JP2013199650A - エポキシ樹脂組成物、そのエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ及び金属張積層板 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、そのエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ及び金属張積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性を維持しながら高い耐熱性を備えることができる、誘電特性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)数平均分子量が1000以下で、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する、ハロゲン原子を含有しないエポキシ化合物、(B)数平均分子量5000以下のポリフェニレンエーテル、(C)シアネートエステル化合物、(D)有機金属塩、及び(E)リン系難燃剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板の絶縁材料として好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物に関し、詳しくは耐熱性に優れたプリント配線板を製造するために好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物、そのエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ及び金属張積層板に関するものである。
近年の情報通信分野で用いられる電子機器においては、信号の大容量化や高速化が進展しており、高周波特性が良く、配線数増加による高多層化に対応できるプリント配線板が要求されている。
このような電子機器に用いられるプリント配線板においては、MHz帯からGHz帯という高周波領域における信頼性を維持するために、低誘電率(ε)及び低誘電正接(tanδ)が必要になる。従来、このような電気特性を有するプリント配線板として、その絶縁層に、エポキシ樹脂にポリフェニレンエーテル(PPE)を配合した熱硬化性樹脂組成物を用いたものが知られている。このような熱硬化性樹脂組成物は、通常のエポキシ樹脂組成物よりも優れた誘電特性を示すが、他の高価な高周波基板用材料であるPTFE等のフッ素樹脂や、BT樹脂、ポリイミド樹脂などと比較すると、耐熱性が低いという問題があった。
このような耐熱性の低さを改良するために、下記特許文献1や特許文献2には、特定のエポキシ化合物と低分子量化されたフェノール変性ポリフェニレンエーテルと、シアネート化合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。このようなエポキシ樹脂組成物は、耐熱性が高く、優れた誘電特性をも備えている。
また、プリント配線板の絶縁層に用いられるエポキシ樹脂組成物には、上記のような、誘電特性や耐熱性に加えて、高い難燃性も求められる。このようなエポキシ樹脂組成物に難燃性を付与するために、エポキシ樹脂成分として臭素化されたエポキシ化合物を所定量配合するという方法が広く用いられていた(例えば、特許文献1〜4)。
特開平10−265669号公報 特開2000−7763号公報 特開平9−227659号公報 特開平11−302529号公報
従来知られた、エポキシ化合物と低分子量化されたフェノール変性ポリフェニレンエーテルと、シアネート化合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物は、誘電特性が優れているものの耐熱性が、未だ、他の高周波基板用材料に比べては不充分であった。
本発明は、エポキシ化合物と低分子量化されたフェノール変性ポリフェニレンエーテルと、シアネート化合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物において、難燃性を維持しながら高い耐熱性を備えることができる、誘電特性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、エポキシ化合物と低分子量化されたフェノール変性ポリフェニレンエーテルと、シアネート化合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物において、耐熱性を改良するための検討を行った結果、エポキシ樹脂組成物の難燃化に一般的に用いられている臭素化エポキシ化合物とシアネート化合物とを併用した場合には、耐熱性が低下するが、臭素化エポキシ化合物を用いない場合には耐熱性が大幅に向上することを見出した。そして、さらに検討を進めた結果、エポキシ樹脂組成物の難燃化を目的として、臭素化エポキシ化合物のようなハロゲン化エポキシ化合物や、ハロゲン系難燃剤を用いた場合には、高温時において、ハロゲンが脱離することにより生じるハロゲンイオン(またはハロゲンラジカル)がシアネート骨格を分解することにより樹脂が熱劣化していると思われる幾つかの知見を得た。かかる知見から、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)数平均分子量が1000以下で、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する、ハロゲン原子を含有しないエポキシ化合物、(B)数平均分子量5000以下のポリフェニレンエーテル、(C)シアネートエステル化合物、(D)有機金属塩、及び(E)リン系難燃剤を含有することを特徴とするものである。エポキシ樹脂組成物の難燃化を目的として、臭素化エポキシ化合物のようなハロゲン化エポキシ化合物を用いた場合には、難燃性を維持することができるものの脱離したハロゲンにより硬化物が分解されて耐熱性が低下するが、本発明のように、ハロゲン化エポキシ化合物を用いる代わりに、リン系難燃剤(E)を用いることにより、高温時におけるハロゲンの脱離による硬化物の分解が抑制されるために、難燃性及び高い耐熱性を維持することができる。
