JP3547083B2 - 熱硬化性導電ペースト - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電子部品製造分野において用いられる熱硬化性導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板その他の電子部品を組立・製造する場合に、エポキシ樹脂を主体(ベース)とする有機バインダーを含む熱硬化性導電ペーストが利用されている。かかる導電ペーストを使用すれば、基板等に当該ペーストを塗布して所定の温度に加熱することによって、当該塗布物が熱硬化して成る導電体を比較的容易に形成することができる。
例えば、プリント配線基板や各種の電子部品に所望する形状の配線や電極を形成する用途に、銀粉その他の紛状導体とともにエポキシ樹脂ベースの有機バインダーを含む熱硬化性導電ペーストが一般に用いられている。特開平8−176408号公報や特開平11−92625号公報には、かかる用途に用いられるエポキシ樹脂ベースの熱硬化性導電ペーストが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記導電ペーストから形成された配線や電極等の導体(以下これらを総称して「導電成形体」という。)としては、できるだけ電気抵抗率(以下「抵抗率」と略称する。)が低いものが好ましいことは当然であり、従来のエポキシ樹脂ベースの導電性ペーストから形成される導電成形体よりも抵抗率の低い(即ちより良好な導電性を有する)導電成形体を容易に形成し得る導電性ペーストの開発が望まれている。かかる抵抗率を低くできれば、導電性ペーストを使用しつつ従来よりも高性能な電子部品を製造し得るからである。
そこで、本発明は、より低抵抗率の導電成形体を具備した電子部品を容易に製造するべく創出されたものであり、その目的とするところは、従来のエポキシ樹脂ベースの有機バインダーを含む導電ペーストと同様に使用し得るペーストであって、従来のものよりも抵抗率の低い導電成形体を形成することができるエポキシ樹脂ベースの熱硬化性導電ペーストを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明によって提供される熱硬化性導電ペーストは、粉状導体と有機バインダーとを主成分として含むとともに、その有機バインダーは主構成要素としてエポキシ樹脂、メラミン樹脂及びアクリル系樹脂を含んでいる。而して、当該有機バインダーを構成する樹脂全体に対するそれらの含有率は、エポキシ樹脂が40〜80wt%であり、メラミン樹脂とアクリル系樹脂の合計が20〜60wt%である。
【0005】
かかる構成の本発明の導電ペーストでは、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を有機バインダーの主体(ベース)としつつも、熱可塑性樹脂の一種であるアクリル系樹脂と熱硬化性樹脂の一種であるメラミン樹脂の両方を比較的過剰に混和させることを一つの特徴とする。このように有機バインダーの樹脂組成を調整した結果、本構成の導電ペーストによると、当該ペーストから形成された電極その他の導電成形体の熱硬化時の収縮率(以下「硬化収縮率」という。)を従来のエポキシ樹脂ベースの熱硬化性導電ペーストから形成されたものよりも高くすることができる。このことによって、取扱いや使用方法が簡便なエポキシ樹脂ベースのペーストでありながら、これまでより低抵抗性の導電成形体を形成することができる。すなわち、硬化収縮率が高ければそれだけ緻密な導電成形体が形成されることとなり、結果、電気伝導性の良否に影響する当該成形体中に含まれる粉状導体相互の接触部分(面積)を増大させることができる。
従って、本発明の導電ペーストによると、従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストと同様に簡便に取り扱えるとともに、高性能電子部品の製造に寄与し得る低抵抗率の導電成形体を容易に形成することができる。
【0006】
また、本発明の導電ペーストとして好ましいものの一つでは、上記有機バインダーを構成する樹脂全体に対するメラミン樹脂の含有率及びアクリル系樹脂の含有率がいずれも5wt%以上であることを特徴とする。
かかる樹脂組成の有機バインダーを含む本発明の導電ペーストによると、硬化収縮によって導電成形体中に含まれる粉状導体相互の接触部分(面積)をさらに増大させることができる。このため、より低抵抗性の導電成形体を形成することができる。
【0007】
また、本発明の導電ペーストとしてさらに好ましいものの一つは、上記粉状導体の含有率がペースト全体の70〜90wt%であり、上記有機バインダーの含有率がペースト全体の10〜30wt%であることを特徴とする。
かかる構成の本発明の導電ペーストでは、上記含有率となる配合比で、粉状導体と有機バインダーとを配合する。このため、本構成の導電ペーストによると、硬化収縮後において、より緻密な構造の導電成形体を得ることができ、延いては高性能電子部品の製造に好ましい低抵抗性の導電成形体を容易に形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電ペーストに関する好適な実施形態について説明する。
【0009】
先ず、本発明の導電ペーストの構成要素に関して説明する。本発明の導電ペーストは、粉状導体と有機バインダーとを主成分(必須構成要素)とする熱硬化性導電ペーストであるが、上記本発明の目的の達成を阻害しない限りにおいて、種々の副成分(例えばビヒクルとして機能する各種溶剤や硬化促進剤)を含ませることができる。
【0010】
先ず、粉状導体について説明する。本発明に係る粉状導体は、導電成形体の形成後に当該成形体中で通電経路を構成する物質であり、従来から電極その他の導電体を形成する用途の導電ペーストに加えられていたものなら特に制限なく使用することができる。例えば、銀、銅、金、ニッケル等の導電金属粉末やそれらの合金粉末が適当である。或いは、アルミナ等の粉状無機絶縁体やポリエチレン等の有機物の表面を導電性物質でコーティングしたもの、或いは、カーボンブラックやグラファイト等の炭素質導電体の粉状物も用いることができる。而して、これら粉状導体の1種又は2種以上を混合して用いるとよい。導電性の観点からみて、特に銀粉末が好適である。
