JP2013199610A - 導電性接着剤組成物及びそれを用いた電子素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銀粉末(A)、樹脂成分(B)、下記の一般式(1)で示されるビスアルケニル置換ナジイミド(C)及び硬化剤(D)を必須成分とする、低抵抗で被着面との密着性に優れ、かつ保存安定性にも優れた導電性接着剤であって、樹脂成分(B)は、フェノール樹脂化合物であり、銀粉末(A)は、タップ密度が3〜6g/cm3、かつその含有量が全量に対して60〜95重量%であることを特徴とする導電性接着剤組成物などにより提供。
【選択図】なし
Description
本発明に係る導電性接着剤組成物は、銀粉末(A)、樹脂成分(B)、前記の一般式(1)で示されるビスアルケニル置換ナジイミド(C)及び硬化剤(D)を必須成分とする低抵抗で被着面との密着性に優れ、かつ保存安定性にも優れた導電性接着剤であって、樹脂成分(B)は、フェノール樹脂化合物であり、銀粉末(A)は、タップ密度が3〜6g/cm3、かつその含有量が全量に対して60〜95重量%であることを特徴とする。
本発明において銀粉末は、導電性接着剤組成物の導電性成分である。銀粉末は、タップ密度によって特性が異なることから、本発明においては、低抵抗で被着面との密着性を高めるために、タップ密度3〜6g/cm3の銀粉末を使用する必要がある。なお、上記を満たすのであれば、銀粉末を2種類以上いれても差し支えない。
本発明において銀粉末の粒径は、特に制限されるわけではないが、フレーク状のものであっても0.1〜30μmと幅広いとより分散性が優れたものとなる。
本発明においては、樹脂成分としてフェノール樹脂化合物を使用する。フェノール樹脂化合物は、その構造や製法、軟化点などによって制限されるものではないが、軟化点が50℃以上のノボラックフェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂が使用できる。
ビスアルケニル置換ナジイミドは、下記の一般式(1)で示される耐熱性成分である。
例えば、N、N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド)、N、N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト5−エン−2、3−ジカルボキシイミド)、N、N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド)、N、N’−(p−フェニレン)・エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド)、N、N’−(o−フェニレン)・メチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド)、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N、N’−(1−メチル−2、4−フェニレン)−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド)等がある。このようなビスアルケニル置換ナジイミドは単独でも、複数種を混合して用いてもよい。
また、硬化剤としては、60〜300℃に加熱すると、フェノール樹脂化合物と速やかに反応し、かつ室温で長期間の貯蔵安定性を満足できるものであれば特に問題なく使用できる。一般的にはテトラエチレンテトラミンが使用される。また、本発明の目的を損なわない範囲で、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール系の促進剤を適宜添加しても構わない。硬化剤は、全量に対して0.01〜5重量%配合することが好ましく、0.1〜2重量%配合することがより好ましい。
本発明では、フェノール樹脂化合物及びビスアルケニル置換ナジイミドを溶剤に溶解させて使用する。溶剤としては、接着剤が硬化する際、溶剤成分が揮発・蒸発し、又は分解して飛散してしまう有機化合物が使用できる。沸点が200℃以下の有機化合物が好ましく、2−n−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ブチルセロソルブ等が挙げられる。これらは単独でも、複数種を混合して使用してもよい。
本発明の導電性接着剤組成物は、固体電解コンデンサなどの電子素子(チップ部品)の内部電極や端面電極として塗布した後、加熱・硬化させる。電子素子としては、固体電解コンデンサのほか、チップ抵抗器や積層セラミックスコンデンサなどを挙げることができる。
近年、情報通信機器やパーソナルコンピュータのCPUの高周波化に伴い、固体電解コンデンサには、低い等価直列抵抗(ESR)が要求されているが、銀層を形成するために用いる銀ペーストは、銀粉と結着剤である樹脂成分と硬化剤や溶剤の混合物であるため、硬化して形成される銀層は、銀粉と結着剤の混合層となり、銀単独よりもかなり抵抗が大きくなり、ESR増加の要因になっていた。特に、銀層表面の結着剤は、露出する銀粉の表面積を減少させ、導電性接着剤との界面抵抗値が増大するため、ESR増加の要因になっていた。
しかし、本発明では、前記のとおり、樹脂成分としてフェノール樹脂化合物を用い、銀粉末として、タップ密度が3〜6g/cm3、かつその含有量が全量に対して60〜95重量%としたため、銀層表面の結着剤が露出する銀粉の表面積を減少させないので、ESRを増加させることがない。
なお、実施例及び、比較例の各試料は混練後、下記に示す評価を行なった。
アルミナ基板上に幅0.6mm、長さ60mmの長方形状に試料(導電性接着剤)を印刷し、200℃のオーブン中に60分間放置し、硬化した後、室温まで冷却し、導電性接着剤上の両端で抵抗値を測定した。続いて、印刷し硬化した熱導電性接着剤の膜厚を測定し、抵抗値と膜厚から体積抵抗率を求めた。
プラスチック基板上に試料(導電性接着剤)を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、200℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、この基板に対し水平方向からシリコンチップに力を加え、該シリコンチップが剥がれた時の力を接着強度として測定した。なお、プラスチック基板として、カーボン粉とポリエステル樹脂と溶剤からなるカーボン樹脂ペーストを150℃で30分加熱して溶剤を除去したもの(カーボン硬化物)を用いた。
銅基板上に試料(導電性接着剤)を滴下し、1.5mm角のシリコンチップを載せ、200℃のオーブン中に60分間放置して硬化させた。室温まで冷却した後、260℃に加熱されたホットプレート上に、この銅基板を20秒間放置し、その後、過熱したまま銅基板に対し、水平方向からシリコンチップに力を加え、このシリコンチップが剥がれたときの力を熱間強度として測定した。
試料(導電性接着剤)を用いて、400メッシュのスクリーンにて幅100μm、長さ20mmの直線を10本印刷し、印刷面に欠け、かすれ、ダレ等があるものは不可(×)、それらが確認されない場合は良(○)とした。
上記の4項目において、体積抵抗値は200μΩ・cm以下、接着強度は18N以上、熱間強度は8N以上、印刷性については良(○)の条件を全て満たしたもののみ良(○)とし、1つでも条件に満たさないものがある場合は不可(×)とした。
