JP2013194587A - 内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置 - Google Patents

内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸気系の物理モデルによりシリンダ内に実際に吸入される空気量を高精度に推定することのできる内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を得る。
【解決手段】体積効率相当値を、燃焼後の排気ガスがシリンダ内から排気管に排出されずにシリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率(吸気管内圧の1次関数)と、吸気管から、前記残留ガス分を除いたシリンダ内に入る空気量を示す指標である吸気効率(吸気管内圧の1次関数)と、に基づいて算出することにより、少ない適合定数で高精度に推定する。
【選択図】図14

Description

この発明は、可変動弁機構が設けられた内燃機関の制御装置に関し、詳細には、シリンダ吸入空気量を高精度に算出するための内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置に関するものである。
一般に、エンジンを好適に制御するためには、シリンダ(気筒)に吸入される空気量を高精度に算出し、シリンダ内に吸入された空気量に応じた燃料制御および点火制御を行うことが重要である。
従来から、内燃機関のシリンダに吸入される空気量を計測するために、エンジンの吸気管のスロットル上流部に設けられたエアフロセンサ(Air Flow Sensor)(以下、「AFS」という)を用いて吸入空気量を計測する技術(AFS方式)が知られている。
また、スロットル下流のサージタンクおよびインテークマニホールドを含む部分(総称して、「インマニ部」という)内の圧力を計測する圧力センサ(以下、インマニ圧センサ)を設け、インマニ圧センサにより計測されるインマニ圧と、別途に計測されるエンジン回転速度とにより、シリンダに吸入される空気量を推定する技術(S/D方式:Speed Density方式)も知られている。
さらに、上記2つのセンサを併用して、運転状態に応じてAFS方式とS/D方式とを切換える技術や、AFS方式であってもインマニ圧を計測する技術も知られている。
近年では、さらなる低燃費化および高出力化のために、吸気バルブのバルブ開閉タイミングを可変可能とした可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing)(以下、「VVT」という)として、吸気VVTを備えたエンジンが一般的になっている。さらに、吸気バルブのみならず排気バルブにも吸気VVTを備えた吸排気VVTが採用されることも多い。
このような吸排気VVTを備えたエンジンにおいては、インマニからシリンダに吸入される空気量が、バルブタイミングに依存して大きく変化するので、バルブタイミングによる影響を考慮しないと、AFS方式においては、過渡運転領域(加減速時など)でシリンダへの吸入空気量の算出精度が低下し、S/D方式においては、定常運転領域および過渡の全運転領域でシリンダへの吸入空気量の算出精度が低下してしまう。
そこで、吸排気VVTを備えたエンジンにおいても、シリンダへの吸入空気量を高精度に算出するために、AFS方式において質量保存則、エネルギー保存則、運動量保存則などの物理法則に基づいて得られた式により吸気通路、吸気バルブ、排気バルブなどの吸排気系における空気の挙動を表す物理モデルを構築し、この物理モデルを用いることにより、シリンダへの吸入空気量を推定する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、質量保存則のみならず、エネルギー保存則や運動量保存則などの物理法則に基づいて得られた式(特許文献1の段落[0072]〜[0188]参照)を所定の時間間隔ごとに演算することにより、吸気バルブおよび排気バルブを通過してシリンダに吸入される空気量を算出しているので、膨大な演算が必要になるという問題がある。
特に、近年では、エンジン制御ユニット(以下、ECU:Engine Control Unit)で用いられるマイクロコンピュータの高速化が進んでいるものの、同時に、空気量の推定処理以外の各種処理内容も複雑化しているので、空気量の推定のみに膨大な演算負荷を割くことは困難であるという問題がある。
また、特許文献1に記載のモデルには、定圧比熱や定容比熱のような物性値のみならず、流量係数のように適合が必要となる係数も多く、さらには、実際の値に適合させるために、厳密な計測値を得ることが困難な瞬時的圧力や瞬時的温度を高精度に算出する必要があるので、適合に必要な工数も膨大な量になるうえ、物理モデルの検証自体が困難であるという問題もある。
そこで、単純化した物理モデルとして、AFS方式において質量保存則のみから吸気系をモデル化する技術も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の技術においては、インマニからシリンダに入る空気の体積効率相当値(体積効率補正係数Kv)を用いることにより、エネルギー保存則や運動量保存則などの複雑な演算を行うことなく、より単純な物理モデルで、エンジンを好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定している(段落[0023]、[0024]、[0038]〜[0042]参照)。
なお、体積効率補正係数Kvは、吸排気VVTを備えていないエンジンにおいて、エンジン回転速度およびインマニ圧を軸とする1つのマップとして記憶されている。
また、特許文献2には、VVT機構を備えたエンジンに適用した構成例(段落[0067]〜[0071]参照)が記載されているが、この構成例においては、体積効率補正係数マップを可変動弁の作動状態ごとにマップとして記憶しておく必要がある。
