JP2013204208A - 不織布の製造装置および製造方法 - Google Patents

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拓 山本
Shoji Funakoshi
祥二 船越
Ryoichi Hane
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Abstract

【課題】本発明の目的は、捕集ネットコンベア上の気流を制御し、特に幅方向外側両端部の気流の乱れを抑制することで、ウェブ捲れのない、目付斑の均一なウェブを得ることのできる不織布の製造装置および製造方法を提供することにある。
【解決手段】フィラメント群を気流と共に吹き出するエジェクタと、吹き出された前記フィラメント群を捕集する捕集ネットコンベアと、該捕集ネットコンベアと前記エジェクタとの間の気流を、前記捕集ネットコンベアを介して下方に吸引する吸引ボックスと、前記捕集ネットコンベアの上方に対向し、前記捕集ネットコンべアに向かい気流を供給する給気ボックスとからなる不織布の製造装置において、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側の両端に気流を吸引する吸引手段を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、不織布の製造装置および製造方法に関する。
スパンボンド不織布の製造装置としては、フィラメント群と共に気流を吹き出すエジェクタと、吹き出されたフィラメントを捕集しウェブを得る捕集ネットコンベアと、捕集ネットコンベアとエジェクタの間の気流を、捕集ネットコンベアを介して下方に吸引する吸引ボックスで構成するのが一般的である。近年、多用な用途への展開が期待される中で、目付斑等の品質要求が厳しくなっており、その要因として捕集ネットコンベア上でのウェブ捲れが大きな問題となっている。このウェブ捲れの一つの要因としては捕集ネットコンベア上の気流の乱れがあり、これを高精度に制御することが強く求められてきている。
また、生産性の向上のため、広幅化にて製造した際、気流の乱れが生じやすくなり、上記の問題がより顕著となる。この様に、高品位、高品質の不織布を、高い生産性の下、特に広幅にて製造するにおいて、捕集ネットコンベア上の気流の乱れを抑制し、ウェブ捲れのない、目付斑の均一なウェブを得ることは、極めて重要な要素であり、従来から様々な提案が行われている。
特許文献1には、捕集ネットコンベアの幅方向外側両端部、あるいは前後からの流入による気流の乱れを解消するため、捕集ネットコンベアを介して気流を吸引する吸引ボックスを設置すると共に、捕集ネットコンベアに対向して不織布の幅方向全域にわたって気流を供給する給気ボックスを設置し、気流の乱れの要因となる外部からの気流の流入を防止する方法が開示されている。
しかしながら、本発明者らの知見によると、特許文献1に開示された方法では、エジェクタによる供給量と給気ボックスによる供給量の総和が、吸引ボックスによる吸引量より少ない場合、捕集ネットコンベアの幅方向外側端部においては、エジェクタと給気ボックスから供給される供給量だけでは足りない吸引量は、外部からの気流の流入によって補われる。そのため、幅方向外側から吸引ボックスに向かう気流と、エジェクタと給気ボックスから供給された気流とが衝突する。このとき、幅方向外側両端部で気流の乱れが発生し、ウェブ捲れを誘発する場合がある。
また、エジェクタによる供給量と、給気ボックスによる供給量の総和が、吸引ボックスによる吸引量より多い場合、捕集ネットコンベア中央部での捕集ネットコンベア進行方向の気流の速度が捕集ネットコンベア進行速度より大きくなりすぎるためにウェブがばたつき、ウェブ捲れを誘発する場合がある。
特許文献2には、捕集ネットコンベアと吸引ボックスの間であって捕集ネットコンベアの幅方向外側の一部に遮蔽板を挿入し、捕集ネットコンベア上に吸着されていない幅方向外側端部のウェブを、幅方向内側に向かってエアノズルから吹き出される気流が、幅方向内側に押し込むことで、目付斑を均一にできると記載されている。
しかしながら、本発明者らの知見によると、特許文献2に開示された方法では、幅方向内側に向かって吹き出される気流により、幅方向外側両端部に気流の乱れが発生し、ウェブ捲れを誘発する場合がある。
また、遮蔽板のみで、エアノズルからの吹き出し気流がない場合には、幅方向外側端部のウェブが捕集ネットコンベア上に吸着されていないため、わずかな気流の乱れでもウェブがばたつき、ウェブ捲れを誘発する。
特許第2831499号公報 特開平07−145546号公報
