JP2013196806A - 非水電解質二次電池、非水電解質二次電池の制御方法 - Google Patents

非水電解質二次電池、非水電解質二次電池の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解質二次電池における負極活物質の導電網を修復させる。
【解決手段】リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、電解質と、を有する非水電解質二次電池であって、負極に金属包含マイクロカプセルが含まれ、金属包含マイクロカプセルは、低融点金属が熱硬化性樹脂のカプセル材で包まれたものである非水電解質二次電池。
【選択図】 図2

Description

本発明は、非水電解質二次電池、非水電解質二次電池の制御方法に関する。
非水電解質二次電池は、正負極間のリチウムイオンの吸蔵、放出を応用したリチウムイオン二次電池などがあり、エネルギー密度が高く、3.0V以上の電圧が得られ、また小型化・軽量化が可能であることから、各種電子機器の主電源やメモリーバックアップ用電源など、様々な用途に使用されている。
近年、風力発電所に併設される大型蓄電池用途としてリチウムイオン二次電池を用いることが期待されているが、現状でのリチウムイオン二次電池はさらなる長寿命化が求められている。寿命到達の指標のひとつとなる放電容量は、電解液の分解による固体電解質被膜の成長や、充放電反応に伴う活物質の膨張収縮に起因した導電網の切断などによって低下する。これらの放電容量低下を抑制し、電池を長寿命化するための研究が世界中で進められている。
本発明は上記の導電網切断に起因する容量低下を抑制するために、負極内部に金属を内包したマイクロカプセルを仕込んでおき、容量が低下した際にカプセルを破壊し、マイクロカプセル内部にあった金属が導電網を修復し、電池を長寿命化するものである。
リチウムイオン二次電池の電極合剤層中にマイクロカプセルを添加する従来例として、特許文献1には、正極の導電剤として、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等の炭素質粉末材料、ニッケル、チタン等の金属粉末その他が用いられ、これらは、分散性を向上させる目的で界面活性剤によりマイクロカプセル化されていても良い、旨の技術が開示されている。特許文献2〜5には、活物質としてカプセル内に金属を含む技術が開示されている。
特開平01−120759号公報 特開2005−135925号公報 特開2011−057541号公報 特開2009−129587号公報 特開2006−286314号公報
特許文献1では、マイクロカプセルは正極合剤中に存在しており、充放電反応に伴う負極活物質の膨張収縮により破断した導電網を修復する効果はない。特許文献2〜5は、カプセル内に金属を含む活物質であり、導電網を修復する効果はない。本発明は、軽金属イオンを導電種とする非水電解質二次電池における負極活物質の導電網を修復することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、電解質と、を有する非水電解質二次電池であって、負極に金属包含マイクロカプセルが含まれ、金属包含マイクロカプセルは、低融点金属が熱硬化性樹脂のカプセル材で包まれたものである非水電解質二次電池。
上記において、低融点金属の融点は130℃以下である非水電解質二次電池。
上記において、カプセル材はアミノアルキド樹脂およびアミノアクリル樹脂の一種以上である非水電解質二次電池。
上記において、カプセル材の平均粒子径(D50)は1μm以上200μm以下である非水電解質二次電池。
上記において、剛体板をさらに有し、非水電解質二次電池はラミネート型電池であり、剛体板の機械的面圧印加によって金属包含マイクロカプセルが破壊される非水電解質二次電池。
上記において、熱プレスによって金属包含マイクロカプセルが破壊され、低融点金属の融点は熱プレスの温度を下回る非水電解質二次電池。
上記において、カプセル材は非水電解質二次電池のカレンダー処理時に破壊されない強度を有する非水電解質二次電池。
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、電解液と、を有する非水電解質二次電池の制御方法であって、負極に金属包含マイクロカプセルが含まれ、金属包含マイクロカプセルは、低融点金属が熱硬化性樹脂のカプセル材で包まれたものであり、熱プレスによって金属包含マイクロカプセルが破壊されることによって、負極中の導電網を修復させる非水電解質二次電池の制御方法。
本発明により、非水電解質二次電池における負極活物質の導電網を修復できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態におけるラミネート型電池の構成を示す図。 本発明の一実施形態における負極の構成を示す図。 本発明の一実施形態におけるラミネート型電池と剛体板の構成を示す図。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
