JP2013197353A - 化合物半導体太陽電池および化合物半導体太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特性と経済性に優れた化合物半導体太陽電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の化合物半導体光電変換セル40aと、第1の化合物半導体光電変換セル40a上に設置された第2の化合物半導体光電変換セル40bと、第1の化合物半導体光電変換セル40aと前2の化合物半導体光電変換セル40bとの間に設置された第1の化合物半導体バッファ層41とを備え、第1の化合物半導体バッファ層41はInP層およびGaP層からなる複数の超格子の対で形成する。
【選択図】図1
【解決手段】第1の化合物半導体光電変換セル40aと、第1の化合物半導体光電変換セル40a上に設置された第2の化合物半導体光電変換セル40bと、第1の化合物半導体光電変換セル40aと前2の化合物半導体光電変換セル40bとの間に設置された第1の化合物半導体バッファ層41とを備え、第1の化合物半導体バッファ層41はInP層およびGaP層からなる複数の超格子の対で形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、化合物半導体太陽電池および化合物半導体太陽電池の製造方法に関する。
従来、化合物半導体太陽電池を高効率化する(光電変換効率を高くする)方法として、半導体基板上に半導体基板と同程度の格子定数を有する化合物半導体層を成長させて複数個の化合物半導体光電変換セルを形成した太陽電池を得る方法が用いられていた。
しかしながら、化合物半導体層を成長するための主な半導体基板となるSi、Ge、GaAsまたはInPなどと同程度の格子定数を有し、さらには好適な禁制帯幅を有する化合物半導体光電変換セルを用いた化合物半導体太陽電池としては、GaAs基板を用いたInGaP/GaAs太陽電池や、Ge基板を用いたInGaP/InGaAs/Ge太陽電池などに限られていた。
また、これらの化合物半導体太陽電池よりもさらに高効率化する方法として、InGaP/GaAs太陽電池に3つ目の化合物半導体光電変換セルとして1eVの禁制帯幅を有する化合物半導体光電変換セルを配置する方法もある。
この1eV程度の禁制帯幅を有する3つ目の化合物半導体光電変換セルとして、GaAsと格子定数が約2.3%ずれているInGaAsを用いることが提案されている。しかしながら、InGaP/GaAs化合物半導体太陽電池の3つ目の化合物半導体光電変換セルとしてInGaAsを用い、その層を最初に成長する場合には、GaAs基板上に格子不整合系半導体を成長した後にInGaP/GaAs格子整合系半導体を成長させることになる。このため、InGaP/GaAs半導体の結晶性が悪くなって、太陽電池全体の特性が悪化する虞があった。
そこで、半導体基板上にInGaP/GaAs化合物半導体層を先に成長させ、そこから格子定数を段階的に変化させた複数のInGaP層からなるバッファ層を介して半導体基板と格子定数が異なるInGaAs化合物半導体層を成長する方法が研究されている(たとえば、J. F. Geisz et al., “Inverted GaInP/GaAs/InGaAs triple-junction solar cells with low-stress metamorphic bottom junctions”,33th IEEE Photovoltaic Specialists Conference, 2008(非特許文献1)を参照)。InGaPバッファ層は10層程度に分割して成長させ、GaAs基板と同等の格子定数を有する組成の層からほぼInGaAs層の格子定数を有する組成の層に段階的に変化させる。このときInGaAs層に最も近いInGaP層は1μm程度と厚く、それ以外のInGaP層は各々0.2〜0.3μm程度と比較的薄く形成される。
すなわち、半導体基板と格子定数が同等程度の化合物半導体光電変換セルを先に形成することによってこの化合物半導体光電変換セルにおいては良好な結晶性が得られ、さらに半導体基板と格子定数が異なる格子不整合系の化合物半導体層からなる化合物半導体光電変換セルの特性も得られることになり、高効率の化合物半導体太陽電池が得られる。この際のInGaP層からなるバッファ層の役割は、格子定数が異なることで発生する貫通転位をバッファ層の中に閉じ込め、格子不整合系の化合物半導体光電変換セルに伝搬する転位密度を減らしその結晶性を良好にすることにある。
また特開2010−182951号公報(特許文献1)においては、非特許文献1と同様の構成において、格子不整合系のInGaAs化合物半導体光電変換セルのベース層と、InGaPバッファ層を構成する化合物半導体層のうちInGaAs化合物半導体光電変換セルに最も近い位置に設置されている化合物半導体層との格子定数差比が0.15%以上0.74%以下とすることで特性の改善が見られることが示唆されている。
J. F. Geisz et al., "Inverted GaInP/GaAs/InGaAs triple-junction solar cells with low-stress metamorphic bottom junctions",33th IEEE Photovoltaic Specialists Conference, 2008
しかしながら、上述した非特許文献1および特許文献1に記載の方法により作製された化合物半導体太陽電池においては、InGaAs化合物半導体光電変換セルのバンドギャップとそのセルの開放電圧Vocの差が0.4〜0.54Vであり、GaAs基板と格子定数が同等である場合に期待できる0.38V未満には及ばないものであった。また、InGaP層で形成されるバッファ層は、貫通転位を充分に閉じ込めるためにはトータルの厚みを3μm以上と厚くしなければならずエピタキシャル成長に多くの材料が必要で経済性に乏しいものでもあった。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、特性と経済性に優れた化合物半導体太陽電池およびその製造方法を提供することにある。
本発明の化合物半導体太陽電池は、第1の化合物半導体光電変換セルと、第1の化合物半導体光電変換セル上に設置された第2の化合物半導体光電変換セルと、第1の化合物半導体光電変換セルと第2の化合物半導体光電変換セルとの間に設置された第1の化合物半導体バッファ層とを備え、第1の化合物半導体バッファ層はInP層およびGaP層からなる複数の超格子の対で形成されたものであることを特徴とする(以下、「第1の態様の化合物半導体太陽電池」と呼称する)。
本発明はまた、第1の化合物半導体光電変換セルと、第1の化合物半導体光電変換セル上に設置された第2の化合物半導体光電変換セルと、第1の化合物半導体光電変換セルと第2の化合物半導体光電変換セルとの間に設置された第1の化合物半導体バッファ層と、を備え、第1の化合物半導体バッファ層はInP層およびGaP層からなる複数の超格子の対で形成され、記第1の化合物半導体光電変換セルと前記第1の化合物半導体バッファ層との間に、InGaPバルク層で形成された第2の化合物半導体バッファ層をさらに備える化合物半導体太陽電池についても提供する(以下、「第2の態様の化合物半導体太陽電池」と呼称する)。
