JP2006099137A - レンズ加工装置 - Google Patents

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JP2006099137A
JP2006099137A JP2005349800A JP2005349800A JP2006099137A JP 2006099137 A JP2006099137 A JP 2006099137A JP 2005349800 A JP2005349800 A JP 2005349800A JP 2005349800 A JP2005349800 A JP 2005349800A JP 2006099137 A JP2006099137 A JP 2006099137A
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Yoshihiro Kikuchi
吉洋 菊池
Takashi Igarashi
尚 五十嵐
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Hoya Corp
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Abstract

【課題】 エンドミルのずれによる加工精度の低下を防止する。
【解決手段】 レンズ保持ユニットに保持されたレンズ1の周面をカッタ131
で加工する手段と、カッタで周面加工されたレンズの周面にエンドミル141に
よって溝加工あるいは面取り加工する手段と、レンズをカッタやエンドミルに対
して位置制御する制御手段とを備え、制御手段が、エンドミルに対してレンズを
位置制御するとき、予め検出してあるカッタ中心に対してのエンドミルの高さの
ずれ量に基づいて補正しながらレンズの位置制御を行う。
【選択図】 図29

Description

本発明は、眼鏡レンズ等の被加工レンズをレンズ枠に枠入れするため、該被加
工レンズの周縁を所定形状に加工するレンズ加工方法に関する。
従来、眼鏡レンズをレンズ枠に枠入れするために所定の周縁形状に加工する場
合、例えば砥石でレンズ周面を研削したり、カッタでレンズ周面を切削したりす
ることで、被加工レンズをレンズ枠形状データに従った所定の周縁形状に仕上げ
ている。
特開平11−28650号公報には、この種のレンズ加工装置として、レンズ
の周面を加工するカッタと、カッタで加工したレンズの周面に溝を彫るエンドミ
ルとを備えたものが開示されている。
ところで、カッタとエンドミルによって周面加工と溝彫り加工とを連続して行
う場合、カッタで加工したレンズの周面に溝を加工することになるが、カッタと
エンドミルの基準位置が合っていないと、カッタで加工した周面の輪郭に対し、
エンドミルで加工した溝の輪郭がレンズ周方向にずれる可能性があり、精度の良
い加工ができない。そこで、カッタとエンドミルのずれを機械的に調整するため
の調整機構を設けることも考えられるが、そうすると装置が複雑化するという問
題がある。
本発明は、上記事情を考慮し、特別に機械的なずれ調整機構を設けずに、エン
ドミルのずれによる加工精度の低下を防止することができるレンズ加工装置を提
供することを目的とする。
請求項1の発明は、眼鏡用の被加工レンズの周縁をレンズ枠形状データに従っ
て加工するレンズ加工装置において、被加工レンズをレンズ中心部で保持し、保
持した被加工レンズをレンズ中心回りに回転させるレンズ保持ユニットと、該レ
ンズ保持ユニットに保持された被加工レンズの周面を回転加工工具により所定断
面形状に加工する周面加工手段と、前記レンズ保持ユニットに保持され且つ前記
周面加工手段により周面加工された被加工レンズの周面にエンドミルによって溝
加工を施す溝加工手段と、前記レンズ保持ユニットに保持された被加工レンズを
前記回転加工工具及びエンドミルに対して位置調節することにより、回転加工工
具及びエンドミルの被加工レンズに対する加工位置を制御する制御手段とを具備
し、該制御手段が、前記エンドミルに対して被加工レンズを位置制御するとき、
予め検出してある、被加工レンズと回転加工工具との間で規定される基準位置に
対しての前記エンドミルのずれ量に基づいて、該ずれ量を補償するレンズ枠形状
補正データを算出し、該補正データに基づいて被加工レンズの位置制御を行うこ
とを特徴とする。
請求項2の発明は、眼鏡用の被加工レンズの周縁をレンズ枠形状データに従っ
て加工するレンズ加工装置において、被加工レンズをレンズ中心部で保持し、保
持した被加工レンズをレンズ中心回りに回転させるレンズ保持ユニットと、該レ
ンズ保持ユニットに保持された被加工レンズの周面を回転加工工具により所定断
面形状に加工する周面加工手段と、前記レンズ保持ユニットに保持され且つ前記
周面加工手段により周面加工された被加工レンズの周面とレンズ面との交差エッ
ジ部をエンドミルによって面取りする面取り加工手段と、前記レンズ保持ユニッ
トに保持された被加工レンズを前記回転加工工具及びエンドミルに対して位置調
節することにより、回転加工工具及びエンドミルの被加工レンズに対する加工位
置を制御する制御手段とを具備し、該制御手段が、前記エンドミルに対して被加
工レンズを位置制御するとき、予め検出してある、被加工レンズと回転加工工具
との間で規定される基準位置に対しての前記エンドミルのずれ量に基づいて、該
ずれ量を補償するレンズ枠形状補正データを算出し、該補正データに基づいて被
加工レンズの位置制御を行うことを特徴とする。
以上説明したように、請求項1及び請求項2の発明によれば、予めエンドミル
のずれ量を求めておき、そのずれ量に応じた補正を、エンドミルに対して被加工
レンズを位置制御するときに、制御手段で行うようにしているので、レンズ周面
に対して溝や面取りを精度良く加工することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態のレンズ加工装置の全体構成を示す斜視図、図2は同全体構成
を示す平面図、図3は同全体構成を装置手前側から見た正面図である。
この加工装置10は、従来一般的に知られている、砥石でレンズ周面を研削す
る研削式のものではなく、回転切削工具でレンズ周面を強制切削する切削式レン
ズ加工装置である。この種の切削式レンズ加工装置は、プラスチックレンズの場
合に有効であり、加工効率の向上を図ることができる。
この加工装置10は、各機構部が基台11に取り付けられることにより構成さ
れている。基台11の基板11aは水平に設けられており、この基板11aの上
には、レンズ保持ユニット12と、レンズの周面切削加工を行うカッタ回転機構
部(周面加工手段)13と、溝加工並びに面取り加工を行うエンドミル回転機構
部(溝加工手段、面取り加工手段)14とが設けられている。これらは、基板1
1a上のほぼ同じ平面内にレイアウトされ、カッタ回転機構部13とエンドミル
回転機構部14とが、共に装置の手前側に配置され、レンズ保持ユニット12が
装置に奥側に配置されている。
また、基板11aには測定ユニット15が設けられている。測定ユニット15
は、レンズ形状測定手段としての測定ヘッド16を有しており、該測定ユニット
16は、カッタ回転機構部13とエンドミル回転機構部14との干渉を避けるた
めに、カッタ回転機構部13とエンドミル回転機構部14の上方の空きスペース
に配設されている。
レンズ保持ユニット12は、被加工レンズ1を保持すると共に、レンズ周方向
の加工位置を移動するために、被加工レンズ1をレンズ中心回りに周回させるも
のである。カッタ回転機構部13は、被加工レンズ1の周縁を強制切削するカッ
タ(回転加工手段)131を有しており、該カッタ131を水平な軸回りに回転
させることで、被加工レンズ1の周面の平切削並びにヤゲン切削を行うものであ
る。エンドミル回転機構部14は、溝彫り加工手段及び面取り加工手段としてボ
ールエンドミル(以下、単に「エンドミル」という)141を有しており、該エ
ンドミル141を水平な軸回りに回転させることで、レンズ1の周面に溝(この
溝は、リムレスフレームにレンズを装着する際にナイロンなどの糸を通すための
もの)を形成したり、被加工レンズ1の周面とレンズ面との交差エッジ部に面取
りを施したりするものである。
測定ユニット15は、レンズ1のコバ厚及びコバ厚方向のレンズ位置を測定す
る測定ヘッド16を有しており、該測定ヘッド16を必要に応じて上下方向に旋
回させることのできるものである。
レンズ保持ユニット12は、後述する機構により、基板11aの面と平行で且
つカッタ131の軸と垂直な方向(以後Y軸方向と呼ぶ)にスライド可能に設け
られると共に、基板11aの面と平行で且つカッタ131の軸と平行な方向(以
後Z軸方向と呼ぶ)にスライド可能に設けられている。
カッタ回転機構部13は、基板11a上に固定されている。カッタ回転機構部
13のカッタ131はスピンドル132に取り付けられており、カッタ回転用モ