図1に、本発明の一実施形態におけるラミネート型電池100を示す。以下では、非水電解質二次電池としてリチウムイオン二次電池について記述する。
平板型の正極110、平板型の負極120、平板型のセパレータ130が複数枚積層されて電極群140を構成している。電極群140の周囲は電池容器150で覆われ、電解液で満たされた密封構造となっている。電極群140の積層方向の上下端部には容器との間に電気絶縁性の材質である緩衝材160、165がそれぞれ挿入されている。
各平板型の正極110の一方の端部210には正極タブ310が備わり、同様に各平板型の負極120の一方の端部220には負極タブ320が備わる。正極110、負極120それぞれのタブはそれぞれ集電するための正極柱170、負極柱175に一か所にまとめられ、正/負極柱170、175と全ての正/負極タブ310、320は電気的に接続されている。正極柱170に複数の正極タブ310、負極柱175に複数の負極タブ320が接続される。従って、それぞれの正極110、負極120は電気的には並列に接続されることになる。
それぞれの正/負極柱170、175はその上部180、185が電池容器150から外に突き出し、それぞれ正極、負極の外部端子板190、195を固定している。
本発明においては、電池の形状として上記の積層型以外に、捲回円筒型、偏平長円形型、捲回角型など、いずれの形状を選択してもよい。
本発明による非水電解質二次電池の用途は、特に限定されない。例えば、パーソナルコンピュータ、ワープロ、コードレス電話子機、電子ブックプレーヤ、携帯電話、自動車電話、ハンディターミナル、トランシーバ、携帯無線機等の携帯情報通信機器の電源として使用することができる。また、携帯コピー機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ポータブルCDプレーヤ、ビデオムービー、電気シェーバー、電子翻訳機、音声入力機器、メモリーカード等の各種携帯機器の電源として使用できる。その他、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、オーブン電子レンジ、食器洗い機、乾燥器、洗濯機、照明器具、玩具等の家庭用電気機器として使用できる。また、家庭用、業務用を問わずに、電動工具や介護用機器(電動式車いす、電動式ベッド、電動式入浴設備など)用電池としても利用可能である。さらに、産業用途として、医療機器、建設機械、電力貯蔵システム、エレベータ、無人移動車両などの電源として、さらには電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、ゴルフカート、ターレット車などの移動体用電源として、本発明を適用することができる。さらには、太陽電池や燃料電池から発生させた電力を本発明の電池モジュールに充電し、宇宙ステーション、宇宙船、宇宙基地などの地上以外で利用可能な蓄電システムとして用いることも可能である。長期間の連続運転が強いられる産業用蓄電システムにおいて、本発明の電池の長寿命化技術が適しているため、特に、本発明を産業用蓄電システムに用いることが望ましい。
<負極>
図2に、本発明の一実施形態における負極を示す。負極120は、金属包含マイクロカプセル1、負極活物質2、任意の電子導電性材料、活物質を担持するバインダ樹脂4から構成される負極合剤層10が負極集電体3上に塗布されることにより形成される。
金属包含マイクロカプセル1は、低融点金属11が熱硬化性樹脂のカプセル材21で包まれたものである。金属包含マイクロカプセル1が、負極活物質2の膨張収縮に伴い切断された導電網を修復する。具体的には、電池劣化後に金属包含マイクロカプセル1中のカプセル材21を破壊することで、カプセル材21内部に仕込まれていた低融点金属11が導電網を再形成して修復する。
金属包含マイクロカプセル1を含む負極合剤層10が負極集電体3上に塗布され、リチウムイオン二次電池として使用され、金属包含マイクロカプセル1によって負極合剤層10中の導電網を修復する際の挙動の一例は以下の通りである。
<電池使用前>
金属包含マイクロカプセル1を含む負極合剤層10のスラリーが負極集電体3上に塗布されておよそ120℃の熱で乾燥される時、カプセル材21は硬化されておらず、低融点金属11は液体であり、低融点金属11はカプセル材21内で溶融されている。次に、負極合剤層10がプレスされる際は、120℃の熱で乾燥される時と同様に、カプセル材21は硬化されておらず、低融点金属11は液体であり、低融点金属11はカプセル材21内で溶融されているが、プレスによって金属包含マイクロカプセル1の形状は変形している。次に、負極合剤層10を130℃の以上で加熱し、カプセル材21を硬化させる。このとき、低融点金属11は液体である。いずれにおいても、金属包含マイクロカプセル1中のカプセル材21は割れていない。