本発明の化合物半導体太陽電池において、第1の化合物半導体光電変換セルと第2の化合物半導体バッファ層とは近接した位置に設置されており、第1の化合物半導体光電変換セルと、第2の化合物半導体バッファ層との格子定数差比が、0.20%以上0.65%以下であることが好ましい。
また本発明の化合物半導体太陽電池において、第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体のバンドギャップエネルギが0.9eV以上1.1eV以下であることが好ましい。
本発明の化合物半導体太陽電池において、第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体がInGaAsであることが好ましい。
本発明の化合物半導体太陽電池において、第2の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体がGaAsまたはInGaAsであることが好ましい。
本発明の化合物半導体太陽電池において、第2の化合物半導体光電変換セル上に設置された第3の化合物半導体光電変換セルをさらに備えることが好ましい。この場合、第3の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体がInGaPまたはAlInGaPであることが好ましい。
本発明はまた、上述した第2の態様の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、半導体基板上に第2の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、第2の化合物半導体光電変換セル上に第1の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第1の化合物半導体バッファ層上に第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第2の化合物半導体バッファ層上に第1の化合物半導体光電変換セルを形成する工程とを含む、化合物半導体太陽電池の製造方法についても提供する(以下、「製造方法A」と呼称する)。
また本発明は、上述した第2の態様の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、半導体基板上に第3の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、第3の化合物半導体光電変換セル上に第2の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、第2の化合物半導体光電変換セル上に第1の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第1の化合物半導体バッファ層上に第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第2の化合物半導体バッファ層上に第1の化合物半導体光電変換セルを形成する工程とを含む、化合物半導体太陽電池の製造方法についても提供する(以下、「製造方法B」と呼称する)。
本発明はさらに、上述した第2の態様の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、半導体基板上に第3の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程と、第3の化合物半導体光電変換セル上に第1のトンネル接合層をエピタキシャル成長により形成する工程と、第1のトンネル接合層上に第2の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程と、第2の化合物半導体光電変換セル上に第2のトンネル接合層をエピタキシャル成長により形成する工程と、第2のトンネル接合層上に第1の化合物半導体バッファ層をエピタキシャル成長により形成する工程と、第1の化合物半導体バッファ層上に第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、化合物半導体バッファ層上に第1の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程とを含む、化合物半導体太陽電池の製造方法についても提供する(以下、「製造方法C」と呼称する)。
本発明の製造方法A、B、Cのいずれの場合でも、半導体基板を除去する工程をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、特性に優れた化合物半導体太陽電池およびその化合物半導体太陽電池の製造方法を提供することができる。
本発明の第1の態様の化合物半導体太陽電池は、第1の化合物半導体光電変換セルと、第1の化合物半導体光電変換セル上に設置された第2の化合物半導体光電変換セルと、第1の化合物半導体光電変換セルと第2の化合物半導体光電変換セルとの間に設置された、GaP層とInP層による複数の超格子の対でできた半導体バッファ層とを備えている。また、本発明の第2の態様の化合物半導体太陽電池は、上述の第1の化合物半導体太陽電池において、第1の化合物半導体光電変換セルと前記第1の化合物半導体バッファ層との間に、InGaPバルク層で形成された第2の化合物半導体バッファ層をさらに備える。以下、第1の態様の化合物半導体太陽電池、第2の態様の化合物半導体太陽電池を特に区別しない場合には、「本発明の化合物半導体太陽電池」と総称する。このような本発明の化合物半導体太陽電池は、後述する実験例にて立証するように優れた特性を有しながらも、従来のようにバッファ層を形成するためのエピタキシャル成長に多くの材料を必要とすることなく、経済性にも優れたものである。
また本発明の化合物半導体太陽電池において、第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体のバンドギャップエネルギは、特に制限されるものではないが、0.9eV以上1.1eV以下であることが好ましく、0.95eV以上1.05eV以下であることがより好ましい。第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体のバンドギャップエネルギが0.9eV未満である場合には、本発明の化合物半導体太陽電池の開放電圧が低下する傾向にあり、また、1.1eVを超える場合には、本発明の化合物半導体太陽電池の短絡電流が減少する傾向にある。
