JP2013205679A - 細径光ファイバケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な難燃性と曲げ剛性を有し、引き込み治具を用いない、いわゆる押し込み工法によっても、電話線等が存在する既設の配管の隙間に確実に通線することが可能な細径光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】細径光ファイバケーブル10を、光ファイバ1と、光ファイバ1を所定の間隔をおいて挟むように配置された抗張力体2と、光ファイバ1及び抗張力体2を被覆するシース3とを備えるとともに、短径が1.8mm以下で、長径が2.2mm以下の短冊形となるように構成し、また、シース3を、ポリオレフィン中に平均粒子径が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを含有した樹脂から構成するとともに、リン系難燃剤を、樹脂100質量部に対して、リン当量として、10質量部以上含有し、かつ超高分子量ポリエチレンパウダーを、樹脂中に5〜30質量%含有されるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、細径光ファイバケーブルに関し、さらに詳しくは、既設の配管の内部に挿通させて敷設するのに好適な細径光ファイバケーブルに関する。
光ファイバケーブルを集合住宅の各戸まで配線する、いわゆるFTTH(Fiber to the home)と呼ばれる光ファイバケーブル通信網の構築が進められている。
一方で、既設の集合住宅等において、新たに敷設する光ファイバケーブル用の配管がない場合には、光ファイバケーブルの敷設ルートの確保や配管の追加工事の決定が難しく、また、敷設コストが大幅に上昇する等の理由から、光ファイバケーブルの追加敷設が困難である場合が多い。
この対策として、集合住宅では一般に既設の配管を通じて電話線が各戸まで配線されていることから、この既設の配管の隙間を利用して光ファイバケーブルを敷設する方法が採用されている。
光ファイバケーブルを敷設する方法としては、通線ロッドと呼ばれる、引き込み治具を通線し、その後、引き込み治具と光ファイバケーブルとを連結させ、引き込み治具を牽引することにより、配管内に光ファイバケーブルを通線し、敷設する引き込み工法が一般的であるが、引き込み治具を用いることなく光ファイバケーブル自体を直接に既設の配管の内部に押し込む、いわゆる押し込み工法での通線が可能になれば、引き込み治具を用いる必要がなく、作業者の通線作業にかかる時間を大幅に短縮することが可能であることから、この押し込み工法にも対応できる光ファイバケーブルが望まれている。
従来の新築用の光ファイバケーブルは、長辺3.1mm、短辺2.0mmの矩形状の比較的大型のものが用いられており(例えば、特許文献2参照)、これを既設の配管用に用いた場合、既設の配管や管内の既設のケーブルとの摩擦が大きく、実用性に乏しいという問題がある。
このような中で、近年では、長辺が2.0mm、短辺が1.6mmの、従来の光ファイバケーブルの1/2程度の断面積の細径光ファイバケーブルの開発が進められている(例えば、特許文献1、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。
この細径光ファイバケーブルは、既設の配管へのケーブルの通線性を大幅に改善することができ、既設の配管の内壁や挿通済の細径光ファイバケーブルとの接触を小さくし、摩擦力を低減することができるため、押し込み工法にも適用することができる利点があり、さらなるケーブルの低摩擦化を図るべく、シース材料にシリコーン等の滑剤を添加する技術等が検討されている(例えば、特許文献4参照)。
一方で、この細径光ファイバケーブルは、その断面積が従来の光ファイバケーブルの1/2程度になっていることから、細径光ファイバケーブルの曲げ剛性の低下が懸念されている。
すなわち、既設の配管に細径光ファイバケーブルを押し込むときに、細径光ファイバケーブルの先端が、配管の屈曲部や配管の内壁から抵抗を受け、通線途中の細径光ファイバケーブルの長手方向のうち、配管入口付近の部位において過大な曲げ応力が掛かり、細径光ファイバケーブルが屈折してしまい、このケーブルを押し込む力がケーブルの先端に伝わらなくなり、通線をすることができなくなるという問題がある。
細径光ファイバケーブルの曲げ剛性を向上させるためには、ケーブル内部の抗張力体の素材の強度を向上させることが考えられるが、このような抗張力体は特殊仕様となってしまうため高価になるという別な問題がある。また、集合住宅等の各戸まで配線される光ファイバケーブルは、住宅火災等の観点から高い難燃性を有することが望まれている。
