JP2013198193A - 回転電機のロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の永久磁石がロータコアの周方向に分散配置された回転電機のロータに関し、通常時における出力特性に影響を及ぼすことなく、永久磁石の不可逆減磁の発生を防止可能な回転電機のロータを提供する。
【解決手段】ロータ1は、IPMモータのロータであり、回転軸Sとロータコア10を有している。ロータコア10は、周方向に分散配置された複数の磁石挿入スロット15を有している。磁石挿入スロット15内部において、永久磁石20はロータ1外周面側に挿入され、位置規制部材30は回転軸S側に挿入される。位置規制部材30は、不可逆減磁リスク温度Tr以上となることで、通常長さLnから高温時長さLhへと縮むように変形する感温変形部33を備える。不可逆減磁リスク温度Tr以上の温度では、位置規制部材30は、感温変形部33の変形によって、磁石挿入スロット15内のロータ1外周面側に位置する永久磁石20を、回転軸S側へ移動させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、複数の永久磁石がロータコアの周方向に分散配置された回転電機のロータに関する。
従来、回転電機として、界磁を形成する複数の永久磁石がロータコア内に配設されたロータを用いる回転電機(例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータ)が知られている。このような回転電機において、ステータからの回転磁束によってロータが回転すると、ロータコア内に配設された永久磁石に渦電流が生じる。この渦電流によって、当該永久磁石が高温となってしまう場合がある。
ここで、永久磁石においては、永久磁石が高温になると、不可逆減磁が生じてしまう。即ち、永久磁石が高温になった場合、熱振動による磁気モーメントのゆらぎ又は反転によって、磁束が減少してしまい、その後、室温等の常温にまで永久磁石の温度が低下しても、当該永久磁石の磁束は、高温となる前の磁束量まで回復することはない。界磁を形成する永久磁石の磁束量は、回転電機の性能に大きな影響を及ぼすため、永久磁石の不可逆減磁の発生を抑制する必要がある。
ここで、永久磁石の不可逆減磁を抑制するためになされた発明として、特許文献1記載の発明が知られている。特許文献1記載のIPMモータのロータでは、ロータコアに形成された磁石挿入スロットにおいて、ロータの径方向外側に金属プレートを配置し、ロータの径方向内側に永久磁石を配置することにより、永久磁石に対してロータの径方向外側に、空間部を形成している。当該特許文献1記載のIPMモータのロータにおいては、当該空間部を、フラックスバリアとして機能させることにより、永久磁石の不可逆減磁を抑制している。
特開2008−072790号公報
しかしながら、特許文献1記載のIPMモータのロータにおいては、常時、磁石挿入スロット内部において、永久磁石に対してロータの径方向外側に金属プレートを配置する構成であるため、不可逆減磁が発生することのない常温環境下においても、永久磁石に対してロータの径方向外側に、フラックスバリアである空間部が形成されることとなる。従って、特許文献1記載のIPMモータのロータにおいては、不可逆減磁の発生を抑制するためのフラックスバリアが、通常使用時におけるIPMモータの出力特性に影響を及ぼしてしまう。
又、特許文献1記載のIPMモータのロータでは、磁石挿入スロット内において、永久磁石及び金属プレートを、常時、所定の位置に保持しているため、当該特許文献1記載の発明は、IPMモータの使用時に永久磁石が高温になったとしても、不可逆減磁を防止するためのセーフティリミッタとしての役割を果たすことができなかった。
本発明は、複数の永久磁石がロータコアの周方向に分散配置された回転電機のロータに関し、通常使用時における回転電機の出力特性に影響を及ぼすことなく、永久磁石の不可逆減磁の発生を防止可能な回転電機のロータを提供する。