このような第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としては、特に制限されるものではないが、たとえばInGaAs、InGaAlAs、InGaAsN、InGaAlAsNなどを挙げることができる。中でも、構成する元素の数が最も少なく、形成時の材料供給の制御がし易いという観点から、第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としてはInGaAsが好ましい。ここで、第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としてInGaAsを用いる場合、In(インジウム)とGa(ガリウム)の組成比は、バンドギャップエネルギーを0.9eV以上1.1eV以下になるように適宜設定することが可能である。
本発明における第1の化合物半導体光電変換セルの厚みは特に制限されないが、1.5μm以上4.5μm以下であることが好ましく、2μm以上4μm以下であることが好ましい。第1の化合物半導体光電変換セルの厚みが1.5μm未満である場合には、本発明の化合物半導体太陽電池の短絡電流が減少する傾向にあり、また、4.5μmを超える場合には、本発明の化合物半導体太陽電池の開放電圧が低下する傾向にある。
また、本発明の化合物半導体太陽電池において、第2の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としては、特に制限されるものではないが、たとえばGaAs、InGaAs、AlGaAs、InGaAlAsなどを挙げることができる。中でも、構成する元素の数が少なく形成時の材料供給の制御がし易く、また通常用いられるGaAsやGeなどの半導体基板に格子整合する化合物半導体であるという理由からは、第2の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としてはGaAsまたはInGaAsが好ましい。ここで、第2の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としてInGaAsを用いる場合、InとGaとの組成比はGeなどの半導体基板に格子整合するように適宜設定することが可能である。
本発明における第2の化合物半導体光電変換セルの厚みは特に制限されないが、1.5μm以上4.5μm以下であることが好ましく、2μm以上4μm以下であることが好ましい。第2の化合物半導体光電変換セルの厚みが1.5μm未満である場合には、本発明の化合物半導体太陽電池の短絡電流が減少する傾向にあり、また、4.5μmを超える場合にも、本発明の化合物半導体太陽電池の短絡電流が減少する傾向にある。
本発明の化合物半導体太陽電池は、第1の化合物半導体バッファ層は、第1の化合物半導体光電変換セルと前記第2の化合物半導体光電変換セルとの間に設置された第1の化合物半導体バッファ層が、InP層およびGaP層からなる複数の超格子の対で形成されてなることを大きな特徴とする。ここで、「超格子」とは、複数の種類の結晶格子の重ね合わせにより、その周期構造が基本単位格子よりも長くなった結晶格子を指す。第1の化合物半導体バッファ層の超格子の対の数は、特に制限されるものではないが、40個以上であることが好ましく、50個以上であることがより好ましい。超格子の対が40個未満である場合には、第1の化合物半導体バッファ層中に貫通転位を充分に閉じ込めることができず、本発明の化合物半導体太陽電池の開放電圧が低下する虞があるためである。また、本発明の化合物半導体太陽電池の特性に与える影響の面からは対の数の上限は特にないが、材料の使用量を少なくするためには80個以下にすることが望ましい。
本発明における第1の化合物半導体バッファ層は、その厚みは特に制限されるものではないが、従来のようにInGaPバルク層で形成した場合と比較すると格段に薄くすることができ、0.4μm以上であることが好ましく、0.55μm以上であることがより好ましい。第1の化合物半導体バッファ層の厚みが0.4μm未満である場合には、第1の化合物半導体バッファ層中に貫通転位を充分に閉じ込めることができず、本発明の化合物半導体太陽電池の開放電圧が低下するという虞があるためである。また、本発明の化合物半導体太陽電池の特性に与える影響の面からは厚みの上限は特にないが、材料の使用量を少なくするためには1μm以下にすることが好ましい。
本発明の化合物半導体太陽電池における第2の化合物半導体バッファ層は、その厚みは特に制限されるものではないが、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。第2の化合物半導体バッファ層の厚みが0.3μm未満である場合には、第2の化合物半導体バッファ層中に貫通転位を充分に閉じ込めることができず、本発明の化合物半導体太陽電池の開放電圧が低下する虞があるためである。また、本発明の化合物半導体太陽電池の特性に与える影響の面からは厚みの上限は特にないが、材料の使用量を少なくするためには1μm以下にすることが好ましい。
また本発明の化合物半導体太陽電池は、第2の化合物半導体光電変換セル上に設置された第3の化合物半導体光電変換セルをさらに備えることが好ましい。この第3の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としては、特に制限されるものではないが、たとえば、InGaP、AlInGaP、InGaN、AlInGaNなどを挙げることができる。中でも、結晶成長のし易い化合物半導体であるという理由からは、第3の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としてはInGaPまたはAlInGaPが好ましい。ここで、第3の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としてInGaPを用いる場合、InとGaとの組成比はGaAsなどの半導体基板に格子整合するように、適宜設定することが可能である。また、第3の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体としてAlInGaP用いる場合においても、AlとInとGaとの組成比はGaAsなどの半導体基板に格子整合するように、適宜設定することが可能である。
本発明における第3の化合物半導体光電変換セルの厚みは特に制限されないが、0.5μm以上2μm以下であることが好ましく、0.7μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。第3の化合物半導体光電変換セルの厚みが0.5μm未満である場合には、本発明の化合物半導体太陽電池の短絡電流が減少する傾向にあり、また、1.5μmを超える場合にも、本発明の化合物半導体太陽電池の短絡電流が減少する傾向にある。
ここで、図1は、本発明の化合物半導体太陽電池を模式的に示す断面図である。図1には、上述した本発明の第2の態様の化合物半導体太陽電池の好ましい一例を示している。図1に示す例の化合物半導体太陽電池は、支持基板101(たとえば厚み400μmのSi基板)上に、金属層102(たとえば、Au(たとえば厚み0.1μm)/Ag(たとえば厚み3μm)の積層体)、p型InGaAsからなるコンタクト層35(たとえば厚み0.4μm)、p型InGaPからなるBSF(Back Surface Field)層34(たとえば厚み0.1μm)、p型InGaAsからなるベース層33(たとえば厚み3μm)、n型InGaAsからなるエミッタ層32(たとえば厚み0.1μm)およびn型InGaPからなる窓層31(たとえば厚み0.1μm)、がこの順序で形成されている。ここで、p型InGaAsからなるベース層33とn型InGaAsからなるエミッタ層32との接合体からボトムセル(上述した第1の化合物半導体光電変換セル)40aが構成されている。なお、n型InGaPからなる窓層31の格子定数およびn型InGaAsからなるエミッタ層32の格子定数はそれぞれ、p型InGaAsからなるベース層33の格子定数と同等程度とされる。
