JP2013202944A - プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013202944A
JP2013202944A JP2012074465A JP2012074465A JP2013202944A JP 2013202944 A JP2013202944 A JP 2013202944A JP 2012074465 A JP2012074465 A JP 2012074465A JP 2012074465 A JP2012074465 A JP 2012074465A JP 2013202944 A JP2013202944 A JP 2013202944A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
based resin
film
microporous film
stretching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012074465A
Other languages
English (en)
Inventor
Seitaro Obara
正太郎 小原
Tomoki Sakurai
友季 櫻井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2012074465A priority Critical patent/JP2013202944A/ja
Publication of JP2013202944A publication Critical patent/JP2013202944A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Cell Separators (AREA)

Abstract

【課題】リチウムイオンの透過性に優れており、高出力用途に適したリチウムイオン電池を提供することが可能なプロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムは、重量平均分子量が25万〜50万で且つ分子量分布が7.5〜12であるプロピレン系樹脂を含むプロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することにより微小孔部が形成されてなるプロピレン系樹脂微孔フィルムであって、透気度が100〜250sec/100mLで且つLiPF6を1mol/L含む電解液を上記プロピレン系樹脂微孔フィルムに含浸させた状態での電気抵抗値が2.4Ω・cm2以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池のセパレータに用いられるプロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法に関する。
従来から電子機器の電源としてリチウムイオン電池が用いられている。このリチウムイオン電池は、一般的に、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムを塗布してなる正極と、銅箔の表面にカーボンを塗布してなる負極と、この正極と負極の短絡を防止するために正極と負極とを仕切るセパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。
そして、リチウムイオン電池は、その充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に進入する一方、放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動することによって充放電が行われる。
近年、自動車用のリチウムイオン電池のような大型電池は高出力化が進んでいる。リチウムイオン電池の高出力化のためには、リチウムイオンがセパレータを通過する際の低抵抗化が求められている。
リチウムイオン電池用セパレータには種々の提案がされており、例えば、特許文献1には、ポリプロピレンとポリプロピレンより溶融結晶化温度の高いポリマーおよびβ晶核剤となる組成物を溶融押出し、高温でシート状に成形後、少なくとも一軸延伸することを特徴とするポリプロピレン微孔性フィルムの製造方法が提案されている。
しかしながら、上記ポリプロピレン微孔性フィルムの製造方法で得られたポリプロピレン微孔性フィルムは、透気性が低く、リチウムイオンの透過性が不充分であり、高出力を要するリチウムイオン電池に用いることは困難である。
特開昭63−199742号公報
本発明の目的は、リチウムイオンの透過性に優れており、高出力用途に適したリチウムイオン電池を提供することが可能なプロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法を提供することである。
[プロピレン系樹脂微孔フィルム]
本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムは、重量平均分子量が25万〜50万で且つ分子量分布が7.5〜12であるプロピレン系樹脂を含むプロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することにより微小孔部が形成されてなるプロピレン系樹脂微孔フィルムであって、
透気度が100〜250sec/100mLで且つLiPF6を1mol/L含む電解液を上記プロピレン系樹脂微孔フィルムに含浸させた状態での電気抵抗値が2.4Ω・cm2以下であることを特徴とする。
プロピレン系樹脂微孔フィルムに用いられるプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量は、小さいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの微小孔部の形成が不均一となることがあり、大きいと、製膜が不安定になることがあり、又、微小孔部が形成されにくくなる虞れがあるので、25万〜50万に限定されるが、28万〜48万が好ましい。
プロピレン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、小さいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率が低くなってイオン透過性が低下することがあり、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの機械的強度が低下することがあるので、7.5〜12に限定されるが、8〜11がより好ましい。
ここで、プロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、プロピレン系樹脂6〜7mgを採取し、採取したプロピレン系樹脂を試験管に供給した上で、試験管に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)のo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてプロピレン系樹脂濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転数25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてプロピレン系樹脂をBHTのo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってプロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
