JP2005347402A - 裏面反射型化合物半導体太陽電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 効果的な光閉じ込め効果を有し、太陽電池の高効率化および耐放射線性の強化が可能であるとともにより安価な製造が可能な、裏面反射型化合物半導体太陽電池を提供する。
【解決手段】 第1の導電型の化合物半導体からなるエミッタ層と、第2の導電型の化合物半導体からなり該エミッタ層とPN接合を形成するベース層と、該ベース層の非受光面側に形成され、ベース層材料より禁制帯幅が広い第2の導電型の化合物半導体からなるコンタクト層と、該コンタクト層の非受光面側に接して形成される裏面電極とを有する太陽電池セルを少なくとも1つ含む1または2以上の太陽電池セルから形成されてなる裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。2以上の太陽電池セルからなる多接合型構造においてはベース層材料の禁制帯幅が非受光面側から受光面側に向かって広くなるよう形成されることが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】 第1の導電型の化合物半導体からなるエミッタ層と、第2の導電型の化合物半導体からなり該エミッタ層とPN接合を形成するベース層と、該ベース層の非受光面側に形成され、ベース層材料より禁制帯幅が広い第2の導電型の化合物半導体からなるコンタクト層と、該コンタクト層の非受光面側に接して形成される裏面電極とを有する太陽電池セルを少なくとも1つ含む1または2以上の太陽電池セルから形成されてなる裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。2以上の太陽電池セルからなる多接合型構造においてはベース層材料の禁制帯幅が非受光面側から受光面側に向かって広くなるよう形成されることが好ましい。
【選択図】 図2
Description
本発明は、宇宙空間において電源となる化合物太陽電池、特にエピタキシャル成長によって製造される化合物太陽電池であって、製造効率の向上、低コスト化、および宇宙放射線耐性の強化が可能な裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。
直接遷移型の化合物半導体に比べて光吸収係数の小さいSi太陽電池においては、裏面に金属電極等の反射膜を形成し、光閉じ込め効果を利用することにより光電変換効率を向上させる工夫がなされている。光閉じ込め効果を利用する方法は、宇宙空間での放射線照射による太陽電池の特性劣化を抑制する方法としても有効である。しかしながら、通常の化合物半導体太陽電池の裏面電極は、化合物半導体層のエピタキシャル成長のために使用される基板の裏面側、すなわち非受光面側に形成されるため、太陽電池層(ベース層)と裏面電極までの間に存在する基板やバッファー層において光吸収損失が生じ、裏面電極による光閉じ込め効果が不十分となって、満足できる変換効率を得るには至っていなかった。
化合物半導体太陽電池における光閉じ込め効果を向上させ、良好な光電変換効率を得るための方法として、たとえば非特許文献1においては、GaAs太陽電池層の裏面側、すなわち非受光面側にAlGaAs/GaAsの超格子からなるブラッグリフレクターを形成し、裏面から光を反射させる方法が提案されている。しかしブラッグ反射では限られた狭い波長域の光しか反射できず、十分な光閉じ込め効果を得ることは困難であった。
また、エピタキシャル成長によって形成される化合物半導体層の材料は高価であるため、化合物半導体太陽電池のコスト低減のためには、特にベース層を薄くすることが望まれている。しかしベース層の厚さを薄くすると太陽光を十分に吸収できなくなり、短絡電流値が低下してしまう問題があった。
V.M.Andreev.et.al.,1st WCPEC,1994 pp1894−1897
V.M.Andreev.et.al.,1st WCPEC,1994 pp1894−1897
本発明は、より効果的な光閉じ込め効果を有し、太陽電池の高効率化および耐放射線性の強化が可能であるとともに、エピタキシャル成長のために必要とされる高価な原料の使用量を削減することでより安価な製造が可能な、裏面反射型化合物半導体太陽電池を提供することを目的とする。
本発明は、第1の導電型の化合物半導体からなるエミッタ層と、第2の導電型の化合物半導体からなり、該エミッタ層とPN接合を形成するベース層と、該ベース層の非受光面側に形成され、ベース層材料より禁制帯幅が広い第2の導電型の化合物半導体からなるコンタクト層と、該コンタクト層の非受光面側に接して形成される裏面電極と、を有する太陽電池セルを少なくとも1つ含む1または2以上の太陽電池セルから形成されてなる裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。本発明は、第1の導電型がP型、第2の導電型がN型の場合、および、第1の導電型がN型、第2の導電型がP型の場合のいずれも含む。
ベース層の厚さは、ベース層材料の禁制帯幅に対応する吸収端波長の光の64%が吸収される厚さ、すなわち吸収長よりも薄く設定されることが好ましく、特に0.5〜2.5μmの厚さで形成されることが好ましい。
本発明はまた、2以上の太陽電池セルからなる多接合型構造を有し、2以上の太陽電池セルのベース層材料の禁制帯幅が非受光面側の太陽電池セルから受光面側の太陽電池セルに向かって広くなるように多接合型構造が形成される裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。
本発明はまた、第1の太陽電池セルの受光面側に第2の太陽電池セルが形成された多接合型構造を有し、該第1の太陽電池セルのベース層材料が、GaAs,InP,InGaP,InGaAs,InGaAsN,InGaPN,AlInGaAsPN、から選択され、該第2の太陽電池セルのベース層材料が、InGaP,AlGaAs,AlInGaP,GaAsP,AlGaInAsP,GaPN,InGaPN,AlGaAsN,AlGaInAsPN、から選択される裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。
本発明はまた、第1の太陽電池セルの受光面側に第2の太陽電池セルが形成され、さらに第2の太陽電池セルの受光面側に第3の太陽電池セルが形成された多接合型構造を有し、該第1の太陽電池セルのベース層材料が、InGaAs,InGaSb,AlGaInSb,InGaAsP,InGaAsN,InGaAsPN,InGaAsPNSb、から選択され、該第2の太陽電池セルのベース層材料が、GaAs,InP,InGaP,InGaAs,InGaAsN,InGaPN,AlInGaAsPN、から選択され、該第3の太陽電池セルのベース層材料が、InGaP,AlGaAs,AlInGaP,GaAsP,AlGaInAsP,GaPN,InGaPN,AlGaAsN,AlGaInAsPN、から選択される裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。
本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池において、ベース層材料はInxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)であり、コンタクト層材料はAlxInyGaAs(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択される組み合わせが好ましく採用される。
また、ベース層材料はInxGa1-xAsyN1-y(但し、0.08≦x≦0.1、y=x/3)であり、コンタクト層材料はGaAs、AlxInyGaAs(但し、x≦0.8、y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x0.51)から選択される組み合わせも好ましく採用される。
本発明はまた、第1の太陽電池セルと、第1の太陽電池セルの受光面側に形成された第2の太陽電池セルとを有し、該第1の太陽電池セルのベース層は、InxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)からなるベース層材料により形成され、該第1の太陽電池セルのコンタクト層は、AlxInyGaAs(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択されるコンタクト層材料により形成され、該第2の太陽電池セルのベース層は、AlxInyGaAs(但し、x≦0.8、y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択されるベース層材料により形成される裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。
本発明はまた、第1の太陽電池セルと、第1の太陽電池セルの受光面側に形成された第2の太陽電池セルと、第2の太陽電池セルの受光面側に形成された第3の太陽電池セルとを有し、該第1の太陽電池セルのベース層はInxGa1-xAsyN1-y(但し、0.08≦x≦0.1、y=x/3)からなるベース層材料により形成され、該第2の太陽電池セルのベース層はInxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)からなるベース層材料により形成され、該第3の太陽電池セルのベース層はAlxInyGaAs(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択されるベース層材料により形成される裏面反射型化合物半導体太陽電池に関する。
本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池において、ベース層が0.5〜2.5μmの厚さで形成されることが好ましい。
本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池において、コンタクト層の非受光面近傍のキャリア濃度は5×1018cm-3以上であることが好ましい。
本発明はさらに、半導体基板上に、ベース層を含む化合物半導体層をエピタキシャル成長させる工程と、該化合物半導体層に表面電極および裏面電極を形成する工程と、を含み、該半導体基板が、1または2以上の太陽電池セルにおけるすべての該ベース層材料と格子不整合度0.1%未満で格子整合する材料により形成された、裏面反射型化合物半導体太陽電池の製造方法に関する。
本発明によれば、化合物半導体太陽電池のベース層と裏面電極との間に存在する基板やバッファー層等による光吸収損失を除去することで、裏面電極による裏面光反射効果を向上させることができる。これにより良好な光閉じ込め効果が得られ、光電変換効率および耐放射線性を向上させた化合物半導体太陽電池の提供が可能となる。さらにベース層の厚さを薄く最適化することで製造効率の向上および低コスト化も可能である。
1または2以上の太陽電池セルからなる本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池は、第1の導電型の化合物半導体からなるエミッタ層と、第2の導電型の化合物半導体からなり該エミッタ層とPN接合を形成するベース層と、ベース層材料より禁制帯幅が広い第2の導電型の化合物半導体からなりベース層の非受光面側に形成されるコンタクト層と、該コンタクト層の非受光面側に接して形成される裏面電極と、を有する太陽電池を少なくとも1つ有する。本発明は、第1の導電型がP型、第2の導電型がN型の場合、および、第1の導電型がN型、第2の導電型がP型の場合のいずれも含む。