また、図1に示す例において、n型InGaPからなる窓層31上には、n型InxGa1−xP(たとえばx=0.82)からなるバルク層30(たとえば厚み1μm)を介して、n型In0.80Ga0.20P層と組成と格子定数が平均として一致するInP層とGaP層による複数の超格子の対でできた層29が形成されている。詳細には、層29はn型のInP層(8原子層)/GaP層(2原子層)を対としてこれを10対繰り返して構成したものとなっており、トータルの厚みは、たとえば0.058μmである。層29は平均的にn型In0.80Ga0.20P層と組成が等しくなっており、かつ格子定数もほぼ一致している。続いて層29上にはn型のInP層(8原子層)/GaP層(2原子層)/InP層(7原子層)/GaP層(3原子層)を対としてこれを5対繰り返して構成した層28(トータル厚み0.058μm)が形成されている。層28は平均的にn型In0.75Ga0.25P層と組成が等しくなっており、この層の格子定数にほぼ一致している。さらに層28上にはn型のInP層(7原子層)/GaP層(3原子層)を対としてこれを10対繰り返して構成した層27、n型のInP層(7原子層)/GaP層(3原子層)/InP層(6原子層)/GaP層(4原子層)を対としてこれを5対繰り返して構成した層26、n型のInP層(6原子層)/GaP層(4原子層)を対としてこれを10対繰り返して構成した層25、n型のInP層(6原子層)/GaP層(4原子層)/InP層(5原子層)/GaP層(5原子層)を対としてこれを5対繰り返して構成した層24、n型のInP層(5原子層)/GaP層(5原子層)を対としてこれを10対繰り返して構成した層23、およびn+型のIn0.48Ga0.52Pバルク層22(たとえば厚み0.25μm)がこの順序で形成されている。ここで層27,26,25,24,23はそれぞれ平均的にn型In0.70Ga0.30P層、n型In0.65Ga0.35P層、n型In0.60Ga0.40P層、n型In0.55Ga0.45P層、n型In0.50Ga0.40P層の組成と格子定数が等しくそれぞれの層厚は約0.058μmである。これら層29,28,27,26,25,24,23,22によって第1の化合物半導体バッファ層41が構成される。また、バルク層30は、上述した第2の化合物半導体バッファ層として機能する。
図1に示す例において、第1の化合物半導体バッファ層41のトータル厚みは、たとえば0.65μmであり、当該層を従来のようにInGaPバルク層で形成した場合と比較すると薄く形成でき、材料を節約できる。
図1に示す例では、第1の化合物半導体バッファ層41上には、n+型AlInP層110(たとえば厚み0.05μm)、n++型In0.48Ga0.52P層111(たとえば厚み0.02μm)、p++型AlGaAs層112(たとえば厚み0.02μm)およびp+型AlInP層113(たとえば厚み0.05μm)がこの順に形成されている。ここで、n+型AlInP層110、n++型In0.48Ga0.52P層111、p++型AlGaAs層112およびp+型AlInP層113からトンネル接合層50aが構成されている。
また、図1に示す例では、トンネル接合層50a上には、p型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114(たとえば厚み0.1μm)、p型GaAsからなるベース層115(たとえば厚み3μm)、n型GaAsからなるエミッタ層116(たとえば厚み0.1μm)およびn型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117(たとえば厚み0.1μm)がこの順序で積層されている。ここで、p型GaAsからなるベース層115とn型GaAsからなるエミッタ層116との接合体からミドルセル(上述した第2の化合物半導体光電変換セル)40bが構成されている。
また、図1に示す例では、n型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117上には、n+型AlInP層118(たとえば厚み0.05μm)、n++型In0.48Ga0.52P層119(たとえば厚み0.02μm)、p++型AlGaAs層120(たとえば厚み0.02μm)およびp+型AlInP層121(たとえば厚み0.05μm)がこの順に積層されている。ここで、n+型AlInP層118、n++型In0.48Ga0.52P層119、p++型AlGaAs層120およびp+型AlInP層121からトンネル接合層50bが構成されている。
また、図1に示す例では、p+型AlInP層121上には、p型AlInPからなるBSF層122(たとえば厚み0.05μm)、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123(たとえば厚み0.65μm)、n型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124(たとえば厚み0.05μm)およびn型AlInPからなる窓層125(たとえば厚み0.05μm)がこの順に形成されている。ここで、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123とn型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124との接合体からトップセル(上述した第3の化合物半導体光電変換セル)40cが構成されている。
また、図1に示す例では、n型AlInPからなる窓層125上に、n型GaAsからなるコンタクト層126(たとえば厚み0.4μm)および反射防止膜127が形成され、コンタクト層126上に電極層128が形成されている。
なお、図1に示す化合物半導体太陽電池においては、ボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)40aを構成する化合物半導体層、ミドルセル(第2の化合物半導体光電変換セル)40bを構成する化合物半導体層およびトップセル(第3の化合物半導体光電変換セル)40cを構成する化合物半導体層の順にバンドギャップが大きくなっている。
また、上述のように、ボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)40aを構成する化合物半導体層のバンドギャップエネルギは0.9eV以上1.1eV以下であることが好ましく、この場合には、トップセル(第3の化合物半導体光電変換セル)40c、ミドルセル(第2の化合物半導体光電変換セル)40bおよびボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)40aからなる3接合構造の化合物半導体太陽電池の理論効率が45%以上となる傾向にある。
