結金属、多孔質磁
器製の微細気泡ディフューザーなどを通して供給するこ
とにより実施される。
【0024】本発明方法は、バッチ方式でも連続方式で
も実施できるが、連続方式及び触媒溶液中に原料DIP
Nと酸素含有ガスを連続で供給して酸化反応を行うセミ
・バッチ方式が好ましい。
【0025】上記酸化反応終了後、必要に応じ酸化を更
に完全なものとするために、所謂、ポスト・オキシデー
ション(後酸化)を行ってよい。このようなポスト・オ
キシデーションは、主酸化反応に引き続き酸化反応容器
内でそのままか、または主酸化反応後、一旦別容器に移
してこれを所要時間分子状酸素と接触させる事により行
われる。
【0026】この際、ポスト・オキシデーションの反応
圧力、温度は主反応の場合と同じである必要はなく、こ
れより高くても低くてもよい。
【0027】上記酸化反応の際に、酸化反応溶液からは
蒸気が出る。そこで、酸化反応槽に冷却器を取り付けて
オフガス中の蒸気を凝縮させ、凝縮液を分液槽で受け
る。そうすると分液槽ではクロルベンゼンあるいはベン
ゼンに富む相と水に富む相の2相に分相される。分相は
単なる静置でもよく、公知の装置を用いて分相を促進す
る手段を講じてもよい。両相の上下関係はクロルベンゼ
ンを用いるかあるいはベンゼンを用いるかによって異な
り、クロルベンゼンの場合には、これに富む相が下にな
り、ベンゼンの場合にはこれに富む相が上になる。この
うち、クロルベンゼンあるいはベンゼンに富む相は酸化
反応槽に循環してやる。この循環は連続的あるいは間欠
的に行ってもよく、1バッチの反応ごとに行ってもよ
い。
【0028】前記凝縮を行なう前に蒸気を中途まで冷却
して、反応溶媒である酢酸又はプロピオン酸を凝縮さ
せ、これを前記酸化反応溶液に循環することが好まし
い。この第1の凝縮器の役割は、酸化反応槽のオフガス
に同伴する気相成分の内、水を出来るだけ凝縮させず、
酢酸及び/又はプロピオン酸とクロルベンゼン又はベン
ゼンの一部を凝縮させることにある。前段の凝縮器(第
1凝縮器)で液化しなかった水とクロルベンゼン又はベ
ンゼンと酢酸及び/又はプロピオン酸の一部は、続く後
段の凝縮器(第2凝縮器)で完全に凝縮させる。後段の
凝縮によって得られる第2凝縮液中には、酸化反応生成
水と重金属触媒の配位水が含まれる。従って、第1凝縮
器の運転条件は、酸化反応の理論生成水(DIPN1モ
ル当たり、6モルの水)以上の水が気相として第2凝縮
器に送入される様に、第1凝縮器出口温度が設定され
る。その結果、NDCAと分離された触媒液中に水が蓄
積することがなく、触媒液を酸化槽に循環した場合で
も、酸化反応液中の水分量を重金属触媒の合計モル量に
対して、10倍モル以下、好ましくは7倍モル以下、特に
好ましくは5倍モル以下に保つことが出来る。例えば、
酸化反応槽の圧力が8kg/cm 2Gの条件下では、第1凝
縮器出口の温度を60から130℃の範囲に、好ましくは80
から120℃の範囲に制御することが好ましい。この温度
範囲を越えると第1凝縮液量が減り、第2凝縮器に入る
酢酸量が著しく増加する結果、第1凝縮器から酸化反応
槽に循環される酢酸量が極端に減り、酸化反応槽の運転
が出来なくなる。一方、前記温度範囲から下がると、循
環酢酸量は増加するものの、第1凝縮器で凝縮される水
分量もまた増加し、多量の水が酸化反応槽に循環される
ことになり、効果的な水抜きが困難となり、NDCAを
固液分離後、回収される触媒液中に水が蓄積し、触媒活
性が著しく低下する。
【0029】酸化反応が終了した反応液は、例えば濾過
により触媒を分離し、続いて熱酢酸や水を用いて洗浄し
た後、触媒を含まないナフタレンジカルボン酸を得る。
粗ナフタレンジカルボン酸は、さらに晶析により精製す
ることが出来る。あるいは、メタノールによりジメチル