また、使用する粉状導体の外形としては特に制限はないが、球状若しくは鱗片状のものが好ましい。球状の場合には、その平均粒径が0.5〜50μm程度のもの(特に好ましくは1.0〜10μm)が好適である。このような形状の導体であると、上記有機バインダーとの組み合わせにより、熱硬化時の収縮によって緻密構造の導電成形体を容易に得ることができる。上述のとおり、緻密構造の形成は、硬化収縮後の導電成形体中の粉状導体の相互接触面積を増大させるのに好ましい。
【0011】
次に、本発明を特徴付ける有機バインダーを構成する樹脂について説明する。本発明の有機バインダーは、エポキシ樹脂をベースとするとともに、アクリル系樹脂とメラミン樹脂を主要構成要素として所定の重量比で添加すればよく、その他の微量樹脂成分を含むことを制限するものではない。
本発明に係る有機バインダー(結合材)の主体を成すエポキシ樹脂としては、鎖状又は環状の脂肪族エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族グリシジルエーテル樹脂等が使用し得る。特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、(クレゾール)ノボラック型エポキシ樹脂に属する典型的な各種エポキシ樹脂を好適に使用することができる。粘性や硬化反応性等の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好適である。
本発明の導電ペーストの調製にあたっては、かかるエポキシ樹脂として常温で固体状態のもの若しくは液体状態のもののいずれも使用することができる。重量平均分子量が比較的低い(例えば1000〜3000)液体状態のエポキシ樹脂を使用することが、当該樹脂がビヒクル(即ち上述の粉状導体を分散させるための媒体)としても機能し得るため、特に好ましい。後述するような溶剤(ビヒクル用)を使用しないでよいか若しくはその使用量を低減することができるからである。
【0012】
一方、本発明の有機バインダーに含めるアクリル系樹脂は、本発明のペーストの塗布物即ち導電成形体の硬化収縮を促進して緻密な形状の硬化物を形成するのに寄与し得るものである限り、特に制限なく用いることができる。かかるアクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体を重合・共重合させたものであればよいが、特にメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等の重合体や共重合体が好適である。ペーストとしての良好な粘性を維持する等の観点から重量平均分子量が1000〜10万程度のアクリル系樹脂が好適である。
また、本発明の導電ペーストから成る塗布物(導電成形体)を100〜150℃で熱硬化処理をする場合には、かかるアクリル系樹脂としては、軟化点がそれよりも低い温度(好適には50〜100℃)となる樹脂が好ましい。そのような軟化点を有するアクリル系樹脂を採用すると、上記温度条件下で硬化反応中の導電成形体の流動性を向上させることができる。かかる流動性を向上させると、硬化収縮時における導電成形体からの脱泡能に優れ、結果、導電性に悪影響を与える虞のある気泡が当該成形体中に多数発生するのを効果的に防止することができる。
【0013】
また、本発明の有機バインダーに含めるメラミン樹脂は、上記熱可塑性アクリル系樹脂と同様、本発明のペーストの塗布物(導電成形体)の硬化収縮を促進して緻密な形状の硬化物(導電成形体)を形成するのに寄与し得るものである限り、特に制限なく用いることができる。かかるメラミン樹脂としては、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ウレア樹脂、メラミン−チオウレア樹脂等に属する典型的な各種メラミン樹脂を好適に使用することができる。例えば、エポキシ変性メラミン樹脂、アクリル変性メラミン樹脂等が好ましく、あるいはフェノール変性メラミン樹脂、ブチル化尿素メラミン共縮合樹脂、アルキルエーテル化メラミン樹脂(例えばメチルエーテル化メラミン樹脂やn−ブチルエーテル化メラミン樹脂)等も好適に使用することができる。良好な導電性を確保する等の観点から重量平均分子量が1000〜50000程度のメラミン樹脂が好適である。なお、上述したようなメラミン樹脂が最も効果的ではあるが、他のアミノ樹脂(尿素−ホルムアルデヒド樹脂等)も上述のメラミン樹脂の代替として使用することが可能である。
【0014】
なお、本発明の導電ペーストには、上述したような粉状導体、有機バインダーの他に、従来から公知のビヒクルとして機能し得る溶剤や各種の添加剤、典型的にはエポキシ硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、レベリング剤、沈降防止剤、カップリング剤、顔料、消泡剤、腐食防止剤等を添加することができる。
例えば、好ましく使用し得る硬化剤としては、従来から一般的に使用されている脂肪族ポリアミン系硬化剤(例えばトリエチレンテトラミン、m−キシレンジアミン)、芳香族アミン系硬化剤(例えばm−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン)、第三級アミン系硬化剤(例えばベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、ジシアンジアミド)、酸無水物系硬化剤(例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸)および各種イミダゾール系硬化剤(例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール)が挙げられる。
【0015】
また、本発明の導電ペーストにおけるビヒクルとして機能し得る溶剤としては、上記各樹脂から成る有機バインダーの好適な溶媒となり得るものであって、さらに沸点が比較的高いものが好ましい。かかる好ましい溶剤としては、各種エチレングリコール及びジエチレングリコール誘導体(例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、ケトン類(例えばシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン)、高沸点パラフィン系溶剤(例えばミネラルスピリット、トリデカン)、ターピネオールを含む誘導体等に可塑剤(好ましくはDBP、DMP等のフタル酸エステル系可塑剤)を加えたものが挙げられる。