ータ133の回転をベルト134でスピンドル132に伝えることで、自身の軸
芯回りに回転させられる。
基板11aには切り込み動作機構部24が設けられている。切り込み動作機構
部24は、レンズ保持ユニット12をY軸方向に移動させて、レンズ1をカッタ
131やボールエンドミル141に対して切り込み動作させる機構である。
基板11aの下側には、加工粉の吸引除去手段を構成する図示略のダクトが配
されており、そのダクトが、基板11aに開口された掃除口993に接続されて
いる。掃除口993の上方には、空気噴射手段としてのエアー噴射ノズル992
が複数配されている。これらエアー噴射ノズル992は、カッタ131の近傍及
びエンドミル141の近傍に配されており、レンズ保持ユニット12に装着され
た被加工レンズ1に対して周面切削加工や溝彫り加工あるいは面取り加工を行っ
ているときの加工粉をエアー噴射ノズル992で吹き飛ばし、吹き飛ばした加工
粉を掃除口993から吸引除去するようになっている。
レンズ加工装置10の各機構部は、基板11a下側等に設けられた後述の制御
装置(図示略)によって、電気的に制御される。
基台11の基板11a上には、Y軸方向に移動するYテーブル20が設けられ
ている。このYテーブル20は、Y軸方向に向くように基板11aに固定された
平行な2本のレール21、21上に摺動可能に設けられると共に、前述の切り込
み動作機構部24と連結されており、該切り込み動作機構部24によりY軸方向
へ移動制御される。
Yテーブル20の上面には、Z軸方向に向くように2本のレール31、31が
固定されている。これらレール31、31には、Zテーブル30が摺動可能に設
けられている。Zテーブル30は、Yテーブル20上に固定されたZテーブル移
動機構部(レンズをその軸芯方向に移動させる軸芯方向移動機構部)33によっ
て移動制御される。Zテーブル移動機構部33には、Z軸用モータ331が設け
られている。Z軸用モータ331の回転軸には、ボールネジ332が連結されて
おり、このボールネジ332には、Zテーブル30に固定されたスライドブロッ
ク333が螺合している。Z軸用モータ331は、後述の制御装置からの指令に
応じて、正逆両方向に回転する。
Z軸用モータ331が回転することにより、ボールネジ332が回転する。そ
して、このボールネジ332の回転によってスライドブロック333が移動し、
スライドブロック333と一体にZテーブル30が、レール31,31に沿って
移動する。Zテーブル30の上面には、レンズ保持ユニット12が固定されてい
る。
図4はレンズ保持ユニット12の詳細構成を示す平面図である。
レンズ保持ユニット12は、カッタ131(図2参照)の軸と平行なレンズ保
持軸121を有している。レンズ保持軸121は、レンズ保持ユニット12内の
回転機構部によって回転させられる。レンズ保持軸121の先端には、レンズホ
ルダ受け121aが固定され、レンズホルダ受け121aには、被加工レンズ1
が固定されたレンズホルダ19が着脱自在に取り付けられている。
また、レンズ保持ユニット12には、前記レンズ保持軸121と同軸に、レン
ズ押さえ軸(これもレンズ保持軸と言える)122がアーム部122bを介して
レンズ保持軸121方向にスライド可能に取り付けられている。レンズ押さえ軸
122は、エアシリンダ123の圧力を受けてレンズ1側に移動し、その先端の
レンズ押さえ122aによってレンズ1を押圧し、レンズ保持軸121との間で
レンズ1を挟み込んで保持する。
この場合、レンズホルダ19の端面(凹面状に形成されている)に、両面接着
パッド191を介して、レンズ1の凸側レンズ面1Aが接着されており、レンズ
押さえ122aは、レンズ1の凹側レンズ面1Bに圧接する。また、レンズ押さ
え122aは、レンズ押さえ軸122の先端に全方向揺動自在に取り付けられて
おり、レンズ1の凹側レンズ面1Bに片当たりせずに、バランスよく圧接するよ
うになっている。
レンズ保持ユニット12のケース12a内に設けられた前記エアーシリンダ1
23は、外部に設けられた図示されていないエアーポンプから送られるエアーの
圧力によって、そのロッド123aをZ軸方向に移動させる。ロッド123aの
先端には、アーム123bが固定され、ロッド123aと一体に移動するように
設けられている。このアーム123bには、ガイドテーブル123c及びレンズ
押さえ軸122のアーム部122bが固定されている。レンズ押さえ軸122は
、ケース12aに形成されたZ軸方向に延びる長穴12bに沿って移動できるよ
うに設けられている。レンズ押さえ軸122の先端には、レンズ押さえ122a
がZ軸周りに正逆自由回転できるよう設けられている。
ガイドテーブル123cは、レール台124の側面にZ軸方向に平行となるよ
うに設けられたレール124aに摺動可能に嵌合している。これにより、エアー
シリンダ123のロッド123aが移動すると、これと一体にアーム123b、
ガイドテーブル123c、及びレンズ押さえ軸122がZ軸方向に移動して、レ
ンズ押さえ122aがレンズ1に対して圧接したり、離間したりする。
また、ケース12a内には、レンズ回転用モータ125が設けられている。こ
のレンズ回転用モータ125の軸125aには、カップリング125bを介して
小径のギア125cが連結されている。このギア125cは、大径のギア125
dに連結されている。さらにギア125dの同軸にはプーリ125eが設けられ
ており、このプーリ125eは、ベルト125fを介して、前記軸121上に固
定されたプーリ121bに連結されている。
これにより、レンズ回転用モータ125が駆動されると、軸125aの回転が
カップリング125b、ギア125cに伝達され、さらに、ギア125dで減速
され、この減速された回転がプーリ125e、ベルト125f、プーリ121b
を介してレンズ保持軸121に伝達され、レンズ1が回転する。
また、レンズ保持軸121にはスリット板121cが固定されており、このス
リット板121cの回転位置を、ケース12a内に固定された光センサ126が
検出することにより、レンズ保持軸121に保持されたレンズ1の原点位置が検
出される。
このような構成のレンズ保持ユニット12では、レンズホルダ受け121aに
レンズ1が固定されると、エアシリンダ123が駆動して、レンズ押さえ軸12
2が図面左側に移動する。そして、レンズ1をレンズ押さえ122aによって押
圧することにより、レンズ1が固定される。レンズ1の加工時及びレンズ測定時
は、レンズ回転用モータ125が駆動して、レンズ保持軸121が回転し、それ
によりレンズ1が回転する。また、レンズ1が回転することにより、レンズ押さ
え122aも一体に回転する。
図5(a)はY軸方向移動機構としての切り込み動作機構部24の概略構成を
示す平面図、図5(b)は(a)図のVb−Vb矢視図である。切り込み動作機
構部24は、基板11aの開口下面に取り付けた凹形部材68の凹部上面に固定
されている。凹形部材68の凹部上面には、間隔をおいて2つの軸受支持部材6
1、61が設けられ、これら支持部材61、61にY軸方向を向いたボールネジ
62が回転自在に取り付けられている。ボールネジ62の一端は、凹形部材68
に固定された切り込み用モータ63の軸と連結されている。
切り込み用モータ63は、後述の制御装置からの指令に従って正逆両方向に回
転し、この切り込み用モータ63の回転と連動してボールネジ62が回転する。
ボールネジ62には、移動ブロック64が螺合されており、この移動ブロック6
4が、前述したYテーブル20に連結されている。よって、Yテーブル20及び
レンズ保持ユニット12は、切り込み動作機構部24の移動ブロック64と一体
にY軸方向に移動する。これにより、レンズ1のカッタ131への切り込み動作
が行われる。
移動ブロック64にはスイッチ片641が取り付けられている。このスイッチ
片641は、移動ブロック64が切り込み量計測の基準となる原点位置にあると
きに、凹形部材68に固定された光センサ642をオンにする。また、移動ブロ
ック64が一方のリミット位置にあるときに、凹形部材68に固定された光セン
サ643をオンにする。また、移動ブロック64が他方のリミット位置にあると
きに、凹形部材68に固定された光センサ644をオンにする。
次に、エンドミル回転機構部14について説明する。エンドミル回転機構部1
4は、カッタ回転機構部13のカッタ131に隣接して配設されており、基板1
1aの上に、エンドミル141の軸線を、レンズ保持ユニット12のレンズ保持
軸121及びレンズ押さえ軸122と垂直な方向で且つ基板11aと平行な方向
に向けて固定されている。しかも、エンドミル141の軸線とカッタ131の軸
線とレンズ保持軸121及びレンズ押さえ軸122の軸線は、同じ高さに位置し
ている。エンドミル回転機構部14には、エンドミル141を回転駆動するスピ
ンドルモータ142が設けられている。
次に、図6〜図8を参照して測定ユニット15について説明する。
