JP2013195717A - 帯電部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】被帯電体の汚染抑制と表層のひび割れ抑制とを両立することが可能な帯電部材を提供する。
【解決手段】帯電部材10は、被帯電体12を帯電させるために用いられるものであり、ゴム弾性を有するゴム弾性部14と、ゴム弾性部14の表面に形成された表層16とを少なくとも有する。ゴム弾性部14は、ゴム成分と、有機系の滑剤、可塑剤または軟化剤と、導電剤とを含むゴム組成物より形成される。表層16は、ポリマー成分を含むポリマー組成物より形成される。ゴム成分における主成分の溶解性パラメータをSP、滑剤、可塑剤または軟化剤における主成分の溶解性パラメータをSP、ポリマー成分における主成分の溶解性パラメータをSPとしたとき、SPとSPとの差の絶対値が0.8以下であり、SPとSPとの差の絶対値が1.1以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、帯電部材に関する。
従来、被帯電体を帯電させるために帯電部材が使用されている。例えば、帯電像を用いる電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置の分野では、装置内部の感光体にロール状の帯電部材を接触させ、帯電部材に電圧を印加することによって感光体表面を帯電させている。
上記帯電部材としては、例えば、特許文献1には、芯金上に、ゴムおよび軟化剤を含むゴム弾性層、オイルバリア層、表層を順に設けたロール状の帯電部材が開示されている。
また例えば、特許文献2には、ポリエステル系熱可塑性エラストマーと、エステル系可塑剤と、過塩素酸リチウムとを配合した組成物より形成されたゴム弾性層と、ゴム弾性層の表面に形成した上記可塑剤のブリードを防止するための移行防止層とを有するロール状の帯電部材が開示されている。
特開平6−332294号公報 特開2000−187370号公報
しかしながら、従来の帯電部材は、以下の点で問題がある。
すなわち、特許文献1の帯電部材は、部材内部にオイルバリア層を設けることにより、ゴム弾性層から表層表面に軟化剤がブリードするのを防止しようとするものである。一方、特許文献2の帯電部材は、表層そのものを、可塑剤のブリードを防止するための移行防止層として機能させようとするものである。
つまり、これら従来の帯電部材は、ゴム弾性層の加工性を高めるためにゴム弾性層中に配合される滑剤、可塑剤または軟化剤の表層表面へのブリードを、バリア性の高い層を用いて抑制しようとするものである。しかし、このような構成による場合には、ゴム弾性層とバリア層との界面に滑剤、可塑剤または軟化剤が溜まり、層間剥離が生じるおそれがある。
また、上記構成を採用する以外にも、比較的硬いポリマーを用いて表層を形成することにより、表層のバリア性を高めることが考えられる。しかしながら、このような構成による場合には、表層が脆くなる。そのため、使用中に表層にひび割れが生じ、放電が不十分となって感光体等の被帯電体を十分に帯電させることができなくなる。また、表層を硬くすると、感光体等の被帯電体の表面を傷付けやすくなる。近年、いっそうの高画質化が求められている画像形成装置の分野では、上記表層のひび割れや被帯電体の損傷が生じると画質低下につながるため、特に問題となる。
上記問題を回避するため、柔軟性の高いポリマーを用いて表層を形成すると、上記滑剤、可塑剤または軟化剤に対するバリア性が不十分になる。その結果、表層表面へブリードした上記成分が、感光体等の被帯電体を汚染する。上記バリア性が不十分になる理由は、柔軟性の高いポリマーはポリマーの分子運動が大きいため、上記成分が表層表面へ移行しやすくなるためであると考えられる。
このように、被帯電体の汚染抑制と表層のひび割れ抑制とは、トレードオフの関係があり、両者を満たす帯電部材を得ることは困難である。なお、ゴム弾性層中に配合される滑剤、可塑剤または軟化剤は、ゴム弾性層の加工性を向上させるために添加されるものであり、これらを全く使用せずに帯電部材を製造することは現実には考え難い。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、被帯電体の汚染抑制と表層のひび割れ抑制とを両立することが可能な帯電部材を提供することにある。
本発明の一態様は、被帯電体を帯電させるために用いられる帯電部材であって、
ゴム弾性を有するゴム弾性部と、該ゴム弾性部の表面に形成された表層とを少なくとも有し、
上記ゴム弾性部は、ゴム成分と、有機系の滑剤、可塑剤または軟化剤と、導電剤とを含むゴム組成物より形成されるとともに、上記表層は、ポリマー成分を含むポリマー組成物より形成されており、
上記ゴム成分における主成分の溶解性パラメータをSP、上記滑剤、可塑剤または軟化剤における主成分の溶解性パラメータをSP、上記ポリマー成分における主成分の溶解性パラメータをSPとしたとき、
SPとSPとの差の絶対値が0.8以下であり、
SPとSPとの差の絶対値が1.1以下であることを特徴とする帯電部材にある(請求項1)。
