JP2013206809A - 透明導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、導電性、柔軟性、低荷重入力性、耐熱性、耐湿熱性に優れた透明導電性フィルムを提供すること。
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材2の少なくとも一方の面に、厚みが20nm以上、200nm以下の導電性高分子を含む層3が積層され、さらにその上にカーボンナノチューブ4が堆積した透明導電性フィルム1において、走査型電子顕微鏡を用いて該透明導電性フィルム表面を観察した際に、カーボンナノチューブの面積率が3%以上30%以下であり、かつ透過型電子顕微鏡を用いて該透明導電性フィルム断面を観察した際に、導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nmに位置する前記外側界面に平行な単位線分長に対する、交差するカーボンナノチューブが占める線分長の割合が2%以上20%以下である透明導電性フィルム。
【選択図】図2

Description

本発明は、透明プラスチックフィルムからなる基材上に導電性高分子を含む層を積層し、さらにその上にカーボンナノチューブを堆積した透明導電性フィルムであり、タッチパネルや、特に折り曲げたり、丸めることの多い情報端末に適した透明導電性フィルムに関する。
透明プラスチックからなる基材上に、透明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極等として、電気・電子、情報分野の用途に広く使用されている。
従来、このような用途については、乾式法(スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、CVD等)、特にスパッタリング技術でITO、ATO、FTO等、特にITO薄膜を積層した透明導電性フィルムが知られている。これらは優れた導電性と透明性を持ったフィルムを得ることができるが、かかる従来技術は、折り曲げ等によりITO薄膜等にクラックが生じ、導電性が低下するという問題点があった。また、資源が少なくインジウムが高価であるという問題がある。
折り曲げ等によるクラックの発生や性能の低下を防ぐため、PEDOT/PSSのような導電性高分子を積層したフィルムが提案されているが、透明性や導電性、耐折り曲げ性は良好だが、高温高湿環境下では導電性や透明性が低下したり、低荷重入力性(小さな荷重での電気的接続の安定性)が良くないという問題があった。同様に、カーボンナノチューブやグラフェン等を積層したフィルムも提案されているが、耐熱性、耐湿熱性、低荷重入力性や耐折り曲げ性は良好だが、導電性と透明性を両立できないという問題があった。
そこで、かかる透明性や導電性が不充分という問題点を解消すべく、耐折り曲げ性に優れる導電性高分子層とカーボンナノチューブを積層するという発明がなされた(特許文献1参照)。しかしかかる発明も、導電性と透明性のどちらかが優れた透明導電膜という点では改良されたものの、導電性と透明性のいずれもが優れた透明導電膜になっていないという点で問題であった。
また、導電繊維、導電性後高分子とバインダー樹脂を用いて、耐湿熱性に優れる透明電極が提案されている(特許文献2〜4参照)。しかしかかる発明も、導電性と透明性のいずれもが優れた透明電極になっていないという点で問題であった。
特開2009−211978号公報 特開2010−244746号公報 特開2010−244747号公報 特開2011−054297号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、透明性、導電性、耐折り曲げ性、耐熱性、耐湿熱性、さらには低荷重入力性に優れた透明導電性フィルムを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1. 透明プラスチックフィルム基材Aの少なくとも一方の面に、厚みが20nm以上、200nm以下の導電性高分子を含む層Bが積層され、さらにその上にカーボンナノチューブCが堆積した透明導電性フィルムにおいて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて該透明導電性フィルム表面を観察した際に、下記式(1)で表されるカーボンナノチューブC(位相像で明白相を示す)の面積率が3%以上30%以下であり、かつ透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて該透明導電性フィルム断面を観察した際に、下記式(2)で表される導電性高分子を含む層Bの外側界面(透明プラスチックフィルム基材と反対側の界面)から内側15nmに位置する前記外側界面に平行な単位線分長に対する、交差するカーボンナノチューブCが占める線分長の割合が2%以上20%以下であることを特徴とする透明導電性フィルム。

カーボンナノチューブCの面積率(%)
=(カーボンナノチューブCの占める面積/測定面積)×100 ・・(1)

導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nmに位置する外側界面に平行な単位線分長に対する、交差するカーボンナノチューブCが占める線分長の割合(%)
=(カーボンナノチューブCが占める線分長の合計
/導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nmに位置する外側界面に平行な単位線分長)×100 ・・(2)

2. 表面抵抗値が100Ω/□以上、800Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が80%以上、95%以下であることを特徴とする上記第1に記載の透明導電性フィルム。
3. 導電性高分子を含む層BがPEDOTを含んでなることを特徴とする上記第1又は第2に記載の透明導電性フィルム。