【0016】
次に、本発明の導電ペーストの調製方法について説明する。本発明の導電ペーストは従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストと同様の手法を用いて調製し得るものであり、特別な処理操作を必要とするものではない。上述した粉状導体、予め数種の樹脂を調合しておいた有機バインダー、及び必要に応じて溶剤(ビヒクル成分)や種々の添加剤(硬化剤等)を混合し、典型的には3本ロールミルやプラネタリーミキサー等の各種攪拌・混練機を用いて混和することによって調製することができる。このようにして調製した導電ペーストを真空下で脱泡処理するのが特に好ましい。
なお、銀粉末その他の粉状導体の含有率はペースト全体の50〜95wt%となり、有機バインダーの含有率がペースト全体の5〜30wt%となるようにこれら必須構成要素及びその他の構成要素(溶剤等)を配合するとよい。粉状導体がペースト全体の50wt%よりも少なすぎると充分な導電性が得られなくなる虞があり、この含有率が95wt%よりも多すぎると有機バインダーとの配合バランスが悪くなり好ましくない。
好ましくは、粉状導体の含有率がペースト全体の70〜90wt%となり、且つ、有機バインダーの含有率がペースト全体の10〜30wt%となるように配合する。この配合バランスによると、特に良好な低抵抗性の導電成形体を形成することができる。
【0017】
また、上記有機バインダーは、上記3種の必須樹脂及び必要に応じて他種類の樹脂(微量成分)を適宜調合して調製する。なお、使用する樹脂の粘性が高くて十分に混和し得ない場合には、ミネラルスピリットや上記0015項に例示したような溶剤を適宜加えるとよい。而して、有機バインダーを構成する樹脂全体に対するエポキシ樹脂の含有率は40〜80wt%が適当であり、メラミン樹脂とアクリル系樹脂を合わせた含有率は20〜60wt%が適当である。特にエポキシ樹脂の含有率が50〜60wt%であり、メラミン樹脂とアクリル系樹脂を合わせた含有率が40〜50wt%であるものが好ましい。
このような配合比の有機バインダーをペーストに添加することによって、当該ペーストから成る導電成形体の硬化収縮率を増大させることができる。なお、エポキシ樹脂の含有率が40wt%を下回ると、導電成形体の硬度不足が生じ得るため好ましくない。逆に、エポキシ樹脂の含有率が80wt%を上回ると、メラミン樹脂及びアクリル系樹脂の添加量が不足となり、導電成形体の硬化収縮の度合が低減する虞がある。
また、メラミン樹脂の含有率及びアクリル系樹脂の含有率がいずれも5wt%以上であるものが、これら樹脂の硬化収縮に及ぼす効果を高める観点から好ましい。エポキシ樹脂の含有率が50〜60wt%であり、メラミン樹脂の含有率が5〜45wt%であり、アクリル系樹脂の含有率が5〜45wt%であることを特徴とする有機バインダーが特に好ましい。
【0018】
次に、本発明の導電ペーストを用いた導電成形体形成に係る好適例について説明する。
本発明の導電ペーストは、従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストと同様に取り扱うことができる。従って、セラミック基板上に配線(導電層)を形成したり各種電子部品に電極を形成したりする場合には、従来公知の方法を特に制限なく採用することができる。
例えば、本発明の導電ペーストを、一般的なスクリーン印刷法やディスペンサー塗布法等によって、所望する形状となるように基板その他の電子部品に塗布する。次いで、加熱炉中で所定時間加熱することによって当該塗布物を硬化させ、目的の導電成形体(硬化物)を得ることができる。本発明の導電ペーストの加熱硬化方法は、従来の導電成形体を形成するのと同様の方法が用いられる。かかる加熱硬化条件は、ペースト中に含まれる有機バインダー(樹脂成分)が充分硬化するとともに高熱による劣化が問題にならない温度範囲であれば特に制限はない。典型的には、その加熱温度は80〜220℃(好適には120〜200℃)に設定される。
【0019】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
<実施例1>
市販のエポキシ樹脂(商品名「エポトートYD−128」:東都化成社製品)、アクリル樹脂(商品名「ダイヤナールBR−101」:三菱レーヨン社製品)およびメラミン樹脂(商品名「ニカレジンS166」:日本カーバイド工業社製品)を使用して、本実施例に係る導電ペーストを調製した。
すなわち、有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:5wt%およびメラミン樹脂:45wt%となるようにしてこれら樹脂を混合した。次いで、かかる樹脂混合物7重量部に対して溶剤(ミネラルスピリット)3重量部を加え、十分に攪拌することによってビヒクルを得た。次に、このビヒクル15重量部と、銀フレーク粉末(平均粒径5〜20μm)85重量部と、溶剤(ターピネオール)8重量部と、適量の硬化剤(ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製品)及びイミダゾール(四国化成社製品))とを混合し、3本ロールミルで混練することによって、導電ペーストを得た。
【0021】
<実施例2>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:10wt%およびメラミン樹脂:40wt%となるように上述の各樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、本実施例に係る導電ペーストを得た。
【0022】
<実施例3>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:40wt%およびメラミン樹脂:10wt%となるように上述の各樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、本実施例に係る導電ペーストを得た。
【0023】
<実施例4>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:45wt%およびメラミン樹脂:5wt%となるように上述の各樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、本実施例に係る導電ペーストを得た。