プロピレン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
プロピレン系樹脂の融点は、低いと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの高温における機械的強度が低下することがあり、高いと、製膜が不安定になることがあるので、160〜170℃が好ましく、160〜165℃がより好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムは、上述したプロピレン系樹脂からなるプロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することによって得られる。
プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気度は、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムのリチウムイオンの透過性が低下して、プロピレン系樹脂微孔フィルムを用いたリチウムイオン電池の電池性能が低下することがあり、小さいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの機械的強度が低下するので、100〜250sec/100mLに限定され、100〜200sec/100mLが好ましい。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気度は、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下でJIS P8117に準拠して、プロピレン系樹脂微孔フィルムの長さ方向に10cm間隔で10箇所測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値とする。
また、LiPF6を1mol/L含む電解液を含浸させたプロピレン系樹脂微孔フィルムの電気抵抗値は、2.4Ω・cm2以下に限定されるが、2Ω・cm2以下が好ましく、1〜1.8Ω・cm2がより好ましい。上記電気抵抗値が2.4Ω・cm2を超えるプロピレン系樹脂微孔フィルムでは、その厚み方向に連通している微小孔部が少ないために、リチウムイオンが透過する際の抵抗が高くなり、高電流密度での放電時に過電圧が大きくなりリチウムイオン電池の出力特性を低下させる虞れがある。
LiPF6を1mol/L含む電解液を含浸させたプロピレン系樹脂微孔フィルムの電気抵抗値の測定は、下記の要領で測定することができる。まず、LiPF6を1mol/L含む電解液を含浸させたプロピレン系樹脂微孔フィルムを、2枚のステンレススチール(SUS)からなる電極により挟み、電極間に電圧振幅10mV、周波数1MHz〜10kHzの電圧を印加した時に得られる交流インピーダンス(Ω)を測定する。次に、得られた交流インピーダンスの実部をX軸に、虚部をY軸とするグラフにプロットして、Cole - Coleプロットを得る。そして、Cole - ColeプロットとX軸との交点における実部の値に、ステンレススチール電極の面積を乗じることにより、プロピレン系樹脂微孔フィルムの電気抵抗値(Ω・cm2)を算出する。なお、交流インピーダンスの測定は、公知のインピーダンス測定システム(例えば、Princeton Applied Research社製 Versa STAT4など)を用いて行うことができる。
プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率は、25〜55%が好ましく、30〜50%がより好ましい。プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率が小さいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムのイオン透過性が低下する虞れがある。また、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率が大きいとプロピレン系樹脂微孔フィルムの機械的強度が低下する虞れがある。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、プロピレン系樹脂微孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成された各微小孔部を、長辺と短辺の何れか一方が延伸方向に平行となる長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち、測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
プロピレン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径は、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムにおいてリチウムイオンの透過性が不均一となったり、プロピレン系樹脂微孔フィルムの機械的強度が低下したりする虞れがある。リチウムイオンの透過性が不均一なプロピレン系樹脂微孔フィルムでは、リチウムイオンの透過性が高い部位にデンドライト(樹枝状結晶)が発生して、このデンドライトがセパレータを突き破って正極と負極とが微小な内部短絡(デンドライトショート)を起こし、リチウムイオン電池の容量を著しく劣化させる虞れがある。したがって、プロピレン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径は、1μm以下が好ましく、100nm〜800nmがより好ましい。
プロピレン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の平均長径は、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムにおいてリチウムイオンの透過性が不均一となり、デンドライトショートが発生する虞れがあるので、500nm以下が好ましく、200nm〜500nmがより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径は次のようにして測定される。先ず、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面をカーボンコーティングする。次に、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面における任意の10個所を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万にて撮影する。なお、撮影範囲は、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面において縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形の範囲とする。
得られた写真に現れている各微小孔部の開口端の長径を測定する。微小孔部における開口端の長径のうち、最大の長径を微小孔部の開口端の最大長径とする。各微小孔部における開口端の長径の相加平均値を微小孔部の開口端の平均長径とする。なお、微小孔部の開口端の長径とは、この微小孔部の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径とする。撮影範囲と、撮影範囲でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、測定対象から除外する。