本発明により、透明性や導電性に優れ、かつ耐折り曲げ性や低荷重入力性、耐熱性、耐湿熱性に優れたフィルムを提供することができる。
本発明の透明導電性フィルムの表面模式図である。 本発明の透明導電性フィルムの断面模式図である。 導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nmに位置する線分に、カーボンナノチューブが殆ど交差していない好ましくないフィルムの断面模式図である。 導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nm平行に位置する線分に、カーボンナノチューブが20%を超える線分長の割合で交差した好ましくないフィルムの断面模式図である。 導電性高分子層中にカーボンナノチューブがすべて埋没した好ましくないフィルムの断面模式図である。 本発明の透明導電性フィルムの走査型電子顕微鏡表面写真の一例である。 カーボンナノチューブの面積率が30%を超える好ましくないフィルムの走査型電子顕微鏡表面写真の一例である。 本発明の透明導電性フィルムの透過型電子顕微鏡断面写真の一例である。
以下、本発明を各層別に詳述する。
(透明導電性フィルムの構成)
透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、導電性高分子を含む層が積層され、さらにその上にカーボンナノチューブを堆積した透明導電性フィルムであることが好ましい。好ましくは導電性高分子を含む層の厚みを20nm以上、200nm以下にすることにより、必要な導電性及び透明性を持たせることができる。しかし導電性高分子を含む層だけでは、低荷重入力性が悪くなったり、高温、高温高湿等の環境試験後の特性が悪くなってしまう。そこで、導電性高分子を含む層の上にさらにカーボンナノチューブを堆積させることにより導電性高分子を含む層が保護され、低荷重入力性が悪くなるのを防ぎ、高温、高温高湿等の環境試験後の特性変化も小さくすることができる。
(透明プラスチックフィルムからなる基材)
本発明において、透明プラスチックフィルムからなる基材Aは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをしてフィルム状に成形し、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、熱固定、熱弛緩処理を施してあるフィルムであることが好ましい。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどが好ましい。
また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合してもよいし、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材の厚みは、5μm以上、300μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、200μm以下である。プラスチックフィルムの厚みが5μm未満ではハンドリングが難しくなったり、皺が発生し易くなるため好ましくない。一方、厚みが300μmを超えると、タッチパネルの厚みが厚くなり、折り曲げ難くなったり、モバイル機器などに使用しづらくなるのであまり好ましくない。
本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、
電子線照射処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施してもよい。
(硬化物層)
また、本発明で用いる透明プラスチックフィルムからなる基材には、密着性向上、耐薬品性の付与、オリゴマーなどの低分子量物の析出防止を目的として、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層を設けてもよい。
前記の硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に限定されなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。生産性の観点からは、紫外線硬化型樹脂を主成分とする硬化型樹脂が好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレンなどを加えて共重合させることができる。
また、硬化物層への密着力を向上するために、硬化物層を更に表面処理することが有効である。具体的な方法としては、グロー放電又はコロナ放電を照射する放電処理法を用いて、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基を増加させる方法、酸又はアルカリで処理する化学薬品処理法を用いて、アミノ基、水酸基、カルボニル基などの極性基を増加させる方法、などが挙げられる。
紫外線硬化型樹脂は、通常、光重合開始剤を添加して使用される。光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカルを発生する公知の化合物を特に限定なく使用することができ、このような光重合開始剤としては、例えば、各種ベンゾイン類、フェニルケトン類、ベンゾフェノン類などを挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜5質量部とすることが好ましい。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度などを考慮して適切に選択することができる。例えば、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤の合計量が占める割合は、通常は20〜80質量%である。また、この塗布液には、必要に応じて、その他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などのレベリング剤などを添加してもよい。
