JP2013206871A - 光蓄電池電極、光蓄電池電極の製造方法および光蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】可視光下でも十分な発電効率が得られ、自然放電も抑えられ、サイクル特性も良好な光蓄電池電極およびその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性基材上に金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極であり、前記多孔質層中の空孔比率を導電性基材側から表面側に向けて連続的または段階的に減少するように構成する。さらに、前記多孔質層中に水溶性樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下の水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを含有させる。
【選択図】なし
【解決手段】導電性基材上に金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極であり、前記多孔質層中の空孔比率を導電性基材側から表面側に向けて連続的または段階的に減少するように構成する。さらに、前記多孔質層中に水溶性樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下の水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを含有させる。
【選択図】なし
Description
本発明は、光蓄電池電極、光蓄電池電極の製造方法および光蓄電池に関する。特に可視光下でも十分な発電効率が得られ、自然放電も抑えられ、サイクル特性も良好な光蓄電池電極および光蓄電池に関し、さらにフレキシブルな光蓄電池電極を安価な方法で得られる製造方法に関する。
近年再生可能エネルギーがますます注目されてきており、太陽光発電もその一つとして非常に注目されている。しかし、従来の太陽光発電では光エネルギーを電気エネルギーに変換可能であるが、蓄積して必要な時に電気エネルギーとして取り出すことはできないため、別途蓄電池が必要となり、光蓄電システムが小型化できないという問題がある。
そこで、光電変換装置等と蓄電池とを組み合わせた光蓄電システムの簡素化として、光蓄電及び蓄電の機能を合わせ持つ単一物質からなる電極が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では、蓄電に伴って、電極物質の変化が起こり、発電効率が低下してしまう問題があった。これを改良するために、導電性高分子に光触媒粒子を分散した電極を用いる方法(例えば、特許文献2参照)や、さらに紫外線を照射して、導電性高分子が傾斜含有する電極を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
上記特許文献2の光蓄電池は、発電と蓄電は確かに確認されるが、導電性高分子に光触媒が覆われているために発電効率が低く、放電容量が小さい。特に紫外光をカットした可視光照射のみの場合に顕著である。
また、特許文献3の方法では、表面側の光触媒が導電性高分子に覆われていないために、発電効率はやや高くなるが、自己放電が劣化する。さらに、バインダ成分でもある導電性高分子を除去した部分があるために、蓄電と放電を繰り返すサイクル特性も劣化するという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、可視光下でも十分な発電効率が得られ、自然放電も抑えられ、サイクル特性も良好な光蓄電池電極およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を積み重ねた。その結果、驚くべきことに、導電性基材上に、金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子による多孔質膜層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有する光蓄電池電極により、上記課題が解決され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1、導電性基材上に金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極。
2、前記多孔質層の空孔比率が、前記導電性基材側から前記多孔質層の表面側に向かって連続的または段階的に減少する、前記1に記載の光蓄電池電極。
3、前記多孔質層内に下記一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂、またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを含有する、前記1または2に記載の光蓄電池電極。
1、導電性基材上に金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極。
2、前記多孔質層の空孔比率が、前記導電性基材側から前記多孔質層の表面側に向かって連続的または段階的に減少する、前記1に記載の光蓄電池電極。
3、前記多孔質層内に下記一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂、またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを含有する、前記1または2に記載の光蓄電池電極。
〔式中、R1は少なくとも一つの水酸基を含む置換基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す。〕
4、導電性基材上に可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質膜層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極の製造方法であって、
金属酸化物、有機金属化合物及び有機樹脂の混合液を前記導電性基材上に塗布し乾燥して塗膜を得る工程と、
前記有機樹脂を蒸散除去する工程と、
前記有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と、下記一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する工程と、
を含む、光蓄電池電極の製造方法。
4、導電性基材上に可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質膜層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極の製造方法であって、
金属酸化物、有機金属化合物及び有機樹脂の混合液を前記導電性基材上に塗布し乾燥して塗膜を得る工程と、
前記有機樹脂を蒸散除去する工程と、
前記有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と、下記一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する工程と、
を含む、光蓄電池電極の製造方法。
〔式中、R1は少なくとも一つの水酸基を含む置換基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す。〕
5、前記有機樹脂を蒸散除去する工程が波長200nm以下の真空紫外光を照射する、前記4に記載の製造方法。
6、前記混合液中の有機樹脂の含有比率を、基材側から表面側に向かって連続的または段階的に少なくした混合液を積層塗布する工程を有する、前記4または5に記載の製造方法。
7、前記1〜3のいずれか1つに記載の光蓄電池、または前記4〜6のいずれか1つに記載の製造方法により得られる光蓄電池電極を設けた、光蓄電池。
5、前記有機樹脂を蒸散除去する工程が波長200nm以下の真空紫外光を照射する、前記4に記載の製造方法。
6、前記混合液中の有機樹脂の含有比率を、基材側から表面側に向かって連続的または段階的に少なくした混合液を積層塗布する工程を有する、前記4または5に記載の製造方法。
7、前記1〜3のいずれか1つに記載の光蓄電池、または前記4〜6のいずれか1つに記載の製造方法により得られる光蓄電池電極を設けた、光蓄電池。
本発明によれば、可視光下でも十分な発電効率が得られ、自然放電も抑えられ、サイクル特性も良好な光蓄電池電極およびその製造方法が提供されうる。
本発明は、導電性基材上に金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質膜層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極である。