プロピレン系樹脂微孔フィルムの孔密度は、プロピレン系樹脂微孔フィルムのリチウムイオンの透過性を向上させるために、15個/μm2以上が好ましく、17個/μm2以上がより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムの孔密度は、下記の要領で測定する。先ず、プロピレン系樹脂微孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。そして、測定部分において微小孔部の個数を測定し、この個数を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除すことによって孔密度を算出することができる。
プロピレン系樹脂微孔フィルムの空隙率は、47〜70%が好ましく、50〜67%がより好ましい。プロピレン系樹脂微孔フィルムの空隙率が低いと、プロピレン系樹脂微孔フィルムのイオン透過性が低下する虞れがある。また、プロピレン系樹脂微孔フィルムの空隙率が高いと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの機械的強度が低下する虞れがある。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムの空隙率は下記の要領で測定することができる。先ず、プロピレン系樹脂微孔フィルムを切断することにより縦10cm×横10cmの平面正方形状(面積100cm2)の試験片を得る。次に、試験片の重量W(g)及び厚みT(cm)を測定し、下記式(1)により見掛け密度ρ(g/cm3)を算出する。なお、試験片の厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いて、試験片の厚みを15箇所測定し、その相加平均値とする。そして、この見掛け密度ρ(g/cm3)及びプロピレン系樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)を用いて下記式(2)に基づいてプロピレン系樹脂微孔フィルムの空隙率P(%)を算出することができる。
見掛け密度ρ(g/cm3)=W/(100×T) (1)
空隙率P[%]=100×[(ρ0−ρ)/ρ0] (2)
プロピレン系樹脂微孔フィルムの厚みは、特に制限されないが、1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。
[プロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法]
(押出工程)
次に、プロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法について説明する。先ず、プロピレン系樹脂を押出機に供給して溶融混練した上で、押出機の先端に取り付けたTダイから押出すによりプロピレン系樹脂フィルムを得る押出工程を行う。
プロピレン系樹脂を押出機にて溶融混練する際のプロピレン系樹脂の温度は、低いと、得られるプロピレン系樹脂微孔フィルムの厚みが不均一となり或いはプロピレン系樹脂微孔フィルムの表面平滑性が低下し、高いと、プロピレン系樹脂の配向性が低下してプロピレン系樹脂がラメラを生成しない虞れがあるので、プロピレン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下に限定されるが、プロピレン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも80℃高い温度以下であることが好ましく、プロピレン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも50℃高い温度以下であることがより好ましい。
プロピレン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比が小さいと、プロピレン系樹脂に加わる張力が低下して、プロピレン系樹脂の分子配向が不充分となり、プロピレン系樹脂がラメラを充分に生成しない虞れがある。又、プロピレン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比が大きいと、プロピレン系樹脂の分子配向は高いものとなるが、プロピレン系樹脂フィルムの製膜安定性が低下し、得られるプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度や幅精度が低下する虞れがある。したがって、プロピレン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比は、50〜300が好ましく、65〜250がより好ましく、70〜250が特に好ましい。
なお、ドロー比とは、TダイのリップのクリアランスをTダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みで除した値をいう。Tダイのリップのクリアランスの測定は、JIS B7524に準拠したすきまゲージ(例えば、株式会社永井ゲージ製作所製 JISすきまゲージ)を用いてTダイのリップのクリアランスを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。また、Tダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いてTダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。
更に、プロピレン系樹脂フィルムの製膜速度は、小さいと、プロピレン系樹脂に加わる張力が低下して、プロピレン系樹脂の分子配向が不充分となり、プロピレン系樹脂がラメラを充分に生成しない虞れがあり、大きいと、プロピレン系樹脂の分子配向は高いものとなるが、プロピレン系樹脂フィルムの製膜安定性が低下し、得られるプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度や幅精度が低下するので、10〜300m/分が好ましく、15〜250m/分がより好ましく、15〜30m/分が特に好ましい。
そして、Tダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムをその表面温度が上記プロピレン系樹脂の融点よりも100℃低い温度以下となるまで冷却することにより、プロピレン系樹脂フィルムを構成しているプロピレン系樹脂が結晶化してラメラを生成する。本発明では、溶融混練したプロピレン系樹脂を押出すことにより、プロピレン系樹脂フィルムを構成しているプロピレン系樹脂分子を予め配向させた上で、プロピレン系樹脂フィルムを冷却することにより、プロピレン系樹脂が配向している部分がラメラの生成を促進させることができる。
冷却されたプロピレン樹脂フィルムの表面温度は、プロピレン系樹脂の融点よりも100℃低い温度以下が好ましく、プロピレン系樹脂の融点よりも140〜110℃低い温度がより好ましく、プロピレン系樹脂の融点よりも135〜120℃低い温度が特に好ましい。冷却されたプロピレン樹脂フィルムの表面温度が高いと、プロピレン樹脂フィルムを構成しているプロピレン樹脂を結晶化させることができず、ラメラを生成しない虞れがある。
(養生工程)
次いで、上述した押出工程により得られたプロピレン系樹脂フィルムを養生する。このプロピレン系樹脂の養生工程は、押出工程においてプロピレン系樹脂フィルム中に生成させたラメラを成長させるために行う。このことにより、プロピレン系樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列してなる積層ラメラ構造を形成させることができ、後述するプロピレン系樹脂フィルムの延伸工程において、ラメラ内ではなく、ラメラ間において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
