JP2013203729A - コラーゲン産生促進剤 - Google Patents

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剛 大久保
Akiko Yuasa
明子 湯浅
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Abstract

【課題】本発明の目的は、真皮層線維芽細胞におけるコラーゲン産生を直接的に促進させて皮膚のターンオーバーを改善し、それにより皮膚機能を保全させることのできるコラーゲン産生促進物質を提供することである。
【解決手段】本発明は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなるコラーゲン産生促進剤を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、真皮層線維芽細胞におけるコラーゲン産生を活性化する作用を有するコラーゲン産生促進剤、並びに当該コラーゲン産生促進剤を配合した皮膚のターンオーバーを改善する食品、化粧品及び医薬品等に関するものである。
皮膚は表皮及び真皮から構成されており、表皮細胞及び線維芽細胞並びにこれらを構造的に支持する細胞外マトリックスにより形成される。細胞外マトリックスは、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン等で構成されている。
皮膚組織は、生体の外と内とを結ぶ重要な器官であり、外部からの異物や細菌などの侵入を防ぐバリアー機能を有する。このため、組織は常に新しく生まれ変わり、約28日間で古い組織から新しい組織へターンオーバーしている。これにより、皮膚は水分保持並びに柔軟性及び弾力性の維持のみならず、バリアー機能をも維持している。しかし、加齢、紫外線及び生理的な代謝などの外的及び内的な要因によって、細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲン等の産生量低下並びに分解及び変性の促進が起こり、このことは皮膚の弾性低下や保湿力の低下を招き、最終的にシワの形成や肌荒れにつながっている。
コラーゲンは真皮の線維芽細胞でつくられる。真皮中のコラーゲンは、皮膚組織の乾燥重量の約70%を占めており、皮膚の弾性力と深く関わっている。皮膚中コラーゲン量は加齢に伴って減少することが報告されている(非特許文献1)。これはコラーゲンの分解量が合成量よりも多いために起きると考えられている。皮膚の弾性力である「はり」の低下は、自らの老化に気づくきっかけになる変化の1つである。特に顔の皮膚老化は容貌の変化を伴うため、QOLを著しく低下させる原因になっている。
このため、これまでにコラーゲン産生を促進する様々な試みがなされている。例えば、コラーゲンの補給(特許文献1、2)及びコラーゲンの代謝活性促進(特許文献3、4)などが試みられている。
また、コラーゲンを効率良く摂取させるためにコラーゲンと他の成分(主には水溶性成分)とを一緒に摂取させることでコラーゲンを効率良く消化管から吸収させようとする試みがある(特許文献5)。しかしながら、コラーゲンは、水に難溶性の物質であるため、消化しきれずにコラーゲンへリックス構造(コラーゲン中に見られるタンパク質の二次構造の一つであり、グリシン−プロリン−ヒドロキシプロリンの3種類のアミノ酸配列の繰り返しからなる三本鎖螺旋から構成されている)が残ることがある。そのような場合、小腸での受動拡散は濃度依存性のため飽和点があり、他の水溶性成分を利用して吸収効率の向上をなお試みても限界がある。実際に、コラーゲン、特に一般的に販売されている豚皮由来のコラーゲンに関しては、胃液→膵液→十二指腸液と処理しても殆んどアミノ酸に分解されていないことが示されており、経口摂取しても吸収性が悪いことが指摘されている(非特許文献2)。
一方、特定の成分によって皮膚でのコラーゲンに関する生理作用を改善する試みがなされている。リン脂質は、細胞膜を構成する重要な成分であり、その機能については数多く報告されている。リン脂質は、構造上の違いからグリセロリン脂質とスフィンゴリン脂質とに分類されている。細胞との親和性が高いことから、ホスファチジルコリンから派生した、一般式:−CH−N−(CHで表される官能基を少なくとも1つ有する化合物を利用して、これを含む組成物を外用剤として塗布することで皮膚機能を向上させようということが試みられている(特許文献6)。しかしながら、具体的な皮膚への影響は検証されていない。
