JP2013195390A - タイヤ試験機の多分力計測スピンドルユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の多分力計測スピンドルユニット1は、スピンドル軸4と、スピンドル軸4を回転自在に支持するハウジング6と、タイヤ側を向くハウジング6の端部に固定されると共にスピンドル軸4に作用する荷重を計測可能な1つの多分力計測センサ9とを備え、多分力計測センサ9は、内周側の着力体13と、着力体13の外周側の固定体14と、着力体13と固定体14とを径方向に連結する複数の起歪体15と、起歪体15に設けられた歪みゲージ16とを有し、着力体13がハウジング6に連結されると共に固定体14が支持部材7に連結され、歪みゲージ16を用いてタイヤの転がり抵抗力を計測可能とされ、軸受部5で発生した熱による多分力計測センサ固定側のハウジング端部の径方向変形を抑制すべく、ハウジング6を周方向に亘って冷却する冷却手段17が設けられている。
【選択図】図1
Description
すなわち、特許文献2のタイヤ試験機は、走行ドラムの外周に試験用のタイヤを押圧接触せしめ、前記タイヤの回転軸中心に取り付けられ軸受けを介してタイヤを支承するスピンドルを備えている。そして、このスピンドルの前記タイヤから所定距離だけ離れた位置に設けた多分力検出器により、タイヤの軸重Fzところがり抵抗Fxとの関係を測定して、タイヤのころがり抵抗測定方法を実施するものである。このタイヤ試験機では、多分力計を介して支持フレームに回転しないように固定されたスピンドル軸の一方の端部に軸受けを介してタイヤが回転自在に取り付けられている。
そこで、本発明者は、多分力計の位置をタイヤに近づけ、多分力計に加わるモーメントを小さくしようとした。ところが、多分力計の位置をタイヤに近づけると、軸受部で発生する熱の影響が非常に大きくなり多分力計の精度を低下させてしまうことが分かった。そこで、本発明者は、多分力計よりも反タイヤ側のハウジング内に軸受部を設けてスピンドル軸を回転自在に支持するとともに、軸受部の潤滑油を循環させて軸受部を積極的に冷却する冷却機構を設けることを試みた。しかしながら、軸受部で発生する熱は非常に大きいため、冷却機構を設けても軸受で発生する熱の影響を十分に除去できない場合があった。さらには、熱の除去を意図し多量の潤滑油を供給すると、潤滑油が攪拌熱で加熱されてかえって軸受部で熱が発生する場合もあることが判明した。
即ち、本発明のタイヤ試験機の多分力計測スピンドルユニットは、タイヤを装着可能なスピンドル軸と、軸受部を介して該スピンドル軸を回転自在に支持するハウジングと、前記スピンドル軸の軸方向でタイヤ側を向く前記ハウジングの端部に固定されると共に前記スピンドル軸に作用する荷重を計測可能な1つの多分力計測センサと、を備え、前記多分力計測センサは、内周側に設けられた着力体と、この着力体の外周側に配備された固定体と、前記着力体と固定体とを径方向に連結する複数の起歪体と、この起歪体に設けられた歪みゲージとを有しており、前記着力体が前記ハウジングに連結されると共に前記固定体が支持部材に連結されていて、前記歪みゲージを用いてタイヤの転がり抵抗力を計測可能に構成されており、前記軸受部で発生した熱に伴って前記多分力計測センサが固定されている側のハウジング端部が径方向に変形することを抑制すべく、当該ハウジングを周方向に亘って冷却する冷却手段が設けられていることを特徴とするものである。
なお、好ましくは、前記冷媒流路は、前記ハウジングの外周面に沿って螺旋状に形成されているとよい。
なお、好ましくは、前記冷媒流路は、前記ハウジングの軸方向で前後に2分割されているとともに当該ハウジングの前半部と当該ハウジングの後半部に、それぞれ独立して形成されていて、それぞれの冷媒流路により、ハウジング前半部とハウジング後半部とが個別に冷却可能とされているとよい。
図1(a)及び図1(b)は、本実施形態に係る多分力計測スピンドルユニット1が設けられたタイヤ試験機2を模式的に示している。
図2は、本発明の多分力計測スピンドルユニット1を模式的に示したものである。
図2に示すように、本実施形態の多分力計測スピンドルユニット1は、軸心が水平方向を向く長尺棒状のスピンドル軸4を備えている。スピンドル軸4の一端側(図2の左側)には図示しないリムを介してタイヤTが取り付けられている。スピンドル軸4は、ハウジング6に対して回転自在となっている。
上述したハウジング6の前端面と支持フレーム7の前端面との間には、両面に跨るようにして1つの多分力計測センサ9(ロードセル)が配備されている。具体的には、ハウジング6の前端面と支持フレーム7の前端面との間には、両部材を連結するように、多分力計測センサ9が配備される。
多分力計測センサ9は、その中央部にリング形状の着力体13を有している。このリング形状に形成された着力体13の開口中央をスピンドル軸4が遊嵌状態で貫通している。