養生工程は、押出工程により得られたプロピレン系樹脂フィルムを、プロピレン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記プロピレン系樹脂の融点より1℃低い温度以下にて養生することにより行う。
プロピレン系樹脂フィルムの養生温度は、低いと、プロピレン系樹脂フィルムのラメラの結晶化が促進できず、高いと、プロピレン系樹脂フィルムのプロピレン系樹脂分子の配向が緩和してしまい、ラメラ構造が崩れる虞れがあるので、プロピレン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記プロピレン系樹脂の融点より1℃低い温度以下に限定されるが、プロピレン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも5℃低い温度以下が好ましく、プロピレン系樹脂の融点よりも25℃低い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下がより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂フィルムの養生温度とは、プロピレン系樹脂フィルムの表面温度である。しかしながら、プロピレン系樹脂フィルムの表面温度を測定できないような場合、例えば、プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合には、プロピレン系樹脂フィルムの養生温度とは、雰囲気温度とする。例えば、熱風炉などの加熱装置内部でプロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生を行う場合には、加熱装置内部の温度を養生温度とする。
プロピレン系樹脂フィルムの養生は、プロピレン系樹脂フィルムを走行させながら行ってもよく、プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で行ってもよい。
プロピレン系樹脂フィルムの養生をプロピレン系樹脂フィルムを走行しながら行う場合、プロピレン系樹脂フィルムの養生時間は、1分以上が好ましく、5分〜60分がより好ましい。
プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合、養生時間は、1時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましい。このような養生時間でロール状に巻き取った状態のプロピレン系樹脂フィルムを養生させることにより、ロールの表面から内部まで全体的にプロピレン系樹脂フィルムをその温度を上述した養生温度にして十分に養生させることができ、プロピレン系樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることができる。また、養生時間が長すぎると、養生時間の増加分に見合ったプロピレン系樹脂フィルムのラメラの成長が見込まれず、かえってプロピレン系樹脂フィルムが熱劣化する虞れがある。したがって、養生時間は、35時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させた場合、養生工程後のプロピレン系樹脂フィルムロールからプロピレン系樹脂フィルムを巻き出して、後述する延伸工程及びアニーリング工程を実施すればよい。
(第一延伸工程)
次に、養生工程後のプロピレン系樹脂フィルムに、その表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸を施す第一延伸工程を実施する。第一延伸工程では、プロピレン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。第一延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルム中のラメラは殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ同士を離間させることによって、ラメラ間の非結晶部において効率的に微細な亀裂を独立して生じさせ、この亀裂を起点として多数の微小孔部を確実に形成させる。
第一延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの表面温度は、低いと、延伸時にプロピレン系樹脂フィルムが破断する虞れがあり、高いと、ラメラ間の非結晶部において亀裂が発生しにくくなるので、−20℃以上100℃未満に限定されるが、0〜80℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。
第一延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸倍率は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が形成されにくくなり、透気性に優れ、リチウムイオンが透過する際の抵抗が低いプロピレン系樹脂微孔フィルムが得られない虞れがあり、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムに微小孔部が均一に形成されないことがあるので、1.2〜1.6倍に限定されるが、1.2〜1.5倍がより好ましい。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後のプロピレン系樹脂フィルムの長さを延伸前のプロピレン系樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
プロピレン系樹脂フィルムの第一延伸工程における延伸速度は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が均一に形成されにくくなるので、20%/分以上が好ましく、大き過ぎると、プロピレン系樹脂フィルムが破断する虞れがあるので、20〜500%/分がより好ましく、20〜70%/分が特に好ましい。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸速度とは、単位時間当たりのプロピレン系樹脂フィルムの延伸方向における寸法の変化割合をいう。
上記第一延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの延伸方法としては、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(第二延伸工程)
次いで、第一延伸工程後のプロピレン系樹脂フィルムに、その表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜2.2倍に一軸延伸処理を施す第二延伸工程を実施する。第二延伸工程においても、プロピレン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。このような第二延伸工程における延伸処理を行うことによって、第一延伸工程にてプロピレン系樹脂フィルムに形成された多数の微小孔部を成長させることができる。