測定ユニット15は、一対のスタイラス161,162を備えた測定ヘッド1
6を有する。図8に示すように、測定ヘッド16は、基板11a上に間隔をおい
て立設した2つの支持壁151,151に、旋回軸152を介して取り付けられ
ている。旋回軸152は、カッタ131の軸と平行に配されており、支持壁15
1,151の上端近くの高さに、上下方向回動可能に支持されている。この旋回
軸152には、測定ヘッド16の下方に突設した2本のアーム163,163が
固定されており、これにより、旋回軸152を回すことで、測定ヘッド16が、
図6(a)及び図7(a)に示すアンロード位置(測定に供しないときの待避位
置)と、図6(b)及び図7(b)に示すロード位置(測定に供するときの位置
)との間で回動するようになっている。
旋回軸152は一端が片方の支持壁151から水平方向に突出しており、この
突出端が、基板11a上に架台154を介して固定されたエア駆動式の測定ヘッ
ド回転アクチュエータ155の回転軸155aに、カップリング152aを介し
て連結されている。測定ヘッド16は、エア駆動式の回転アクチュエータ155
によってアンロード位置とロード位置とに移動させられるので、アンロード位置
とロード位置には、測定ヘッド16が確実に止まるように、ストッパ156、1
57が設けられている(図6参照)。ストッパ156、157は、非旋回側の部
材、つまり支持壁151に固定されたブラケット156a、157aに設けられ
ており、これらのストッパ156、157に測定ヘッド16の特定箇所が当たる
ことで、測定ヘッド16の位置決めが行われるようになっている。
アンロード位置側のストッパ156は、特に正確な位置決め機能を発揮する必
要のないものであるが、ロード位置側のストッパ157は、測定ヘッド16によ
る計測精度に影響を及ぼすため、きわめて正確な位置決め機能を発揮する必要が
ある。そのため、ロード側のストッパ157としては、位置決め位置を精度よく
調整できるマイクロヘッド(1/1000mm)が用いられている。このマイク
ロヘッド式のストッパ157で位置決めすることにより、ロード位置に移動させ
られた測定ヘッド16のスタイラス161、162は、レンズ保持軸121の回
転中心やカッタ131の回転中心と同一の高さレベルに正確に保持される。
また、回転アクチュエータ155で測定ヘッド16をアンロード位置またはロ
ード位置に移動したとき、ストッパ156、157に測定ヘッド16の特定箇所
が衝突すると衝撃が生じるおそれがあるので、測定ヘッド16のアーム163及
び支持壁151に固定されたブラケット156aには、衝撃吸収作用を果たす緩
衝器(ショックアブソーバー)158、159が設けられている。これらの緩衝
器158、159は、測定ヘッド16がストッパ156、157に当たる直前に
、相手側部材に当接して緩衝作用を発揮し、ストッパ156、157への測定ヘ
ッド16の当たりを軟らかくする役目を果たす。
また、測定ヘッド16をロード位置に移動したときには、ロード位置に測定ヘ
ッド16が倒れていることを確認しておく必要があるので、図6、図7に示すよ
うに、ロード位置側には、支持壁151に固定されたブラケット160aに光学
センサ160を設けて、測定ヘッド16の有無を検出するようにしている。
このようにロード位置とアンロード位置間で旋回可能に構成されることで、測
定ヘッド16は、必要なときに、上方から測定すべき位置(ロード位置)に供給
され、不必要なときには、上方の待避位置(アンロード位置)へ待避することが
できようになっている。従って、こうしてカッタ131やエンドミル141によ
る作業の邪魔にならないように測定ヘッド16が搭載されていることにより、い
ったんレンズ保持ユニット12によりレンズ1を保持したら、測定から加工まで
チャッキングを解かずに、ワンチャックで作業を進めることができる。また、特
殊な場合として、レンズ1の加工途中で必要に応じて測定を実行する場合にも、
レンズ1のチャッキングを解かずに、そのままレンズ1を保持した状態で、レン
ズ1のコバ厚等を測定することができる。
測定ヘッド16の具体的な構成を述べると、図2や図7(a)に示すように、
測定ヘッド16には、レンズ保持ユニット12に保持された被加工レンズ1の凸
側レンズ面及び凹側レンズ面に接触する一対のスタイラス(測定子)161,1
62が設けられている。一対のスタイラス161、162は、レンズ厚み方向(
旋回軸152と平行な方向)に平行な一直線上に位置しており、互いに球状の先
端部を対向させて配されている。
図9は測定ヘッド17の原理構成を示す図である。
各スタイラス161、162は、図示しない案内機構により平行移動するよう
に配されたアーム164、165に取り付けられている。スタイラス161(も
う一方のスタイラス162も同じ構成)は、図9(b)、(c)に詳細を示すよ
うに、棒状のスタイラス本体161aの先端に、真球状のスチールボール(摩耗
や形状変形に強い超鋼製の2φ程度の鋼球)161bを取り付けた構造のもので
ある。スタイラス本体161aの側面には平坦面が形成されており、スチールボ
ール161bは、その平坦面側に寄せてスタイラス本体161aに偏心して溶接
により取り付けられている。
この場合、スタイラス本体の真ん中にスチールボールを取り付けることがまず
考えられるが、そうすると取付誤差や加工誤差により実際は真ん中から外れた位
置にスチールボールが付いてしまうおそれが大きく、そうするとスタイラスの中
心座標のずれ補正が難しい。この点、前記のようにスタイラス本体161aの側
面に平坦面を形成し、その平坦面の延長面上にスチールボール161bの外周が
接するようにスチールボール161bを取り付けるようにすれば、スチールボー
ル161bの中心位置は、スタイラス本体161aの平坦面からスチールボール
161bの半径分の距離のところに配置されることになる。従って、正確にスチ
ールボール161bの中心位置座標を把握することができるようになり、それを
測定に反映させることができる。
このようなスタイラス161、162を取り付けたアーム164、165は、
平行移動することにより、相互の間隔を開いたり閉じたりする。アーム164、
165は、バネ(図示例では圧縮バネ)166a,167aを内蔵したリニアエ
ンコーダ166、167の可動子166b、167bに連結されおり、バネ16
6a,167aによって互いに閉じ方向に付勢されている。リニアエンコーダ1
66、167は、可動子166b、167bの移動位置を電気的に検出するもの
で、各リニアエンコーダ166、167によりスタイラス161,162の位置
が検出される。
上記のようにスタイラス161、162は、バネ166a,167aによって
閉じ方向に付勢されていて自動的に閉じるが、開き方向には何らかの駆動機構で
動かしてやらなければならない。そこで、アーム164、165の上方には、一
対のプーリ171、172に巻回されたループ状のベルト173が配され、プー
リ171をスタイラス開閉用DCモータ170で回転させてベルト173を周回
動させることにより、ベルト173に設けた係合片173a、173bで、アー
ム164,165を引っ掛けて、開き方向に動かすようになっている。
なお、この場合も、光センサ174、175で係合片173aの位置を検出す
ることにより、スタイラス161、162が開いているか閉じているかを検出で
きるようになっている。また、光センサ176、177によって、各アーム16
4、165が原点位置にあるか否かを検出できるようになっている。
図10、図11に測定ヘッド16のスタイラス161、162によるレンズ位
置の測定の原理を示す。スタイラス161、162は、レンズ保持軸121と平
行な同一直線上で対向している。ここで、図9のベルト173を駆動して、スタ
イラス161、162を開いた状態で、両スタイラス161、162の先端間に
レンズ1を移動し、ベルト173を反対側に戻すと、リニアエンコーダ166、
167内のバネ166a、167aの作用で、スタイラス161、162が閉じ
て、図10に示すように、一方のスタイラス161はレンズ1の凸側レンズ面1
Aに先端が当接し、他方のスタイラス162はレンズ1の凹側レンズ面1Bに先
端が当接する。
今、レンズ枠形状データ(=形状データ)に基づいてレンズ1を移動制御する
と、図11に示すように、スタイラス161、162は、形状データに沿った軌
跡Sをトレースする。
例えば、形状データとして動径情報(ρi,θi)が与えられている場合、動径
長ρiに基づく量だけ切り込み動作機構部24を制御することで、レンズ1がス
タイラス161、162に対してレンズ半径方向に移動し、スタイラス161、
162が、レンズ保持軸121の中心軸線から動径長ρiの位置に位置付けられ
る。また、動径角θiに基づく量だけレンズ保持ユニット12のレンズ回転機構
部を制御することで、レンズ1がスタイラス161、162に対して動径角θi
