<第1の実施形態>
以下、図1〜図4に基づき、本発明の第1の実施形態に係るラッチ錠について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るラッチ錠を備えた扉を示す側断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るラッチ錠を備えた扉を示す底断面図である。図3は、図1のA−A断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るラッチ錠を備えた扉において、各室外側ラッチバーが回転した状態を示す断面図である。
まず、ラッチ錠1のうち、扉2の室外側(図1における左側)に設けられた部材について説明する。なお、説明の便のため、図1における左側を扉2の室外側に設けられた部材の前側(正面側)とし、図1における右側を扉2の室外側に設けられた部材の後側(背面側)とする。
図1に示されるように、扉2の室外側には、扉2の外壁面3に固定される上下一対の室外側台座4と、この上下一対の室外側台座4に支持される室外側ハンドル5と、各室外側台座4から扉2内に突出する上下一対の室外側ラッチバー6と、が設けられている。
各室外側台座4の前面には、挿通穴7が水平方向に設けられている。各室外側台座4の後面の上部と下部には、取付柱8が突設されている。取付柱8は、扉2を貫通している。なお、取付柱8は、図1を除いて記載が省略されている。
各室外側台座4内には取付板10が固定されている。取付板10は、側板11と、側板11の上下両端から前方に向かって延びる上下両板12、13と、によって形成されており、前側が開口されたコ字状を成している。取付板10には、側板11と下板13との境界部分に連通穴14が穿設されている。取付板10には、上板12と下板13の間に回転軸15(図2参照)が上下方向に架設され、この回転軸15の側方には、上板12と下板13の間に連結軸16(図2参照)が上下方向に架設されている。
図1に示されるように、室外側ハンドル5は、外壁面3と平行に設けられて上下方向に延びる把手部17と、この把手部17の上部と下部から後方に向かって突出するアーム部18と、を備えている。アーム部18の後部は、挿通穴7を介して室外側台座4内に挿入されている。アーム部18の後端部は、取付板10の上板12と下板13の間まで延びており、回転軸15に水平方向回転可能に支持されている。つまり、上下一対の室外側台座4に室外側ハンドル5が水平方向回転可能に支持されている。
アーム部18の後面にはバネ収納部20が凹設され、このバネ収納部20には、ねじりコイルバネ21が収納されている。このねじりコイルバネ21は、室外側ハンドル5を非回転位置(図2参照)に付勢している。
各室外側ラッチバー6は、水平方向に延びている。各室外側ラッチバー6の前後方向略中央には段差部22が設けられており、各室外側ラッチバー6の前部は各室外側ラッチバー6の後部よりも上方に位置している。各室外側ラッチバー6の前部は、取付板10の内部に配置されて室外側ハンドル5の各アーム部18の下面に固定されている。つまり、各室外側ラッチバー6は、室外側ハンドル5の上部と下部に固定されている。室外側ラッチバー6は、段差部22よりも前側で取付板10の連通穴14を貫通しており、各室外側ラッチバー6の後部は、扉2内に挿入されている。
次に、ラッチ錠1のうち、扉2の室内側(図1における右側)に設けられた部材について説明する。なお、説明の便のため、図1における右側を扉2の室内側に設けられた部材の前側(正面側)とし、図1における左側を扉2の室内側に設けられた部材の後側(背面側)とする。
図1に示されるように、扉2の室内側には、扉2の内壁面23に固定される上下一対の室内側台座24と、この上下一対の室内側台座24に支持される室内側ハンドル25と、各室内側台座24から扉2内に突出する上下一対の室内側ラッチバー26と、が設けられている。
各室内側台座24の前面には、挿通穴27が水平方向に設けられている。各室内側台座24の内部空間の後部には固定板28が固定され、固定板28には、室外側台座4に突設された取付柱8の後端部が固定されている。これにより、室外側台座4及び室内側台座24が扉2を挟み込むようにして扉2に固定されている。