ベース層材料より禁制帯幅の広いコンタクト層材料からなるコンタクト層をベース層と裏面電極との間に介在させることにより、ベース層と裏面電極との間の光吸収損失が低減される。これにより裏面光反射効果による光閉じ込め効果が良好に得られ、光電変換効率および耐放射線性の向上が可能となる。特に2以上の太陽電池セルからなる多接合型構造を有する裏面反射型化合物半導体太陽電池はエネルギー変換効率に優れるため好ましい。宇宙放射線照射による少数キャリア拡散長の低下に伴う太陽電池特性の低下を抑制するためには、ベース層厚みを少数キャリア拡散長の低下に見合うよう最適化することが望ましい。この場合宇宙放射線照射後においても裏面光反射効果を維持でき、さらに光電変換効率を向上させることが可能となる。本発明においては、ベース層と裏面電極との間にコンタクト層が設けられ、かつコンタクト層材料としてベース層材料より禁制帯幅の広い化合物半導体が用いられることにより裏面光反射効果による光閉じ込め効果が向上する。これにより太陽光の光路長が長くなるため、ベース層厚みを薄く設定しても太陽光を十分量吸収して太陽電池としての所望の短絡電流値を維持できる。ベース層の厚さは、ベース層材料の禁制帯幅に対応する吸収端波長における吸収係数(単位:cm-1)の逆数であって、吸収端波長の光の64%(1−1/e)以上が吸収される厚さ、すなわち吸収長よりも薄くなるように設定されることが好ましい。ベース層を薄くすることで少数キャリアがPN接合に到達するまでの距離が短くなるため、宇宙放射線照射により少数キャリア拡散長が低下しても、太陽電池特性の低下が少ない。また、上記のようにベース層を薄く設定した場合、ベース層のエピタキシャル成長に必要な高価な原料の使用量を削減できコストの点でも有利である。
ベース層材料と、該ベース層材料よりも禁制帯幅の広いコンタクト層材料との組み合わせとしては、たとえば、ベース層材料がGaAs、InAs、InGaAsから選択され、かつコンタクト層材料がAlGaAs、InGaAs、AlInGaAs、InGaP、AlInGaPから選択される組み合わせ等が好ましく挙げられる。この場合ベース層と裏面電極との間の光吸収損失がコンタクト層によって効果的に除去される。
本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池における太陽電池セルは、GaAs、Ge等の半導体基板上に、P型またはN型の導電型を有するエミッタ層と、該エミッタ層と異なる導電型を有するベース層とで形成されるPN接合を含む化合物半導体層をエピタキシャル成長させ、基板とエピタキシャル層とを分離した後、化合物半導体層に表面電極および裏面電極を形成することによって得ることができる。ここで半導体基板および化合物半導体層の材料は、格子不整合度ができるだけ低くなる組み合わせで選択されることが好ましい。この場合、結晶欠陥の少ない太陽電池セルが形成され、光電変換効率および耐放射線性を向上させることができる。
本発明においては、ベース層材料とコンタクト層材料とが格子整合系の材料で形成されることが好ましい。本発明において格子整合系の材料とは格子定数がほぼ同一の材料、特に格子不整合度が0.1%未満のものを指す。格子整合系となるベース層材料およびコンタクト層材料の組み合わせの具体例としては、ベース層材料がInxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)であり、コンタクト層材料がAlxInyGaAs(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択される組み合わせ、または、ベース層材料がInxGa1-xAsyN1-y(但し、0.08≦x≦0.1、y=x/3)であり、コンタクト層材料がGaAs、AlxInyGaAs(但し、x≦0.8、y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x0.51)から選択される組み合わせ、等が好ましく採用される。これらの組み合わせにおいて、特に、ベース層材料としてInxGa1-xAs(但し、x=0.01)、半導体基板としてGaAsまたはGeが使用される場合、半導体基板とベース層材料との格子不整合度がほぼ0となるため、結晶欠陥の低減効果がより顕著である。
本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池が2以上の太陽電池セルからなる多接合型構造を有する場合、2以上の太陽電池セルにおけるベース層の禁制帯幅が、非受光面側の太陽電池から受光面側の太陽電池に向かって広くなるような構成とされることが好ましい。このような構成とすることにより、2以上の太陽電池セルからなる太陽電池全体としての光吸収損失が低減されるため光電変換効率が向上する。すなわち、2以上の太陽電池セルから構成される太陽電池では、エネルギーの高い短波長の光を、禁制帯幅の広い上部(受光面側)の太陽電池セルで、また上部の太陽電池を透過するエネルギーの低い長波長の光を、禁制帯幅の小さい下部(非受光面側)の太陽電池で、それぞれエネルギー変換することにより、フォトンの失うエネルギーを少なくし、エネルギー変換効率が向上する。
たとえば、本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池が、第1の太陽電池セルの受光面側に第2の太陽電池セルが形成された2接合型構造を有する場合、第2の太陽電池のベース層材料の禁制帯幅が第1の太陽電池のベース層材料の禁制帯幅よりも広くなるようなベース層材料の組み合わせとしては、第1の太陽電池セルのベース層材料に禁制帯幅が1.1〜1.5eVである材料を用い、第2の太陽電池セルのベース層材料に禁制帯幅が1.7〜2.0eVである材料を用いる組み合わせ等が好ましく採用される。この場合、太陽光エネルギーが2つの太陽電池セルによりバランスよく吸収され、フォトンの失うエネルギーが最小となり、エネルギー変換効率が向上する。
第1の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が1.1〜1.5eVである材料を用い、第2の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が1.7〜2.0eVである材料を用いる上記の組み合わせの具体例としては、たとえば、第1の太陽電池セルのベース層材料が、GaAs,InP,InGaP,InGaAs,InGaAsN,InGaPN,AlInGaAsPN、から選択され、第2の太陽電池のベース層材料が、InGaP,AlGaAs,AlInGaP,GaAsP,AlGaInAsP,GaPN,InGaPN,AlGaAsN,AlGaInAsPN、から選択される組み合わせ等が好ましく例示される。
また、本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池が2以上の太陽電池セルからなる多接合型構造を有する場合、2以上の太陽電池セルにおけるベース層のすべてが格子整合系の材料で形成されることが好ましい。この場合、結晶欠陥の低減によって光電変換効率および耐放射線性を向上させることができる。また、同様に結晶欠陥を低減させる目的で、1または2以上の太陽電池セルからなる裏面反射型化合物半導体太陽電池における化合物半導体層のすべてを格子整合系の材料により形成することが好ましい。
具体的には、第1の太陽電池セルのベース層材料/第2の太陽電池セルのベース層材料が、GaAs/In0.5Ga0.5P(但し、0.46≦x≦0.51)、GaAs/AlGaAs、GaAs/In0.5(AlGa)0.5P、In0.5Ga0.5As/InP、の各組み合わせとされることが好ましい。この場合、より結晶欠陥の少ない太陽電池セルをエピタキシャル成長させることができる。
また、GaAsまたはGeからなる半導体基板上に、第1の太陽電池セルと、該第1の太陽電池セルの受光面側に形成された第2の太陽電池セルとからなる2接合型構造を有する裏面反射型化合物半導体太陽電池を形成する場合には、第1の太陽電池セルのベース層材料がAlxIn1-xGaAs(但し、0≦x≦1)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択され、第2の太陽電池セルのベース層材料がInxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)である組み合わせが好ましく例示される。特に、ベース層材料としてAlxIn1-xGaAs(但し、x=0.01)を使用する場合には、GaAsまたはGeからなる半導体基板との格子不整合度がほぼ0となるため、より結晶欠陥の少ない太陽電池セルをエピタキシャル成長させることができる。
本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池が、第1の太陽電池セルの受光面側に第2の太陽電池セルが形成され、さらに第2の太陽電池セルの受光面側に第3の太陽電池セルが形成された多接合型構造を有する場合、第1の太陽電池セルのベース層材料より第2の太陽電池セルのベース層材料の禁制帯幅が広く、第2の太陽電池セルのベース層材料より第3の太陽電池セルのベース層材料の禁制帯幅が広くなるようなベース層材料の組み合わせとしては、たとえば、第1の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が0.6〜1.1eVである材料を用い、第2の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が1.1〜1.5である材料を用い、第3の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が1.7〜2.0eVである材料を用いる組み合わせ等が好ましく採用される。この場合、太陽光エネルギーが、3つの太陽電池セルによりバランス良く吸収され、フォトンの失うエネルギーが最小となり、エネルギー変換効率が向上する。
第1の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が0.6〜1.1eVである材料を用い、第2の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が1.1〜1.5である材料を用い、第3の太陽電池セルのベース層材料として禁制帯幅が1.7〜2.0eVである材料を用いる組み合わせの具体例としては、たとえば、第1の太陽電池セルのベース層材料が、InGaAs,InGaSb,AlGaInSb,InGaAsP,InGaAsN,InGaAsPN,InGaAsPNSb、から選択され、第2の太陽電池セルのベース層材料が、GaAs,InP,InGaP,InGaAs,InGaAsN,InGaPN,AlInGaAsPN、から選択され、第3の太陽電池セルのベース層材料が、InGaP,AlGaAs,AlInGaP,GaAsP,AlGaInAsP,GaPN,InGaPN,AlGaAsN,AlGaInAsPN、から選択される組み合わせ等が好ましく例示される。