だけ回転させられる。スタイラス161、162の先端は、レンズ1の凸側レン
ズ面1A及び凹側レンズ面1B上をトレースするので、スタイラス161、16
2の移動量をリニアエンコーダ166、167で検出することにより、動径情報
に対応したコバ厚方向(Z軸方向)のレンズ位置データ(Zi)を得ることがで
きる。そして、この検出動作を動径情報(ρi,θi)の全てについて実行するこ
とで、レンズ動径形状軌跡(ρi,θi)上における凸側レンズ面1Aの位置デー
タ及び凹側レンズ面1Bの位置データ(ρi,θi,Zi)を得ることができる。
そして、これら凸側レンズ面1Aの位置データ及び凹側レンズ面1Bの位置デー
タにより、レンズ動径形状軌跡(ρi,θi)上におけるレンズ厚さ(コバ厚)を
算出することができる。
次にカッタ回転機構部13のカッタ131について説明する。
図12はカッタ131の構成を示している。このカッタ131は、図12(b
)に示すように、外周面に突出した形の2枚の切削刃131aを有しており、切
削刃131aは円周方向に180度間隔で設けられている。カッタ131は、図
12(a)に示すように、小ヤゲン溝Y1aを有する小ヤゲンカッタY1(例:
メタルフレーム用)と、大ヤゲン溝Y2aを有する大ヤゲンカッタY2(例:プ
ラスチックセルフレーム用)と、ヤゲン溝のない平削り用カッタH1(例:縁無
しフレーム用)との3つのカッタを同一軸線上に並べて一体に連結したものであ
り、加工種目に応じて各カッタ部分を使い分けられるようになっている。
ヤゲン溝Y1a、Y2aは、図12(c)に示すようになっている。ヤゲン角
度は例えば110〜125度、ヤゲン高さは、小ヤゲンの場合は例えば0.4〜
0.68mm、大ヤゲンの場合は例えば0.7〜0.9mmになっている。また
、ヤゲン溝Y1a、Y2aの隣りの平面部は、片側のみ例えば3.5〜5度のテ
ーパ面となっている。これは、ヤゲンの隣りにフレームに対する逃げを作るため
である。
図13にカッタ131によるレンズ1の周縁切削の原理を示す。
カッタ131とレンズ1の干渉部位で見ると、カッタ131は上から下に回転
し、レンズ1は下から上に回転する。そして、干渉部位でカッタ131の切削刃
131aがレンズ1を、設定された切り込み量だけ強制切削する。今、レンズ枠
形状データ(=形状データ)に基づいて加工プログラムを作成し、その加工プロ
グラムに従ってレンズ1を移動制御すると、カッタ131はレンズ1の移動内容
に応じてレンズ1の周面を削っていく。
平削りの場合は、平削り用カッタH1の前の適正位置にレンズ1を位置決めし
て、カッタ131を回転させながら、切り込み動作機構部24を駆動することに
より加工を行う。また、ヤゲン加工の場合は、図14に示すように、ヤゲンカッ
タY1、Y2の前の適正位置にレンズ1を位置決めして、Zテーブル移動機構部
33のZ軸方向の移動と合わせて、カッタ131を回転させながら、切り込み動
作機構部24を駆動することにより加工を行う。図において、1aはヤゲンを示
す。
図15、図16、図17(a)、(b)に、エンドミル141による溝彫りと
コバ(レンズ周面)の両端エッジ部の面取りの原理を示す。形状加工されたレン
ズ1の端面(周面)に溝1bを彫る場合は、図15、図16に示すように、レン
ズ1を移動制御することで、回転するエンドミル141の先端に対するレンズ端
面のアプローチを行う。
アプローチが完了したら、レンズ1を回転させながら、切り込み量を切り込み
動作機構部24により適当に設定する。そうすると、レンズ1の回転にともなっ
て、レンズ端面に、予め設定された深さ(切り込み量)の溝1bが連続形成され
る。加工中は、レンズ1の形状データに基づいて、エンドミル141が現在接触
している端面位置とレンズ中心との距離を計算し、この距離に応じてレンズ1の
Y軸方向の位置を移動制御する。また、加工中は、形状データに基づいて、端面
の特定の位置、例えば端面の幅方向(コバ厚方向)の中心位置、あるいは、レン
ズ前面(凸側レンズ面1A)から一定距離の位置にエンドミル141の先端が常
に位置するように、レンズ1をZ軸方向に移動制御する。
このような制御を継続してレンズ1が1回転することにより、レンズ端面には
溝1bがレンズ全周にわたって形成される。エンドミル141は、元の開始点に
戻ると、アプローチのときとは逆方向に移動してレンズ1から離れる。
また、コバの両端エッジ部(レンズ周面とレンズ面との交差エッジ部)に割れ
や欠け防止のための糸面取りを施す場合は、図17に示すように、エンドミル1
41の先端のR部を利用する。図(a)はレンズ周面に溝1bを加工したものに
ついて面取りを行う場合、図(b)はレンズ周面にヤゲン1aを加工したものに
ついて面取りを行う場合をそれぞれ示している。凸面側のエッジ部1cや凹面側
のエッジ部1dをエンドミル141の先端で落とす場合、エンドミル141の先
端R部の肩部分を利用する。
このとき、エッジ部1c、1dの位置座標データを利用して、エンドミル14
1に対するレンズ1の位置出し(面取りのための)を行う。つまり、エッジ部1
c、1dの形状等により面取り寸法(ΔZ,ΔY)がほぼ決まるから、面取りを
行うエンドミル141の中心位置及びR部の半径とエッジ部1c,1dの位置デ
ータとを計算に入れることで、レンズ1のエッジ部1c、1dとエンドミル14
1の先端間の相互位置関係である、取り代Q11、Q12、Q21、Q22が決
まる。よって、エンドミル141の中心の座標と、前記取り代Q11、Q12、
Q21、Q22のデータにより、制御すべきレンズ1のエッジ部1c、1dの位
置座標データを決定することができ、その位置座標データに基づいて、レンズ1
をY軸方向及びZ軸方向に位置制御すると共に周回動作させることにより、適正
な面取りのためのレンズ1とエンドミル141の相互位置出しが行われる。つま
り、レンズ1をY軸方向及びZ軸方向に移動し且つ周回動作させることにより、
加工すべきエッジ部1c、1dを、固定位置で回転駆動されているエンドミル1
41の先端R部に対して正確に位置出しすることができる。これは、エンドミル
141の形状及び位置情報とレンズ1の位置情報とを正確に把握していることか
らできることである。なお、凸面側の面取りと凹面側の面取りは、それぞれエン
ドミル141に対するレンズ1のアプローチを含めて独立して行われる。
図18は、この加工装置10において使用しているレンズホルダ19の構成を
示す。図18(a)に示すように、レンズホルダ19は、図4に示した筒状のレ
ンズホルダ受け121aの内周に嵌まる嵌合軸部193と、レンズホルダ受け1
21aの端面に当たる嵌合軸部フランジ194と、図10に示すように、レンズ
1の凸側レンズ面1Aに両面接着パッド191を介して圧接するレンズ保持用フ
ランジ196とを有したパイプ状のものである。嵌合軸部フランジ194には、
レンズホルダ受け121a側の突起(図示略)に嵌まる回り止め用切欠195が
形成されている。
また、レンズ保持用フランジ196の環状端面はレンズ保持面197とされ、
レンズ1の凸側レンズ面1Aに対応した凹球面状に形成されている。図18(b
)に示すように、この凹球面よりなるレンズ保持面197には、両面接着パッド
191との密着結合力を増すための微小凹凸198が周方向に放射状に形成され
ており、微小凹凸198の各山と谷は、環状のレンズ保持面197の半径方向に
ほぼ一定の角度で延びている。
図18(c)、(d)は、本レンズホルダ19のレンズ保持面197に形成し
た微小凹凸198の断面形状と、該微小凹凸198に対してパッド191を密着
させた状態をそれぞれ示す図、図18(e)、(f)は、比較例として、従来の
レンズホルダにおける微小凹凸199の断面形状と、該微小凹凸199に対して
パッド191を密着させた状態をそれぞれ示す図である。いずれも、レンズ保持
面197の周方向に微小凹凸198、199の山が連なった断面形状をなしてい
る。
従来のレンズホルダでは、図18(e)、(f)に示すように微小凹凸199
の断面形状を、回転方向を考慮した片斜面形にし、回転で生じるパッド191へ
の食い込み作用により、パッド191との結合力を維持するようになっていた。
即ち、微小凹凸199の山の頂点199aを境に、その回転方向前側の壁面19
9bが垂直面で構成され、反対側の壁面199cが斜面で構成されていた。
しかし、このような片斜面形の微小凹凸199をレンズ保持面197に形成し
た場合、パッド191に対する食い込み作用でパッド191との結合力が得られ
るものの、図18(f)に示すようにパッド191との密着度が低くなるので、
必ずしも高いレンズ保持力を発揮できないという問題があった。また、片斜面形
であるため、パッド191との間に圧接力が作用した際に、パッド厚が厚い場合
などはアンバランスな回転力を与えてしまい、パッド191が僅かに回転方向へ
ずれることで、高精度のレンズ保持に影響が出るおそれがある。
それに対し、本レンズホルダ19(φ20)では、厚めの接着パッドを使用す