特開2009−198779号公報 特開2009−229518号公報 特開2010−039378号公報 特開2011−033744号公報 特開2011−033745号公報
本発明は、上述の問題に鑑み、良好な難燃性と曲げ剛性を有し、引き込み治具を用いない、いわゆる押し込み工法によっても、電話線等が存在する既設の配管の隙間に確実に通線することが可能な細径光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者等は、試作実験の結果、細径光ファイバケーブルのシースを、母材としてのポリオレフィン中に平均粒子径が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを含有する樹脂から構成し、この樹脂中に超高分子量ポリエチレンパウダーを5〜30質量%の割合で含有させることにより、細径光ファイバケーブルを曲げたときのケーブルの最大曲げ応力として0.5N以上という高い曲げ特性を実現することができ、細径光ファイバケーブルに曲げ応力が生じても、座曲することなく確実に通線することができることを見出し、さらに、シース中にリン系難燃剤を樹脂100質量部に対してリン当量として10質量部以上の割合で含有させることにより難燃性が良好な細径光ファイバケーブルを実現することができることを見出し、本発明を完成させた。従って、本発明によれば、以下の細径光ファイバケーブルが提供される。
[1]光ファイバと、前記光ファイバを所定の間隔をおいて挟むように配置された抗張力体と、前記光ファイバ及び前記抗張力体を被覆するシースとを備えるとともに、短径が1.8mm以下で、長径が2.2mm以下の短冊形である細径光ファイバケーブルであって、前記シースは、ポリオレフィン中に平均粒子径が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを含有した樹脂から構成されるとともに、リン系難燃剤を、前記樹脂100質量部に対して、リン当量として、10質量部以上含有し、かつ前記超高分子量ポリエチレンパウダーは、前記樹脂中に5〜30質量%含有された細径光ファイバケーブル。
[2]0.5N以上の最大曲げ応力を有する前記[1]に記載の細径光ファイバケーブル。
[3]前記抗張力体は、エチレンビニルアセテート樹脂で覆われた表面を有する前記[1]又は[2]に記載の細径光ファイバケーブル。
本発明によれば、引き込み治具を用いない、いわゆる押し込み工法によっても、電話線等が存在する既設の配管の隙間に数十本のケーブルを確実に通線することが可能で、汎用の抗張力体を用いても良好な曲げ剛性を有する難燃性の細径光ファイバケーブルを提供することができる。
本発明の一の実施の形態に係る細径光ファイバケーブルを模式的に示す断面図である。 耐摩耗性試験を示す説明図である。 ケーブルの摩耗係数を測定する方法を示す説明図である。 試験配管のレイアウトを示す説明図である。 ケーブル挿入本数とケーブルの押込力との関係を示すグラフである。 ケーブル曲げ応力と座屈荷重との関係を示すグラフである。
[実施の形態の要約]
本実施の形態の細径光ファイバケーブル1は、光ファイバ1と、光ファイバ1を所定の間隔をおいて挟むように配置された抗張力体2と、光ファイバ1及び抗張力体2を被覆するシース3とを備えた光ファイバケーブルにおいて、短径が1.8mm以下で、長径が2.2mm以下の短冊形であり、また、シース3は、ポリオレフィン中に平均粒子径が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを含有した樹脂から構成されるとともに、リン系難燃剤を、樹脂100質量部に対して、リン当量として、10質量部以上含有し、かつ超高分子量ポリエチレンパウダーは、樹脂中に5〜30質量%含有された細径光ファイバケーブルである。
[実施の形態]
以下に、本発明に係る細径光ファイバケーブルの一の実施の形態を説明する。
図1に示すように、本実施の形態の細径光ファイバケーブル(「ケーブル」とも略す。)10は、光ファイバ1と、光ファイバ1を所定の間隔をおいて挟むように配置された抗張力体2と、光ファイバ1及び抗張力体2を被覆するシース3とを備えるとともに、短径が1.8mm以下で、長径が2.2mm以下の短冊形であり、また、シース3は、ポリオレフィン中に平均粒子径が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを含有した樹脂から構成されるとともに、リン系難燃剤を、樹脂100質量部に対して、リン当量として、10質量部以上含有し、かつ超高分子量ポリエチレンパウダーは、樹脂中に5〜30質量%含有されている。