具体的には、たとえば、作動範囲を6個の代表点で表し、各代表点の間を補間して使用する場合に、吸気VVTのみのシステム構成であれば、6個の体積効率補正係数マップが必要になり、吸排気VVTのシステム構成であれば、6×6=36個の体積効率補正係数マップが必要となってしまう。
よって、特許文献2の上記構成例の場合、吸気VVTのみのシステム構成では、実用範囲内と考えられるが、吸排気VVTのシステム構成では、体積効率補正係数マップ数が膨大になるので、適合やデータ設定において多大な工数が必要になるとともに、ECUのマイクロコンピュータに必要なメモリ容量も膨大となってしまうという問題がある。
一方、S/D方式における単純化した物理モデルも提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
特許文献3には、インマニ圧MAPと体積効率VEとシリンダ体積Vと温度Tからシリンダ内に吸入される空気量が算出されることが示されている(段落[0003]、[0004]、[数1]参照)。
なお、特許文献3に記載の[数1]と、特許文献2に記載の[数2]は、いわゆる理想気体の状態方程式(P=ρRT、P:圧力、ρ:密度、R:気体定数、T:温度)の関係を考慮すると、同じ内容を意味しており、特許文献3に記載の体積効率VEは、特許文献2に記載の体積効率補正係数Kvと同様のものと考えられる。
よって、特許文献3においては、エンジン弁タイミングなどのエンジンパラメータが変化しない前提であるが、仮に、特許文献3のS/D方式に可変動弁を適用した場合には、結局、特許文献2と同様に、体積効率VEのマップ数が膨大になるので、適合やデータ設定において多大な工数が必要になるとともに、ECUのマイクロコンピュータに必要なメモリ容量も膨大となってしまうという問題がある。
すなわち、可変動弁機構が設けられた内燃機関において、インマニからシリンダ内に入る空気量を示す指標である体積効率相当値を用いた吸気系の物理モデルにより、シリンダ内に実際に吸入される空気量を推定する場合に、可変動弁機構の実バルブタイミングに応じて体積効率相当値が変化するので、体積効率相当値を高精度に算出するには、バルブタイミングに応じて体積効率相当値を適合しておく必要があり、これを記憶しておくマップが膨大な数になってしまう。
特開2006−37911号公報 特開2008−138630号公報 特開平08−303293号公報
従来の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、AFS方式およびS/D方式のいずれにおいても、体積効率補正係数を正確に算出することができれば、単純化した物理モデルによりエンジンを好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定することができるものの、吸排気VVTを備えたエンジンにおいて正確な体積効率補正係数を推定するには、体積効率補正係数マップ数が膨大になるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、特許文献1のような吸排気系の複雑な物理モデルによる膨大な演算負荷を不要として、特許文献2、3のように吸気系の単純化した物理モデルを使用するとともに、さらに、単純化した物理モデルにて使用する体積効率補正係数を近似的に算出することにより、膨大なメモリ容量を必要とせずに、少ない適合定数と少ない演算負荷で、エンジンを好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定することのできる内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を得ることを目的とする。
この発明に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、スロットルバルブの下流側の吸気管に設けられた内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定するために、吸気管からシリンダ内に入る空気量を示す指標である体積効率相当値を算出する体積効率相当値算出手段と、体積効率相当値を用いてシリンダ内に実際に吸入される空気量を推定するシリンダ吸入空気量推定手段と、を備えた内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、体積効率相当値算出手段は、燃焼後の排気ガスがシリンダ内から排気管に排出されずにシリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率と、吸気管からの、残留ガス分を除いてシリンダ内に入る空気量を示す指標である吸気効率と、に基づいて体積効率相当値を算出するものである。
この発明によれば、吸気系の単純化した物理モデルと、単純化した物理モデルにて使用する体積効率補正係数とを近似的に算出することにより、膨大なメモリ容量を必要とせずに、少ない適合定数および少ない演算負荷で、エンジンを好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定することができる。