エステルに変換後、晶析や精密蒸留操作により精製する
ことができる。
【0030】尚、使用済みの重金属触媒は殆ど変性して
おらず、勿論、触媒活性も殆ど低下していない。酸化反
応で副生するトリメリット酸は、重金属触媒と錯塩を形
成して製品NDCAに同伴して沈殿し、触媒ロスの原因
となる。従って、前記錯塩を製品NDCAの水洗により
回収し、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムと反応さ
せて、重金属の炭酸塩として再生した後、循環触媒と共
に酸化槽にリサイクルすれば、本質的には何ら新鮮な触
媒を追加補充することなく、一度使用した触媒にて何度
でも酸化反応に再使用することが出来る。一方、臭素化
合物は、徐々に蒸発、分解等によって減少していくので
適宜不足分を補充してやる。
【0031】
【作用】酸化反応溶液にクロルベンゼンあるいはベンゼ
ンを存在させることにより、酸化反応にって生成した水
がこれらに同伴して蒸発量が増す。この気相は、クロル
ベンゼン、あるいはベンゼンと酢酸あるいはプロピオン
酸と水からなっており、これを凝縮もしくは部分的に凝
縮させるとクロルベンゼンあるいはベンゼンに富む相と
水に富む相の2相に分相する。酢酸あるいはプロピオン
酸は両相に分配するが、水は1方の相に極端に片寄る。
そこで、この水に富む相は、系外に抜き出すことによ
り、生成水を酸化反応系から除外して活性低下を防止し
ている。酸化反応液からナフタレンジカルボン酸を分離
した後の触媒液には、水が蓄積しないのでその壗、酸化
反応槽にリサイクルすることが出来るので、触媒液から
水を除去する為の特別な蒸留設備やその他の脱水設備が
不要となる。クロルベンゼンあるいはベンゼンに富む相
を酸化反応液に循環することによってクロルベンゼンあ
るいはベンゼンと酢酸あるいはプロピオン酸の減少分を
補うことが出来、新規補充分を節約出来る。
【0032】
【実施例】
実施例1 図1に示す装置を使用した。この装置においては酸化反
応槽1として攪拌機7付のチタン製オートクレーブを使
用した。この酸化反応槽1の底部近傍にはスパージャー
8が配設され、スパージャー8には原料と空気を供給す
る原料供給ライン9が接続されている。原料供給ライン
9は気液混合器5を介してDIPN供給ライン10、クロ
ルベンゼン供給ライン11及び空気供給ライン12が接続さ
れている。酸化反応槽1の側壁中央部には酢酸供給ライ
ン13が接続され、上部には第1凝縮器19と気相排出ライ
ン14が接続されている。気相排出ライン14は凝縮器6を
介して分液槽2に接続されている。分液槽2の底部から
はクロルベンゼンに富む相17を戻す循環ライン15が酸化
反応槽1の側壁へ配管接続されている。酸化反応槽1の
底部にはNDCA抜き出しライン16が接続されている。
分液槽2の側壁中央部からは水に富む相18をそして上部
からは気相を気液分離器3へ移すラインが接続されてい
る。気液分離器3の上部にはオフガス放出ラインが接続
され、底部には水に富む相18を受ける受器4が配管接続
されている。
【0033】上記の装置において、まず、容量500mlの
酸化反応槽1に触媒として、酢酸コバルト四水塩0.05モ
ル、酢酸マンガン四水塩0.05モル、臭化ナトリウム0.02
5モル、氷酢酸142mlを仕込み攪拌下、圧力を8kg/cm2
Gに保ちながら、圧縮空気を空気供給ライン12から標準
状態に換算して500ml/minで供給した。一方、凝縮器6
には5℃の冷却水を、凝縮器19には、90℃の熱媒油を循
環させた。室温から170℃まで1時間かけて徐々に昇温
し、触媒の前酸化処理を行った。170℃に到達後、空気
供給量を1000ml/minに高め、2,6−DIPN 50gを
