JP2013203632A - フェライト焼結体およびこれを備えるパルストランス用コア - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い透磁率を有するとともに、室温(25℃)でのコアロスが小さいフェライト焼結体およびこのフェライト焼結体に金属線を巻き付けてなるパルストランス用コアを提供する。
【解決手段】 主成分が、FeをFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnをZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiをNiO換算で5モル%以上15モル%以下、CuをCuO換算で4モル%以上9モル%以下含み、前記主成分100質量%に対して、
WをWO3、MoをMoO、MnをMnOに換算した値でそれぞれ0.01質量%以上1.0質量%以下含むフェライト焼結体である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フェライト焼結体およびこのフェライト焼結体に金属線を巻きつけてなるパルストランス用コアに関する。
インダクタ、変圧器、安定器、電磁石、ノイズフィルタ等のコアや、各種IT関連機器のLANインターフェース部に用いられるパルストランス用のコアとして、従来からフェライト焼結体が用いられている。このコアであるフェライト焼結体としては、透磁率の高いMn−Zn系のフェライト焼結体が一般に広く用いられていた。
しかしながら、Mn−Zn系のフェライト焼結体は、比抵抗(電気抵抗)が低くコアとなるフェライト焼結体に金属線を直巻きすることができず、間に絶縁物を介在させる必要があるため、金属線巻の作業性が悪かった。また、絶縁物を介在させなければならないことから、近年要求が高まる小型化・薄型化への対応が困難であった。
これに対し、Mn−Zn系のフェライト焼結体よりも比抵抗が2オーダー程度高いものとして、Ni−Zn系のフェライト焼結体が知られている。
例えば、特許文献1には、FeをFeに換算して45.0〜50.0mol%、NiをNiOに換算して5.0〜10.0mol%、CuをCuOに換算して5.0〜15.0mol%、ZnをZnOに換算して25.0〜35.0mol%、Mo、W、V、Cr、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも一種の金属をそれぞれMoO、WO、V、Cr、MgO、CaO、SrO及びBaOに換算して合計で0.1〜3.0mol%並びにLiをLiOに換算して0.01〜3.0mol%含む酸化物磁性材料が提案されている。
特開平8−208233号公報
しかしながら、特許文献1に記載の酸化物磁性材料は、比抵抗が高いものの、実施例において示されている透磁率は、最も高いものでも2000程度であることから、小型化・薄型化には応えられなかった。また、今般においては、小型化・薄型化に加えて、例えば、フェライト焼結体からなるコアを用いるパルストランスには、入力された印加磁界のエネルギーの一部が熱として外部に放出されることによる効率の低下や温度上昇を招かないことが求められている。そのため、今般の要求に応えるには、透磁率を向上できるとともに、室温におけるコアロスを減少できる材料が必要である。
本発明は、高い透磁率を有し、かつ室温におけるコアロスの小さいフェライト焼結体およびこのフェライト焼結体に金属線を巻き付けてなるパルストランス用コアを提供することを目的とするものである。
主成分として、FeをFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnをZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiをNiO換算で5モル%以上15モル%以下、CuをCuO換算で4モル%以上9モル%以下含み、前記主成分100質量%に対して、WをWO
3、MoをMoO、MnをMnOに換算した値でそれぞれ0.01質量%以上1質量%以
下含むことを特徴とするものである。
また、本発明のパルストランス用コアは、上記構成のフェライト焼結体に金属線を巻き付けてなることを特徴とするものである。
本発明のフェライト焼結体によれば、透磁率を向上できるとともに、室温におけるコアロスを減少できる材料からなることから、高い透磁率を有し、かつ室温におけるコアロスの小さいフェライト焼結体とすることができる。
本発明のパルストランス用コアによれば、高い透磁率を有し、かつ室温におけるコアロスが小さい上記構成のフェライト焼結体に金属線を巻き付けてなることにより、小型化・薄型化に対応できるとともに、効率および信頼性の高い、優れたパルストランス用コアとすることができる。
本実施形態のフェライト焼結体の一例を示す、(a)はトロイダルコアの斜視図であり、(b)はボビンコアの斜視図である。