(導電性高分子を含む層)
本発明において、導電性高分子を含む層に含まれる導電性高分子は、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビ二レン等のポリマーを主成分とする有機導電性高分子などが挙げられる。
特に導電性や溶媒分散性、安定性などの点から、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどを用いるのが好ましい。 さらには、高導電性の点から、ポリチオフェン系導電性高分子が好ましく、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))が好ましい。さらには、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))をポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下で、水溶液中でコロイド分散した分散液(PEDOT/PSS水性分散液)が特に好ましい。
PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))は本来不溶性であるがポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下、水溶液中でコロイド分散液として得られ、このPEDOT/PSS水性分散液は、ロール、ワイヤーバー、スピン、スプレーコーティング等によって塗布可能である。
導電性高分子を含む層の厚みは、20nm以上、200nm以下の範囲が好ましく、25nm以上、150nm以下の範囲がさらに好ましい。導電性高分子を含む層の厚みが20nm未満では表面抵抗値が大きくなり(800Ω/□を超える場合がある)好ましくなく、200nmを超えると全光線透過率が小さくなり(80%未満となる場合がある)、好ましくない。
導電性高分子を含む層の厚みを20nm以上、200nm以下にするには、水溶液中での導電性高分子の濃度や、塗布厚みを調整することで可能となる。すなわち、水溶液中での導電性高分子の濃度を小さくしたり、塗布厚みを薄くすれば、導電性高分子を含む層の厚みは薄くなって、全光線透過率は大きく表面抵抗値は大きくなる。逆に水溶液中での導電性高分子の濃度を大きくしたり、塗布厚みを厚くすれば、導電性高分子を含む層の厚みは厚くなって、全光線透過率は小さく、表面抵抗値は小さくなる。
さらにここで、導電性高分子塗布液を塗布した後の乾燥温度を100〜140℃にする
ことが好ましい。また乾燥時間は、乾燥温度が100℃以上120℃未満であれば5〜8分に、乾燥温度が120℃以上140℃以下であれば1〜4分にすることが好ましい。これらの条件で乾燥することにより、カーボンナノチューブの一部が導電性高分子を含む層内に侵入し、カーボンナノチューブの脱落が起こりにくくなる。またカーボンナノチューブの残りの部分が導電性高分子を含む層の外側に露出して導電性高分子を含む層を保護することにより、低荷重入力性が安定し、耐熱性、耐湿熱性が良くなる。乾燥温度が100℃未満だとカーボンナノチューブを形成する際にカーボンナノチューブの多くが導電性高分子を含む層中に埋没してしまい、耐熱性、耐湿熱性や低荷重入力性が不安定になりやすく好ましくない。また140℃を超えると、カーボンナノチューブを堆積させる際にカーボンナノチューブがほとんど導電性高分子を含む層中に侵入できずに、導電性高分子を含む層とカーボンナノチューブの密着が不充分になってカーボンナノチューブが脱落しやすくなり好ましくない。
(カーボンナノチューブ)
本発明において、カーボンナノチューブ(CNT)は、単層、二層、多層に分類され、さらに外径は1〜150nm、長さは数μmのものから、1mmを超える長さの物まで作られている。また、CNTの製造方法として、アーク法、レーザーアブレージョン法、CVD法、スーパーグロスCVD法、SiC表面分解法、炭素透過法などが挙げられる。一般に、カーボンナノチューブは溶媒に分散し難く、基材に塗布することが難しかったが、最近ではカーボンナノチューブの分散に関する研究が進み、いくつかの研究機関、企業などからカーボンナノチューブの分散液が提供されている。カーボンナノチューブ及び分散液については、特に制限はないが、透明プラスチックフィルムからなる基材上に導電性高分子を含む層を積層した上にカーボンナノチューブが均一に分散するために、分散性が良好で、基材への濡れ性が良い物が好ましい。
一般的にカーボンナノチューブの分散液としては、水、有機溶剤いずれもが使用される。
具体的に有機溶剤としては、脂肪族および脂環族のアルコール、エーテル、エステル、ケトン化合物であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、N−ブタノールなどの1価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、N−ブチルセロソルブなどのグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エステルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類である。また、水単独では基材への濡れ性が悪いので、塗布時にはカーボンナノチューブの分散性を阻害しない範囲で、有機溶剤、特にアルコールを混合することが好ましい。導電性高分子を含む層の外側界面から内側に15nm平行にずらした単位線分長に対して、交差するカーボンナノチューブが占める線分長の割合を2%以上20%以下にするためには、カーボンナノチューブ塗布液の希釈溶媒を適度な親水性(水/アルコールの比を20/80〜80/20)に調整することが好ましい。