レシチンは、広義の括りでグリセロリン脂質を含む組成物として認識されている。レシチンは、界面活性能を有し、リポソームの基材として利用されており、やはり生体との親和性が高いとされている。このようなグリセロリン脂質によりコラーゲン産生を高めようとする試み(特許文献7)や、レシチンに他の有効成分を混合させることでより高いコラーゲン産生能を発揮させようとする試みも行われている(特許文献8)。
特開2002−51734号公報 特開2003−238597号公報 特開平07−2699号公報 特開2001−206835号公報 特開2011−115046号公報 特表2004−501069号公報 WO2009/028220号公報 特開2010−120885号公報
Maturitas,18(3)、199−206、1994 Food Style21(2)、85−88、2003
コラーゲン産生量を増やすことは、皮膚の機能維持に重要であると考えられている。しかし、コラーゲンを経口摂取しても十分な吸収量を得ることが出来ない。そこで、本発明は、コラーゲン自体を経口摂取するのではなく、真皮層線維芽細胞におけるコラーゲン産生を直接的に促進させて皮膚のターンオーバーを改善し、それにより皮膚機能を保全させることのできるコラーゲン産生促進物質を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ヒト皮膚由来の線維芽細胞を用いる試験によって、sn−グリセロ(3)ホスホコリンがコラーゲン産生促進作用を有することを見出した。本発明者らは、さらに研究を重ねることによって本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなる、コラーゲン産生促進剤。
〔2〕皮膚状態の改善用である、〔1〕に記載のコラーゲン産生促進剤。
〔3〕L−グリシン、L−プロリン及びL−アラニンから選択される少なくとも1種のアミノ酸を更に含有する、〔1〕又は〔2〕に記載のコラーゲン産生促進剤。
〔4〕ビタミンC及び鉄から選択される少なくとも1種の物質を更に含有する、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のコラーゲン産生促進剤。
本発明によれば、水溶性で安全なコラーゲン産生促進剤、並びにそれを配合した食品、化粧品、及び医薬品を提供することができる。また、本発明により、真皮層線維芽細胞におけるコラーゲン産生を直接的に促進させて皮膚のターンオーバーを改善し、それにより皮膚機能を効果的に保全することができる。
本発明は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなるコラーゲン産生促進剤を提供する。
本発明において用いられるsn−グリセロ(3)ホスホコリンは、リン脂質であるホスファチジルコリンから2個の脂肪酸(オレイン酸及びパルミチン酸)を脱アシル化した水溶性化合物であり、「α−GPC」とも称される。sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、具体的には以下の化学式で表される。
Figure 2013203729
本発明においてsn−グリセロ(3)ホスホコリンには、コラーゲン産生促進活性を有する限り、上記化学式に基づく光学異性体及び当該光学異性体との混合物も含まれる。
本発明におけるsn−グリセロ(3)ホスホコリンは、特に限定されるものではないが、動植物のホスファチジルコリンを脱アシル化することにより得ることができる。ホスファチジルコリンの脱アシル化は、特に限定されないが、例えば、酵素法(例、ホスホリパーゼとの酵素反応)や化学法(例、アルカリけん化分解)等を用いて行うことができる。
sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、脂溶性物質のホスファチジルコリンよりもアシル基が存在していない分だけ分子量が小さいため、コリンを等mol摂取しようとした場合には、ホスファチジルコリンと比較してその使用量(摂取量)を軽減することができる。また、水溶性のコリン物質として分子量のより小さい塩化コリンが存在するが、塩化コリンは摂取すると体臭が魚油臭になるため、臨床現場や化粧料目的での使用は困難である。さらに、呈味に関して、ホスファチジルコリンは苦味を呈するのに対して、sn−グリセロ(3)ホスホコリンはグリセリン様のほのかな甘味を呈するため摂取しやすい。
本発明におけるsn−グリセロ(3)ホスホコリンは、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対し、優れたコラーゲン産生促進作用、特に、真皮層線維芽細胞におけるコラーゲン産生を直接的に促進させる作用を有する。従って、sn−グリセロ(3)ホスホコリンの有効量を哺乳動物(特に、ヒト)に経口投与したり、或いは皮膚に直接塗布することにより、当該哺乳動物の皮膚線維芽細胞(特に、真皮層線維芽細胞)のコラーゲン産生を促進することができる。よって、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有する本発明のコラーゲン産生促進剤は、哺乳動物のコラーゲン産生を促進するための、食品、化粧品、又は医薬品として提供され得る。