本発明の目的は、捕集ネットコンベア上の気流を制御し、特に幅方向外側両端部の気流の乱れを抑制することで、ウェブ捲れのない、目付斑の均一なウェブを得ることのできる不織布の製造装置および製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、フィラメント群を、気流と共に吹き出するエジェクタと、吹き出された前記フィラメント群を捕集する捕集ネットコンベアと、前記捕集ネットコンベアと前記エジェクタとの間の気流を、前記捕集ネットコンベアを介して下方に吸引する吸引ボックスと、前記捕集ネットコンベアの上方に対向し、前記捕集ネットコンベアに向かい気流を供給する給気ボックスとからなる不織布の製造装置において、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側の両端に気流を吸引する吸引手段を有することを特徴とする不織布の製造装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記吸引手段を、前記フィラメント群が前記捕集ネットコンベア上に着地する位置より前記捕集ネットコンベアの進行方向に100mm以上離れた位置から下流に、設置する不織布の製造装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、エジェクタからフィラメント群を、気流と共に吹き出し、吹き出された前記フィラメント群を捕集ネットコンベア上に捕集し、前記捕集ネットコンベアと前記エジェクタとの間の気流を、前記捕集ネットコンベアを介して吸引ボックスで下方に吸引し、前記捕集ネットコンベアの上方に対向し、給気ボックスから前記捕集ネットコンベアに向かい気流を供給するにおいて、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側の両端から気流を吸引することを特徴とする不織布の製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記フィラメント群が前記捕集ネットコンベア上に着地する位置より前記捕集ネットコンベアの進行方向に100mm以上離れた位置から下流に、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側に向かう気流を形成することを特徴とする不織布の製造方法が提供される。
本発明において、捕集ネットコンベアの上方に対向して気流を供給する給気ボックスとは、吸引ボックス上に位置する捕集ネットコンベア面と上方に対向して水平な給気面を有する給気ボックスをいう。
本発明において、捕集ネットコンベアを介して下方に吸引する吸引ボックスとは、エジェクタと給気ボックスの位置する捕集ネットコンベアから、吸引ボックスへ向かって、気流を下方に吸引する吸引ボックスをいう。
本発明において、衝突位置およびフィラメント群が捕集ネットコンベア上に着地する位置とは、捕集ネットコンベア幅方向および進行方向に広がって着地するフィラメント群の、進行方向のフィラメント群の着地全幅における、中心位置をいう。
本発明において、フィラメント群が捕集ネットコンベア上に着地する位置近傍とは、フィラメント群が捕集ネットコンベア上に着地する位置より下流側において、エジェクタおよび給気ボックスから吹き出され、捕集ネットコンベアに衝突した気流が、捕集ネットコンベアの幅方向外側まで到達している範囲をいう。
本発明の不織布の製造装置および製造方法によれば、捕集ネットコンベア上の気流を制御し、特に、幅方向外側両端部の気流の乱れを抑制することで、ウェブ捲れのない、目付斑の均一なウェブの製造が可能となる。
本発明の実施形態に用いられる不織布の製造装置の概略側面図である。 図1の不織布の製造装置の概略上面図である。 図1の不織布の製造装置の概略正面図である。 本発明の別の実施形態の不織布の製造装置の概略側面図である。 図4の不織布の製造装置の概略上面図である。 本発明を実施しなかった場合のコンベア進行方向に垂直な断面の気流の形態を示した模式図である。 本発明の実施形態のコンベア進行方向に垂直な断面の気流の形態を示した模式図である。 本発明の実施形態のコンベア進行方向に垂直な断面の気流の形態を示した模式図である。 本発明を実施しなかった場合のコンベア進行方向に垂直な断面の気流の形態を示した模式図である。 本発明を実施しなかった場合のコンベア進行方向に垂直な断面の気流の形態を示した模式図である。 本発明の別の実施形態のコンベア進行方向に垂直な断面の気流の形態を示した模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の不織布の製造装置および製造方法の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明による不織布の製造装置の概略側面図であり、図2は、図1の概略上面図であり、図3は、図1の概略正面図である。図4は、本発明の別の実施形態の不織布の製造装置の概略側面図であり、図5は、図4の概略上面図である。なお、これらは、本発明の要点を正確に伝えるための概念図であり、図を簡略化しており、本発明の製造装置は特に制限されるものでなく、寸法比などは実施の形態に合わせて変更可能なものとする。