上記帯電部材は、上記SPと上記SPとの差の絶対値が0.8以下とされている。そのため、ゴム弾性部において、滑剤、可塑剤または軟化剤(以下、これらをまとめて「滑剤等」ということがある。)のゴム成分への溶解性が高まり、滑剤等がゴム弾性部の外へ出難くなる。さらに、上記SPと上記SPとの差の絶対値が1.1以下とされている。そのため、滑剤等がゴム弾性部の外へ出たとしても、表層において、滑剤等のポリマー成分への溶解性が高いため、滑剤等が表層を通過して外へ出難くなる。その結果、滑剤等が表層表面へブリードするのを効果的に抑制することができる。
このように、上記帯電部材によれば、従来の帯電部材のように、滑剤等の表層表面へのブリードをバリア効果を主に用いて抑制するのではなく、上記滑剤等と、ゴム弾性部のゴム成分と、表層のポリマー成分との相溶性の差を積極的に利用することにより、滑剤等を部材内部に留めることができる。また、上記バリア効果のみによって滑剤等のブリードを抑制する必要がなくなるため、表層のポリマー成分に柔軟な材料を用いることが可能となり、帯電部材の使用中における表層のひび割れを抑制することが可能となる。
以上、本発明によれば、被帯電体の汚染抑制と表層のひび割れ抑制とを両立することが可能な帯電部材を提供することができる。
帯電像を用いる電子写真方式の画像形成装置における内部構造の一部を示した図である。 実施例に係る帯電部材を示した図である。 図2におけるIII−III断面を示した図である。
上記帯電部材は、動作する被帯電体に接触させ、電圧を印加することによって被帯電体を帯電させるために用いることができる。上記被帯電体との接触は、所定の荷重を負荷した状態で行うことができる。このような厳しい状態下であっても、表層のポリマー成分に柔軟な材料を用いることができるため、使用中に表層にひび割れが生じ難い。さらに表層が被帯電体を傷付け難い。
上記帯電部材において、被帯電体の動作は、特に限定されるものではなく、例えば、回転、平面移動、これらの組合せによる動作などを例示することができる。具体的には、被帯電体が回転するものであり、この被帯電体の回転時に被帯電体との接触を保ったまま回転することができるように、上記帯電部材を構成することができる。
この場合には、表層と被帯電体とが繰り返し接触するため、接触相手に対して互いに影響を及ぼしやすい。しかし、上記帯電部材は、被帯電体の汚染抑制のために表層を硬くする必要がなく、表層を柔軟にすることができる。そのため、被帯電体との物理的な接触によって表層がひび割れし難くなるし、硬い表層が被帯電体を損傷することもない。したがって、被帯電体の汚染抑制と表層のひび割れ抑制との両立を長期にわたって得ることができ、耐久性が向上する。なお、被帯電体は、例えば、被帯電体の中心軸を軸として回転するように構成することができる。また、帯電部材は、帯電部材の中心軸を軸として回転するように構成することができる。
上記被帯電体としては、帯電像を用いる電子写真方式の画像形成装置における潜像担持体などを好適なものとして例示することができる(請求項5)。この場合には、表層表面にブリードした滑剤等によって感光体等の潜像担持体を汚染することがないので、潜像担持体の汚染による画像ムラが抑制され、高画質化に寄与することができる。また、使用中に表層のひび割れが生じ難いので、表層のひび割れによる画像スジ不良が抑制され、これによっても高画質化に寄与することができる。
上記帯電部材は、ゴム弾性を有するゴム弾性部と、このゴム弾性部の表面に形成された表層とを少なくとも有している。上記帯電部材は、具体的には、例えば、導電性の軸体と、軸体の外周面に沿って層状等に形成された導電性のゴム弾性部と、ゴム弾性部の外周面に沿って形成された表層とを有するロール状等の形状を呈する構成とすることができる。また、層状のゴム弾性部は、1または2以上の層から形成されていてもよい。このような構成とした場合には、上記画像形成装置の潜像担持体を帯電させるための帯電ロールとして特に好適である。
上記帯電部材は、ゴム弾性部が、ゴム成分と、有機系の滑剤、可塑剤または軟化剤と、導電剤とを含むゴム組成物より形成されている。また、表層が、ポリマー成分を含むポリマー組成物より形成されている。なお、上記「滑剤」、「可塑剤」、「軟化剤」は、いずれもゴム配合に用いられる有機系の添加剤であり、主にゴムの加工操作をよくするために用いられるものである。
ここで、ゴム成分における主成分の溶解性パラメータをSP、滑剤、可塑剤または軟化剤における主成分の溶解性パラメータをSP、ポリマー成分における主成分の溶解性パラメータをSPとする。なお、本願にいう溶解性パラメータは、Fedorsの式により求められるSP値(25℃)である。Fedorsの式によるSP値の算出方法は、「わかりやすいコーティング技術、原崎勇次 著、(株)理工出版社」に詳述されている。
上記「ゴム成分における主成分」とは、ゴム弾性部に含まれるゴム成分のうち、最も含有量(質量%)の高いゴム成分をいい、同じ含有量のゴム成分が複数あるときは、それら複数の成分のうちのいずれか一つをいう。したがって、具体的には、例えば、ゴム弾性部に1つのゴム成分A(SP値=A1)しか含まれない場合、SPは、ゴム成分AのSP値であるA1となる。また、例えば、ゴム弾性部に3つのゴム成分A、B、C(A、B、CのSP値をそれぞれA1、B1、C1)がA<B<Cの含有量で含まれる場合、SPは、ゴム成分CのSP値であるC1となる。