本発明において「コラーゲン産生促進」とは、哺乳動物の真皮の線維芽細胞におけるコラーゲン産生を増強させて、真皮におけるコラーゲンの量を増加させることを意味する。上記コラーゲンとしては、細胞外マトリクスとして真皮中に含まれている限り特に限定されないが、好ましくは1型(I型)コラーゲンである。
上記の通り真皮中のコラーゲン量が増加することにより、皮膚(肌)状態の改善効果が得られる。皮膚状態の改善効果としては、具体的には、シワの改善又は予防、張り(弾力性)の向上、ツヤの向上、たるみの改善又は予防等が挙げられるが、これらに限定されない。シワとしては、皮膚を動かしたときに生じる動的なシワ、及び皮膚を動かさなくても生じている静的なシワのいずれをも含む概念である。また、かかる概念には、所謂小ジワと称されるものも含まれる。状態が改善される皮膚の部位は特に限定されず、顔、腕、手、指、首、脚等のいずれの部位でもよく、顔であれば、額、眉間、目じり、頬等が例示される。
従って、本発明のコラーゲン産生促進剤は、皮膚状態の改善用(例えば、シワの改善又は予防用、張り(弾力性)の向上用、ツヤの向上用、たるみの改善又は予防用等)の食品、化粧品、又は医薬品として有用である。さらに、上記のような皮膚状態の変化は老化によっても生じ得ることから、本発明のコラーゲン産生促進剤は、抗老化剤としても有用である。尚、本明細書において「改善」及び「向上」は、皮膚状態の変化の修復、抑制(進行の遅延)、緩和、調節等を包含する意味で使用され、「予防」は、皮膚状態の変化の発生防止と再発防止との両方を包含する意味で使用される。
本発明のコラーゲン産生促進剤は、常法にしたがって製剤化することができる。製剤としては固体製剤であってもよく、或いは液体製剤であってもよい。かかる製剤としては、例えば錠剤、丸剤、顆粒剤、糖衣剤、カプセル、乳剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物等が挙げられる。また、製剤化においては、製剤上の必要に応じて、賦形剤等の添加剤を加えることができる。賦形剤としては、目的によって、充填剤、結合剤、凝固剤、滑たく剤、崩壊剤、色素、甘味料、香料、コーティング剤等を単独で、もしくはこれらを組み合わせて使用することができる。
本発明のコラーゲン産生促進剤におけるsn−グリセロ(3)ホスホコリンの含有量は、製剤の形態によって相違するが、製剤全体に対して、通常0.01〜100重量%、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%である。尚、sn−グリセロ(3)ホスホコリンが塩、水和物又は溶媒和物である場合、その含有量については、遊離体に換算した上で計算を行うものとする。
本発明のコラーゲン産生促進剤は、これを含ませて食品とすることができる。本発明の食品は、その態様に特に制限はなく、一般の加工食品のほかに、健康食品、機能性食品、濃厚流動食、栄養補助食品、飲料及び食品を含む飲食物、または、これらの添加物とすることができる。具体的には、サプリメント、清涼飲料に配合することができるが、特に限定されるものではない。
また、本発明の食品においては、本発明のコラーゲン産生促進剤をそのまま食品に添加してもよく、或いは食品の原材料として加工して添加してもよい。
本発明の食品の形態としては、液状、ゲル状、粉末状あるいは固形状等の食品が挙げられる。本発明の食品の具体例としては、飲料(茶、スープ等)、ヨーグルト、フローズンヨーグルト、調味料(ドレッシング、マヨネーズ、ふりかけ、味噌、醤油、焼肉のたれ等)、麺類、畜肉魚肉加工食品(ハム、ソーセージ等)、ジャム、乳製品(牛乳、クリーム、バター、チーズ、マーガリン等)、パン、菓子類(ゼリー、アイスクリーム、シャーベット、プリン等)等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の食品は極めて多種類の形態にわたり、前記の例示に限定されるものではない。
本発明のコラーゲン産生促進剤を含む食品は、食品の形態に応じて他の添加物を含むものであってもよい。このような添加物として、賦形剤、増量剤、結合剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。食品添加物としてはビタミン類、ミネラル、キチン、キトサン、レシチン、ローヤルゼリーなどが挙げられる。調味料としては、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビットなどの甘味料;アルコール;クエン酸、リンゴ酸、洒石酸などの酸味料;香料;色素などが挙げられ、本発明の食品を好みの味や色に調整するために用いることができる。また、本発明の目的と関連する公知の素材を併用してもよい。