この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を概略的に示す構成図である。 この発明の実施の形態1によるエンジンおよびエンジン制御部を概略的に示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1によるシリンダ吸入空気量の算出処理を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による排気バルブの閉成時、新気吸入開始時および吸気行程終了時における気筒内の状態を模式的に示す説明図である。 この発明の実施の形態1による筒内圧と筒内容積との関係(P−V線図、両対数表示)の一例を示す説明図である。 この発明の実施の形態1によるインマニ圧ピーク値と吸気行程終了時の筒内圧との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1によるインマニ圧ピーク値と排気効率との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による所定の吸気VVTの位相角において、排気VVTの位相角が変化した場合におけるインマニ圧ピーク値と排気効率との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による吸気VVTの位相角および排気VVTの位相角が変化した場合におけるインマニ圧ピーク値と排気効率との関係を線形近似した説明図である。 この発明の実施の形態1による排気効率の算出値と線形近似値との誤差を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による排気効率の算出部を示す機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1による内部EGR率および吸気効率の算出部を示す機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1による体積効率補正係数の算出部を示す機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1による体積効率補正係数算出手段の全体構成を示す機能ブロック図である。 この発明の実施の形態2に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を概略的に示す構成図である。 この発明の実施の形態2によるエンジンおよびエンジン制御部を概略的に示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態2によるシリンダ吸入空気量の算出処理を示すフローチャートである。
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を概略的に示す構成図であり、図2はこの発明の実施の形態1によるエンジンおよびエンジン制御部を概略的に示すブロック構成図である。
図1において、内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、エンジン1に関連した各種センサと、各種センサに接続された電子制御ユニット20とにより構成されている。以下、電子制御ユニット20を、ECU20(Electric Control Unit)と略称する。
ECU20は、各種センサおよび各種アクチュエータとともにエンジン制御装置を構成しており、エンジン1の運転状態を示す各種センサからの検出情報に基づき、エンジン1の各種アクチュエータを制御する。
エンジン1の吸気系の上流側には、エンジン1への吸入空気量を測定するAFS2が設けられており、AFS2の下流側(エンジン1側)には、吸入空気量を調整するための電子制御スロットル4が設けられている。
電子制御スロットル4には、電子的に開度を制御するためのスロットルアクチュエータと、電子制御スロットル4の開度を測定するためのスロットル開度センサ3とが設けられている。
電子制御スロットル4の下流側には、エンジン1内に空気を導入するための吸気管(インマニ部)として、サージタンク5およびインテークマニホールド6が設けられている。
吸気管を構成するインテークマニホールド6は、吸気バルブを介して、エンジン1のシリンダ内の燃焼室と連通している。
一方、エンジン1の下流側には、シリンダ内で燃焼した排気ガスを排出するための排気管として、エキゾーストマニホールド13が設けられている。
エキゾーストマニホールド13は、排気バルブを介して、エンジン1のシリンダ内の燃焼室と連通している。また、図示しないが、エキゾーストマニホールド13には、空燃比制御用のO2センサや、排気ガス浄化用の触媒が設けられている。
電子制御スロットル4の下流側の吸気管には、サージタンク5およびインテークマニホールド6内を含む空間(インマニ)の圧力(インマニ圧)を測定するインマニ圧センサ7と、インマニ内の温度(インマニ温Tb)を測定する吸気温センサ8と、が設けられている。
なお、インマニ圧を測定するインマニ圧センサ7に代えて、インマニ圧を推定する手段を設けてもよく、また、インマニ温Tbを計測する吸気温センサ8に代えて、近似的に外気温度(厳密にはインマニ温Tbとは異なるが)を計測する温度センサ(たとえば、AFS2に内蔵されている温度センサ)を設けてもよい。
インテークマニホールド6の吸気バルブ近傍には、燃料を噴射するためのインジェクタ9が設けられ、吸気バルブおよび排気バルブには、バルブタイミングを可変するための吸気VVT10および排気VVT11がそれぞれ設けられている。
また、シリンダヘッドには、シリンダ内で火花を発生させる点火プラグを駆動するための点火コイル12が設けられている。
図2において、ECU20は、シリンダ吸入空気量算出手段21を備えており、さらにシリンダ吸入空気量算出手段21は、体積効率補正係数算出手段22を備えている。
なお、体積効率補正係数算出手段22は、体積効率補正係数Kvの算出部のみならず、後述するように、内部EGR率Regrを算出する内部EGR率算出部の機能を有している。
ECU20には、前述の各センサ2、3、7、8に加えて、大気圧センサ14が接続されており、ECU20には、AFS2で測定された吸入空気量と、スロットル開度センサ3で測定された電子制御スロットル4の開度と、インマニ圧センサ7で測定されたインマニ圧と、吸気温センサ8で測定されたインマニ温Tbと、大気圧センサ14で測定された大気圧と、が入力される。
なお、大気圧を測定する大気圧センサ14に代えて、大気圧を推定する手段を用いてもよく、ECU20に内蔵された大気圧センサを用いてもよい。