第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの表面温度は、低いと、第一延伸工程においてプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が成長し難く、プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が向上しないことがあり、高いと、第一延伸工程においてプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が閉塞してしまい、かえってプロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が低下することがあるので、100〜150℃に限定されるが、110〜140℃が好ましい。
第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸倍率は、小さいと、第一延伸工程時にプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が成長し難く、プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が低下することがあり、大きいと、第一延伸工程においてプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が閉塞してしまい、かえってプロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が低下することがあるので、1.2〜2.2倍に限定されるが、1.5〜2倍が好ましい。
第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸速度は、大きいと、プロピレン系樹脂フィルムに微小孔部が均一に形成されないことがあるので、500%/分以下が好ましく、400%/分以下がより好ましく、60%/分以下が特に好ましい。また、第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸速度は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が均一に形成されにくくなるので、15%/分以上とするのが好ましい。
上記第二延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの延伸方法としては、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(アニーリング工程)
次に、第二延伸工程において一軸延伸が施されたプロピレン系樹脂フィルムにアニール処理を施すアニーリング工程を行う。このアニーリング工程は、上述した延伸工程において加えられた延伸によってプロピレン系樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和して、得られるプロピレン系樹脂微孔フィルムに加熱による熱収縮が生じるのを抑えるために行われる。
アニーリング工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの表面温度は、低いと、プロピレン系樹脂フィルム中に残存した歪みの緩和が不充分となって、得られるプロピレン系樹脂微孔フィルムの加熱時における寸法安定性が低下することがあり、高いと、延伸工程で形成された微小孔部が閉塞してしまう虞れがあるので、第二延伸工程時のプロピレン系樹脂フィルムの表面温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましい。
アニーリング工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの収縮率は、大きいと、プロピレン系樹脂フィルムにたるみを生じて均一にアニールできなくなったり、微小孔部の形状が保持できなくなったりすることがあるので、20%以下に設定することが好ましい。なお、プロピレン系樹脂フィルムの収縮率とは、アニーリング工程時における延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの収縮長さを、第二延伸工程後の延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
上述した本発明の方法によれば、多数の微小孔部がフィルム表裏面を貫通して形成されており、優れた透気性を有していると共に、リチウムイオンが円滑に且つ均一に透過し易く、リチウムイオンが通過する際の抵抗が低いプロピレン系樹脂微孔フィルムを製造することができる。
本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムは、上述の如き構成を有しているので、例えば、リチウムイオン電池に用いた場合にはリチウムイオンの通過を円滑で且つ均一なものとし、リチウムイオン電池の内部抵抗を低減させることができる。したがって、このようなプロピレン系樹脂微孔フィルムを用いてなるリチウムイオン電池は、高電流密度で充放電を行うことが可能であり、電気自動車等の車両など高出力用途に好適に用いられる。
また、本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法によれば、上記の如きプロピレン系樹脂微孔フィルムを容易に製造することができる。
図1は、電気抵抗値測定用セルの分解斜視図である。 図2は、電気抵抗値測定用セルの組立断面図である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(押出工程)
表1に示した重量平均分子量、数平均分子量、融点を有するホモポリプロピレンを押出機に供給して樹脂温度200℃にて溶融混練し、押出機の先端に取り付けられたTダイからフィルム状に押出し、表面温度が30℃となるまで冷却して厚みが30μmで且つ幅が200mmの長尺状のホモポリプロピレンフィルムを得た。なお、押出量は10kg/時間、製膜速度は22m/分、ドロー比は83であった。
(養生工程)
得られた長尺状のホモポリプロピレンフィルム50mを外径が3インチの円筒状の芯体にロール状に巻取り、ロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムを、このホモポリプロピレンフィルムを設置している場所の雰囲気温度が150℃である熱風炉中に24時間に亘って放置して養生した。このとき、長尺状のホモポリプロピレンフィルムのロールの表面から内部まで全体的にホモポリプロピレンフィルムの温度が熱風炉内部の温度と同じ温度になっていた。
(第一延伸工程)
次に、養生を施したロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムからホモポリプロピレンフィルムを巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムを押出方向(長さ方向)に300mm、幅方向に160mmの短冊状に裁断した。このホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置(井元製作所社製 商品名「IMC−18C6」)を用いて表面温度が23℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率1.20倍に押出し方向にのみ一軸延伸した。
(第二延伸工程)
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置(井元製作所社製 商品名「IMC−18C6」)を用いて表面温度が120℃となるようにして42%/分の延伸速度にて延伸倍率2.00倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(アニーリング工程)