<電池使用後>
環境温度およそ10℃以上50℃以下で使用される場合、カプセル材21は硬化しており、低融点金属11も固体となっている。負極活物質2の膨張収縮に伴い負極活物質2の導電網が切断された場合、リチウムイオン二次電池に例えば70℃の熱プレスをかけることによって、カプセル材21が割られ、金属包含マイクロカプセル1が破壊される。このとき、低融点金属11は液体となっており、溶融した低融点金属11が負極合剤層10中に拡散され、導電網が修復される。その後、再び環境温度およそ10℃以上50℃以下で使用される場合、低融点金属11再び固体となる。
低融点金属11としては、2種類以上の金属元素からなる合金、または、金属元素と非金属元素からなる合金が挙げられる。低融点金属を構成する元素としては、少なくともアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、金属元素、半金属元素、非金属元素、遷移金属元素のいずれかの元素を含有していればよい。上記元素の中でも、金属元素が好ましく、より好ましくはSb、In、Ga、Sn、Pb、Cd、Bi、Zn、Al、Hg、Tlである。特に、In、Pb、Cdが好ましく、環境負荷を考慮すると、Inを用いることが望ましい。
カプセル材21を破壊する際にカプセル材21内部の低融点金属11が固体の状態で存在している場合、カプセル材21が破壊されにくく、低融点金属11が拡散しにくいため、導電網修復の効果が得られにくい。よって、低融点金属11の融点としては、導電網修復を目的とした熱プレスの温度を下回っていることが望ましい。また、リチウムイオン二次電池は高温状態において、電解液の分解などの副反応が急速に進行するため、電池特性が劣化してしまうおそれがある。よって、低融点金属11の融点はラミネート型電池が熱をかけた後に正常に動作する温度を下回っていることが好ましい。低融点金属11の融点として好ましくは、現在の主流である液体電解質を用いたリチウムイオン二次電池においては130℃以下である。
カプセル材21としては、電池が劣化した後において何らかの手段を用いて破壊される性質のものが望ましい。また、カレンダー処理時にカプセル材21が破壊されて低融点金属11が拡散してしまうと、劣化した後に導電網を修復する機能が失われてしまうため、負極合剤層10を負極集電体3上に塗工した後のカレンダー処理時に破壊されにくいまたは破壊されない強度を有することが好ましい。カプセル材21として具体的には、アミノアルキド樹脂(硬化温度:120〜160℃ 30分)、アミノアクリル樹脂(硬化温度:150〜180℃ 30分)等が挙げられる。カプセル材21としてアミノアルキド樹脂またはアミノアクリル樹脂を一種単独または混合して使用しても良い。加熱コストの観点から、硬化温度範囲の低いアミノアルキド樹脂を用いることが望ましい。
カプセル材21の平均粒子径(D50)としては、1μm以上200μm以下、望ましくは、2μm以上50μm以下であることが望ましい。カプセル材21の平均粒子径が1μmより小さいと、カプセル材21に熱プレスの応力がかかりにくく、効果的にカプセル材21が破壊されないという問題がある。カプセル材21の平均粒子径が200μmより大きいと、塗工の際に負極合剤層10の厚みよりも大きな粗大粒子が存在するため、負極合剤スラリーを均一に塗工できないという問題がある。
金属包含マイクロカプセル1を破壊する手段としては、金属包含マイクロカプセル1の素材や内容物および電池構成によって最適な手段が異なる。機械的面圧印加、加熱、冷却、超音波振動、電磁波励起、光励起、電位溶解などが挙げられ、いずれの組み合わせを用いることもできる。ラミネート型電池は丈夫な電池缶にくるまれておらず、電極が一定方向に積層された構造をしているため、機械的面圧印加により電極全体に均一な面圧を印加する手法が有効である。よって、本発明の一実施形態においてラミネート型電池を用いる場合、機械的面圧印加によって金属包含マイクロカプセル1を破壊することが望ましい。
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質2には、天然黒鉛や、天然黒鉛に乾式のCVD(Chemical Vapor Deposition)法もしくは湿式のスプレイ法によって被膜を形成した複合炭素質材料、エポキシやフェノール等の樹脂材料もしくは石油や石炭から得られるピッチ系材料を原料として焼成により製造される人造黒鉛、シリコン(Si)、シリコンを混合した黒鉛、難黒鉛化炭素材料等が挙げられる。
任意の電子導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバー及び金属炭化物などのカーボン材料が挙げられ、それぞれ単独でも混合して用いても良い。
