JP2012197361A - 樹脂組成物、樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を有し、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂と、硬化促進剤と、無機充填材と、分子内にリン酸基を有する分散剤とを含むことを特徴とする樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板の絶縁材料等に好適に用いられる樹脂組成物、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いて得られた金属張積層板、及び前記プリプレグを用いて製造されたプリント配線板に関する。
近年、各種電子機器は、情報処理量の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術が急速に進展している。各種電子機器において用いられるプリント配線板等の絶縁材料には、信号の伝送速度を高め、信号伝送時の損失を低減させるために、誘電率及び誘電正接が低いことが求められる。すなわち、高速通信を実現するためには、プリント配線板等の絶縁材料には、低誘電率及び低誘電正接が求められる。
ポリフェニレンエーテル(PPE)等のポリアリーレンエーテル共重合体(PAE)は、MHz帯からGHz帯という高周波数帯(高周波領域)においても誘電率や誘電正接等の誘電特性が優れているので、高周波数帯を利用する電子機器のプリント配線板等の絶縁材料に好ましく用いられる。
また、プリント配線板の絶縁材料等に用いられる樹脂組成物には、硬化物の耐熱性や難燃性を高め、また、加熱時の寸法安定性を高めること等を目的として、無機充填材を含有させることがある。そして、その無機充填材の含有量が多いほど、硬化物の耐熱性や難燃性をより高めることができると考えられる。しかしながら、無機充填材の含有量が多すぎると、無機充填材の分散性が低下し、得られた樹脂組成物を硬化させた硬化物の成形性等が低下するといった傾向があった。
そこで、樹脂組成物中の無機充填材の分散性を高めるために、樹脂組成物に分散剤等を含有させることが考えられる。例えば、特許文献1には、誘電体粒子とマトリックス樹脂とを、湿潤剤の存在下で混合して得られる樹脂組成物が記載されている。
特開2003−138026号公報
特許文献1によれば、特定の官能基を持つ湿潤剤を存在させることにより、誘電体粒子の、マトリックス樹脂に対する分散性を向上させることができることが開示されている。そして、このようにして得られた樹脂組成物は、成形加工性に優れ、高誘電率、低誘電正接を示すことが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物は、その誘電特性を、マトリックス樹脂ではなく、誘電体粒子に依存しており、誘電体粒子では低誘電率を実現するようなものではないので、高周波数帯において誘電特性が充分ではない場合があった。また、誘電体粒子を多量に含有させることも考えられるが、その場合、特定の官能基を持つ湿潤剤を存在させたとしても、マトリックス樹脂の占める割合が減り、充分な成形性を保つことが困難になる傾向があった。
そこで、特許文献1で用いられている、ペロブスカイト構造を有するような誘電体粒子を用いるのではなく、一般的な無機充填材であるシリカ粒子等を用い、さらに、樹脂として、低誘電率及び低誘電正接を実現できるポリアリーレンエーテル共重合体を用いることを検討した。しかしながら、一般的なポリアリーレンエーテル共重合体を単に用いた場合、特定の官能基を持つ湿潤剤を存在させたとしても、低誘電率及び低誘電正接のプリント配線板等の絶縁材料を得ることが困難であった。すなわち、高周波数帯(高周波領域)における誘電特性の優れた絶縁材料を得ることが困難であった。
このことは、以下のことによると考えられる。
一般的なポリアリーレンエーテル共重合体は、比較的高分子量であり、軟化点が高いため、粘度が高く、流動性が低い傾向がある。そして、このようなポリアリーレンエーテル共重合体を用いて、多層プリント配線板等を製造するために使用されるプリプレグを形成し、形成されたプリプレグを用いてプリント配線板を製造すると、製造時、例えば、多層成形時にボイドが発生する等の成形不良が発生し、信頼性の高いプリント配線板が得られにくいという成形性の問題が生じるおそれがあった。
そこで、このような問題の発生を抑制するために、本発明者等は、比較的低分子量のポリアリーレンエーテル共重合体を用いることを検討した。具体的には、例えば、高分子量のポリフェニレンエーテルを溶媒中でフェノール種とラジカル開始剤との存在下で再分配反応させて、分子切断を起こし、そうすることによって、低分子量化されたポリフェニレンエーテルを用いることを検討した。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、このような比較的低分子量のポリアリーレンエーテル共重合体を用いた場合、硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性等が低下するという傾向があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、ポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を有し、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。また、前記樹脂組成物を用いたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記プリプレグを用いて製造されたプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤(C)と、無機充填材(D)と、分子内にリン酸基を有する分散剤(E)とを含むことを特徴とするものである。
また、前記樹脂組成物において、前記分散剤(E)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなることが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂(B)が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノール型エポキシ樹脂、及び軟化点が50℃以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、前記硬化促進剤(C)が、イミダゾール系化合物、又はイミダゾール系化合物及び金属石鹸であることが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂の少なくともいずれか一方をさらに含有することが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、難燃剤をさらに含むことが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、消泡剤をさらに含むことが好ましい。
また、前記樹脂組成物において、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の数平均分子量が、500〜3000であることが好ましい。
また、本発明の他の一態様に係る樹脂ワニスは、前記樹脂組成物と溶媒とを含有するものである。
また、前記樹脂ワニスにおいて、前記溶媒が、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の他の一態様に係るプリプレグは、前記樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたものである。
また、本発明の他の一態様に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られたものである。
また、本発明の他の一態様に係るプリント配線板は、前記プリプレグを用いて製造されたものである。
本発明によれば、ポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を有し、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた樹脂組成物を提供することができる。また、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いて得られた金属張積層板、及び前記プリプレグを用いて製造されたプリント配線板が提供される。