実験例にて後述するように、図1に示した例の本発明の化合物半導体太陽電池では、開放電圧Vocは、AM1.5Gスペクトルの下で3.05Vとなり、第1の化合物半導体バッファ層41を超格子構造ではなくn型のInGaPバルク層で形成した従来の太陽電池と比較すると0.04V向上された。本発明者は、開放電圧が向上した要因を見つけるために超格子で構成された第1の化合物半導体バッファ層41を有する本発明の化合物半導体太陽電池と、InGaPのバルク層のみでバッファ層を構成した従来の化合物半導体太陽電池の断面のTEM像を比較した。
図2は、本発明と従来の化合物半導体太陽電池の断面の貫通転移の密度を模式的に示す図であり、図2(A)は本発明の化合物半導体太陽電池の第1の化合物半導体バッファ層付近における貫通転移密度、図2(B)は従来の化合物半導体太陽電池のInGaPのバルク層のみで構成されたバッファ層付近の貫通転移密度をそれぞれ示している。図2では、転位密度を横方向に平均化し、濃淡によって転位密度の大小を視覚的に示しているが(濃い部分が密度大、薄い部分が密度小)、実際のTEM像は貫通転位が縦横斜めランダムに発生しているので必ずしもTEM像そのものと一致するものではない。
まず、図2(B)に示される従来の化合物半導体太陽電池では、バッファ層を構成する各層に概ね一様に貫通転位が発生しており(各層の上部では若干転位密度が減少する傾向が見られる)、n型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30においても転位が残っている。一方、図2(A)に示される本発明の化合物半導体太陽電池では、第1の化合物半導体バッファ層を構成する各層において貫通転位の密度が周期的に変化していることがわかった。より詳しくはGaP層で密度が大きく、InP層で小さい傾向が確認された。また本発明の化合物半導体太陽電池では、n型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30においては転位がほとんど観測されなかった。このような貫通転位の発生の様子の違いが、化合物半導体太陽電池の結晶性の差を生み、すなわち第1の化合物半導体バッファ層41を備える本発明の化合物半導体太陽電池では、従来の化合物半導体太陽電池と比較して、化合物半導体太陽電池の結晶性がより良好となるために、開放電圧が向上したものと考えられる。
なお、図1に示した例において、ボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)40aと第2の化合物半導体バッファ層であるバルク層30とはn型InGaP窓層31を介して近接した位置に配置されており、ボトムセル40aを構成する化合物半導体層のうちp型InGaAsからなるベース層33と、n型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30との格子定数差比は、上述のように0.20%以上0.65%以下であることが好ましい。これは、後述するように、本発明者が鋭意検討した結果、近接した位置に配置されているボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)40aとバルク層(第2の化合物半導体バッファ層)との格子定数差比が0.20%以上0.65%以下の範囲内にした場合に、化合物半導体太陽電池の特性を向上できることを見出したことに基づく。
なお、格子定数差比(%)は、下記の式(1)により算出することができる。
格子定数差比(%)=(100×(a1−a2))/(a1) …(1)
上記の式(1)において、a1は、第2の化合物半導体バッファ層(図1に示す例では、n型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30)の格子定数を示す。また、上記の式(1)において、a2は、第1の化合物半導体光電変換セル(図1に示す例では、ボトムセル40aを構成する化合物半導体層のうちp型InGaAsからなるベース層33)の格子定数を示す。
格子定数差比(%)=(100×(a1−a2))/(a1) …(1)
上記の式(1)において、a1は、第2の化合物半導体バッファ層(図1に示す例では、n型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30)の格子定数を示す。また、上記の式(1)において、a2は、第1の化合物半導体光電変換セル(図1に示す例では、ボトムセル40aを構成する化合物半導体層のうちp型InGaAsからなるベース層33)の格子定数を示す。
なお、上記格子定数差比は、ボトムセル40aを構成する化合物半導体層のベース層33およびn型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30の少なくとも一方の組成を調整することにより、上記範囲内に収まるようにすることができる。図1に示す例では、ベース層33の組成により上記格子定数差比を調整するようにしている。
また、上記格子定数差比は0.3%以上0.5%以下の範囲内にあることが好ましい。上記格子定数差比が0.3%以上0.5%以下の範囲内にある場合には、化合物半導体太陽電池の特性がさらに向上する傾向にある。
なお、エミッタ層32および窓層31の厚みはそれぞれ、ベース層33およびn型In0.82Ga0.18Pバルク層30の厚みに対して非常に薄いため、エミッタ層32および窓層31の存在の有無は上記格子定数差比に殆ど影響を与えないものと考えられる。
本発明はまた、上述した本発明の化合物半導体太陽電池の製造方法についても提供する。本発明の製造方法Aは、上述した第2の態様の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、半導体基板上に第2の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、第2の化合物半導体光電変換セル上に第1の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第1の化合物半導体バッファ層上に第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第2の化合物半導体バッファ層上に第1の化合物半導体光電変換セルを形成する工程とを含むことを特徴とする。