本発明の光蓄電池電極を用いることにより、可視光下でも十分な発電効率が得られ、自然放電も抑えられ、サイクル特性も良好な光蓄電池が得られる。
さらに、金属酸化物、有機金属化合物および有機樹脂を含む混合液を導電性基材上に塗布、乾燥した後、有機樹脂を蒸散し、導電性高分子と、水溶性バインダまたは自己分散型ポリマーを供給する工程を含む本発明の光蓄電池電極の製造方法は、非常に生産性が高く、連続生産に適しており、かつ可視光照射でも発電効率が高く、自然放電も抑えられ、サイクル特性も良好な光蓄電池電極を製造することができる。
以下、本発明の光蓄電池電極の構成について、詳細に説明する。
<多孔質層>
本発明に係る多孔質層は、金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成され、多孔質層内部には導電性高分子を含む。ここで、本発明における多孔質層は、可視光応答型光触媒粒子以外の粒子を含んでいても良い。また、発電効率の観点から、多孔質層の70質量%以上が金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子で構成されていることが好ましく、さらに好ましくは90質量%以上である。
本発明に係る多孔質層は、金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成され、多孔質層内部には導電性高分子を含む。ここで、本発明における多孔質層は、可視光応答型光触媒粒子以外の粒子を含んでいても良い。また、発電効率の観点から、多孔質層の70質量%以上が金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子で構成されていることが好ましく、さらに好ましくは90質量%以上である。
本発明の可視光応答型光触媒粒子は、光触媒機能を有する光触媒物質に対して、金属化合物が担持されている構造を有する。ここで、金属化合物が担持されているとは、光触媒物質に金属化合物が原子レベルで取り込まれた状態や、金属化合物の微粒子が光触媒物質の表面に付着した状態を含む。このような光触媒物質に対して金属化合物が担持されている状態は、走査型電子顕微鏡などにより観察することができる。前記金属化合物は、前記光触媒物質に対する助触媒としての機能を有する。
金属化合物を担持する方法としては、後ほど光蓄電池電極の製造方法で述べるように、光触媒機能を持つ金属酸化物粒子と担持させる金属化合物の前駆体となる有機金属化合物の混合液を塗布、乾燥した後に、波長200nm以下の真空紫外光を照射させる方法や、金属の塩化物水溶液、例えば塩化第二銅水溶液や塩化第三鉄水溶液を金属酸化物粒子に含浸、加熱させる方法などがある。
本発明で用いられる金属化合物は、光触媒物質上に金属酸化物として担持されれば、担持前の形態はどのような金属化合物でも良い。担持された状態の金属化合物としては、例えば、酸化白金(PtO2)、酸化金(Au2O3)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化銅(CuO)等が挙げられる。
本発明で用いられる光触媒物質の具体例としては、光触媒機能を有する物質であれば特に限定はなく、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3種の結晶構造が知られており、光触媒物質としてはアナターゼ型が好適である。なお、酸化チタンの結晶構造は、例えば、X線回折スペクトルのピーク位置に基づいて同定することができる。これら光触媒物質は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
光触媒物質は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。合成する方法としては、例えば、硫酸チタン等を加水分解して作る方法やチタンアルコキシドを加水分解して生成するゾルゲル法などの公知の方法で製造することができる。
本発明に係る可視光応答型光触媒粒子としては、例えば、酸化タングステン(WO3)や必要に応じて窒素、硫黄等をドープした酸化チタン(TiO2)等の光触媒物質の表面に、酸化白金(PtO2)、酸化金(Au2O3)、酸化鉄(Fe2O3)、および酸化銅(CuO)からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物を担持させた光触媒粒子が挙げられる。
酸化チタン粒子に窒素、硫黄等をドープする方法としては、例えば、200〜700℃の温度で、酸化チタン粒子を、尿素、アミノ酸、アンモニア、硫黄担体、チオウレア、メルカプタン、デカンチオール、およびチオアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種の窒素化合物または硫黄化合物と接触させる方法や、前記の窒素化合物および/または硫黄化合物を酸化チタン粒子の製造工程において混合する方法等が挙げられる。
ここで、ドープとは、酸化物結晶にドープ材料が原子レベルで取り込まれた状態を表し、例えば、XPS法(X線光電子分光法)でのピークのシフトにより確認できる。
可視光応答型光触媒粒子中の金属化合物の含有量は、金属化合物中の金属原子が光触媒物質に対して0.01〜10質量%となる量であることが好ましく、0.05〜1.0質量%となる量であることがより好ましい。
本発明の多孔質層においては、多孔質層の前記導電性基材側から前記多孔質層の表面側に向かって、連続的または段階的に多孔質層の空孔比率が減少することが好ましい。このような多孔質層を形成することにより、表面側の多孔質層における可視光応答型光触媒粒子が、導電性高分子に覆われにくくなり、その結果、発電効率が向上するためである。
ここで、空孔を形成する方法としては、大粒径と小粒径の光触媒粒子を混合した溶液を塗布乾燥して形成してもよいが、空孔比率を制御するためには、光触媒粒子に有機樹脂を加えた混合液を塗布乾燥した後、有機樹脂を蒸散させることで空孔を形成することが好ましい。
多孔質層の空孔比率を前記導電性基材側から前記多孔質層の表面側に向かって、連続的または段階的に減少させる方法としては、例えば光触媒粒子に対して蒸散させる有機樹脂の比率を連続的または段階的に減少させた混合液を基材上に逐次積層すれば良い。このとき、1層ごとに塗布、乾燥、樹脂蒸散除去工程を行い、積層してもよいし、全層の塗布、乾燥が終わった後、樹脂蒸散除去を行ってもよいが、積層塗布を同時重層で行い、その後乾燥と樹脂蒸散除去を行うことが各層の接着性が高くなり、生産性も高いためにより好ましい。
空孔比率としては、10〜50%が好ましく、15〜40%がより好ましい。かような空孔比率の範囲であれば、放電容量及びサイクル特性が優れる。
また、多孔質層の膜厚は、1μm〜30μmが好ましく、5μm〜25μmがより好ましい。かような膜厚の範囲であれば、放電容量に優れ、透明性や膜物性に優れる。
(導電性高分子)
本発明において、「導電性」とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗が1×108Ω/□より低いことをいう。
本発明において、「導電性」とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗が1×108Ω/□より低いことをいう。
本発明に係る導電性高分子は、π共役系導電性高分子であることが好ましい。
本発明に係るπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類、の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
これらのπ共役系高分子を得る方法としては、前駆体モノマーを酸化重合する方法や電解重合する方法などがある。酸化重合するときには、ポリ陰イオンの存在下で行ってもよい。
(π共役系導電性高分子前駆体モノマー)
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