こうすることによりカーボンナノチューブの一部が導電性高分子を含む層内に侵入し、カーボンナノチューブの脱落が起こりにくくなる。またカーボンナノチューブの残りの部分が導電性高分子を含む層の外側に露出して導電性高分子を含む層を保護することにより、低荷重入力性が安定し、耐熱性、耐湿熱性が良くなる。水/アルコールの比が20/80未満だとカーボンナノチューブが導電性高分子を含む層に侵入し難くなり、導電性高分子を含む層とカーボンナノチューブの密着が不充分になってカーボンナノチューブが脱落しやすくなり好ましくない。水/アルコールの比が80/20を越えるとカーボンナノチューブ分散液が導電性高分子を含む層に侵入し易くなり、カーボンナノチューブの多くが導電性高分子を含む層中に埋没してしまい、耐熱性、耐湿熱性や低荷重入力性が不安定になりやすく好ましくない。また、カーボンナノチューブ塗布液には、導電性がほとんどない樹脂などを含ませない方が好ましい。導電性がほとんどない樹脂などがカーボンナノチューブ塗布液に含まれると、導電性がほとんどない樹脂などに、カーボンナノチューブが被覆されてしまうために、低荷重入力性が低下するので好ましくない。
また表面観察において、導電性高分子を含む層の上に堆積されたカーボンナノチューブの面積率は、3%以上30%以下であることが好ましく、5%以上25%以下の範囲が更に好ましい。特に好ましくは7%以上20%以下の範囲である。カーボンナノチューブの面積率が3%未満だと、耐熱性、耐湿熱性や低荷重入力性の観点で好ましくなく、30%を超えると透明性の観点で好ましくない。
図1が本発明の透明導電性フィルムの表面模式図であり、図6が本発明の透明導電性フィルムの走査型電子顕微鏡表面写真の一例である。それに対して、図7は、カーボンナノチューブの面積率が30%を超える好ましくないフィルムの走査型電子顕微鏡表面写真の一例である。
カーボンナノチューブの面積率を3%以上30%以下にするには、導電性高分子を含む層と同様に、分散液中でのカーボンナノチューブの濃度や、塗布厚みを調整することで可能となる。すなわち、分散液中でのカーボンナノチューブの濃度を小さくしたり、塗布厚みを薄くすれば、カーボンナノチューブの面積率は小さくなり、全光線透過率は大きく、表面抵抗値は大きくなる。逆に分散液中でのカーボンナノチューブの濃度を大きくしたり、塗布厚みを厚くすれば、カーボンナノチューブの面積率は大きくなり、全光線透過率は小さく、表面抵抗値は小さくなる。
さらに断面観察において、導電性高分子を含む層の外側界面から内側に15nm平行にずらした単位線分長に対して、交差するカーボンナノチューブCが占める線分長の割合が2%以上20%以下であることが好ましい。図2は本発明の透明導電性フィルムの断面模式図である。それに対して、図3は、導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nmに位置する線分に、カーボンナノチューブが殆ど交差しておらず、前記割合が2%未満の好ましくないフィルムの断面模式図であり、導電性高分子を含む層とカーボンナノチューブの密着が不充分になってカーボンナノチューブが脱落しやすく、低荷重入力性が不安定になり、耐熱性、耐湿熱性が悪くなって好ましくない。図4は、導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nm平行に位置する線分に、カーボンナノチューブが20%を超える線分長の割合で交差した好ましくないフィルムの断面模式図であり、図5は、カーボンナノチューブのほぼすべての部分が導電性高分子層に埋没したかのような態様であり、導電性高分子分散液に予めカーボンナノチューブを混合して塗布した場合にこのような好ましくない態様となるが、これらは導電性高分子を含む層の外側に存在するカーボンナノチューブが少なくなり、低荷重入力性が不安定になり、耐熱性や耐湿熱性が性悪くなって好ましくない。
全光線透過率は80%以上が好ましく、特に85%以上が好ましい。全光線透過率が80%未満だと、透明性が低下して文字や絵などの表示が見づらくなるので好ましくない。全光線透過率は大きい方が良く、100%に近い方が良いが、実際には基材や各層によって可視光線が少なからず吸収及び反射されるので、95%以下で構わない。また、表面抵抗値は800Ω/□以下が好ましく、特に600Ω/□以下が好ましい。表面抵抗値が800Ω/□を超えると、タッチパネルへの指やペンの接触を検知し難くなるのであまり好ましくない。表面抵抗値は小さいほどよいが、実際には全光線透過率は80%以上でかつ表面抵抗値が1Ω/□未満のレベルを満足することは困難であり、タッチパネルとして用いる際には実用上100Ω/□以上で好ましく使用できる。
さらに、高温環境下や高温高湿環境下で長期間使用された後も性能の低下が少ないことが好ましい。具体的には、高温環境下として80℃(±2℃)、高温高湿環境下として60℃(±2℃),90%±(2%)RH環境下に500時間放置した後の表面抵抗値の変化(高温安定性試験前、及び高温高湿安定性試験前の抵抗値で、それぞれ高温安定性試験後、及び高温高湿安定性試験後の抵抗値を除した値(=信頼度係数))が0.8〜1.2の範囲であることが好ましい。信頼度係数が0.8未満または1.2を超えると、タッチパネル等使用時に性能が安定しなくなり、誤った表示、検出エラー等が発生する可能性が生じるのであまり好ましくない。
また、カラーb値が−1以上、2以下の範囲が好ましい。さらに好ましくは、カラーb値が−0.5以上、1.5以下の範囲である。−1未満では青味が強く、2を超えると黄味が強くなるのであまり好ましくない。