本発明の食品は、当業者が通常行う方法により製造することができる。例えば、粉末状の食品を得るには、本発明のコラーゲン産生促進剤に、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどの賦形剤を必要に応じて添加して、凍結乾燥、噴霧乾燥などの乾燥方法により粉末とすることにより得ることができる。また、賦形剤の他にも、必要に応じて、ビタミン、ミネラル、動植物や魚介類の油脂、タンパク質、糖質、色素、香料、その他の食用添加剤等をさらに添加することができる。
本発明の食品は、他の生理活性物質または健康食品素材と組み合わせても構わない。このような物質としては、例えば、青汁、健康酢、健康茶、ローヤルゼリー、アロエ、ブルーベリー、プロポリス、イソフラボン、ノニ、核酸、にんにく、ウコン、酵素、高麗ニンジン、雑穀、納豆、イチョウ葉、発芽玄米、マカ、メシマコブ、ブドウ種子、スピルリナ、明日葉、フコイダン、牡蠣、馬油、桑葉、サラシア、ハナビラタケ、田七ニンジン、カシス、シジミ、キクイモ、コラーゲン、クロレラ、グルコサミン、キトサン、カルニチン、CoQ10、セラミド、オクタコサノールなどが挙げられる。
本発明のコラーゲン産生促進剤の有効成分はsn−グリセロ(3)ホスホコリンであり、食経験も充分ある極めて安全な物質である。この点から、本発明のコラーゲン産生促進剤の摂取量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は目的に応じた効果を発揮しうる最低量を、上限は摂取のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量を基準とし、通常、成人1日あたり約10mg〜約5g、好ましくは約500mg〜約3gを摂取すればよい。もちろん、摂取する者の年齢、体重、症状、服用期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて摂取することもできる。また、他のコラーゲン産生促進剤と組み合わせて摂取することもできる。
本発明はまた、本発明のコラーゲン産生促進剤を含有する化粧品を提供する。本発明の化粧品の態様は特に限定されず、例えば、経口投与する化粧品、外用塗布する化粧品等が挙げられる。
本発明の化粧品が経口投与する化粧品である場合は、特に限定されないが、上記の本発明の食品で説明した態様が用いられ得る。
本発明の化粧品が外用塗布する化粧品である場合、その形態は、特に限定されないが、例えば、液状、乳液状、クリーム状、粉末状、及び顆粒状等に適宜設定することができる。そのような化粧品の具体例としては、化粧水、ローション、乳液、クリーム、軟膏、パック、口紅等が挙げられる。
本発明の化粧品は、その形態に応じて、当業者に周知の方法を用いて製造され得る。本発明の化粧品には、本発明のコラーゲン産生促進剤以外にも、美白剤、保湿剤、殺菌剤、抗菌剤、収斂剤、紫外線吸収剤等の有効成分を含有させることもできる。
本発明はまた、本発明のコラーゲン産生促進剤を含有する医薬品を提供する。
一つの実施態様において、本発明の医薬品は経口投与に好適な製剤として提供される。経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水のような希釈液に有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを溶解させた液剤、有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、顆粒剤、散剤又は錠剤、適当な分散媒中に有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを懸濁させた懸濁液剤、有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
別の実施態様において、本発明の医薬品は非経口的な投与に好適な製剤として提供される。非経口的な投与(例、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、局所注入など)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および薬学的に許容され得る担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解又は懸濁すればよい状態で保存することもできる。