本発明に用いても良いポリ陰イオンは、置換もしくは未置換のポリアルキレン、置換もしくは未置換のポリアルケニレン、置換もしくは未置換のポリイミド、置換もしくは未置換のポリアミド、置換もしくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリ陰イオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリ陰イオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリ陰イオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリ陰イオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にさらにF(フッ素原子)を有するポリ陰イオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリ陰イオンは、ヒドロキシ基含有非導電性ポリマーとの相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリ陰イオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリ陰イオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有しないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有しないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
π共役系導電性高分子とポリ陰イオンの比率、「π共役系導電性高分子」:「ポリ陰イオン」は質量比で1:1〜20が好ましい。導電性、分散性の観点からより好ましくは1:2〜10の範囲である。
π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーをポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合して、本発明に係る導電性ポリマーを得る際に使用される酸化剤は、例えばJ.Am.Soc.,85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適する、いずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価でかつ取扱い易い酸化剤、例えば鉄(III)塩、例えばFeCl3、Fe(ClO4)3、有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩、または過酸化水素、重クロム酸カリウム、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)またはアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウム及び銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン及びバナジウムイオンの存在下における空気及び酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。
有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例としては、炭素数1〜20のアルカノールの硫酸半エステルの鉄(III)塩、例えばラウリル硫酸;炭素数1〜20のアルキルスルホン酸、例えばメタンまたはドデカンスルホン酸;脂肪族炭素数1〜20のカルボン酸、例えば2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族パーフルオロカルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタノン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸並びに殊に芳香族の、随時炭素数1〜20のアルキル置換されたスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩が挙げられる。
こうした導電性高分子は、市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、H.C.Starck社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PSSの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることができる。
第2ドーパントとして有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。前記ヒドロキシ基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、等が挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
多孔質層内には、さらに一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを含有することが好ましい。
一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂は、下記のように表される。
〔式中、R1は少なくとも一つの水酸基を含む置換基を表し、R2は水素原子またはメ
チル基を表す。〕
前記一般式(1)で表される構造単位において、R1は少なくとも一つの水酸基を含む置換基であればよいが、水酸基以外の置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、より好ましくはアルキル基である。
チル基を表す。〕
前記一般式(1)で表される構造単位において、R1は少なくとも一つの水酸基を含む置換基であればよいが、水酸基以外の置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、より好ましくはアルキル基である。
これらの置換基は更に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等で置換されても良い。これらのうち好ましくは、水酸基、アルキルオキシ基である。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。
上記アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることが更に好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。上記ヘテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることが更に好ましい。ヘテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。上記ヘテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることが更に好ましい。ヘテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる。上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニル基の例には、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例には、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシスルホニル基の例には、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例には、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例には、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。置換基は同一でも異なっていても良く、これら置換基が更に置換されても良い。
前記一般式(1)で表される構造単位において、R1として、具体的には2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル等が挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシエチル基であり、R2は水素、メチル基を表す。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂は、該水溶性バインダー樹脂のGPCにより求めた分子量が1000以下の低分子量成分の含有率が0〜5質量%であることを特徴とする。