また、本発明において、調製された導電性高分子及びカーボンナノチューブの分散液(塗布液)は、基材に最初に導電性高分子の分散液を塗布して形成された導電性高分子を含む層の上に、カーボンナノチューブの分散液を塗布することが好ましい。塗布する順番を逆にしたり、あるいは導電性高分子の分散液とカーボンナノチューブの分散液をあらかじめ混合した分散液を一度に塗布すると、必要な特性が発現しづらくなる。すなわちカーボンナノチューブが上側に来ることにより、カーボンナノチューブの一部が下層の導電性高分子を含む層に部分的に侵入し、また一部が露出する。これにより、比較的外部因子(温度、湿度、物理的接触等)の影響を受けやすい導電性高分子を含む層への、直接外部からの接触等を防ぐことができる。
本発明において、調製された導電性高分子及びカーボンナノチューブの分散液(塗布液)は、透明プラスチックフィルムからなる基材上にコーティングされ。コーティング法には特に限定されなく、既存の湿式成膜法(バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法など)を使用することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、透明導電性フィルムの形態や特性は、下記の方法により測定した。
(1)カーボンナノチューブ(CNT)の面積率の測定(画像解析)
( 走査型電子顕微鏡による表面観察)
走査型電子顕微鏡を用いて該透明導電性フィルム表面を観察した際に得られたフェーズモード画像(ピットマップ形式 512×512ピクセル)を画像処理ソフトウエア(Adobe製 Photoshop ver,7.0)に読み込ませ、画像の大きさが205mm×205mmになるようにディスプレイ上に表示させた。
次いで、同ソフトウエアの鉛筆ツール(マスター直径;3px)により、暗色相(導電性高分子を含む相)と明色相(カーボンナノチューブ)の境界に黒色の線を描き、両相の境界を明確にした。さらに同ソフトウエアの塗りつぶしツールを用い、暗色相を黒色に、明色相を白色に塗りわけ2値化した。
この2 値化した画像を同ソフトウェアにて、輝度( 黒、白) を横軸とし、度数を縦軸としたヒストグラムを表示させ、白色部(カーボンナノチューブ) の面積率を求め、透明導電性フィルムにおける、導電性高分子を含む相の表面におけるカーボンナノチューブの面積率とした。
(2)導電性高分子を含む層中の単位線分あたりのカーボンナノチューブの割合
(透過型電子顕微鏡による断面観察)
1mm×10mmに切り出したサンプルを電子顕微鏡用のエポキシ樹脂に包理した後、ウルトラミクロトームの資料ホルダに固定し、包理したサンプル片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片薄膜の著しく損傷のない部位において、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM2010)を用いて、加速電圧を200kV、20000倍で観察した。この画像から、導電性高分子を含む層の外側界面(透明プラスチックフィルム基材と反対側の界面)から内側15nmに位置する平行な単位線分長に対する、交差するカーボンナノチューブが占める線分長の割合を求めた。即ち、写真に写った導電性高分子を含む層の外側界面から15nm内側に前記外側界面に平行な直線を設定する。写真に写っている範囲の前記想定直線の任意の2点を両端とする長さの線分を見立て、その線分の長さを単位線分長として測定した。ただし、単位線分長の長さは700nmとする。その線分に交差しているすべてのカーボンナノチューブについて、交差している部分のカーボンナノチューブの幅を線分に沿って写真から計測し、すべての線分に交差しているカーボンナノチューブの幅(カーボンナノチューブの線分長)の合計を求めた。前記線分に交差しているカーボンナノチューブの線分長の合計を単位線分長(即ち700nm)で除して100倍し、導電性高分子を含む層中の単位線分あたりのカーボンナノチューブの割合を求めた。評価は単一サンプルについて撮影場所を替えて10回撮影を繰返し、各々前記割合を求め、その10回の割合の平均値を求めた。
(3)膜厚測定(導電性高分子を含む層)
1mm×10mmに切り出したサンプルを電子顕微鏡用のエポキシ樹脂に包理した後、ウルトラミクロトームの資料ホルダに固定し、包理したサンプル片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片薄膜の著しく損傷のない部位において、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM2010)を用いて観測した。加速電圧は200kV、20000倍で観測後、各層の膜厚を10点計測し、その平均を膜厚とした。
(4)全光線透過率
JIS K7105に準拠し、日本電色工業(株)製NDH−1001DPを用いて、全光線透過率を測定した。
(5)表面抵抗値
JIS K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製Lotest AMCP−T400を用いた。
(6)低荷重入力性試験
低荷重入力性の評価方法として、ON抵抗(接触抵抗)を測定した。具体的には、透明導電性フィルム5×5cmにカットし、導電層側の端部に導電テープを貼り付けてテスターのプローブをつなぎ、0.07φ、4.0mmピッチのドットスペーサーを付けた表面抵抗値が500Ω/□のITOガラスを対向させ、さらにアルミフレームで透明導電性フィルムがカールしないように固定した。次に透明導電性フィルム(裏面)の上から、R8、硬度60°の試験棒で荷重をかけて、押さえた際のON抵抗(透明導電性フィルムと透明導電性薄膜とが接触した時の抵抗値)を測定した。この抵抗値が∞から一定の値に安定し始めた時の荷重が35g以下の場合を良好(○)とし、荷重が35gより大きい場合は(×)とした。
(7)折り曲げ性試験
2×8cmにカットし、短辺側の両端にテスターのプローブを取り付けた透明導電性フィルムを導電層が外側になるように曲げ、フィルム両端の外面を、表面が平らな2×8cmの固定冶具2枚でお互いに水平になるようにして曲げた透明導電性フィルムを挟み、ノギスでその間隔Rを狭めながら測定し、同時にテスターで抵抗値も測定しながら、その抵抗値が無限大になった時のRを測定した。このRが9mm以下の場合を良好とした。