上記「滑剤における主成分」とは、ゴム弾性部に含まれる滑剤のうち、最も含有量(質量%)の高い滑剤をいい、同じ含有量の滑剤が複数あるときは、それら複数の滑剤のうちのいずれか一つをいう。したがって、具体的には、例えば、ゴム弾性部に1つの滑剤a(SP値=a1)しか含まれない場合、SPは、滑剤aのSP値であるa1となる。また、例えば、ゴム弾性部に3つの滑剤a、b、c(a、b、cのSP値をそれぞれa1、b1、c1)がa<b<cの含有量で含まれる場合、SPは、滑剤cのSP値であるc1となる。上記「可塑剤における主成分」、上記「軟化剤における主成分」についてもこれに準ずる。
上記「ポリマー成分における主成分」とは、表層に含まれるポリマー成分のうち、最も含有量(質量%)の高いポリマー成分をいい、同じ含有量のポリマー成分が複数あるときは、それら複数の成分のうちのいずれか一つをいう。したがって、具体的には、例えば、表層に1つのポリマー成分X(SP値=X1)しか含まれない場合、SPは、ポリマー成分XのSP値であるX1となる。また、例えば、表層に3つのポリマー成分X、Y、Z(X、Y、ZのSP値をそれぞれX1、Y1、Z1)がX<Y<Zの含有量で含まれる場合、SPは、ポリマー成分ZのSP値であるZ1となる。
上記帯電部材は、SPとSPとの差の絶対値が0.8以下、SPとSPとの差の絶対値が1.1以下を満たすことができるように、ゴム成分、滑剤等、ポリマー成分が選択されている。
SPとSPとの差の絶対値が0.8を上回ると、滑剤等のゴム成分への溶解性が低下し、滑剤等がゴム弾性部の外へ滲み出しやすくなる。そして、滑剤等が表層を通過して表面に滲み出すおそれがある。SPとSPとの差の絶対値は、好ましくは0.75以下、より好ましくは0.70以下、さらに好ましくは0.65以下、さらにより好ましくは0.60以下とすることができる。SPとSPとの差の絶対値は小さいほど好ましいため、その下限は特に限定されるものではない。
一方、SPとSPとの差の絶対値が1.1を上回ると、滑剤等のポリマー成分への溶解性が低下し、滑剤等がゴム弾性部の外へ滲み出したときに、滑剤等がさらに表層を通過して表層表面に滲み出しやすくなる。SPとSPとの差の絶対値は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.90以下、さらにより好ましくは0.85以下とすることができる。SPとSPとの差の絶対値は小さいほど好ましいため、その下限は特に限定されるものではない。
上記ゴム弾性部のゴム成分は、SPとSPとの差の絶対値を考慮して選択することができる。ゴム成分は、入手容易性、各種配合材料との混合性等の観点から、好ましくはSP値が5.0〜18.0、より好ましくはSP値が7.0〜16.0の範囲内から選択することができる。ゴム成分は、具体的には、例えば、ヒドリンゴム(ECO、CO)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)などから選択することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、好ましくは、ヒドリンゴム(ECO、CO)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)であるとよい。SPとSPとの差の絶対値、SPとSPとの差の絶対値を小さくしやすい、加工性に優れ、表層の塗工性が良好であるなどの利点があるからである。
上記ゴム弾性部の滑剤は、SPとSPとの差の絶対値、SPとSPとの差の絶対値を考慮して選択することができる。滑剤は、入手容易性、各種配合材料との混合性等の観点から、好ましくはSP値が6.0〜14.0、より好ましくはSP値が7.0〜12.0の範囲内ら選択することができる。滑剤は、具体的には、例えば、ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸;ステアロアミド、オキシステアロアミド、リシノールアミド、メチロールアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロベヘンアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪族アミド;メチルヒドロキシステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル;ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステルなどから選択することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、好ましくは、ヒドロキシステアリン酸、メチレンビスステアロアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等であるとよい。SPとSPとの差の絶対値、SPとSPとの差の絶対値を小さくしやすい、加工性に優れ、表層の塗工性が良好であるなどの利点があるからである。
