JP2013196820A - リチウムイオン二次電池システム及び析出判定方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池システム及び析出判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】負極へのリチウム金属の析出を精度よく判定することができるリチウムイオン二次電池システムを提供することである。
【解決手段】本発明にかかるリチウムイオン二次電池システムは、正極と、負極と、非水電解液と、参照電極と、を備えるリチウムイオン二次電池1と、リチウムイオン二次電池を制御する制御部2と、を有する。制御部2は、所定の時間の間、10C以上の電流値でリチウムイオン二次電池の充電を実施し、充電後に前記所定の時間の間、充電時の電流値と同一の電流値でリチウムイオン二次電池の放電を実施し、充電前の負極電位と充電後の負極電位の差である第1の電位差が、放電後の負極電位と放電前の負極電位の差である第2の電位差よりも大きい場合に、負極にリチウム金属が析出したと判定する。
【選択図】図1

Description

本発明はリチウムイオン二次電池システム及びリチウム金属の析出判定方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極および負極の間を、非水電解液中のリチウムイオンが移動することで充放電可能な二次電池である。リチウムイオン二次電池は、充放電を繰り返すことにより経時的に負極にリチウム金属が析出する場合がある。このように負極にリチウム金属が析出すると、非水電解液中のリチウムイオン(電池の充放電に寄与するリチウムイオン)が減少するためリチウムイオン二次電池の電池容量が低下する。
特許文献1には、リチウムイオン二次電池の充電時に、負極電位がLi電位を下回るのを抑制して、負極にリチウム金属が析出することを抑制することができる電池システムに関する技術が開示されている。特許文献1に開示されている電池システムは、正極、負極、非水電解液、および非水電解液に接触する参照電極を有するリチウムイオン二次電池と、負極と参照電極との間の電位差ΔV1を測定する電位差測定装置と、リチウムイオン二次電池の充電時に電位差ΔV1が負の値であるか否かを判定する判定手段と、電位差ΔV1が負の値であると判定された場合、当該充電時に充電電流値を低減させる制御を行う制御手段とを備える。
特開2010−218900号公報
特許文献1に開示されている技術では、参照電極に対する負極の電位が負の値である場合に負極にリチウム金属が析出するおそれがあると判定し、充電時に充電電流値を低減させて負極にリチウム金属が析出することを抑制している。
しかしながら、負極の到達電位が負の値であっても、リチウムイオン二次電池に供給される電流量によってはリチウム金属が負極に析出しない場合もある。このため、負極の到達電位に基づいてリチウム金属が負極に析出しているか否かを判定する手法では、判定の精度が低いという問題があった。
つまり、充電時の電流値が比較的低い場合(例えば、5Cよりも小さい場合)は、負極へのリチウムの挿入反応による電位変化を考慮すればよく、負極の到達電位を用いてリチウム金属の析出を判定することができる。しかし、充電時の電流値が比較的高い場合(例えば、5C以上)は、負極へのリチウムの挿入反応による電位変化に加えて、抵抗成分(非水電解液の抵抗や皮膜の抵抗など)が電位変化に現れるため、負極の到達電位を用いてリチウム金属の析出を判定することは困難であった。
また、負極が平面形状(図3参照)である場合は、高い電流値で充放電すると電極平面で反応ムラが生じ、部位によっては充電量と放電量が異なる場合があった。つまり、充電量が多い(つまり、負極の到達電位が低い)部位であっても、放電量が多ければリチウム金属が析出しない場合があった。このため、負極の到達電位に基づいてリチウム金属が負極に析出しているか否かを判定する手法では判定の精度が低いという問題があった。
上記課題に鑑み本発明の目的は、負極へのリチウム金属の析出を精度よく判定することができるリチウムイオン二次電池システムおよびリチウム金属析出判定方法を提供することである。
本発明の一態様にかかるリチウムイオン二次電池システムは、正極と、負極と、非水電解液と、前記負極の電位を測定する際の基準となる参照電極と、を備えるリチウムイオン二次電池と、前記リチウムイオン二次電池を制御する制御部と、を有するリチウムイオン二次電池システムであって、前記制御部は、所定の時間の間、10C以上の電流値で前記リチウムイオン二次電池の充電を実施し、前記充電後に前記所定の時間の間、前記充電時の電流値と同一の電流値で前記リチウムイオン二次電池の放電を実施し、前記充電前の負極電位と前記充電後の負極電位の差である第1の電位差が、前記放電後の負極電位と前記放電前の負極電位の差である第2の電位差よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定する。
前記充電時および前記放電時の電流値は20C以上30C以下であってもよい。
前記充電時および前記放電時の前記所定の時間は10秒以上20秒以下であってもよい。
前記制御部は、前記充電後に充放電を実施しない第1の休止時間を設け、当該第1の休止時間が経過した後の負極電位を前記充電後の負極電位とし、前記放電後に充放電を実施しない第2の休止時間を設け、当該第2の休止時間が経過した後の負極電位を前記放電後の負極電位としてもよく、前記第1および第2の休止時間は、1秒あたりの負極電位の変化量の絶対値である|ΔV/s|が、|ΔV/s|<0.5mVの条件を満たすまでの時間であってもよい。