また、ここでは図示しない他の各種センサ(アクセル開度センサやクランク角度センサなど)からも、ECU20に各種測定値が入力される。
ECU20内のシリンダ吸入空気量算出手段21は、物理モデル(後述する)を含み、AFS2で測定された吸入空気量からシリンダ吸入空気量を算出し、ECU20は、算出されたシリンダ吸入空気量に基づき、インジェクタ9および点火コイル12を駆動する。
また、ECU20は、アクセル開度などの各種入力情報に基づき目標トルクを算出し、算出された目標トルクを達成するための目標シリンダ吸入空気量を算出し、目標シリンダ吸入空気量を達成するための制御目標値として、目標スロットル開度、目標吸気VVT位相角および目標排気VVT位相角を算出し、これらの制御目標値を達成するように電子制御スロットル4の開度と、吸気VVT10および排気VVT11の位相角とを制御する。また、ここでは図示しない他の各種アクチュエータも、必要に応じて制御する。
次に、シリンダ吸入空気量算出手段21の機能、すなわちAFS2にて計測される吸入空気量からシリンダ吸入空気量を算出するための吸気系の物理モデルについて詳細に説明する。
まず、エンジン1の行程数nの関数として、各パラメータQa(n)、Qc(n)、T(n)[s]、Vs[cm^3]、Vc[cm^3]、ρb(n)[g/cm^3]およびKv(n)を、以下のように定義する。
Qa(n)は、AFS2で測定された実吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値、Qc(n)は、シリンダ吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値であり、T(n)[s]は、1行程(4気筒エンジンでは、180degCA、3気筒エンジンでは、240degCA)間の時間である。
また、Vs[cm^3]は、電子制御スロットル4の下流側から各シリンダ入口までの吸気管容積、Vc[cm^3]は、1気筒当りのシリンダ行程容積であり、ρb(n)[g/cm^3]は、インマニ内の新気密度の1行程間の平均値である。
さらに、Kv(n)は、インマニからシリンダに入る空気の体積効率補正係数である。
電子制御スロットル4の下流側からエンジン1の各シリンダ入口までの吸気管容積Vsで示される領域において、新気(電子制御スロットル4を経由してインマニに入る空気)のみに着目して質量保存則を適用すると、以下の式(1)が成立する。
Figure 2013194587
次に、1行程間のシリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)は、体積効率補正係数Kv(n)を用いれば、以下の式(2)で表される。
Figure 2013194587
なお、定常運転時には、実吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値Qa(n)と1行程間の時間T(n)との積Qa(n)T(n)と、シリンダ吸入空気量[g/s]の1行程間の平均値Qc(n)と1行程間の時間T(n)との積Qc(n)T(n)とが等しくなることから、式(2)の左辺をQa(n)T(n)に置き換えた式により、エンジン制御定数の適合時に、体積効率補正係数Kvを算出することは可能である。
次に、式(2)を式(1)に代入して、インマニ内の新気密度の1行程間の平均値ρb(n)を消去し、Qc(n)T(n)について解くと、Qc(n)T(n)は、以下の式(3)で表される。
Figure 2013194587
ただし、式(3)において、Kはフィルタ定数である。
式(3)により、AFS2にて計測される吸入空気量Qa(n)T(n)から、シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)を高精度に算出することができる。
式(3)をさらに変形すると、以下の式(4)が得られる。
Figure 2013194587
式(3)は、エンジン1の回転と同期する(たとえば、所定クランク角度ごとの)割込み処理において、デジタルローパスフィルタを意味する。このことから、エンジン1の吸気系は、1次遅れ要素であることが分かる。
次に、図3に示すフローチャートを参照しながら、式(3)をECU20内で実現するための処理、すなわち、シリンダ吸入空気量算出手段21を所定クランク角度ごとの割込み処理内で実行する動作について詳細に説明する。
ここでは、所定クランク角度ごとの割込み処理を、たとえばBTDC5degCA割込み処理(以下、「B05処理」という)とする。
図3はこの発明の実施の形態1によるシリンダ吸入空気量の算出処理を示すフローチャートである。
図3において、ECU20内のシリンダ吸入空気量算出手段21は、まず、1行程間の実吸入空気量Qa(n)T(n)[g]を算出する(ステップ301)。
具体的には、AFS2が質量流量計である場合には、AFS2の出力電圧を、たとえば1.25msごとにサンプリングしながら積算していき、前回の割込み処理から今回の割込み処理までの間の積算値から、1行程間の実吸入空気量Qa(n)T(n)[g]を算出することができる。
なお、AFS2が体積流量計の場合には、標準大気密度、大気圧および吸気温に基づき体積を質量に変換することにより、算出することができる。
次に、シリンダ吸入空気量算出手段21内の体積効率補正係数算出手段22は、体積効率補正係数Kv(n)を算出する(ステップ302)。なお、体積効率補正係数Kv(n)の算出処理の詳細については後述する。
続いて、シリンダ吸入空気量算出手段21は、式(3)内のフィルタ定数Kの算出式にしたがい、フィルタ定数Kを算出する(ステップ303)。
次に、シリンダ吸入空気量算出手段21は、式(3)内のフィルタ演算式にしたがい、実シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)[g]を算出する(ステップ304)。