【0024】
<比較例1>
有機バインダーを構成する樹脂が、エポキシ樹脂100wt%である以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂のみから成る有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0025】
<比較例2>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:70wt%およびアクリル系樹脂:30wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とアクリル系樹脂のみから成りメラミン樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0026】
<比較例3>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%およびアクリル系樹脂:50wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とアクリル系樹脂のみから成りメラミン樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0027】
<比較例4>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:40wt%およびアクリル系樹脂:60wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とアクリル系樹脂のみから成りメラミン樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0028】
<比較例5>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:70wt%およびメラミン樹脂:30wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とメラミン樹脂のみから成りアクリル系樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0029】
<比較例6>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%およびメラミン樹脂:50wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とメラミン樹脂のみから成りアクリル系樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0030】
<比較例7>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:40wt%およびメラミン樹脂:60wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とメラミン樹脂のみから成りアクリル系樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0031】
<実施例5:導電成形体の形成及びそれらの電気抵抗率の評価>
上記実施例1〜4及び比較例1〜7の各導電ペーストを材料として、一般的なスクリーン印刷法に基づいて所定形状の導電成形体を形成した。
すなわち、ステンレス製スクリーンメッシュ#250の版を使用して、シリカ製の基板上に幅500μm×長さ10cmのラインを印刷(塗布)した。その後、かかる基板を加熱炉に入れ、150℃で30分間加熱することにより硬化処理を行った。
次に、上記硬化した導電成形体をピンセットで引っ掻くことによって、これら硬化物が実用上必要な硬度を有するか否かを確認した。その結果、いずれの導電成形体の表面にも引っ掻き傷が認められず、これら成形体が実用上必要な硬度を有していることを確認した。
【0032】
次に、上記得られた導電成形体の抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出した。すなわち、市販の一般的なデジタル式マルチメーターを用いて導電成形体の抵抗値(R)を測定し、接触型厚み測定器(サーフコム社製品)を用いて導電成形体の厚み(t)を測定し、光学顕微鏡を用いて反射光に基づく導電成形体の正確なライン幅(w)および長さ(l)を測定した。而して、これら測定値に基づいて、抵抗率を式「ρ=R・w・t/l」から算出した。ここで、ρは抵抗率(Ω・m)、Rは抵抗値(Ω)、wは幅(m)、tは厚さ(m)、lは長さ(m)を表している。このようにして求められた抵抗率(Ω・m)を使用ペースト別に表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、上述の実施例1〜4に係る各導電ペーストから形成された導電成形体(硬化物)は、比較例1〜7に係る各導電ペーストから形成された導電成形体(硬化物)と比較して著しく低い抵抗率(2.5×10−7〜4.8×10−7Ω・m)を示した。この結果から明らかなように、各実施例に係る導電ペーストによると、従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストよりも顕著に低抵抗率の導電成形体を形成することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の導電ペーストによると、エポキシ樹脂を主体としつつも所定の比率でメラミン樹脂及びアクリル系樹脂を含有することにより、硬化収縮率が低くその結果として極めて低抵抗性を実現した導電成形体を形成することができる。かかる導電成形体(配線や電極等)の電気抵抗率が低いと、通電時における熱の発生も少ない。このため、本発明の導電ペーストから形成された導電成形体を電極や配線として備えたプリント配線基板その他の電子製品では、熱に因る電子回路全体での抵抗率の増大も起こり難く、当該電子製品自体の信頼性も向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電子部品製造分野において用いられる熱硬化性導電ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板その他の電子部品を組立・製造する場合に、エポキシ樹脂を主体(ベース)とする有機バインダーを含む熱硬化性導電ペーストが利用されている。かかる導電ペーストを使用すれば、基板等に当該ペーストを塗布して所定の温度に加熱することによって、当該塗布物が熱硬化して成る導電体を比較的容易に形成することができる。