バインダ樹脂4としては、負極合剤層10を構成する材料と負極集電体3を密着させるものであればよく、例えば、四フッ化エチレン、アクリロニトリル、エチレンオキシドなどの単独重合体又は共重合体、スチレン−ブタジエンゴムなどを挙げることができる。バインダ樹脂溶液を構成する溶媒としては、水を用いることができる。また、これら溶媒は単独でも混合して用いても良い。
負極集電体3としては、ステンレス鋼、銅、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属メッシュ等を用いることができる。特に、銅が好ましく、耐熱性の高いジルコニアや亜鉛含有銅も好ましい。
<正極>
正極110は、正極活物質、電子導電性材料及びバインダ樹脂から構成される正極合剤層が正極集電体であるアルミニウム箔上に塗布されることにより形成される。また、電子抵抗の低減のため更に正極合剤層に導電剤を加えても良い。
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質として、スピネル型 立方晶などを有するリチウムと遷移金属との複合化合物、層状型六方晶、オリビン型斜方晶、三斜晶等の結晶構造を有するリチウムと遷移金属との複合化合物等が挙げられる。
バインダ樹脂は、正極合剤層を構成する材料と正極用集電体を密着させるものであればよく、例えば、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、アクリロニトリル、エチレンオキシドなどの単独重合体又は共重合体、スチレン−ブタジエンゴムなどを挙げることができる。前記導電剤は、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバー及び金属炭化物などのカーボン材料であり、それぞれ単独でも混合して用いても良い。
本発明の一実施形態におけるリチウムイオン二次電池は、上記の本発明の一実施形態に係る正極および負極を備えていればよく、その他の構成要素や構造については特に制限は無く、従来公知のリチウムイオン二次電池で適用されている各種構成要素、構造を採用することができる。
<電解液>
電解液は、溶媒と、添加剤と、電解質から構成される。原理的に広い電圧範囲で作動させることが可能なリチウムイオン二次電池の電解液には、耐電圧特性が必要であり、有機化合物を溶媒とする有機電解液が用いられている。電解質としてリチウム塩を有し、溶媒としてカーボネートを有する電解液が高導電率化でき、広い電位窓を有する点で、リチウムイオン二次電池用の電解液として広く用いられている。
リチウム塩とカーボネート溶媒とからなる電解液はリチウムイオン二次電池の負極表面で反応することが知られている。これらの電極反応を抑制し、電池の長期保存、連続充放電においても高耐性な電池にするために、しばしば電解液に溶媒よりも高い還元反応電位をもった添加剤を加える。これらの添加剤は、それ自身が還元分解し、電極表面に不活性な被膜を形成する。そしてその電極表面上に形成された被膜が継続した電極反応を抑制する。
電解液に用いる前記リチウム塩としては、特に限定はないが、無機リチウム塩では、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiI、LiCl、LiBr等、また、有機リチウム塩では、LiB[OCOCF3]4、LiB[OCOCF2CF3]4、LiPF4(CF3)2、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2等を用いることができる。特に、民生用電池で多く用いられているLiPF6は、品質の安定性から好適な材料である。また、LiB[OCOCF3]4は、解離性、溶解性が良好で、低い濃度で高い導電率を示すので有効な材料である。中でも、LiPF6は、品質の安定性が高く、カーボネート溶媒中ではイオン伝導性が高いことから好ましい。電解質の濃度は、溶媒と添加剤の総量に対して0.5mol/l〜2mol/lであることが好ましい。この濃度が低過ぎると、有機電解液の電気伝導率が不十分となる場合があり、濃度が高過ぎると、粘度上昇のため電気伝導率が低下し、有機電解液を用いたリチウムイオン二次電池の性能が低下する場合がある。
添加剤としては、ビニレンカーボネート(VC)、メチルビニレンカーボネート(MVC)、ジメチルビニレンカーボネート(DMVC)、エチルビニレンカーボネート(EVC)、ジエチルビニレンカーボネート(DEVC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、フルオロプロピレンカーボネート(FPC)、フルオロブチレンカーボネート(FBC)、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、クロロプロピレンカーボネート、クロロブチレンカーボネート等を用いることができる。これらのうち、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)が好ましい。
溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート等の非プロトン性有機系溶媒、あるいはこれらの2種以上の混合有機化合物の溶媒が用いられている。リチウムイオン二次電池は、充放電サイクル中の放電特性、低温時および大電流放電時の放電特性が良好であること、長期保存、あるいは長期高温保存したときの容量保存特性が良好であること等が望まれ、これらを満足する有機電解液が要求されている。上記の諸要求を満たすためには、1種類の化合物のみからなる溶媒を用いるのでは困難であり、2種以上の化合物を混合して溶媒として用いる必要がある。
具体的には、リチウム塩の解離度を向上し、イオン伝導性を向上させる、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などが挙げられる。これらのうち誘電率が最も高くリチウム塩の解離度を向上でき、高イオン伝導な電解液を提供できるECが好ましい。ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)等を用いることができる。
DMCは、相溶性の高い溶媒であり、EC等と混合して用いるのに好適である。DECは、DMCよりも融点が低く、−30℃の低温特性を改善するのには好適である。EMCは、分子構造が非対称であり、融点も低いので低温特性を改善するのには好適である。その中でも広い温度範囲で電池特性を確保できるECとDMCの混合溶媒が好ましい。
<セパレータ>
リチウムイオン二次電池に係るセパレータとしては、公知のリチウムイオン二次電池に使用されているセパレータを用いることができる。例えば、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製の微孔性フィルムや不織布などが挙げられる。
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi1/3Mn1/3Co1/32:85質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、およびバインダであるPVDF:5質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。この正極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ20μmの集電体の両面に塗布し、乾燥した後、プレス処理して全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、合材塗布面が幅50mm×100mm、集電体露出部が10mm×15mmとなるように切断した正極を作製した。さらにこの正極の銅箔の露出部にタブ付けを行った。
<負極の作製>
負極活物質として天然黒鉛95、およびバインダであるPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストにインジウム(In)を主成分とした低融点(74℃)合金をアミノアルキド樹脂から成る熱硬化性樹脂で被覆したマイクロカプセル(最外殻直径20μm、外殻厚み1μm)を添加した後、ペースト全体に均一に分散するよう混練した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ15μmの集電体の両面に塗布し、乾燥した後、プレス処理して全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、140℃で30分間熱処理してマイクロカプセルのカプセル材を硬化させ、合材塗布面が幅50mm×100mm、集電体露出部が10mm×15mmとなるように切断した負極を作製した。さらにこの負極の銅箔の露出部にタブ付けを行った。
<電池の作製>
上記のようにして得られた正極と負極とを、正極と負極の容量比が1.1、セル容量が約5Ahとなるように、ポリエチレン製のセパレータを隔離層として介して積層した後、扁平型電池電極体とした。この扁平型電池電極体をラミネート容器に入れて、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1.2mol/lの濃度で溶解させた溶液)を注入し、熱溶着によりラミネート封止し、リチウムイオン二次電池を作製した。
黒鉛97質量部とSi系材料(Si/SiOコンポジット)3質量部とを混合した粉末を負極活物質として、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
〔比較例1〕
マイクロカプセルを添加せずに、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
〔比較例2〕
マイクロカプセルの内部が金属ではなく、中空構造のマイクロカプセルを負極合剤に添加して、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