特に、第1の太陽電池セルのベース層材料/第2の太陽電池セルのベース層材料/第3の太陽電池セルのベース層材料が、In0.09Ga0.91As0.97N0.03/GaAs/In0.5(AlGa)0.5P、の組み合わせとされる場合、ベース層材料が格子整合系の材料の組み合わせとなるため、結晶欠陥の少ない太陽電池セルをエピタキシャル成長させることができる。
また、GaAsまたはGeからなる半導体基板上に、第1の太陽電池セルと、該第1の太陽電池セルの受光面側に形成された第2の太陽電池セルと、該第2の太陽電池セルの受光面側に形成された第3の太陽電池セルとからなる多接合型構造を有する裏面反射型化合物半導体太陽電池を形成する場合には、第1の太陽電池セルのベース層材料がInxGa1-xAsyN1-y(但し、0.08≦x≦0.1、y=x/3)であり、第2の太陽電池セルのベース層材料がInxGa1-xAs(但し、x≦0.02)であり、第3の太陽電池セルのベース層材料がAlxInyGaAs(但し、x≦0.8、y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、から選択される組み合わせが好ましく例示される。この場合半導体基板およびベース層材料が格子整合系の材料の組み合わせとなるため、太陽電池セルの結晶欠陥をより低減させることができる。
本発明における1または2以上の太陽電池セルのうち、裏面電極が形成された最下部の太陽電池セルのベース層厚みは、それぞれ0.5〜2.5μmの範囲内に好ましく設定される。ベース層厚みが0.5μm以上である場合光電変換効率が十分得られ、2.5μm以下である場合コストおよび耐放射線性向上の点で有利である。
また、コンタクト層の非受光面近傍、すなわちコンタクト層と裏面電極との界面近傍のキャリア濃度は5×1018cm-3以上となるように設定されることが好ましい。この場合コンタクト層と裏面電極とは良好なオーミック接触を形成するため、ベース層と裏面電極との間の光吸収損失がより効果的に低減され、裏面光反射効果による光閉じ込め効果を十分に発揮させることができる。
以下、図を参照して本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池の好ましい構成について説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明に係るGaAs単一接合裏面反射型化合物半導体太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。図1に示すエピタキシャル層は、MOCVD法を用い、以下の方法で形成することができる。まず、50mm径のn型のGaAs基板101(1E18cm-3,Siドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、ベース層と基板とのエッチング分離層102としてn型のInGaP層を0.5μm形成する。続いて、太陽電池の受光面コンタクト層103としてn型のGaAs層、窓層104としてn型のAlInP層、エミッタ層105としてn型のGaAs層、ベース層106としてp型のGaAs層、裏面電界層107としてp型のInGaP層および裏電極コンタクト層108としてp型のAlGaAs層、を、たとえば成長温度700℃で順次成長させる。ここで、GaAs層の成長ではTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いることができる。GaAs層、InGaP層およびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としては、たとえばSiH4(モノシラン)を用いることができ、p型層形成のための不純物としては、たとえばDEZnを用いることができる。なお、AlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、たとえばCBr4(四臭化炭素)を用いることができる。
図1は、本発明に係るGaAs単一接合裏面反射型化合物半導体太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。図1に示すエピタキシャル層は、MOCVD法を用い、以下の方法で形成することができる。まず、50mm径のn型のGaAs基板101(1E18cm-3,Siドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、ベース層と基板とのエッチング分離層102としてn型のInGaP層を0.5μm形成する。続いて、太陽電池の受光面コンタクト層103としてn型のGaAs層、窓層104としてn型のAlInP層、エミッタ層105としてn型のGaAs層、ベース層106としてp型のGaAs層、裏面電界層107としてp型のInGaP層および裏電極コンタクト層108としてp型のAlGaAs層、を、たとえば成長温度700℃で順次成長させる。ここで、GaAs層の成長ではTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いることができる。GaAs層、InGaP層およびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としては、たとえばSiH4(モノシラン)を用いることができ、p型層形成のための不純物としては、たとえばDEZnを用いることができる。なお、AlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、たとえばCBr4(四臭化炭素)を用いることができる。
図2は、本発明に係るGaAs単一接合裏面反射型化合物半導体太陽電池を示す断面図である。図1に示す構造を有するように形成したエピタキシャル層を用い、裏電極コンタクト層108(p型AlGaAs層)上に、裏面電極202であるp型オーミック電極を形成するためにAu−Znを蒸着し、たとえば窒素中400℃で1分間の熱処理を施す。次に、GaAs基板101表面にレジストを塗布し熱硬化した後、電界めっき法にてAu−Zn上に10μm厚のAuメッキ膜を施す。レジスト除去後、金メッキ膜上にワックスを塗りガラス板と張り合わせた後、GaAsをエッチングするアルカリ溶液に浸し、GaAs基板101を表面側よりエッチングする。約300μmのGaAs基板101を約120分の時間で完全にエッチング除去し、エッチング分離層102であるInGaP層でエッチングを停止させる。
次に、エッチング分離層102であるInGaP層を酸溶液でエッチング除去し、n型キャップ層となる受光面コンタクト層103であるn型のGaAs層を露出させる。その上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、ガラス板と共に真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(厚み100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(厚み20nm)、Au層(厚み5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成する。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極201を形成する。次に、表面電極201をマスクとして、電極が形成されていない部分のGaAs層をアルカリ水溶液にてエッチングする。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面電極202であるAu−ZnおよびAuメッキ膜を露出させる。
ガラス板とAuメッキの間とのワックスをトルエンで除去した後、メサエッチングされたラインの中のAuが露出している部分に、カッターラインが入るようにして、セルをカッターで切断する。以上により本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池セルが得られる。
<実施の形態2>
以下に、2つの太陽電池セルを設けた本発明に係る2接合型裏面反射型化合物半導体太陽電池の構成例について説明する。図3は、本発明に係るInGaP/InGaAs2接合裏面反射型化合物半導体太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。図3に示すエピタキシャル層は、MOCVD法を用い、以下の方法で形成することができる。まず、50mm径のn型のGe基板301(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、ベース層と基板との間のバッファー層302としてp型のInGaAs層を0.1μm形成する。続いて、ボトムセルの裏電極コンタクト層303としてp型のAlGaAs層、裏面電界層304としてp型のInGaP層、ベース層305としてp型のInGaAs層、エミッタ層306としてn型のInGaAs層、窓層307としてn型のAlInP層を順次成長させた後、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合308を形成させ、さらに、トップセルの裏面電界層309としてp型のAlInP層、ベース層310としてp型のInGaP層、エミッタ層311としてn型のInGaP層、窓層312としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層313としてn型のInGaAs層を順次成長させる。成長温度はたとえば700℃とすることができる。ここで、InGaAs層の成長では、TMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いることができる。InGaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としてSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物としてDEZnを用いることができる。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いることができる。たとえばボトムセルのInGaAs層のIn組成比を0.01とした場合、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満となり、結晶欠陥の少ないエピタキシャル層が得られる。