前記制御部は、前記第1の電位差と前記第2の電位差の差が所定の閾値よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定してもよい。
前記制御部は、前記正極と前記負極の電位差に対応する電池電圧が4.1V以上であり、且つ前記電池電圧が4.1Vに到達した際の電流値が5C以上の場合、前記リチウムイオン二次電池に対して前記充電および前記放電を実施し、前記第1の電位差が前記第2の電位差よりも大きい場合に前記負極にリチウム金属が析出したと判定してもよい。
前記制御部は、前記正極と前記負極の電位差に対応する電池電圧が4.1V以上であり、且つ前記電池電圧が4.1Vに到達した際の電流値が5Cよりも小さい場合、前記負極の到達電位が0Vよりも小さい場合に前記負極にリチウム金属が析出したと判定してもよい。
前記制御部は、前記負極にリチウム金属が析出したと判定した場合、前記負極へのリチウム金属の析出を抑制するように前記リチウムイオン二次電池を制御してもよい。
前記制御部は、前記リチウムイオン二次電池を充電する際の電流値を制限することで前記負極へのリチウム金属の析出を抑制してもよい。
前記制御部は、前記リチウムイオン二次電池を過放電状態とすることで前記負極へのリチウム金属の析出を抑制してもよい。
本発明の一態様にかかるリチウム金属析出判定方法は、所定の時間の間、10C以上の電流値でリチウムイオン二次電池の充電を実施し、前記充電後に前記所定の時間の間、前記充電時の電流値と同一の電流値で前記リチウムイオン二次電池の放電を実施し、前記充電前の負極電位と前記充電後の負極電位の差である第1の電位差が、前記放電後の負極電位と前記放電前の負極電位の差である第2の電位差よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定する。
前記充電時および前記放電時の電流値は20C以上30C以下であってもよい。
前記充電時および前記放電時の前記所定の時間は10秒以上20秒以下であってもよい。
前記充電後に充放電を実施しない第1の休止時間を設け、当該第1の休止時間が経過した後の負極電位を前記充電後の負極電位とし、前記放電後に充放電を実施しない第2の休止時間を設け、当該第2の休止時間が経過した後の負極電位を前記放電後の負極電位としてもよく、前記第1および第2の休止時間は、1秒あたりの負極電位の変化量であるΔV/sが、ΔV/s<0.5mVの条件を満たすまでの時間であってもよい。
前記第1の電位差と前記第2の電位差の差が所定の閾値よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定してもよい。
本発明により、負極へのリチウム金属の析出を精度よく判定することができるリチウムイオン二次電池システムおよびリチウム金属析出判定方法を提供することができる。
実施の形態1にかかるリチウムイオン二次電池システムを示すブロック図である。 実施の形態1にかかるリチウムイオン二次電池の一例を示す図である。 実施の形態1にかかるリチウムイオン二次電池の負極の一例を示す斜視図である。 実施の形態1にかかるリチウムイオン二次電池システムにおけるリチウム金属析出判定の動作を説明するためのフローチャートである。 リチウム金属析出判定時におけるリチウムイオン二次電池の充放電のタイミングを説明するための図である。 図5の充電時における負極電位の変化を示す図である。 図5の放電時における負極電位の変化を示す図である。 リチウムイオン二次電池に供給される電流量(電流値)と負極へのリチウム金属の析出との関係を示す表である。 実施の形態2にかかるリチウムイオン二次電池システムにおけるリチウム金属析出判定の動作を説明するためのフローチャートである。 リチウム金属析出判定時におけるリチウムイオン二次電池の充放電のタイミングを説明するための図である。 図10の充電時における負極電位の変化を示す図である。 図10の放電時における負極電位の変化を示す図である。 リチウム金属析出判定時の検出条件とリチウム金属の検出限界との関係を示す表である。 リチウム金属析出判定時の検出条件と抵抗上昇率との関係を示す図である。
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかるリチウムイオン二次電池システムを示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムは、リチウムイオン二次電池1と、リチウムイオン二次電池1を制御する制御部2とを有する。制御部2は、充放電制御部3と、電位測定部4と、リチウム金属析出判定部5と、を有する。
リチウムイオン二次電池1は、所定の負荷(不図示)に電力を供給することができる。リチウムイオン二次電池1は、単一のリチウムイオン二次電池であってもよく、また複数のリチウムイオン二次電池を電気的に接続することで構成された組電池であってもよい。
リチウムイオン二次電池1は、正極活物質を担持した正極、負極活物質を担持した負極、正極および負極の間に介在するセパレータ、並びに非水電解液を備える。リチウムイオン二次電池1は、例えば帯状の正極と帯状の負極とを帯状のセパレータを介して捲回した捲回状の電極体を備えるものや、複数の正極と複数の負極とを、セパレータを介して交互に積層した積層状の電極体を備えるものなどが挙げられる。