本発明の実施形態に用いられる不織布の製造装置は、図1、図2、図3に示すように、エジェクタ1、吸引手段3、吸引面4、ローラー6、吸引ダクト10、吸引ボックス11、捕集ネットコンベア12、給気ダクト13、給気ボックス14、給気面16、エンボスロール17から構成される。なお、吸引ダクト10、給気ダクト13は、明細書内では、簡易化のため省略しているが、ブロア、ファン等の気流を吸引、または給気する送風装置が接続されているものである。
本発明の実施形態に用いられる不織布の製造装置において、捕集ネットコンベア12は、フィラメントは通過せず、気流は通過する粗さの網目状ネットにより構成され、ローラー6の回転によって走行する。捕集ネットコンベア12の上面には、エジェクタ1より、フィラメント群2が気流とともに吹き出され、ウェブ8を形成する。その際、吸引ファン(明細書では省略)により、捕集ネットコンベア12とエジェクタ1の間の気流を、捕集ネットコンベア12を介して、吸引ボックス11、吸引ダクト10を通じて、外部に排出すると共に、吸引ボックス11に連通した吸引手段3からも気流が排出される。また同時に、給気ファン(明細書では省略)により、給気ダクト13、エジェクタ1より下流の捕集ネットコンベア12上面側に設けられた給気ボックス14を通じて、給気面16から捕集ネットコンベア12に向かって、気流が供給される。この時、給気ボックス14より供給される気流と、エジェクタ1よりフィラメント群2と共に吹き出される気流が合わさり、それらがネットコンベア12を介して吸引ボックス11に排出され、そして、吸引面4を介して吸引手段3からも排出される。走行する捕集ネットコンベア12上のウェブ8は、吸引ボックス11より吸引される気流により、捕集ネットコンベア12上に吸着し、搬送され、エンボスロール17によって部分的に熱圧着することで、不織布が形成される。
まず、本発明の最も重要なポイントである、捕集ネットコンベア12上の気流を制御でき、特に幅方向外側両端部における気流の乱れを抑制できる原理について説明する。
はじめに、従来技術と本発明の違いを明確にするため、一般的な不織布の製造装置における気流の形成メカニズムについて、図6を用いて説明する。図6は、フィラメント群2が捕集ネットコンベア12上に着地する位置近傍(以降、衝突位置近傍と呼称)よりも下流側の吸引ボックス11上におけるコンベア進行方向に垂直な断面での気流の形態を示した模式図である。エジェクタ1より吹き出された気流は、捕集ネットコンベア12に衝突し、衝突位置を境に、捕集ネットコンベア12の進行方向と反進行方向に分岐して流れる。また、給気ボックス14からも捕集ネットコンベア12に向かい気流が吹き出される。これらの気流は吸引ボックス11により吸引されるため、衝突位置から離れるほど速度が低下し、幅方向外側両端部まで届きにくくなる。そのため、衝突位置近傍よりも下流側の吸引ボックス11上における幅方向外側両端部の捕集ネットコンベア12上では、エジェクタ1と、給気ボックス14による供給量では足りない気流が、外部からの流入によって補われ、幅方向外側から吸引ボックス11に向かう気流と、エジェクタ1および給気ボックス14から供給された気流(以降、供給気流と呼称)とが衝突し、気流の乱れが発生する。
ここで、例えば、吸引ボックス11による吸引量を減少させると、外部からの気流の流入は抑制できるが、捕集ネットコンベア12上にウェブ8を吸着できなくなり、ウェブ8がばたつき、ウェブ捲れが発生する。また、エジェクタ1や、給気ボックス14からの供給量を増やすと、供給気流が幅方向外側両端部まで届くが、捕集ネットコンベア12の中央部での気流の速度が捕集ネットコンベア12の進行速度より大きくなりすぎるためにウェブ8がばたつき、ウェブ捲れが発生する。
このように、気流の乱れを抑制するには、幅方向外側から吸引ボックス11に向かう気流と、供給気流とが衝突しないようにしなければならないが、従来技術では、それを避けるために、吸引量と供給量を調整しても、ウェブ8に捲れが生じるために限界があった。