クロルベンゼン100gに溶解した原料液を20時間かけて
定量ポンプを用い、7.95g/hrの供給速度で圧縮空気と
共に220℃に加熱した外径1インチ、内径21.4mm、長さ2
50mm(内部にヘリパックを充填したもの)のSUS製管
よりなる気液混合器5の中に供給して気液混合後、上記
の触媒溶液中に分散させた。空気の供給速度は標準状態
換算で1000ml/minを維持した。凝縮器19に90℃の熱媒
油を循環して、酸化槽オフガスに同伴する成分の内、主
として酢酸を凝縮させて酸化槽に戻し、凝縮器6に5℃
に保った冷却水を循環させて水−クロルベンゼン蒸気お
よび酢酸蒸気を完全に凝縮し、凝縮液は分液槽2に貯蔵
した。原料供給開始後、2時間毎に分液槽に溜まった酢
酸量を測定し、次の2時間で同量の酢酸を酢酸供給ライ
ン13から補充した。
【0034】20時間の原料供給終了後、原料と空気の供
給を止めた。酸化反応槽を冷却して圧力を常圧に戻した
後、ライン16より生成物を抜き出した。続いて、生成物
を濾過器を用いて濾過し、淡黄色固体(NDCA)とコ
バルト及びマンガン触媒を含む濾液(酢酸溶液)に分離
した。分液槽2に貯蔵した20時間分の凝縮液は、2相を
形成していた。上相はクロルベンゼン37g、酢酸79g、
水24gからなり、下相はクロルベンゼン56g、酢酸27
g、水2gからなっていた。飽和蒸気圧からオフガスに
同伴した水を考慮しても、反応生成水27gの内、95%以
上の水がクロルベンゼンに同伴して酸化反応槽から除去
されたことになる。20時間での供給DIPNあたりのN
DCA収率は89モル%であった。
【0035】濾過器から回収された上記濾液、即ち回収
触媒を含む酢酸溶液に臭化ナトリウム粉末0.025モルを
新たに加えて溶解し、循環触媒として酸化反応槽に送入
し、次の酸化反応に使用した。この回収触媒液には、5
gの水が含まれていた。続いて、分液槽2で相分離した
下相を全量、酸化反応槽に送入した。攪拌下、圧力を8
kg/cm2Gに保ちながら、圧縮空気を標準状態に換算し
て500ml/minで供給し、室温から170℃まで1時間かけ
て徐々に昇温し、触媒の前酸化処理を行った。170℃に
到達後、空気供給量を1000ml/minに高め、2,6−D
IPN 50gをクロロベンゼン100gに溶解した原料液を
20時間かけて定量ポンプを用い、7.95g/hrの供給速度
で圧縮空気と共に、220℃に加熱した気液混合器5の中
に供給し気液混合後、上記の触媒溶液中に分散させた。
空気の供給速度は標準状態換算で1000ml/minを維持し
た。凝縮器19に90℃の熱媒油を循環して、酸化槽オフガ
スに同伴する成分の内、主として酢酸を凝縮させて酸化
槽に戻し、凝縮器6に5℃に保った冷却水を循環させて
水−クロルベンゼン蒸気および酢酸蒸気を完全に凝縮
し、凝縮液は分液槽2に貯蔵した。原料供給開始後、2
時間毎に分液槽に溜まった酢酸量を測定し、次の2時間
で同量の酢酸を酢酸供給ライン13から補充した。
【0036】20時間の供給終了後、原料と空気の供給を
止めた。酸化反応槽を冷却して圧力を常圧に戻した後、
ライン16より、生成物を抜き出した。続いて、生成物を
濾過し、淡黄色固体と触媒を含む濾液に分離した。
【0037】分液槽2に貯蔵した20時間分の凝縮液は2
相を形成していた。上相はクロルベンゼン41g、酢酸82
g、水24gからなり、下相はクロルベンゼン63g、酢酸
28g、水2gからなっていた。飽和蒸気圧からオフガス
に同伴した水を考慮しても、理論反応生成水27gの内、
95%以上の水がクロルベンゼンに同伴して反応槽から除
去されたことになる。20時間での供給DIPNあたりの
NDCA収率は88モル%であった。
【0038】同様の操作をあと2回繰り返した。その間
に、臭化ナトリウムは上述の様に追加し、分液槽2で相