また、溶剤Aとしてエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(関東化学株式会社:2−n−ブトキシエタノール)を使用し、溶剤Bとしてフェニルグリシジルエーテル(阪本薬品工業株式会社:PGE)を使用した。
金属粉末成分として、タップ密度が3.8g/mlのフレーク状銀粉末C、樹脂成分としてフェノール樹脂化合物A:ノボラックフェノール樹脂化合物(明和化成株式会社製:MEHC−7800H)、硬化剤成分として、ポリイミド樹脂化合物A:N、N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3ジカルボキシイミド)(丸善石油化学株式会社:BANI−M)を用意し、溶剤成分のエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(関東化学株式会社:2−n−ブトキシエタノール)と混合して、接着剤組成物を調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性接着剤を得た。
この接着剤を用いて、アルミナ基板に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、銅基板に滴下し、硬化させてから、接着強度、熱間強度を測定した。また、本発明の導電性接着剤をスクリーンにより基板へ印刷し、塗布性を評価した。この結果は表1に併記した。
表1に記載したように金属粉末成分、樹脂成分、硬化剤成分、及び溶剤成分の配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、接着剤組成物を調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性接着剤を得た。その後、この接着剤を用いて、アルミナ基板に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、銅基板に滴下し、硬化させてから、接着強度、熱間強度を測定した。また、本発明の導電性接着剤をスクリーンにより基板へ印刷し、塗布性を評価した。この結果は表1に併記した。
表1に記載したように金属粉末成分をタップ密度が4.1g/mlの球状銀粉A、又はタップ密度が2g/mlのフレーク状銀粉末Bに変えるか、樹脂成分をフェノール樹脂化合物B:レゾールフェノール樹脂化合物(住友ベークライト株式会社:PR−50607B)に変えた以外は実施例1と同様にして、接着剤組成物を調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性接着剤を得た。その後、この接着剤を用いて、アルミナ基板に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、銅基板に滴下し、硬化させてから、接着強度、熱間強度を測定した。また、本発明の導電性接着剤をスクリーンにより基板へ印刷し、塗布性を評価した。この結果は表1に併記した。
表2に記載したように金属粉末成分と樹脂成分のフェノール樹脂化合物Aの配合量を変えるか、さらにポリイミド樹脂化合物Aの配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、接着剤組成物を調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性接着剤を得た。その後、この接着剤を用いて、アルミナ基板に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、銅基板に滴下し、硬化させてから、接着強度、熱間強度を測定した。また、本発明の導電性接着剤をスクリーンにより基板へ印刷し、塗布性を評価した。この結果は表2に併記した。
表2に記載したように、ポリイミド樹脂化合物Aの代わりにポリイミド樹脂化合物B:4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイ・アイ化成株式会社:BMI)を用いたか、フェノール樹脂化合物Aの代わりにエポキシ樹脂:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(三菱化学株式会社:jER828)を使用した以外は実施例1と同様にして、接着剤組成物を調整し、3本ロール型混練機を使用して混練し、本発明の導電性接着剤を得た。その後、この接着剤を用いて、アルミナ基板に印刷し、上記の条件で体積抵抗率を測定した。また、銅基板に滴下し、硬化させてから、接着強度、熱間強度を測定した。また、本発明の導電性接着剤をスクリーンにより基板へ印刷し、塗布性を評価した。この結果は表2に併記した。
上記結果を示す表1、2から明らかなように、実施例1〜5の導電性接着剤は、導電性、接着性、耐熱性、塗布性のいずれも優れていることが分かる。なお、実施例2は、やや熱間強度が弱いが、実用上問題の無いレベルである。実施例6,7は実施例1と比べると体積抵抗率がやや高めだが、実用上問題の無いレベルである。実施例8は実施例1と比べると接着強度がやや高めだが、実用上問題の無いレベルである。
比較例5はポリイミド樹脂化合物B(ビスマレイミド)を使用したため、熱間強度が弱く不可となった。比較例6は特許第3484957号を参考に評価したが、接着強度が弱く不可となった。
Claims (8)
- 銀粉末(A)、樹脂成分(B)、下記の一般式(1)で示されるビスアルケニル置換ナジイミド(C)及び硬化剤(D)を必須成分とする低抵抗で被着面との密着性に優れ、かつ保存安定性にも優れた導電性接着剤であって、
銀粉末(A)は、タップ密度が3〜6g/cm3、かつその含有量が全量に対して60〜95重量%であることを特徴とする導電性接着剤組成物。
- 上記樹脂成分(B)のフェノール樹脂化合物は、ノボラックフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
- 上記銀粉末(A)は、フレーク状の銀粉末であることを特徴とする請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
- 上記樹脂成分(B)の含有量は、全量に対して1〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
- 上記ビスアルケニル置換ナジイミド(C)の含有量は、全量に対して0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
- 上記硬化剤(D)の含有量は、フェノール樹脂化合物(B)に対して1〜20重量部であることを特徴とする請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
- 上記ビスアルケニル置換ナジイミド(C)の含有量は、フェノール樹脂化合物(B)に対して、重量比で、0.01〜5倍であることを特徴とする請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性接着剤組成物を用いてなる電子素子。
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