例えば、積層状の電極体を備えるリチウムイオン二次電池は、図2に示すように、正極11と、負極13と、正極11および負極13の間に介在するセパレータ12とを積層することで構成することができる。
正極11は、アルミニウム等の正極集電体に正極活物質を塗布して乾燥することによって作製することができる。正極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)およびこれらの混合物等を用いることができる。
負極13は、銅等の負極集電体に負極活物質を塗布して乾燥することによって作製することができる。負極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いることができる。
非水電解液の非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、非水電解液の支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。セパレータとしては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、および多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜等を用いることができる。
また、リチウムイオン二次電池1は、負極電位を測定する際の基準となる参照電極を備える。例えば、参照電極は、リチウムイオン二次電池の正極と負極との間に、非水電解液と接するように設ける。負極電位は、参照電極に対する負極の電位、つまり、負極と参照電極の電位差を測定することで求めることができる。参照電極としては、例えば、リチウム金属を含む参照電極や、LiFePO、LiMnPO等の活物質を有する参照電極などを用いることができる。
図3は、リチウムイオン二次電池1の負極13の一例を示す斜視図である。図3に示すように、負極13の負極集電体21の両面には、負極活物質22、23がそれぞれ設けられている。負極集電体21には負極集電体21に電子を供給し、また負極集電体から電子を取り出すための端子24が設けられている。
そして、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池では、例えば、端子24から最も離れている箇所(例えば符号25で示す)に参照電極を配置する。負極13のうち端子24から最も離れている箇所は、高い電流値で充電した際に最も反応ムラが生じる箇所である。よって、反応ムラが生じやすい箇所に参照電極を配置することで、より厳しい条件でリチウム金属の析出を判定することができる。なお、参照電極は、例えば端子24から最も離れている辺26の近傍に設けてもよい。
制御部2が備える充放電制御部3は、リチウムイオン二次電池1の充電および放電を制御する。電位測定部4は、リチウムイオン二次電池1の電池電圧や負極電位を測定する。ここで、電池電圧は正極と負極の電位差であり、負極電位は負極と参照電極の電位差である。リチウム金属析出判定部5は、電位測定部4で測定された電池電圧や負極電位に基づき、負極にリチウム金属が析出したか否かを判定する。また、リチウム金属析出判定部5は、負極へのリチウム金属の析出を判定する際に、充放電制御部3に対して、所定の時間の間、所定の電流値でリチウムイオン二次電池の充電を実施し、所定の時間の間、所定の電流値でリチウムイオン二次電池の放電を実施するように命令すことができる。
次に、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムにおけるリチウム金属析出判定の動作について、図4乃至図7を用いて説明する。図4は、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムにおけるリチウム金属析出判定の動作を説明するためのフローチャートである。図5は、リチウム金属析出判定時におけるリチウムイオン二次電池の充放電のタイミングを説明するための図である。
リチウム金属析出判定を実施する際、充放電制御部3は、所定の時間の間、所定の電流値でリチウムイオン二次電池1の充放電を実施する(ステップS1)。すなわち、図5に示すように、充放電制御部3は、タイミングt1からタイミングt2の間、所定の電流値でリチウムイオン二次電池1を充電する。その後、タイミングt2からタイミングt3の間、リチウムイオン二次電池1に対して充放電を実施しない休止時間(第1の休止期間)を設ける。そして、タイミングt3からタイミングt4の間、所定の電流値でリチウムイオン二次電池1の放電を実施する。その後、タイミングt4からタイミングt5の間、リチウムイオン二次電池1に対して充放電を実施しない休止時間(第2の休止期間)を設ける。
ここで、リチウムイオン二次電池1の充電時間である所定の時間(タイミングt1からタイミングt2の間)は、リチウムイオン二次電池1の放電時間である所定の時間(タイミングt3からタイミングt4の間)と同一とする。また、リチウムイオン二次電池1を充電する際の所定の電流値は、リチウムイオン二次電池1を放電する際の所定の電流値と同一とする。また、充電後の休止時間および放電後の休止時間は、例えば、1秒あたりの負極電位の変化量の絶対値である|ΔV/s|が、|ΔV/s|<0.5mVの条件を満たすまでの時間とする。