上記のような(E)リン系難燃剤としては、フォスファゼン骨格を有するフォスファゼン系化合物が電気特性及び耐熱性に優れている点から好ましく用いられる。
また、前記エポキシ化合物(A)としては、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、及びビフェニル型エポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物が前記ポリフェニレンエーテル(B)との相溶性が良い点から好ましく用いられる。
また、前記ポリフェニレンエーテル(B)としては、数平均分子量10000〜30000のポリフェニレンエーテルを溶媒中でフェノール系化合物とラジカル開始剤との存在下で再分配反応させて得られたものであることが好ましい。このようなポリフェニレンエーテルは、分子鎖の両末端に硬化に寄与するフェノール系化合物に由来する水酸基を有するために、さらに高い耐熱性を維持することができる。
また、本発明のプリプレグは、前記エポキシ樹脂組成物を繊維質基材に含浸させ、硬化させて得られるものである。
また、本発明の金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔が積層して、加熱加圧成形して得られるものである。
本発明によれば、耐熱性及び難燃性に優れ、かつ、優れた誘電特性を有する、プリント配線板等の製造に好ましく用いられる樹脂組成物が得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明に用いられる、(A)数平均分子量が1000以下で、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するハロゲン原子を含有しないエポキシ化合物の種類は、特に限定されない。その具体例としては、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物がポリフェニレンエーテルとの相溶性が良い点から好ましく用いられる。なお、エポキシ樹脂組成物には、ハロゲン化エポキシ化合物を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて添加してもよい。
前記エポキシ化合物(A)の配合割合としては、(A)〜(C)成分の合計量に対して、20〜60質量%、さらには40〜50質量%であることが、充分な耐熱性と優れた機械的特性及び電気特性を維持できる点から好ましい。
本発明に用いられる、数平均分子量5000以下のポリフェニレンエーテル(B)は、重合反応により得られたものであっても、高分子量(具体的には数平均分子量10000〜30000程度)のPPEをトルエン等の溶媒中でフェノール系化合物とラジカル開始剤の存在下で加熱し再分配反応させて得られたものであってもよい。
なお、上記再分配反応により得られるポリフェニレンエーテルは、分子鎖の両末端に硬化に寄与するフェノール系化合物に由来する水酸基を有するために、さらに高い耐熱性を維持することができる点から好ましい。また、重合により得られたポリフェニレンエーテルは、優れた流動性を示す点から好ましい。
前記ポリフェニレンエーテル(B)の数平均分子量は、5000以下であり、好ましくは2000〜4000である。前記数平均分子量が5000を超える場合には、流動性が悪くなり、またエポキシ化合物のエポキシ基との反応性も低下して、硬化反応に長い時間を要したり、硬化系に取り込まれず未反応のものが増加してガラス転移温度が低下し、十分な耐熱性の改善が望めなくなる。
前記ポリフェニレンエーテル(B)の分子量の調節は、前記再分配反応においては、用いるフェノール系化合物の配合量を調整することによりできる。即ち、フェノール系化合物の配合量が多いほど、その分子量は低くなる。
上記再分配反応に供される高分子量のPPEとしては市販品等の公知のものが使用でき、その代表的なものとしてポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられる。また、上記再分配反応にて用いられるフェノール系化合物としては、特に限定されないが、例えばビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のように、フェノール性水酸基を分子内に2個以上有する多官能のフェノール系化合物が好ましく用いられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリフェニレンエーテル(B)の配合割合としては、(A)〜(C)成分の合計量中、20〜60質量%、さらには20〜40質量%であることが優れた誘電特性を充分に付与することができる点から好ましい。
本発明に用いられる、(C)シアネートエステル化合物は、1分子中に2個以上のシアネート基を有する化合物であれば特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン等またはこれらの誘導体等、芳香族系シアネートエステル化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記シアネートエステル化合物(C)は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用し、剛直な骨格を形成する成分である。このために、高いガラス転移点(Tg)を与える。また、低粘度であるために得られる樹脂ワニスの高流動性を維持することができる。