また、シース3の表面(上面及び下面)には、長径方向に、V溝31、32が対となるように設けられている。これは、細径光ファイバケーブル10を互いに接続する場合に、シース3を剥離し易くして、光ファイバ1を露出させ易くするためである。また、細径光ファイバケーブル10が、万が一、屈折した場合に、光ファイバ1を通る光がシース3を透過して、細径光ファイバケーブル10の外部に漏洩し、屈折したことを発見できるように、シース3は白色に着色されている。
本実施の形態の細径光ファイバケーブル10は、0.5N以上の最大曲げ応力を有することが好ましく、0.6N以上であることがさらに好ましい。0.5N未満であると、配線性を満足しないことがある。すなわち、本発明の細径光ファイバケーブルの断面積は、従来の光ファイバケーブルの2分の1程度に小さくなるため、ケーブルの曲げ剛性が低下し、配管を進入してきたケーブルが配管の表面の凹凸及び配管の屈曲部における抵抗を受けて屈折すると、ケーブルに力が伝達しなくなり、ケーブルを進行させるためには抵抗に耐え得る曲げ剛性が必要となるからであり、具体的には、後述する実験によって、配管内のケーブルの押込力は4〜10N程度であることが確認されるとともに、ケーブルの曲げ剛性と押込力の関連性を検証することによって、0.5N以上の最大曲げ応力を有することが必要であることが確認された。
細径光ファイバケーブル10のケーブル寸法は、例えば、短径が1.8mm以下、長径が2.2mm以下の短冊形であることが好ましい。短径が1.8mmを超えると、曲げにくくなることがある。また、長径が2.2mmを超えると、細径光ファイバケーブル10の断面積が大きくなるため通線しにくくなることがある。以下、本実施の形態の細径光ファイバケーブル10を構成要素ごとに説明する。
(1)光ファイバ
図1に示すように、本実施の形態の細径光ファイバケーブル10においては、光ファイバ1として、例えば、コアとクラッドとからなるガラス繊維の周囲に樹脂コートが設けられ、クラッド径が125μm前後、樹脂コートを含めた外径が、0.25mm前後の光ファイバが、通常1本用いられる。
(2)抗張力体
図1に示すように、本実施の形態の細径光ファイバケーブル10においては、光ファイバ1の両側を囲むように配置された、2本の、それぞれの外径が、材質にもよるが、好ましくは、0.48〜0.52mmの抗張力体2が用いられる。
本実施の形態に用いられる抗張力体2としては、例えば、銅が用いられる。
また、抗張力体2は、エチレンビニルアセテート樹脂で覆われた表面を有することが好ましい。このように構成することによって、ケーブルの曲げ応力を高め、配線性に優れたケーブルを得ることができる。
(3)シース
図1に示すように、本実施の形態の細径光ファイバケーブル10においては、光ファイバ1及び抗張力体2を被覆、外装するシース3が用いられる。上述のように、本実施の形態に用いられるシース3は、母材としてのポリオレフィン中に平均粒子径が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを含有する樹脂から構成されるとともに、リン系難燃剤を、樹脂100質量部に対して、リン当量として、10質量部以上含有する。また、超高分子量ポリエチレンパウダーは、通常、樹脂中に5〜30質量%含有され、リン系難燃剤はシース3中に、樹脂100質量部に対してリン当量として10質量部以上含有されることが好ましい。また、上述のように、シース3の表面(上面及び下面)には、長径方向に、V溝31、32が対となるように設けられ、かつシース3は白色に着色されている。
以下、シース3を構成する樹脂及びリン系難燃剤について、具体的に説明する。
(3−1)樹脂
上述のように、シース3を構成する樹脂は、母材としてのポリオレフィン中に、超高分子量ポリエチレンパウダーを所定の割合で含有する。
[3−1−1]ポリオレフィン
母材としてのポリオレフィンは、超高分子量ポリエチレンパウダーとの間で分子量の差を有し、混練時の粘度の違いによって混練の過程でも超高分子量ポリエチレンパウダーがほぼそのまままの形状を維持する限りにおいては、特にその分子量を制限されるものではないが、概ね数万(2万〜3万)程度の平均分子量を有するものが好ましい。
また、シース3として低摩擦化を実現するためには、高密度ポリエチレン(HDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン等の高弾性率のポリマーを用いることが好ましい。