以下に、2つの太陽電池セルを設けた本発明に係る2接合型裏面反射型化合物半導体太陽電池の構成例について説明する。図3は、本発明に係るInGaP/InGaAs2接合裏面反射型化合物半導体太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。図3に示すエピタキシャル層は、MOCVD法を用い、以下の方法で形成することができる。まず、50mm径のn型のGe基板301(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、ベース層と基板との間のバッファー層302としてp型のInGaAs層を0.1μm形成する。続いて、ボトムセルの裏電極コンタクト層303としてp型のAlGaAs層、裏面電界層304としてp型のInGaP層、ベース層305としてp型のInGaAs層、エミッタ層306としてn型のInGaAs層、窓層307としてn型のAlInP層を順次成長させた後、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合308を形成させ、さらに、トップセルの裏面電界層309としてp型のAlInP層、ベース層310としてp型のInGaP層、エミッタ層311としてn型のInGaP層、窓層312としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層313としてn型のInGaAs層を順次成長させる。成長温度はたとえば700℃とすることができる。ここで、InGaAs層の成長では、TMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いることができる。InGaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としてSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物としてDEZnを用いることができる。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いることができる。たとえばボトムセルのInGaAs層のIn組成比を0.01とした場合、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満となり、結晶欠陥の少ないエピタキシャル層が得られる。
図4は、本発明に係るInGaP/InGaAs2接合裏面反射型化合物半導体太陽電池を示す断面図である。エピタキシャル層表面の受光面コンタクト層313(n型InGaAs層)上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(20nm)、Au層(5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成する。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極401を形成する。次に、表面電極をマスクとして、電極が形成されていない部分のn型キャップ層となる受光面コンタクト層313であるn型のInGaAs層をアルカリ水溶液にてエッチングする。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面のGe基板301を露出させる。その後、EB蒸着法により表面に反射防止膜として、TiO2膜(55nm)、MgF2(100nm)を連続して形成する。
次に、受光面側にシリコーン樹脂を塗布し、ガラス板を接着した後、裏面のGe基板301をアルカリ溶液にて、Ge基板301上に成長したボトムセルの裏電極コンタクト層303(p型AlGaAs:1×1019cm-3[C])が露出するまでエッチングする。続いて、裏電極コンタクト層303に裏面電極402であるp型オーミック電極となるAu−Znを蒸着する。表面のメサエッチング部のラインに沿って、ガラス板と共にダイシングカットする。以上により本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池が得られる。
<実施の形態3>
以下に、3つの太陽電池セルを設けた本発明に係る3接合裏面反射型化合物半導体太陽電池の構成例を示す。図5は、本発明に係るInGaP/GaAs/InGaAsN3接合裏面反射型化合物半導体太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。図5に示すエピタキシャル層は、MOCVD法を用い、以下の方法で形成することができる。まず、50mm径のp型のGaAs基板501(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、ベース層と基板との間のバッファー層502としてp型のGaAs層を0.1μm形成する。続いて、InGaAsNボトムセルの裏電極コンタクト層503としてp型のAlGaAs層、裏面電界層504としてp型のGaAs層、ベース層505としてp型のInGaAsN層、エミッタ層506としてn型のInGaAsN層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合507、GaAsミドルセルの裏面電界層508としてp型のInGaP層、ベース層509としてp型のGaAs層、エミッタ層510としてn型のGaAs層、窓層511としてn型のAlInP層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合512、さらに、InGaPトップセルの裏面電界層513としてp型のAlInP層、ベース層514としてp型のInGaP層、エミッタ層515としてn型のInGaP層、窓層516としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層517としてn型のGaAs層を順次成長させる。成長温度はたとえば700℃とすることができる。ここで、InGaAsN層の成長では、DMHy(ジメチルヒドラジン)、GaAs層の成長では、TMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いることができる。GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としてSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物としてDEZnを用いることができる。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いることができる。たとえばボトムセルのInGaAsN層のIn組成比を0.01とした場合、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満となり、結晶欠陥の少ないエピタキシャル層が得られる。
以下に、3つの太陽電池セルを設けた本発明に係る3接合裏面反射型化合物半導体太陽電池の構成例を示す。図5は、本発明に係るInGaP/GaAs/InGaAsN3接合裏面反射型化合物半導体太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。図5に示すエピタキシャル層は、MOCVD法を用い、以下の方法で形成することができる。まず、50mm径のp型のGaAs基板501(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、ベース層と基板との間のバッファー層502としてp型のGaAs層を0.1μm形成する。続いて、InGaAsNボトムセルの裏電極コンタクト層503としてp型のAlGaAs層、裏面電界層504としてp型のGaAs層、ベース層505としてp型のInGaAsN層、エミッタ層506としてn型のInGaAsN層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合507、GaAsミドルセルの裏面電界層508としてp型のInGaP層、ベース層509としてp型のGaAs層、エミッタ層510としてn型のGaAs層、窓層511としてn型のAlInP層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合512、さらに、InGaPトップセルの裏面電界層513としてp型のAlInP層、ベース層514としてp型のInGaP層、エミッタ層515としてn型のInGaP層、窓層516としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層517としてn型のGaAs層を順次成長させる。成長温度はたとえば700℃とすることができる。ここで、InGaAsN層の成長では、DMHy(ジメチルヒドラジン)、GaAs層の成長では、TMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いることができる。GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としてSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物としてDEZnを用いることができる。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いることができる。たとえばボトムセルのInGaAsN層のIn組成比を0.01とした場合、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満となり、結晶欠陥の少ないエピタキシャル層が得られる。
図6は、本発明に係るInGaP/GaAs/InGaAsN3接合裏面反射型化合物半導体太陽電池を示す断面図である。エピタキシャル層表面の受光面コンタクト層517(n型GaAs層)上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(20nm)、Au層(5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成する。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極601を形成する。次に、表面電極601をマスクとして、電極が形成されていない部分のn型キャップ層となる受光面コンタクト層517であるGaAs層をアルカリ水溶液にてエッチングする。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面のGaAs基板501を露出させる。その後、EB蒸着法により表面に反射防止膜として、TiO2膜(55nm)、MgF2(100nm)を連続して形成する。
次に、受光面側にシリコーン樹脂を塗布し、ガラス板を接着した後、裏面のGaAs基板501をアルカリ溶液にて、GaAs基板上に成長したボトムセルの裏電極コンタクト層503(p型AlGaAs:1×1019cm-3[C])が露出するまでエッチングする。続いて、裏電極コンタクト層503に裏面電極602であるp型オーミック電極となるAu−Znを蒸着する。表面のメサエッチング部のラインに沿って、ガラス板と共にダイシングカットする。以上により本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池が得られる。
実施の形態1〜3においては、単接合型構造、2接合型構造、3接合型構造のそれぞれを有する裏面反射型化合物半導体太陽電池について説明したが、本発明の裏面反射型化合物半導体太陽電池は4以上の多接合構造を有しても良く、上記の実施の形態に限定されない。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
MOCVD法を用い、図1に示すエピタキシャル層構造を作製した。すなわち、50mm径のGaAs基板101(1E18cm-3,Siドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、太陽電池層と基板とのエッチング分離層102としてn型のInGaP層を0.5μm形成した。続いて、太陽電池の受光面コンタクト層103としてn型のGaAs層、窓層104としてn型のAlInP層、エミッタ層105としてn型のGaAs層、ベース層106としてp型のGaAs層、裏面電界層107としてp型のInGaP層および裏電極コンタクト層108としてp型のAlGaAs層、を順次成長させた。なお実施例1においては、ベース層厚みのみを0.5μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、3.5μmと変えたものを各々作製した。