以下、本発明のフェライト焼結体およびこれを備えるパルストランス用コアについて説明する。
本実施形態のフェライト焼結体は、このフェライト焼結体をコアとして、金属線を巻き付けることによって、例えば、絶縁や変圧を目的としたインダクタ、変圧器、安定器および電磁石、ノイズ除去などを目的としたノイズフィルタやパルストランスのコアに使用されるものである。
ここで、コアとなるフェライト焼結体には様々な形状のものがあり、例えば図1(a)の斜視図に示すリング状のトロイダルコア1や、図1(b)の斜視図に示すボビン状のボビンコア2などがある。
そして、このようなフェライト焼結体には、高い透磁率(μ)を有しているとともに、室温におけるコアロスの小さいことが求められおり、主成分として、FeをFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnをZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiをNiO換算で5モル%以上15モル%以下、CuをCuO換算で4モル%以上9モル%以下含み、前記主成分100質量%に対して、WをWO3、MoをMoO、MnをMnOに換算した値でそれぞれ0.01質量%以上1.0質量%以下含むことにより、上述した要求を満た
すフェライト焼結体とすることができる。
ここで、主成分を上述した組成範囲としたのは、透磁率が高く、室温におけるコアロスの小さいフェライト焼結体を得ることができるからである。なお、主成分とは、フェライト焼結体を構成する成分の95%以上を占める成分のことをいう。
これに対し、上述した組成範囲外では以下のような傾向がある。FeがFe換算で49モル%未満では、透磁率が低くなり、50モル%を超えるとコアロスが増大する。また、ZnがZnO換算で32モル%未満では、透磁率が低くなり、36モル%を超えるとコアロスが増大する。また、NiがNiO換算で5モル%未満では、フェライトとしての特性が発現できなくなり、15モル%を超えると透磁率が低くなる。また、CuがCuO換算で4
モル%未満では透磁率が低くなり、9モル%を超えるとフェライトとしての特性が発現できなくなる。
そして、本実施形態のフェライト焼結体は、主成分100質量%に対して、WをWO3、MoをMoO、MnをMnOに換算した値でそれぞれ0.01質量%以上1.0質量%以下含
有することにより、透磁率をより向上させることができるとともに、室温におけるコアロスをより小さくすることができる。特に、WをWO3に換算した値で0.4質量%以上0.6質
量%以下、MoをMoOに換算した値で0.05質量%以上0.2質量%以下、MnをMnO
に換算した値で0.05質量%以上0.2質量%以下であることが好ましい。
ここで、Wは、室温におけるコアロスを小さくすることに寄与する。WがWO3換算で0.01質量%未満である場合には、含有量が少なすぎるために室温におけるコアロスを小さ
くする効果が小さく、1.0質量%を超える場合には、含有量が多すぎるために透磁率が低
くなる傾向がある。
また、Moは、主成分からなる結晶の粒成長を促進させる効果があり、主成分からなる結晶を粒成長させることよって透磁率を向上させることができる。これに対し、MoがMoO換算で0.01質量%未満である場合は、含有量が少なすぎるために粒成長を促進する効果が小さく、1.0質量%を超える場合には、含有量が多すぎるために透磁率が低くなる
傾向がある。
また、Mnは、透磁率を高めることに寄与する。これは、Mnの酸化物であるMnOやMnが、加熱によってMnOへと価数変化し、この価数変化に伴う余剰の酸素成分が、フェライト焼結体の酸素欠陥を埋めるためと考えられる。これに対し、MnがMnO換算で0.01質量%未満である場合には透磁率を高める効果が小さく、1.0質量%を超
える場合には、含有量が多すぎるために透磁率が低くなる傾向がある。
また、上述した主成分およびW、MoおよびMn以外に、Siの酸化物やCaの酸化物を含んでいてもよい。このSiの酸化物やCaの酸化物を含むことによっても比抵抗を高くすることができる。なお、Siの酸化物またはCaの酸化物を含むときには、主成分100質量に対し、SiをSiO、CaをCaOに換算した合計で0.4質量%以下であることが好ましい。
なお、本実施形態のフェライト焼結体の主成分が、FeをFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnをZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiをNiO換算で5モル%以上15モル%以下およびCuをCuO換算で4モル%以上9モル%以下含んでいることは、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置または蛍光X線分析装置を用いて、Fe、Zn、Ni、Cuの含有量を求めて、それぞれFe、ZnO、NiO、CuOに換算し、この換算した値を用いてモル%に換算することにより確認することができる。