(8)高温安定性(耐熱性)試験
高温下での抵抗値安定性を確認するために、熱風乾燥機に80℃条件下で500時間放置した。温度は±2℃で管理した。耐熱性試験前の抵抗値で、耐熱性試験後の抵抗値を除した値(=信頼度係数)で、抵抗値の安定性を確認した。ただし、耐熱性試験後の抵抗値測定は、80℃熱風乾燥機から透明導電性フィルムを取り出し、25℃60%RHの状態で30分放置後に抵抗測定を実施した。信頼度係数は0.8〜1.2の範囲が望ましい。
(9)高温高湿安定性(耐湿熱性)試験
高温高湿下での抵抗値安定性を確認するために、恒温恒湿槽に60℃、90%RH条件下で500時間放置した。温度は±2℃、湿度は±2%で管理した。高温高湿安定性試験前の抵抗値で、高温高湿安定性試験後の抵抗値を除した値(=信頼度係数)で、抵抗値の安定性を確認した。ただし、高温高湿安定性試験後の抵抗値測定は、60℃90%RHの恒温恒湿槽から透明導電性フィルムを取り出し、25℃60%RHの状態で30分放置後に抵抗測定を実施した。信頼度係数は0.8〜1.2の範囲が望ましい。
(10)カラーb値
JIS−K7105に準拠し、色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、標準の光C/2でカラーb値を測定した。
<導電性高分子塗布液(I)>
PEDOT/PSS水分散液として、H.C.Starck社製PEDOT/PSS水分散液HBS5をイソプロパノール(IPA)で2倍に希釈した。
<導電性高分子塗布液(II)>
PEDOT/PSS水分散液として、HBS5を水/IPA重量比=50/50の混合溶媒で4倍に希釈した。
<導電性高分子塗布液(III)>
PEDOT/PSS水分散液として、HBS5をIPAで10倍に希釈した。
<導電性高分子フィルム(IV)>
ポリピロールとしてアキレス社製STポリ(登録商標)を、両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4300、厚み50μm、Tg67℃)に、0.05μmの厚みに重合被覆し、導電性高分子フィルム(V)を作製した。
<カーボンナノチューブ塗布液(a)>
単層カーボンナノチューブの水分散体を水/IPA=60/40重量比の混合溶媒で、カーボンナノチューブ濃度が0.2重量%となるように希釈した。
<カーボンナノチューブ塗布液(b)>
単層カーボンナノチューブの水分散体を水/IPA=60/40重量比の混合溶媒で、カーボンナノチューブ濃度が0.02重量%となるように希釈した。
<カーボンナノチューブ塗布液(c)>
単層カーボンナノチューブの水分散体を水/IPA=60/40重量比の混合溶媒で、カーボンナノチューブ濃度が0.8重量%となるように希釈した。
<カーボンナノチューブ塗布液(d)>
単層カーボンナノチューブの水分散体を水/IPA=40/60重量比の混合溶媒で、カーボンナノチューブ濃度が0.2重量%となるように希釈した。
<カーボンナノチューブ塗布液(e)>
多層カーボンナノチューブの水分散体をIPAでカーボンナノチューブ濃度が0.2重量%となるように希釈した。
<カーボンナノチューブ塗布液(f)>
多層カーボンナノチューブのメチルエチルケトン(MEK)分散体をMEKでカーボンナノチューブ濃度が0.08重量%となるように希釈した。
<カーボンナノチューブ塗布液(g)>
単層カーボンナノチューブの水分散体と東洋紡績製ポリエステル水分散体MD−1250を50/50の割合で混合した塗布液を、水/IPA=60/40重量比の混合溶媒で、カーボンナノチューブ濃度が0.2重量%となるように希釈した。
〔実施例1〕
両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績社製、A4300、厚み100μm、Tg67℃)に、導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#8、巻線径0.2mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて130℃で3分間乾燥を行って成膜した。
さらにその上にカーボンナノチューブ塗布液(a)をワイヤーバー(巻線No.#5、巻線径0.125mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて120℃で5分間乾燥を行って透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例2〕
カーボンナノチューブ塗布液(b)を塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例3〕
カーボンナノチューブ塗布液(a)をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例4〕
カーボンナノチューブ塗布液(d)をワイヤーバー(巻線No.#3、巻線径0.075mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例5〕
導電性高分子塗布液(II)を塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例6〕
カーボンナノチューブ塗布液(c)を塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例7〕
カーボンナノチューブ塗布液(e)を塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例8〕
カーボンナノチューブ塗布液(e)をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例9〕