MOCVD法を用い、図1に示すエピタキシャル層構造を作製した。すなわち、50mm径のGaAs基板101(1E18cm-3,Siドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、太陽電池層と基板とのエッチング分離層102としてn型のInGaP層を0.5μm形成した。続いて、太陽電池の受光面コンタクト層103としてn型のGaAs層、窓層104としてn型のAlInP層、エミッタ層105としてn型のGaAs層、ベース層106としてp型のGaAs層、裏面電界層107としてp型のInGaP層および裏電極コンタクト層108としてp型のAlGaAs層、を順次成長させた。なお実施例1においては、ベース層厚みのみを0.5μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、3.5μmと変えたものを各々作製した。
成長温度は700℃とし、GaAs層の成長では、原料としてTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)を用いた。InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を原料に用いた。AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を原料に用いた。GaAs層、InGaP層およびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物にSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物にDEZnを用いた。また、AlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ここで裏電極コンタクト層108(すなわちCドープされたAlGaAs層)の非受光面近傍におけるキャリア濃度は1×1019cm-3である。
図1に示すエピタキシャル層を用い、図2に示す裏面反射型化合物半導体太陽電池を作製した。裏電極コンタクト層108(p型AlGaAs層)上に、裏面電極202であるp型オーミック電極となるAu−Znを蒸着し、窒素中400℃で1分間の熱処理を施した。次に、GaAs基板101の表面にレジストを塗布し熱硬化した後、電界めっき法にてAu−Zn上に10μm厚のAuメッキ膜を施した。レジスト除去後、金メッキ膜上にワックスを塗りガラス板と張り合わせた後、GaAsをエッチングするアルカリ溶液に浸し、GaAs基板101を表面側よりエッチングしていった。約300μmのGaAs基板101を約120分の時間で完全にエッチング除去し、エッチング分離層102であるInGaP層でエッチングを停止させた。
次に、エッチング分離層102であるInGaP層を酸溶液でエッチング除去し、n型キャップ層となる受光面コンタクト層103であるn型のGaAs層を露出させた。その上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、ガラス板と共に真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(厚み100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(厚み20nm)、Au層(厚み5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成した。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極201を形成した。次に、表面電極201をマスクとして、電極が形成されていない部分の受光面コンタクト層103をアルカリ水溶液にてエッチングした。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面電極202であるAu−ZnおよびAuメッキ膜を露出させた。
ガラス板とAuメッキの間のワックスをトルエンで除去した後、メサエッチングされたラインの中のAuが露出している部分に、カッターラインが入るようにして、セルをカッターで切断した。セルは10mm×10mmサイズであり12枚作製した。
(比較例1)
図7は、比較例1に係るGaAs単一接合太陽電池を示す断面図である。比較例1においては、実施例1との比較のために、図7に示すGaAs単一接合太陽電池を作製した。
図7は、比較例1に係るGaAs単一接合太陽電池を示す断面図である。比較例1においては、実施例1との比較のために、図7に示すGaAs単一接合太陽電池を作製した。
まず、MOCVD法を用い、図7に示すエピタキシャル層構造を作製した。すなわち、50mm径のp型のGaAs基板701(5×1018cm-3,Znドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間にバッファー層702としてp型のGaAs層を厚み0.5μmとなるように形成した。続いて、裏面電界層703としてp型のInGaP層、ベース層704としてp型のGaAs層、エミッタ層705としてn型のGaAs層、窓層706としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層707としてn型のGaAs層を順次成長させた。成長温度は700℃とし、GaAs層の成長では、原料としてTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)を用いた。InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を原料に用いた。AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を原料に用いた。GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物にSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物にDEZnを用いた。なお比較例1においては、実施例1と同様、ベース層厚みのみを0.5μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、3.5μmと変えたものを各々作製した。
エピタキシャル層表面の受光面コンタクト層707(n型GaAs層)上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(20nm)、Au層(5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成した。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極708を形成した。次に、表面電極708をマスクとして、電極が形成されていない部分の受光面コンタクト層707であるGaAsキャップ層をアルカリ水溶液にてエッチングした。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面のGaAs基板701を露出させた。その後、GaAs基板701の裏面に裏面電極709であるp型オーミック電極となるAu−Znを蒸着し、窒素中400℃で1分間の熱処理を施した。表面のメサエッチング部に、スクライバーにてスクライブラインを形成し、へき開することで10mm×10mmサイズのセル12枚を作製した。
<セル特性評価>
実施例1および比較例1で作製したセルにつきセル特性評価を行なった。AM0基準太陽光を照射するソーラーシミュレータにより光照射時の電流電圧特性を測定し、短絡電流、開放電圧および変換効率を測定した。また耐放射線性試験として、1MeV電子線を照射し、照射前後での太陽電池特性を評価した。
実施例1および比較例1で作製したセルにつきセル特性評価を行なった。AM0基準太陽光を照射するソーラーシミュレータにより光照射時の電流電圧特性を測定し、短絡電流、開放電圧および変換効率を測定した。また耐放射線性試験として、1MeV電子線を照射し、照射前後での太陽電池特性を評価した。
図11は、実施例1および比較例1におけるGaAs単一接合セルのベース層厚さと短絡電流値(Isc)との関係を示す図である。実施例1のセル構造においてベース層厚さを薄くした場合と、比較例1のセル構造においてベース層を薄くした場合とで、GaAsセルから得られる短絡電流値の比較を示す。ベース層厚さが2.5μm以下に薄くなった場合、実施例1のセル構造による優位性が見られる。また、実施例1では、0.8〜1μmの薄いベース層厚さでも、3μmの場合の97%の電流値が保持されており、裏面反射型による光閉じ込め効果が認められる。
図12は、実施例1および比較例1におけるGaAs単一接合セルの分光感度特性を示す図である。実施例1のセル構造では、長波長光に対する感度の向上や裏面反射によるフリンジが見られ、裏面で反射した光が有効に電気変換されていることがわかる。
図13は、実施例1および比較例1におけるGaAs単一接合セルの電子線照射量と短絡電流値(Isc)との関係を示す図である。比較例1のGaAsセル(ベース層厚さが3.5μmの場合)と実施例1のセル(ベース層厚さが1μmの場合)における、電子線照射前後での特性の変化を示す。電子線照射試験では、通常、1MeV電子線を1E15cm-2照射した後の変換効率によって耐放射線性が評価される。実施例1のセル構造では、比較例1のセル構造より高い耐放射線性が得られることがわかる。
(実施例2)
まず、MOCVD法を用い、図3に示すエピタキシャル層構造を作製した。すなわち、50mm径のn型のGe基板301(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層302としてp型のInGaAs層を0.1μm形成した。続いて、ボトムセルの裏電極コンタクト層303としてp型のAlGaAs層、裏面電界層304としてp型のInGaP層、ベース層305としてp型のInGaAs層、エミッタ層306としてn型のInGaAs層、窓層307としてn型のAlInP層を順次成長させた後、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合308を形成させ、さらに、トップセルの裏面電界層309としてp型のAlInP層、ベース層310としてp型のInGaP層、エミッタ層311としてn型のInGaP層、窓層312としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層313としてn型のInGaAs層を順次成長させた。