本発明の一側面に係る回転電機のロータは、界磁を形成する複数の永久磁石と、回転可能に配設された回転軸と、前記回転軸周りに分散配置され、前記永久磁石が挿入される複数の磁石挿入スロットを有すると共に、前記回転軸に対して固設されたロータコアと、を有する回転電機のロータであって、前記磁石挿入スロットは、前記ロータコアの外周面に対して近接・離間する方向へ、前記永久磁石が移動可能に形成され、前記磁石挿入スロット内部には、所定の温度以上となった場合に、前記ロータコアの外周面から離間する方向へ、前記永久磁石を移動させる位置規制部材が配設されていることを特徴とする。
当該回転電機のロータは、複数の永久磁石と、回転軸と、複数の磁石挿入スロットを有するロータコアとを備えている。磁石挿入スロット内には、永久磁石と、位置規制部材が配設され、前記ロータコアの外周面に対して近接・離間する方向へ、前記永久磁石が移動可能に形成されている。従って、当該回転電機のロータによれば、永久磁石近傍が所定の温度(例えば、当該永久磁石に不可逆減磁が発生する虞のある温度)以上となった場合に、位置規制部材によって、ロータコアの外周面から離間する方向へ、前記永久磁石を移動させることができる。当該永久磁石の移動に伴って、磁石挿入スロット内には、フラックスバリアとして機能する空間が、永久磁石に対してロータの外周方向に形成されるため、当該回転電機のロータによれば、さらなる永久磁石の発熱を抑制し、不可逆減磁の発生を防止することができる。
又、当該回転電機のロータによれば、永久磁石近傍が所定の温度未満であれば、位置規制部材により、磁石挿入スロット内におけるロータの外周面側に、永久磁石を位置させることができるので、当該回転電機の通常使用時において、十分な出力特性を確保することができる。
更に、当該回転電機のロータにおいては、磁石挿入スロット内における永久磁石は、所定の温度条件に応じて移動する為、位置規制部材による永久磁石の移動は、不可逆減磁を防止するためのセーフティリミッタとして機能し得る。
そして、本発明の他の側面に係る回転電機のロータは、請求項1記載の回転電機のロータであって、前記磁石挿入スロットは、一極あたり少なくとも、第1磁石挿入スロットと、前記第1磁石挿入スロットに隣接配置された第2磁石挿入スロットとを有し、前記回転軸の軸方向に直交する断面において、前記ロータコアの外周面側における前記第1磁石挿入スロットと前記第2磁石挿入スロットの間の距離は、前記回転軸側における前記第1磁石挿入スロットと前記第2磁石挿入スロットの間の距離と異なるように配置され、前記永久磁石は、前記第1磁石挿入スロット及び前記第2磁石挿入スロット内において、夫々、前記位置規制部材による移動方向に沿って延びる面に、界磁を発生させる磁極面を有することを特徴とする。
当該回転電機のロータにおいては、第1磁石挿入スロットと、第2磁石挿入スロットは、前記ロータコアの外周面側と、前記回転軸側における前記第1磁石挿入スロットと前記第2磁石挿入スロットの間の距離が異なるように配置されている。そして、永久磁石の磁極面は、第1磁石挿入スロット及び前記第2磁石挿入スロット内において、夫々、前記位置規制部材による移動方向に沿って延びている。即ち、前記回転軸の軸方向に直交する断面において、第1磁石挿入スロットと第2磁石挿入スロット、及び、両者に挿入された永久磁石は、V字を描くように配置されている。従って、当該回転電機のロータによれば、位置規制部材による永久磁石の移動の前後においても、ロータコアと、永久磁石の磁極面との距離を一定に保ちつつ、永久磁石における不可逆減磁の発生を防止することができる。
又、本発明の他の側面に係る回転電機のロータは、請求項1又は請求項2記載の回転電機のロータであって、前記位置規制部材は、前記磁石挿入スロット内部において、前記永久磁石よりも前記回転軸側に配設されていることを特徴とする。