例えば、プリント配線基板や各種の電子部品に所望する形状の配線や電極を形成する用途に、銀粉その他の紛状導体とともにエポキシ樹脂ベースの有機バインダーを含む熱硬化性導電ペーストが一般に用いられている。特開平8−176408号公報や特開平11−92625号公報には、かかる用途に用いられるエポキシ樹脂ベースの熱硬化性導電ペーストが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記導電ペーストから形成された配線や電極等の導体(以下これらを総称して「導電成形体」という。)としては、できるだけ電気抵抗率(以下「抵抗率」と略称する。)が低いものが好ましいことは当然であり、従来のエポキシ樹脂ベースの導電性ペーストから形成される導電成形体よりも抵抗率の低い(即ちより良好な導電性を有する)導電成形体を容易に形成し得る導電性ペーストの開発が望まれている。かかる抵抗率を低くできれば、導電性ペーストを使用しつつ従来よりも高性能な電子部品を製造し得るからである。
そこで、本発明は、より低抵抗率の導電成形体を具備した電子部品を容易に製造するべく創出されたものであり、その目的とするところは、従来のエポキシ樹脂ベースの有機バインダーを含む導電ペーストと同様に使用し得るペーストであって、従来のものよりも抵抗率の低い導電成形体を形成することができるエポキシ樹脂ベースの熱硬化性導電ペーストを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明によって提供される熱硬化性導電ペーストは、粉状導体と有機バインダーとを主成分として含むとともに、その有機バインダーは主構成要素としてエポキシ樹脂、メラミン樹脂及びアクリル系樹脂を含んでいる。而して、当該有機バインダーを構成する樹脂全体に対するそれらの含有率は、エポキシ樹脂が40〜80wt%であり、メラミン樹脂とアクリル系樹脂の合計が20〜60wt%である。
【0005】
かかる構成の本発明の導電ペーストでは、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を有機バインダーの主体(ベース)としつつも、熱可塑性樹脂の一種であるアクリル系樹脂と熱硬化性樹脂の一種であるメラミン樹脂の両方を比較的過剰に混和させることを一つの特徴とする。このように有機バインダーの樹脂組成を調整した結果、本構成の導電ペーストによると、当該ペーストから形成された電極その他の導電成形体の熱硬化時の収縮率(以下「硬化収縮率」という。)を従来のエポキシ樹脂ベースの熱硬化性導電ペーストから形成されたものよりも高くすることができる。このことによって、取扱いや使用方法が簡便なエポキシ樹脂ベースのペーストでありながら、これまでより低抵抗性の導電成形体を形成することができる。すなわち、硬化収縮率が高ければそれだけ緻密な導電成形体が形成されることとなり、結果、電気伝導性の良否に影響する当該成形体中に含まれる粉状導体相互の接触部分(面積)を増大させることができる。
従って、本発明の導電ペーストによると、従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストと同様に簡便に取り扱えるとともに、高性能電子部品の製造に寄与し得る低抵抗率の導電成形体を容易に形成することができる。
【0006】
また、本発明の導電ペーストとして好ましいものの一つでは、上記有機バインダーを構成する樹脂全体に対するメラミン樹脂の含有率及びアクリル系樹脂の含有率がいずれも5wt%以上であることを特徴とする。
かかる樹脂組成の有機バインダーを含む本発明の導電ペーストによると、硬化収縮によって導電成形体中に含まれる粉状導体相互の接触部分(面積)をさらに増大させることができる。このため、より低抵抗性の導電成形体を形成することができる。
【0007】
また、本発明の導電ペーストとしてさらに好ましいものの一つは、上記粉状導体の含有率がペースト全体の70〜90wt%であり、上記有機バインダーの含有率がペースト全体の10〜30wt%であることを特徴とする。
かかる構成の本発明の導電ペーストでは、上記含有率となる配合比で、粉状導体と有機バインダーとを配合する。このため、本構成の導電ペーストによると、硬化収縮後において、より緻密な構造の導電成形体を得ることができ、延いては高性能電子部品の製造に好ましい低抵抗性の導電成形体を容易に形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電ペーストに関する好適な実施形態について説明する。
【0009】
先ず、本発明の導電ペーストの構成要素に関して説明する。本発明の導電ペーストは、粉状導体と有機バインダーとを主成分(必須構成要素)とする熱硬化性導電ペーストであるが、上記本発明の目的の達成を阻害しない限りにおいて、種々の副成分(例えばビヒクルとして機能する各種溶剤や硬化促進剤)を含ませることができる。
【0010】
先ず、粉状導体について説明する。本発明に係る粉状導体は、導電成形体の形成後に当該成形体中で通電経路を構成する物質であり、従来から電極その他の導電体を形成する用途の導電ペーストに加えられていたものなら特に制限なく使用することができる。例えば、銀、銅、金、ニッケル等の導電金属粉末やそれらの合金粉末が適当である。或いは、アルミナ等の粉状無機絶縁体やポリエチレン等の有機物の表面を導電性物質でコーティングしたもの、或いは、カーボンブラックやグラファイト等の炭素質導電体の粉状物も用いることができる。而して、これら粉状導体の1種又は2種以上を混合して用いるとよい。導電性の観点からみて、特に銀粉末が好適である。
また、使用する粉状導体の外形としては特に制限はないが、球状若しくは鱗片状のものが好ましい。球状の場合には、その平均粒径が0.5〜50μm程度のもの(特に好ましくは1.0〜10μm)が好適である。このような形状の導体であると、上記有機バインダーとの組み合わせにより、熱硬化時の収縮によって緻密構造の導電成形体を容易に得ることができる。上述のとおり、緻密構造の形成は、硬化収縮後の導電成形体中の粉状導体の相互接触面積を増大させるのに好ましい。