また、W、MoおよびMnの含有量については、ICP発光分光分析装置または蛍光X線分析装置を用いて、W、Mo、Mnの含有量を求め、それぞれWO、MoO、MnOに換算し、主成分100質量%に対する値を算出すればよい。なお、SiやCaについ
ても同様である。
また、本実施形態のフェライト焼結体において、Niが、NiO換算で10モル%を超え15モル%以下であることが好ましい。これにより、さらに透磁率を高めることができ、室温におけるコアロスを小さくすることができるため、より優れた特性を有するフェライト焼結体とすることができる。
また、本実施形態のフェライト焼結体において、Feが、Fe換算で49.5モル%以上49.8モル%以下であることが好ましい。これにより、高温側での透磁率を高くすることができ、トランスとしての特性を向上させることができる。
次に、本実施形態のフェライト焼結体の製造方法について以下に詳細を示す。
本実施形態のフェライト材料の製造方法は、まず、出発原料として、Fe、Zn、Ni、Cu、W、MoおよびMnの酸化物あるいは焼成により酸化物を生成する炭酸塩、硝酸塩等の金属塩を用意する。このとき平均粒径としては、例えば、Feが酸化鉄(Fe)、Znが酸化亜鉛(ZnO)、Niが酸化ニッケル(NiO)、Cuが酸化銅(CuO)、Wが酸化タングステン(WO3)、Moが酸化モリブデン(MoO3)およびMnが酸化マンガン(MnO)であるとき、それぞれ0.5μm以上5μm以下である。
そして、主成分を構成する出発原料を所望量となるよう秤量し、ボールミルや振動ミル等で粉砕混合した後、700℃以上1000℃以下の最高温度で2時間以上仮焼して仮焼体を得
る。
次に、ボールミルや振動ミル等に、仮焼体と、平均粒径0.5〜5μmの酸化タングステ
ン(WO)、酸化モリブデン(MoO)および酸化マンガン(MnO)とを入れて粉砕混合する。このように、仮焼後に酸化タングステン(WO)を添加することにより、理由は明らかではないが、室温におけるコアロスを小さくすることができる。また、仮焼後に酸化モリブデン(MoO)を添加することにより、主成分からなる結晶の粒成長を促進させることができ、透磁率を高めることができる。
なお、酸化マンガン(MnO)については、仮焼前に添加してもよい。また、高い電気抵抗として渦電流損失を低減したい場合には、仮焼後における粉砕混合時に所定量のCaOおよびSiOのうち少なくとも一方を添加してもよい。
次に、粉砕混合後の仮焼粉体に、所定量のバインダを加えてスラリーとし、噴霧造粒装置(スプレードライヤ)を用いて造粒した球状顆粒を得る。次に、この球状顆粒を用いてプレス成形して所定形状の成形体を得る。
その後、成形体を脱脂炉にて400〜800℃の範囲で脱バインダ処理を施して脱脂体とした後、これを焼成炉にて1000〜1200℃の最高温度で2〜5時間保持して焼成することにより本実施形態のフェライト焼結体を得ることができる。
次に、透磁率およびコアロスの測定方法について説明する。まず、透磁率は、LCRメータを用いて周波数100kHzの条件で測定すればよい。このとき、試料としては、例え
ば、外径が13mm、内径が7mm、厚みが3mmの図1(a)に示すフェライト焼結体からなるリング状のトロイダルコア1を用いて、トロイダルコア1の巻き線部1aの全周にわたって線径が0.2mmの金属線を10回巻きつけたものを用いる。
また、コアロスは、B−Hアナライザ(例えば、IWATSU社製 SY-8232)を用いて、磁束密度150mT、周波数50kHzの条件で測定すればよい。なお、コアロス測定用の試料と
しては、例えば、外径が13mm、内径が7mm、厚みが3mmの図1(a)に示すフェライト焼結体からなるリング状のトロイダルコア1を用いて、1次巻き線と2次巻き線として、トロイダルコア1の巻き線部10aの全周にわたって線径が0.2mmの金属線をそれぞ
れ10回巻きつけたものを用いる。
そして、本実施形態のパルストランス用コアは、本実施形態のフェライト焼結体に金属線を巻き付けることにより作製することができる。そして、本実施形態のフェライト焼結体が、高い透磁率を有し、かつ室温におけるコアロスが小さいことにより、小型化・薄型化に対応できるとともに、効率および信頼性の高い、優れたパルストランス用コアとすることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
W、MoおよびMnを含有することによる特性変化を確認するために、まず主成分が表1に示すフェライト焼結体を作製した。