さらに、ポリオレフィンは、ポリエチレン又はエチレン−α−オレフィンから選ばれるものが好ましく、単体又は2種以上をブレンドしたものを挙げることができるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート(EEA)のような極性基を導入した表面エネルギーが大きいものは密着しやすいので好ましくない。選択するポリエチレンとは、低密度、中密度、高密度ポリエチレンを意味し、エチレン−α−オレフィンとは、エチレンとα−オレフィンの共重合体を意味し、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等を挙げることができる。
[3−1−2]超高分子量ポリエチレンパウダー
本実施の形態において、超高分子量ポリエチレンパウダーを用いるのは、母材としてのポリオレフィンとの親和性に優れるとともに、ポリオレフィンとの分子量の差による混練時の粘度の相違によって、混練の過程でも超高分子量ポリエチレンパウダーをほぼその形状のまま維持することが可能であるからである。この超高分子量ポリエチレンパウダーを、細径光ファイバケーブル10のシース3を構成する樹脂に用いることにより、細径光ファイバケーブル10を曲げたときのケーブル最大曲げ応力が、0.5N以上という高い曲げ特性を達成することが可能になる。従って、超高分子量ポリエチレンの平均分子量は、母材としてのポリオレフィンの平均分子量が、上述のように、数万(2万〜3万)程度であることに鑑み、50万以上であることが好ましく、200万以上であることがさらに好ましい。
超高分子量ポリエチレンパウダーは、120μm以下、好ましくは、50μm以下の平均粒子径を有する。120μmを超えると、伸びが低下することがある。超高分子量ポリエチレンパウダーの平均粒子径の下限値としては特に制限はないが、現状では、入手可能な最も粒子の細かい超高分子量ポリエチレンパウダーの大きさが平均粒子径30μmであるため、30μm以上のものを用いることができる。
超高分子量ポリエチレンパウダーは、樹脂中に5〜30質量%、好ましくは、10〜20質量%含有される。5質量%未満であると、強度向上の効果がなく、また耐摩耗性を満足することができず、30質量%を超えると、伸びを低下させてしまう。
本実施の形態においては、超高分子量ポリエチレンパウダーとして、例えば、三井化学社製、商品名「ハイゼックスミリオン240S」を挙げることができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、超高分子量ポリエチレンパウダーとポリオレフィンとは、親和性に優れていることから、従来のように、シース3を構成する樹脂としてポリオレフィンを用いた細径光ファイバケーブルに比して、伸び特性や引張強さ等の機械的な特性の点において、ほぼ同等の特性を維持することができる。
また、本実施の形態においては、平均粒子径120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを樹脂中に含有させることにより、細径光ファイバケーブル同士の摩擦係数を低減させる効果に加えて、すでに挿通された細径光ファイバケーブル又は既設の配管の内壁に対する細径光ファイバケーブルの耐摩耗性を向上させる副次的な効果を発揮させることもできる。
(3−2)リン系難燃剤
本実施の形態においてシース3中に含有されるリン系難燃剤は、シース3を構成する樹脂100質量部に対して、リン当量として10質量部以上含有される。10質量部未満であると、難燃性を満足しない。また、上限値としては特に制限はないが、樹脂に難燃剤等の不純物を多く混入すると伸びが低下することがあるから、例えば、シース3を構成する樹脂100質量部に対して、リン当量として15質量部以下含有されることが好ましい。
本実施の形態におけるリン系難燃剤としては、特に制限はないが、例えば、赤リン、リン酸塩等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる制限を受けるものではない。
(実施例1)
樹脂及びリン系難燃剤からなるシース3を、以下のようにして光ファイバ1及び抗張力体2に被覆することによって、細径光ファイバケーブル10を作製した。すなわち、樹脂[母材(ポリオレフィン)としての高密度ポリエチレン(三井化学社製、商品名「Hizex」、曲げ弾性率:950MPa)95質量%、及び超高分子量ポリエチレンパウダー(三井化学社製、商品名「ハイゼックスミリオン240S」、平均分子量:50万、平均粒子径:120μm)5質量%から構成される]、及びリン系難燃剤(ADEKA社製、商品名「FP2100J」、リン含有量:25質量%、樹脂100質量部に対してリン当量として10質量部)を160℃以下の密閉式混練機で混練した後、オープンロールでシート化し、ペレタイザーでペレット化した。その後、試験用サンプルとして、ペレットを160℃で加熱、加圧して厚さ1mmのシートに成形したものと、押出機により、光ファイバ1(日立電線社製、商品名「耐曲げ強化型広波長域・低OHSMファイバ」)及び抗張力体2(ジェイ・ワイテックス社製、商品名「グルーイング鋼線」、エチレンビニルアセテート樹脂を表面に被覆したもの)の上に、図1に示す形状に被覆し、細径光ファイバケーブル10(寸法:長径2.0mm、短径1.6mm)を作製した。