まず、MOCVD法を用い、図3に示すエピタキシャル層構造を作製した。すなわち、50mm径のn型のGe基板301(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層302としてp型のInGaAs層を0.1μm形成した。続いて、ボトムセルの裏電極コンタクト層303としてp型のAlGaAs層、裏面電界層304としてp型のInGaP層、ベース層305としてp型のInGaAs層、エミッタ層306としてn型のInGaAs層、窓層307としてn型のAlInP層を順次成長させた後、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合308を形成させ、さらに、トップセルの裏面電界層309としてp型のAlInP層、ベース層310としてp型のInGaP層、エミッタ層311としてn型のInGaP層、窓層312としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層313としてn型のInGaAs層を順次成長させた。
成長温度は700℃とし、(In)GaAs層の成長では、原料としてTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)を用いた。InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を原料に用いた。AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を原料に用いた。(In)GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物にSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物にDEZnを用いた。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ベース層305および310の厚みはそれぞれ0.4μm、1μmとした。またボトムセルのInGaAs層のIn組成比は0.01であり、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満になっている。裏電極コンタクト層303(すなわちCドープされたAlGaAs層)の非受光面近傍におけるキャリア濃度は1×1019cm-3である。
図3に示すエピタキシャル層を用い、図4に示す裏面反射型化合物半導体太陽電池を製造した。エピタキシャル層表面の受光面コンタクト層313(n型InGaAs層)上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(20nm)、Au層(5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成した。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極401を形成した。次に、表面電極401をマスクとして、電極が形成されていない部分の受光面コンタクト層313であるInGaAsキャップ層をアルカリ水溶液にてエッチングした。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面のGe基板301を露出させた。その後、EB蒸着法により表面に反射防止膜として、TiO2膜(55nm)、MgF2(100nm)を連続して形成した。
次に、受光面側にシリコーン樹脂を塗布し、ガラス板を接着した後、裏面のGe基板301をアルカリ溶液にて、Ge基板301上に成長したボトムセルの裏電極コンタクト層303(p型AlGaAs:1×1019cm-3[C])が露出するまでエッチングした。続いて、裏電極コンタクト層303に裏面電極402であるp型オーミック電極となるAu−Znを蒸着した。表面のメサエッチング部のラインに沿って、ガラス板と共にダイシングカットし、図4に示す断面構造の10mm×10mmサイズのセル12枚を作製した。
(比較例2)
比較のために従来技術を用いてInGaP/InGaAs2接合太陽電池を作製した。まず、MOCVD法を用い、図8に示す層構造を作製した。図8は、比較例2に係るInGaP/InGaAs2接合太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。すなわち、50mm径のn型のGe基板801(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層802としてn型InGaAs層を0.1μm形成した。続いて、Ge基板801とInGaAsボトムセルを電気的につなぐトンネル接合803として、n型のInGaP層およびp型のAlGaAs層を形成した後、InGaAsボトムセルの裏面電界層804としてp型のInGaP層、ベース層805としてp型のInGaAs層、エミッタ層806としてn型のInGaAs層、窓層807としてn型のAlInP層を順次成長させた。さらに、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合808を形成させ、InGaPトップセルの裏面電界層809としてp型のAlInP層、ベース層810としてp型のInGaP層、エミッタ層811としてn型のInGaP層、窓層812としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層813としてn型のInGaAs層を順次成長させた。成長温度は700℃とし、(In)GaAs層の成長では、原料としてTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)を用いた。InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を原料に用いた。AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を原料に用いた。(In)GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物にSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物にDEZnを用いた。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ベース層805および810の厚みはそれぞれ3μm、0.4μmとした。またボトムセルのInGaAs層のIn組成比は0.01であり、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満になっている。
比較のために従来技術を用いてInGaP/InGaAs2接合太陽電池を作製した。まず、MOCVD法を用い、図8に示す層構造を作製した。図8は、比較例2に係るInGaP/InGaAs2接合太陽電池のエピタキシャル層の構造を示す断面図である。すなわち、50mm径のn型のGe基板801(1E18cm-3,Asドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層802としてn型InGaAs層を0.1μm形成した。続いて、Ge基板801とInGaAsボトムセルを電気的につなぐトンネル接合803として、n型のInGaP層およびp型のAlGaAs層を形成した後、InGaAsボトムセルの裏面電界層804としてp型のInGaP層、ベース層805としてp型のInGaAs層、エミッタ層806としてn型のInGaAs層、窓層807としてn型のAlInP層を順次成長させた。さらに、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合808を形成させ、InGaPトップセルの裏面電界層809としてp型のAlInP層、ベース層810としてp型のInGaP層、エミッタ層811としてn型のInGaP層、窓層812としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層813としてn型のInGaAs層を順次成長させた。成長温度は700℃とし、(In)GaAs層の成長では、原料としてTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)を用いた。InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を原料に用いた。AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を原料に用いた。(In)GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物にSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物にDEZnを用いた。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ベース層805および810の厚みはそれぞれ3μm、0.4μmとした。またボトムセルのInGaAs層のIn組成比は0.01であり、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満になっている。
図9は、比較例2に係るInGaP/InGaAs2接合太陽電池を示す断面図である。エピタキシャル層表面の受光面コンタクト層813(n型InGaAs層)上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(20nm)、Au層(5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成した。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極901を形成した。次に、表面電極901をマスクとして、電極が形成されていない部分の受光面コンタクト層813であるInGaAsキャップ層をアルカリ水溶液にてエッチングした。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面のGe基板801を露出させた。その後、EB蒸着法により表面に反射防止膜として、TiO2膜(55nm)、MgF2(100nm)を連続して形成した。
次に、受光面側にシリコーン樹脂を塗布し、ガラス板を接着した後、n型のGe基板801の裏面に裏面電極902であるn型オーミック電極となるAuを蒸着した。表面のメサエッチング部のラインに沿って、ガラス板と共にダイシングカットし、図9に示す断面構造の10mm×10mmサイズのセル12枚を作製した。
<太陽電池特性の評価>
実施例2および比較例2で作製したセルにつき、AM0基準太陽光を照射するソーラーシミュレータを用いて太陽電池特性の評価を行なった。耐放射線性試験として、1MeV電子線を1E15cm-2照射し、照射前後の太陽電池特性として、開放電圧(Voc、単位:V)、短絡電流(Isc、単位:mA)、曲線因子(FF)および変換効率(Eff、単位:%)を測定した。
実施例2および比較例2で作製したセルにつき、AM0基準太陽光を照射するソーラーシミュレータを用いて太陽電池特性の評価を行なった。耐放射線性試験として、1MeV電子線を1E15cm-2照射し、照射前後の太陽電池特性として、開放電圧(Voc、単位:V)、短絡電流(Isc、単位:mA)、曲線因子(FF)および変換効率(Eff、単位:%)を測定した。
図14は、実施例2および比較例2におけるInGaP/InGaAs2接合セルの電子線照射前後の太陽電池特性を示す図である。図14に示すように、実施例2で作製したセルは比較例2で作製したセルと比べ、電子線照射後においても良好な開放電圧、短絡電流、曲線因子および変換効率を維持している。これらの結果より実施例2のセル構造では比較例2のセル構造と比べて高い太陽電池特性が得られることがわかる。