これらの水溶性バインダー樹脂を得る方法としては、再沈殿法、分取GPCにより、またはリビング重合による単分散のポリマーを合成等により、低分子量成分を除去する、または低分子量成分の生成を抑制する方法が用いられる。再沈殿法は、ポリマーが溶解可能な溶媒へ溶解し、ポリマーを溶解した溶媒より溶解性の低い溶媒中へ滴下することにより、ポリマーを析出させ、モノマー、触媒、オリゴマー等の低分子量成分を除去する方法である。また、分取GPCは例えばリサイクル分取GPCLC−9100(日本分析工業社製)、ポリスチレンゲルカラムで、ポリマーを溶解した溶液をカラムに通すことにより分子量で分けることができ、所望の低分子量をカットすることができる方法である。リビング重合は、開始種の生成が経時で変化せず、また停止反応等の副反応が少なく、分子量の揃ったポリマーが得られる。分子量はモノマーの添加量により調製できるため、例えば分子量を2万のポリマーを合成すれば、低分子量体の生成を抑制することができる。生産適正から、再沈殿法、リビング重合が好ましい。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂の数平均分子量、分子量分布の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、水溶性バインダー樹脂が溶解すれば特に限りはなく、THF、DMF、CH2Cl2が好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDM
Fである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
Fである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂の数平均分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂の分子量分布は1.01〜1.30が好ましく、より好ましくは1.01〜1.25である。
本発明に係る水溶性バインダー樹脂は、該水溶性バインダー樹脂のGPCにより求めた分子量が1000以下の低分子量成分の含有率が0〜5質量%である。
GPCにより求めた分子量1000以下のものの含有量は、GPCにより得られた分布において、分子量1000以下の面積を積算し、分布全体の面積で割ることで割合を換算した。
本発明に係る一般式(1)で表される構造単位を含有する水溶性バインダー樹脂を得るためにはリビングラジカル重合が好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される構造単位を含有する水溶性バインダー樹脂を得るために実施するリビングラジカル重合溶剤は、反応条件下で不活性であり、モノマー、生成するポリマーを溶解できれば特に制限はないが、アルコール系溶媒と水の混合溶媒が好ましい。
本発明に係る一般式(I)で表される構造単位を含有する水溶性バインダー樹脂を得るために実施するリビングラジカル重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
本発明に係る一般式(1)で表される構造単位を含有する水溶性バインダー樹脂の含有量は、導電性高分子に対して、10〜500質量%が好ましく、より好ましくは30〜300質量%である。
ガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーは、ミセル形成を補助する界面活性剤や乳化剤等を含まず、ポリマー単体で水系溶媒に分散可能なものである。本発明において、「水系溶媒に分散可能」とは、水系溶剤中に凝集せずにバインダー樹脂からなるコロイド粒子が分散している状況であることをいう。コロイド粒子の大きさは一般的に0.001〜1μm(1〜1000nm)程度である。粒子の大きさとしては3〜500nmが好ましく、より好ましくは5〜300nmで、さらに好ましくは10〜100nmである。上記のコロイド粒子については、光散乱光度計により測定することができる。
また、上記水系溶剤としては、純水(蒸留水、脱イオン水を含む)のみならず、酸、アルカリ、塩等を含む水溶液、含水の有機溶媒、さらには親水性の有機溶媒であることを意味し、純水(蒸留水、脱イオン水を含む)、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、水とアルコールの混合溶媒等が挙げられる。
本発明に係る解離性基含有自己分散型ポリマーは透明であることが好ましい。
解離性基含有自己分散型ポリマーとしては、フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はない。また、光蓄電池電極表面へのブリードアウト性能に問題がなければ特に限定はないが、ポリマー分散液中に界面活性剤(乳化剤)や造膜温度をコントロールする可塑剤等は含まないことが好ましい。
光蓄電池電極の製造に用いる解離性基含有自己分散型ポリマーの分散液のpHは、別途相溶させる導電性ポリマー溶液と分離しない範囲であることが望ましく、0.1〜11.0が好ましく、より好ましくは3.0〜9.0で、さらに好ましくは4.0〜7.0である。
本発明に係る解離性基含有自己分散型ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、25℃以上80℃以下である。好ましくは30〜75℃で、より好ましくは50〜70℃である。
25℃未満では光蓄電池の自己放電性能やサイクル特性を劣化させる。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度10℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めることができる。
25℃未満では光蓄電池の自己放電性能やサイクル特性を劣化させる。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度10℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めることができる。
解離性基含有自己分散型ポリマーに使用される解離性基としては、アニオン性基(スルホン酸、及びその塩、カルボン酸及びその塩、リン酸及びその塩等)、カチオン性基(アンモニウム塩等)等が挙げられる。特に限定はないが、導電性高分子溶液との相溶性の観点から、アニオン性基が好ましい。解離性基の量は、自己分散型ポリマーが水系溶媒に分散可能であれば良く、可能な限り少ない方が工程適性的に乾燥負荷が低減されるため、好ましい。また、アニオン性基、カチオン性基に使用されるカウンター種に特に限定はない。
解離性基含有自己分散型ポリマーの主骨格としては、ポリエチレン、ポリエチレン−ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアクリレート−ポリエステル、ポリアクリレート−ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン−ポリカーボネート、ポリウレタン−ポリエーテル、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリアクリレート、シリコーン、シリコーン−ポリウレタン、シリコーン−ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン−ポリアクリレート、ポリフルオロオレフィン−ポリビニルエーテル等が挙げられる。また、これらの骨格をベースに、さらに他のモノマーを使用した共重合でもよい。これらの中でエステル骨格を有するポリエステル樹脂エマルジョン、ポリエステル−アクリル樹脂エマルジョン、エチレン骨格を有するポリエチレン樹脂エマルジョンが好ましい。
市販品としては、ポリゾールFP3000(ポリエステル樹脂、アニオン、コア:アクリル、シェル:ポリエステル、昭和電工社製)、バイロナールMD1245(ポリエステル樹脂、アニオン、東洋紡社製)、バイロナールMD1500(ポリエステル樹脂、アニオン、東洋紡社製)、バイロナールMD2000(ポリエステル樹脂、アニオン、東洋紡社製)、プラスコートRZ105(ポリエステル樹脂、アニオン、互応化学社製)、プラスコートRZ570(ポリエステル樹脂、アニオン、互応化学社製)を用いることができる。上記水系溶媒に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマー分散液は1種でも複数種でも使用することができる。
解離性基含有自己分散型ポリマーの使用量は、導電性高分子に対して50〜1000質量%が好ましく、より好ましくは100〜900質量%で、さらに好ましくは200〜800質量%である。
<導電性基材>
本発明における光蓄電池電極は、導電性基材を有する。
本発明に用いられる導電性基材としては、透明樹脂フィルムや透明ガラス上に、透明導電膜を設けたものが好ましい。透明樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン、セルロースエステル等のフィルムや、ガラスクロスやセルロースナノファイバーに樹脂を含浸したフィルム、アクリルモノマーにシルセスキオキサン等の無機モノマーや無機粒子を配合して硬化したフィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性、更に耐熱性や耐候性の点で、紫外線が配合されたポリカーボネート(PC)や、加水分解性が抑制されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、などが好ましく用いられる。