本発明者等は、まず、上述したような、比較的低分子量のポリアリーレンエーテル共重合体を用いた場合、硬化物の耐熱性が低くなるという傾向があることに着目した。硬化物の耐熱性を高めるために、ポリアリーレンエーテル共重合体以外の樹脂を用いることも考えられるが、優れた誘電特性を有するポリアリーレンエーテル共重合体を用いることとした。その際、比較的低分子量のポリアリーレンエーテル共重合体にエポキシ樹脂を併用することを検討した。そうすることによって、ポリアリーレンエーテル共重合体とエポキシ樹脂との硬化反応を進行させて、3次元的な架橋を形成させることにより、得られた硬化物の耐熱性を向上させることができると推察した。
その際、本発明者らの検討によれば、用いるエポキシ樹脂の種類によっては、硬化物の耐熱性を充分に高めることができない場合があった。このことは、エポキシ樹脂の種類によっては、ポリアリーレンエーテル共重合体との相溶性が低く、ポリアリーレンエーテル共重合体とエポキシ樹脂との硬化反応による3次元的な架橋形成が好適に進行しないことによると推察した。
ここで、エポキシ樹脂として、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上であるような、トルエンに対して溶解性の比較的高いエポキシ樹脂を用いることを検討した。そうすることによって、硬化物の耐熱性を充分に高めることができた。このことは、ポリアリーレンエーテル共重合体が、トルエンに対して溶解性が比較的高く、このようなトルエンに対して溶解性の比較的高いエポキシ樹脂との相溶性が高いことによると考えられる。よって、ポリアリーレンエーテル共重合体とエポキシ樹脂との硬化反応による3次元的な架橋形成が好適に進行させることができることによると考えられる。
次に、硬化物の耐熱性や難燃性等を高めるために、樹脂組成物に無機充填材を含有させることを検討した。その際、その無機充填材の含有量が多いほど、硬化物の耐熱性や難燃性等をより高めることができると考えられる。しかしながら、無機充填材の含有量が多すぎると、無機充填材の分散性が低下し、樹脂組成物の硬化物の成形性等が低下する等といった不具合が発生するおそれがあった。
そこで、無機充填材の、樹脂中での分散性を高めるために、分散剤を含有させることを検討した。その際、本発明者等は、分散性を高めるための分散剤が、その種類によっては、樹脂組成物の硬化物の成形性を充分に高めることができないことを見出した。このことは、分散剤が、ポリアリーレンエーテル共重合体とエポキシ樹脂とを含む樹脂中における、無機充填材の分散性を充分に高めることができないことによると考えられる。そして、分散剤は、無機充填材と、ポリアリーレンエーテル共重合体及びエポキシ樹脂の樹脂成分との両方との親和性が高いことが求められる。これらのことから、分散剤の種類によっては、無機充填材及び樹脂成分の少なくともいずれかとの親和性があまり高くないことによると考えられる。
以上のことから、本発明者等は、かかる知見に基づき、種々検討した結果、本発明に想到するに至った。
本発明の実施形態に係る樹脂組成物は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤(C)と、無機充填材(D)と、分子内にリン酸基を有する分散剤(E)とを含むものである。
このような樹脂組成物は、ポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を有し、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた樹脂組成物である。
このことは、以下のことによると考えられる。
まず、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、分子量が比較的低く、分子末端のフェノール性水酸基の1分子当たりの個数が比較的多いので、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂(B)と3次元的な架橋を形成しやすいと考えられる。
また、このエポキシ樹脂(B)は、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上であるので、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が比較的高いと考えられる。よって、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と均一に反応しやくすく、3次元的な架橋を均一に形成しやすいと考えられる。
よって、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤(C)を用いて硬化させることによって、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とによる3次元的な架橋を好適に形成させることができると考えられる。
また、分子内にリン酸基を有する分散剤(E)は、硬化物の耐熱性を高めるために含有される無機充填材(D)の、耐熱性を向上させる効果を好適に発揮させることができると考えられる。このことは、この分散剤(E)が、無機充填材(D)と、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及びエポキシ樹脂(B)の樹脂成分との両方との親和性が高く、無機充填材(D)の、樹脂成分中での分散性を好適に向上させることができることによると考えられる。よって、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及びエポキシ樹脂(B)の樹脂成分中であっても、無機充填材(D)の耐熱性を向上させる効果を好適に発揮させることができると考えられる。また、この分散剤(E)は、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とによる3次元的な架橋の形成の阻害を充分に抑制できることにもよると考えられる。
さらに、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gと、溶液での粘度が比較的低く、エポキシ樹脂(B)との相溶性が高いので、得られた樹脂組成物に溶媒を加えて、樹脂ワニスにしたときの粘度が低くなると考えられる。このことから、得られた樹脂組成物は、硬化物の成形性に優れたものであると考えられる。
以上のことから、ポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を有し、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた樹脂組成物になると考えられる。
なお、エポキシ樹脂(B)として、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であれば、トルエンに対する溶解度が上記範囲内であり、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との高い相溶性を示す。これに対して、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂であれば、トルエンに対する溶解度が上記範囲外であり、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が低い。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック型エポキシ樹脂との構造は、類似しているが、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が大きく異なる。このことから、エポキシ樹脂(B)として、どんなエポキシ樹脂であってもよいわけではなく、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上であるエポキシ樹脂を用いることが重要である。
以下、前記樹脂組成物の各成分について、詳細に説明する。
本実施形態で用いるポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体であれば、特に限定されない。