導電性高分子塗布液(II)を塗布した後、カーボンナノチューブ塗布液(e)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例10〕
カーボンナノチューブ塗布液(f)を塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例11〕
カーボンナノチューブ塗布液(f)をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例12〕
導電性高分子塗布液(II)を塗布した後、カーボンナノチューブ塗布液(f)をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例13〕
導電性高分子塗布液(III)をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例14〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#20、巻線径0.5mm)を用いて、3回塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例15〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#8、巻線径0.2mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて110℃で3分間乾燥を行って成膜した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔実施例16〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて140℃で1分間乾燥を行って成膜した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例1〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#8、巻線径0.2mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて130℃で3分間乾燥を行って成膜し、カーボンナノチューブ塗布液を塗布しないで透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例2〕
導電性高分子塗布液を塗布せずに、カーボンナノチューブ塗布液(a)をワイヤーバー(巻線No.#5、巻線径0.125mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて120℃で5分間乾燥を行って透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例3〕
カーボンナノチューブ塗布液(b)をワイヤーバー(巻線No.#3、巻線径0.075mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例4〕
カーボンナノチューブ塗布液(c)をワイヤーバー(巻線No.#20、巻線径0.5mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例5〕
導電性高分子塗布液(II)を塗布し、カーボンナノチューブ塗布液(b)をワイヤーバー(巻線No.#3、巻線径0.075mm)を用いて塗布する以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例6〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#30、巻線径0.75mm)で塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例7〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#20、巻線径0.5mm)で塗布し、カーボンナノチューブ塗布液を塗布しない以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例8〕
導電性高分子塗布液を塗布しないで、カーボンナノチューブ塗布液(c)を塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例9〕
導電性高分子塗布液(III)をワイヤーバー(巻線No.#5、巻線径0.125mm)を用いて塗布する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例10〕
導電性高分子塗布液(I)とカーボンナノチューブ塗布液(a)をあらかじめ室温で30分間混合した後、その混合液をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)で塗布し、熱風乾燥機にて120℃で5分間乾燥を行って透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例11〕
導電性高分子塗布液(I)とカーボンナノチューブ塗布液(e)をあらかじめ室温で30分間混合した後、その混合液をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)で塗布し、熱風乾燥機にて120℃で5分間乾燥を行って透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例12〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#8、巻線径0.2mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて80℃で3分間乾燥を行って成膜した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例13〕