本発明における光蓄電池電極は、導電性基材を有する。
本発明に用いられる導電性基材としては、透明樹脂フィルムや透明ガラス上に、透明導電膜を設けたものが好ましい。透明樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン、セルロースエステル等のフィルムや、ガラスクロスやセルロースナノファイバーに樹脂を含浸したフィルム、アクリルモノマーにシルセスキオキサン等の無機モノマーや無機粒子を配合して硬化したフィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性、更に耐熱性や耐候性の点で、紫外線が配合されたポリカーボネート(PC)や、加水分解性が抑制されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、などが好ましく用いられる。
基材の厚さは、樹脂フィルムの場合には5〜200μmが好ましく、更に好ましくは15〜150μmである。ガラスの場合には、0.1mm〜3.0mmが好ましく、更に好ましくは0.3〜1.5mmである。
さらに、透明樹脂フィルムには、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施したり易接着層を設けたりすることができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理等を挙げることができる。また、易接着層としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、またはエポキシ系共重合体を含む層を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるために2層以上の構成にしてもよい。
本発明に用いられる導電性基材の透明導電膜としては、SnO2、CdO、ZnO、CTO系(CdSnO3、Cd2SnO4、CdSnO4)、In2O3、CdIn2O4等の金属酸化物や透明な金属薄膜、格子状の金属線パターンなどを用いることができる。好ましくは、上記の金属酸化物に、Sn、Sb、F及びAlから選ばれる1種または2種以上を添加した複合(ドープ)材料が挙げられる。中でも好ましいのは、SnをドープしたIn2O3(ITO)、SbをドープしたSnO2、FをドープしたSnO2(FTO)等の導電性金属酸化物であり、耐熱性向上の観点から、FTOが最も好ましく用いられる。
透明導電膜の導電性は、高い方がよく、シート抵抗としては0.1〜1000Ω/□が好ましい。
透明導電膜の導電性は、高い方がよく、シート抵抗としては0.1〜1000Ω/□が好ましい。
(光蓄電池電極の製造方法)
本発明の光蓄電池電極の製造方法は、金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子による多孔質層内に導電性高分子を含有できれば、どのような方法でも構わない。例えば、粒径の異なる2種類の可視光応答型光触媒粒子を混合した溶液を塗布乾燥して多孔質層を形成した後、前記多孔質層上に導電性高分子を供給する方法;金属酸化物および有機金属化合物と有機樹脂を混合した混合液を塗布乾燥して塗膜を得る工程と、前記有機樹脂を蒸散させる工程と、前記有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と、一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する工程と、を含む方法などがあげられる。
本発明の光蓄電池電極の製造方法は、金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子による多孔質層内に導電性高分子を含有できれば、どのような方法でも構わない。例えば、粒径の異なる2種類の可視光応答型光触媒粒子を混合した溶液を塗布乾燥して多孔質層を形成した後、前記多孔質層上に導電性高分子を供給する方法;金属酸化物および有機金属化合物と有機樹脂を混合した混合液を塗布乾燥して塗膜を得る工程と、前記有機樹脂を蒸散させる工程と、前記有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と、一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する工程と、を含む方法などがあげられる。
粒径の2種類の可視光応答型光触媒粒子を混合した溶液とは、大きい粒子に対して、粒径比が1/10〜1/2の小さい粒子を、3〜10%混合した溶液のことである。
特に、多孔質層内の空孔比率を制御して、基材側から表面側に向かって連続的または段階的に空孔比率を小さくし、生産性が高く、連続生産に適しており、かつ放電容量が高く、自己放電が少なく、サイクル特性に優れた光蓄電池電極を製造するという観点から、金属酸化物および有機金属化合物と有機樹脂を混合した混合液を塗布乾燥して塗膜を得る工程と、前記有機樹脂を蒸散させる工程と、前記有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂、またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する工程と、を含む製造方法が好ましい。
以下、このような好ましい光蓄電池電極の製造方法について詳細に説明する。
<混合液を塗布乾燥して塗膜を得る工程>
本工程では、金属酸化物および有機金属化合物と有機樹脂を溶媒中で混合した混合液を塗布、乾燥し塗膜を得る。
本工程では、金属酸化物および有機金属化合物と有機樹脂を溶媒中で混合した混合液を塗布、乾燥し塗膜を得る。
前記金属酸化物は、可視光下で光触媒機能を有する可視光応答型光触媒粒子である。また、前記有機金属化合物は、前記光触媒粒子上に担持される金属化合物の前駆体となる物質であり、前記有機樹脂は蒸散除去され、多孔質層の空孔を形成するものである。
光触媒物質となる金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン等が挙げられる。また、有機金属化合物の具体例としては、例えば、ナフテン酸鉄、アセチルアセトン鉄、2−エチルヘキサン酸鉄などの有機鉄化合物、ビス[(S)−2−ヒドロキシプロピオン酸]銅(II)、銅エトキシドなどの有機銅化合物等が挙げられる。有機樹脂の具体例としては、例えば、PMMAなどのアクリル樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
また、上記のような製造方法においては金属酸化物の結晶性が低い方が、最終的に得られる光触媒粒子中の光触媒物質と金属化合物との結合性を向上するため、より好ましい。
混合液の溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコ−ル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピルなどのエステル類等が挙げられる。
混合液中の金属酸化物の濃度は、50〜94質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。混合液中の有機金属化合物の濃度は、0.00003〜0.08質量%であることが好ましい。混合液中の有機樹脂の濃度は、6〜50%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
さらに、混合液中の有機樹脂の濃度を、基材側から表面側に向かって連続的または段階的に少なくした混合液を積層塗布することが好ましい。
塗布方法は、特に制限されず、例えば、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ロールコート、エアーナイフコート、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、スピンコーター、ベーカーアプリケーターおよびグラビアコーター等の装置を用いる種々の塗布方法が挙げられる。
同時重層塗布により塗膜を形成してもよい。同時重層塗布の方法としては、例えば、米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
乾燥の条件も特に制限されないが、25〜200℃の温度で、5〜30分間乾燥することが好ましい。
<有機樹脂を蒸散除去する工程>
本工程では、上記で得られた塗膜に対して、有機樹脂を蒸散除去させて、多孔質層を形成する。
本工程では、上記で得られた塗膜に対して、有機樹脂を蒸散除去させて、多孔質層を形成する。
有機樹脂を蒸散除去する方法としては、前記有機樹脂が蒸散する以上の温度で焼成する方法、波長200nm以下の真空紫外光を照射する方法などがあげられる。