(実施例3)
MOCVD法を用い、図5に示すエピタキシャル層を形成した。50mm径のp型のGaAs基板501(5×1018cm-3,Znドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層502としてp型のGaAs層を0.1μm形成した。続いて、InGaAsNボトムセルの裏電極コンタクト層503としてp型のAlGaAs層、裏面電界層504としてp型のGaAs層、ベース層505としてp型のInGaAsN層、エミッタ層506としてn型のInGaAsN層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合507、GaAsミドルセルの裏面電界層508としてp型のInGaP層、ベース層509としてp型のGaAs層、エミッタ層510としてn型のGaAs層、窓層511としてn型のAlInP層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合512、さらに、InGaPトップセルの裏面電界層513としてp型のAlInP層、ベース層514としてp型のInGaP層、エミッタ層515としてn型のInGaP層、窓層516としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層517としてn型のGaAs層を順次成長させた。成長温度は700℃とした。ここで、InGaAsN層の成長では、DMHy(ジメチルヒドラジン)、GaAs層の成長では、TMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いた。GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としてSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物としてDEZnを用いた。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ベース層505,509,514の厚みはそれぞれ1μm、3μm、0.4μmとした。ボトムセルのInGaAsN層のIn組成比を0.01とした。これによりGe基板との格子不整合度は0.05%未満となっている。また裏電極コンタクト層503(すなわちCドープされたAlGaAs層)の非受光面近傍におけるキャリア濃度は1×1019cm-3である。
MOCVD法を用い、図5に示すエピタキシャル層を形成した。50mm径のp型のGaAs基板501(5×1018cm-3,Znドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層502としてp型のGaAs層を0.1μm形成した。続いて、InGaAsNボトムセルの裏電極コンタクト層503としてp型のAlGaAs層、裏面電界層504としてp型のGaAs層、ベース層505としてp型のInGaAsN層、エミッタ層506としてn型のInGaAsN層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合507、GaAsミドルセルの裏面電界層508としてp型のInGaP層、ベース層509としてp型のGaAs層、エミッタ層510としてn型のGaAs層、窓層511としてn型のAlInP層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合512、さらに、InGaPトップセルの裏面電界層513としてp型のAlInP層、ベース層514としてp型のInGaP層、エミッタ層515としてn型のInGaP層、窓層516としてn型のAlInP層、および受光面コンタクト層517としてn型のGaAs層を順次成長させた。成長温度は700℃とした。ここで、InGaAsN層の成長では、DMHy(ジメチルヒドラジン)、GaAs層の成長では、TMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)、InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)、AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3をそれぞれ原料に用いた。GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物としてSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物としてDEZnを用いた。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ベース層505,509,514の厚みはそれぞれ1μm、3μm、0.4μmとした。ボトムセルのInGaAsN層のIn組成比を0.01とした。これによりGe基板との格子不整合度は0.05%未満となっている。また裏電極コンタクト層503(すなわちCドープされたAlGaAs層)の非受光面近傍におけるキャリア濃度は1×1019cm-3である。
図5に示すエピタキシャル層を用い、図6に示す裏面反射型化合物半導体太陽電池を製造した。エピタキシャル層表面の受光面コンタクト層517(n型GaAs層)上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(20nm)、Au層(5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成した。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極601を形成した。次に、表面電極601をマスクとして、電極が形成されていない部分のGaAsキャップ層となる受光面コンタクト層517をアルカリ水溶液にてエッチングした。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面のGaAs基板501を露出させた。その後、EB蒸着法により表面に反射防止膜として、TiO2膜(55nm)、MgF2(100nm)を連続して形成した。
次に、受光面側にシリコーン樹脂を塗布し、ガラス板を接着した後、裏面のGaAs基板501をアルカリ溶液にて、GaAs基板501上に成長したボトムセルの裏電極コンタクト層503(p型AlGaAs:1×1019cm-3[C])が露出するまでエッチングした。続いて、裏電極コンタクト層503に裏面電極602であるp型オーミック電極となるAu−Znを蒸着した。表面のメサエッチング部のラインに沿って、ガラス板と共にダイシングカットし、図6に示す断面構造の10mm×10mmサイズのセル12枚を作製した。
(比較例3)
実施例3との比較のために、MOCVD法を用い、従来技術によるInGaP/GaAs/InGaAsN3接合太陽電池を作製した。図10は、比較例3に係るInGaP/GaAs/InGaAsN3接合太陽電池を示す断面図である。50mm径のp型のGaAs基板1001(5E18cm-3,Znドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層1002としてp型のGaAs層を0.1μm形成した。続いて、InGaAsNボトムセルの裏電極コンタクト層1003としてp型のAlGaAs層、裏面電界層1004としてp型のGaAs層、ベース層1005としてp型のInGaAsN層、エミッタ層1006としてn型のInGaAsN層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合1007、GaAsミドルセルの裏面電界層1008としてp型のInGaP層、ベース層1009としてp型のGaAs層、エミッタ層1010としてn型のGaAs層、窓層1011としてn型のAlInP層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合1012、InGaPトップセルの裏面電界層1013としてp型のAlInP層、ベース層1014としてp型のInGaP層、エミッタ層1015としてn型のInGaP層、窓層1016としてn型のAlInP層、受光面コンタクト層1017としてn型のGaAs層を順次成長させた。成長温度は700℃とし、GaAs層の成長では、原料としてTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)を用いた。InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を原料に用いた。AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を原料に用いた。GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物にSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物にDEZnを用いた。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ベース層1005,1009,1014の厚みはそれぞれ3μm、3μm、0.4μmとした。ボトムセルのInGaAsN層のIn組成比は0.01であり、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満になっている。また裏電極コンタクト層1003(すなわちCドープされたAlGaAs層)の非受光面近傍におけるキャリア濃度は1×1019cm-3である。
実施例3との比較のために、MOCVD法を用い、従来技術によるInGaP/GaAs/InGaAsN3接合太陽電池を作製した。図10は、比較例3に係るInGaP/GaAs/InGaAsN3接合太陽電池を示す断面図である。50mm径のp型のGaAs基板1001(5E18cm-3,Znドープ)を縦型MOCVD装置に投入し、まず、ベース層と基板との間のバッファー層1002としてp型のGaAs層を0.1μm形成した。続いて、InGaAsNボトムセルの裏電極コンタクト層1003としてp型のAlGaAs層、裏面電界層1004としてp型のGaAs層、ベース層1005としてp型のInGaAsN層、エミッタ層1006としてn型のInGaAsN層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合1007、GaAsミドルセルの裏面電界層1008としてp型のInGaP層、ベース層1009としてp型のGaAs層、エミッタ層1010としてn型のGaAs層、窓層1011としてn型のAlInP層、n型のInGaP層とp型のAlGaAs層とからなるトンネル接合1012、InGaPトップセルの裏面電界層1013としてp型のAlInP層、ベース層1014としてp型のInGaP層、エミッタ層1015としてn型のInGaP層、窓層1016としてn型のAlInP層、受光面コンタクト層1017としてn型のGaAs層を順次成長させた。成長温度は700℃とし、GaAs層の成長では、原料としてTMG(トリメチルガリウム)とAsH3(アルシン)を用いた。InGaP層の成長ではTMI(トリメチルインジウム)、TMGおよびPH3(ホスフィン)を原料に用いた。AlInP層の成長ではTMA(トリメチルアルミニウム)、TMIおよびPH3を原料に用いた。GaAs、InGaPおよびAlInP層の全ての成長において、n型層形成のための不純物にSiH4(モノシラン)を用い、p型層形成のための不純物にDEZnを用いた。トンネル接合を形成するAlGaAs層の成長には、TMI、TMGおよびAsH3を原料に用い、p型不純物として、CBr4(四臭化炭素)を用いた。ベース層1005,1009,1014の厚みはそれぞれ3μm、3μm、0.4μmとした。ボトムセルのInGaAsN層のIn組成比は0.01であり、Ge基板との格子不整合度は0.05%未満になっている。また裏電極コンタクト層1003(すなわちCドープされたAlGaAs層)の非受光面近傍におけるキャリア濃度は1×1019cm-3である。