なお、式(3)内の1行程前(前回)の体積効率補正係数Kv(n−1)については、ステップ302での1行程前の体積効率補正係数Kv(n−1)を記憶しておき(ステップ305)、この前回値を用いることにより、ステップ304の処理を可能にしている。
最後に、シリンダ吸入空気量算出手段21は、ステップ304で算出された実シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)[g]を格納して(ステップ306)、図3の処理ルーチンを終了する。
なお、ステップ306での1行程前(前回)の実シリンダ吸入空気量Qc(n−1)T(n−1)[g]を記憶しておき(ステップ307)、この前回値を式(3)内のパラメータとして用いることにより、ステップ304の処理を可能にしている。
このように、体積効率補正係数Kv(n)を用いた単純な演算により、高精度に実シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)[g]を算出することができる。
次に、シリンダ吸入空気量算出手段21内の体積効率補正係数算出手段22の処理として、まず、体積効率補正係数Kvの近似処理について説明する。
前述の通り、体積効率補正係数Kvは、インマニからシリンダに入る空気の体積効率相当値であり、一般的な固定バルブタイミングのエンジンであれば、パーシャル(部分負荷)域では、約60〜80%程度、WOT(Wide Open Throttle、全負荷)域では、80〜90%程度の値となるが、吸気VVT10および排気VVT11を備えた可変バルブタイミングのエンジン1では、バルブタイミングに応じて、さらに大きな範囲で変化する。
このように、運転状態に応じて体積効率補正係数Kvが変動する要因として、以下の(A)〜(E)が考えられる。
(A)バルブの開口時間が短い
吸気/排気バルブの動作期間は限られる(約180[degCA]程度)ので、隙間容積分を残して排気が終了する前に、また、行程容積分の新気(吸気管を通して吸入される燃焼前の空気)を吸入する前に、空気流動の途中でバルブが閉じてしまう。
(B)吸気/排気バルブの隙間が狭い
吸気/排気バルブのリフト分しか開口面積がないので、気筒内から排出される排気ガスの流量、気筒内に吸入される新気の流量が所定流量に制限されてしまう。
(C)残留ガスの影響
排気バルブの閉成後に気筒内に残っていたガスや、内部EGR(吸気ポートに流出した残留ガス)が、気筒内で膨張してインマニ圧以下になるまでは吸気バルブ側から新気を吸入しない。
(D)吹き返しの影響(オーバーラップ域およびパーシャル域)
パーシャル域のオーバーラップ時は、「インマニ圧<筒内圧」となり、吹き返し(気筒内から吸気ポートへの内部EGRの流出)が発生し、この吹き返した分を再吸入するまで新気は吸入されない。
(E)吹き抜けの影響(オーバーラップ域およびWOT域)
インマニ内では、吸気バルブ開閉の影響により常時圧力脈動が発生しており、WOT域のオーバーラップ中のタイミングで、「インマニ圧(ポート部圧力)>筒内圧」となった場合には、吹き抜け(気筒内の残留ガスを新気が押し出すことにより、新気量が増大して内部EGR量が低下すること)が発生する。
このように、運転状態に応じて体積効率補正係数Kvが変動する要因(A)〜(E)を、厳密な物理モデルで表そうとすると、前述の特許文献1の場合のように膨大な演算が必要になる。
また、通常検討し得る厳密な物理モデルと、エンジン試験より採取した実験データとに基づく検討によっても、厳密な物理モデルとして解く場合には、未知の物理量が多いことから良好な結果を得ることはできない。
そこで、この発明の実施の形態1においては、排気終了時点および吸気終了時点の気筒内状態のみに着目し、より単純な物理モデルを構築した。
以下、この発明の実施の形態1による単純な物理モデルについて詳細に説明する。
この発明の実施の形態1においては、排気終了時点(排気バルブの閉成時)における燃焼後の排気ガスが、シリンダ内からエキゾーストマニホールド13(排気管)に排出されずにシリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率と、吸気終了時点(吸気バルブの閉成時)における、吸気管からの、残留ガス分を除いてシリンダ内に入る新気量を示す指標である吸気効率とに基づいて、体積効率補正係数Kvを算出する。
なお、このように、排気終了時点および吸気終了時点の気筒内状態を考慮することにより、上記要因(A)〜(E)のうち、(D)吹き返しの影響および(E)吹き抜けの影響を、(C)残留ガスの影響の要因中に含めることができるので、物理モデルを単純化することができる。
次に、図4を参照しながら、エンジン1の排気/吸気行程時の気筒内状態について説明する。
図4はこの発明の実施の形態1による気筒内の状態を模式的に示す説明図であり、図4(a)は排気バルブの閉成時、図4(b)は新気吸入開始時、図4(c)は吸気行程終了時における状態をそれぞれ示している。
まず、図4(a)に示す排気バルブ閉成時の気筒内状態について説明する。
設計上の排気バルブ閉タイミングの前後において、排気ポート側に排気の流出が完全に停止するタイミング(有効排気バルブの閉成時)がある。
この有効排気バルブの閉成時で気筒内に残る残留ガスの圧力も、排気ポート側の圧力すなわち排圧Pex(≒大気圧Pa)とは厳密には異なるので、有効排気バルブ閉成時の筒内容積Vexo[cm^3]および筒内圧Pexoを定義する。
なお、以降の議論において、未知量が多いと扱いにくいので、内部EGRが断熱圧縮または断熱膨張により排圧と等しくなる時点での内部EGR容積を、見なし内部EGR容積Vex[cm^3]と定義する。
また、有効排気バルブ閉成時の筒内圧を、見なし筒内圧Pex(=排圧≒大気圧Pa)と定義し、有効排気バルブ閉成時の筒内温度を、見なし筒内温度Tex(=排気温度)と定義する。以下、排気温度Texを省略して「排温Tex」ともいう。