本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムでは、リチウム金属析出判定を実施する際、比較的短時間で、且つ比較的高い電流値で充放電を実施することが好ましい。よって、例えば、リチウムイオン二次電池1の充電時および放電時の所定の電流値はそれぞれ10C以上、より好ましくは20C以上30C以下とする。また、例えば、リチウムイオン二次電池1の充電時間および放電時間はそれぞれ10秒以上20秒以下とすることが好ましい。また、例えば、充電後の休止時間および放電後の休止時間として、それぞれ60秒程度の休止時間を設けることが好ましい。
リチウム金属析出判定部5は、リチウムイオン二次電池1の充電前の負極電位と充電後の負極電位の差である充電時の負極電位差(第1の電位差)が、放電後の負極電位と放電前の負極電位の差である放電時の負極電位差(第2の電位差)よりも大きいか否かを判定する(ステップS2)。つまり、(充電前の負極電位−充電後の負極電位)>(放電後の負極電位−放電前の負極電位)の条件を満たすか否かを判定する。このとき、リチウムイオン二次電池の各電位は電位測定部4で測定される。また、例えば、充電後の負極電位として、充電後の休止時間が経過した後の負極電位を用いる。また、放電後の負極電位として、放電後の休止時間が経過した後の負極電位を用いる。
そして、リチウム金属析出判定部5は、(充電前の負極電位−充電後の負極電位)>(放電後の負極電位−放電前の負極電位)の条件を満たす場合(ステップS2:Yes)、リチウムイオン二次電池の負極にリチウム金属が析出したと判定する(ステップS3)。一方、リチウム金属析出判定部5は、(充電前の負極電位−充電後の負極電位)>(放電後の負極電位−放電前の負極電位)の条件を満たさない場合は(ステップS2:No)、リチウムイオン二次電池の負極にリチウム金属が析出していないと判定する(ステップS4)。ここで、(充電前の負極電位−充電後の負極電位)>(放電後の負極電位−放電前の負極電位)の条件を満たさない場合とは、例えば、(充電前の負極電位−充電後の負極電位)=(放電後の負極電位−放電前の負極電位)の場合(つまり、充電時の負極電位差と放電時の負極電位差とが等しい場合)である。
図6は、図5の充電時における負極電位の変化を示す図である。図6に示すように、充電前の負極電位はVc1である。そして、タイミングt1において所定の電流値で充電を開始すると負極電位がVc1から低下し、充電を終了するタイミングt2の直前に最小値Vc_minとなる。そして、タイミングt2において充電を終了すると、負極電位が上昇し、休止時間後のタイミングt3において負極電位がVc2となる。このとき、充電時の負極電位差ΔVcは、充電前の負極電位Vc1と充電後の負極電位Vc2とを用いて、ΔVc=Vc1−Vc2と表すことができる。充電時の負極電位差ΔVcは、タイミングt1〜t2におけるリチウムイオン二次電池の充電量に対応している。
図7は、図5の放電時における負極電位の変化を示す図である。図7に示すように、放電前の負極電位はVd1である。そして、タイミングt3において所定の電流値で放電を開始すると負極電位がVd1から上昇し、放電を終了するタイミングt4の直前に最大値Vd_maxとなる。そして、タイミングt4において放電を終了すると、負極電位が低下し、休止時間後のタイミングt5において負極電位がVd2となる。このとき、放電時の負極電位差ΔVdは、放電後の負極電位Vd2と放電前の負極電位Vd1とを用いて、ΔVd=Vd2−Vd1と表すことができる。放電時の負極電位差ΔVdは、タイミングt3〜t4におけるリチウムイオン二次電池の放電量に対応している。
そして、リチウム金属析出判定部5は、充電時の負極電位差ΔVcと放電時の負極電位差ΔVdとが同一の場合は、リチウムイオン二次電池の充電量と放電量とが同一であるので、負極にリチウム金属が析出していないと判定することができる。一方、リチウム金属析出判定部5は、充電時の負極電位差ΔVcと放電時の負極電位差ΔVdとが、ΔVc>ΔVdの関係を満たす場合は、リチウムイオン二次電池の充電量が放電量よりも多いため、負極にリチウム金属が析出していると判定することができる。すなわち、リチウムイオン二次電池の充電量が放電量よりも多い場合、換言すると、リチウムイオン二次電池の放電量が充電量よりも少ない場合は、放電時に負極から放出されるリチウム(放出されるときはリチウムイオンとなる)の量が、充電時に負極に蓄積されたリチウムの量よりも少ないため、負極に蓄積されたリチウムが放電後においても残存し、結果として負極にリチウム金属が析出する。よって、上記のように充電時の負極電位差ΔVcと放電時の負極電位差ΔVdとを比較することで、負極にリチウム金属が析出しているか否かを判定することができる。
なお、上記ではΔVc>ΔVd(つまり、ΔVc−ΔVd>0)の関係を満たす場合に負極にリチウム金属が析出していると判定していたが、例えば所定の閾値Va(ただし、Va>0)を設けて、ΔVc−ΔVd>Vaの関係を満たす場合に負極にリチウム金属が析出していると判定してもよい。このように、所定の閾値を設けることで負極へのリチウム金属析出の誤判定を抑制することができる。また、上記で説明した判定を複数回実施し、多数決に基づいて負極へのリチウム金属の析出を判定することで、誤判定を抑制することができる。
上記特許文献1に開示されている技術では、負極の到達電位が負の値である場合に負極にリチウム金属が析出するおそれがあると判定し、充電時に充電電流値を低減させて負極にリチウム金属が析出することを抑制していた。しかしながら、負極の到達電位が負の値であっても、リチウムイオン二次電池に供給される電流量によってはリチウム金属が負極に析出しない場合もある。ここで、負極の到達電位とは、充電時に到達した負極の電位であり、例えば、充電時の負極電位の最小値(図6の最小値Vc_min)を負極の到達電位とすることができる。