上記ゴム弾性部の可塑剤は、SPとSPとの差の絶対値、SPとSPとの差の絶対値を考慮して選択することができる。可塑剤は、入手容易性、各種配合材料との混合性等の観点から、好ましくはSP値が6.0〜14.0、より好ましくはSP値が7.0〜12.0の範囲内から選択することができる。可塑剤は、具体的には、例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジエチルヘキシルイソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジエチルヘキシルテトラヒドロフタレート、ジオクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;ジオクチルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等のアジピン酸誘導体;ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート等のセバシン酸誘導体;ジオクチルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジブチルマレート、ジエチルマレート、ジエチルヘキシルマレート等のマレイン酸誘導体;ジブチルフマレート、ジエチルヘキシルフマレート等のフマル酸誘導体;トリエチルヘキシルトリメリテート、トリオクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、ジイソオクチルモノイソデシルトリメリテート、トリヘキシルトリメリテート、トリカプリルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体;トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルヘキシルシトレート等のクエン酸誘導体;ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジエチルヘキシルイタコネート等のイタコン酸誘導体;テトラヒドロフリフリルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシレート、グリセリルトリアセチルリシノレート等のリシノール酸誘導体;グリセリルモノステアレート、ペンタクロロメチルステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、トリエチレングリコールジペラルゴネート等の脂肪酸誘導体;テトラエチルヘキシルピロメリテート、テトラオクチルピロメリテート、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート等のモノエステル系可塑剤;ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジエチルブチレート、トリエチレングリコールジエチルヘキソエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシジイソオクチルテトラヒドロフタレート等のエポキシ誘導体;アジピン酸ブチレングリコール等の重合形可塑剤;ジベンジルエーテルなどから選択することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、好ましくは、ジエチルヘキシルフタレート、ジブチルセバケート、テトラエチルヘキシルピロメリテート等であるとよい。SPとSPとの差の絶対値、SPとSPとの差の絶対値を小さくしやすい、加工性に優れ、表層の塗工性が良好であるなどの利点があるからである。
上記ゴム弾性部の軟化剤は、SPとSPとの差の絶対値、SPとSPとの差の絶対値を考慮して選択することができる。軟化剤は、入手容易性、各種配合材料との混合性等の観点から、好ましくはSP値が6.0〜14.0、より好ましくはSP値が7.0〜12.0の範囲内から選択することができる。軟化剤は、具体的には、例えば、リシノール酸、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸や脂肪酸塩などから選択することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、好ましくは、リシノール酸等であるとよい。SPとSPとの差の絶対値、SPとSPとの差の絶対値を小さくしやすい、加工性に優れ、表層の塗工性が良好であるなどの利点があるからである。
上記ゴム弾性部を形成するゴム組成物は、添加効果とブリード抑制とのバランス、柔軟性と回復弾性とのバランス等の観点から、滑剤を、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜25質量部、さらに好ましくは1〜20質量部の範囲内で含むことができる。同様に、可塑剤を、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜25質量部、さらに好ましくは1〜20質量部の範囲内で含むことができる。軟化剤を、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜25質量部、さらに好ましくは1〜20質量部の範囲内で含むことができる。