なお、シアネートエステル化合物(C)は、有機金属塩(D)の存在により、シアネートエステル化合物同士においても自己重合する。この自己重合反応は、シアネート基同士が反応してトリアジン環を形成することによって重合反応が進むものである。このような自己重合反応も耐熱性向上に寄与する。
シアネートエステル化合物(C)の配合割合としては、(A)〜(C)成分の合計量中、20〜60質量%、さらには20〜40質量%であることが、耐熱性が充分に得られ、また、基材に対する含浸性が優れ、樹脂ワニス中でも結晶が析出しにくい点から好ましい。
本発明に用いられる、(D)有機金属塩は、前記エポキシ化合物(A)及びポリフェニレンエーテル(B)と、硬化剤であるシアネートエステル化合物(C)との反応を促進させる触媒であり、具体的には、例えば、オクタン酸,ステアリン酸,アセチルアセトネート,ナフテン酸,サリチル酸等の有機酸のZn,Cu,Fe等の有機金属塩等が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、オクタン酸亜鉛がより高い耐熱性が得られる点から、特に好ましく用いられる。
前記有機金属塩(D)の配合割合は特に限定されないが、前記(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して0.005〜5質量部程度であることが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに、トリエチルアミン,トリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール,4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等の硬化触媒を併用してもよい。
本発明に用いられるリン系難燃剤(E)は、リン原子を含有する公知のリン系難燃剤であれば、特に限定されず用いられうる。エポキシ樹脂組成物を難燃化する処方としては、従来から、臭素化エポキシ化合物を配合したり、臭素化ポリスチレン等のハロゲン系難燃剤を配合する方法が一般的に用いられてきたが、このような含ハロゲン化合物を配合した場合には、高温時にハロゲンが脱離してハロゲンイオン(またはハロゲンラジカル)が発生する。このように発生するハロゲンイオン等は、シアネートエステル化合物(C)で硬化した硬化物の樹脂骨格を分解する作用をしていると思われる。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物においては、難燃剤として、ハロゲン原子を含有しないリン系難燃剤を用いることにより、樹脂骨格の分解を抑制して、得られる硬化物の耐熱性が維持されると考えられる。
このようなリン系難燃剤(E)の具体例としては、例えば、トリフェニルフォスフェイト,トリクレジルフォスフェイト,キシレニルジフェニルフォスフェイト,クレジルジフェニルフォスフェイト等のフォスフェイト系化合物、環状又は鎖状のフォスファゼン系化合物、縮合リン酸エステル系化合物、環状リン酸エステル系化合物及び、これらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、フォスファゼン系化合物が電気的特性及び耐熱性に優れている点から好ましく用いられる。
前記リン系難燃剤(E)の配合量としては、得られる硬化物中の樹脂成分(すなわち、無機成分を除いた成分)全量中にリン原子濃度が1〜3質量%程度になるような割合で含有させることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、加熱時における寸法安定性を高めたり、難燃性を高める等の目的で、必要に応じて無機充填材が添加されてもよい。
無機充填材の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
無機充填材の配合割合としては、前記(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して10〜100質量部、さらには、20〜50質量部であることが、流動性や金属箔との密着性を低下させずに、寸法安定性を向上させる点から好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他通常のエポキシ樹脂組成物に配合される成分、例えば熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染料や顔料、滑剤等を配合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、樹脂成分である、前記(A)〜(C)成分の何れもが樹脂ワニス中で溶解されていることが好ましい。このような樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
高分子量のPPEをトルエン中で再分配反応させて得られる、数平均分子量が5000以下のポリフェニレンエーテル(B)の樹脂溶液に、(A)エポキシ化合物及び(C)シアネートエステル化合物をそれぞれ所定量溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。また、溶解に際しては、エポキシ化合物(A)及びシアネートエステル化合物(C)として、常温でトルエン等の溶媒に溶解するものを用いることが、樹脂ワニス中で析出物等を生じにくい点から好ましい。
さらに、必要に応じて無機充填材を添加する場合には、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させる。
そして、(A)〜(C)成分が溶解された樹脂ワニスに、さらに、有機金属塩(D)、及びリン系難燃剤(E)等を添加して、均一になるように撹拌する。このようにして、樹脂ワニスが調製される。
プリプレグを製造する方法としては、例えば、前記樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