また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の固有粘度は、0.03〜0.12dl/gであればよいが、0.06〜0.095dl/gであることが好ましい。この固有粘度が低すぎると、分子量が低い傾向があり、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られにくい傾向がある。また、固有粘度が高すぎると、粘度が高く、充分な流動性が得られず、成形不良を抑制できない傾向がある。よって、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の固有粘度が上記範囲内であれば、優れた、硬化物の耐熱性及び成形性を実現できる。
なお、ここでの固有粘度は、使用するポリアリーレンエーテル共重合体(A)の製品の規格値からわかる。また、ここでの固有粘度は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度であり、より具体的には、例えば、0.18g/45mlの塩化メチレン溶液(液温25℃)を、粘度計で測定した値等である。この粘度計としては、例えば、Schott社製のAVS500 Visco System等が挙げられる。
また、本実施形態で用いるポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、分子末端のフェノール性水酸基の1分子当たりの平均個数(末端水酸基数)が1.5〜3個であればよいが、1.8〜2.4個であることが好ましい。この末端水酸基数が少なすぎると、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基との反応性が低下し、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られにくい傾向がある。また、末端水酸基数が多すぎると、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基との反応性が高くなりすぎ、例えば、樹脂組成物の保存性が低下したり、誘電率及び誘電正接が高くなる等の不具合が発生するおそれがある。
なお、ここでのポリアリーレンエーテル共重合体(A)の水酸基数は、使用する低分子量ポリフェニレンエーテルの製品の規格値からわかる。また、ここでの末端水酸基数としては、具体的には、例えば、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)1モル中に存在する全てのポリアリーレンエーテル共重合体(A)の1分子あたりの水酸基の平均値を表した数値等が挙げられる。
よって、本実施形態で用いるポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、分子量が比較的低く、末端水酸基数が比較的多いので、後述する、エポキシ樹脂(B)と3次元的な架橋を形成しやすいと考えられる。したがって、このようなポリアリーレンエーテル共重合体(A)を用いることによって、広い周波数領域において誘電特性が良好であるだけではなく、成形不良を抑制できる充分な流動性を有し、さらに硬化物の耐熱性が充分に高められると考えられる。
また、本実施形態で用いるポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、数平均分子量(Mn)が500〜3000であることが好ましく、650〜1500であることがより好ましい。また、分子量が低すぎると、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られない傾向がある。また、分子量が高すぎると、溶融粘度が高くなり、充分な流動性が得られず、成形不良を抑制できない傾向がある。よって、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の固有粘度が上記範囲内であれば、優れた、硬化物の耐熱性及び成形性を実現できる。
なお、ここでの数平均分子量は、具体的には、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
本実施形態で用いるポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、具体的には、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなるポリアリーレンエーテル共重合体やポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)等のポリフェニレンエーテルを主成分とするもの等が挙げられる。また、2官能フェノールとしては、例えば、テトラメチルビスフェノールA等が挙げられる。このようなポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、より具体的には、例えば、一般式(1)に示す構造を有するポリアリーレンエーテル共重合体等が挙げられる。
Figure 2012197361
式(1)中、s,tは、上述した固有粘度が0.03〜0.12dl/gの範囲内になるような重合度であればよい。具体的には、sとtとの合計値が、1〜30であることが好ましい。また、sが、0〜20であることが好ましく、tが、0〜20であることが好ましい。
本実施形態で用いるエポキシ樹脂(B)としては、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。このエポキシ樹脂(B)は、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上であるので、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が比較的高い。よって、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と均一に反応しやすく、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と3次元的な架橋が形成されやすいと考えられる。したがって、エポキシ樹脂(B)を用いることによって、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の有する、優れた誘電特性と流動性とを阻害することなく、硬化物の耐熱性が充分に高められると考えられる。
また、このエポキシ樹脂(B)としては、具体的には、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノール型エポキシ樹脂、軟化点が50℃以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ樹脂(B)としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノール型エポキシ樹脂、軟化点が50℃以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂が、硬化物の耐熱性の観点から好ましく、トリフェノール型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本実施形態に係るポリフェニレンエーテル樹脂組成物には、ハロゲン化エポキシ樹脂を含有しないことが好ましい。
また、本実施形態で用いるエポキシ樹脂(B)は、エポキシ基が1分子中に平均2個以上有することが好ましい。1分子中のエポキシ基が平均2個以上であれば、得られた樹脂組成物の硬化物の耐熱性が高まる点から好ましい。なお、ここでのエポキシ基数は、使用するエポキシ樹脂の製品の規格値からわかる。ここでのエポキシ基数としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂1モル中に存在する全てのエポキシ樹脂の1分子あたりのエポキシ基の平均値を表した数値等が挙げられる。
以上のことから、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)とを組み合わせて用いることによって、上記3次元的な架橋を好適に進行させることができると考えられる。さらに、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gと、溶液での粘度が比較的低く、エポキシ樹脂(B)との相溶性が高いので、得られた樹脂組成物に溶媒を加えて、樹脂ワニスにしたときの粘度が低くなると考えられる。よって、得られた樹脂組成物は、その硬化物の成形性に優れたものになると考えられる。