図8に示す表は、リチウムイオン二次電池に供給される電流量(電流値)と負極へのリチウム金属の析出との関係を示す表である。図8に示す表では、リチウムイオン二次電池の負極電位が−0.05Vに到達するまで各々の電流値(4C、4.5C、5C)で充電を行い、その後、リチウムイオン二次電池を解体してICP発光分光分析法を用いて負極へのリチウム金属の析出を調べた結果を示している。ここで、負極電位が−0.05Vの場合は、特許文献1にかかる技術において負極にリチウム金属が析出する可能性があると判定される場合である。
図8に示すように、充電時の電流値が4Cの場合は負極へのリチウム金属の析出量が2.5mgであり、充電時の電流値が4.5Cの場合は負極へのリチウム金属の析出量が1.8mgであり、充電時の電流値が5Cの場合は負極へのリチウム金属の析出量が検出限界(<0.005mg)以下であった。よって、充電時の電流値が5Cよりも小さい場合は負極にリチウム金属が析出し、充電時の電流値が5C以上の場合は負極にリチウム金属が析出しなかった。
このように、負極電位が−0.05Vに到達した場合であっても、リチウムイオン二次電池に供給される電流量によってはリチウム金属が負極に析出しない場合もある。よって、負極の到達電位に基づいてリチウム金属が負極に析出しているか否かを判定する手法では判定の精度が低いという問題があった。
つまり、充電時の電流値が比較的低い場合(例えば、5Cよりも小さい場合)は、負極へのリチウムの挿入反応による電位変化を考慮すればよく、負極の到達電位を用いてリチウム金属の析出を判定することができる。しかし、充電時の電流値が比較的高い場合(例えば、5C以上)は、負極へのリチウムの挿入反応による電位変化に加えて、抵抗成分(非水電解液の抵抗や皮膜の抵抗など)が電位変化に現れるため、負極の到達電位を用いてリチウム金属の析出を判定することは困難であった。
また、負極が平面形状(図3参照)である場合は、高い電流値で充放電すると電極平面で反応ムラが生じ、部位によっては充電量と放電量が異なる場合があった。つまり、充電量が多い(つまり、負極の到達電位が低い)部位であっても、放電量が多ければリチウム金属が析出しない場合があった。このため、負極の到達電位に基づいてリチウム金属が負極に析出しているか否かを判定する手法では判定の精度が低いという問題があった。
そこで本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムでは、所定の時間の間、所定の電流値でリチウムイオン二次電池の充電を実施し、充電後に所定の時間の間、所定の電流値でリチウムイオン二次電池の放電を実施し、充電前の負極電位と充電後の負極電位の差である第1の電位差が、放電後の負極電位と放電前の負極電位の差である第2の電位差よりも大きい場合に、負極にリチウム金属が析出したと判定している。
このような判定方法を用いることで、充電時の電流値が比較的高い場合であっても負極へのリチウム金属の析出を精度よく判定することができる。つまり、比較的高い電流値でリチウムイオン二次電池の充放電を実施することで、微小な充放電量の差を検出することができ、負極へのリチウム金属の析出を精度よく判定することができる。
よって、本実施の形態にかかる発明により、負極へのリチウム金属の析出を精度よく判定することができるリチウムイオン二次電池システムおよびリチウム金属析出判定方法を提供することができる。
更に、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムでは、上記方法により負極にリチウム金属が析出したと判定した場合に、制御部2が、負極へのリチウム金属の析出を抑制するようにリチウムイオン二次電池1を制御してもよい。
例えば、制御部2は、リチウムイオン二次電池1を充電する際の電流値を制限することで負極へのリチウム金属の析出を抑制することができる。例えば、リチウム金属析出判定部5は、負極にリチウム金属が析出したと判定した場合、充放電制御部3がリチウムイオン二次電池1を充電する際の電流値を制限するように、充放電制御部3に命令する。このように充電時の電流値を制限することで、充電時に負極電位が負の値になることを抑制することができ、負極にリチウム金属が析出することを抑制することができる。
また、制御部2は、リチウムイオン二次電池1を過放電状態とすることで負極へのリチウム金属の析出を抑制することができる。例えば、所定の電流値(例えば、0.1C)で過放電を行い、リチウムイオン二次電池1の電池電圧が1.5Vに到達したときに、リチウムイオン二次電池1の過放電を停止させる。なお、過放電時の電流値や過放電を停止する電池電圧は上記例に限定されることはなく、任意に設定することができる。化学反応に寄与しなくなったリチウムイオンは、過放電を行うことにより再び化学反応に寄与させることができる場合がある。すなわち、リチウムイオン二次電池1には、一次的に劣化している成分が含まれており、過放電を行うことにより、劣化成分を正常な状態に戻すことができる。なお、過放電を実施したリチウムイオン二次電池1については、12時間程度、放置しておくことが好ましい。