特に、生産性が高く、連続生産に適しており、有機樹脂の蒸散除去と同時に光触媒粒子に金属化合物を担持させることができ、かつ放電容量が高く、自己放電が少なく、サイクル特性に優れ、さらにフレキシブル性を持たせるために樹脂フィルムを用いるためにも、波長200nm以下の真空紫外光を照射する方法が好ましい。
波長200nm以下の真空紫外光を照射する方法は、化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、原子の結合を直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温の条件で、光触媒層の形成を行う。
本工程により、(a)有機金属化合物の酸化、(b)光触媒物質への金属化合物の担持、を同時に行うことができ、かつ生産性が高く、連続生産に適した製造方法となる。
真空紫外光としては、エキシマ光、F2レーザー等が挙げられるが、エキシマ光が好ましい。
真空紫外光の光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。Xe、Kr、Ar、Neなどの希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には、
e+Xe→e+Xe*
Xe*+Xe+Xe→Xe2 *+Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe2 *が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。加えて、発光効率が他の希ガスよりも高いことや、大面積へ照射するためのランプを石英ガラスで作製できることから、Xeエキシマランプを好ましく使用することができる。
e+Xe→e+Xe*
Xe*+Xe+Xe→Xe2 *+Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe2 *が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。加えて、発光効率が他の希ガスよりも高いことや、大面積へ照射するためのランプを石英ガラスで作製できることから、Xeエキシマランプを好ましく使用することができる。
エネルギーの観点のみであれば、Arエキシマ光(波長126nm)が最も高いエネルギーを有する。しかしながら、Arエキシマ光は、石英ガラスでの吸収が無視できないほど大きくなるため、二酸化珪素ガラスではなく炭酸カルシウムガラスを用いる必要がある。しかし、炭酸カルシウムガラスは非常に割れやすく、大面積を照射するランプとしては製造が困難であるのが実情である。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素や、オゾンと紫外線放射とが有する高いエネルギーによって、短時間で膜の改質を実現できる。したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板などへの照射を可能としている。
エキシマ照射時の雰囲気としては、酸素濃度が0.001〜5体積%であることが好ましい。さらには、酸素濃度が0.01〜3体積%であると、性能が安定してより好ましい。酸素濃度が5体積%を超えると、結合の切断よりも活性酸素等を発生させる方にエネルギーを使用してしまい、0.001体積%未満に下げても、エキシマ光の照射効率は殆ど変化せず、改質効率および膜の組成制御性も変化せず、酸素を置換する時間も余計に必要となるため、生産性向上の効果が得られ難い。酸素以外のガスとしては、乾燥不活性ガスを用いることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスを用いることがより好ましい。酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
ステージ温度については、熱をかけるとより反応が進みやすいため、ある程度高いことが好ましい。その場合の温度は、50℃以上でかつ樹脂フィルムのガラス転移点(Tg)+80℃以下の温度範囲が好ましく、50℃以上でかつ樹脂フィルムのTg+30℃以下の温度範囲が、樹脂フィルムを痛めずに光蓄電池電極を形成できるため、より好ましい。
照射強度が高ければ、改質反応を短時間化することができる。また、内部まで侵入する光子の数も増加するため膜質の良化(高密度化)が可能である。但し、照射時間を長くしすぎると平面性の劣化や他の材料にダメージを与える場合がある。一般的には、照射強度と照射時間との積で表される積算光量で反応進行具合を考えるが、組成は同一でも、様々な構造形態をとる材料に於いては、照射強度の絶対値が重要になる場合もある。
積算照射エネルギーは、特に制限されないが、1000〜10000mJ/cm2が好ましい。
<導電性高分子と水溶性バインダ樹脂または自己分散型ポリマーを供給する工程>
本工程では、有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と、一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する。これにより、光蓄電池電極が形成される。
本工程では、有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と、一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する。これにより、光蓄電池電極が形成される。
導電性高分子、水溶性バインダ樹脂、自己分散型ポリマーとしては、前記化合物のいずれかを用いれば良い。
導電性高分子の量は、蓄電容量を考慮すると多い方が好ましいが、多孔質層よりもあまり厚いと光がさえぎられ、光発電量が減少してしまうために好ましくない。導電性高分子の厚みは、多孔質層の厚みに対して、50〜150%が好ましく、70〜120%がより好ましい。
水溶性バインダ樹脂は、導電性高分子に対して、10〜500質量%が好ましく、より好ましくは30〜300質量%である。
自己分散型ポリマーは、導電性高分子に対して50〜1000質量%が好ましく、より好ましくは100〜900質量%で、さらに好ましくは200〜800質量%である。 供給方法としては、特に制限されず、例えば、有機樹脂を蒸散除去した塗膜をそれぞれ好ましい濃度に調整した溶液をディップ、ロールコート、スプレー、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、スピンコーター、アプリケーター、グラビアコーターおよびインクジェット等の装置を用いる種々の塗布方法が挙げられる。
自己分散型ポリマーは、導電性高分子に対して50〜1000質量%が好ましく、より好ましくは100〜900質量%で、さらに好ましくは200〜800質量%である。 供給方法としては、特に制限されず、例えば、有機樹脂を蒸散除去した塗膜をそれぞれ好ましい濃度に調整した溶液をディップ、ロールコート、スプレー、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、スピンコーター、アプリケーター、グラビアコーターおよびインクジェット等の装置を用いる種々の塗布方法が挙げられる。
塗布した後、乾燥するが、乾燥条件は特に制限されないが、25〜200℃の温度で、5〜30分間乾燥することが好ましい。
(光蓄電池)
本願発明の光蓄電池は、前記光蓄電池電極と、対極と、光蓄電池電極と対極の間に電解質とを有する。(図1参照)
対極としては、導電性高分子や白金、銅、チタン等の金属電極やカーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、グラファイト、カーボンナノチューブ等の炭素電極が用いられる。
本願発明の光蓄電池は、前記光蓄電池電極と、対極と、光蓄電池電極と対極の間に電解質とを有する。(図1参照)
対極としては、導電性高分子や白金、銅、チタン等の金属電極やカーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、グラファイト、カーボンナノチューブ等の炭素電極が用いられる。
電解質としては、過塩素酸イオン又は硫酸イオンを含む水系電解質又は有機溶媒電解質が挙げられる。具体的には、過塩素酸水溶液、過塩素酸リチウムのアセトニトリル溶液、希硫酸等である。
また、前記電解質溶液の代わりに、固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、ポリマー電解質やイオン液体を用いてゲル化、もしくは固体化したもの等が挙げられる。ゲル化、もしくは固体化する方法としては、無機酸化物粒子と高分子、または、硬化性オリゴマーを混合する方法や、硫化物系ガラスに結着材や、さらに球状シリカを組み合わせる方法、SiO2、Al2O3、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、ZrO2、SnO2などの金属酸化物や、これらの複合酸化物多孔質粒子を用いる方法等がある。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