本実施形態で用いる硬化促進剤(C)は、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との硬化反応を促進することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機ホスフィン系化合物、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン系化合物、金属石鹸等が挙げられる。また、例示した金属石鹸は、脂肪酸金属塩を指し、直鎖状の脂肪酸金属塩であっても、環状の脂肪酸金属塩であってもよい。具体的には、例えば、炭素数が6〜10の、直鎖状の脂肪族金属塩及び環状の脂肪族金属塩等が挙げられる。より具体的には、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、及びオクチル酸等の直鎖状の脂肪酸や、ナフテン酸等の環状の脂肪酸と、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、銅及び亜鉛等の金属とからなる脂肪族金属塩等が挙げられる。これらの中でも、オクチル酸亜鉛が好ましく用いられる。前記硬化促進剤(C)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態で用いる硬化促進剤(C)としては、例示した硬化促進剤の中でも、イミダゾール系化合物を含有することが、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる点から好ましく、さらに、イミダゾール系化合物及び金属石鹸を含有することがより好ましい。このことは、イミダゾール系化合物及び金属石鹸が、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との硬化反応だけではなく、エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応も促進させることができるものであるので、エポキシ樹脂(B)を過剰に含有させた場合であっても、エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応によって、硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。
本実施形態で用いる無機充填材(D)は、樹脂組成物の硬化物の、耐熱性や難燃性を高めるために添加するもの等が挙げられ、特に限定されない。無機充填材を含有させることによって、耐熱性や難燃性等を高めることができる。また、ポリアリーレンエーテル共重合体を含む樹脂組成物は、一般的な絶縁基材用のエポキシ樹脂組成物等と比較すると、架橋密度が低く、硬化物の熱膨張係数、特に、ガラス転移温度を超えた温度での熱膨張係数α2が高くなる傾向がある。無機充填材を含有させることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性や難燃性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低いまま、硬化物の熱膨張係数、特に、ガラス転移温度を超えた温度での熱膨張係数α2の低減、及び硬化物の強靭化を図ることができる。無機充填材としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。また、無機充填材としては、そのまま用いてもよいが、エポキシシランタイプ、又はアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理されたものが、特に好ましい。このようなシランカップリング剤で表面処理された無機充填材が配合された樹脂組成物を用いて得られる金属張積層板は、吸湿時における耐熱性が高く、また、層間ピール強度も高くなる傾向がある。
本実施形態で用いる分散剤(E)は、分子内にリン酸基を有するものであれば、特に限定されない。例えば、分子内にリン酸基を有する共重合体、分子内にリン酸基を有するアンモニウム塩、分子内にリン酸基を有するポリマー等が挙げられる。この中でも、分子内にリン酸基を有する共重合体が好ましい。すなわち、分子内にリン酸基を有する共重合体を含有する分散剤が好ましい。また、例示した分散剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。分子内にリン酸基を有する共重合体を含有する分散剤とは、分子内にリン酸基を有する共重合体を含んでいれば、他の成分を含んでいてもよく、また、分子内にリン酸基を有する共重合体からなるものであってもよい。
また、分子内にリン酸基を有する共重合体を含有する分散剤としては、具体的には、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−W9010等が挙げられる。
ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量としては、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)、及び分散剤(E)の種類によっても異なり、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましい。このように、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が比較的多いと、熱硬化性樹脂でありながら、硬化物を強靭化でき、また、伸びやたわみが大きくなる。また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が少なすぎると、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の有する優れた誘電特性を維持することができない傾向にある。また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が多すぎると、硬化物の耐熱性が不充分になる傾向がある。すなわち、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が上記範囲内であることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の優れた誘電特性を発揮できる樹脂組成物が得られる。
また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)のフェノール性水酸基1個当たりの、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の当量比(エポキシ基当量/水酸基当量)が、1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。そうすることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基が、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)のフェノール性水酸基より多くても、エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応によって、硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。また、硬化促進剤(C)として、イミダゾール系化合物及び金属石鹸等を用いた場合は、特に硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。
また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)のフェノール性水酸基1個当たりの、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の当量比が低すぎると、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基が少なすぎて、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との硬化反応が充分に進行しない傾向がある。また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)のフェノール性水酸基1個当たりの、エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の当量比が高すぎると、樹脂組成物の硬化反応に占める、エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応の割合が高くなりすぎ、すなわち、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との硬化反応の割合が低くなりすぎ、硬化物の耐熱性を充分に高めることができない傾向がある。