【0011】
次に、本発明を特徴付ける有機バインダーを構成する樹脂について説明する。本発明の有機バインダーは、エポキシ樹脂をベースとするとともに、アクリル系樹脂とメラミン樹脂を主要構成要素として所定の重量比で添加すればよく、その他の微量樹脂成分を含むことを制限するものではない。
本発明に係る有機バインダー(結合材)の主体を成すエポキシ樹脂としては、鎖状又は環状の脂肪族エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族グリシジルエーテル樹脂等が使用し得る。特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、(クレゾール)ノボラック型エポキシ樹脂に属する典型的な各種エポキシ樹脂を好適に使用することができる。粘性や硬化反応性等の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好適である。
本発明の導電ペーストの調製にあたっては、かかるエポキシ樹脂として常温で固体状態のもの若しくは液体状態のもののいずれも使用することができる。重量平均分子量が比較的低い(例えば1000〜3000)液体状態のエポキシ樹脂を使用することが、当該樹脂がビヒクル(即ち上述の粉状導体を分散させるための媒体)としても機能し得るため、特に好ましい。後述するような溶剤(ビヒクル用)を使用しないでよいか若しくはその使用量を低減することができるからである。
【0012】
一方、本発明の有機バインダーに含めるアクリル系樹脂は、本発明のペーストの塗布物即ち導電成形体の硬化収縮を促進して緻密な形状の硬化物を形成するのに寄与し得るものである限り、特に制限なく用いることができる。かかるアクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体を重合・共重合させたものであればよいが、特にメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等の重合体や共重合体が好適である。ペーストとしての良好な粘性を維持する等の観点から重量平均分子量が1000〜10万程度のアクリル系樹脂が好適である。
また、本発明の導電ペーストから成る塗布物(導電成形体)を100〜150℃で熱硬化処理をする場合には、かかるアクリル系樹脂としては、軟化点がそれよりも低い温度(好適には50〜100℃)となる樹脂が好ましい。そのような軟化点を有するアクリル系樹脂を採用すると、上記温度条件下で硬化反応中の導電成形体の流動性を向上させることができる。かかる流動性を向上させると、硬化収縮時における導電成形体からの脱泡能に優れ、結果、導電性に悪影響を与える虞のある気泡が当該成形体中に多数発生するのを効果的に防止することができる。
【0013】
また、本発明の有機バインダーに含めるメラミン樹脂は、上記熱可塑性アクリル系樹脂と同様、本発明のペーストの塗布物(導電成形体)の硬化収縮を促進して緻密な形状の硬化物(導電成形体)を形成するのに寄与し得るものである限り、特に制限なく用いることができる。かかるメラミン樹脂としては、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ウレア樹脂、メラミン−チオウレア樹脂等に属する典型的な各種メラミン樹脂を好適に使用することができる。例えば、エポキシ変性メラミン樹脂、アクリル変性メラミン樹脂等が好ましく、あるいはフェノール変性メラミン樹脂、ブチル化尿素メラミン共縮合樹脂、アルキルエーテル化メラミン樹脂(例えばメチルエーテル化メラミン樹脂やn−ブチルエーテル化メラミン樹脂)等も好適に使用することができる。良好な導電性を確保する等の観点から重量平均分子量が1000〜50000程度のメラミン樹脂が好適である。なお、上述したようなメラミン樹脂が最も効果的ではあるが、他のアミノ樹脂(尿素−ホルムアルデヒド樹脂等)も上述のメラミン樹脂の代替として使用することが可能である。
【0014】
なお、本発明の導電ペーストには、上述したような粉状導体、有機バインダーの他に、従来から公知のビヒクルとして機能し得る溶剤や各種の添加剤、典型的にはエポキシ硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、レベリング剤、沈降防止剤、カップリング剤、顔料、消泡剤、腐食防止剤等を添加することができる。
例えば、好ましく使用し得る硬化剤としては、従来から一般的に使用されている脂肪族ポリアミン系硬化剤(例えばトリエチレンテトラミン、m−キシレンジアミン)、芳香族アミン系硬化剤(例えばm−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン)、第三級アミン系硬化剤(例えばベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、ジシアンジアミド)、酸無水物系硬化剤(例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸)および各種イミダゾール系硬化剤(例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール)が挙げられる。
【0015】
また、本発明の導電ペーストにおけるビヒクルとして機能し得る溶剤としては、上記各樹脂から成る有機バインダーの好適な溶媒となり得るものであって、さらに沸点が比較的高いものが好ましい。かかる好ましい溶剤としては、各種エチレングリコール及びジエチレングリコール誘導体(例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、ケトン類(例えばシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン)、高沸点パラフィン系溶剤(例えばミネラルスピリット、トリデカン)、ターピネオールを含む誘導体等に可塑剤(好ましくはDBP、DMP等のフタル酸エステル系可塑剤)を加えたものが挙げられる。
【0016】