〔光蓄電池電極1〕
表面にFTO(鉄をドープした酸化スズ)膜を形成した100μmの透明PETフィルム上に、一次粒径20nmのTiO2粒子とアニリンの1:1混合水溶液を塗布し、電気化学重合することで、膜厚15μmのTiO2を内包したポリアニリン層を形成した、光蓄電池電極1を作製した。
表面にFTO(鉄をドープした酸化スズ)膜を形成した100μmの透明PETフィルム上に、一次粒径20nmのTiO2粒子とアニリンの1:1混合水溶液を塗布し、電気化学重合することで、膜厚15μmのTiO2を内包したポリアニリン層を形成した、光蓄電池電極1を作製した。
[光蓄電池電極2](比較例)
前記光蓄電池電極1を作製した後、PETフィルム側から、UVランプを照射して、基板から3μmのポリアニリンを分解した光蓄電池電極2を作製した。
前記光蓄電池電極1を作製した後、PETフィルム側から、UVランプを照射して、基板から3μmのポリアニリンを分解した光蓄電池電極2を作製した。
[光蓄電池電極3](実施例)
表面にFTO膜を形成した100μmの透明PETフィルム上に、下記の方法で作製したFe担持TiO2の10%水溶液を塗布、乾燥し、膜厚15μmのTiO2層を作製した。作製した層の空孔比率を水銀圧入法(島津製作所製オートポアIV 9500 )で測定したところ8%であった。
表面にFTO膜を形成した100μmの透明PETフィルム上に、下記の方法で作製したFe担持TiO2の10%水溶液を塗布、乾燥し、膜厚15μmのTiO2層を作製した。作製した層の空孔比率を水銀圧入法(島津製作所製オートポアIV 9500 )で測定したところ8%であった。
Fe担持TiO2粒子作製法
一次粒径20nmのTiO2粒子10%水溶液に、FeCl3・2H2OをTiO2に対する鉄の割合が0.1質量%となるように添加し、90℃で1時間攪拌した。得られた懸濁液を吸引濾過、洗浄、乾燥してFeを担持したTiO2粒子を作製した。
上記で作製したTiO2層に下記の塗布液を塗布、乾燥し、Fe担持TiO2と導電性高分子からなる層を持つ、光蓄電池電極3を作製した。
一次粒径20nmのTiO2粒子10%水溶液に、FeCl3・2H2OをTiO2に対する鉄の割合が0.1質量%となるように添加し、90℃で1時間攪拌した。得られた懸濁液を吸引濾過、洗浄、乾燥してFeを担持したTiO2粒子を作製した。
上記で作製したTiO2層に下記の塗布液を塗布、乾燥し、Fe担持TiO2と導電性高分子からなる層を持つ、光蓄電池電極3を作製した。
塗布液
PEDOT/PSS(CLEVIOS PH510(固形分濃度1.89%、H.C.Starck社製)) 16g
プラスコートRZ105(固形分濃度25%) 2.8g
ジメチルスルホキシド 1.6g
[光蓄電池電極4](実施例)
前記光蓄電池電極3の作製において、Feを担持した20nmのTiO2に対して、5重量%の5nmTiO2を加えた以外は同様にして、光蓄電池電極4を作製した。
PEDOT/PSS(CLEVIOS PH510(固形分濃度1.89%、H.C.Starck社製)) 16g
プラスコートRZ105(固形分濃度25%) 2.8g
ジメチルスルホキシド 1.6g
[光蓄電池電極4](実施例)
前記光蓄電池電極3の作製において、Feを担持した20nmのTiO2に対して、5重量%の5nmTiO2を加えた以外は同様にして、光蓄電池電極4を作製した。
前記光蓄電池電極3と同様にして、空孔比率を測定したところ、22%だった。
[光蓄電池電極5](実施例)
一次粒径20nmのTiO2の50%トルエン溶液に、TiO2に対して鉄の割合が0.1質量%になるように、2−エチルヘキサン酸鉄を加え、さらにPMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)をTiO2に対して、容量として30%になるように添加した混合液を作製した。
一次粒径20nmのTiO2の50%トルエン溶液に、TiO2に対して鉄の割合が0.1質量%になるように、2−エチルヘキサン酸鉄を加え、さらにPMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)をTiO2に対して、容量として30%になるように添加した混合液を作製した。
表面にFTO膜を形成した100μmの透明PETフィルム上に、前記混合液を乾燥後の膜厚が15μmになるように塗布、乾燥した。
次いで、上記塗膜にN2ガス下、80℃で波長172nmの真空紫外光を照射して、PMMAの蒸散除去とTiO2へのFeの担持を同時進行で行い、TiO2多孔質膜を作製した。
さらに、前記TiO2多孔質膜上に空隙を埋めるように、ポリアニリンM(固形分濃度6.0%、ティーエーケミカル)を塗布、乾燥して、光蓄電池電極5を作製した。
[光蓄電池電極6](実施例)
前記光蓄電池電極5の作製で、TiO2に対して有機樹脂PMMAの容量が40%になるように変更した混合液で乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布、乾燥し、さらにPMMAの比率が28%、15%になるようにそれぞれ5μmづつ積層した以外は同様にして、光蓄電池電極6を作製した。
前記光蓄電池電極5の作製で、TiO2に対して有機樹脂PMMAの容量が40%になるように変更した混合液で乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布、乾燥し、さらにPMMAの比率が28%、15%になるようにそれぞれ5μmづつ積層した以外は同様にして、光蓄電池電極6を作製した。
[光蓄電池電極7](実施例)
前記光蓄電池電極6の作製で、ポリアニリンを、PEDOT/PSS(CLEVIOS PH510(固形分濃度1.89%、H.C.Starck社製))と水溶性バインダとしてポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)の固形分比2:1の混合液に変えた以外は同様にして、光蓄電池電極7を作製した。
前記光蓄電池電極6の作製で、ポリアニリンを、PEDOT/PSS(CLEVIOS PH510(固形分濃度1.89%、H.C.Starck社製))と水溶性バインダとしてポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)の固形分比2:1の混合液に変えた以外は同様にして、光蓄電池電極7を作製した。
[光蓄電池電極8](実施例)
前記光蓄電池電極7で、透明PETフィルムを1mmの透明ガラスに変更し、真空紫外光照射の代わりに500℃で焼成した以外は同様にして、光蓄電池電極8を作製した。
前記光蓄電池電極7で、透明PETフィルムを1mmの透明ガラスに変更し、真空紫外光照射の代わりに500℃で焼成した以外は同様にして、光蓄電池電極8を作製した。
[光蓄電池電極9、10](実施例)
前記光蓄電池電極7で、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)の代わりに、各々パイロナールMD2000とプラスコートRZ105をPEDOT/PSSに対して固形分比で1:2の混合液に変更した以外は同様にして、光蓄電池電極9、10を作製した。
前記光蓄電池電極7で、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)の代わりに、各々パイロナールMD2000とプラスコートRZ105をPEDOT/PSSに対して固形分比で1:2の混合液に変更した以外は同様にして、光蓄電池電極9、10を作製した。
[光蓄電池電極11](実施例)
前記光蓄電池電極6で、ポリアニリンMに固形分として1:1になるようにプラスコートRZ105を加えた以外は同様にして、光蓄電池電極11を作製した。
前記光蓄電池電極6で、ポリアニリンMに固形分として1:1になるようにプラスコートRZ105を加えた以外は同様にして、光蓄電池電極11を作製した。
[光蓄電池電極12](実施例)
前記光蓄電池電極10で、Fe担持TiO2粒子の代わりに、下記の方法で作製したCu担持WO3粒子を用いた以外は同様にして、光蓄電池電極12を作製した。
前記光蓄電池電極10で、Fe担持TiO2粒子の代わりに、下記の方法で作製したCu担持WO3粒子を用いた以外は同様にして、光蓄電池電極12を作製した。
Cu担持WO3粒子作製法
一次粒径30nmのWO3粒子10%水溶液に、CuCl2・2H2OをWO3に対する銅の割合が0.1質量%となるように添加し、90℃で1時間攪拌した。得られた懸濁液を吸引濾過、洗浄、乾燥してCuを担持したWO3粒子を作製した。