平均粒径が1μmの酸化鉄(Fe)、酸化亜鉛(ZnO)および酸化ニッケル(NiO)の粉末と、平均粒径が3μmの酸化銅(CuO)の粉末を表1に示したモル比となるように秤量し、ボールミルで粉砕混合した後、750℃で仮焼して仮焼体を得た。そし
て、仮焼体を粉砕して仮焼粉体を得た。次に、この仮焼粉体を振動ミルにて粉砕した後、バインダを加えてスラリーとし、噴霧造粒装置(スプレードライヤ)にて造粒して球状顆粒を得た。そして、この球状顆粒を用いプレス成形法により圧縮成形して図1に示すトロイダルコア1の形状の成形体を得た。
次に、この成形体を脱脂炉にて、600℃の最高温度で5時間保持して脱バインダ処理を
施して脱脂体を得た。しかる後、この脱脂体を焼成炉にて大気雰囲気中1000〜1200℃の最高温度で2時間保持して焼成した。その後研削加工を施し、外径13mm、内径7mm、厚み3mmのトロイダル形状の試料No.1〜27のフェライト焼結体を得た。
そして、各試料の巻き線部10aの全周にわたって線径が0.2mmの金属線を10回巻き付
けた後、LCRメータを用いて周波数100kHzにおける透磁率を測定した。また、各試
料の巻き線部10aの全周にわたって線径が0.2mmの金属線である1次巻き線および2次
巻き線をそれぞれ10回巻き付けた後、B−Hアナライザを用いて、磁束密度150mT、周
波数50kHzにおけるコアロスを測定した。
また、各試料について、ICP発光分光分析装置を用いて、Fe、Zn、Ni、Cuの含有量を求めて、それぞれFe、ZnO、NiO、CuOに換算し、この換算した値を用いてモル%に換算した。
試料No.1〜27の主成分モル比、透磁率およびコアロスを表1に示す。
Figure 2013203632
次に、試料No.1〜27を作製したときと同じ方法により、それぞれ仮焼粉体を得た後に、この仮焼粉体100質量%に対し、表2に示す含有量となるように酸化タングステン(
WO)、酸化モリブデン(MoO)および酸化モリブデン(MnO)を添加して、その後の工程は、試料No.1〜27を作製したときと同じ製造方法により同じ形状の試料No.28〜54のフェライト焼結体を得た。
また。試料No.4を作製したときと同じ方法により得られた仮焼粉体を用いて、この仮焼粉体100質量%に対し、表3に示す含有量となるように酸化タングステン(WO
、酸化モリブデン(MoO)および酸化モリブデン(MnO)を添加して、その後の工程は、試料No.1〜27を作製したときと同じ製造方法により同じ形状の試料No.55
〜78のフェライト焼結体を得た。
そして、上述した方法と同じ方法により、透磁率およびコアロスを測定した。また、各試料について、ICP発光分光分析装置を用いて、Fe、Zn、Ni、Cuの含有量を求めて、それぞれFe、ZnO、NiO、CuOに換算し、この換算した値を用いてモル%に換算した。さらに、同じくICP発光分光分析装置を用いて、W、Mo、Mnの含有量を求め、それぞれWO、MoO、MnOに換算し、主成分100質量%に対す
る値を算出した。主成分のモル比、WO、MoO、MnOの含有量、透磁率およびコアロスについて、試料No.28〜54の結果を表2に、試料No.55〜78の結果を表3に示す。
また、透磁率の上昇率を算出した。透磁率の上昇率の算出方法としては、W,Mo,Mnを添加していない表1に示す透磁率を基礎数値とし、主成分が表1と対応し、W,Mo,Mnを添加した表2に示す試料の透磁率の値を用いて行なった。具体的には、試料No.1と試料No.28とを例に示せば、(試料No.28の透磁率−試料No.1の透磁率)/試料No.1の透磁率として算出した。さらに、コアロスの減少率を算出した。コアロスの減少率の算出方法としては、試料No.1と試料No.28とを例に示せば、(試料No.1のコアロス−試料No.28のコアロス)/試料No.1のコアロスとした。結果を表2に示す。
なお、表3に示す透磁率の上昇率およびコアロスの減少率の算出に当たっては、基礎数値は、試料No.4の透磁率(3020)とコアロス(360)を用いた。結果を表3に示す。
Figure 2013203632
Figure 2013203632
表1の結果から、FeがFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnがZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiがNiO換算で5モル%以上15モル%以下、Cuが
CuO換算で4モル%以上9モル%以下の範囲の少なくともいずれかを満たさない試料No.1,6,7,11,12,22,23および27については、透磁率が2000未満であった。また、FeがFe換算で50モル%を超える試料No.6は、室温におけるコアロスが500を超えていた。これらの試料と比較して、試料No.2〜5,8〜10,13〜21および24
〜26については、いずれも透磁率が2000以上であり、室温におけるコアロスが500以下で