〔比較例3〕
金属を内包したマイクロカプセルではなく、インジウム(In)を主成分とした低融点(74℃)合金の粉末を負極合材に添加して、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
<電池サイクル寿命試験>
各実施例および比較例の非水電解液二次電池について、5.0Aの電流で4.2Vになるまで定電流で充電し、続いて4.2Vの定電圧で充電する定電流定電圧充電を行い(総充電時間3時間)、5.0Aの電流で終止電圧を3.0Vとする定電流放電を行う一連の操作を1サイクルとして、これを1000サイクル行い、初回放電容量(1サイクル目の放電容量)および1000サイクル目の放電容量を測定した。そして、初回放電容量に対する1000サイクル目の放電容量の比を百分率で表して、1000サイクル容量維持率を求めた。
<電池のプレス>
電池を5Aの電流で3.0Vになるまで低電流で放電した電池を80℃の恒温槽に10分間入れて、図3のように両側からクッション材420と平坦な剛体板430でリチウムイオン二次電池401を挟んだ後80kPaの圧力でプレスした。その後、5.0Aの電流で4.2Vになるまで定電流で充電し、続いて4.2Vの定電圧で充電する定電流定電圧充電を行い(総充電時間3時間)、5Aの電流で終止電圧を3.0Vとする定電流放電を行った。プレス後の放電容量の比を百分率で表して、プレス後容量維持率を求めた。
上記のようにして求めた初回放電容量、充放電サイクル容量維持率を表1に示す。表1からわかるように、比較例1−3に比べて比較例1−2の方がプレス後の容量維持率が高くなっており、金属包含マイクロカプセルによって、負極合剤層中の導電網を再形成して導電網を修復したと考えられる。
1 金属包含マイクロカプセル
2 負極活物質
3 負極集電体
4 バインダ樹脂
10 負極合剤層
11 低融点金属
21 カプセル材

Claims (8)

  1. リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、
    リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極と、
    前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、
    電解質と、を有する非水電解質二次電池であって、
    前記負極に金属包含マイクロカプセルが含まれ、
    前記金属包含マイクロカプセルは、低融点金属が熱硬化性樹脂のカプセル材で包まれたものである非水電解質二次電池。
  2. 請求項1において、
    前記低融点金属の融点は130℃以下である非水電解質二次電池。
  3. 請求項1または2において、
    前記カプセル材はアミノアルキド樹脂およびアミノアクリル樹脂の一種以上である非水電解質二次電池。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記カプセル材の平均粒子径(D50)は1μm以上200μm以下である非水電解質二次電池。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    剛体板をさらに有し、
    前記非水電解質二次電池はラミネート型電池であり、
    前記剛体板の機械的面圧印加によって前記金属包含マイクロカプセルが破壊される非水電解質二次電池。
  6. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    熱プレスによって前記金属包含マイクロカプセルが破壊され、
    前記低融点金属の融点は前記熱プレスの温度を下回る非水電解質二次電池。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記カプセル材は前記非水電解質二次電池のカレンダー処理時に破壊されない強度を有する非水電解質二次電池。
  8. リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、
    リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極と、
    前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、
    電解液と、を有する非水電解質二次電池の制御方法であって、
    前記負極に金属包含マイクロカプセルが含まれ、
    前記金属包含マイクロカプセルは、低融点金属が熱硬化性樹脂のカプセル材で包まれたものであり、
    熱プレスによって前記金属包含マイクロカプセルが破壊されることによって、前記負極中の導電網を修復させる非水電解質二次電池の制御方法。
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