分離後、回収された下相は循環再使用した。コバルトお
よびマンガン触媒は全く添加しなかった。計4回に渡り
濾別回収された淡黄色固体の全量(粗NDCA)と4回
目の濾液に含まれる2,6−NDCAを液体クロマトに
より定量し、反応成績を計算した結果、80時間に渡り供
給したDIPNの通算モル数に対する2,6−NDCA
の収率(2,6−DIPN基準)は85%であった。
【0039】比較例1 クロルベンゼンを供給しないことを除いては、実施例1
と全く同様の操作を同じ反応装置を用いて行った。その
際、2,6−DIPNは、外部電気ヒーターにより80℃
に加熱溶融して気液混合器5に空気と共に供給した。
2,6−DIPN供給速度は、実施例1と同じ2.65g/
hrである。
【0040】凝縮器19に循環する熱媒油温度を90℃に保
ち、凝縮器6に循環する冷却水の温度を5℃に保ちなが
ら、水−酢酸蒸気を完全に凝縮し、凝縮液は分液槽2に
貯蔵した。本例では、クロルベンゼン相が無いので2相
を形成しなかった。原料供給開始後、2時間毎に分液槽
に溜まった酢酸量を測定し、次の2時間で同量の酢酸を
酢酸供給ライン13から補充した。
【0041】20時間の原料供給終了後、原料と空気の供
給を止めた。酸化反応槽を冷却して圧力を常圧に戻した
後、ライン16より生成物を抜き出した。続いて、生成物
を濾過器を用いて濾過し、淡黄色固体(NDCA)とコ
バルト及びマンガン触媒を含む濾液(酢酸溶液)に分離
した。分液槽に貯蔵した20時間分の凝縮液は、酢酸85
g、水16gから成っており、均一相を形成していた。理
論反応生成水27g内、60%程度しか反応槽から除去され
ておらず、かなりの生成水が回収触媒液に残存してい
た。20時間での供給DIPNあたりのNDCA収率は89
モル%であった。
【0042】濾過器から回収された上記濾液、即ち回収
触媒を含む酢酸溶液に臭化ナトリウム粉末0.025モルを
新たに加えて溶解し、循環触媒として酸化反応槽に送入
し、次の酸化反応に使用した。この回収触媒液には、18
gの水が含まれていた。
【0043】攪拌下、圧力を8kg/cm2Gに保ちなが
ら、圧縮空気を標準状態に換算して500ml/minで供給
し、室温から170℃まで1時間かけて徐々に昇温し、触
媒の前酸化処理を行った。170℃に到達後、空気供給量
を1000ml/minに高め、2,6−DIPNを20時間かけ
て定量ポンプを用い、2.65g/hrの供給速度で圧縮空気
と共に、220℃に加熱した気液混合器5の中に供給し気
液混合後、上記の触媒溶液中に分散させた。空気の供給
速度は標準状態換算で1000ml/minを維持した。凝縮器1
9に循環する熱媒油温度を90℃に保ち、凝縮器6に循環
する冷却水の温度を5℃に保ちながら、水−酢酸蒸気を
完全に凝縮し、凝縮液は分液槽2に貯蔵した。原料供給
開始後、2時間毎に分液槽に溜まった酢酸量を測定し、
次の2時間で同量の酢酸を酢酸供給ライン13から補充し
た。
【0044】20時間の供給終了後、原料と空気の供給を
止めた。酸化反応槽を冷却して圧力を常圧に戻した後、
生成物を濾過し、淡黄色固体と触媒を含む濾液(回収触
媒を含む酢酸溶液)に分離した。分液槽2に貯蔵した20
時間分の凝縮液は、酢酸120g、水23gから成ってお
り、回収触媒液には、約22gの水が残存していた。20時
間での供給DIPNあたりのNDCA収率は85モル%で
あった。
【0045】同様の操作をあと2回繰り返した。その間
に、臭化ナトリウムは上述の様に追加したが、コバルト
およびマンガン触媒は全く添加しなかった。計4回に渡
り濾別回収された淡黄色固体の全量(粗NDCA)と4
回目の濾液に含まれる2,6−NDCAを液体クロマト
により定量し、反応成績を計算した結果、80時間に渡り