また、硬化促進剤(C)の含有量としては、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)、及び分散剤(E)の種類によっても異なり、特に限定されない。具体的には、例えば、イミダゾール系化合物と金属石鹸とを併用する場合、イミダゾール系化合物の含有量が、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。また、金属石鹸の含有量が、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.5〜4質量部であることが好ましい。硬化促進剤(C)の含有量が少なすぎると、硬化促進効果を高めることができない傾向にある。また、硬化促進剤(C)の含有量が多すぎると、成形性に不具合を生じる傾向があり、また、硬化促進剤の含有量が多すぎて経済的に不利となる傾向がある。また、樹脂組成物のライフ性が低下する傾向がある。
また、無機充填材(D)の含有量としては、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)、及び分散剤(E)の種類によっても異なり、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、5〜200質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましく、30〜70質量部であることがさらに好ましい。無機充填材(D)の含有量が少なすぎると、無機充填材を含有させることによって発揮しうる効果、例えば、硬化物の耐熱性や難燃性等の向上効果を充分に発揮できない傾向がある。また、無機充填材(D)の含有量が多すぎると、それ以外の成分、例えば、樹脂成分の量が少なくなりすぎ、硬化物の成形性が低下する傾向がある。
また、分散剤(E)の含有量としては、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)、及び分散剤(E)の種類によっても異なり、特に限定されない。具体的には、例えば、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましく、0.5〜2質量部であることがさらに好ましい。分散剤(E)の含有量が少なすぎると、樹脂組成物の成形性が低下する傾向がある。このことは、分散剤(E)による、樹脂成分中での無機充填材(D)の分散性を高める効果が充分に発揮できないことによると考えられる。また、分散剤(E)の含有量が多すぎると、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との硬化反応が抑制され、硬化物の耐熱性を充分に高めることができなくなる傾向がある。よって、分散剤(E)の含有量を、上記範囲内にすることによって、硬化物の、成形性、硬化性、及び難燃性をより優れた樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物には、本発明の目的とする所望の特性を阻害しない範囲で、上記の組成である、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、無機充填材(D)、及び分散剤(E)以外の組成を含有してもよい。具体的には、例えば、以下のようなものを含有してもよい。
まず、本実施形態に係る樹脂組成物には、エポキシ樹脂(B)の硬化剤を含有してもよい。エポキシ樹脂(B)の硬化剤としては、例えば、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂等が好ましく用いられる。このような硬化剤を用いることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂は、エポキシ樹脂(B)の硬化剤として働き、また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が高いので、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)とエポキシ樹脂(B)との硬化反応を阻害することなく、エポキシ樹脂(B)の硬化反応を促進できることによると考えられる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物には、難燃剤を含有してもよい。そうすることによって、樹脂組成物の硬化物の難燃性をさらに高めることができる。難燃剤としては、特に限定されない。具体的には、例えば、ホスフィン酸塩系難燃剤やメラミン系難燃剤等が挙げられる。ホスフィン酸塩系難燃剤の具体例としては、例えば、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等が挙げられる。また、メラミン系難燃剤としては、リン酸メラミン、及びポリリン酸メラミン等が挙げられ、ポリリン酸メラミンが好ましく用いられる。難燃剤としては、例示した各難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物には、消泡剤を含有してもよい。そうすることによって、樹脂組成物の硬化物の成形性をさらに高めることができる。このことは、ボイド、例えば、多層成形時に発生しうるボイドの発生を抑制することができることによると考えられる。消泡剤としては、特に限定されない。具体的には、例えば、シリコーン系消泡剤、及びアクリル酸エステル系消泡剤等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、滑剤等の添加剤をさらに配合してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、プリプレグを製造する際には、プリプレグを形成するための基材(繊維質基材)に含浸する目的でワニス状に調製して用いられることが多い。すなわち、本実施形態に係る樹脂組成物は、通常、ワニス状に調製されたもの(樹脂ワニス)であることが多い。このような樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
まず、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及びエポキシ樹脂(B)等の、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられ、有機溶媒に溶解しない成分、例えば、無機充填材等を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及びエポキシ樹脂(B)等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン等が挙げられる。
得られた樹脂ワニスを用いてプリプレグを製造する方法としては、例えば、得られた樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
プリプレグを製造する際に用いられる繊維質基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、繊維質基材の厚みとしては、例えば、0.04〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
樹脂ワニスの繊維質基材への含浸は、浸漬及び塗布等によって行われる。この含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び樹脂量に調整することも可能である。
樹脂ワニスが含浸された繊維質基材は、所望の加熱条件、例えば、80〜170℃で1〜10分間加熱されることにより半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