また、例えば、リチウムイオン二次電池1の温度を35℃以上55℃以下の範囲内に所定時間保つことで、負極へのリチウム金属の析出を抑制することができる。例えば、リチウムイオン二次電池にヒータ等の加熱手段を設けることで、リチウムイオン二次電池1の温度を35℃以上55℃以下の範囲内に所定時間保つことができる。この場合、制御部2が加熱手段を制御する。このように、リチウムイオン二次電池1の温度を、所定時間、35℃以上55℃以下の範囲内に保つことで、リチウムイオン二次電池の負極に析出したリチウム金属をリチウムイオンに戻すことができる。
なお、上記で説明した方法は一例であり、負極へのリチウム金属の析出を抑制することができる方法であれば他の任意の方法を用いてもよい。
以上で説明した本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムにより、負極へのリチウム金属の析出を抑制することができるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態2にかかるリチウムイオン二次電池システムでは、実施の形態1で説明したリチウムイオン二次電池システムと比べて、初期判定としてリチウムイオン二次電池の電池電圧と負極の到達電位とを用いて負極へのリチウム金属の析出を判定している点が異なる。これ以外は、実施の形態1で説明したリチウムイオン二次電池システムと同様であるので、重複した説明は適宜省略する。
図9は、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムにおけるリチウム金属析出判定の動作を説明するためのフローチャートである。本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムでは、まず、図1に示す電位測定部4で測定された電池電圧(正極と負極の電位差)が4.1V以上であるか否かを判定する(ステップS11)。電池電圧が4.1Vよりも小さい場合(ステップS11:No)、リチウム金属析出判定部5は負極にリチウム金属が析出していないと判定し、リチウムイオン二次電池を通常通り使用する(ステップS12)。
一方、電池電圧が4.1V以上である場合(ステップS11:Yes)、電池電圧が4.1Vに到達した際の電流値が5C以上であるか否かを判定する(ステップS13)。そして、電池電圧が4.1Vに到達した際の電流値が5Cよりも小さい場合(ステップS13:No)、負極の到達電位が0Vよりも小さいか否かを判定する(ステップS14)。
負極の到達電位が0Vよりも小さい場合は(ステップS14:Yes)、負極にリチウム金属が析出したと判定することができる(ステップS15)。一方、負極の到達電位が0V以上である場合は(ステップS14:No)、負極にリチウム金属が析出していないと判定することができる(ステップS16)。
一方、電池電圧が4.1Vに到達した際の電流値が5C以上である場合は(ステップS13:Yes)、ステップS17〜S20の判定を実施する。ここで、ステップS17〜S20の動作は、実施の形態1で説明した図4のステップS1〜S4の動作と同様であるので、重複した説明は省略する。
本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムでは、リチウムイオン二次電池の充放電を実施して負極へのリチウム金属の析出を判定する(つまり、ステップS17〜S20)前に、電池電圧と負極の到達電位とを用いて負極へのリチウム金属の析出を判定している。
すなわち、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池システムでは、充電時の電流値が比較的低い場合(5Cよりも小さい場合)は、電池電圧と負極の到達電位とを用いて負極へのリチウム金属の析出を判定し(ステップS11〜S16)、充電時の電流値が比較的高い場合(5C以上)は、リチウムイオン二次電池の充放電を実施して負極へのリチウム金属の析出を判定している(ステップS17〜S20)。よって、まずは電池電圧と負極の到達電位とを用いる簡易な方法(ステップS11〜S16)を用いて負極へのリチウム金属の析出を判定することができるので、より簡易に負極へのリチウム金属の析出を判定することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。以下で説明する実施例では、上記で説明したリチウムイオン二次電池を使用した。
<実施例1>
図10は、リチウム金属析出判定時におけるリチウムイオン二次電池の充放電のタイミングを説明するための図である。図10に示すように、本実施例では10秒〜20秒の間、20Cの電流値でリチウムイオン二次電池を充電した。その後、20秒〜80秒の間、リチウムイオン二次電池に対して充放電を実施しない休止時間を設けた。そして、80秒〜90秒の間、20Cの電流値でリチウムイオン二次電池の放電を実施した。その後、90秒〜150秒の間、リチウムイオン二次電池に対して充放電を実施しない休止時間を設けた。
図11は、図10に示した充電時における負極電位の変化を示す図である。図11に示すように、充電前の負極電位Vc1は0.161Vであった。そして、20Cの電流値で10秒間の間、充電を実施した。充電開始後、負極電位が0.161Vから低下し、充電終了の直前に最小値(負極の到達電位)−0.278Vとなり、その後、負極電位が上昇した。60秒間の休止時間後の負極電位Vc2は0.125Vであった。よって、充電時の負極電位差ΔVcは、ΔVc=0.161V−0.125V=0.036Vであった。