供給したDIPNの通算モル数に対する2,6−NDC
Aの収率(2,6−DIPN基準)は65%であった。
【0046】実施例2 ディスクタービン型多段攪拌翼、原料及び触媒供給ライ
ン、クロルベンゼン供給ライン、オフガス排出ライン、
生成物抜き出しラインを有するチタンライニング製1.5
l酸化反応槽1に、DIPN供給ライン10を経由して、
2,6−DIPNを20.1g/hr、クロルベンゼン供給ラ
イン11とクロルベンゼン循環ライン28から酸化反応槽1
に供給されるクロルベンゼンの合計量を48.1g/hrにな
るように調整し、触媒循環ライン23を経由して酸化反応
槽1にリサイクルされる循環触媒中の酢酸コバルト(無
水塩換算)を19.5g/hr、酢酸マンガン(無水塩換算)
を19.0g/hr、臭化ナトリウムが5.6g/hrになるよう
に補充触媒を触媒補充ライン27を経由して加えながら、
連続運転した。また、空気供給ライン12から、コンプレ
ッサーで加圧した空気を酸素71.8g/hr、窒素236.4g
/hrになるように供給し、170℃,8kg/cm2Gで連続運
転を行った。循環触媒液として触媒循環ライン23を経由
してリサイクルされた酢酸量は240g/hrであり、水分
量は5.5g/hrであった。尚、循環触媒液中には、トリ
メリット酸が0.04g/hrと僅かに含まれていた。
【0047】第1凝縮器19の出側温度が90℃になるよう
に冷却水量を制御し、オフガスに同伴する酸化槽気相成
分を部分凝縮させた。この第1凝縮液は受器20に貯ま
り、受器20の液面が一定になるように、周波数を調整し
ながら循環ポンプ22を経由して酸化反応槽1に連続循環
した。酸化反応槽1に循環する第1凝縮液は、酢酸が主
成分であった。第1凝縮器で凝縮しなかった成分は、第
2凝縮器6で35℃まで冷却し、完全に凝縮させた。第2
凝縮器6を通った後、気液分離器21でオフガスと気液分
離された第2凝縮液の全量は、100g/hrであり、その
内訳は、水が11.8g/hr、クロルベンゼンが34.1g/h
r、酢酸が54g/hrであった。
【0048】この第2凝縮液は、分液槽2で直ちに2相
分離し、上相と下相をそれぞれ界面が一定になるよう
に、ポンプ30及びポンプ29を作動させて排出した。ポン
プ30の排出した水に含む相の量は、水が11.2g/hr、ク
ロルベンゼンが17.2g/hr、酢酸が46.5g/hrであり、
ポンプ29で循環されるクロルベンゼンに含む相の量は、
水が0.6g/hr、クロルベンゼンが16.9g/hr、酢酸が
7.5g/hrであった。この様に、酸化生成水の理論生成
量(10.2g/hr)以上の水を系外に排出できた。尚、水
の排出量が理論量よりも多いのは、触媒付着水(4配位
水)も抜けていることによる。
【0049】触媒循環による連続運転開始時から10hr後
のNDCA収率(DIPN基準)は85%であったが、触
媒循環を連続的に続けると収率は向上し始め、10から10
0hrの間、NDCA収率は90%で安定した。トリメリッ
ト酸収率は6%であった。その間、循環触媒の活性の低
下は見られなかった。粗NDCAは、さらさらとした淡
黄色粉末であり、触媒との固液分離性は良好であった。
【0050】以上のように、クロルベンゼンを加えて酸
化生成水の蒸発量を増やし、オフガス同伴成分を部分凝
縮することによって回収される、酢酸を主成分とする部
分凝縮液は酸化槽に循環し、酸化生成水は続く第2凝縮
器で完全凝縮させて、クロルベンゼン相(下相)と相分
離して系外に抜き出せば、簡単に酸化生成水を酸化系か
ら除くことが出来、触媒循環させても、NDCAの濾過
性も悪化せず、触媒活性の低下もなく、長時間に渡り、
高いNDCA収率を維持することが出来る。
【0051】比較例2 クロルベンゼンを供給しないこと及び、クロルベンゼン