このようにして得られたプリプレグを用いて金属張積層板を作製する方法としては、プリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製することができるものである。加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグの樹脂組成物の種類等により適宜設定することができるが、例えば、温度を170〜210℃、圧力を3.5〜4.0Pa、時間を60〜150分間とすることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を有し、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた樹脂組成物である。このため、前記樹脂組成物を用いて得られたプリプレグを用いた金属張積層板は、誘電特性、耐熱性、及び難燃性が優れたプリント配線板を、成形不良の発生が抑制しつつ製造できる、信頼性の高いものである。
そして、作製された積層体の表面の金属箔をエッチング加工等して回路形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターンを設けたプリント配線板を得ることができるものである。このように得られるプリント配線板は、誘電特性、耐熱性、及び難燃性が優れ、さらに、成形不良の発生が抑制されたものである。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜20、比較例1〜8>
[樹脂組成物の調製]
本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。ここで、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度を、固有粘度(IV)を示す。また、トルエンに対する、25℃における溶解度を、トルエン溶解度と示す。また、ポリアリーレンエーテル共重合体の、分子末端のフェノール性水酸基の1分子当たりの平均個数を、末端水酸基数と示す。
(ポリアリーレンエーテル共重合体:PAE)
PAE 1:ポリアリーレンエーテル共重合体(SABICイノベーティブプラスチックス社製のMX−90、固有粘度(IV)0.085dl/g、末端水酸基数1.9個、数平均分子量Mn1050)
PAE 2:国際公開第2007/067669号に記載の方法で合成したポリアリーレンエーテル共重合体(固有粘度(IV)0.06dl/g、末端水酸基数1.8個、数平均分子量Mn800)
PAE 3:国際公開第2007/067669号に記載の方法で合成したポリアリーレンエーテル共重合体(固有粘度(IV)0.09dl/g、末端水酸基数2.8個、数平均分子量Mn1150)
PAE 4:ポリアリーレンエーテル共重合体(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA−120、固有粘度(IV)0.13dl/g、末端水酸基数0.9個、数平均分子量Mn3200)
PAE 5:国際公開第2007/067669号に記載の方法で合成したポリアリーレンエーテル共重合体(固有粘度(IV)0.15dl/g、末端水酸基数2.5個、数平均分子量Mn5000)
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN680、トルエン溶解度80質量%)
エポキシ樹脂2:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN740、トルエン溶解度70質量%、軟化点40℃)
エポキシ樹脂3:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN865、トルエン溶解度80質量%)
エポキシ樹脂4:フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のNC−2000L、トルエン溶解度60質量%)
エポキシ樹脂5:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン830S、トルエン溶解度100質量%)
エポキシ樹脂6:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン850S、トルエン溶解度100質量%)
エポキシ樹脂7:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のHP−7200、トルエン溶解度80質量%)
エポキシ樹脂8:トリフェノール型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のEPPN502H、トルエン溶解度60質量%)
エポキシ樹脂9:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN740、トルエン溶解度8質量%、軟化点75℃)
(硬化促進剤)
イミダゾール系化合物:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製の2E4MZ)
金属石鹸:オクタン酸亜鉛(DIC株式会社製)
(無機充填材)
無機充填材:シリカ粒子(株式会社アドマテックス製のSC2500−SEJ)
(分散剤)
分散剤1:分子内にリン酸基を有する分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−W9010、分子内にリン酸基を有する共重合体を含有する分散剤)
分散剤2:ポリエステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−W985)
分散剤3:アルキルアンモニウム塩系分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−W969)
分散剤4:分子内にカルボン酸基を有する分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−W940、分子内にカルボン酸基を有するポリマーを含有する分散剤)
(その他の成分)
芳香族アミン化合物:ジエチルトルエンジアミン(アルベマール日本株式会社製のエタキュア100、トルエン溶解度100質量%)
フェノール樹脂1:フェノール樹脂(新日本石油株式会社製のDPP−6115S、トルエン溶解度25質量%)
フェノール樹脂2:フェノール樹脂(DIC株式会社製のTD−2090)
消泡剤:ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−392
難燃剤:環状フェノキシホスファゼン化合物(大塚化学株式会社製のSPB−100)
[調製方法]
まず、ポリアリーレンエーテル共重合体と、表1〜4に示す量のトルエンとを混合させて、その混合液を80℃になるまで加熱することによって、ポリアリーレンエーテル共重合体をトルエンに溶解させて、ポリアリーレンエーテル共重合体のトルエン溶液を得た。その後、そのポリアリーレンエーテル共重合体のトルエン溶液に、表1〜4に記載の配合割合になるように、エポキシ樹脂を添加した後、80℃のままで30分間攪拌することによって、完全に溶解させた。そして、さらに、ポリアリーレンエーテル共重合体及びエポキシ樹脂以外の成分を添加して、ボールミルで分散させることによって、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が得られた。
次に、得られた樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製の♯2116タイプ、WEA116E、Eガラス)に含浸させた後、140℃で約3〜8分間加熱乾燥することによりプリプレグを得た。その際、ポリアリーレンエーテル共重合体、エポキシ樹脂及び硬化剤等の樹脂成分の含有量(レジンコンテント)が約50質量%となるように調整した。
そして、得られた各プリプレグを所定枚数重ねて積層し、温度200℃、2時間、圧力3MPaの条件で加熱加圧することにより、所定の厚みの評価基板を得た。
具体的には、例えば、得られた各プリプレグを4枚重ねて積層することによって、厚み0.5mmの評価基板を得た。また、得られた各プリプレグを12枚重ねて積層することによって、厚み1.5mmの評価基板を得た。また、得られた各プリプレグを20枚重ねて積層することによって、厚み2.5mmの評価基板を得た。
上記のように調製された各プリプレグ及び評価基板を、以下に示す方法により評価を行った。
[誘電特性(誘電率及び誘電正接)]