繊維質基材としては、例えばガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、リンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平加工としては例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、基材の厚みとしては0.04〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び樹脂量に調整することも可能である。
前記樹脂ワニスが含浸された基材は、所望の加熱条件、例えば、80〜170℃で1〜10分間加熱されることにより半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
プリプレグを用いて金属張積層板を作製する方法としては、前記プリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製することができるものである。加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグの樹脂組成物の種類等により適宜設定することができるが、例えば、温度を190〜210℃、圧力を3.5〜4.0Pa、時間を120〜150分間とすることができる。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物は、その硬化反応において、ポリフェニレンエーテル(B)の末端のフェノール性水酸基がエポキシ化合物(A)のエポキシ基と反応し、さらに、それらとシアネートエステル化合物(C)とが反応することにより、強固な架橋構造を形成する。シアネートエステル化合物(C)による硬化物は、電気特性に優れる上に耐熱性にも優れるものである。また、エポキシ化合物(A)として、ハロゲン原子を含有しないエポキシ化合物を用い、難燃性を付与するために、リン系難燃剤(E)を用いるために、高い耐熱性を維持しながら、難燃性を付与することができる。
そしてこのようにして作製した積層体の表面の金属箔をエッチング加工等して回路形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターンを設けたプリント配線板を得ることができるものである。このように得られるプリント配線板は、誘電特性に優れており、また、高い耐熱性及び難燃性を備えたものである。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(製造例1:重合で得られた数平均分子量2500のポリフェニレンエーテル(PPE1)の溶液の製造)
日本ジーイープラスチック(株)製のSA120(数平均分子量2500のPPE)をトルエンに90℃で溶解させて、数平均分子量2500のポリフェニレンエーテル(PPE1)の溶液(固形分濃度28質量%)を調製した。
(製造例2:再分配反応による、数平均分子量2500のポリフェニレンエーテル(PPE2)の溶液の製造)
トルエン250gを攪拌装置及び攪拌羽根を装備した2000mlのフラスコに入れた。前記フラスコを内温90℃に制御しながら、高分子量PPE(数平均分子量25000のPPE(日本ジーイープラスチックス(株)製の「ノリル640−111」)90g、ビスフェノールA 7g、過酸化ベンゾイル7gを入れ、2時間撹拌を続けて反応させることにより、数平均分子量2500のポリフェニレンエーテル(PPE2)の溶液(固形分濃度28質量%)を調製した。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定したスチレン換算の値である。
(製造例3:数平均分子量4000のポリフェニレンエーテル(PPE3)の溶液の製造)
ビスフェノールA 3.6g、過酸化ベンゾイル3.6gにした以外は、製造例2と同様にして反応させることにより、数平均分子量4000のポリフェニレンエーテル(PPE3)の溶液(固形分濃度は28質量%)を調製した。
(製造例4:重合で得られた数平均分子量25000のポリフェニレンエーテル(PPE4)の溶液の製造)
高分子量PPE(数平均分子量25000のPPE(日本ジーイープラスチックス(株)製の「ノリル640−111」)をトルエンに90℃で溶解させて、数平均分子量25000のポリフェニレンエーテル(PPE4)の溶液(固形分濃度28質量%)を調製した。
(実施例1〜8、参考例1〜3、比較例1〜5)
はじめに、本実施例で用いた原材料をまとめて示す。
〈エポキシ化合物〉
・ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物であり、数平均分子量(Mn)550のエピクロンHP7200(大日本インキ化学工業(株)製)
・ビスフェノールF型エポキシ化合物であり、Mn350のエピクロン830S(大日本インキ化学工業(株)製)
・テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物であり、Mn800のエピクロン153(大日本インキ化学工業(株)製)
・ビスフェノールA型エポキシ化合物であり、Mn1500のエピクロン3050(大日本インキ化学工業(株)製)
〈シアネートエステル化合物〉
・2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン(ロンザジャパン社製のBandy)
・下式(1)で示されるシアネートエステル化合物(ハンツマンジャパン社製のXU366)
Figure 2013199650
〈難燃剤〉
・リン含有率13質量%のフォスファゼン系難燃剤(大塚化学(株)製のSPB−100)
・リン含有率9質量%の芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤(大八化学(株)製のPX−200)