各室内側台座24の内部空間には、固定板28の前面側に取付板30が固定されている。取付板30は、側板31と、側板31の上下両端から前方に向かって延びる上下両板32、33と、によって形成されており、前側が開口されたコ字状を成している。取付板30には、側板31と上板32との境界部分に連通穴34が穿設されている。各取付板30には、上板32と下板33の間に回転軸35(図2参照)が上下方向に架設され、回転軸35の側方には、上板32と下板33の間に連結軸36(図2参照)が上下方向に架設されている。
図1に示されるように、室内側ハンドル25は、内壁面23と平行に設けられて上下方向に延びる把手部37と、この把手部37の上部と下部から後方に向かって突出するアーム部38と、を備えている。アーム部38の後部は、挿通穴27を介して室内側台座24内に挿入されている。アーム部38の後端部は、取付板30の上板32と下板33の間まで延びており、回転軸35に水平方向回転可能に支持されている。つまり、上下一対の室内側台座24に室内側ハンドル25が水平方向回転可能に支持されている。アーム部38の後面にはバネ収納部40が凹設され、このバネ収納部40にはねじりコイルバネ41が収納されている。このねじりコイルバネ41は、室内側ハンドル25を非回転位置(図2参照)に付勢している。
図1に示されるように、各室内側ラッチバー26は、各室外側ラッチバー6の上方に位置しており、水平方向に延びている。各室内側ラッチバー26の前後方向略中央には段差部42が設けられており、各室内側ラッチバー26の前部は各室内側ラッチバー26の後部よりも下方に位置している。各室内側ラッチバー26の前部は、取付板30の内部に配置されて室内側ハンドル25の各アーム部38の上面に固定されている。つまり、各室内側ラッチバー26は、室内側ハンドル25の上部と下部に固定されている。各室内側ラッチバー26は、段差部42よりも前側で取付板30の連通穴34を貫通しており、各室内側ラッチバー26の後部は、扉2内に挿入されている。
次に、ラッチ錠1のうち、扉2の内部に収納された部材について説明する。なお、説明の便のため、図3における左側を扉2の内部に収納された部材の前側(正面側)とし、図3における右側を扉2の内部に収納された部材の後側(背面側)とする。なお、扉2の内部に収納された部材は、ラッチボルト46を除き、図1及び図2において記載が省略されている。
図3に示されるように、扉2の内部には、扉2の木口43に沿って設置される上下一対の錠ケース44と、各錠ケース44内に収納される上下一対のストッパー機構45と、各錠ケース44の前端から木口43の前方に突出する上下一対のラッチボルト46と、が設けられている。
錠ケース44の前端は錠ケース取付板47に固定され、錠ケース取付板47は固定ネジ48を介して扉2の木口43に固定されている。各錠ケース44の前部には、ラッチボルト装着部50が形成され、ラッチボルト装着部50の前面にはラッチボルト挿通穴51が水平方向に設けられている。ラッチボルト装着部50の下面には、挿入開口部52が形成されている。
各ストッパー機構45は、前後一対の上方駆動板53a、53bと、この上方駆動板53a、53bの下方に配置される前後一対の下方駆動板54a、54bと、上方駆動板53a、53bの前方に配置される押圧板55と、下方駆動板54a、54bの前方に配置される退避規制板56と、を主体として構成されている。
前側の上方駆動板53a(以下、単に「上方駆動板53a」と称する。)は、第1支点57を中心に回転可能であり、上方駆動板53aの前端部には上方押圧部58が設けられている。後側の上方駆動板53b(以下、単に「上方駆動板53b」と称する。)は、第1支点57の後方に設けられた第2支点60を中心に回転可能である。上方駆動板53bは、第1支点57と第2支点60の間において上方駆動板53aと揺動可能に連結されている。
前側の下方駆動板54a(以下、単に「下方駆動板54a」と称する。)は、第1支点57を中心に回転可能であり、下方駆動板54aの前端部には、下方押圧部61が設けられている。後側の下方駆動板54b(以下、単に「下方駆動板54b」と称する。)は、第2支点60を中心に回転可能である。下方駆動板54bは、第1支点57と第2支点60の間において下方駆動板54aと揺動可能に連結されている。
押圧板55は、その上端に設けられた第3支点62を中心に回転可能である。押圧板55の上下方向中央には、後方に突出する上方被押圧部63が設けられ、この上方被押圧部63は上方駆動板53aの上方押圧部58に当接している。押圧板55の下端には、押圧片64が設けられている。