1GHzにおける評価基板(基板厚み0.5mm)の誘電率及び誘電正接を、IPC−TM650−2.5.5.9に準拠の方法で測定した。具体的には、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製のRFインピーダンスアナライザ HP4291B)を用い、1GHzにおける評価基板の誘電率及び誘電正接を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ「DMS100」を用いて、プリプレグのTgを測定した。このとき、曲げモジュールで周波数を10Hzとして動的粘弾性測定(DMA)を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から280℃まで昇温した際のtanδが極大を示す温度をTgとした。
[半田耐熱性]
半田耐熱性は、JIS C 6481に準拠の方法で測定した。具体的には、評価基板(基板厚み0.5mm)を、121℃、2気圧(0.2MPa)、2時間のプレッシャークッカーテスト(PCT)を行い、各サンプルで行い、サンプル数5個で、260℃の半田槽中に20秒間浸漬し、ミーズリングや膨れ等の発生の有無を目視で観察した。ミーズリングや膨れ等の発生が確認できなければ、「○」と評価し、発生が確認できれば、「×」と評価した。また、別途、260℃の半田槽の代わりに、288℃の半田槽を用いて、同様の評価を行った。
[難燃性]
評価基板(基板厚み0.5mm)から、長さ125mm、幅12.5mmのテストピースを切り出した。そして、このテストピースについてUnderwriters Laboratoriesの”Test for Flammability of Plastic Materials−UL 94”に準じて、10回燃焼試験を行い、その際の総燃焼時間(秒間)を測定し、その結果から評価した。なお、総燃焼時間が50秒間以下であれば、難燃性は、「V−0」と判定される。
[樹脂ワニスの安定性]
得られた樹脂ワニスを、室温まで冷却後1日放置した後、樹脂ワニスの透明性を目視で
確認した。透明であると確認できれば、「○」と評価し、濁りが確認できれば、「×」と評価した。
[プリプレグの外観]
得られたプリプレグを目視で評価した。特に問題を確認できない状態、すなわち、いわゆる粉落ちの発生をほとんど確認できず、均一で平滑性の高い状態であれば、「○」と評価した。また、粉落ちの発生を少し確認され、発泡による平滑性が多少低下している状態であれば、「△」と評価した。また、粉落ちの発生が確認され、発泡による平滑性の低下が顕著、すなわち、表面の凹凸が顕著であれば、「×」と評価した。
[積層板の外観]
得られた評価基板を目視で評価した。
その際、ボイド、例えば、樹脂ワニスの流動性不足によるボイド等が確認されなければ、「○」と評価した。また、10cm×10cmの領域あたりに確認されるボイドの数が3個未満であれば、「△」と評価し、その数が3個以上であれば、「×」と評価した。
上記各評価における結果は、表1〜4に示す。
Figure 2012197361
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Figure 2012197361
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表1〜4からわかるように、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤(C)と、無機充填材(D)と、分子内にリン酸基を有する分散剤(E)とを含む樹脂組成物を用いた場合(実施例1〜20)は、他の樹脂組成物を用いた場合(比較例1〜8)と比較して、誘電特性、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた硬化物が得られる。
また、エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノール型エポキシ樹脂、軟化点が50℃以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いた場合(実施例1、実施例4、実施例5、実施例10)は、他のエポキシ樹脂を用いた場合(実施例6〜9)を用いた場合と比較して、耐熱性のより高い硬化物が得られることがわかった。
また、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物とフェノール樹脂とを併用した場合(実施例13)は、それらを単独で用いた場合(実施例1や実施例11)と比較して、耐熱性が高いことがわかった。このことから、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物とフェノール樹脂とを併用することが好ましいことがわかる。
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対する、前記分散剤(E)の含有量が、0.1〜5質量部である場合(実施例1、及び実施例15〜18)は、表4からわかるように、誘電特性、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた硬化物が得られる。また、前記含有量が0.1〜3質量部である場合(実施例1、及び実施例15〜17)は、前記含有量が5質量部である場合(実施例15)より耐熱性が高いことがわかった。さらに、前記含有量が0.5質量部以下である場合(実施例15及び実施例16)は、プリプレグや積層板の外観が多少、実施例1より劣っていることがわかった。そして、前記含有量が0.5質量部である実施例15から、プリプレグや積層板の外観が徐々に悪くなりはじめることがわかった。これらのことから、前記含有量が0.5質量部以上であることがさらに好ましいことがわかる。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、硬化促進剤(C)と、無機充填材(D)と、分子内にリン酸基を有する分散剤(E)とを含むことを特徴とするものである。
このような構成によれば、ポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を有し、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
また、前記樹脂組成物において、前記分散剤(E)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性により優れた樹脂組成物を提供することができる。
また、前記樹脂組成物において、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなることが好ましい。
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、2,6−ジメチルフェノールからなるポリアリーレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を維持したまま、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との3次元的な架橋を好適に形成できることによると考えられる。
また、前記樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂(B)が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノール型エポキシ樹脂、及び軟化点が50℃以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度がより低い樹脂組成物が得られる。
このことは、上記各エポキシ樹脂が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が高いことによると考えられる。具体的には、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂は、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が低い場合があるが、軟化点が50℃以下のものであれば、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が高い。よって、このようなエポキシ樹脂を用いることによって得られた樹脂組成物は、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度が充分に低くなると考えられる。すなわち、プリント配線板等の電子部品を製造するために好適なプリプレグが得られる。