また本発明の製造方法Bは、上述した第2の態様の化合物半導体太陽電池のうち、第3の化合物半導体光電変換セルをさらに備える場合の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、半導体基板上に第3の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、第3の化合物半導体光電変換セル上に第2の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、第2の化合物半導体光電変換セル上に第1の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第1の化合物半導体バッファ層上に第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、第2の化合物半導体バッファ層上に第1の化合物半導体光電変換セルを形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の製造方法Cは、上述した本発明の製造方法Bをより詳細にしたものであって、半導体基板上に第3の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程と、第3の化合物半導体光電変換セル上に第1のトンネル接合層をエピタキシャル成長により形成する工程と、第1のトンネル接合層上に第2の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程と、第2の化合物半導体光電変換セル上に第2のトンネル接合層をエピタキシャル成長により形成する工程と、第2のトンネル接合層上に第1の化合物半導体バッファ層をエピタキシャル成長により形成する工程と、第1の化合物半導体バッファ層上に第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、化合物半導体バッファ層上に第1の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程とを含むことを特徴とする。
上述した本発明の製造方法A、B、Cのいずれの場合でも、半導体基板を除去する工程をさらに含むことが好ましい。これにより、第2の化合物半導体光電変換セル、ないし第3の化合物半導体光電変換セルを受光面側に配置できるという利点がある。なお、本発明において用いられる半導体基板は、GaAs基板が好ましいが、これに限定されるものではなく、GaAsとほぼ格子定数を等しくするGe基板であってもよい。
ここで、図3〜図5は、図1に示した化合物半導体太陽電池の製造方法を段階的に示す断面図である。以下、上述した製造方法Cを例に挙げて、図1に示した化合物半導体太陽電池を製造する場合の本発明の化合物半導体太陽電池の製造方法について詳しく説明する。なお、図3〜図5において、図1に示したのと同様の構成を有する部分については同一の参照符を付している。
まず、図3に示すように、たとえば直径50mmのGaAs基板130をMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置内に設置し、このGaAs基板130上に、GaAsと選択エッチングが可能なエッチングストップ層となるn型In0.48Ga0.52Pからなるエッチングストップ層131、n型GaAsからなるコンタクト層126、n型AlInPからなる窓層125、n型In0.48Ga0.52Pからなるエミッタ層124、p型In0.48Ga0.52Pからなるベース層123およびp型AlInPからなるBSF層122をこの順にMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。
次に、p型AlInPからなるBSF層122上に、p+型AlInP層121、p++型AlGaAs層120、n++型In0.48Ga0.52P層119およびn+型AlInP層118をこの順にMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。
次に、n+型AlInP層118上に、n型In0.48Ga0.52Pからなる窓層117、n型GaAsからなるエミッタ層116、p型GaAsからなるベース層115、およびp型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114をこの順にMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。
次に、p型In0.48Ga0.52PからなるBSF層114上に、p+型AlInP層113、p++型AlGaAs層112、n++型In0.48Ga0.52P層111およびn+型AlInP層110をこの順にMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。
次に、n+型AlInP層110上に、n+型In0.48Ga0.52Pバルク層22、n型のGaP層とInP層の超格子の組合せで構成された層23,24,25,26,27,28,29およびn型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30をこの順にMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。
次に、n型In0.82Ga0.18Pからなるバルク層30上に、n型InGaP窓層31、n型InGaAsからなるエミッタ層32、p型InGaAsからなるベース層33、p型InGaPからなるBSF層34およびp型InGaAsからなるコンタクト層35をこの順にMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。
ここで、GaAsの形成にはAsH3(アルシン)およびTMG(トリメチルガリウム)を用い、InGaPの形成にはTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を用い、InGaAsの形成にはTMI、TMGおよびAsH3を用い、AlInPの形成にはTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を用い、AlGaAsの形成には、TMA、TMGおよびAsH3を用いることができる。
その後、図4に示すように、p型InGaAsからなるコンタクト層35の表面上にたとえばAu(たとえば厚み0.1μm)/Ag(たとえば厚み3μm)の積層体からなる金属層102により支持基板101を貼り付ける。
次に、図5に示すように、GaAs基板130をアルカリ水溶液にてエッチングした後に、n型In0.48Ga0.52Pからなるエッチングストップ層131を酸水溶液にてエッチングする。
次に、n型GaAsからなるコンタクト層126上にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後、コンタクト層126の一部をアルカリ水溶液を用いたエッチングにより除去する。そして、残されたコンタクト層126の表面上に再度フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、抵抗加熱蒸着装置およびEB(Electron Beam)蒸着装置を用いて、たとえばAuGe(12%)(たとえば厚み0.1μm)/Ni(たとえば厚み0.02μm)/Au(たとえば厚み0.1μm)/Ag(たとえば厚み5μm)の積層体からなる電極層128を形成する。