当該回転電機のロータにおいては、位置規制部材は、前記磁石挿入スロット内部において、前記永久磁石よりも前記回転軸側に配設されている。従って、当該回転電機のロータによれば、永久磁石近傍の温度が所定の温度未満である場合に、磁石挿入スロットにおけるロータの外周面側に、永久磁石を位置させることができる。又、トルクに直接寄与しない位置規制部材を内周面側に配置することになる。これにより、当該回転電機のロータは、当該回転電機の通常使用時において、十分な出力特性を確保することができる。
そして、本発明の他の側面に係る回転電機のロータは、請求項3記載の回転電機のロータであって、前記位置規制部材は、前記永久磁石が取り付けられる磁石取付部と、前記磁石挿入スロットにおける所定位置に保持される保持部と、前記磁石取付部と前記保持部の間に配設され、所定の温度以上となった場合に、全長が縮む方向に変形する感温変形部と、を有し、前記磁石挿入スロットは、前記回転軸の軸方向に直交する断面における前記回転軸側となる位置に、前記位置規制部材の保持部を固定する固定部を有していることを特徴とする。
当該回転電機のロータにおいては、位置規制部材は、磁石取付部と、保持部と、感温変形部とを有している。又、磁石挿入スロットは、前記回転軸の軸方向に直交する断面における前記回転軸側となる位置に、固定部を有している。従って、当該回転電機のロータにおいては、磁石挿入スロットにおける固定部によって、位置規制部材の保持部が固定されるため、磁石挿入スロット内部において、永久磁石近傍の温度に応じて、前記永久磁石を前記ロータコアの外周面に対して近接・離間する方向へ移動させ得る。これにより、当該回転電機のロータによれば、さらなる永久磁石の発熱を抑制し、不可逆減磁の発生を防止することができる。
又、当該回転電機のロータによれば、磁石挿入スロット内におけるロータの外周面側に永久磁石を確実に位置させることができるので、当該回転電機の通常使用時において、十分な出力特性を確保することができる。
更に、当該回転電機のロータにおいては、磁石挿入スロット内における永久磁石は、所定の温度条件に応じて移動する為、位置規制部材による永久磁石の移動は、不可逆減磁を防止するためのセーフティリミッタとして機能し得る。
本実施形態に係るIPMモータのロータの概略平面図である。 本実施形態に係るロータにおける磁石挿入スロットを示す断面図である。 本実施形態に係る永久磁石及び位置規制部材の外観斜視図である 位置規制部材の特徴に関する説明図である。 通常時における磁石挿入スロット内の永久磁石の位置を示す説明図である。 不可逆減磁リスク温度以上である場合における磁石挿入スロット内の永久磁石の位置を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る磁石挿入スロット内の永久磁石を示す説明図である。
以下、本発明に係る回転電機のロータを、IPMモータのロータ1に具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るロータ1が用いられるIPMモータの概略構成について説明する。当該IPMモータは、略円筒形状に形成されたステータと、本実施形態に係るロータ1を有している。
本実施形態に係るIPMモータのステータは、複数枚の電磁鋼板を積層して略円筒形状に形成されたステータコアと、ステータコアの周方向に分散配置された複数のスロット(不図示)に巻装されたコイルとを備えている。本実施形態に係るIPMモータは三相交流で駆動される為、ステータは、U相、V相、及びW相の三相のコイルを備えている。そして、三相交流電流をコイルに供給することにより、当該ステータは、ステータコアの内側(即ち、ロータ側)に、回転磁界を発生させる。
続いて、本実施形態に係るロータ1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、ロータ1は、回転軸Sに固定された略円筒形状のロータコア10と、ロータコア10内部に保持された複数の永久磁石20と位置規制部材30とを備えている。尚、回転軸Sは、その軸方向両側で軸受を介してケース(図示せず)に回転可能に支持されている。