ると共にレンズ保持面197の凹凸198の断面形状を、図18(c)、(d)
に示すように両斜面形に形成している。即ち、凹凸198の山の頂点198aを
境に、その回転方向前側の壁面198bと、反対側の壁面198cとを、同じ傾
斜角度(45度)の斜面で構成している。
従って、図18(d)に示すように、パッド191を微小凹凸198に圧接さ
せた際に、両方の斜面に均等にパッド191が密着することになり、接触面積の
増大により、パッドの適度な可撓性や変形性が生かされ、レンズ保持力の増大が
図れる。また、同じ傾斜角度の両斜面に均等にパッド191が圧接するので、ア
ンバランスな回転力が相殺されて発生しなくなり、従ってパッド191が回転ず
れして、レンズの保持精度が低下するようなこともなくなる。
また、レンズ保持力の増大が図れることにより、レンズ保持用フランジ196
の小径化を図ることもできる。このことは、以下に述べる利点を生む。
まず、径の小さいレンズの加工が可能になる。この他に、レンズカーブに応じ
て用意していたレンズホルダの種類を少なくする(弱度と強度、もしくはその中
間に1種か2種を加える程度にする)ことができる。つまり、一般的には、レン
ズカーブに応じて使い分けができるように、レンズ保持面197の曲率を段階的
に変えた複数種のレンズホルダ19を用意している。その場合、全てのレンズカ
ーブに応じてレンズホルダを用意するのは現実的ではないため、1種のレンズホ
ルダで、何種類か(弱度、強度、もしくはその中間の度数用)のレンズカーブの
範囲をカバーするようにしている。
図19は、ある曲率のレンズ保持面197と、レンズ面1Aの関係を示してい
る。レンズ保持面197の曲率よりレンズ面1Aの曲率が大きい場合、レンズ保
持面197の外周縁がレンズ面1Aに当たり、レンズ保持面197のカーブとレ
ンズ面1Aのカーブとの間に深さの差Fができる。この深さの差Fが大きいと、
レンズ保持面197とレンズ面1Aの密着度が低くなるため、その差が大きくな
らないように、レンズ面1Aに対応したレンズホルダを用意して選択できるよう
にしている。
ところが、同じカーブの場合でも、レンズ保持面197(レンズ保持用フラン
ジ196)の外径の小径化を図ると、前述の深さの差Fを減らすことができ、多
くのカーブのレンズに対応できるようになる。従って、小径化したレンズホルダ
によれば、カバーできるレンズカーブ範囲を広げることができ、結果として、レ
ンズホルダの種類を減らすことができる。
なお、上記の例では、レンズ保持面197に形成した微小凹凸198の断面形
状を山形にしているが、山の頂点や谷の底をR形状にして滑らかな波形状として
もよい。また、上記の例では、微小凹凸198の山と谷を環状のレンズ保持面1
97の半径方向に連続的に延ばしているが、微小凹凸をレンズ保持面197全体
に分散的に配置してもよい。
図20はレンズ加工装置10における制御装置を中心とした電気的な接続関係
を示すブロック図である。ただし、ここでは、主要な構成のみを示す。制御装置
は、サーボモータ制御部1001とI/O制御部1002とからなる。両制御部
1001、1002は互いにデータのやりとりを行い、且つ、図示略のホストコ
ンピュータともデータのやりとりを行う。加工システム全体を管理するホストコ
ンピュータからは、レンズの形状データ(動径情報、レンズ厚、外径等を含む)
や加工情報等が送られ、制御部1001、1002は、この送られた形状データ
や加工情報に基づいて、レンズに対し必要な加工を施す。
サーボモータ制御部1001は、X軸サーボモータ(レンズ回転用モータ12
5)、Y軸サーボモータ(切り込み動作用モータ63)、Z軸サーボモータ(Z
方向移動用モータ331)の駆動制御を行う。また、I/O制御部1002は、
カッタ回転機構部13のカッタ回転用モータ(TOOL用モータ)133、面取
りモータ(エンドミル回転機構部14のスピンドルモータ142)、レンズチャ
ックエアーシリンダ123、測定ヘッド用回転アクチュエータ155、冷却用エ
アブロー1010、スタイラス開閉用DCモータ170を、制御部や電磁弁10
21〜1026を介して駆動制御し、必要な動作を行わせる。その際、各種セン
サの信号を制御に利用する。
また、I/O制御部1002は、測定用リニアエンコーダ166、167の検
出信号をカウンタユニット1030でカウントして取り込む。更に、表示操作部
1100に対して必要な表示を行うと共に、操作信号を取り込む。また、集塵機
インターフェースや搬送ロボットインターフェースに必要な信号を送る。
次に図21のフローチャートに従って、制御部1001及び1002で行われ
る制御の流れを説明する。
被加工レンズ1をレンズ保持ユニット12にセットしてスタートの操作を行う
と、最初に、ホストコンピュータより送られて来る測定軌跡データを入力する(
ステップS1)。次いで、測定ヘッド16を下降させてロード位置に位置決めし
(ステップS2)、スタイラス161,162をレンズ1に対してローディング
し(ステップS3)、レンズ位置を測定して(ステップS4)、その測定データ
をホストコンピュータへ送る(ステップS5)。
レンズの全周について測定が完了すると、スタイラス161、162をレンズ
1からアンローディングし(ステップS6)、測定ヘッド16をアンロード位置
に上昇させる(ステップS7)。次に、ホストコンピュータより加工軌跡データ
を入力し(ステップS8)、カッタ回転機構部13のモータ(TOOLモータ)
133を回転させると共に、エアーブローを開始し(ステップS9)、集塵機を
運転する(ステップS10)。
そして、所定回転数でカッタ131を回すことで荒加工を強制切削により実施
し(ステップS11)、次にカッタ用のモータ133の回転速度を変更して(ス
テップS12)、仕上げ加工を同じくカッタ131による強制切削で行う(ステ
ップS13)。このとき、ヤゲン加工が必要な場合は、ヤゲンカッタY1、Y2
を選択して加工を行う。
仕上げ加工が終了すると、カッタ131を停止し(ステップS14)、面取り
モータ142を回転して(ステップS15)、エンドミル141により凸側レン
ズ面及び凹側レンズ面のエッジ部に対する面取りを行う(ステップS17)。そ
の前に、ヤゲン加工の代わりに、レンズ周面に対する溝彫り加工が必要な場合に
は、面取り加工に先立って、面取りモータ142でエンドミル141を回して、
レンズ端面の溝彫りを実行する(ステップS16)。面取りが全周にわたり完了
したら、面取りモータ142及びエアーブローを停止し(ステップS18)、集
塵機も停止して(ステップS19)、1個のレンズの加工を終了する。
上記の荒加工及び仕上げ加工は同じカッタで行う。即ち、平削りの場合は平削
りカッタH1、小ヤゲンの場合は小ヤゲンカッタY1、大ヤゲンの場合は大ヤゲ
ンカッタY2を選択し、同一カッタで荒加工から仕上げ加工まで行う。従って、
工程移動を行わずにワンチャックで連続的な加工が可能であり、加工時間の短縮
や装置の小型化を実現することができる。また、荒加工用と仕上げ加工用の工具
を別に用意しなくてよいので、工具の配置スペースを小さくできる上、工具の管
理も楽になる。
また、カッタ131でレンズ1を強制切削するので、切り込み量を適当に設定
しながら切削を進めることができる。従って、仕上げ形状に至るまでの過程を、
形状データに最適な加工条件で決めることができる。例えば、何回の回転で切削
を完了するかとか、何秒で切削を完了するかとかの目標設定が任意にできるよう
になるので、加工時間の短縮と加工精度の向上を図ることができる。
また、面取り加工を溝彫り用の小径のエンドミル141の先端のR部(アール
部)で行うので、砥石に比べて、他の箇所との干渉が少なく、小さな面取りを正
確に仕上げることができる。特に、1個のエンドミル141を溝彫り加工と面取
り加工に兼用するので、工具数を減らすことができてコスト削減に寄与すること
ができるし、溝彫り加工と面取り加工を、ワンチャックのままほぼ連続して行う
ことができるため、加工時間の短縮も図れる。また、工具の兼用により駆動系が
1つで済むため、装置の小型化及びコストの削減を図ることができる。また、工
具の数を増やさないため、工具の管理も楽になる。
また、本レンズ加工装置10の場合、加工手段としてのカッタ131やエンド
ミル141の上方に、レンズ測定を行う測定ヘッド16を配置し、必要なときに
だけ、測定ヘッド16を前に倒して、レンズ保持ユニット12に保持されたレン
ズ1の測定が行えるようにしているので、測定ヘッド16を無理なレイアウトを
せずに加工装置10上に搭載することができる。また、カッタ131やエンドミ
ル141の上方の空きスペースを有効利用して測定ヘッド16を加工装置10上
に搭載しているので、加工装置10の平面面積を拡大せずに済み、加工装置10
の小型化を図ることができる。また、レンズ保持ユニット12にレンズを保持し
た状態で、測定から加工までの一連の工程を全てこなすことができるので、工程