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムをその表面温度が130℃となるように且つホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして10分間に亘って放置して、ホモポリプロピレンフィルムにアニールを施して、厚みが25μmのホモポリプロピレン微孔フィルムを得た。なおアニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの収縮率は20%とした。
[比較例1〜3]
ホモポリプロピレンの重量平均分子量、数平均分子量、及び融点、並びに第一延伸工程及び第二延伸工程における延伸倍率を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚みが25μmのホモポリプロピレン微孔フィルムを得た。
[評価]
得られたホモプロピレン微孔フィルムの透気度、微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径、孔密度、表面開口率、並びに空隙率を上述の要領で測定した。また、ホモプロピレン微孔フィルムの電気抵抗値を後述する要領で測定した。これらの結果を表1に示した。
(電気抵抗値測定用セル)
ホモプロピレン微孔フィルムの電気抵抗値の測定は、図1及び2に示す電気抵抗値測定用セル(宝泉社製 商品名「HSセル」)を用いて行った。図1は電気抵抗値測定用セルの分解斜視図であり、図2は電気抵抗値測定用セルの組立断面図である。
電気抵抗値測定用セルは、セル容器11と、リング状の電極ガイド12と、円盤状の電極13と、セル蓋14と、押圧片15と、スプリング16と、押圧部材17とから構成されている。なお、セル容器11、電極13、セル蓋14、押圧片15、スプリング16、及び押圧部材17は、いずれもステンレススチール(SUS)製である。また、電極ガイド12は、電気絶縁性のフッ素樹脂からなる。
セル容器11は、中央部に穴部11a を有する有底円筒状の本体部11b と、本体部11b の外周上端部から外側に突出した円盤状のフランジ部11c とを備えている。穴部11a は、電極ガイド12の外径とほぼ同じ径を有する円形状に形成され、穴部11a 内には電極ガイド12を着脱自在に嵌め込むことができる。また、有底円筒状の本体部11b の底面中央部には、凹部11d が設けられている。この凹部11d は、その内部に電極13によって後述する試験片18を押し込むことができるように、電極13の外径よりも試験片18 の厚みに相当する分だけ僅かに大きい径を有する円形状に形成されている。したがって、凹部11d 内に電極13によって試験片18を押し込むと、試験片18は、凹部11d の底面及び内周面に密接することができる。また、試験片18の厚みは非常に薄いため、凹部11d の底面部の上面と電極13の底面とはほぼ同一の面積を有しているとみなすことができる。また、凹部11d 及び電極13はいずれもステンレススチール(SUS)製であることから、試験片18の電気抵抗値の測定において、凹部11d の底面部が電極13と対をなす他方の電極として作用するとみなすことができる。フランジ部11cの端部上面には、ボルト11e が突設されている。そして、フランジ部11c の端部下面には、SUSからなる平板状のタブ11f の一端部が固着されていると共に、タブ11f の他端部はフランジ部11c から外部に突出されている。
電極ガイド12は、その中央部に円形状の貫通孔12a を備えており、電極ガイド12をセル容器11の穴部11a 内に挿入して嵌め込むと、セル容器11の円形状の凹部11d と電極ガイド12の貫通孔12a とが同軸上に配置される。そして、貫通孔12a は、電極13の外径とほぼ同一であり且つセル容器11の凹部11d の径よりも試験片18 の厚みに相当する分だけ僅かに小さい径を有する円形状に形成されている。したがって、セル容器11の穴部11a 内に嵌め込まれた電極ガイド12の貫通孔12a 内に電極13を挿通させて、有底円筒状の本体部11b の凹部11d 内に電極13を案内することが可能となる。
電極13の上面中央部には、押圧片15をその下端部を挿入することによって支持するための穴部13aが設けられている。
セル蓋14は、セル容器11のフランジ部11c の外径とほぼ同じ外径を有する円盤状に形成されている。セル蓋14の外周端部には、セル容器11のフランジ部11c に設けられているボルト11e のそれぞれに対応した箇所に、ボルト11e が挿通可能な挿通孔14a が形成されている。この挿通孔14a にボルト11e を挿通して、ボルト11e に蝶ナット19を螺合して締め付けることにより、セル蓋14をセル容器11に着脱自在に取り付けることができる。また、セル蓋14の外周端部上面には、SUSからなる平板状のタブ14b の一端部が固着されていると共に、タブ14b の他端部はセル蓋14から外部に突出されている。そして、セル蓋14の中央部には、円形状の貫通孔14c が設けられている。この貫通孔14c は、その内周面に雌ネジ部14d が形成されている。
押圧片15は、長さ方向における両端面がそれぞれ半円球状に形成された円柱状を有する本体部15a と、この本体部15a の周壁面から外側に突設してなる円盤状のスプリング受け部15b とを備えている。本体部15a のスプリング受け部15b より上側の上端部は、スプリング16を挿入して嵌め込むことができる径に形成されている。そして、この本体部15a の上端部にスプリング16の下端部を挿入して嵌め込み、押圧片15のスプリング受け部15bにスプリング16を受止させ、このスプリング16の上端に作用する押圧力によってスプリング16を圧縮させて本体部15a を下方に弾圧するように構成している。
押圧部材17は、頭部17a と、この頭部17a の下面から下方に突設している円筒形状の脚部17b とを備えている。頭部17aは、セル蓋14の貫通孔14c の径よりも大きい径を有する円板状に形成され、セル蓋14の貫通孔14c の開口端面を押圧部材17によって閉止するように構成している。また、脚部17b の外周面には、セル蓋14の貫通孔14c の内周面に形成されている雌ネジ部14d と螺合する雄ネジ部17c が形成されている。さらに、円筒状の脚部17b の奥底面である頭部17a の下面中央部には、スプリング16の上端を受止するための穴部17d が設けられている。
(電気抵抗値の測定)
上述した電気抵抗値測定用セルを用いたホモプロピレン微孔フィルムの電気抵抗値の測定を、下記要領に従って行った。なお、下記する電気抵抗値測定用セルの組み立ては、23℃のアルゴンガス雰囲気下で行った。
まず、ホモプロピレン微孔フィルムを切断することによって、厚み25μm、直径2.4cmの平面円形状の試験片18を得た。次に、この試験片18をセル容器11の穴部11a の底面上に載置した後、穴部11a に電解液50μLを注入し、1時間放置することによって、電解液を試験片18の表面から内部まで全体的に含浸させた。なお、電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DEC)とを体積比(EC:DEC)3:7で含む有機溶媒中にLiPF6を1mol/Lの濃度となるように溶解させてなるものを用いた。
次に、セル容器11の穴部11a に直径2.4cmの電極ガイド12を挿入して嵌め込むことによって、試験片18上に電極ガイド12を載置した後、電極ガイド12の貫通孔12a 内に直径1.6cmの電極13を挿入して嵌め込んだ。その後、セル容器11のボルト11e をセル蓋14の挿通孔14a 内にそれぞれ挿通し、ボルト11e に蝶ナット19を螺合して締め付けることにより、セル容器11上にセル蓋14を固定した。なお、図示していないが、セル容器11のフランジ部11cの上面とセル蓋14の外周端部の下面とにはそれぞれゴム製Oリングが配設されていると共に、ボルト11e が挿通される挿通孔14aの内面は電気絶縁性のフッ素樹脂により構成されていることによって、セル容器11とセル蓋14とは電気的に絶縁されている。