上記表層のポリマー成分は、SPとSPとの差の絶対値を考慮して選択することができる。ポリマー成分は、入手容易性、各種配合材料との混合性、汎用溶剤への溶解性等の観点から、好ましくはSP値が6.0〜14.0、より好ましくはSP値が7.0〜12.0の範囲内から選択することができる。
ポリマー成分は、熱可塑性ポリマーを含んでいることが好ましい(請求項3)。この場合には、表層の柔軟性を向上させることができ、表層のひび割れや被帯電体の損傷をいっそう抑制しやすくなるからである。したがって、これを例えば、画像形成装置の帯電部材として用いたときには、良好な画像形成、高画質化に寄与しやすくなる。
ポリマー成分としては、具体的には、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性(メタ)アクリル系ゴム、(メタ)アクリル樹脂、カーボネート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、N−メトキシメチル化6−ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
上記ゴム弾性部の導電剤は、体積抵抗率を調整し、帯電性を向上させるために有用である。導電剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系導電材料、チタン酸バリウム、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は導電性を意味する。)等の導電性の金属酸化物や金属ナノ粒子などといった電子導電剤、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、イオン液体などといったイオン導電剤、共役系導電性ポリマーなどを例示することができる。
ゴム弾性部を形成するゴム組成物は、上記以外にも必要に応じて、受酸剤、フィラー、架橋促進剤、架橋剤などの各種添加剤を1種または2種以上含むことができる。
なお、ゴム弾性部の体積抵抗率は、帯電性向上、通電による材料破壊抑制などの観点から、好ましくは、1×10〜1×1010Ω・cm程度、より好ましくは、1×10〜1×10Ω・cm程度とすることができる。また、ゴム弾性部の厚みは、被帯電体との接触回転による変形に対する回復性向上、通電による材料破壊抑制などの観点から、好ましくは、0.2〜20mm程度、より好ましく、0.5〜10mm程度とすることができる。
表層を形成するポリマー組成物は、さらに、(メタ)アクリルシリコーン系化合物および(メタ)アクリルフッ素系化合物から選択される1種または2種以上を含有することができる(請求項4)。この場合には、表層の表面近傍に、表層表面への移行を阻止するバリア性の高い(メタ)アクリルシリコーン系化合物のシリコーン成分、(メタ)アクリルフッ素系化合物のフッ素成分が配向し、滑剤等のブリードが一層抑制される。そのため、相溶性の差を利用して滑剤等を部材内部に留める効果と上記バリア効果とが相まって、被帯電体の汚染抑制効果をいっそう大きくすることができる。
上記(メタ)アクリルシリコーン系化合物としては、(メタ)アクリルシリコーン系ポリマーや(メタ)アクリルシリコーン系オリゴマーなどを好適に用いることができる。上記(メタ)アクリルシリコーン系化合物としては、具体的には、例えば、ジメチルシロキサン変性ポリメチルメタクリレート、ジメチルシロキサン変性エチルアクリレート、ジメチルシロキサン変性ブチルアクリレートなどを例示することができる。また、上記(メタ)アクリルフッ素系化合物としては、(メタ)アクリルフッ素系ポリマーや(メタ)アクリルフッ素系オリゴマーなどを好適に用いることができる。上記(メタ)アクリルフッ素系化合物としては、具体的には、例えば、パーフルオロ(メタ)アクリル変性ポリメチルメタクリレート、パーフルオロ(メタ)アクリル変性ポリエチルアクリレート、パーフルオロ(メタ)アクリル変性ポリブチルアクリレートなどを例示することができる。
表層を形成するポリマー組成物は、上記以外にも必要に応じて、上述の導電剤、架橋剤、分散剤、濡れ性向上剤、ポリマー微粒子などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。
上記帯電部材において、表層は、その表面のマルテンス硬度が9N/mm以下であることが好ましい(請求項2)。この場合には、表層が柔軟であるので、使用中における表層のひび割れを抑制しやすくなる。また、感光体等の被帯電体を傷つけ難くなる。特に、上記帯電部材の表層表面が、回転する被帯電体と接触した状態で使用される場合に上記効果が大きくなる。表層表面のマルテンス硬度は、好ましくは8N/mm以下、より好ましくは7N/mm以下、さらに好ましくは6N/mm以下とすることができる。上記効果が大きくなる、ゴム弾性部の弾性変形に対して追従しやすく密着性が向上するなどの利点があるからである。一方、表層表面のマルテンス硬度の下限は特に限定されるものではないが、好ましくは0.5N/mm以上、より好ましくは1N/mm以上とすることができる。なお、上記マルテンス硬度の測定は、微小硬度計を用いて行うことができる。詳しくは後述する。