移動のためのレンズの持ち替えが全くなくなり、レンズの持ち替えによる加工精
度の低下の心配もなくなって、レンズ形状を正確に仕上げることができる。
次に、加工精度の向上や加工効率等の向上を図るために、本レンズ加工装置1
0において実行される各種方法について説明する。
まず、このレンズ加工装置10では、カッタ131の回転速度、カッタ131
による周面切削時のレンズ保持軸121の回転速度(送りスピード)、周面切削
加工のためのレンズ1の周回数、溝彫り時や面取り時のエンドミル141の回転
速度、そのときのレンズ保持軸121の回転速度(送りスピード)等を変更可能
なパラメータとして持っており、レンズ1の材種(硝種=ここではプラスチック
の種類)や度数(コバ厚)、仕上げ加工と荒加工の加工工程の別などに応じて、
それらパラメータの設定を行うことにより、最適な加工条件を選べるようになっ
ている。
例えば、レンズ1の材種(硝種)や度数(コバ厚)に応じてパラメータ(カッ
タ回転速度、レンズ保持軸回転速度、加工周回数)を変えることにより、レンズ
1の材種や度数によらず、加工負荷を揃えることができるようになって、レンズ
サイズやレンズ形状(ヤゲン位置を含む)を正確に均一に仕上げることができる
し、加工箇所をきれいに仕上げることができる。また、適正な加工条件の選択に
より、加工応力の低減を図ってレンズ軸のずれを少なくできるし、工具寿命を延
ばしたり、加工時間を短縮したりすることもできる。
また、仕上げ加工と荒加工の加工工程の別に応じて、パラメータ(カッタ回転
速度、レンズ保持軸回転速度)を変えることにより、同じカッタで加工しながら
も、仕上げ面を良好にすることができるし、レンズサイズやレンズ形状(ヤゲン
位置を含む)を正確に仕上げることができる。また、適正な加工条件の選択によ
り、加工応力の低減を図ってレンズ軸のずれを少なくできるし、工具寿命を延ば
すこともできる。
また、同じ加工工程において、カッタ131の回転速度やレンズの回転角速度
を変えることで、切削速度の均一化を図ることができるので、加工面を均質な状
態に仕上げることができる。
また、エンドミル141による溝彫り加工時あるいは面取り加工時にも、レン
ズ1の材種(硝種=ここではプラスチックの種類)に応じて、パラメータ(エン
ドミル回転速度、レンズ保持軸回転速度)を変えることにより、レンズ1の材種
によらず、精度良く溝や面取り部を形成することができる。また、適正な加工条
件の選択により、工具寿命を延ばしたり、加工時間を短縮したりすることもでき
る。
また、このレンズ加工装置10では、ヤゲン加工の際に必要なレンズ位置デー
タを正確に得るために、次に述べるような演算機能を備えている。図22を用い
て説明する。
通常、レンズ面1A、1Bの位置データを得るためには、測定ヘッドのスタイ
ラス161、162を、レンズ形状データに従ってレンズ面1A、1B上でトレ
ースさせ、その軌跡の各点において各スタイラス161、162の位置を検出す
ることにより、レンズ面の位置1e、1fを計測している。この場合のスタイラ
ス161、162のトレース位置は、レンズ1がヤゲン加工されたときに形成さ
れるヤゲン1aの頂点のレンズ保持軸方向の延長線ST上である。
しかし、そのようにして求めた位置データ(1e、1fの座標データ)に基づ
いて、そのままヤゲン加工をすると、ヤゲン1aの位置を正確に仕上げることが
できないという問題がある。即ち、加工した状態でのレンズ周面におけるヤゲン
1aの位置を、レンズ周面の両端エッジ部1c、1dを基準にして精度良く出し
たいのに、実際のヤゲン加工は、両端エッジ部1c、1dの位置よりヤゲン高さ
SH分だけ外周側の位置1e、1fで測定したデータに基づいて行っている。従
って、ヤゲン1aが高精度に仕上がらない。
そこで、予めレンズ形状データで規定される位置からヤゲン高さSHを引いた
位置で、スタイラス161、162をトレースさせることにより、加工後の状態
におけるレンズ周面の両端エッジ部1c、1dの位置を予め計測して、その位置
データに基づいてヤゲン加工することが考えられている。
しかし、そうすると、スタイラス161、162を、レンズ形状データで規定
される位置よりもレンズ中心側でトレースさせなくてはならないため、スタイラ
ス161、162をトレースさせるためのデータを、予めレンズ形状データとは
別に作成しなくてはならない。また、レンズ中心側でトレースさせるため、最終
的に利用可能性のあるレンズ面1A、1Bの範囲に、スタイラス161、162
の接触痕が残るおそれもある。
そこで、本レンズ加工装置10では、点1e、1fの座標測定データと、別途
与えられるレンズ1の設計データ(動径データ、凸側レンズ面形状データ、凹側
レンズ面形状データ、レンズ厚データ、外径データ)に基づいて、点1c、1d
の座標値を算出するようにしている。この場合のレンズ1の設計データには、凸
側レンズ面1A及び凹側レンズ面1Bの形状を規定する有限数の座標データ(ρ
i,θi,Zi)が含まれており、非球面レンズの場合にも、凸側レンズ面1A
及び凹側レンズ面1Bの任意の点の座標を取り出すことができる。従って、ヤゲ
ン頂点のレンズ保持軸方向の延長線SH上のトレース点において測定した実測デ
ータと、この設計データを利用することにより、点1c、1dの位置を精度良く
算出することができ、これらの点1c、1dの座標データを用いることで、ヤゲ
ン1aを精度良く加工することができる。なお、設計データは、ホストコンピュ
ータのレンズ設計プログラムデータから与えられるようになっている。
また、本レンズ加工装置10では、レンズ形状やレンズ位置を測定する測定ヘ
ッド16を、必要に応じて、レンズ保持ユニット12に保持されたレンズ1に対
して、待避場所からアプローチすることができるようになっているので、加工前
の計測の他に、特別な場合には、加工途中で、レンズ形状やレンズ位置を計測す
ることもできる。次に、そのような加工途中で測定を実施する場合の例について
説明する。
図23は加工工程の例を示す。(a)は通常の場合の加工工程、(b)は特別
な場合(本発明の加工方法を実施する場合)の加工工程を示す。(a)の加工工
程は、未加工レンズの段階でレンズ測定を行うもの、(b)の加工工程は、荒加
工の途中の段階でレンズ測定を行うものである。本レンズ加工装置10では、レ
ンズの材種(硝種)や度数(コバ厚)に応じて、(a)の加工工程か、(b)の
加工工程か、を選択して加工を実施するようにしている。このように(b)の特
別な加工工程を選択肢に設けている理由は、レンズにより、未加工レンズの段階
と荒加工の途中の段階でのレンズ測定値に差が出る場合があり、全ての場合を(
a)の通常の加工工程で統一すると、最終仕上げ加工でヤゲン位置が正確に仕上
がらないことがあるためである。
(a)に示す通常の加工工程の場合は、最初にレンズの測定を行う。次に荒加
工を実施し、その後、仕上げ加工を実施し、最後に面取り加工を実施して、最終
形状のレンズを得る。荒加工は、仕上げ用の削り代(例えば0.25〜0.35
mm)を残したところまで行い、仕上げ加工で最後の削り代を取り除いて最終寸
法に仕上げる。
一方、(b)に示す特別な加工工程の場合は、最初に1次荒加工を実施し、そ
の後でレンズの測定を実施する。図24(a)、(b)に示すように、1次荒加
工は、仕上げ寸法に対して測定可能幅SKを残した寸法まで行う。通常の加工工
程における荒加工では、残りの仕上げ用の削り代を残すが、この程度の削り代の
範囲にスタイラス161、162をトレースさせるのは難しい。そこで、この加
工工程では、敢えて1次荒加工により、測定できる範囲の幅(例えば1.5〜1
.8mm程度)を残したところまで加工するのである。
何故そうするかというと、前述したように、未加工レンズから一気に仕上げ用
の削り代を残したところまで荒加工すると、特殊レンズの場合など、レンズの保
持状態が変化する場合がある。即ち、レンズの保持状態によっては、未加工レン
ズの段階では、これから荒加工で取り除こうとする部分が補強効果を発揮して保
持バランスをとり、変形を表に現れないように留めていたものが、荒加工でその
部分が取り除かれることにより、補強効果がなくなって、保持変形が表に現れる
場合がある。従って、そのような場合、未加工レンズの段階でレンズ測定値を求
めても、実際に荒加工した後の段階ではその当初のレンズの位置データが変わっ
てしまい信頼性が低下してしまうからである。
このように、1次荒加工を行った段階でレンズ測定を実施し、レンズ保持の変
形を受けない状態でコバ厚を含むレンズ情報を得たら、その後で2次荒加工によ
り、仕上げ用の削り代を残した段階まで取り除き、後は通常の場合の加工工程と
同様に、仕上げ加工を実施し、最後に面取り加工を実施して、最終形状のレンズ
を得る。
このように荒加工の途中の段階でレンズ測定を実施することにより、信頼性の
高いレンズ測定値を得ることができるので、その後の仕上げ加工をそのレンズ測
定値を用いて行うことにより、レンズ形状及びヤゲン形状を正確に仕上げること