次に、メサエッチングパターンを形成した後、アルカリ水溶液および酸溶液を用いてメサエッチングを行なう。そして、EB蒸着法により、たとえばTiO2膜(たとえば厚み55nm)およびAl2O3膜(たとえば厚み85nm)の積層体を形成して反射防止膜127を形成する。これにより、化合物半導体太陽電池の受光面が化合物半導体の成長方向と反対側に位置する図1に示す構成の化合物半導体太陽電池を得ることができる。
ここで、図1に示す構成の化合物半導体太陽電池は、ボトムセル40aとミドルセル40bとの間に第1の化合物半導体バッファ層41および第2の化合物半導体バッファ層(バルク層30)とが設置された構成となっている。
なお、本明細書において、化合物の化学式において化合物を構成する元素の組成比が記載されておらず、その組成について特に言及されていないものについては、その組成比は特に限定されず、適宜設定することが可能であることを意味している。また、本明細書において、化合物の化学式において化合物を構成する元素の組成比が記載されている場合でも、本発明はその組成比の構成に限定されるものではない。
<実験例>
下記表1に示すように、ボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)のベース層と、バルク層(第2の化合物半導体バッファ層)について、製造時に格子定数を変化させ、図1に示した構造の7種類のサンプル1〜7の化合物半導体太陽電池を作製した。
下記表1に示すように、ボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)のベース層と、バルク層(第2の化合物半導体バッファ層)について、製造時に格子定数を変化させ、図1に示した構造の7種類のサンプル1〜7の化合物半導体太陽電池を作製した。
サンプル1〜4の化合物半導体太陽電池については、第2の化合物半導体バッファ層であるn型In0.82Ga0.18P層からなるバルク層30の組成をほぼ一定にした状態でボトムセル40aのベース層33の組成をそれぞれ変えて作製するとともに、窓層31およびエミッタ層32についてもそれぞれベース層33の格子定数と同等程度となるように組成を変えて作製した。
また、サンプル5〜7の化合物半導体太陽電池については、バルク層30の組成を変えるとともに、ボトムセル40aのベース層33の組成も変えて作製した。
次に、ボトムセル40aの評価を行なうために、サンプル1〜7のの化合物半導体太陽電池のそれぞれから、p++型AlGaAs層112、p+型AlInP層113、BSF層114、ミドルセル40b、窓層117、トンネル接合層50b、BSF層122、トップセル40c、窓層125、コンタクト層126、反射防止膜127および電極層128を除去し、その後、露出したn++型In0.48Ga0.52P層111の表面に電極528を形成した。これにより、サンプル1〜7の化合物半導体太陽電池のそれぞれから、図6に模式的に断面図を示すサンプル1〜7の構造物を作製した。なお、図6において、図1に示したのと同様の構成を有する部分については同一の参照符を付して説明を省略する。ここで、化合物半導体太陽電池のサンプルの番号と、図6に示す構造物のサンプルの番号とが対応したものであることは言うまでもない。
評価は、サンプル1〜7の化合物半導体太陽電池のそれぞれの作製の途中において、最表面に露出したp型InGaAsからなるコンタクト層35の表面状態を目視で観察することによって行なった。また、図6に示したサンプル1〜7の構造物のそれぞれについて電流−電圧特性を測定し、その電流−電圧特性から開放電圧を測定した。その結果を上記表1、および図7に示している。
ここで、表1において、表面状態の評価○および×は、それぞれ以下の表面状態を表わしているものとする。
○…p型InGaAsからなるコンタクト層35の表面状態が良好。
×…p型InGaAsからなるコンタクト層35の表面状態が不良。
×…p型InGaAsからなるコンタクト層35の表面状態が不良。
また、図7は、図6に示したサンプル1〜7の構造物のそれぞれのボトムセル40aのベース層33のEg(バンドギャップエネルギ:単位eV)とVoc(開放電圧:単位V)との関係を示しており、横軸がEgを示し、縦軸がVocを示している。ここで、グラフ内に引き出し線で参照された数字は、サンプル1〜7の構造物のそれぞれの番号を示している。
なお、図7中の傾きを有する直線Voc=Eg−0.36は、ボトムセル40aのベース層33の結晶性がGaAs基板上のGaAsセル(格子整合系)と同等に良い状態と仮定したときのEgとVocとの関係を示しており、グラフ中の黒塗りの菱形(◆)の位置がこの直線に近い程、ボトムセル40aの特性が優れていることを示している(ここではInGaPバルクバッファ層を有した従来型のボトムセルにおいて特性が良好なものについても黒塗りの四角(■)で同様にプロットした)。
また、図7に示されるGaAsからの格子不整合率は、GaAsとボトムセル40aのベース層33との間の格子定数の不整合の度合いを示している。
結果、表1に示すように、サンプル3〜7の化合物半導体太陽電池は、サンプル2の化合物半導体太陽電池と比較して、p型InGaAsからなるコンタクト層35の表面状態に優れていた。
また、図7に示すように、図6に示したサンプル3〜7の構造物は、サンプル1、2の構造物と比較して、また従来のもの(InGaPバルクバッファ上ボトムセル)とも比較してボトムセル40aの開放電圧などの特性に優れることが確認された。これは、サンプル3〜7の化合物半導体太陽電池および図6に示したサンプル3〜7の構造物においてはそれぞれ、第2の化合物半導体バッファ層であるn型InGaPからなるバルク層30の格子定数a1と、ボトムセル40aのベース層33の格子定数a2との格子定数差比(100×(a1−a2)/(a1))が0.20%以上0.65%以下の範囲内にあるためと考えられる。また、上記の格子定数差比が0.3%以上0.5%以下であるNo.3〜No.5のサンプルにおいては、さらに特性が優れる傾向が見られた。
なお、本実験例においては、第2の化合物半導体バッファ層であるn型InGaPからなるバルク層30の格子定数a1と、ボトムセル40aのベース層33の格子定数a2とはそれぞれ、サンプル1〜7の化合物半導体太陽電池の金属層102による支持基板101の貼り付け前の状態のものをそれぞれX線回折装置に設置し、受光面とは反対側(p型InGaAsからなるコンタクト層35側)からX線を照射することによって、X線回折法により求めた。
また、本実験例においては、ボトムセル40aの特性の評価を行なっているが、ボトムセル40a上にバッファ層41を介してミドルセル40bおよびトップセル40cなどの化合物半導体光電変換セルを設置してたとえば2接合または3接合などの多接合型の化合物半導体太陽電池を作製した場合にも、ボトムセル40aの優れた特性に起因して上記の多接合型の化合物半導体太陽電池の特性も向上することが考えられる。
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、化合物半導体太陽電池および化合物半導体太陽電池の製造方法に利用できる可能性がある。