次に、本発明の導電ペーストの調製方法について説明する。本発明の導電ペーストは従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストと同様の手法を用いて調製し得るものであり、特別な処理操作を必要とするものではない。上述した粉状導体、予め数種の樹脂を調合しておいた有機バインダー、及び必要に応じて溶剤(ビヒクル成分)や種々の添加剤(硬化剤等)を混合し、典型的には3本ロールミルやプラネタリーミキサー等の各種攪拌・混練機を用いて混和することによって調製することができる。このようにして調製した導電ペーストを真空下で脱泡処理するのが特に好ましい。
なお、銀粉末その他の粉状導体の含有率はペースト全体の50〜95wt%となり、有機バインダーの含有率がペースト全体の5〜30wt%となるようにこれら必須構成要素及びその他の構成要素(溶剤等)を配合するとよい。粉状導体がペースト全体の50wt%よりも少なすぎると充分な導電性が得られなくなる虞があり、この含有率が95wt%よりも多すぎると有機バインダーとの配合バランスが悪くなり好ましくない。
好ましくは、粉状導体の含有率がペースト全体の70〜90wt%となり、且つ、有機バインダーの含有率がペースト全体の10〜30wt%となるように配合する。この配合バランスによると、特に良好な低抵抗性の導電成形体を形成することができる。
【0017】
また、上記有機バインダーは、上記3種の必須樹脂及び必要に応じて他種類の樹脂(微量成分)を適宜調合して調製する。なお、使用する樹脂の粘性が高くて十分に混和し得ない場合には、ミネラルスピリットや上記0015項に例示したような溶剤を適宜加えるとよい。而して、有機バインダーを構成する樹脂全体に対するエポキシ樹脂の含有率は40〜80wt%が適当であり、メラミン樹脂とアクリル系樹脂を合わせた含有率は20〜60wt%が適当である。特にエポキシ樹脂の含有率が50〜60wt%であり、メラミン樹脂とアクリル系樹脂を合わせた含有率が40〜50wt%であるものが好ましい。
このような配合比の有機バインダーをペーストに添加することによって、当該ペーストから成る導電成形体の硬化収縮率を増大させることができる。なお、エポキシ樹脂の含有率が40wt%を下回ると、導電成形体の硬度不足が生じ得るため好ましくない。逆に、エポキシ樹脂の含有率が80wt%を上回ると、メラミン樹脂及びアクリル系樹脂の添加量が不足となり、導電成形体の硬化収縮の度合が低減する虞がある。
また、メラミン樹脂の含有率及びアクリル系樹脂の含有率がいずれも5wt%以上であるものが、これら樹脂の硬化収縮に及ぼす効果を高める観点から好ましい。エポキシ樹脂の含有率が50〜60wt%であり、メラミン樹脂の含有率が5〜45wt%であり、アクリル系樹脂の含有率が5〜45wt%であることを特徴とする有機バインダーが特に好ましい。
【0018】
次に、本発明の導電ペーストを用いた導電成形体形成に係る好適例について説明する。
本発明の導電ペーストは、従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストと同様に取り扱うことができる。従って、セラミック基板上に配線(導電層)を形成したり各種電子部品に電極を形成したりする場合には、従来公知の方法を特に制限なく採用することができる。
例えば、本発明の導電ペーストを、一般的なスクリーン印刷法やディスペンサー塗布法等によって、所望する形状となるように基板その他の電子部品に塗布する。次いで、加熱炉中で所定時間加熱することによって当該塗布物を硬化させ、目的の導電成形体(硬化物)を得ることができる。本発明の導電ペーストの加熱硬化方法は、従来の導電成形体を形成するのと同様の方法が用いられる。かかる加熱硬化条件は、ペースト中に含まれる有機バインダー(樹脂成分)が充分硬化するとともに高熱による劣化が問題にならない温度範囲であれば特に制限はない。典型的には、その加熱温度は80〜220℃(好適には120〜200℃)に設定される。
【0019】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
<実施例1>
市販のエポキシ樹脂(商品名「エポトートYD−128」:東都化成社製品)、アクリル樹脂(商品名「ダイヤナールBR−101」:三菱レーヨン社製品)およびメラミン樹脂(商品名「ニカレジンS166」:日本カーバイド工業社製品)を使用して、本実施例に係る導電ペーストを調製した。
すなわち、有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:5wt%およびメラミン樹脂:45wt%となるようにしてこれら樹脂を混合した。次いで、かかる樹脂混合物7重量部に対して溶剤(ミネラルスピリット)3重量部を加え、十分に攪拌することによってビヒクルを得た。次に、このビヒクル15重量部と、銀フレーク粉末(平均粒径5〜20μm)85重量部と、溶剤(ターピネオール)8重量部と、適量の硬化剤(ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製品)及びイミダゾール(四国化成社製品))とを混合し、3本ロールミルで混練することによって、導電ペーストを得た。
【0021】
<実施例2>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:10wt%およびメラミン樹脂:40wt%となるように上述の各樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、本実施例に係る導電ペーストを得た。
【0022】
<実施例3>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:40wt%およびメラミン樹脂:10wt%となるように上述の各樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、本実施例に係る導電ペーストを得た。
【0023】
<実施例4>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%、アクリル系樹脂:45wt%およびメラミン樹脂:5wt%となるように上述の各樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、本実施例に係る導電ペーストを得た。
【0024】
<比較例1>
有機バインダーを構成する樹脂が、エポキシ樹脂100wt%である以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂のみから成る有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0025】