また、表層の体積抵抗率は、帯電性向上、帯電バラツキ抑制などの観点から、好ましくは、1×10〜1×1011Ω・cm程度、より好ましくは、1×10〜1×1010Ω・cm程度とすることができる。また、表層の厚みは、帯電部材表面の損傷抑制、被帯電体の損傷抑制などの観点から、好ましくは、1〜30μm程度、より好ましくは、3〜15μm程度とすることができる。
実施例に係る帯電部材について、図面を用いて具体的に説明する。なお、以下では、帯電像を用いる電子写真方式の画像形成装置に組み込んで用いられる帯電部材を例にして説明する。
図1に示すように、帯電部材10は、被帯電体12を帯電させるために用いられる。本例では、具体的には、被帯電体12は、帯電像を用いる電子写真方式の画像形成装置における感光体であり、中心軸12Aを軸として回転可能に構成されている。帯電部材10は、この回転する被帯電体12に接触させ、電圧を印加することによって被帯電体12を帯電させるために用いられる。
また、帯電部材10は、ゴム弾性を有するゴム弾性部14と、ゴム弾性部14の表面に形成された表層16とを少なくとも有している。本例では、図1〜図3に示すように、具体的には、帯電部材10は、導電性の軸体18と、軸体18の外周面に沿って層状に形成されたゴム弾性部14と、ゴム弾性部14の外周面に沿って形成された表層16とを有しており、全体としてロール形状に形成されている。
帯電部材10は、ゴム弾性部14の両端部から突出する軸体18の部分に所定の荷重が負荷された状態で被帯電体12と接触している。また、帯電部材10は、被帯電体12の回転により被帯電体12との接触を保ったまま、中心軸10Aを軸として回転可能とされている。
そして、帯電部材10と被帯電体12との間に電源11により直流あるいは直流に交流を重畳させた電圧を印加することにより、被帯電体12を帯電させることができる。なお、帯電部材10と被帯電体12とは、図1中の矢印Y1、Y2に示すように、互いに反対方向に回転する。これにより、帯電部材10は、被帯電体12の表面全体を帯電させることができる。
帯電部材10において、ゴム弾性部14は、ゴム成分と、有機系の滑剤、可塑剤または軟化剤と、導電剤とを含むゴム組成物より形成されている。一方、表層16は、ポリマー成分を含むポリマー組成物より形成されている。
そして、ゴム成分における主成分の溶解性パラメータをSP、滑剤、可塑剤または軟化剤における主成分の溶解性パラメータをSP、ポリマー成分における主成分の溶解性パラメータをSPとしたとき、SPとSPとの差の絶対値は0.8以下とされており、SPとSPとの差の絶対値は1.1以下とされている。
以下、異なる構成からなるゴム弾性部および表層を有する帯電ロール試料を複数作製し、各種評価を行った。その実験例について説明する。
(ゴム弾性部形成材料の準備)
帯電ロール試料のゴム弾性部の形成に用いる材料として次のものを準備した。なお、各材料に記載したSP値は、Fedorsの計算式による溶解性パラメータである。
<ゴム成分>
・エピクロルヒドリンゴム(SP値:10.01)(ダイソー(株)製、「エピクロマーCG−102」)
・アクリロニトリルゴム(SP値:10.54)(日本ゼオン(株)製「Nipol DN3335」)
・イソプレンゴム(SP値:8.67)(日本ゼオン(株)製「Nipol IR2200」)
<滑剤>
・ヒドロキシステアリン酸(SP値:10.50)(川研ファインケミカル(株)、「KOW」)
・メチレンビスステアロアミド(SP値:9.22)(ライオン・アクゾ(株)製、「アーモワックスEBS」)
・ソルビタン脂肪酸エステル(SP値:10.59)(花王(株)、「スプレンダーR−300」)
・ステアリン酸エステル(SP値:8.93)(ストラクトール社、「ストラクトールWB222」)
・ステアリン酸(SP値:9.12)(花王(株)、「ルナックS−10」)
<可塑剤>
・ジエチルヘキシルフタレート(SP値:9.73)(花王(株)、「ビニサイザー80」)
・ジブチルセバケート(SP値:9.44)(黒金化成(株)、「ソルバDBS」)
・テトラエチルヘキシルピロメリテート(SP値:9.80)(花王(株)、「ピロメックスP−8」)
<軟化剤>
・リシノール酸(SP値:10.54)
<受酸剤>
・ハイドロタルサイト類化合物(協和化学工業(株)製、「DHT−4A」)
<導電剤>
・テトラブチルアンモニウムクロリド(イオン導電剤)(東京化成工業(株)製、「テトラブチルアンモニウムクロリド」)
・カーボンブラック(電子導電剤)(ライオン(株)製、「ケッチェンEC300J」)
<フィラー>
・シリカ(東ソー・シリカ(株)製、「Nipsil ER」)
<架橋促進剤>
・酸化亜鉛
・ジベンゾチアゾールスルフィド
・テトラメチルチウラムモノサルファイド
<架橋剤>
・硫黄
帯電ロール試料の表層の形成に用いる材料として次のものを準備した。なお、各材料のSP値は、Fedorsの計算式による各材料の溶解性パラメータである。
<ポリマー成分>
・熱可塑性ポリウレタンエラストマー(SP値:10.25)(日本ミラクトラン(株)製、「ミラクトランE380PNAT」)
・熱可塑性(メタ)アクリル系ゴム(SP値:10.55)(根上工業(株)製、「パラクロンプレコート200」)