患者への負担を軽減する観点から、本発明の医薬品は、対象に対して経口投与することが好ましい。
本発明の医薬品において、有効成分であるsn−グリセロ(3)ホスホコリンの投与量は、投与形態、投与対象の種類、投与ルート、投与期間、体重、年齢等によって異なるが、上述した本発明の食品の摂取量と同様な範囲とすることができる。もちろん、上述したように投与量は種々の条件で変動するため、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
本発明の医薬品には、必須の有効成分であるsn−グリセロ(3)ホスホコリンに加え、他のコラーゲン産生促進剤の1種類以上を含めてもよい。或いは、本発明の治療剤は、1種類以上の他のコラーゲン産生促進剤と併用してもよい。
女性ヒトの皮膚中コラーゲン量は加齢に伴って減少し、40代以降(例、50代以降、60代以降)の女性や、閉経後の女性ではコラーゲン量が有意に減少することが報告されている(非特許文献1)。従って、一態様において、本発明のコラーゲン産生促進剤、並びにこれを含む、食品、化粧品、及び医薬品は、40代以降の女性ヒト又は閉経後の女性ヒトに適用される。皮膚中コラーゲン量が低下した、40代以降の女性ヒトや閉経後の女性ヒトに、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを投与することにより、当該女性ヒトの皮膚におけるコラーゲン産生を促進し、もって当該女性ヒトの皮膚状態を改善(例えば、シワを改善又は予防、張り(弾力性)を向上、ツヤを向上、たるみを改善又は予防等)することができる。
コラーゲンのアミノ酸組成は、L−グリシンが約1/3、L−プロリン及びL−ヒドロキシプロリンが約21%、L−アラニンが約11%を占めるという、偏った特徴を有する。従って、一態様において、本発明のコラーゲン産生促進剤、並びにこれを含む、食品、化粧品、及び医薬品は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンに加えて、コラーゲン産生における主要な原料であるL−グリシン、L−プロリン及びL−アラニンから選択される少なくとも1種(好ましくは2種、より好ましくは3種)のアミノ酸を含有することができる。sn−グリセロ(3)ホスホコリンに加えて、コラーゲン産生における主要な原料であるL−グリシン、L−プロリン及びL−アラニンから選択される少なくとも1種(好ましくは2種、より好ましくは3種)のアミノ酸を含有することにより、コラーゲン産生促進効果の増強、皮膚状態改善効果の増強が期待できる。
またコラーゲンに特有のアミノ酸としてヒドロキシプロリン及びヒドロキシリジンなどがある。これらは通常のプロリン、リジンに対して水酸基が1つ付加した構造のアミノ酸で、コラーゲン以外のタンパク中にはほとんど含まれない。ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジンはいずれもタンパク合成の際に組み込まれるのではなく、タンパク鎖が形成された後で酸化酵素により付加される(翻訳後修飾)。この反応の際にはビタミンCを補酵素として、鉄を補因子として必要とする。従って、一態様において、本発明のコラーゲン産生促進剤、並びにこれを含む、食品、化粧品、及び医薬品は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンに加えて、ビタミンC及び鉄(イオンを含む)から選択される少なくとも1種(好ましくは2種)の物質を含有することができる。sn−グリセロ(3)ホスホコリンに加えて、コラーゲン産生におけるプロリンやリジンへの水酸基の付加反応に必須なビタミンC及び鉄から選択される少なくとも1種(好ましくは2種)の物質を含有することにより、コラーゲン産生促進効果の増強、皮膚状態改善効果の増強が期待できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<コラーゲン産生能の評価>
上記のsn−グリセロ(3)ホスホコリン(α−GPC)のコラーゲン産生能向上作用を調べるために、以下の実験を行った。
(1)試料の作製
ヒト正常皮膚由来線維芽細胞(CCD−1059SKCC、DSファーマバイオメディカル株式会社)を、10%FBS(fetal bovine serum)を含むDMEM培地で3〜6回継代培養した。次いで、細胞数が1×10個になるようにカルチャースライド(Culture slide:Falcon社製)に調製し、10%FBSを含むDMEM培地で24時間培養して、細胞をスライドに固定させ、更に、細胞周期を合わせるためにDMEM培地のみで24時間培養した。その後、10%FBSを含むMEM培地に交換し、同時にα−GPCを添加して24時間培養して、以下に示す各サンプル群を調製した。