導電性高分子塗布液(I)をワイヤーバー(巻線No.#10、巻線径0.25mm)を用いて塗布した後、熱風乾燥機にて160℃で3分間乾燥を行って成膜した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例14〕
カーボンナノチューブ塗布液(g)を塗布した以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例15〕
二軸配向透明PETフィルムに、導電性高分子塗布液を塗布し乾燥する代わりに、導電性高分子フィルム(IV)を使用する以外は、実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
〔比較例16〕
実施例1で用いた二軸配向透明PETフィルム上にインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。
この時、真空チェンバー中にフィルムを投入し、0.0002Paまで真空引きした。次に、10mPaになるように酸素を導入し、その後アルゴンを導入し全圧を0.5Paにした。酸化スズを3質量%含有した酸化インジウムターゲット(住友金属鉱山社製、密度7.1g/cm)に1W/cm2の電力密度で電力投入して、厚さ23nmになるようにインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を堆積させ、透明導電性フィルムを作製した。
表1より、本発明の範囲を満足する実施例1〜16記載の透明導電性フィルムは、いずれもカーボンナノチューブ塗布液に樹脂を含まず、またカーボンナノチューブが導電性高分子を含む層に適度な割合で侵入しているため、表面抵抗値、透明性、及び耐折り曲げ性、低荷重入力性などに優れ、耐熱性、耐湿熱性も良好であることが確認された。一方、導電性高分子を含む層のみでカーボンナノチューブが存在しない比較例1及び7では低荷重入力性や耐湿熱性が不良であり、カーボンナノチューブのみで導電性高分子層のない比較例2及び8では、導電性が不充分だった。また、導電性高分子を含む層上へのカーボンナノチューブの付与量が適切でない比較例3から6及び9は透明性、表面抵抗を同時に満たすことはなかった。また、導電性高分子の分散液とカーボンナノチューブの分散液を混合した液を一度に塗布した比較例10及び11は、透明性と導電性は良好だが、低荷重入力性や耐折り曲げ性が不良だった。さらに、ITOを成膜した比較例13は、透明性と導電性は良好だが、低荷重入力性や耐折り曲げ性が不良だった。導電性高分子分散液塗布後の乾燥温度が不適切だった比較例12及び13は、カーボンナノチューブの線分割合が少なすぎたり多すぎたりしてあまり好ましいものではなかった。比較例14は、カーボンナノチューブの他にポリエステル樹脂が存在したため、低荷重入力性が不安定になった。比較例15は、カーボンナノチューブが電性高分子フィルム(IV)にほとんど侵入しないため、カーボンナノチューブが脱離し易く、耐熱性、耐湿熱性、低荷重入力性が悪くなった。比較例16は、ITO膜が形成されているため、耐折曲げ性が悪く、またb値が大きく黄色味が強かった。
本発明の透明導電性フィルムは、低抵抗かつ透明性が良好で、耐折り曲げ性や低荷重入力性、耐湿熱環境性に優れ、さたに作製も非常に容易であることからも、タッチパネルや、特に折り曲げたり、丸めることの多い情報端末に適した透明導電性フィルムを提供でき、産業界に大きく寄与することが期待される。
1:透明導電性フィルム
2:透明プラスチックフィルム基材
3:導電性高分子を含む層
4:カーボンナノチューブ
5:導電性高分子とカーボンナノチューブを混合した層

Claims (3)

  1. 透明プラスチックフィルム基材Aの少なくとも一方の面に、厚みが20nm以上、200nm以下の導電性高分子を含む層Bが積層され、さらにその上にカーボンナノチューブCが堆積した透明導電性フィルムにおいて、走査型電子顕微鏡を用いて該透明導電性フィルム表面を観察した際に、下記式(1)で表されるカーボンナノチューブCの面積率が3%以上30%以下であり、かつ透過型電子顕微鏡を用いて該透明導電性フィルム断面を観察した際に、下記式(2)で表される導電性高分子を含む層Bの外側界面(透明プラスチックフィルム基材と反対側の界面)から内側15nmに位置する前記外側界面に平行な単位線分長に対する、交差するカーボンナノチューブCが占める線分長の割合が2%以上20%以下であることを特徴とする透明導電性フィルム。

    カーボンナノチューブCの面積率(%)
    =(カーボンナノチューブCの占める面積/測定面積)×100 ・・(1)

    導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nmに位置する外側界面(透明プラスチックフィルム基材と反対側の界面)に平行な単位線分長に対する、交差するカーボンナノチューブCが占める線分長の割合
    =(カーボンナノチューブCが占める線分長の合計
    /導電性高分子を含む層Bの外側界面から内側15nmに位置する外側界面に平行な単位線分長)×100 ・・(2)
  2. 表面抵抗値が100Ω/□以上、800Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が80%以上、95%以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 導電性高分子を含む層BがPEDOTを含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
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