さらに、気筒内最大容積(下死点での容積)Vmax[cm^3]および隙間容積(上死点での容積)Vmin[cm^3]を定義する。
次に、図4(b)に示す新気吸入開始時の気筒内状態について説明する。
吸気行程において、気筒内に残る内部EGRが膨張してインマニ圧Pb以下になるまでは、新気を吸入しないと考えられるので、新気吸入開始時(筒内圧がインマニ圧と等しくなった時点)での、内部EGRが占める筒内容積Vegroは、ポリトロープ(polytrope)数nを用いて、以下の式(5)で表される。
Figure 2013194587
しかしながら、式(5)で示される状態は、新気吸入前の状態であり、実際の新気吸入後の吸気行程終了時での気筒内状態とは、温度、圧力および密度がともに異なる値となるので、このまま吸気行程終了時に内部EGRが占める容積と考えることはできない。
そこで、図4(c)に示すように、吸気行程終了時の下死点において、内部EGRスが占める容積を算出する。なお、図4(c)において、「@Tegr」は、「断熱膨張した後の残留ガス温度Tegrにおける容積値」を示し、「@Tin」は、「吸気行程終了時の筒内温度Tinにおける容積値」を示している。
内部EGR(Vex、Pex、Tex)が断熱膨張して吸気行程終了時の筒内圧Pinになった時点での内部EGR容積Vegr(図4(c)の左側参照)は、以下の式(6)で表される。
Figure 2013194587
また、断熱膨張した後の残留ガス温度Tegr(図4(c)の左側参照)を考慮すると、以下の式(7)で表される。
Figure 2013194587
さらに、新気により冷却され、筒内圧は一定で温度のみが変化して吸気行程終了時の筒内温度Tin[°K]になった時点での内部EGR容積Vegr’(図4(c)の右側参照)を考慮すると、ボイル・シャルルの法則より、以下の式(8)のように算出することができる。
Figure 2013194587
このように、見なし残留ガス容積Vexを温度補正した内部EGR容積Vex’が新気吸入後の見なし残留ガス容積(補正後見なし残留ガス容積)となる。
以上のことから、吸気行程終了時に最終的に吸入されている実新気容積Vnew’(図4(c)の右側参照)は、以下の式(9)で表される。
Figure 2013194587
次に、気筒内に吸入される新気量について考慮する。
まず、図4(c)において、吸気行程終了時の気筒内密度ρin(n)[g/cm^3]および吸気行程終了時の筒内圧Pin(n)[kPa]を定義する。
このとき、1行程間のシリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)は、気体定数Rを用いて、以下の式(10)で表される。
Figure 2013194587
ここで、吸気行程終了時の実新気容積Vnew’の気筒内質量ρin・Vnew’(実際に入った吸気量)と、インマニ新気質量ρb・Vnew’(体積効率が100%であれば入っていたと推定される新気量)との比を、吸気効率Kinとすると、式(10)および前述の式(2)から、体積効率補正係数Kvは、以下の式(11)のように表される。
Figure 2013194587
ところで、式(11)には行程容積Vc、最大容積Vmax、補正後見なし残留ガス容積Vex’が含まれているので、特に排気量の異なるエンジンにおいては、設定値に差が生じる。そこで、圧縮比εを用いて記述できるように正規化する。
このとき、気筒内の各容積と圧縮比εとの関係は、以下の式(12)で表される。
Figure 2013194587
したがって、式(11)および式(12)から、体積効率補正係数Kvは、以下の式(13)のようにも表すことができる。
Figure 2013194587
なお、式(13)においては、排気終了後の見なし残留ガス容積Vexにおける排気質量ρex・Vex(実際の残留ガス量)と、吸気行程終了時の隙間容積分の気筒内ガスが残留ガスとして残った場合の質量ρin・Vminとの比を、排気効率Kexとしている。
さらに、吸気行程終了時の内部EGR分の容積を算出しているので、この時点での内部EGR分の質量と全気筒内ガスの質量との比から、以下の式(14)のように、内部EGR率Regrを算出することができる。
Figure 2013194587
以上の体積効率補正係数Kvおよび内部EGR率Regrを算出する式(13)、式(14)を整理して再掲すると、以下の式(15)のようになる。
Figure 2013194587
式(15)から明らかなように、体積効率補正係数Kvおよび内部EGR率Regrを算出するためには、吸気効率Kinおよび排気効率Kexを求める必要がある。
吸気効率Kinおよび排気効率Kexを算出するためには、エンジン回転速度Neと、インマニ圧と、吸気VVT10および排気VVT11の位相角とのマップ、として記憶しておく方法が考えられる。
しかしながら、上記のように多数のパラメータのマップとして記憶したのでは、マップ数が膨大となってしまい、従来技術(体積効率補正係数Kvのマップを作成すること)と何ら変わらないので、この発明の実施の形態1においては、近似的な算出処理を行う。
以下、この発明の実施の形態1による吸気効率Kinおよび排気効率Kexの近似的な算出処理について詳細に説明する。
まず、体積効率補正係数Kvを算出する式(11)において、吸気効率Kinを、以下の式(16)のように定義する。
Figure 2013194587
式(16)は、インマニ圧Pbおよびインマニ温Tbに加えて、筒内圧および排温を用いて算出される筒内圧Pinおよび筒内温度Tinを使用すれば、吸気効率Kinが算出可能なことを示している。しかしながら、これらの物理量(筒内圧Pinおよび筒内温度Tin)は、従来のエンジン制御では用いられていないパラメータなので、エンジン制御用に使用できる物理量を用いて、筒内圧Pinおよび筒内温度Tinを推定する必要がある。
まず、図5を参照しながら、吸気行程終了時の筒内圧Pinの算出処理について説明する。