図12は、図10に示した放電時における負極電位の変化を示す図である。図12に示すように、放電前の負極電位Vd1は0.125Vであった。そして、20Cの電流値で10秒間の間、放電を実施した。放電開始後、負極電位が0.125Vから上昇し、放電終了の直前に最大値0.595Vとなり、その後、負極電位が低下した。60秒間の休止時間後の負極電位Vd2は0.152Vであった。よって、放電時の負極電位差ΔVdは、ΔVd=0.152V−0.125V=0.027Vであった。
したがって、充電時の負極電位差ΔVcが0.036Vであり、放電時の負極電位差ΔVdが0.027Vであったので、ΔVc>ΔVdの関係を満たすことから、負極にリチウム金属が析出していると判定することができた。
<実施例2>
実施例2では、異なる量のリチウム金属が負極に析出している複数のサンプルを準備し、これらのサンプルを各々条件が異なるリチウム金属析出判定方法を用いて判定し、各検出条件におけるリチウム金属の検出限界の比較を行なった。
異なる量のリチウム金属が負極に析出している複数のサンプルは、以下のようにして準備した。まず、リチウムイオン二次電池を10Cの電流値で充電し、負極電位が−0.5Vとなった時点で充電を終了した。その後、10Cの電流値で、充電時間と同じ時間の放電時間で放電を実施した。この充放電を1サイクルとして、例えば、10サイクル、20サイクルのように、充放電サイクル数が異なるサンプルを作製した。つまり、サイクル数が多いサンプルほど負極に析出しているリチウム金属の量が多い。なお、リチウムイオン二次電池の充放電は0℃の環境で行なった。
その後、作製したサンプルについて、負極へのリチウム金属の析出の有無を調べた。本実施例では、リチウム金属析出判定時の充放電の電流値を10C、20C、30Cとし、充放電時間を5秒、10秒、20秒として、負極へのリチウム金属の析出の有無を調べた。このとき、サイクル数が少ないサンプル(つまり、負極に析出しているリチウム金属の量が少ないサンプル)からリチウム金属析出判定を実施し、その後、リチウム金属析出判定を実施するサンプルを徐々にサイクル数の多いサンプルとすることで(つまり、サンプルの負極に析出しているリチウム金属の量を徐々に多くすることで)、各検出条件におけるリチウム金属の検出限界を調べた。
図13は、リチウム金属析出判定時の検出条件とリチウム金属の検出限界との関係を示す表である。例えば、図13に示すように電流値10C、充放電時間5sの場合(以下、10C5sのように記載する)は、10Cの電流値で5秒間充電し、充電後に60秒間休止し、10Cの電流値で5秒間充電し、放電後に60秒間休止した。そして、充電前の負極電位と充電後(休止後)の負極電位の電位差が、放電後(休止後)の負極電位と放電前の負極電位の電位差よりも大きい場合に、負極にリチウム金属が析出したと判定した。このような方法により、負極に析出しているリチウム金属の量が少ないサンプルから順番にリチウム金属析出の判定を実施した。例えば、検出条件が10C5sの場合は、負極に析出しているリチウム金属の量が5.00mgの場合に負極へのリチウム金属の析出を検出することができた。換言すると、負極に析出しているリチウム金属の量が5.00mgとなるまで、充電時の負極電位の電位差が、放電時の負極電位の電位差よりも大きくならないため、リチウム金属の析出を検出できなかった。
図13に示すように、充放電の際の電流値が同一である場合は、充放電時間が長くなるほどリチウム金属の検出限界が小さくなった(つまり、検出感度がよくなった)。また、充放電時間が同一である場合は、充放電の際の電流値が大きくなるほどリチウム金属の検出限界が小さくなった(つまり、検出感度がよくなった)。このとき、充放電の際の電流値が20C以上30C以下で、且つ充放電時間が10秒以上20秒以下である場合に検出感度がよくなった。特に、検出条件が20C20s、30C10s、30C20sの場合は、20C10sの場合よりも検出感度がよくなった。
一方、リチウム金属析出判定を実施する際の条件によってはリチウムイオン二次電池に悪影響を与える場合がある。このような場合を調べるために、リチウム金属析出判定を100サイクル繰り返した後(つまり、充電、休止、放電、休止を1サイクルとしてこの動作を100サイクル繰り返した後)のリチウムイオン二次電池の抵抗を調べた。このときの検出条件(電流値、充放電時間)は20C10s、30C10s、20C20s、30C20sとした。図14は、リチウムイオン二次電池の検出条件と抵抗上昇率との関係を示す図である。図14に示すように、検出条件が30C10sの場合は抵抗上昇率が1.10、検出条件が20C20sの場合は抵抗上昇率が1.15、検出条件が30C20sの場合は抵抗上昇率が1.20であった。これに対して、検出条件が20C10sの場合は抵抗上昇率が1.01となり、検出条件が30C10s、20C20s、30C20sの場合よりも抵抗上昇率が低くなった。
よって、リチウムイオン二次電池の抵抗上昇率が低く、且つ検出感度がよい20C10sが、リチウム金属析出判定を実施する際の最もよい条件であることがわかった。
以上、本発明を上記実施の形態や実施例に即して説明したが、本発明は上記実施の形態や実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
1 リチウムイオン二次電池
2 制御部
3 充放電制御部
4 電位測定部
5 リチウム金属析出判定部
11 正極
12 セパレータ
13 負極
21 負極集電体
22、23 負極活物質
24 端子

Claims (15)