退避規制板56は、その後下部に設けられた第4支点65を中心に回転可能である。退避規制板56の後上部には被押圧片66が設けられ、この被押圧片66は、押圧板55の押圧片64に当接している。退避規制板56の後端部には下方被押圧部67が設けられ、この下方被押圧部67は下方駆動板54aの下方押圧部61に当接している。押圧板55の前端部には、挿入開口部52を介してラッチボルト装着部50内に挿入される係止片68が設けられている。
ラッチボルト46は、錠ケース44のラッチボルト装着部50に水平方向回転可能に装着されており、この水平方向の回転に伴って扉2の木口43から突出した姿勢と扉2の木口43から退避した姿勢を切り換えられるようになっている。ラッチボルト46の前側部分は、ラッチボルト挿通穴51を介して扉2の木口43の前方に突出しており、扉枠70に設けられたストライク71に進入している。これにより、扉枠70に対する扉2の閉止状態(仮締まり状態)が保持されている。
ラッチボルト46の後面にはバネ受け部72が設けられており、このバネ受け部72とラッチボルト装着部50との間に介装されるコイルバネ73によって、ラッチボルト46が突出方向(本実施形態では、前方)に付勢されている。ラッチボルト46の外周には鍔部74が設けられ、この鍔部74がラッチボルト挿通穴51の周囲においてラッチボルト装着部50に当接している。鍔部74は、退避規制板56の係止片68によって係止されており、これにより、ラッチボルト46の退避(本実施形態では、後方への回転)が規制されている。
上記の如く構成されたものにおいて、まず、室外側ハンドル5を操作した場合の作用について説明する。
室外側ハンドル5が操作されていない状態では、ねじりコイルバネ21の付勢力によって室外側ハンドル5が非回転位置に付勢されており、図2に実線で示されるように、室外側ラッチバー6が扉2の外壁面3と垂直な状態を保持している。また、図3に示されるように、ストッパー機構45の退避規制板56の係止片68がラッチボルト46の鍔部74を係止している。そのため、ラッチボルト46の退避が規制され、ラッチボルト46が扉2の木口43から突出した状態が保持されている。
この状態から、例えば室外側ハンドル5が牽引されると、室外側ハンドル5が回転軸15を中心に回転し、図2に二点鎖線で示されるように、各室外側ラッチバー6が回転する。そして、図4に示されるように、各室外側ラッチバー6がストッパー機構45の下方駆動板54bを押圧して、下方駆動板54bが第2支点60を中心に回転する。これに伴って、下方駆動板54bと揺動可能に連結された下方駆動板54aが第1支点57を中心に回転し、下方駆動板54aの下方押圧部61が退避規制板56の下方被押圧部67を押圧する。この押圧により、退避規制板56が第4支点65を中心に回転し、退避規制板56の係止片68によるラッチボルト46の退避規制が解除され、ラッチボルト46が扉2の木口43から退避可能となる。
次に、室内側ハンドル25を操作した場合の作用について説明する。
室内側ハンドル25が操作されていない状態では、ねじりコイルバネ41の付勢力によって室内側ハンドル25が非回転位置に付勢されており、図2に実線で示されるように、室内側ラッチバー26が扉2の内壁面23と垂直な状態を保持している。また、図3に示されるように、ストッパー機構45の退避規制板56の係止片68がラッチボルト46の鍔部74を係止している。そのため、ラッチボルト46の退避が規制され、ラッチボルト46が扉2の木口43から突出した姿勢を保持している。
この状態から、例えば室内側ハンドル25が押圧されると、室内側ハンドル25が回転軸35を中心に回転し、図2に二点鎖線で示されるように、各室内側ラッチバー26が回転する。そして、図4に二点鎖線で示されるように、室内側ラッチバー26がストッパー機構45の上方駆動板53aを押圧する。これに伴って、上方駆動板53aが第1支点57を中心に回転し、上方駆動板53aの上方押圧部58が押圧板55の上方被押圧部63を押圧する。この押圧により、押圧板55が第3支点62を中心に回転し、押圧板55の押圧片64が退避規制板56の被押圧片66を押圧して、退避規制板56が第4支点65を中心に回転する。これにより、退避規制板56の係止片68によるラッチボルト46の退避規制が解除され、ラッチボルト46が扉2の木口43から退避可能となる。
本実施形態では上記のように、室外側ラッチバー6及びラッチボルト46が、上下一対の室外側台座4に対応して上下一対に設けられている。同様に、室内側ラッチバー26及びラッチボルト46が、上下一対の室内側台座24に対応して上下一対に設けられている。そのため、1個のラッチボルト46のみによって扉2の閉止状態を維持する場合と比較して、扉2の閉止状態を維持する力を高めることが可能となる。そのため、火災時に扉2が風に煽られた場合や扉2の室内側と室外側に大きな圧力差が生じた場合でも、扉2の閉止状態を確実に維持することが可能となる。