また、コントロールとしてα−GPCを添加しない群、ポジティブコントロールを添加した群を調製した。
<サンプル群>
1)α−GPC 0.1μM添加群(0.0256μg/ml)
2)α−GPC 1μM添加群(0.256μg/ml)
3)α−GPC 10μM添加群(2.56μg/ml)
4)α−GPC 100μM添加群(25.6μg/ml)
5)コントロール群(α−GPC無添加)
<コラーゲン産生量の測定>
上記(1)で調製した1)〜5)のサンプル群について、次の手順により、コラーゲンの産生量を免疫組織化学的に解析した。
カルチャースライドをPBS溶液で5分間、3回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド溶液を添加して4℃で一晩静置し、サンプルを固定した。0.1%Triton−Xを含むPBS溶液で5分間、3回洗浄後、3%H溶液で5分間、内因性peroxidaseのブロッキングを行なった。次いで、10%標準ヤギ血清(normal goat Serum)を用いて5分間、非特異的反応のブロッキングを行なった。その後、抗ラット1型コラーゲン抗体(Anti−rat type I Collagen抗体(LSL社製)200倍希釈液)を用いて一次抗体の反応を60分間行なった。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、ビオチン標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体(Biotinylated Goat anti−rabbit immunogloblins抗体(DAKO社製)400倍希釈液)を用いて二次抗体の反応を30分間行った。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、酵素溶液(Horseradish peroxidase−labelled streptavidine−biotine complex(DAKO社製)400倍希釈液)による反応を30分間行った。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、DAB(3,3−Diaminobenzidine,tetrahydrochloride)溶液を5分間反応させ、Peroxidase発色反応を行なった。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、水溶性封入剤で封入して、標本を作製した。得られた標本における陽性反応(I型コラーゲンの発現)箇所における染色強度を、NIH imageソフトを用いて定量化し、画像解析によりI型コラーゲンの産生量を解析した。
Figure 2013203729
n=20で解析した。Controlを100とした時、α−GPC添加量が0.1μM以上でt−testを行った結果、全ての群でp<0.01で有意差をもってコラーゲン産生量が上昇した。またPositive Controlと比較しても、α−GPC添加量が10μM以上でt−testを行った結果、全ての群でp<0.01で有意差をもってコラーゲン産生量が上昇した。
一般的にコラーゲン産生促進物質と言われるものは2倍程度の産生量促進能を示せば大きな効果があるとされている。本実験においても2−3倍の産生量促進能を示し、十分な効果を発揮した。更に、0.1μM(2.56×10−8g/ml)という極めて低濃度でも効果が発揮された。
本発明のコラーゲン産生促進剤は、真皮層線維芽細胞におけるコラーゲン産生を直接的に促進させて皮膚のターンオーバーを改善し、皮膚機能を効果的に保全することができる。従って、本発明は、皮膚の改善を対象とした食品、化粧品、及び医薬品の分野で有用である。

Claims (4)

  1. sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなる、コラーゲン産生促進剤。
  2. 皮膚状態の改善用である、請求項1に記載のコラーゲン産生促進剤。
  3. L−グリシン、L−プロリン及びL−アラニンから選択される少なくとも1種のアミノ酸を更に含有する、請求項1又は2に記載のコラーゲン産生促進剤。
  4. ビタミンC及び鉄から選択される少なくとも1種の物質を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコラーゲン産生促進剤。
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