エピタキシャル層表面の受光面コンタクト層1017(n型GaAs層)上に、フォトリソグラフィー法によって、電極パターンの窓明けをしたレジストを形成し、真空蒸着装置に導入し、レジストを形成した上に、Geを12%含むAuからなる層(100nm)を抵抗加熱法により形成した後、Ni層(20nm)、Au層(5000nm)を連続してEB蒸着方法により形成した。その後、リフトオフ法にて所望のパターンの表面電極1018を形成した。次に、表面電極1018をマスクとして、電極が形成されていない部分の受光面コンタクト層1017であるInGaAsキャップ層をアルカリ水溶液にてエッチングした。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの窓明けをしたレジストを形成し、窓開けされた部分のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸溶液にてエッチングし、裏面のGaAs基板1001を露出させた。その後、EB蒸着法により表面に反射防止膜として、TiO2膜(55nm)、MgF2(100nm)を連続して形成した。
次に、受光面側にシリコーン樹脂を塗布し、ガラス板を接着した後、p型のGaAs基板1001の裏面に裏面電極1019であるn型オーミック電極となるAuを蒸着した。表面のメサエッチング部のラインに沿って、ガラス板と共にダイシングカットし、図10に示す断面構造の10mm×10mmサイズのセル12枚を作製した。
<セル特性評価>
実施例3および比較例3で作製したセルにつき、AM0基準太陽光を照射するソーラーシミュレータを用いてセル特性評価を行なった。耐放射線性試験として、1MeV電子線を1×1015cm-2照射し、照射前後の太陽電池特性(セル特性)として、開放電圧(Voc、単位:V)、短絡電流(Isc、単位:mA)、曲線因子(FF)および変換効率(Eff、単位:%)を測定した。
実施例3および比較例3で作製したセルにつき、AM0基準太陽光を照射するソーラーシミュレータを用いてセル特性評価を行なった。耐放射線性試験として、1MeV電子線を1×1015cm-2照射し、照射前後の太陽電池特性(セル特性)として、開放電圧(Voc、単位:V)、短絡電流(Isc、単位:mA)、曲線因子(FF)および変換効率(Eff、単位:%)を測定した。
図15は、実施例3および比較例3におけるInGaP/GaAs/InGaAsN3接合セルの電子線照射後の太陽電池特性を示す図である。図15に示すように、実施例3で作製したセルは、比較例3で作製したセルと比べ、開放電圧、短絡電流、曲線因子、変換効率において優れた結果を示し、実施例3のセル構造では、比較例3のセル構造より高い太陽電池特性が得られることがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、光電変換効率および耐放射線性を向上させた化合物半導体太陽電池の提供が可能となる。さらにベース層の厚さを薄くした際にも良好な太陽電池特性が得られるため、製造効率の向上および低コスト化も可能である。
101,501,701,1001 GaAs基板、102 エッチング分離層、103,313,517,707,813,1017 受光面コンタクト層、104,307,312,511,516,706,807,812,1011,1016 窓層、105,306,311,506,510,515,705,806,811,1006,1010,1015 エミッタ層、106,305,310,505,509,514,704,805,810,1005,1009,1014 ベース層、107,304,309,504,508,513,703,804,809,1004,1008,1013 裏面電界層、108,303,503,1003 裏電極コンタクト層、201,401,601,708,901,1018 表面電極、202,402,602,709,902,1019 裏面電極、301,801 Ge基板、302,502,702,802,1002 バッファー層、308,507,512,803,808,1007,1012 トンネル接合。
Claims (12)
- 第1の導電型の化合物半導体からなるエミッタ層と、
第2の導電型の化合物半導体からなり、前記エミッタ層とPN接合を形成するベース層と、
前記ベース層の非受光面側に形成され、ベース層材料より禁制帯幅が広い前記第2の導電型の化合物半導体からなるコンタクト層と、
前記コンタクト層の非受光面側に接して形成される裏面電極と、
を有する太陽電池セルを少なくとも1つ含む1または2以上の太陽電池セルから形成されてなる、裏面反射型化合物半導体太陽電池。 - 前記ベース層の厚さは、前記ベース層材料の禁制帯幅に対応する吸収端波長の光の64%が吸収される厚さよりも薄く設定される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 2以上の太陽電池セルからなる多接合型構造を有し、前記2以上の太陽電池セルのベース層材料の禁制帯幅が非受光面側の太陽電池セルから受光面側の太陽電池セルに向かって広くなるように前記多接合型構造が形成される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 第1の太陽電池セルの受光面側に第2の太陽電池セルが形成された多接合型構造を有し、前記第1の太陽電池セルのベース層材料が、GaAs,InP,InGaP,InGaAs,InGaAsN,InGaPN,AlInGaAsPN、から選択され、前記第2の太陽電池セルのベース層材料が、InGaP,AlGaAs,AlInGaP,GaAsP,AlGaInAsP,GaPN,InGaPN,AlGaAsN,AlGaInAsPN、から選択される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 第1の太陽電池セルの受光面側に第2の太陽電池セルが形成され、さらに前記第2の太陽電池セルの受光面側に第3の太陽電池セルが形成された多接合型構造を有し、前記第1の太陽電池セルのベース層材料が、InGaAs,InGaSb,AlGaInSb,InGaAsP,InGaAsN,InGaAsPN,InGaAsPNSb、から選択され、前記第2の太陽電池セルのベース層材料が、GaAs,InP,InGaP,InGaAs,InGaAsN,InGaPN,AlInGaAsPN、から選択され、前記第3の太陽電池セルのベース層材料が、InGaP,AlGaAs,AlInGaP,GaAsP,AlGaInAsP,GaPN,InGaPN,AlGaAsN,AlGaInAsPN、から選択される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 前記ベース層材料はInxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)であり、前記コンタクト層材料はAlxInyGaAs(但し0≦x≦0.8、0≦y≦0.02)、InxGa1-xP(但し0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 前記ベース層材料はInxGa1-xAsyN1-y(但し、0.08≦x≦0.1、y=x/3)であり、前記コンタクト層材料はGaAs、AlxInyGaAs(但し、x≦0.8、y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x0.51)から選択される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 第1の太陽電池セルと、前記第1の太陽電池セルの受光面側に形成された第2の太陽電池セルとを有し、前記第1の太陽電池セルのベース層は、InxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)からなるベース層材料により形成され、前記第1の太陽電池セルのコンタクト層は、AlxInyGaAs(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(0.46≦x≦0.51)から選択されるコンタクト層材料により形成され、前記第2の太陽電池セルのベース層は、AlxInyGaAs(但し、x≦0.8、y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択されるベース層材料により形成される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 第1の太陽電池セルと、前記第1の太陽電池セルの受光面側に形成された第2の太陽電池セルと、前記第2の太陽電池セルの受光面側に形成された第3の太陽電池セルとを有し、前記第1の太陽電池セルのベース層はInxGa1-xAsyN1-y(但し、0.08≦x≦0.1、y=x/3)からなるベース層材料により形成され、前記第2の太陽電池セルのベース層はInxGa1-xAs(但し、0≦x≦0.02)からなるベース層材料により形成され、前記第3の太陽電池セルのベース層はAlxInyGaAs(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦0.02)、InxGa1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)、Inx(AlGa)1-xP(但し、0.46≦x≦0.51)から選択されるベース層材料により形成される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 前記ベース層が0.5〜2.5μmの厚さで形成される、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 前記コンタクト層の非受光面近傍のキャリア濃度は5×1018cm-3以上である、請求項1に記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池。
- 半導体基板上に、前記ベース層を含む化合物半導体層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記化合物半導体層に表面電極および裏面電極を形成する工程と、
を含み、
前記半導体基板が、1または2以上の太陽電池セルにおけるすべての前記ベース層材料と格子不整合度0.1%未満で格子整合する材料により形成された、請求項1〜11のいずれかに記載の裏面反射型化合物半導体太陽電池の製造方法。
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