また、前記樹脂組成物において、前記硬化促進剤(C)が、イミダゾール系化合物、又はイミダゾール系化合物及び金属石鹸であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。
このことは、イミダゾール系化合物及び脂肪酸金属塩が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応だけではなく、前記エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応も促進させることができるものであるので、前記エポキシ樹脂(B)を過剰に含有させた場合であっても、前記エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応によって、硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。
また、前記樹脂組成物において、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、さらに、ハロゲン及び鉛を含有させずに、難燃性の高い樹脂組成物が得られる。
このことは、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)を比較的多く含有させることによって、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の有する優れた誘電特性を維持したまま、上記3次元的な架橋を好適に形成できることによると考えられる。
また、前記樹脂組成物において、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂の少なくともいずれか一方をさらに含有することが好ましい。
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。
このことは、前記芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂(B)の硬化剤として働き、また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が高いので、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応を阻害することなく、前記エポキシ樹脂(B)の硬化反応を促進できることによると考えられる。
また、前記樹脂組成物において、難燃剤をさらに含むことが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の難燃性により優れた樹脂組成物が得られる。
また、前記樹脂組成物において、消泡剤をさらに含むことが好ましい。
このような構成によれば、硬化物の成形性により優れた樹脂組成物が得られる。
また、前記樹脂組成物において、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の数平均分子量が、500〜3000であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の分子量が、上記のように比較的低いと、前記エポキシ樹脂(B)と3次元的な架橋を形成しやすいことによると考えられる。
また、本発明の他の一態様に係る樹脂ワニスは、前記樹脂組成物と溶媒とを含有するものである。
このような構成によれば、誘電特性、硬化物の耐熱性、及び難燃性に優れ、粘度が低く、流動性の高い樹脂ワニスが得られる。そして、この樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグは、プリント配線板等の電子部品を、成形不良の発生を抑制しつつ製造できる。
また、前記樹脂ワニスにおいて、前記溶媒が、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このような構成によれば、プリント配線板等の電子部品を、成形不良の発生をより抑制しつつ製造できる樹脂ワニスが得られる。このことは、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの沸点が比較的高く、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及び前記エポキシ樹脂(B)を溶解させることができるので、得られたプリプレグが適切な乾燥速度を有することによると考えられる。
また、本発明の他の一態様に係るプリプレグは、前記樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたものである。
このような構成によれば、誘電特性、硬化物の、成形性、耐熱性、及び難燃性が優れた金属張積層板を製造するのに好適に用いられるものであるので、金属張積層板やプリント配線板を製造する際の成形不良の発生を抑制できる信頼性に優れたものが得られる。
また、本発明の他の一態様に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られたものである。
このような構成によれば、誘電特性、硬化物の耐熱性、及び難燃性が優れたプリント配線板を、成形不良の発生を抑制しつつ製造できる、信頼性に優れた金属張積層板が得られる。
また、本発明の他の一態様に係るプリント配線板は、前記プリプレグを用いて製造されたものである。
このような構成によれば、誘電特性、硬化物の耐熱性、及び難燃性が優れ、さらに、成形不良の発生を抑制されたものが得られる。

Claims (15)

  1. 25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、
    トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、
    硬化促進剤(C)と、
    無機充填材(D)と、
    分子内にリン酸基を有する分散剤(E)とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記分散剤(E)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.1〜5質量部である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなる請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂(B)が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノール型エポキシ樹脂、及び軟化点が50℃以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記硬化促進剤(C)が、イミダゾール系化合物、又はイミダゾール系化合物及び金属石鹸である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、40〜80質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂の少なくともいずれか一方をさらに含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 難燃剤をさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 消泡剤をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の数平均分子量が、500〜3000である請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物と溶媒とを含有する樹脂ワニス。
  12. 前記溶媒が、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の樹脂ワニス。
  13. 請求項11又は請求項12に記載の樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたことを特徴とするプリプレグ。
  14. 請求項13に記載のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られたことを特徴とする金属張積層板。
  15. 請求項13に記載のプリプレグを用いて製造されたことを特徴とするプリント配線板。
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