従って、捕集ネットコンベア12上の気流を制御し、特に幅方向外側両端部の気流の乱れを抑制するのは極めて重要な技術となる。そこで、本発明者らは、従来の技術では、何の配慮もされていなかった、上記問題に関して、鋭意検討を重ねた結果、本発明の新たな技術を見出すに至った。
本発明の不織布の製造装置を用いた場合の気流の形成メカニズムについて、図7、図8を用いて説明する。図7は衝突位置近傍よりも下流側の吸引ボックス11上、図8は衝突位置近傍における、コンベア進行方向に垂直な断面での気流の形態を示した模式図である。
まず、本発明の効果が最も顕著に現れる、衝突位置近傍よりも下流側の吸引ボックス11上において、捕集ネットコンベア12上の幅方向外側両端部では、図7に示すように、吸引ボックス11と吸引面4の吸引量に対して、エジェクタ1と給気ボックス14からの供給量だけでは足りない気流は、給気ボックス14と吸引手段3の間から、捕集ネットコンベア12の幅方向中心に向かって流入する。この領域では、吸引ボックス11と吸引面4から遠く吸引が小さいため、流速は小さい。その後、この気流が、幅方向外側両端部の上方に到達すると、エジェクタ1および給気ボックス14から吹き出された流速の大きい気流に牽引され、下方に向かう。気流が吸引面4の高さに到達すると、吸引面4の吸引力を大きく受けて幅方向外側に吸引され、かつ、吸引ボックス11によっても下方に吸引されるため、外側斜め下方向に向かい、捕集ネットコンベア12上に到達する。そして、一部は吸引ボックス11に吸引されて下方へ向かい、残りは吸引面4から吸引手段3によって吸引されて、幅方向外側へ向かう。このように外部からの持ち込まれた気流と供給気流が捕集ネットコンベア12上で直接衝突することなく合流するため、気流の乱れを発生することがない。
また、衝突位置近傍では、図8に示すように、エジェクタ1および給気ボックス14により供給された気流は、捕集ネットコンベアに衝突し、衝突位置を境に分岐した供給気流は、幅方向外側に到達し、吸引面4によって吸引される。つまり、吸引ボックス12および吸引手段3による吸引量に対して、供給気流の流量が過大であるため、外部からの気流の流入はなく、よって、気流どうしの衝突も起こらず、気流の乱れが発生しない。
ここで、本発明とは異なり、吸引面4に吸引力が無い場合、すなわち吸引手段3の代わりに全面が壁で構成された遮蔽物5を設置する場合における気流の形成メカニズムについて、図9、図10を用いて説明する。図9は、衝突位置近傍よりも下流側の吸引ボックス11上、図10は衝突位置近傍における、コンベア進行方向に垂直な断面での気流の形態を示した模式図である。
まず、衝突位置近傍よりも下流側の吸引ボックス11上においては、図9に示すように、捕集ネットコンベア12上の幅方向外側両端部では、吸引ボックス11と吸引面4の吸引量に対して、エジェクタ1と給気ボックス14からの供給量だけでは足りない気流は、給気ボックス14と遮蔽物5の間より給気ボックス14の高さにおいて、捕集ネットコンベア12の幅方向中心に向かって流入する。流入した気流は吸引ボックス11の吸引により、下方に吸い寄せられるが、遮蔽物5には、吸引力が無いため、中心に向かう流れが発生する。そのため、エジェクタ1および給気ボックス14から供給された気流とが衝突し、気流の乱れが発生する。
また、衝突位置近傍においては、捕集ネットコンベア12上を幅方向外側に向かう供給気流が、遮蔽物5に衝突し、上方、または、進行方向、半進行方向に拡散する。このうち、上方へ向かった気流が供給気流と衝突し、気流の乱れが発生する。
このように、吸引能力が無い遮蔽物5であれば、反対に気流の乱れを発生させてしまうため、吸引手段3が吸引力を有することが重要となる。本発明では、幅方向外側両端部にて、エジェクタ1と給気ボックス14から供給された気流を絶えず幅方向外側へ方向付けることで、ウェブ捲れを抑制することが可能となる。
続いて、本発明のより好ましい形態について、図11を用いて以下に説明する。図11は、衝突位置近傍におけるコンベア進行方向に垂直な断面での気流の形態を示した模式図である。
本発明の好ましい形態によれば、吸引手段3を、衝突位置近傍より下流側に離れた位置から設置するのが良い。それは、好ましくは、フィラメント群2が捕集ネットコンベア12上に着地する位置より捕集ネットコンベア12の進行方向に100mm以上離れた位置
から下流側に設置するのが良く、その模式図は、例えば図7のようになる。