また、各ラッチバー6、26は、各ハンドル5、25の上部と下部に固定されて各ハンドル5、25と共に水平方向に回転するように構成されている。そのため、簡易な構成によって各ラッチバー6、26を回転させることが可能となる。
本実施形態では、錠ケース44のラッチボルト装着部50にラッチボルト46が水平方向回転可能に装着される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、錠ケース44のラッチボルト装着部50にラッチボルト46が前後方向スライド可能に装着されても良い。この場合には、ラッチボルト46の前進に伴って扉2の木口43からラッチボルト46が突出し、ラッチボルト46の後退に伴って扉2の木口43からラッチボルト46が退避することになる。
本実施形態では、各ラッチバー6、26が水平方向のどちらに回転した場合でも作動するストッパー機構45を用いているが(図3、図4参照)、他の異なる実施形態では、各ラッチバー6、26が水平方向のどちらか一方に回転した場合にのみ作動するストッパー機構45を用いても良い。
<第2の実施形態>
以下、図5〜図7に基づき、本発明の第2の実施形態に係るラッチ錠について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係るラッチ錠を備えた扉を示す側断面図である。図6は、図5のB−B断面図である。図7は、本発明の第2の実施形態に係るラッチ錠を備えた扉において、各室外側ラッチバーが回転した状態を示す断面図である。
まず、ラッチ錠81のうち、扉82の室外側(図5における左側)に設けられた部材について説明する。なお、説明の便のため、図5における左側を扉82の室外側に設けられた部材の前側(正面側)とし、図5における右側を扉82の室外側に設けられた部材の後側(背面側)とする。
図5に示されるように、扉82の室外側には、扉82の外壁面83に固定される上下一対の室外側台座84と、この上下一対の室外側台座84に支持される室外側ハンドル85と、各室外側台座84から扉82内に突出する上下一対の室外側ラッチバー86と、が設けられている。
上側の室外側台座84の上下方向中央には、貫挿穴87が水平方向に設けられている。上側の室外側台座84内には取付板88が固定されている。取付板88は、側板90と、側板90の上下両端から前方に向かって延びる上下両板91、92と、上板91の前端から上方に向かって延びる上端板93と、下板92の前端から下方に向かって延びる下端板94と、によって形成されている。
上側の室外側台座84に固定された取付板88の側板90及び上下両板91、92は、上側の室外側台座84の貫挿穴87に挿入されている。側板90には、連通穴95が水平方向に穿設されている。取付板88の前部一側には、上板91と下板92の間に回転軸(図示せず)が上下方向に架設され、回転軸の側方には、上板91と下板92の間に連結軸96が上下方向に架設されている。上板91の後部には貫通穴97が形成されている。取付板88の上下両端板93、94は、上側の室外側台座84の前面に固定されている。
下側の室外側台座84は、上側の室外側台座84と上下対称である。そのため、図5において上側の室外側台座84の各部と対応する番号を下側の室外側台座84の各部に付し、説明を省略する。
室外側ハンドル85は、扉82の外壁面83と平行に設けられて上下方向に延びる把手部98と、この把手部98の上部と下部から後方に向かって突出するアーム部100と、を備えている。各アーム部100の後部は、各室外側台座84の貫挿穴87内に挿入されており、前記の回転軸(図示せず)に水平方向回転可能に支持されている。つまり、上下一対の室外側台座84に室外側ハンドル85が水平方向回転可能に支持されている。
上側のアーム部100の後上部と下側のアーム部100の後下部には、それぞれ押圧板101が固定されている。各押圧板101は、水平方向に延びている。アーム部100の後面にはバネ収納部102が凹設され、このバネ収納部102にはねじりコイルバネ103が収納されている。ねじりコイルバネ103は、室外側ハンドル85を非回転位置に付勢している。