そして、押圧片15の下端部を電極13の穴部13aに挿入し、押圧片15の上端部にスプリング16の下端部を圧入して、スプリング16を押圧片15のスプリング受け部15bに受止させた。その後、押圧部材17の脚部17bをセル蓋14の貫通孔14c に挿入して、脚部17b の雄ネジ部17c と貫通孔14c の雌ネジ部14d とを螺合させて締め付けることによって、スプリング16の上端部を押圧部材17の穴部17d に挿入して嵌め込むと共にスプリング16が圧縮された状態となるようにして、図2に示す電気抵抗値測定用セルを組み立てた。
上記の通りにして組み立てられた電気抵抗値測定用セルでは、圧縮されているスプリング16の復元力によって、押圧片15を介して、電極13がその厚み方向に弾圧され、これにより試験片18の中央部がセル容器11の凹部11d 内に押し込まれて、試験片18の中央部の両面がそれぞれ電極13の底面と凹部11d の底面と密接した状態となっている。
次に、23℃雰囲気下で、上述した状態の電気抵抗値測定用セルのタブ14b 及び11f に、インピーダンス測定システム(Princeton Applied Research社製 製品名「VersaSTAT−4」)の端子を接続し、電極13と凹部11d の底面部との間に電圧振幅10mV、周波数1MHz〜10kHzの電圧を印加することによって、交流インピーダンス(Ω)を測定した。そして、得られた交流インピーダンスの実部をX軸に、虚部をY軸とするグラフにプロットして、Cole - Coleプロットを得た。しかる後、Cole - ColeプロットとX軸との交点における実部の値に、電極13の面積を乗じることにより、試験片の電気抵抗値(Ω・cm2)を算出した。
そして、上記と同じ要領に従って、ホモプロピレン微孔フィルムから3枚の試験片を作製し、これらの試験片のそれぞれについて電気抵抗値を測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値をホモプロピレン微孔フィルムの電気抵抗値とした。
Figure 2013202944
11 セル容器
11a 穴部
11b 本体部
11c フランジ部
11d 凹部
11e ボルト
11f タブ
12 電極ガイド
12a 貫通孔
13 電極
13a 穴部
14 セル蓋
14a 挿通孔
14b タブ
14c 貫通孔
14d 雌ネジ部
15 押圧片
15a 本体部
15b スプリング受け部
16 スプリング
17 押圧部材
17a 頭部
17b 脚部
17c 雄ネジ部
17d 穴部
18 試験片
19 蝶ナット

Claims (9)

  1. 重量平均分子量が25万〜50万で且つ分子量分布が7.5〜12であるプロピレン系樹脂を含むプロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することにより微小孔部が形成されてなるプロピレン系樹脂微孔フィルムであって、
    透気度が100〜250sec/100mLで且つLiPF6を1mol/L含む電解液を上記プロピレン系樹脂微孔フィルムに含浸させた状態での電気抵抗値が2.4Ω・cm2以下であることを特徴とするプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  2. プロピレン系樹脂の融点が160〜170℃であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  3. 微小孔部の開口端の最大長径が1μm以下で且つ平均長径が500nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  4. 孔密度が15個/μm2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルムからなることを特徴とする電池用セパレータ。
  6. 請求項5に記載の電池用セパレータを組み込んでなることを特徴とする電池。
  7. 重量平均分子量が25万〜50万で且つ分子量分布が7.5〜12であるプロピレン系樹脂を、押出機にてプロピレン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下にて溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより、プロピレン系樹脂フィルムを得る押出工程と、
    上記押出工程後の上記プロピレン系樹脂フィルムを上記プロピレン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記プロピレン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下で養生する養生工程と、
    上記養生工程後の上記プロピレン系樹脂フィルムを、その表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸する第一延伸工程と、
    上記第一延伸工程において延伸が施された上記プロピレン系樹脂フィルムを、その表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜2.2倍に一軸延伸する第二延伸工程と、
    上記第二延伸工程において延伸が施されたプロピレン系樹脂フィルムをアニールするアニーリング工程と
    を含むことを特徴とするプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
  8. プロピレン系樹脂の融点が160〜170℃であることを特徴とする請求項7に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
  9. アニーリング工程において、第二延伸工程で延伸されたプロピレン系樹脂フィルムをその表面温度が上記第二延伸工程時の上記プロピレン系樹脂フィルムの表面温度以上で且つ上記プロピレン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下にてアニールすることを特徴とする請求項7又は8に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
JP2012074465A 2012-03-28 2012-03-28 プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法 Pending JP2013202944A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012074465A JP2013202944A (ja) 2012-03-28 2012-03-28 プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012074465A JP2013202944A (ja) 2012-03-28 2012-03-28 プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013202944A true JP2013202944A (ja) 2013-10-07

Family

ID=49522573