エジェクタ1より吹き出されたフィラメント群2を、衝突位置近傍にて、そのまま捕集ネットコンベア上に吸着させ、ウェブ8を形成し、その後に、吸引手段3によって、幅方向外側に気流が吸引されるため、衝突位置近傍でのフィラメント群2の広がりを抑制することができ、より目付け斑の均一なウェブ8を形成できる。このとき、衝突位置近傍の幅方向外側両端部においては、図11に示すように、捕集ネットコンベア12上に到達した供給気流は、そのまま幅方向外側に進行するため、当然のことながら外部からの気流の流入はなく、よって、気流どうしの衝突も起こらず、気流の乱れが発生しない。
また、吸引手段3の高さ方向の設置範囲としては、エジェクタ1の吹出口の下面から捕集ネットコンベア12の上面とするのが良い。この範囲とすることで、エジェクタ1および給気ボックス14より吹き出された供給気流が、捕集ネットコンベア12に到達するまでの全領域に渡り、外部からの気流の流入を抑制し、幅方向外側へ進行する流れを形成することができる。このとき、吸引手段3の吸引量は、進行方向および反進行方向から気流が流入しない範囲で設定するのが好ましい。
また、吸引手段の進行方向の設置範囲としては、衝突位置近傍を除く、吸引ボックス11の全幅に渡り設置することで、幅方向外側両端部において、外部からの気流の流入を完全に阻止し、外側に向かう気流を形成することが出来る。
また、エジェクタ1は、1機でも良いが、捕集ネットコンベア12の進行方向または、幅方向に複数機配置しても良い。
また、吸引ボックス11は、分割数は幅方向、進行方向共に2以上に分割してよく、また、給気ボックス14または吸引手段3も複数に分割しても良い。
各々に分割し、気流の供給、吸引量を個別に調整可能な構成とすることにより、供給量と吸引量の細かな制御が容易となり、目付量、コンベア速度等の幅広い生産条件に渡り、目付斑の均一なウェブを製造可能となる。
また、吸引ボックス11および吸引手段3を別の独立した、ファンやブロアーなどの送風、吸引装置に接続しても良い。
また、吸引面4の形状は、矩形に限らず円形や三角形などでもよく、吸引手段3は特定の構造体を持たない仮想的なものでも良い。ここで重要なのは、吸引面4に垂直な速度成分を持った気流を形成することである。
以下実施例を挙げて、本実施形態の不織布製造装置の効果を具体的に説明する。
(1)気流測定
風速測定は、日本カノマックス株式会社製の“アネモマスター風速計6631―P”を使用し、進行方向風速、幅方向風速、鉛直方向風速について、30秒間に180回測定した値の平均値を用いた。風向測定は、有限会社宮島化学工業製の玉巻テープ“MS030R”を長さ100mm、幅2mmに裁断したものを20本束ねて作成したものを使用して、風向を観察した。測定位置は、吸引ボックス11の各分割領域の吸引面の中心位置において、捕集ネットコンベア12から高さ30mm位置にて測定した。
また、本発明者らの知見によると、フィラメント群2を吹き出す場合と、吹き出さない場合で、気流の形態に大きな差がないことが明らかなため、各実施例ではフィラメント群2を吹き出さず測定を行ったものである。
(2)ウェブ捲れの評価
ウェブ捲れが、供給気流と外部からの流入気流の衝突に起因することから、次のように評価した。
測定位置において、捕集ネットコンベア12幅方向外側両端部上に、幅方向内向きの流れが観測されなかったものを○、幅方向内向きの流れが観測されたものを×とランク分けし、評価した。
[実施例1]
請求項1および請求項3に相当する実施例の装置構成を図1、図2、図3に示す。吸引ボックス11は、図2に示すように進行方向長さ1400mm、幅方向長さ2400mmとし、幅方向に5分割、進行方向に10分割とし、分割された各吸引ボックスの吸引圧力は、各列で等しく、幅方向中央列から順に−140、−130、−120Pa、幅方向に対称な値とした。捕集ネットコンベア12は、捕集ネットコンベア12は、吸引ボックス11の直上を1m/sで走行させた。エジェクタ1は、スリットの進行方向全幅の中心位置が図1に示すように反進行方向側から5番目の吸引ボックス11分割領域の進行方向全幅の中心位置と等しく、スリット幅5mm、幅方向長さ2300mmとし、吹出口の高さを、捕集ネットコンベア12から450mm、供給流量を70m/minとした。給気ボックス14は、図1に示すように給気面16の高さ、および、幅方向長さがエジェクタ1と等しく、進行方向長さは400mmとし、設置位置は、エジェクタ1のスリットの進行方向全幅の中心位置から80mm下流より設置し、給気ボックス14の供給流量は360m/minとした。吸引手段3は、図2に示すように吸引ボックス11の幅方向外側の両端に設置し、進行方向長さを2800mm、吸引ボックス11の反進行方向側420mmから設置し、高さ方向には捕集ネットコンベア12面から220mm、吸引量を420m/minとした。