図5は筒内圧センサ(図示せず)で計測した筒内圧と筒内容積との関係(P−V線図、両対数表示)の一例を示す説明図である。
図5において、横軸は筒内容積V[cc](対数軸)、縦軸は筒内圧Pin[kPa](対数軸)であり、破線で囲まれた領域は圧縮行程を示している。
ここで、燃焼をともなわない圧縮行程での状態変化は、ポリトロープ変化として知られており、一般に次式で表される。
Figure 2013194587
なお、ポリトロープ変化とは、混合気または燃焼ガスを圧縮する場合に、実際には熱の一部を外気や冷却水などで取られて圧力と温度との関係が等温変化と断熱変化との中間的変化で行われることを意味する。
図5から明らかなように、燃焼前の状態変化は、両対数の座標系で考えると、破線領域のように、傾きが−n(nはポリトロープ指数≒1.3〜1.4)の1次関数で表される。
そこで、吸気行程終了時(B180)の筒内圧Pinを算出するためには、点火前(燃焼前)の数点(たとえば、破線領域内の×部)から、B180に相当する箇所の筒内圧を推定してその平均値を求めればよい。
図6は上記のように算出した吸気行程終了時の筒内圧Pinとインマニ圧との関係を示す説明図である。
図6において、横軸はインマニ圧ピーク値(所定クランク角度間、たとえばB05間の最大値)Pbp[kPa]、横軸は吸気行程終了時の筒内圧Pin[kPa]であり、吸気VVT10の位相角InVVTを表す数値IN(=0、25、45)の違いに応じた特性を、それぞれ黒菱形、黒四角、黒三角の点に沿った多項式で示している。
ここで、インマニ圧平均値(所定クランク角度間、たとえばB05間の平均値)ではなく、インマニ圧ピーク値Pbpを用いた理由は、インマニ圧平均値よりもインマニ圧ピーク値の方が良好な相関が得られたからである。
そこで、以下の説明では、インマニ圧Pbとして、インマニ圧ピーク値Pbpを用いるものとする。
なお、図6は、排気VVT11を考慮していないので、排気VVT11に関わらず、吸気VVT10のみで整理した図である。
図6の特性(多項式)から明らかなように、吸気行程終了時の筒内圧Pinは、排気VVT11に関わらず、吸気VVT10ごとに、原点を通るインマニ圧ピーク値Pbpの2次関数で近似可能なことが分かる。
このとき、吸気行程終了時の筒内圧Pinは、以下の式(18)のように表される。
Figure 2013194587
結局、吸気行程終了時の筒内圧Pinとインマニ圧ピーク値Pbp(吸気管内圧)との圧力比Pin/Pbpは、インマニ圧ピーク値Pbpの1次関数で近似することができる。
このような形で圧力比Pin/Pbpを算出可能な理由は、圧力比Pin/Pbpが、インマニ圧ピーク値Pbpが所定値であるときに、どれくらいの圧力比で気筒内にガスを押し込めるかを示す指標である、と言えるからである。
すなわち、圧力比Pin/Pbpは、排気バルブに関わるオーバーラップ量や排気VVT11の位相角InVVTとは無関係に、吸気バルブに関わる吸気VVT10の位相角InVVTと、吸気バルブの開期間(∝エンジン回転速度Ne)とによって表されるものであると考えられ、また、排圧Pex(=大気圧Pa)にも影響しないものと考えられる。
一方、筒内温度Tinは、インマニ温Tb、排温Texおよび内部EGR率Regrから、以下の式(19)のように算出することができる。
Figure 2013194587
ここで、排温Texについては、計測値に基づきマップ設定(たとえば、エンジン回転速度Neとインマニ圧とのマップ)してもよく、別途にエンジン制御で算出される熱効率のような指標から計算してもよく、さらに簡単には、固定値(たとえば、800℃程度)としてもよい。
また、内部EGR率Regrも算出する必要があるが、内部EGR率Regrは、前述の式(15)から算出可能である。なお、式(15)を用いる場合には、後述する排気効率Kexを先に算出しておけばよい。
以上により、未知数がなくなるので、式(16)から吸気効率Kinの近似的な算出が可能となる。
次に、排気効率Kexの近似的算出処理について説明する。
まず、式(13)において、排気効率Kexを以下の式(20)のように定義する。
Figure 2013194587
式(20)において、排温Tex、吸気行程終了時の筒内圧Pinは、吸気効率Kinの算出時に求められており、見なし筒内圧Pexは、大気圧Paで代用可能であるが、見なし残留ガス容積Vexについては、新たに算出する必要がある。
また、内部EGR率Regrを用いて算出される筒内温度Tin(式(19)参照)も使用する必要がある。
そこで、筒内温度Tinを用いずに排気効率Kexを算出するために、まず、式(15)に式(16)を代入して、以下の式(21)を得る。
Figure 2013194587
ここで、筒内温度Tinを削除するために、式(19)から、排気効率Kexを用いて筒内温度Tinを表すと、以下の式(22)となる。
Figure 2013194587
以下、式(22)を式(21)に代入すると、以下の式(23)となる。
Figure 2013194587
式(23)により、筒内温度Tinを用いずに、体積効率補正係数Kv、筒内圧Pin、インマニ圧Pbなどから排気効率Kexを求めることができる。
排気効率Kexが算出されれば、内部EGR率Regrは、式(15)から算出可能となり、筒内温度Tinは、式(19)から算出可能となる。
ところで、式(23)には、未知数である体積効率補正係数Kvが含まれるので、当然のことながら、エンジン1の制御に用いることができない。
そこで、式(23)を用いて排気効率Kexをあらかじめ算出しておき、排気効率Kexを近似的に算出する。
図7は式(23)を用いて算出したインマニ圧ピーク値Pbp[kPa](横軸)と排気効率Kex(縦軸)との関係を示す説明図である。
なお、図7は、図6と同様に、排気VVT11を考慮していないので、排気VVT11に関わらず、吸気VVT10のみで整理した図である。
ただし、図6とは異なり、図7においては、排気VVT11によっても異なる傾向があることが示されている。