ロータコア10は、複数枚の電磁鋼板を積層して構成されている。又、図1に示すように、ロータコア10は、その内部に、周方向に分散配置されて、軸方向に延びる複数の磁石挿入スロット15を有している。そして、当該磁石挿入スロット15は、磁石スロット部16と、部材固定部17により構成される(図2参照)。
磁石スロット部16は、回転軸Sの軸方向に対して鉛直な断面(以下、鉛直断面)における形状が長方形状をなす空間であり、後述する永久磁石20及び位置規制部材30の一部が挿入される部分である。図1等に示すように、磁石スロット部16における長手方向(長辺)は、その一端がロータコア10の外周面側に位置し、その他端が回転軸S側に位置しており、その寸法は、後述する永久磁石20の長辺寸法よりも大きく形成されている。
部材固定部17は、鉛直断面の形状が長方形をなす空間であり、後述する位置規制部材30の一部(保持部32)が挿入される部分である。当該部材固定部17は、磁石スロット部16における回転軸S側の端縁に形成されており、位置規制部材30の一部(保持部32)を挿入することにより、当該位置規制部材30の一部を、磁石スロット部16における回転軸S側に固定・保持する。部材固定部17の長手寸法は、磁石スロット部16の短辺寸法よりも大きく形成されている。従って、磁石挿入スロット15の回転軸S側端部において、部材固定部17の両端は、磁石スロット部16よりも外側に突出している。
更に、本実施形態に係るロータコア10は、一組の磁石挿入スロット15を複数組有している(図1参照)。一組の磁石挿入スロット15は、第1磁石挿入スロット15Aと、当該第1磁石挿入スロット15Aに対して、ロータコア10の周方向に隣接配置された第2磁石挿入スロット15Bにより構成される。図1、図2に示すように、一組の磁石挿入スロット15においては、第1磁石挿入スロット15Aと第2磁石挿入スロット15Bの間の距離が、ロータコア10の外周側ほど大きく、回転軸S側ほど小さくなるように配置されている。即ち、一組の磁石挿入スロット15は、第1磁石挿入スロット15Aと第2磁石挿入スロット15BによりV字を描くように配置されている。
続いて、磁石挿入スロット15に挿入される永久磁石20及び位置規制部材30について、図3、図4を参照しつつ詳細に説明する。
図3に示すように、永久磁石20は、ネオジム磁石等の希土類永久磁石によって、鉛直断面形状が長方形状をなし、回転軸Sの軸方向に延びる四角柱状に形成されている。永久磁石20は、鉛直断面における長方形の長辺を含む側面に、磁極面20Sを有している。磁極面20Sは、N極又はS極の何れかを示し、本実施形態に係るロータ1における界磁を形成する。
尚、鉛直断面における永久磁石20の長手寸法は、上述した磁石スロット部16の長手寸法よりも一定以上短く形成され、鉛直断面における永久磁石20の短手寸法は、上述した磁石スロット部16における短手寸法よりもやや小さく形成される。
位置規制部材30は、永久磁石20の一側面に取り付けられることで、永久磁石20と共にユニット化される部材である。そして、位置規制部材30は、永久磁石20と共に磁石挿入スロット15内に挿入される部材であり、図3に示すように、磁石取付部31と、保持部32と、感温変形部33により構成される。
磁石取付部31は、その幅寸法が永久磁石20の短手寸法と同寸法に形成された薄板状の部材であり、接着剤によって、永久磁石20の一側面に対して固着される。具体的には、磁石取付部31は、磁石挿入スロット15内に永久磁石20を挿入した場合に、当該永久磁石20における回転軸S側に位置する側面に対して、接着剤により固着される。そして、保持部32は、永久磁石20及び磁石取付部31よりもやや幅広に形成された薄板状の部材であり、磁石挿入スロット15の部材固定部17に対して挿入される。