表1に記載のとおり、捕集ネットコンベア12の幅方向外側両端部上において、ウェブ捲れは観察されなかった。
[実施例2]
請求項2および請求項4に相当する実施例の装置構成を図3、図4、図5に示す。
吸引手段3の進行方向長さを1700mm、進行方向上流側から6番目の吸引ボックス11の分割領域から吸引ボックス11の下流1000mm、吸引量を690m/minとし、その他の条件は、実施例1と等しくした。
表1に記載のとおり、捕集ネットコンベア12の幅方向外側両端部上において、ウェブ捲れは観察されなかった。
[比較例1]
吸引手段3を設置しない従来技術の場合である。吸引手段3を設置しないこと以外の条件は、実施例1と等しくした。
表1に記載のとおり、捕集ネットコンベア12の幅方向外側両端において、ウェブ捲れが観察された。内向きの流れが観察されたのは、反進行方向側から1,2番目の、供給気流が届きにくい吸引ボックス分割領域であった。
[比較例2]
吸引手段3の代わりに全面が壁で構成された遮蔽物5を設置する、本発明を実施しなかった場合で、遮蔽物5の大きさと設置については、実施例1の吸引手段3と等しくした。その他の条件は、実施例1と等しくした。
表1に記載のとおり、捕集ネットコンベア12の幅方向外側両端において、ウェブ捲れが観察された。内向きの流れが観察されたのは、反進行方向側から1番目の、供給気流が届きにくい吸引ボックス分割領域と、反進行方向側から6番目の、供給気流が遮蔽物5に到達する吸引ボックス分割領域であった。
Figure 2013204208
本発明は、長繊維不織布の製造、特にスパンボンド不織布の製造時のウェブ形成工程でウェブ捲れを抑制する製造装置に関するもので、工業資材用フィルター、オムツ、生理用品、医療用マスク、花粉ガードマスク、医療用が運・ドレープといった衛生材料、電線押え巻き、自動車用資材、液体濾過用フィルター、合紙、洗車ブラシといった産業資材、食品包装材、ふろしき、テープヤーン、靴資材、カイロ、ティーバッグ、クリーニングカバーといった生活資材、べたがけ、農資ポットといった農業資材、屋根下材、土木安定シート、断熱材手段材、床材、ハウスラップといった建材、土木資材などに応用できるが、その応用範囲がこれらに限られるものでない。
1 エジェクタ
2 フィラメント群
3 吸引手段
4 吸引面
5 遮蔽物
6 ローラー
8 ウェブ
10 吸引ダクト
11 吸引ボックス
12 捕集ネットコンベア
13 給気ダクト
14 給気ボックス
16 給気面
17 エンボスロール

Claims (4)

  1. フィラメント群を、気流と共に吹き出すエジェクタと、吹き出された前記フィラメント群を捕集する捕集ネットコンベアと、前記捕集ネットコンベアと前記エジェクタとの間の気流を、前記捕集ネットコンベアを介して下方に吸引する吸引ボックスと、前記捕集ネットコンベアの上方に対向し、前記捕集ネットコンベアに向かい気流を供給する給気ボックスとからなる不織布の製造装置において、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側の両端に気流を吸引する吸引手段を有することを特徴とする不織布の製造装置。
  2. 前記吸引手段を、前記フィラメント群が前記捕集ネットコンベア上に着地する位置より前記捕集ネットコンベアの進行方向に100mm以上離れた位置から下流に、設置することを特徴とする請求項1に記載の不織布の製造装置。
  3. 前記エジェクタから下方に前記フィラメント群を、気流と共に吹き出し、吹き出された前記フィラメント群を前記捕集ネットコンベア上に捕集し、前記捕集ネットコンベアと前記エジェクタとの間の気流を前記捕集ネットコンベアを介して、前記吸引ボックスで下方に吸引し、前記捕集ネットコンベアの上方に対向し、給気ボックスから前記捕集ネットコンベアに向かい気流を供給する不織布の製造方法において、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側の両端位置にて、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側に向かう気流を形成することを特徴とする不織布の製造方法。
  4. 前記フィラメント群が、前記フィラメント群が前記捕集ネットコンベア上に着地する位置より前記捕集ネットコンベアの進行方向に100mm以上離れた位置から下流に、前記捕集ネットコンベアの幅方向外側に向かう気流を形成することを特徴とする請求項3に記載の不織布の製造方法。
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