図3(a)及び図3(b)に示すように、本実施形態のロードセル9では起歪体15の太さは等しく形成しているが、特に、上述した6分力のなかでも転がり抵抗fxはタイヤTの特性を評価する上で重要であるため、本発明の多分力計測スピンドルユニット1においては、上下方向に伸びる起歪体15の薄肉部分を左右方向に伸びる起歪体15の薄肉部分より細く(薄く)形成してもよい。このようにすれば、従来のように全ての起歪体15を同一で太く形成する場合と比べて、x方向に小さな荷重が加わった場合においても上下方向に伸びる起歪体15が変形し易く、転がり抵抗fxを高感度に計測することができるようになる。つまり、本発明の多分力計測スピンドルユニット1では、高感度な細い起歪体を採用して、タイヤの転がり抵抗を高感度に測定するに好適な試験装置とすることができる。
ところで、上述した特許文献2のタイヤ試験機においては、スピンドル軸(5:括弧内の符号は特許文献2における符号を参考として示したもの。)は軸心方向にある程度の長さを備えているので、このようなスピンドル軸(5)の一方の端部に押し付け方向(軸垂直方向)に荷重を作用させ、スピンドル軸(5)の他方の端部で力やモーメントなどを計測しようとすると、多分力計測センサ(4)に大きなモーメントが作用する。それゆえ、このようなタイヤ試験機に用いる多分力計測センサ(4)に関しては、作用する大きなモーメントに耐えるために太い起歪体などが採用されており、微小な力変化まで検出できず検出精度を犠牲にするものとなっていた。
具体的には、図2に示すように、この冷却手段17は、外側からハウジング6に対して冷媒を送り込んで、ハウジング6を内部から直接冷却する構成となっている。冷媒は、ハウジング6の外周面に沿ってハウジング6の周方向および軸方向に亘って形成された冷媒流路18、より具体的にはハウジング6の軸心の回りを螺旋状に複数回に亘って周回するように形成された冷媒流路18を経由して流通し、ハウジング6自体を周方向及び軸方向に亘って可及的に均等な温度となるように冷却するものとなっている。
図2に示すように、本実施形態の多分力計測スピンドルユニット1では、ハウジング6は、軸方向にほぼ同じ設置長さとなる前後で別系統の冷媒流路18を備えた構造となっている。
例えば、ハウジング前半部(以下、単に前半部という。)6Fにおいては、その外周面に軸方向に沿って(前半部6Fの前端側から後端側にかけて)螺旋状の溝18Fが周回形成されている。この螺旋状の溝18Fは前半部6Fの前端側から後端側へ交差することなく1条のまま連続して形成されており、この1条の螺旋状の溝18Fが冷媒流路18とされている。なお、冷媒流路18を形成する螺旋状の溝18Fは、1条に限定されず、2条以上であってもよい。また、冷媒流路18は、多分力計測センサが固定されている側のハウジング端部が熱で径方向に変形することを抑制すべく、ハウジング6を周方向に亘って冷却するものであれば外周面に沿ってどのような位置に設けられていても良いが、少なくとも前半部6Fに配備される軸受部5を外套する位置に形成されることが好ましく、前半部6Fとハウジング後半部6R(以下、単に後半部という。)に配備される軸受部5を外套する位置にそれぞれ別系統で形成されることがより好ましい。さらに前半部6Fと後半部6Rにそれぞれ別系統で形成される冷媒流路18は、それぞれ対応する前半部6Fと後半部6Rの軸方向の略全域に亘って形成されることがより好ましく、それにより冷媒流路18がハウジング6の軸方向の略全域に亘って形成されることになる。
つまり、後半部6Rにおいては、その外周面に沿って、後半部6Rの後端側から前端側にかけて螺旋状の溝18Rが形成されている。そして、この1条の螺旋状の溝18Rが上述した冷媒流路18とされている。後半部6Rの外周面側に形成された冷媒流路18(18R)の前端および後端は、後半部6Rの周壁内部を連通する連通流路(第3連通流路21、第4連通流路22)により、ハウジング6の外部と繋がっている。
すなわち、図4に示すように、上述したハウジング6を、円筒状のハウジング本体24と、このハウジング本体24に外套する円筒状で薄肉の外殻体25と、から構成するとよい。その上で、ハウジング本体24の外周面に軸心方向に沿って螺旋周回状の溝を加工する。このとき加工される溝の幅や深さ、ピッチなどは、ハウジング6の大きさや冷却能に応じて適宜変更可能である。その後、ハウジング本体24に外殻体25を嵌め込み、溝の開口を外殻体25で被覆する。その際、必要に応じてハウジング本体24と外殻体25との間に両者の端部をシールするシール部材を設けてもよく、ハウジング本体24に外殻体25を溶接して両者の端部をシールしてもよい。このようにすることで、ハウジング6の外周面(正確には、表面直下の内部)に沿って冷媒流路18を形成することができる。