一次粒径30nmのWO3粒子10%水溶液に、CuCl2・2H2OをWO3に対する銅の割合が0.1質量%となるように添加し、90℃で1時間攪拌した。得られた懸濁液を吸引濾過、洗浄、乾燥してCuを担持したWO3粒子を作製した。
[光蓄電池電極13、14](実施例)
前記光蓄電池電極10で、PMMAの代わりに各々ポリビニルアルコール(PVA)、エチルセルロース(EC)を用いた以外は同様にして、光蓄電池電極13、14を作製した。
前記光蓄電池電極10で、PMMAの代わりに各々ポリビニルアルコール(PVA)、エチルセルロース(EC)を用いた以外は同様にして、光蓄電池電極13、14を作製した。
[光蓄電池電極15](実施例)
前記光蓄電池電極10で、PMMAの比率を、50%、32%、14%と変化させて積層させた以外は同様にして、光蓄電池電極15を作製した。
前記光蓄電池電極10で、PMMAの比率を、50%、32%、14%と変化させて積層させた以外は同様にして、光蓄電池電極15を作製した。
[光蓄電池電極16](実施例)
前記光蓄電池電極10で、PMMAの比率を、55%、30%、5%と変化させて積層させた以外は同様にして、光蓄電池電極16を作製した。
前記光蓄電池電極10で、PMMAの比率を、55%、30%、5%と変化させて積層させた以外は同様にして、光蓄電池電極16を作製した。
〔真空紫外光照射条件〕
実質的に水蒸気を除去し、酸素濃度が0.1体積%に維持されるように窒素と酸素とを適量供給した装置チャンバー内に、塗布液を乾燥した後の光触媒体を80℃、移動速度0.6mm/minで供給した。172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプを用い、照射距離3mm、最大照度90mW/cm2、積算照射エネルギー2000mJ/cm2の条件でエキシマ光を照射した。このときの積算照射エネルギーの測定は、浜松ホトニクス株式会社製の紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METERを用いた。また、測定に先立ち、Xeエキシマランプの照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設けた。
実質的に水蒸気を除去し、酸素濃度が0.1体積%に維持されるように窒素と酸素とを適量供給した装置チャンバー内に、塗布液を乾燥した後の光触媒体を80℃、移動速度0.6mm/minで供給した。172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプを用い、照射距離3mm、最大照度90mW/cm2、積算照射エネルギー2000mJ/cm2の条件でエキシマ光を照射した。このときの積算照射エネルギーの測定は、浜松ホトニクス株式会社製の紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METERを用いた。また、測定に先立ち、Xeエキシマランプの照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設けた。
イオンエッチング法を用いたX線光電子分光分析装置(XPS法)により、光触媒体1を観察したところ、光触媒層中の酸化チタンの含有量が、樹脂基材側から光触媒層の表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例1)
〔光蓄電池の作製〕
上記光蓄電池電極1〜16と対極として白金、電解質として過塩素酸(HClO4)を用いて、光蓄電池1〜16を作成し、下記の手段で評価した。
〔光蓄電池の作製〕
上記光蓄電池電極1〜16と対極として白金、電解質として過塩素酸(HClO4)を用いて、光蓄電池1〜16を作成し、下記の手段で評価した。
〔放電容量比率〕
アクリル板を通して紫外光をカットした蛍光灯(2000lux)を30分間照射した後、5分間放置した後放電することを3回繰り返した、3回目の放電容量測定し、電極1の放電容量の値を100とした時の各水準の比率で示した。
アクリル板を通して紫外光をカットした蛍光灯(2000lux)を30分間照射した後、5分間放置した後放電することを3回繰り返した、3回目の放電容量測定し、電極1の放電容量の値を100とした時の各水準の比率で示した。
〔自己放電率〕
アクリル板を通して紫外光をカットした蛍光灯(2000lux)を30分間照射した後、5分間放置した後放電することを3回繰り返した、3回目の放電容量を「初期放電容量」、前記初期放電後に、再度30分間同様に蛍光灯を照射し、室温で7日間放置した後の放電容量を「7日後放電容量」としたとき、下記式で自己放電率を求めた。
アクリル板を通して紫外光をカットした蛍光灯(2000lux)を30分間照射した後、5分間放置した後放電することを3回繰り返した、3回目の放電容量を「初期放電容量」、前記初期放電後に、再度30分間同様に蛍光灯を照射し、室温で7日間放置した後の放電容量を「7日後放電容量」としたとき、下記式で自己放電率を求めた。
〔サイクル特性〕
アクリル板を通して紫外光をカットした蛍光灯(2000lux)を30分間照射した後、5分間放置した後放電することを100回繰り返し、3回目の放電容量に対する100回目の放電容量の割合(%)をサイクル特性とした。
アクリル板を通して紫外光をカットした蛍光灯(2000lux)を30分間照射した後、5分間放置した後放電することを100回繰り返し、3回目の放電容量に対する100回目の放電容量の割合(%)をサイクル特性とした。
各光蓄電池の評価結果を表1、表2に示す。
上記表2から明らかなように、本発明の光蓄電池電極は、放電容量が大きく、自己放電率が小さく、サイクル特性が高いことがわかる。
Claims (7)
- 導電性基材上に金属化合物を担持した可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極。
- 前記多孔質層の空孔比率が、前記導電性基材側から前記多孔質層の表面側に向かって連続的または段階的に減少する、請求項1に記載の光蓄電池電極。
- 前記多孔質層内に下記一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂、またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを含有する、請求項1または2に記載の光蓄電池電極。
- 導電性基材上に可視光応答型光触媒粒子から構成される多孔質膜層を有し、前記多孔質層内に導電性高分子を含有した光蓄電池電極の製造方法であって、
金属酸化物、有機金属化合物及び有機樹脂の混合液を前記導電性基材上に塗布し乾燥して塗膜を得る工程と、
前記有機樹脂を蒸散除去する工程と、
前記有機樹脂を蒸散した塗膜上に導電性高分子と、下記一般式(1)で表される構造を有する水溶性バインダ樹脂またはガラス転移温度が25℃以上80℃以下で、水系溶剤に分散可能な解離性基含有自己分散型ポリマーを供給する工程と、
を含む、光蓄電池電極の製造方法。
- 前記有機樹脂を蒸散除去する工程が波長200nm以下の真空紫外光を照射する、請求項4に記載の製造方法。
- 前記混合液中の有機樹脂の含有比率を、基材側から表面側に向かって連続的または段階的に少なくした混合液を積層塗布する工程を有する、請求項4または5に記載の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光蓄電池、または請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られる光蓄電池電極を設けた、光蓄電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019509373A (ja) * | 2016-02-20 | 2019-04-04 | ウニヴェルズィテート カッセルUniversitaet Kassel | 熱可塑性物質表面上でシリコーンの付着性を改善するための方法 |
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2012
- 2012-03-29 JP JP2012077997A patent/JP2013206871A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019509373A (ja) * | 2016-02-20 | 2019-04-04 | ウニヴェルズィテート カッセルUniversitaet Kassel | 熱可塑性物質表面上でシリコーンの付着性を改善するための方法 |
JP7075123B2 (ja) | 2016-02-20 | 2022-05-25 | ウニヴェルズィテート カッセル | 熱可塑性物質表面上でシリコーンの付着性を改善するための方法 |
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