22 n+型In0.48Ga0.52P層、23,24,25,26,27,28,29 n型InP層/GaP層による超格子層、30 n型In0.82Ga0.18P層、31 窓層、32 エミッタ層、33 ベース層、34 BSF層、35 コンタクト層、40a ボトムセル(第1の化合物半導体光電変換セル)、40b ミドルセル(第2の化合物半導体光電変換セル)、40c トップセル(第3の化合物半導体光電変換セル)、41 第1の化合物半導体バッファ層、50a,50b トンネル接合層、101 支持基板、102 金属層、110 n+型AlInP層、111 n++型In0.48Ga0.52P層、112 p++型AlGaAs層、113 p+型AlInP層、114 BSF層、115 ベース層、116 エミッタ層、117 窓層、118 n+型AlInP層、119 n++型In0.48Ga0.52P層、120 p++型AlGaAs層、121 p+型AlInP層、122 BSF層、123 ベース層、124 エミッタ層、125 窓層、126 コンタクト層、127 反射防止膜、128 電極層、130 GaAs基板、131 エッチングストップ層、528 電極。
Claims (12)
- 第1の化合物半導体光電変換セルと、
前記第1の化合物半導体光電変換セル上に設置された第2の化合物半導体光電変換セルと、
前記第1の化合物半導体光電変換セルと前記第2の化合物半導体光電変換セルとの間に設置された第1の化合物半導体バッファ層と、を備え、
前記第1の化合物半導体バッファ層はInP層およびGaP層からなる複数の超格子の対で形成された、化合物半導体太陽電池。 - 第1の化合物半導体光電変換セルと、
前記第1の化合物半導体光電変換セル上に設置された第2の化合物半導体光電変換セルと、
前記第1の化合物半導体光電変換セルと前記第2の化合物半導体光電変換セルとの間に設置された前記第1の化合物半導体バッファ層と、を備え、
前記第1の化合物半導体バッファ層はInP層およびGaP層からなる複数の超格子の対で形成され、
前記第1の化合物半導体光電変換セルと前記第1の化合物半導体バッファ層との間に、InGaPバルク層で形成された第2の化合物半導体バッファ層をさらに備える、化合物半導体太陽電池。 - 前記第1の化合物半導体光電変換セルと前記第2の化合物半導体バッファ層とは近接した位置に設置されており、
前記第1の化合物半導体光電変換セルと、前記第2の化合物半導体バッファ層との格子定数差比が、0.20%以上0.65%以下である、請求項2に記載の化合物半導体太陽電池。 - 前記第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体のバンドギャップエネルギが0.9eV以上1.1eV以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物半導体太陽電池。
- 前記第1の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体がInGaAsである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物半導体太陽電池。
- 前記第2の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体がGaAsまたはInGaAsである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物半導体太陽電池。
- 前記第2の化合物半導体光電変換セル上に設置された第3の化合物半導体光電変換セルをさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物半導体太陽電池。
- 前記第3の化合物半導体光電変換セルを構成する化合物半導体がInGaPまたはAlInGaPである、請求項7に記載の化合物半導体太陽電池。
- 請求項2〜8のいずれかに記載の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、
半導体基板上に前記第2の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、
前記第2の化合物半導体光電変換セル上に前記第1の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、
前記第1の化合物半導体バッファ層上に前記第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、
前記第2の化合物半導体バッファ層上に前記第1の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、を含む、化合物半導体太陽電池の製造方法。 - 請求項7または8に記載の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、
半導体基板上に前記第3の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、
前記第3の化合物半導体光電変換セル上に前記第2の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、
前記第2の化合物半導体光電変換セル上に前記第1の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、
前記第1の化合物半導体バッファ層上に前記第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、
前記第2の化合物半導体バッファ層上に前記第1の化合物半導体光電変換セルを形成する工程と、を含む、化合物半導体太陽電池の製造方法。 - 請求項7または8に記載の化合物半導体太陽電池を製造する方法であって、
半導体基板上に前記第3の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程と、
前記第3の化合物半導体光電変換セル上に第1のトンネル接合層をエピタキシャル成長により形成する工程と、
前記第1のトンネル接合層上に前記第2の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程と、
前記第2の化合物半導体光電変換セル上に第2のトンネル接合層をエピタキシャル成長により形成する工程と、
前記第2のトンネル接合層上に前記第1の化合物半導体バッファ層をエピタキシャル成長により形成する工程と、
前記第1の化合物半導体バッファ層上に前記第2の化合物半導体バッファ層を形成する工程と、
前記化合物半導体バッファ層上に前記第1の化合物半導体光電変換セルをエピタキシャル成長により形成する工程と、を含む、化合物半導体太陽電池の製造方法。 - 前記半導体基板を除去する工程をさらに含む、請求項9〜11のいずれかに記載の化合物半導体太陽電池の製造方法。
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