上述したようにハウジング6には、多分力計測センサ9が固定されている側の端部が径方向に変形することを抑制すべくハウジング6を周方向に亘って冷却する手段を設けられている。より具体的には、ハウジング6には、冷媒流路18が、少なくとも多分力センサ9が固定されている側のハウジングの前半部を周方向および軸方向に亘って形成されるように、ハウジングの外周面に沿って螺旋状に複数回に亘って周回するように配備されている。このような冷媒流路に冷媒を流通させることで、少なくとも多分力センサ9が固定されている側のハウジング6の端部の周方向の温度ムラを抑制することができる。その結果、多分力計測センサ9が固定されている側のハウジング6の端部において周方向の一部だけが他の部分に比べて高温になること(周方向の大きな温度差)がなくなり、多分力計測センサ9が固定されている側のハウジング6の周方向の一部だけが径方向に向かって伸びることがなくなる。つまり、このハウジング6に連結された多分力計測センサ9にもその伸びの差に起因する誤差成分が作用することもなくなる。それゆえ、軸受部5で発生した熱によるハウジング端部の歪が原因で多分力計測センサ9の精度が低下することもない。
また、冷媒流路18をハウジング前半部6Fとハウジング後半部6Rとに軸心方向に2分割しておいて、それぞれ独立した冷媒流路18に対して個別に冷媒を供給すれば、ハウジング6の発熱状況に合わせてハウジング前半部6Fとハウジング後半部6Rをそれぞれ独立に冷却することが可能となる。例えば、スピンドル軸4に加わる力の分布や軸受部5の配置によっては、ハウジングの前側部分がハウジングの後側部分より大きく発熱する場合が考えられる。このような場合、ハウジングの前側部分(前半部6F)を流通する冷媒の流量をハウジングの後側部分(後半部6R)のものより大きくすることで、発熱の大きいハウジング6の前側部分を効果的に冷却することができ、多分力計の精度低下をより確実に防止することが可能となる。
また、上述した多分力計測センサ9は、6分力計以外のもの、すなわち3分力計でも5分力計でも良い。今回開示された実施形態においては、ハウジングの後側の軸部のシールについては特に説明していないが、ハウジングの後側の軸シールと同様の非接触シール(ラビリンスシール)を設けることができる。このようにすれば、ハウジングの後側のシール部の温度変化に伴うシール抵抗変化に起因する測定誤差を無くすことができる。
2 タイヤ試験機
3 回転ドラム
4 スピンドル軸
5 軸受部
6 ハウジング
6Fハウジング前半部
6Rハウジング後半部
7 支持フレーム(支持部材)
8 収容部
9 多分力計測センサ
10 スペーサ
11 エア配管
12 非接触シール
13 着力体
14 固定体
15 起歪体
16 歪ゲージ
17 冷却手段
18 冷媒流路
19 第1連通流路
20 第2連通流路
21 第3連通流路
22 第4連通流路
24 ハウジング本体
25 外殻体
T タイヤ
Claims (5)
- タイヤを装着可能なスピンドル軸と、軸受部を介して該スピンドル軸を回転自在に支持するハウジングと、前記スピンドル軸の軸方向でタイヤ側を向く前記ハウジングの端部に固定されると共に前記スピンドル軸に作用する荷重を計測可能な1つの多分力計測センサと、を備え、
前記多分力計測センサは、内周側に設けられた着力体と、この着力体の外周側に配備された固定体と、前記着力体と固定体とを径方向に連結する複数の起歪体と、この起歪体に設けられた歪みゲージとを有しており、
前記着力体が前記ハウジングに連結されると共に前記固定体が支持部材に連結されていて、前記歪みゲージを用いてタイヤの転がり抵抗力を計測可能に構成されており、
前記軸受部で発生した熱に伴って前記多分力計測センサが固定されている側のハウジング端部が径方向に変形することを抑制すべく、当該ハウジングを周方向に亘って冷却する冷却手段が設けられていることを特徴とするタイヤ試験機の多分力計測スピンドルユニット。 - 前記冷却手段は、前記ハウジングの外周面に沿って、ハウジングの周方向および軸方向に亘って形成された冷媒流路を備えており、
前記冷媒流路に沿って冷却用の冷媒を流通させることで、ハウジングを冷却するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験機の多分力計測スピンドルユニット。 - 前記冷媒流路は、前記ハウジングの外周面に沿って螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ試験機の多分力計測スピンドルユニット。
- 前記冷媒流路は、螺旋状に複数回に亘って周回するように配備されていることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ試験機の多分力計測スピンドルユニット。
- 前記冷媒流路は、前記ハウジングの軸方向で前後に2分割されているとともに当該ハウジングの前半部と当該ハウジングの後半部に、それぞれ独立して形成されていて、
それぞれの冷媒流路により、ハウジング前半部とハウジング後半部とが個別に冷却可能とされていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のタイヤ試験機の多分力計測スピンドルユニット。
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