・リン含有率17質量%のリン酸エステル系難燃剤(ロンザジャパン社製のFR−500)
・リン含有率10質量%のフォスファゼン系難燃剤((株)伏見製薬所製のFPC−3033)
・臭素化ポリスチレン(アルベマール日本社製のSAYTEX HP−7010)
〈硬化触媒〉
・オクタン酸亜鉛(大日本インキ化学工業(株)製、亜鉛濃度18%)
・2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)(四国化成(株)製)
〈無機フィラー〉
・球状シリカ(SiO) SO25R (アドマテックス製)
[樹脂ワニスの調製]
ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液を90℃にまで加熱し、表1に記載の配合割合になるように、エポキシ化合物、及びシアネートエステル化合物を添加した後、30分間撹拌して完全に溶解させた。そして、さらに硬化触媒、難燃剤、及び無機フィラーを添加して、ボールミルで分散させることにより樹脂ワニスを得た。
次に得られた樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績(株)製の「WEA116E」)に含浸させた後、150℃で3〜5分間加熱乾燥することによりプリプレグを得た。
次に、得られた各プリプレグを6枚重ねて積層し、さらに、その両外層にそれぞれ銅箔(古河サーキットフォイル社製のF2−WS 18μm)を配し、温度220℃、圧力3MPaの条件で2時間加熱加圧することにより、厚み0.75mmの銅張積層板を得た。
得られたプリプレグ及び銅張積層板を用いて、下記評価を行った。
〈プリプレグの流動性評価〉
穴直径0.3mmの連通穴が2mmピッチ間隔で1000個形成された、縦150mm、横100mm、厚み0.8mmの寸法のコア材を用意した。そして、前記コア材の片面に、得られたプリプレグと銅箔とをその順に積層し、他の片面には銅箔のみを積層した。そして、前記積層体を220℃×2時間、圧力3MPaの条件で加熱プレスにより成形した。そして、1000個の穴のうち完充填された穴の個数を数え、その割合を求めた。
〈耐熱性〉
JIS C 6481 の規格に準じて、所定の大きさに切り出した銅張積層板を所定の温度に設定した恒温槽に1時間放置した後、取り出した。そして、処理された試験片を目視で観察してフクレが発生しなかったときの最高温度を求めた。
〈難燃性〉
所定の大きさに切り出した銅張積層板の難燃性を、UL 94の燃焼試験法に準じて燃焼試験を行い、判定した。
〈誘電特性〉
JIS C 6481 の規格に準じて、1MHzにおける誘電率及び誘電正接を求めた。
〈熱膨張係数(CTE)〉
JIS C 6481 の規格に準じて、Z軸方向における熱膨張係数を求めた。なお、測定条件は、昇温速度5℃/分、温度範囲は75〜125℃で測定した。
Figure 2013199650
表1から、本発明にかかる実施例1〜8、参考例1〜3のエポキシ樹脂組成物を用いて得られた銅張積層板は、何れも耐熱性が260℃以上であり、また、難燃性もV−0であった。また、再分配反応により得られたPPEを用いた実施例3と重合により得られたPPEを用いた実施例1とを比較すると、再分配反応によるPPEを用いた実施例3の方が耐熱性が高かった。一方、高分子量PPEを用いた比較例1のプリプレグは流動性が低く、また、耐熱性も低かった。また、臭素含有エポキシ化合物を用いた比較例2、及び臭素化ポリスチレンを用いた比較例5の銅張積層板も耐熱性が低かった。また、硬化触媒としてイミダゾールのみを用いた比較例4も耐熱性が低かった。

Claims (5)

  1. (A)数平均分子量が1000以下で、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する、ハロゲン原子を含有しないエポキシ化合物、(B)数平均分子量5000以下のポリフェニレンエーテル、(C)2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン、及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のシアネートエステル化合物、(D)有機金属塩、及び(E)リン系難燃剤としてのフォスファゼン系化合物を含有し
    記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の配合割合が、前記(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して、それぞれ20〜60質量部、20〜60質量部、20〜60質量部、及び0.005〜5質量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記(E)成分の配合割合が、樹脂成分全量中にリン原子濃度が1〜3質量%になるような割合である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ化合物がジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、及びビフェニル型エポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物である請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を繊維質基材に含浸させ、硬化させて得られることを特徴とするプリプレグ。
  5. 請求項に記載のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られることを特徴とする金属張積層板。
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