ができる。
次に、各種の公差や誤差を補正する方法について説明する。
まず、カッタ131の公差や誤差を補正する方法について説明する。
本レンズ加工装置10においては、カッタ131による周面切削加工の後に、
レンズ周面の両端エッジ部1c、1dの面取りを行う。ここで、面取りを正確に
行うには、カッタ131で周面切削した段階でのエッジ部1c、1dの位置が正
確に把握されている必要がある。つまり、ヤゲン加工後のレンズ形状が正確に把
握されていなければならない。
そのために、本レンズ加工装置10では、製作されたカッタ131を実測し、
カッタ131の形状データを、その加工公差レベルを超えた高精度の単位での実
測値による位置データとして持ち、加工時の計算に反映させるようにしているの
である。
図25は必要な実測データの例を示している。これらのデータは、ヤゲンカッ
タY1、Y2のヤゲン溝Y1a、Y1bの底部を基準にして実測した値であり、
TD1〜TD5は径変化する各ポイントの直径、TW1〜TD4は各ポイント間
の距離である。これらのデータにより、ヤゲンカッタY1、Y2の形状が、カッ
タ毎に個別に特定される。このようなデータを予めレンズ加工装置10の制御部
に入力しておくことにより、レンズの周面切削段階で、カッタ131の公差や誤
差による加工誤差までを含めてレンズ形状を把握することができる。従って、ヤ
ゲン位置を含めて、レンズ形状の精度を高めることができ、周面切削後のエンド
ミル141による面取り加工を精度良く行うことができる。
次に、測定ヘッド16のスタイラス161、162の誤差を補正する方法を説
明する。
一対のスタイラス161、162は、レンズ面に当接する先端の位置が互いに
正確に一致している、つまり、正確に同芯であることが理想であるが、現実には
必ずしも一致していない場合が想定される。そこで、レンズの加工に先立って、
予め測定原器を用いることで、2つのスタイラス161、162の「芯ずれ」量
を測定する。
図26は測定原器50の構成を示す。
測定原器50は、図26(a)に示すように、レンズホルダに相当する部分5
9と、レンズに相当する矩形状の平板部(厚み4.00mm)57とを一体に形
成したものである。レンズホルダに相当する部分59は、レンズホルダ受け12
1aの内周に嵌まる嵌合軸部53と、回り止め用切欠55を有した嵌合軸部フラ
ンジ54と、平板部57につながるフランジ56とを有している。
平板部57は、嵌合軸部53の中心軸線に対して精度良く直交するように形成
されている。平板部57の表裏面には、図26(b)に示すような、円環形のV
溝58Aと、十字形のV溝58Bがけがかれている。円環形のV溝58Aは、そ
の中心を嵌合軸部53の中心軸線に置いて所定径(通常加工する未加工レンズよ
り小さい径)でけがかれている。また、十字形のV溝58Bは、その交差点を前
記中心軸線に置いてけがかれている。ここで重要なことは、十字形のV溝58B
の一方が嵌合軸部53の回り止め用切欠55の位置と一致し、他方が回り止め用
切欠55に直交する位置と一致していることで、さらに、図26(c)に示すよ
うに、表面と裏面のV溝58A、58Bの位置が精度良く一致していることであ
る。また、V溝58A、58Bの開き角度が、精度良く所定角度(90度)に設
定されていることである。
次にこの測定原器50を用いて両スタイラス161、162の「ずれ」を計測
する手順を説明する。計測にあたり、まず、測定原器50を、レンズ保持ユニッ
ト12のレンズホルダ受け121aに、通常のレンズを固定したレンズホルダと
同様にセットする。そして、スタイラス161、162の「ずれ」を、レンズ径
方向(Y軸方向)と、上下方向に分けて計測する。
図27はY軸方向の「ずれ」を計測する場合を示している。
この場合は、円環形のV溝58Aを利用するため、平板部57をある角度だけ
回して、円環形のV溝58Aがスタイラス161、162の位置に来るようにす
る。その状態で、スタイラス161、162の各先端を、測定原器50の平板部
57の表裏面のV溝58A以外の場所に当接させる。
次に、測定原器50をY軸方向に移動して、スタイラス161、162の先端
が円環形のV溝58Aを横断するように操作する。すると、図27(b)に示す
ように、スタイラス161、162の先端が、V溝58Aのある平板部57の表
裏面をY軸方向にトレースする。その際、V溝58Aを通過する過程で、スタイ
ラス161、162は、V溝58Aの深さ方向に変位する。そこで、V溝58A
の一番深いところにスタイラス161、162の先端が当接したときのY軸方向
の測定原器50の位置を読みとる。これを各スタイラス161、162ごとに行
うと、それぞれに読みとったY軸方向の値の差が、スタイラス161、162の
Y軸方向の「ずれ」として検出されることになる。
図28は上下方向(Y軸方向と直交する方向)の「ずれ」を計測する場合を示
している。
この場合は、十字形のV溝58Aのうち1本を利用するため、平板部57をあ
る角度だけ回して、十字形のV溝58Aの1本がスタイラス161、162の高
さと同じ水平位置に来るようにする。その状態で、スタイラス161、162の
各先端を、測定原器50の平板部57の表裏面のV溝58B以外の場所に当接さ
せる。
次に、測定原器50を僅かに回して(矢印X方向に移動して)、スタイラス1
61、162の先端が、水平に位置させた十字のV溝58Aを上下方向に横断す
るように操作する。すると、図28(b)に示すように、スタイラス161、1
62の先端がV溝58Bのある平板部57の表裏面を上下方向にトレースする。
その際、V溝58Bを通過する過程で、スタイラス161、162は、前述した
のと同様に、V溝58Bの深さ方向に変位する。そこで、V溝58Bの一番深い
ところにスタイラス161、162の先端が当接したときの回転方向の測定原器
50の位置(角度)を読みとる。これを各スタイラス161、162ごとに行う
と、それぞれに読みとった回転方向の値の差が、スタイラス161、162の上
下(回動)方向の「ずれ」として検出されることになる。
このようにスタイラス161、162の「ずれ」を検出したら、その「ずれ」
に関するデータをレンズ加工装置10の制御部に入力しておく。そうすると、ス
タイラス161、162を用いてレンズ測定して得たデータを、前記の「ずれ」
を考慮して補正することができ、より精度のよい測定値を得ることができる。つ
まり、両方のスタイラス161、162の芯ずれ量を補正値として持たせること
で、スタイラス161、162で測定した測定値に反映させるのである。
補正の例としては次のような態様が考えられる。
即ち、片方のスタイラス161(162側でもよい)を基準側として決めてお
き、基準側として決めておいたスタイラス161を、正しく指令したポイントに
沿ってトレースさせる。そうすると、それと反対の非基準側のスタイラス162
は、本来と違うポイント、つまり、指令したポイントから前記「ずれ」量だけず
れたポイントをトレースすることになるが、その位置での測定データは、前記「
ずれ」量が分かっているので、レンズ設計データがあれば、演算して本来のポイ
ントにおける測定値に補正することができる。従って、このようにレンズ設計デ
ータを利用して補正することにより、精度の良い測定値を得ることができる。ま
た、Z軸方向の補正は、平板部57の厚み(4.00mm)を基準値として、両
スタイラス161、162を接近・離間して平板部57の厚みを測定することに
より、ずれ量を把握し補正する。
次に、カッタ131とエンドミル141の高さのずれを補正する方法を説明す
る。ここでは、カッタ131の中心高さが、加工するための工具の基準位置とな
っており、そのカッタ131の中心高さに対するエンドミル141の高さのずれ
を問題にしている。
エンドミル141は、カッタ131で周面研削したレンズ1の周面エッジ部1
c、1dに対し面取りを施す。あるいは、レンズ1の周面に対して溝1b(図1
7参照)を彫る。そのため、カッタ131とエンドミル141は、その中心高さ
が正確に合っているのが、精度の良い面取り加工や溝彫り加工を行う上で望まし
い。しかし、カッタ131とエンドミル141の高さを正確に揃えるには、高さ
合わせのための特別な調整機構を新たに設けなくてはならず、装置が複雑化する
という問題がある。
そこで、本加工装置10では、カッタ131とエンドミル141の高さの微妙
な「ずれ」を機械的に合わせるのではなく、予めその「ずれ」量を測定しておい
て、その「ずれ」量を補正値としてレンズ加工装置10の制御部(制御手段)1
001、1002(図20参照)に持たせることにより、容易に正確な面取り加
工や溝彫り加工ができるようにしている。つまり、測定したずれ量により、エン
ドミル141に対してレンズ1を位置制御する場合の補正データ(レンズ枠形状
補正データ)を算出し、その算出した補正データに基づいて、エンドミル141