  1. 正極と、負極と、非水電解液と、前記負極の電位を測定する際の基準となる参照電極と、を備えるリチウムイオン二次電池と、
    前記リチウムイオン二次電池を制御する制御部と、を有するリチウムイオン二次電池システムであって、
    前記制御部は、
    所定の時間の間、10C以上の電流値で前記リチウムイオン二次電池の充電を実施し、
    前記充電後に前記所定の時間の間、前記充電時の電流値と同一の電流値で前記リチウムイオン二次電池の放電を実施し、
    前記充電前の負極電位と前記充電後の負極電位の差である第1の電位差が、前記放電後の負極電位と前記放電前の負極電位の差である第2の電位差よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定する、
    リチウムイオン二次電池システム。
  2. 前記充電時および前記放電時の電流値は20C以上30C以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  3. 前記充電時および前記放電時の前記所定の時間は10秒以上20秒以下である、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  4. 前記制御部は、
    前記充電後に充放電を実施しない第1の休止時間を設け、当該第1の休止時間が経過した後の負極電位を前記充電後の負極電位とし、
    前記放電後に充放電を実施しない第2の休止時間を設け、当該第2の休止時間が経過した後の負極電位を前記放電後の負極電位とし、
    前記第1および第2の休止時間は、1秒あたりの負極電位の変化量の絶対値である|ΔV/s|が、|ΔV/s|<0.5mVの条件を満たすまでの時間である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  5. 前記制御部は、前記第1の電位差と前記第2の電位差の差が所定の閾値よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  6. 前記制御部は、前記正極と前記負極の電位差に対応する電池電圧が4.1V以上であり、且つ前記電池電圧が4.1Vに到達した際の電流値が5C以上の場合、前記リチウムイオン二次電池に対して前記充電および前記放電を実施し、前記第1の電位差が前記第2の電位差よりも大きい場合に前記負極にリチウム金属が析出したと判定する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  7. 前記制御部は、前記正極と前記負極の電位差に対応する電池電圧が4.1V以上であり、且つ前記電池電圧が4.1Vに到達した際の電流値が5Cよりも小さい場合、前記負極の到達電位が0Vよりも小さい場合に前記負極にリチウム金属が析出したと判定する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  8. 前記制御部は、前記負極にリチウム金属が析出したと判定した場合、前記負極へのリチウム金属の析出を抑制するように前記リチウムイオン二次電池を制御する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  9. 前記制御部は、前記リチウムイオン二次電池を充電する際の電流値を制限することで前記負極へのリチウム金属の析出を抑制する、請求項8に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  10. 前記制御部は、前記リチウムイオン二次電池を過放電状態とすることで前記負極へのリチウム金属の析出を抑制する、請求項8に記載のリチウムイオン二次電池システム。
  11. 所定の時間の間、10C以上の電流値でリチウムイオン二次電池の充電を実施し、
    前記充電後に前記所定の時間の間、前記充電時の電流値と同一の電流値で前記リチウムイオン二次電池の放電を実施し、
    前記充電前の負極電位と前記充電後の負極電位の差である第1の電位差が、前記放電後の負極電位と前記放電前の負極電位の差である第2の電位差よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定する、
    リチウム金属析出判定方法。
  12. 前記充電時および前記放電時の電流値は20C以上30C以下である、請求項11に記載のリチウム金属析出判定方法。
  13. 前記充電時および前記放電時の前記所定の時間は10秒以上20秒以下である、請求項11または12に記載のリチウム金属析出判定方法。
  14. 前記充電後に充放電を実施しない第1の休止時間を設け、当該第1の休止時間が経過した後の負極電位を前記充電後の負極電位とし、
    前記放電後に充放電を実施しない第2の休止時間を設け、当該第2の休止時間が経過した後の負極電位を前記放電後の負極電位とし、
    前記第1および第2の休止時間は、1秒あたりの負極電位の変化量であるΔV/sが、ΔV/s<0.5mVの条件を満たすまでの時間である、
    請求項11乃至13のいずれか一項に記載のリチウム金属析出判定方法。
  15. 前記第1の電位差と前記第2の電位差の差が所定の閾値よりも大きい場合に、前記負極にリチウム金属が析出したと判定する、請求項11乃至14のいずれか一項に記載のリチウム金属析出判定方法。
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