感温変形部33は、形状記憶合金により構成された板バネ状の部材であり、磁石取付部31と保持部32の間に取り付けられる。感温変形部33の一端部は、磁石取付部31に対して、ボルトによって締結されており、感温変形部33の他端部は、保持部32に対して、ボルトによって締結されている。
図4に示すように、当該感温変形部33は、その周囲の温度が不可逆減磁リスク温度Tr未満である場合、その全長が通常長さLnを示す状態にある。そして、周囲の温度が不可逆減磁リスク温度Tr以上となると、感温変形部33は、高温になるにつれて、通常長さLnから徐々に短くなるように変形し、その全長が高温時長さLhまで短くなる。
尚、不可逆減磁リスク温度Trは、本発明における「所定の温度」に相当し、永久磁石20に不可逆減磁が発生する温度より低い温度を示す。この点、不可逆減磁が発生する温度は、永久磁石20の種類等に応じて異なるため、本実施形態における不可逆減磁リスク温度Trも、永久磁石20の種類等に応じて決定される。
上述したように、このように構成された永久磁石20及び位置規制部材30は、磁石挿入スロット15内に挿入されることで、ロータコア10内部に配置される。この時、永久磁石20及び、位置規制部材30における磁石取付部31、感温変形部33は、磁石スロット部16内部へ挿入され、位置規制部材30における保持部32は、部材固定部17に対して挿入される。従って、図1、図5、図6に示すように、永久磁石20は、その磁極面20Sが磁石スロット部16における長辺に沿った状態で、磁石挿入スロット15内に配設される。又、第1磁石挿入スロット15A及び第2磁石挿入スロット15Bと同様に、その内部の永久磁石20も、V字状に配置される。
尚、本実施形態に係るロータ1において、各永久磁石20は、ロータコア10の周方向に沿ってステータに対する磁界の向きが交互に反対となるように配置される。即ち、各永久磁石20は、ロータ1の径方向外側から見て、ロータ1の周方向に沿ってN極とS極とが交互に現れるように配置されている。
次に、本実施形態に係るロータ1において、周囲の温度に伴う永久磁石20の移動について、一組の磁石挿入スロット15(第1磁石挿入スロット15A及び第2磁石挿入スロット15B)内の永久磁石20及び位置規制部材30を例として、図5、図6を参照しつつ詳細に説明する。
図5は、通常時(即ち、磁石挿入スロット15の周囲の温度が不可逆減磁リスク温度Tr未満である状態)における磁石挿入スロット15内の永久磁石20及び位置規制部材30を示す説明図である。
図5に示すように、永久磁石20は、位置規制部材30と共にユニット化された状態で、第1磁石挿入スロット15A、第2磁石挿入スロット15B内に挿入される。この時、第1磁石挿入スロット15A、第2磁石挿入スロット15Bの何れにおいても、永久磁石20及び位置規制部材30の磁石取付部31、感温変形部33は、磁石挿入スロット15におけるロータ1の外周面側に位置する磁石スロット部16内に位置する。又、位置規制部材30の保持部32は、磁石挿入スロット15における回転軸S側に位置する部材固定部17内に位置する。
図4に示すように、通常時(磁石挿入スロット15の周囲の温度が不可逆減磁リスク温度Tr未満である状態)においては、位置規制部材30の感温変形部33は、通常長さLnである。従って、位置規制部材30は、永久磁石20を、磁石スロット部16における最もロータ1の外周面側に位置させる。この結果、図5に示すように、磁石挿入スロット15内において、永久磁石20よりもロータ1の外周面側に、空間が形成されることはない。
ここで、磁石挿入スロット15内において、永久磁石20よりもロータ1の外周面側に形成される空間は、IPMモータのステータからの回転磁束を妨げるフラックスバリアとして機能する。
この点、図5に示すように、通常時においては、磁石挿入スロット15内において、永久磁石20よりもロータ1の外周面側に、フラックスバリアとして機能する空間が形成されることはないため、本実施形態に係るロータ1によれば、通常時において、当該ロータ1を用いたIPMモータの出力特性に影響を及ぼすことはなく、十分な出力特性を確保することができる。