上側の室外側ラッチバー86は、水平方向に延びており、上側の室外側台座84の取付板88の連通穴95を貫通して扉82内に挿入されている。上側の室外側ラッチバー86は、上側の室外側台座84の取付板88に収納される回転部材104の下部に固定されている。回転部材104の下端には支点部106が設けられ、この支点部106を中心に回転部材104が上下方向に回転するようになっている。回転部材104の上端には、突部107が上方に向かって突設されている。突部107は、上側の押圧板101に当接している。
下側の室外側ラッチバー86及び回転部材104は、上側の室外側ラッチバー86及び回転部材104と上下対称である。そのため、図5において上側の室外側ラッチバー86及び回転部材104の各部と対応する番号を下側の室外側ラッチバー86及び回転部材104の各部に付し、説明を省略する。
図5に示されるように、扉82の室内側(図5における右側)には、扉82の内壁面99に固定される上下一対の室内側台座108と、この上下一対の室内側台座108に支持される室内側ハンドル110と、各室内側台座108から扉82内に突出する上下一対の室内側ラッチバー111と、が設けられている。ラッチ錠81のうち、扉82の室内側に設けられる部材の構成については、扉82の室外側に設けられる部材の構成と同様である。そのため、図5において室外側の部材の各部と対応する番号を室内側の部材に付し、説明を省略する。
次に、ラッチ錠81のうち、扉82の内部に収納される部材について説明する。なお、説明の便のため、図6における左側を扉82の内部に収納される部材の前側(正面側)とし、図6における右側を扉82の内部に収納される部材の後側(背面側)とする。
図6に示されるように、扉82の内部には、扉82の木口112に沿って設けられる上下一対の錠ケース113と、各錠ケース113内に収納される上下一対のストッパー機構114と、各錠ケース113の前端から扉82の木口112の前方に突出する上下一対のラッチボルト115と、が設けられている。
上側の錠ケース113の前端は錠ケース取付板116に固定され、錠ケース取付板116は固定ネジ117を介して扉82の木口112に固定されている。上側の錠ケース113の前部にはラッチボルト装着部118が形成され、ラッチボルト装着部118の前面にはラッチボルト挿通穴120が設けられている。ラッチボルト装着部118の下面には、挿入開口部121が形成されている。
下側の錠ケース113は、上側の錠ケース113と上下対称である。そのため、図6、図7において上側の錠ケース113の各部と対応する番号を下側の錠ケース113の各部に付し、説明を省略する。
上側のストッパー機構114は、上側の錠ケース113の後部に配置される昇降板122と、昇降板122の前上方に配置される作動板123と、昇降板122の前下方に配置される退避規制板124と、を主体として構成されている。
上側のストッパー機構114の昇降板122は、上側の錠ケース113に昇降可能に支持されている。昇降板122は、上下方向に延びる連結部125と、連結部125の下端から後方に向かって延びる被押圧部126と、連結部125の上端から後方に向かって延びる押圧部127と、を備えており、側面視略コ字状を成している。被押圧部126は、室外側ラッチバー86及び室内側ラッチバー111の下方に位置している。
上側のストッパー機構114の作動板123は、前後方向に延びる第1腕部128と、第1腕部128の前端から下方に向かって延びる第2腕部130と、を備えており、側面視略L字状を成している。第1腕部128の後端は、昇降板122の押圧部127の下側に位置している。第1腕部128の前端には第1支点部131が設けられ、この第1支点部131を中心に作動板123が回転するようになっている。
上側のストッパー機構114の退避規制板124は、その後下部に設けられた第2支点部132を中心に上下方向に回転可能となっている。退避規制板124の後上端部は、作動板123の第2腕部130の下端と揺動可能に連結されている。退避規制板124の前端部には、挿入開口部121を介してラッチボルト装着部118内に挿入される係止片134が設けられている。
下側のストッパー機構114は、上側のストッパー機構114と上下対称である。そのため、図6、図7において上側のストッパー機構114の各部と対応する番号を下側のストッパー機構114の各部に付し、説明を省略する。
各ラッチボルト115は、各錠ケース113のラッチボルト装着部118に水平方向回転可能に装着されており、この水平方向の回転に伴って扉82の木口112から突出した姿勢と扉82の木口112から退避した姿勢を切り換えられるようになっている。ラッチボルト115の前側部分は、ラッチボルト装着部118のラッチボルト挿通穴120を介して扉82の木口112の前方に突出しており、扉枠138に設けられたストライク139に進入している。これにより、扉枠138に対する扉82の閉止状態(仮締まり状態)が保持されている。