に対するレンズ1の位置制御を行うことにより、「ずれ」がない場合と同等の加
工ができるようにしているのである。
図29はカッタ131とエンドミル141の高さの「ずれ」を計測する方法の
説明図である。
まず、図29(a)に示すように、カッタ131に対するレンズ1のY軸方向
の位置と回転角度位置を制御しながら、カッタ131で周面を削ることにより、
矩形体101を形成する。次に、エンドミル141がカッタ131と同じ高さに
あるものと仮定して、削り深さを一定に設定する以外、カッタ131による切削
時と同じ駆動条件で矩形体101を動かすことにより、矩形体101の周面にエ
ンドミル141で溝を彫る。
そうすると、カッタ131とエンドミル141が現実に同じ高さにあれば、図
29(b)に示すように、溝102の深さSFは一定になるが、カッタ131と
エンドミル141の高さが異なる場合には、図29(c)に示すように、溝10
2の深さが一定にならなくなる。これは、図29(a)に示すように、エンドミ
ル141がカッタ131の中心高さよりずれている場合、エンドミル141がカ
ッタ131と同じ高さにあるものと仮定して行った加工ポイントよりも、実際の
加工ポイントがずれてしまうことにより起こる。ここで、溝102の深さの違い
は、エンドミル141の高さの「ずれ」に比例する。従って、矩形体101の辺
の中心から一定距離だけ両端方向(角部の方向)に隔たったポイントにおける溝
102の深さSF1、SF2の差(SF2−SF1)を求めることで、エンドミ
ル141のカッタ131に対する高さの「ずれ」を換算することができる。
このようにして求めた高さの「ずれ」を制御部1001、1002(図20参
照)に補正値として持たせ、エンドミル141による溝彫り加工や面取り加工の
際の制御値にその補正値を反映させることにより、溝彫り加工や面取り加工の精
度を上げることができる。また、単に電気制御的に補正値を持たせるだけでよい
ので、高さ合わせの機械的な調整機構が不要になり、装置コストの削減も図るこ
とができる。
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は、カッタの代わりに砥石を用
いるレンズ加工装置にも適用することができる。
本発明の実施形態のレンズ加工装置の全体構成を示す斜視図である。 同加工装置の全体構成を示す平面図である。 同加工装置の全体構成を示す正面図である。 同加工装置におけるレンズ保持ユニットの詳細構成を示す平面図である。 (a)は同加工装置における切り込み動作機構部の詳細構成を示す平面図、(b)は(a)図のVb−Vb矢視図である。 同加工装置における測定ユニットの側面図であり、(a)は測定ヘッドがアンロード位置にある状態を示し、(b)はロード位置にある状態を示す。 同加工装置における測定ユニットの平面図であり、(a)は測定ヘッドがアンロード位置にある状態を示し、(b)はロード位置にある状態を示す。 同加工装置における測定ユニットの正面図である。 (a)は前記測定ヘッドの原理構成図、(b)はスタイラスの先端部の詳細を示す側面図、(c)は同正面図である。 前記測定ヘッドのスタイラスをレンズにローディングした状態を示す平面図である。 前記測定ヘッドのスタイラスをレンズにローディングした状態を示す側面図である。 同加工装置におけるカッタ回転機構部のカッタの構成を示し、(a)は半断面図、(b)は側面図、(c)はヤゲンカッタの要部拡大図である。 前記カッタでレンズを加工している状態を示す側面図である。 前記ヤゲンカッタでレンズを加工している状態を示す平面図である。 前記加工装置におけるエンドミル回転機構部のエンドミルでレンズ端面に溝彫りを行っている状態及びレンズ端面のエッジ部に面取りを行っている状態を示す平面図である。 前記エンドミルで溝彫りまたは面取りを行っている状態を示す側面図である。 (a)は同エンドミルで溝彫り及び面取りを行う場合の説明に用いる拡大図、(b)はヤゲンのある場合の面取りの説明図である。 前記加工装置におけるレンズホルダの説明図で、(a)はレンズホルダの側面図、(b)は同レンズホルダのレンズ保持面の平面図、(c)は前記レンズ保持面に形成されている微小凹凸の断面図、(d)はその微小凹凸にパッドを圧接させた状態を示す断面図、(e)は従来のレンズホルダのレンズ保持面に形成されている微小凹凸の断面図、(f)はその微小凹凸にパッドを圧接させた状態を示す断面図である。 同レンズホルダとレンズの曲率の関係による密着度の説明に用いる断面図である。 前記加工装置の電気的構成の概略を示すブロック図である。 同加工装置で行われる加工プロセスを示すフローチャートである。 同加工装置で行われるレンズ測定の補正方法の説明図である。 同加工装置で選択可能な加工工程(a)、(b)の流れ図であり、(b)の加工工程が本発明の加工方法に相当する。 図23の(b)の加工工程の説明図で、(a)はレンズの正面図、(b)はレンズの断面図である。 同加工装置で行われるカッタ形状の補正データを示す図である。 前記測定ヘッドに設けられたスタイラスの芯ずれ補正に用いる測定原器の構成図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(b)のC1−C1矢視及びC2−C2矢視部の断面図である。 測定原器によるスタイラスの芯ずれ量の求め方の説明図で、(a)は正面図、(b)は(a)のB1−B1矢視断面図である。 図27の場合と別の方向の芯ずれ量の求め方の説明図で、(a)は正面図、(b)は(a)のB2−B2矢視断面図である。 同加工装置のカッタとエンドミルの高さのずれ量の求め方の説明図で、(a)は正面図、(b)はずれがない場合の矩形体の正面図、(c)はずれがある場合の矩形体の正面図である。
符号の説明
1 レンズ
12 レンズ保持ユニット
13 カッタ回転機構部(周面加工手段)
131 カッタ(回転加工手段)
14 エンドミル回転機構部(溝彫り加工手段、面取り加工手段)
141 エンドミル
1001,1002 制御部

Claims (2)

  1. 眼鏡用の被加工レンズの周縁をレンズ枠形状データに従って
    加工するレンズ加工装置において、
    前記被加工レンズをレンズ中心部で保持し、保持した被加工レンズをレンズ中
    心回りに回転させるレンズ保持ユニットと、
    該レンズ保持ユニットに保持された被加工レンズの周面を回転加工工具により
    所定断面形状に加工する周面加工手段と、
    前記レンズ保持ユニットに保持され且つ前記周面加工手段により周面加工され
    た被加工レンズの周面にエンドミルによって溝加工を施す溝加工手段と、
    前記レンズ保持ユニットに保持された被加工レンズを前記回転加工工具及びエ
    ンドミルに対して位置調節することにより、回転加工工具及びエンドミルの被加
    工レンズに対する加工位置を制御する制御手段とを具備し、
    該制御手段が、前記エンドミルに対して被加工レンズを位置制御するとき、予
    め検出してある、被加工レンズと回転加工工具との間で規定される基準位置に対
    しての前記エンドミルのずれ量に基づいて、該ずれ量を補償するレンズ枠形状補
    正データを算出し、該補正データに基づいて被加工レンズの位置制御を行うこと
    を特徴とするレンズ加工装置。
  2. 眼鏡用の被加工レンズの周縁をレンズ枠形状データに従って
    加工するレンズ加工装置において、
    前記被加工レンズをレンズ中心部で保持し、保持した被加工レンズをレンズ中
    心回りに回転させるレンズ保持ユニットと、
    該レンズ保持ユニットに保持された被加工レンズの周面を回転加工工具により
    所定断面形状に加工する周面加工手段と、
    前記レンズ保持ユニットに保持され且つ前記周面加工手段により周面加工され
    た被加工レンズの周面とレンズ面との交差エッジ部をエンドミルによって面取り
    する面取り加工手段と、
    前記レンズ保持ユニットに保持された被加工レンズを前記回転加工工具及びエ
    ンドミルに対して位置調節することにより、回転加工工具及びエンドミルの被加
    工レンズに対する加工位置を制御する制御手段とを具備し、
    該制御手段が、前記エンドミルに対して被加工レンズを位置制御するとき、予
    め検出してある、被加工レンズと回転加工工具との間で規定される基準位置に対
    しての前記エンドミルのずれ量に基づいて、該ずれ量を補償するレンズ枠形状補
    正データを算出し、該補正データに基づいて被加工レンズの位置制御を行うこと
    を特徴とするレンズ加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013195717A (ja) * 2012-03-20 2013-09-30 Tokai Rubber Ind Ltd 帯電部材

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