本実施形態に係るIPMモータを駆動させると、ロータ1は、ステータからの回転磁束によって、回転軸Sを中心に回転する。この時、ロータ1の回転により渦電流が流れ、それに伴うジュール熱によって、ロータコア10内に配設された永久磁石20の温度が上昇していく。この結果、発生したジュール熱によって、永久磁石20近傍の温度が不可逆減磁リスク温度Trまで上昇してしまう場合がある。
磁石挿入スロット15の周囲の温度が不可逆減磁リスク温度Tr以上に上昇すると、位置規制部材30の感温変形部33は、通常長さLnから高温時長さLhまで、周囲の温度に応じて、その全長が短くなるように変形する(図4参照)。
上述したように、回転軸S側に位置する感温変形部33の端部は、ボルトによって保持部32に締結されている。そして、保持部32は、磁石挿入スロット15における回転軸S側に位置する部材固定部17に挿入されることにより、回転軸S側の所定位置に固定されている。一方、ロータ1の外周面側に位置する感温変形部33の端部は、永久磁石20の側面に固着された磁石取付部31に対して、ボルトによって締結されている。
従って、感温変形部33が通常長さLnから高温時長さLhに変形すると、位置規制部材30は、回転軸S側が部材固定部17により固定された状態で、全長が縮むように変形する。この結果、永久磁石20は、位置規制部材30の変形によって、磁石挿入スロット15の長手方向に沿って、ロータ1の外周面側から回転軸S側へ移動する(図6参照)。
図6に示すように、磁石挿入スロット15内においては、感温変形部33が高温時長さLhに変形すると、位置規制部材30のストローク量(通常長さLnと高温時長さLhの差に相当する)に応じた空間が、永久磁石20よりもロータ1外周面側に形成される。
こうして、磁石挿入スロット15内において、永久磁石20よりもロータ1の外周面側に形成された空間は、IPMモータのステータからの回転磁束を妨げるフラックスバリアとして機能する。従って、本実施形態に係るロータ1によれば、当該空間を形成することにより、永久磁石20の更なる発熱を抑制することができる。
又、本実施形態において、不可逆減磁リスク温度Trは、永久磁石20に不可逆減磁が発生する温度よりも低い温度であるので、永久磁石20よりもロータ1の外周面側でフラックスバリアとして機能する空間は、不可逆減磁が発生する温度になる前に、位置規制部材30による永久磁石20の移動に伴って形成される。従って、当該ロータ1によれば、永久磁石20に不可逆減磁が発生する温度となる前に、永久磁石20の温度上昇を防止することができ、もって、永久磁石20における不可逆減磁の発生を防止することができる。又、当該ロータ1によれば、位置規制部材30による永久磁石20の移動を、不可逆減磁を防止するためのセーフティリミッタとして機能させ得る。
図1、図5、図6に示すように、第1磁石挿入スロット15Aと第2磁石挿入スロット15Bは、V字状に配置されており、その内部に配設された永久磁石20の磁極面20Sも、V字状に配置されている。又、永久磁石20の磁極面20Sは、磁石挿入スロット15における磁石スロット部16の長辺に沿っており、位置規制部材30による永久磁石20の移動方向は、磁石スロット部16の長辺方向と同一方向である。従って、当該回転電機のロータによれば、位置規制部材30による永久磁石20の移動の前後においても、永久磁石20の磁極面20Sと、ロータコア10(即ち、磁極面20Sと対向する磁石挿入スロット15の内壁面)との距離を一定に保ちつつ、永久磁石20における不可逆減磁の発生を防止し得る。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、複数の磁石挿入スロット15をV字状に配置し、位置規制部材30によって永久磁石20をV字に沿って移動させる構成であったが、この態様に限定するものではない。例えば、図7に示すように、各磁石挿入スロット15を、永久磁石20の磁極面20Sを径方向外側にむけた状態で、径方向に移動可能なように形成し、各永久磁石20を、位置規制部材30によって、当該径方向に沿って、ロータ1外周面に対して近接・離間する構成であっても良い。