循環ポンプ29を起動させないことを除いて、実施例2と
同様の装置及び同様の操作を行った。
【0052】第2凝縮器6出側の完全凝縮液は2相に分
相せず、酸化生成水排出ライン26から抜き出される量
は、水が8.3g/hr、酢酸が50g/hrであった。実施例
2と比較しても、水抜け量は理論的な酸化生成水量(1
0.2g/hr)を下回っており、その結果、固液分離器25
を経由して酸化槽に循環される循環触媒液中の水分は、
実施例2の5.5g/hrと較べて大きく、しかも触媒循環
時間が長くなるにつれて、増加した。
【0053】触媒循環開始10hr後に触媒循環ライン23を
経由して循環される触媒液中の水量は約25g/hrであ
り、その時のNDCA収率は85%であったが、20hr後の
水量は約43g/hrにまで増加し、NDCA収率は79%に
低下した。
【0054】さらに触媒循環を続けたところ、更に水が
蓄積し、30hr後にはNDCA収率は、70%まで低下し
た。明らかに触媒活性の低下が見られ、固液分離器25か
ら得られる粗NDCAも、粘りけのある茶褐色固体に変
化し、濾過性も悪化した。
【0055】比較例3 比較例2の第1凝縮器19出側温度を90℃から130℃に高
めて、第2凝縮器6に流れる水量を高めることを除い
て、比較例2と同様の操作を行った。第2凝縮器6出側
の完全凝縮液は2相に分相せず、酸化生成水排出ライン
26から抜き出される水量は12.8g/hrにまで増加した
が、酢酸量も181g/hrに増加した。部分凝縮液受器25
から酸化反応槽1に戻る酢酸量が減少し、酸化槽液面レ
ベルが急激に低下し、酢酸反応槽1から固液分離器25に
到るラインで触媒とNDCAによる閉塞が起こり、連続
酸化の安定性が損なわれ、運転が不可能となった。
【0056】比較例4 第1凝縮器19出側温度を50℃にする以外は、実施例2と
全く同様の操作を行った。その結果、部分凝縮する液量
が増加し、第2凝縮器6での完全凝縮量が減少した。第
2凝縮器6を通った後、気液分離器21でオフガスと気液
分離された凝縮液の全量は、23.6g/hrであり、その内
訳は、水が5.8g/hr、クロルベンゼンが7.9g/hr、酢
酸が9.9g/hrであった。
【0057】その結果、水抜け量は理論的な酸化生成水
量(10.2g/hr)を下回っており、その結果、固液分離
器25を経由して酸化反応槽1に循環される循環触媒液中
の水分は、実施例2の5.5g/hrと較べて大きく、しか
も触媒循環時間が長くなるにつれて、増加した。
【0058】触媒循環開始10hr後に触媒循環ライン23を
経由して循環される触媒液中の水量は約50g/hrであ
り、その時のNDCA収率は75%であったが、さらに触
媒循環を続けたところ、更に水が蓄積し、20hr後にはN
DCA収率は、50〜60%まで低下した。明らかに触媒活
性の低下が見られ、固液分離器25から得られる粗NDC
Aも、粘りけのある茶褐色固体に変化し、濾過性も悪化
した。
【0059】比較例5 第1凝縮器19出側温度を140℃にする以外は、実施例2
と全く同様の操作を行った。その結果、部分凝縮する第
1凝縮液量が減少し、第2凝縮器6での完全凝縮量が増
加した。第2凝縮器6を通った後、気液分離器21でオフ
ガスと気液分離された第2凝縮液の全量は、219g/hr
であり、その内訳は、水が14.1g/hr、クロルベンゼン
が54g/hr、酢酸が151g/hrであった。
【0060】第1凝縮液受器20から酸化反応槽1に戻る
酢酸量が減少し、酸化槽液面レベルが急激に低下し、酸
化反応槽1から固液分離器25に到るラインで触媒とND
CAによる閉塞が起こり、連続酸化の安定性が損なわ