(評価)
得られた試験用サンプルの材料特性(引張特性、耐熱特性、難燃性)、及び得られた細径光ファイバケーブル10の耐摩耗性、摩擦係数、最大曲げ応力、及び通線性を以下のようにして評価した。評価結果を表1に示す。
[引張特性]
JIS−C3005に準拠した試験方法で評価を行った。
[耐熱特性]
引張特性と同様に、JIS−C3005に準拠した試験方法で評価を行った。
[難燃性]
UL1581に準拠した試験方法で評価を行った。
[ケーブルの耐摩耗性]
表1中のケーブルの耐摩耗性は、図2に示すように、ケーブルの上に、先端がR0.125mmの面取りされた超鋼製の90°エッジを荷重2kgで印加し、ケーブル長手方向に1往復10mmの距離で摺動させて抗張力体2に接触するまでの往復回数を測定した。エッジと抗張力体2の接触は直流電圧1500Vの電気回路で抵抗が0になったときとした。耐摩耗性の判定は往復回数200回以上を○、未満を×とした。往復回数200回の根拠は、後述する通線性の評価距離と同等であり、実際の通線距離に近いことを挙げることができる。
[ケーブルの最大曲げ応力]
表1中のケーブルの最大曲げ応力は、テンシロン(東洋精機社製)を用いて、200mm間隔で2点支持したケーブルの中心を、速度100mm/minで曲げたときの最大応力をケーブル曲げ応力として測定した。ケーブルの曲げ方向は長径側で行った。
[ケーブルの摩擦係数]
表1中のケーブルの摩擦係数(μ)は、図3に示すように、ケーブル10を俵状に積み、中段の1本を、引抜速度V(mm/min)で引抜くときの引抜応力F(g)を加重W(g)で除したものである。すなわち、ケーブル10の摩擦係数(μ)は、ケーブル10の摩擦係数(μ)=引抜応力F(g)/加重W(g)の式によって求めることができる。具体的には、引抜速度V=100mm/min、加重W=2000gとして求めることができる。このとき、上段と下段は長さ150mmに裁断した3本のケーブル10を隙間なく配列した状態で板上に粘着テープで固定しておき、中段のケーブル10を引き抜くときに常にケーブル10同士が接触するようにした。具体的には、JISに準拠した雰囲気である23℃、50%RHで測定した。
[ケーブル通線性]
表1中のケーブル通線性は、模擬配管でのケーブル挿通本数を指標とした。市販の内径22mmのCD管(ポリエチレン製)を用いて全長20mの管路に90°角にR:150mmで曲げた箇所を5箇所作り、予め電話線を通線しておき、そこにケーブルを1本ずつ挿入し、30本以上挿入できたものを合格、未満を不合格とした。30本としたのは、電話線のコアは最大30本から形成されているためで、同数の光ファイバがあれば問題はないからである。試験配管のレイアウトを図4に示す。
Figure 2013205679
(ケーブルの曲げ剛性と押込力との関連性の検証)
上述のように、本発明の細径光ファイバケーブルの断面積は従来の光ファイバケーブルの2分の1程度に小さくなるため、ケーブルの曲げ剛性の低下が予想され、模擬配管に用いるCD管は管路を自由に設計できるように蛇腹状をしており、進入してきたケーブルはCD管の表面の凹凸及び配管の屈曲部での抵抗を受け、屈折するとケーブルに力が伝達しなくなるため、ケーブルが進行するにはそれに耐え得る曲げ剛性が必要となる。そこで本発明者らは、ケーブルの曲げ剛性と押込力の関連性を検証し、最適なケーブル曲げ応力の把握を試みた。
まず、ケーブルの押込力を測定した。ケーブルを押し込むときにケーブルが座屈すると測定が困難になるため、ケーブルの引抜力を測定した。作用・反作用の法則によれば、ケーブルの押込力と既設配管のケーブルを挿入するときの摩擦力はベクトルが逆ではあるが、同じ大きさであると考えられる。測定は前述の配線性試験と同様の方法で行い、模擬配管内に予め電話線とケーブル30本を配線しておき、配管の片端よりケーブルを1本ずつ引き抜いたときの最大荷重をケーブルの押込力とみなした。
押込力はケーブル配管との摩擦力と、ケーブル同士の摩擦力の総和と考えることができるので、挿入本数1本の時がケーブルと配管で生じる摩擦力と考えられ、2本目以降がケーブル同士の摩擦力が上積みされたものと考えられる。その観点で見ると、図5に示すように、ケーブルと配管との摩擦力は2.5〜3.8Nであり、ケーブルと配管との摩擦力及びケーブル同士の摩擦力の総和の摩擦力は4N程度である。ケーブル同士の摩擦力は挿入本数が少ないとケーブル同士の接触の機会が少ないので僅かではあるが、挿入本数が多くなると配管に設けられた屈曲部で収斂されるため大きくなる傾向がみられた。