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012074465A Pending JP2013202944A (ja) 2012-03-28 2012-03-28 プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013202944A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018104713A (ja) * 2016-02-09 2018-07-05 宇部興産株式会社 ポリオレフィン微多孔膜

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10100344A (ja) * 1996-08-06 1998-04-21 Ube Ind Ltd 積層多孔質ポリオレフィンフイルム及びその製法
JP2011137159A (ja) * 2008-07-31 2011-07-14 Asahi Kasei E-Materials Corp 微多孔性フィルム及びその製造方法
JP2011246658A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Sekisui Chem Co Ltd プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法
WO2012023348A1 (ja) * 2010-08-18 2012-02-23 積水化学工業株式会社 プロピレン系樹脂微孔フィルム、電池用セパレータ、電池及びプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10100344A (ja) * 1996-08-06 1998-04-21 Ube Ind Ltd 積層多孔質ポリオレフィンフイルム及びその製法
JP2011137159A (ja) * 2008-07-31 2011-07-14 Asahi Kasei E-Materials Corp 微多孔性フィルム及びその製造方法
JP2011246658A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Sekisui Chem Co Ltd プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法
WO2012023348A1 (ja) * 2010-08-18 2012-02-23 積水化学工業株式会社 プロピレン系樹脂微孔フィルム、電池用セパレータ、電池及びプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018104713A (ja) * 2016-02-09 2018-07-05 宇部興産株式会社 ポリオレフィン微多孔膜
US11139533B2 (en) 2016-02-09 2021-10-05 Ube Industries, Ltd. Polyolefin micro-porous film, separator film for power-storage device, and power-storage device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6729391B2 (ja) ポリオレフィン微多孔膜、その製造方法および電池用セパレータ
KR101861408B1 (ko) 프로필렌계 수지 미공 필름, 전지용 세퍼레이터, 전지 및 프로필렌계 수지 미공 필름의 제조 방법
JP5167435B2 (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム、電池用セパレータ、電池及びプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法
JP2014180822A (ja) 積層フィルム並びにこれを用いてなる電池用セパレータ及び電池
JPWO2014175252A1 (ja) オレフィン系樹脂微孔フィルム、電池用セパレータ、電池、及びオレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法
JP5663040B2 (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム、電池用セパレータ、電池及びプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法
WO2018147394A1 (ja) 合成樹脂微多孔フィルム及びその製造方法、蓄電デバイス用セパレータ並びに蓄電デバイス
JP5771043B2 (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池用セパレータ及びリチウムイオン電池
JP5771045B2 (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池用セパレータ及びリチウムイオン電池
JP2013202944A (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法
JP6626568B2 (ja) 合成樹脂微多孔フィルム及びその製造方法、蓄電デバイス用セパレータ並びに蓄電デバイス
JP2014182963A (ja) 積層フィルム並びにこれを用いてなる電池用セパレータ及び電池
JP2015079749A (ja) 微多孔フィルム、微多孔フィルムの製造方法、非水電解液電池用セパレータ、及び非水電解液電池
JP6660363B2 (ja) 蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス
JP5620228B2 (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム、電池用セパレータ、電池及びプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法
JP6676601B2 (ja) 非水系電解液を用いた蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス
JP6641339B2 (ja) 合成樹脂微多孔フィルム、蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス
JP5739750B2 (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法
JP2012092287A (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法、並びにリチウムイオン電池用セパレータ及びリチウムイオン電池
JP2019006928A (ja) 合成樹脂微多孔フィルム、蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス
JP2015187257A (ja) ポリオレフィン系樹脂微多孔フィルム及び電池用セパレータ
JP2014169405A (ja) プロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法及びプロピレン系樹脂微孔フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150804

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160106