あった。この結果から、主成分として、FeをFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnをZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiをNiO換算で5モル%以上15
モル%以下、CuをCuO換算で4モル%以上9モル%以下含むことにより、透磁率が高く、室温におけるコアロスが小さいフェライト焼結体とできることがわかった。
次に、表2の結果から、表1の主成分に加えて、WをWO3換算で0.5質量%、MoをMoO換算で0.1質量%およびMnをMnO2換算で0.1質量%含有していることにより、
透磁率を向上できるとともに、室温におけるコアロスを減少できることがわかった。
そして、主成分として、FeをFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnをZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiをNiO換算で5モル%以上15モル%以下、
CuをCuO換算で4モル%以上9モル%以下含有し、主成分100質量%に対して、Wを
WO、MoをMoO、MnをMnOに換算した値でそれぞれ0.01質量%以上1.0質
量%以下含む試料No.29〜32,35〜37,40〜48および51〜53は、透磁率を30%以上向上できるとともに、室温におけるコアロスを30%以上減少できており、特性の優れたフェライト焼結体であることがわかった。また、これらの試料No.29〜32,35〜37,40〜48および51〜53は、いずれも比抵抗が10Ω・m以上であり、これらのフェライト焼結体をパ
ルストランス用コアとして用いたときに、生じた渦電流でフェライト焼結体が発熱することによる渦電流損失を低減できることがわかった。
また、FeおよびZnの含有量が同じ試料の透磁率やコアロスの結果から明らかなように、NiはNiO換算で10モル%を超えて15モル%以下のとき、透磁率がより高く、室温におけるコアロスをより小さくできることがわかった。
次に、表3の結果から、透磁率の向上およびコアロスの減少に、主組成100質量%に対
して、WをWO3、MoをMoO、MnをMnO2換算した値でそれぞれ0.01質量%以上1.0質量%以下含むことが重要であることがわかった。
次に、実施例1と同様の製造方法により、主成分が表4に示すモル比であり、WをWO3換算で0.5質量%、MoをMoO換算で0.1質量%およびMnをMnO2換算で0.1質量
%含有する試料No.79〜84のフェライト焼結体を得た。なお、表4に示すモル比および含有量は、実施例1と同様にICP発光分光分析装置を用いて算出したものである。
そして、各試料について、高温側(60℃〜100℃)の透磁率の測定を行なった。この測
定方法については、各試料の巻き線部10aの全周にわたって線径が0.2mmの金属線を10
回巻き付けた後、恒温槽内に入れた。そして、60℃〜100℃において10℃刻みで30分保持
する条件とし、LCRメータを用いて各温度における透磁率を測定した。なお、周波数は100kHzとした。結果を表4に示す。
Figure 2013203632
表4の結果、試料No.80〜83は、高温側の透磁率が高く、トランスとしての特性が更に向上することが確認されたことから、主成分において、Feは、Fe換算で49.5モル%以上49.8モル%以下の範囲からなることが好適であることがわかった。
1:トロイダルコア
1a:巻線部
2:ボビンコア
2a:巻線部

Claims (4)

  1. 主成分として、FeをFe換算で49モル%以上50モル%以下、ZnをZnO換算で32モル%以上36モル%以下、NiをNiO換算で5モル%以上15モル%以下、CuをCuO換算で4モル%以上9モル%以下含み、
    前記主成分100質量%に対して、WをWO、MoをMoO、MnをMnOに換算した値でそれぞれ0.01質量%以上1.0質量%以下含むことを特徴とするフェライト焼結体。
  2. 前記Niが、NiO換算で10モル%を超え15モル%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のフェライト焼結体。
  3. 前記Feが、Fe換算で49.5モル%以上49.8モル%以下含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェライト焼結体。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフェライト焼結体に金属線を巻きつけてなることを特徴とするパルストランス用コア。
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