ラッチボルト115の後面にはバネ受け部135が設けられており、このバネ受け部135とラッチボルト装着部118との間に介装されるコイルバネ136によって、ラッチボルト115が突出方向(本実施形態では、前方)に付勢されている。ラッチボルト115の後端には鍔部137が設けられ、この鍔部137がラッチボルト挿通穴120の周囲においてラッチボルト装着部118に当接している。鍔部137は、退避規制板124の係止片134に係止されており、これにより、ラッチボルト115の退避(本実施形態では、後方への回転)が規制されている。
上記の如く構成されたものにおいて、室外側ハンドル85が操作されていない状態では、ねじりコイルバネ103の付勢力によって室外側ハンドル85が非回転位置に付勢されており、図5に実線で示されるように、室外側ラッチバー86が扉82の外壁面83と垂直な姿勢を保持している。また、図6に示されるように、各ストッパー機構114の退避規制板124の係止片134がラッチボルト115の鍔部137を係止している。そのため、ラッチボルト115の退避が規制され、ラッチボルト115が扉82の木口112から突出した姿勢を保持している。
この状態から、例えば室外側ハンドル85が押圧されると、室外側ハンドル85が回転軸(図示せず)を中心に回転する。これに伴って、室外側ハンドル85の上側の押圧板101が上側の回転部材104の突部107を押圧し、図5に二点鎖線で示されるように、上側の回転部材104と共に上側の室外側ラッチバー86が下方に回転する。また、室外側ハンドル85の下側の押圧板101が下側の回転部材104の突部107を押圧し、下側の回転部材104と共に下側のラッチバー86が上方に回転する。
上記のように上側の室外側ラッチバー86が下方に回転すると、図7に示されるように、上側の室外側ラッチバー86が上側のストッパー機構114の昇降板122の被押圧部126を下方に押圧し、昇降板122が下降する。この昇降板122の下降に伴って、昇降板122の押圧部127が作動板123の第1腕部128を下方に押圧し、作動板123が第1支点部131を中心に回転する。この作動板123の回転により、作動板123に揺動可能に連結された退避規制板124が第2支点部132を中心に回転する。これにより、退避規制板124の当接片134による上側のラッチボルト115の退避規制が解除され、上側のラッチボルト115が扉82の木口112から退避可能となる。
また、上記のように下側の室外側ラッチバー86が上方に回転すると、同様の作用により下側のストッパー機構114に設けられた退避規制板124の当接片134による下側のラッチボルト115の退避規制が解除され、下側のラッチボルト115が扉82の木口112から退避可能となる。
なお、上記の説明では、室外側ハンドル85を操作する場合について説明したが、室内側ハンドル110を操作した場合も、同様の作用により各ラッチボルト115が扉82の木口112から退避可能となる。
本実施形態では、各ラッチバー86を上下方向に回転させると共に回転規制板124を上下方向に回転させている。つまり、各ラッチバー86の回転方向と回転規制板124の回転方向が同一になっている。そのため、各ラッチバー86の回転を回転規制板124に伝達するのにあたって、回転方向を水平方向から上下方向に変換する必要が無く、これに伴って、ストッパー機構114の構成を簡易化することが可能となる。
本実施形態では、錠ケース113のラッチボルト装着部118にラッチボルト115が水平方向回転可能に装着される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、錠ケース113のラッチボルト装着部118にラッチボルト115が前後方向スライド可能に装着されても良い。この場合には、ラッチボルト115の前進に伴って扉82の木口112からラッチボルト115が突出し、ラッチボルト115の後退に伴って扉82の木口112からラッチボルト115が退避することになる。
本実施形態では、各ラッチバー86、111が上方又は下方のいずれか一方に回転した場合にのみ作動するストッパー機構114を用いているが(図6、図7参照)、他の異なる実施形態では、各ラッチバー86、111が上方又は下方のどちらに回転しても作動するストッパー機構114を用いても良い。