れ、運転が不可能となった。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、従来の
酸化技術では解決出来なかった酸化生成水の蓄積による
触媒失活を抑えることが可能となり、触媒をリサイクル
使用しても、初期の活性を長期間に渡り維持出来、経時
的なNDCA収率の低下や不純物副生量の増加を抑える
ことが出来、その結果、長時間に渡り、安定した収率で
高品質のNDCAを製造できることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用した装置の一例の構成を
示す系統図である。
【図2】本発明の実施例に使用した装置の他の一例の構
成を示す系統図である。
【符号の説明】
1…酸化反応槽 2…分液槽 3…気液分離器 4…受器 5…気液混合器 6…第2凝縮器 7…攪拌機 8…スパージャー 9…原料供給ライン 10…DIPN供給ライン 11…クロルベンゼン供給ライン 12…空気供給ライン 13…酢酸供給ライン 14…気相排出ライン 15…循環ライン 16…NDCA抜き出しライン 17…クロルベンゼンに富む相 18…水に富む相 19…第1凝縮器 20…第1凝縮液受器 21…気液分離器 22…第1凝縮液循環ポンプ 23…触媒循環ライン 24…オフガス排出ライン 25…固液分離器 26…酸化生成水排出ライン 27…触媒補充ライン 28…クロルベンゼン循環ライン 29…クロルベンゼン循環ポンプ 30…生成水排出ポンプ
フロントページの続き (72)発明者 山本 友義 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 加藤 貴行 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 橘 躍動 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジイソプロピルナフタレンをコバルト、
    マンガン、セリウム、又はニッケルの内、少なくとも1
    種の重金属塩と臭素化合物からなる触媒を含む酢酸、プ
    ロピオン酸又は両者の混合溶媒中で、分子状酸素により
    酸化してナフタレンジカルボン酸を製造する際に、この
    酸化反応を行わせる溶液にクロルベンゼン又はベンゼン
    を供給し、該酸化反応溶液から排出される気相を冷却し
    て凝縮させ、クロルベンゼンあるいはベンゼンに富む相
    と水に富む相に分相する該凝縮液のうちクロルベンゼン
    あるいはベンゼンに富む相は前記酸化反応溶液内へ循環
    し、水に富む相は系外に抜き出すことを特徴とするナフ
    タレンジカルボン酸の製造方法
  2. 【請求項2】 酸化反応液から排出される気相を部分的
    に凝縮させて得られる部分凝縮液を該酸化反応液に循環
    すると共に、残りの気相を冷却して完全凝縮させた後、
    クロルベンゼンあるいはベンゼンに富む相と水に富む相
    に分相する該完全凝縮液の内、クロルベンゼンあるいは
    ベンゼンに富む相は前記酸化反応液に循環し、水に富む
    相は系外に抜き出すことを特徴とする請求項1記載のナ
    フタレンジカルボン酸の製造方法
  3. 【請求項3】 ジイソプロピルナフタレンが、2,6−
    ジイソプロピルナフタレン、2,7−ジイソプロピルナ
    フタレン又は両者の混合物である請求項1又は2記載の
    ナフタレンジカルボン酸の製造方法
  4. 【請求項4】 該酸化を150〜180℃、反応圧力10kg/cm
    2G(ゲージ圧力)以下で行う請求項1又は2記載のナフ
    タレンジカルボン酸の製造方法
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