・熱可塑性N-メトキシメチル化6−ナイロン(SP値:10.91)(ナガセケムテックス(製)製、「トレジンF−30K」)
・熱硬化性ポリウレタン樹脂(SP値:10.11)(DIC(株)製、「パンデックスP−895」)
<硬化剤>
・メチレンビスエチルメチルアニリン(イハラケミカル工業(株)製、「キュアハード−MED」)
<導電剤>
・カーボンブラック(電子導電剤)(電気化学工業(株)製、「デンカブラックHS100」)
・テトラブチルアンモニウムブロマイド(イオン導電剤)(ライオン(株)製、「TBAB−100A」)
<添加剤>
・(メタ)アクリルシリコーン系化合物((メタ)アクリルシリコーン系ポリマー)(東亞合成(株)製「サイマックUS−350」)
・(メタ)アクリルフッ素系化合物((メタ)アクリルシリコーン系オリゴマー)(DIC(株)製「メガファック−F552」)
(ゴム弾性部形成用材料の調製)
後述の表1に示す配合割合(質量部)にて、上記ゴム成分、上記滑剤または上記可塑剤または上記軟化剤と、上記受酸剤と、上記導電剤と、上記フィラーと、上記架橋促進剤と、上記架橋剤とを配合し、ロールを用いて混練した。これにより、帯電ロール試料1〜16の作製に用いる16種類のゴム弾性部形成用材料を調製した。
(表層形成用材料の調製)
後述の表1に示す配合割合(質量部)にて、THF中に、上記ポリマー成分と、適宜、上記硬化剤と、上記導電剤と、上記添加剤とを混合し、溶液が均一になるまで十分に撹拌した。その後、二本ロールを用いて、溶液中の各成分を分散させた。これにより、帯電ロール試料1〜16の作製に用いる16種類の表層形成用材料を調製した。
(帯電ロール試料の作製)
円柱状のロール成形空間を有するロール成形金型を準備し、ロール成形空間と同軸となるように直径6mmの芯金をセットした。この芯金をセットしたロール成形空間に、上記調製したゴム弾性部形成用材料を注入し、170℃にて30分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、導電性の軸体としての芯金と、芯金の外周面に沿って形成された厚み2mmの層状のゴム弾性部とを有する各ロール体を16本作製した。
次いで、各ロール体の表面に、ロールコート法を用いて、上記調製した表層形成用材料を塗工し、100℃にて30分間加熱した。これにより、ゴム弾性部の外周面に沿って、厚み10μmの表層を有する帯電ロール試料1〜16を作製した。
(評価)
帯電ロール試料1〜16について、表層表面のマルテンス硬度を測定するとともに、感光体の汚染抑制、表層のひび割れ抑制の評価を以下のようにして行った。
<表層表面のマルテンス硬度>
ISO14577に準じて、微小硬度計((株)フィッシャー・インストルメンツ製、「フィッシャースコープH−100」)を用いて、表層表面のマルテンス硬度を測定した。なお、上記測定には、微小硬度計の圧子としてビッカース圧子(四角錐)を用い、圧子の押し込み速さは0.5μm/秒、押し込み深さは5μmとした。また、ロール面長方向の中央部、ロール両端面からそれぞれ40mm中央部側の3つの位置につき、ロール周方向に等間隔にて3箇所、すなわち合計9箇所のマルテンス硬度を測定し、これら測定値の平均値を、表層表面のマルテンス硬度とした。
<感光体の汚染抑制>
各帯電ロール試料を、50℃95%RHの環境下で1ヶ月間静置した後、市販のカラープリンター((株)リコー製、「CX3000」)に組み込み、23℃×53%RHの環境下、A4サイズにてハーフトーン画像を印刷した。その後、1か月間放置し、再び印刷を行った。この際、表層表面にブリードした滑剤、可塑剤または軟化剤による感光体汚染に起因する画像ムラが全く発生しなかった場合を、感光体の汚染抑制力に優れるとして「A」とした。上記画像ムラが10枚以内の印刷にて消える場合を、感光体の汚染抑制力が良好であるとして「B」とした。上記画像ムラが10枚超の印刷でも消えない場合を、感光体の汚染を抑制できないとして「C」とした。
<表層のひび割れ抑制>
各帯電ロール試料を、市販のカラープリンター((株)リコー製、「CX3000」)に組み込み、23℃×53%RHの環境下、A4サイズにてハーフトーン画像を印刷した。そして、10,000枚印刷した後のハーフトーン画像(耐久後画像)を目視にて観察した。使用中に帯電ロールの表層にひび割れが生じると、耐久後画像に、表層のひび割れに起因して細線のとぎれや色ずれが発生し、画像スジ不良となる。そのため、耐久後画像に、画像スジ不良がほとんど見られなかったものを表層のひび割れ抑制力に優れるとして「A」とした。上記耐久後画像に、細線のとぎれや色ずれが散見されたが許容範囲であったものを表層のひび割れ抑制力を有するとして「B」とした。上記耐久後画像に、細線のとぎれや色ずれが随所に見られたものを表層のひび割れを抑制できないとして「C」とした。
表1に、作製した帯電ロール試料の詳細な構成、評価結果をまとめて示す。
Figure 2013195717
表1によれば、以下のことがわかる。
すなわち、試料13は、ゴム弾性部中に、滑剤、可塑剤、軟化剤のいずれも配合されていない。そのため、混練時の加工性が悪かった。なお、本試料は、現実的な配合ではなく、実験上の参考のために作製したものである。