<比較例2>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:70wt%およびアクリル系樹脂:30wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とアクリル系樹脂のみから成りメラミン樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0026】
<比較例3>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%およびアクリル系樹脂:50wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とアクリル系樹脂のみから成りメラミン樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0027】
<比較例4>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:40wt%およびアクリル系樹脂:60wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とアクリル系樹脂のみから成りメラミン樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0028】
<比較例5>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:70wt%およびメラミン樹脂:30wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とメラミン樹脂のみから成りアクリル系樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0029】
<比較例6>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:50wt%およびメラミン樹脂:50wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とメラミン樹脂のみから成りアクリル系樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0030】
<比較例7>
有機バインダーを構成する樹脂全体に対する含有率が、エポキシ樹脂:40wt%およびメラミン樹脂:60wt%となるようにこれらの樹脂を混合したこと以外は、上記実施例1と同様の処理を行い、エポキシ樹脂とメラミン樹脂のみから成りアクリル系樹脂を含まない有機バインダーを含む導電ペーストを得た。
【0031】
<実施例5:導電成形体の形成及びそれらの電気抵抗率の評価>
上記実施例1〜4及び比較例1〜7の各導電ペーストを材料として、一般的なスクリーン印刷法に基づいて所定形状の導電成形体を形成した。
すなわち、ステンレス製スクリーンメッシュ#250の版を使用して、シリカ製の基板上に幅500μm×長さ10cmのラインを印刷(塗布)した。その後、かかる基板を加熱炉に入れ、150℃で30分間加熱することにより硬化処理を行った。
次に、上記硬化した導電成形体をピンセットで引っ掻くことによって、これら硬化物が実用上必要な硬度を有するか否かを確認した。その結果、いずれの導電成形体の表面にも引っ掻き傷が認められず、これら成形体が実用上必要な硬度を有していることを確認した。
【0032】
次に、上記得られた導電成形体の抵抗値を測定し、体積抵抗率を算出した。すなわち、市販の一般的なデジタル式マルチメーターを用いて導電成形体の抵抗値(R)を測定し、接触型厚み測定器(サーフコム社製品)を用いて導電成形体の厚み(t)を測定し、光学顕微鏡を用いて反射光に基づく導電成形体の正確なライン幅(w)および長さ(l)を測定した。而して、これら測定値に基づいて、抵抗率を式「ρ=R・w・t/l」から算出した。ここで、ρは抵抗率(Ω・m)、Rは抵抗値(Ω)、wは幅(m)、tは厚さ(m)、lは長さ(m)を表している。このようにして求められた抵抗率(Ω・m)を使用ペースト別に表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、上述の実施例1〜4に係る各導電ペーストから形成された導電成形体(硬化物)は、比較例1〜7に係る各導電ペーストから形成された導電成形体(硬化物)と比較して著しく低い抵抗率(2.5×10−7〜4.8×10−7Ω・m)を示した。この結果から明らかなように、各実施例に係る導電ペーストによると、従来のエポキシ樹脂ベースの導電ペーストよりも顕著に低抵抗率の導電成形体を形成することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の導電ペーストによると、エポキシ樹脂を主体としつつも所定の比率でメラミン樹脂及びアクリル系樹脂を含有することにより、硬化収縮率が低くその結果として極めて低抵抗性を実現した導電成形体を形成することができる。かかる導電成形体(配線や電極等)の電気抵抗率が低いと、通電時における熱の発生も少ない。このため、本発明の導電ペーストから形成された導電成形体を電極や配線として備えたプリント配線基板その他の電子製品では、熱に因る電子回路全体での抵抗率の増大も起こり難く、当該電子製品自体の信頼性も向上する。
Claims (3)
- 粉状導体と有機バインダーとを主成分として含む熱硬化性導電ペーストであって、
その有機バインダーは主構成要素としてエポキシ樹脂、メラミン樹脂及びアクリル系樹脂を含み、
ここで該有機バインダーを構成する樹脂全体に対するそれらの含有率は、エポキシ樹脂が40〜80wt%であり、メラミン樹脂とアクリル系樹脂の合計が20〜60wt%である、熱硬化性導電ペースト。 - 前記有機バインダーを構成する樹脂全体に対するメラミン樹脂の含有率及びアクリル系樹脂の含有率はいずれも5wt%以上である、請求項1に記載の導電ペースト。
- 前記粉状導体の含有率がペースト全体の70〜90wt%であり、前記有機バインダーの含有率がペースト全体の10〜30wt%である、請求項1または2に記載の導電ペースト。
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