図5に示すように、実験の結果により模擬配管内のケーブルの押込力は4〜10N程度であることが分かった。次に、ケーブルの押込力に耐え得るケーブル曲げ応力を評価するため、表2に示す曲げ応力の異なる3つのサンプル(未処理、処理A、処理B)を用意した。
Figure 2013205679
表2において、接着処理とは、抗張力体2をシース3に接着させるため、抗張力体2の表面に、金属材料からなる抗張力体2との濡れが良好で、かつシース3との相溶性が良好なエチレンビニルアセテート樹脂(EVA:VA量14%、MI(メルトインデックス)15g/10min)を厚さ0.05mm塗布したものを意味する。また、抗張力体予熱としては、加熱温度:150℃、線速:50m/minの条件を採用した。また、曲げ応力は、前述の測定方法と同様の測定方法を採用した。接着処理を行ったサンプルを処理A、接着処理及び抗張力体予熱を行ったサンプルを処理B、接着処理及び抗張力体予熱の何れも行わないサンプルを未処理とした。
続いて、図6に示すように、座屈荷重は、配管の片端を閉止した配管内に挿入したケーブルを座屈するまで押し込んだときの最大荷重で測定した。座屈荷重は最大本数(30本)の場合を測定した。その結果、曲げ応力と座屈荷重との間には相関性があり、曲げ応力の増加とともに座屈荷重も増加する傾向があり、座屈荷重は上述したケーブルの押込力(10N)以上が目標となるので、図6に示すように、それを満足するケーブルの曲げ応力は0.5N以上が必要となることが分かる。
(実施例2〜5及び比較例1〜4)
シース3を構成する樹脂及びリン系難燃剤の種類と含有量とを表1に示すものに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。また、評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜5は、シースを構成する樹脂中に平均分子量が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを本発明が規定する範囲で含有し、さらに、シース中にリン系難燃剤を樹脂100質量部に対するリン当量として本発明が規定する範囲で含有しているため、引張特性、難燃性、ケーブルの耐摩耗性、ケーブルの通線性のいずれにおいても良好な結果を示している。
これに対し、比較例1は、超高分子量ポリエチレンパウダーを添加しておらず、ケーブルの最大曲げ応力が低いために、ケーブル通線性が不合格となり、耐摩耗性も不合格となっている。比較例2は、超高分子量ポリエチレンパウダーの平均粒子径が規定値を超えており、比較例3は、超高分子量ポリエチレンパウダーの添加量が規定値を超えている。そのため、どちらも伸びの値が低く、引張特性が劣ることが分かる。また、比較例4は、樹脂100質量部に対するリン当量が規定値未満であるため、難燃性が不合格であった。
また、抗張力体2の表面をマレイン酸変性ポリマーで被覆したものは、ケーブルの曲げ応力を高め、通線性を向上する効果が認められる。
1 光ファイバ
2 抗張力体
3 シース
4 ブレード
5 抵抗計
10 細径光ファイバケーブル
31 V溝
32 V溝

Claims (3)

  1. 光ファイバと、前記光ファイバを所定の間隔をおいて挟むように配置された抗張力体と、前記光ファイバ及び前記抗張力体を被覆するシースとを備えるとともに、短径が1.8mm以下で、長径が2.2mm以下の短冊形である細径光ファイバケーブルであって、
    前記シースは、ポリオレフィン中に平均粒子径が120μm以下の超高分子量ポリエチレンパウダーを含有した樹脂から構成されるとともに、リン系難燃剤を、前記樹脂100質量部に対して、リン当量として、10質量部以上含有し、かつ前記超高分子量ポリエチレンパウダーは、前記樹脂中に5〜30質量%含有された細径光ファイバケーブル。
  2. 0.5N以上の最大曲げ応力を有する請求項1に記載の細径光ファイバケーブル。
  3. 前記抗張力体は、エチレンビニルアセテート樹脂で覆われた表面を有する請求項1又は2に記載の細径光ファイバケーブル。
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CN104371166A (zh) * 2014-10-30 2015-02-25 安徽电信器材贸易工业有限责任公司 一种室外用抗老化通信光缆护套料及其制备方法
CN113354897A (zh) * 2021-05-31 2021-09-07 安徽杰蓝特新材料有限公司 一种阻燃抗老化的电力电缆管及其制备方法

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