試料14は、ゴム弾性部におけるゴム成分と滑剤等との相溶性の指標となるSPとSPとの差の絶対値が0.8を上回っている。また、表層におけるポリマー成分と滑剤等との相溶性の指標となるSPとSPとの差の絶対値が1.1を上回っている。そのため、表層表面への滑剤等のブリードを抑制することができず、その結果、感光体汚染を抑制することができなかった。
試料15は、試料14に比較して、SPとSPとの差の絶対値が低下しているものの、依然として0.8を上回っている。同様に、SPとSPとの差の絶対値が低下しているものの、依然として1.1を上回っている。そのため、やはり表層表面への滑剤等のブリードを抑制することができず、その結果、感光体汚染を抑制することができなかった。
試料16は、表層におけるポリマー成分と滑剤等との相溶性の指標となるSPとSPとの差の絶対値が1.1以下であるものの、ゴム弾性部におけるゴム成分と滑剤等との相溶性の指標となるSPとSPとの差の絶対値が0.8を上回っている。そのため、表層表面への滑剤等のブリードを抑制することができず、その結果、感光体汚染を抑制することができなかった。
これらに対し、試料1〜試料12は、SPとSPとの差の絶対値が0.8以下とされている。そのため、ゴム弾性部において、滑剤等のゴム成分への溶解性が高まり、滑剤等がゴム弾性部の外へ出難い。さらに、SPとSPとの差の絶対値が1.1以下とされている。そのため、滑剤等がゴム弾性部の外へ出たとしても、表層において、滑剤等のポリマー成分への溶解性が高いため、滑剤等が表層を通過して外へ出難い。その結果、滑剤等が表層表面へブリードするのを効果的に抑制することができた。また、表層のバリア効果のみによって滑剤等のブリードを抑制しているわけではないので、表層のポリマー成分に、熱可塑性ポリウレタンエラストマー等の柔軟な材料を用いることができ、使用中における表層のひび割れも抑制することができた。
また、試料1〜試料12同士を比較すると、表層が、(メタ)アクリルシリコーン系化合物および/または(メタ)アクリルフッ素系化合物をさらに含有する場合には、感光ドラムの汚染抑制効果が特に大きくなることがわかる。これは、表層の表面近傍に、表層表面への移行を阻止するバリア性の高い(メタ)アクリルシリコーン系化合物のシリコーン成分、(メタ)アクリルフッ素系化合物のフッ素成分が配向し、滑剤等のブリードが一層抑制されたためである。なお、本例は、ゴム弾性部のゴム成分と、表層のポリマー成分との相溶性の差を積極的に利用することに加え、表層のバリア効果をも利用して、滑剤等を部材内部に留めたものである。したがって、バリア効果のみによって滑剤等のブリードを抑制したものではない。
さらに、表層表面のマルテンス硬度が9N/mm以下である場合には、表層が柔軟である。そのため、使用中における表層のひび割れを抑制しやすくなり、感光体を傷付け難くなって、長期にわたって良好な画像を形成することができるといえる。
試料1〜試料12の結果に示されるように、感光ドラムの汚染抑制と表層のひび割れ抑制とを両立すること可能なことが確認された。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
10 帯電部材
10A 中心軸
12 被帯電体
12A 中心軸
14 ゴム弾性部
16 表層
18 軸体

Claims (5)

  1. 被帯電体を帯電させるために用いられる帯電部材であって、
    ゴム弾性を有するゴム弾性部と、該ゴム弾性部の表面に形成された表層とを少なくとも有し、
    上記ゴム弾性部は、ゴム成分と、有機系の滑剤、可塑剤または軟化剤と、導電剤とを含むゴム組成物より形成されるとともに、上記表層は、ポリマー成分を含むポリマー組成物より形成されており、
    上記ゴム成分における主成分の溶解性パラメータをSP、上記滑剤、可塑剤または軟化剤における主成分の溶解性パラメータをSP、上記ポリマー成分における主成分の溶解性パラメータをSPとしたとき、
    SPとSPとの差の絶対値が0.8以下であり、
    SPとSPとの差の絶対値が1.1以下であることを特徴とする帯電部材。
  2. 請求項1に記載の帯電部材であって、
    上記表層表面のマルテンス硬度が、9N/mm以下であることを特徴とする帯電部材。
  3. 請求項1または2に記載の帯電部材であって、
    上記ポリマー成分は、熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする帯電部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材であって、
    上記表層のポリマー組成物は、さらに、(メタ)アクリルシリコーン系化合物および(メタ)アクリルフッ素系化合物から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする帯電部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電部材であって、
    上記被帯電体は、帯電像を用いる電子写真方式の画像形成装置における潜像担持体であることを特徴とする帯電部材。
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