又、本実施形態においては、位置規制部材30は、磁石取付部31と、保持部32と、感温変形部33とにより構成されていたが、この態様に限定されるものではない。即ち、本発明に係る位置規制部材は、周囲の温度により変形することで、磁石挿入スロット内をロータ1外周面に対して近接・離間させるように、永久磁石20を移動させる部材であればよく、例えば、熱膨張率の異なる2種類の金属を用いたバイメタルによって構成しても良いし、形状記憶合金より構成された感温バネであってもよい。
そして、本実施形態においては、位置規制部材30は、磁石挿入スロット15内において、永久磁石20に対して回転軸S側に配設されているが、この態様に限定されるものではない。即ち、磁石挿入スロット15内において、永久磁石20よりもロータ1外周面側に、本発明における位置規制部材が配設される構成であってもよい。この場合における位置規制部材は、不可逆減磁リスク温度Tr以上となった場合に、その全長が伸びるように変形することは勿論である。
1 ロータ
10 ロータコア
15 磁石挿入スロット
16 磁石スロット部
17 部材固定部
20 永久磁石
20S 磁極面
30 位置規制部材
31 磁石取付部
32 保持部
33 感温変形部
S 回転軸
Tr 不可逆減磁リスク温度

Claims (4)

  1. 界磁を形成する複数の永久磁石と、
    回転可能に配設された回転軸と、
    前記回転軸周りに分散配置され、前記永久磁石が挿入される複数の磁石挿入スロットを有すると共に、前記回転軸に対して固設されたロータコアと、を有する回転電機のロータであって、
    前記磁石挿入スロットは、
    前記ロータコアの外周面に対して近接・離間する方向へ、前記永久磁石が移動可能に形成され、
    前記磁石挿入スロット内部には、
    所定の温度以上となった場合に、前記ロータコアの外周面から離間する方向へ、前記永久磁石を移動させる位置規制部材が配設されている
    ことを特徴とする回転電機のロータ。
  2. 請求項1記載の回転電機のロータであって、
    前記磁石挿入スロットは、
    一極あたり少なくとも、第1磁石挿入スロットと、前記第1磁石挿入スロットに隣接配置された第2磁石挿入スロットとを有し、
    前記回転軸の軸方向に直交する断面において、
    前記ロータコアの外周面側における前記第1磁石挿入スロットと前記第2磁石挿入スロットの間の距離は、前記回転軸側における前記第1磁石挿入スロットと前記第2磁石挿入スロットの間の距離と異なるように配置され、
    前記永久磁石は、
    前記第1磁石挿入スロット及び前記第2磁石挿入スロット内において、夫々、前記位置規制部材による移動方向に沿って延びる面に、界磁を発生させる磁極面を有する
    ことを特徴とする回転電機のロータ。
  3. 請求項1又は請求項2記載の回転電機のロータであって、
    前記位置規制部材は、
    前記磁石挿入スロット内部において、前記永久磁石よりも前記回転軸側に配設されている
    ことを特徴とする回転電機のロータ。
  4. 請求項3記載の回転電機のロータであって、
    前記位置規制部材は、
    前記永久磁石が取り付けられる磁石取付部と、
    前記磁石挿入スロットにおける所定位置に保持される保持部と、
    前記磁石取付部と前記保持部の間に配設され、所定の温度以上となった場合に、全長が縮む方向に変形する感温変形部と、を有し、
    前記磁石挿入スロットは、
    前記回転軸の軸方向に直交する断面における前記回転軸側となる位置に、
    前記位置規制部材の保持部を固定する固定部を有している
    ことを特徴とする回転電機のロータ。
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