図7から明らかなように、排気効率Kexは、Pbp=45〜95[kPa]程度までは、インマニ圧ピーク値Pbpと非常に相関がよいが、Pbp=100[kPa]以上では、落ち込みがあることが分かる。
そこで、排気効率Kexを線形近似し、Pbp=100[kPa]以上の落ち込み部については、別途に補正することとする。
図8は所定の吸気VVT10の位相角InVVTにおいて、排気VVT11の位相角ExVVTが変化した場合におけるインマニ圧ピーク値Pbp[kPa](横軸)と排気効率Kex(縦軸)との関係を示す説明図である。
図8から明らかなように、インマニ圧ピーク値Pbpは、45〜95[kPa]程度までは1次関数で良好に近似できることが分かる。
図9は吸気VVT10の位相角InVVTおよび排気VVT11の位相角ExVVTが変化した場合におけるインマニ圧ピーク値Pbp(横軸)と排気効率Kex(縦軸)との関係を線形近似した説明図である。
図10は排気効率Kexの算出値(図7)と排気効率Kexの線形近似値(図9)との誤差ΔKexを示す説明図であり、横軸はインマニ圧ピーク値Pbp[kPa]、縦軸は排気効率誤差ΔKexである。
図9のように、所定位相角以外の吸気VVT10の位相角InVVTおよび排気VVT11の位相角ExVVTにおいても、線形近似した結果が得られる。
また、図10に示すように、排気効率誤差ΔKexは、各位相角InVVT、ExVVTに関わらず、ほぼ一定である。
よって、図10に示す多項式近似した排気効率誤差をΔKex用いて、線形近似値を補正することにより、排気効率Kexを良好に算出することができる。
以上のように、シリンダ吸入空気量算出手段21内の体積効率補正係数算出手段22の機能として、吸気効率Kinおよび排気効率Kexの算出処理と、吸気効率Kinおよび排気効率Kexを用いた体積効率補正係数Kvおよび内部EGR率Regrの算出処理とが行われる。
次に、図11〜図14を参照しながら、体積効率補正係数算出手段22の具体的な処理機能について詳細に説明する。
図11は排気効率Kexの算出部を示す機能ブロック図であり、図12は内部EGR率Regrおよび吸気効率Kinの算出部を示す機能ブロック図であり、図13は体積効率補正係数Kvの算出部を示す機能ブロック図である。
また、図14はこの発明の実施の形態1による体積効率補正係数算出手段22の全体構成を示す機能ブロック図であり、図11〜図13の各算出部(演算内容)を総合的に示している。なお、図14において、図11〜図13内と同一機能のブロックには、同一符号が付されている。
図14において、体積効率補正係数算出手段22は、排気効率算出係数設定部(算出ゲイン設定部、算出オフセット設定部)401、403と、1次関数近似部(乗算器、加算器)402、404と、Kex補正量設定部405と、排気効率算出部(加算器)406と、内部EGR率算出部(乗算器)501と、筒内温度算出部(排温設定部)502、503と、吸気効率算出係数設定部(算出ゲイン設定部、算出オフセット設定部)504、505と、1次関数近似部(圧力比算出部)506と、吸気効率算出部507と、体積効率補正係数算出部601と、を備えている。
まず、図11および図14を参照しながら、排気効率Kexの算出部について説明する。
図11において、排気効率Kexの算出部は、エンジン回転速度Neと吸気VVT10の位相角InVVTとのマップに基づくKex算出ゲイン設定部401と、エンジン回転速度Neと吸気VVT10の位相角InVVTとのマップに基づくKex算出オフセット設定部403と、エンジン回転速度Neとインマニ圧比(ピーク値)Rppとのマップに基づくKex補正量設定部405と、Kex算出ゲインの設定値にインマニ圧比(ピーク値)Rppを乗算する乗算器402と、Kex算出オフセットの設定値と乗算器402の乗算結果とを加算する加算器404と、Kex補正量(ΔKex)の設定値と加算器404の加算結果とを加算して排気効率Kexを算出する加算器406と、を備えている。
Kex算出ゲイン設定部401およびKex算出オフセット設定部403においては、エンジン回転速度Neと吸気VVT10の位相角InVVTとのマップが、さらに排気VVT11の位相角ExVVTごとに複数設定されている。
これにより、エンジン1の制御中に取得されるエンジン回転速度Ne、各位相角InVVTおよびExVVTに基づき、上記マップ値とマップ値間を補間することにより、排気効率Kexを算出するための係数となるKex算出ゲインおよびKex算出オフセットを算出することができる。
なお、Kex算出ゲイン設定部401およびKex算出オフセット設定部403におけるマップデータとしては、エンジン回転速度Ne、各位相角InVVTおよびExVVTごとに算出される線形近似の傾きおよび切片(図8参照)が設定されている。
続いて、乗算器402および加算器404における演算により、排気効率Kexの基準値が1次関数近似によって算出される。
なお、図11の演算においては、インマニ圧ピーク値Pbpとして、インマニ圧ピーク値Pbpを大気圧Paで正規化したインマニ圧比(ピーク値)Rppを用いているが、インマニ圧ピーク値Pbpをそのまま用いてもよい。
一方、Kex補正量設定部405は、エンジン回転速度Neとインマニ圧比(ピーク値)Rppとのマップデータを用いて、Kex補正量となるΔKexを算出する。
Kex補正量のマップデータとしては、図10に示した排気効率誤差ΔKexが設定されている。
最後に、加算器406は、1次関数近似により算出された排気効率Kexの基準値と、Kex補正量(=ΔKex)とを加算して、排気効率Kexを算出する。
以上により、単純な演算と少ないデータ数とにより、排気効率Kexを算出することができる。
次に、図12および図14を参照しながら、内部EGR率Regrおよび吸気効率Kinの算出部について説明する。
図12において、内部EGR率Regrおよび吸気効率Kinの算出部は、排気効率Kexを圧縮比εで除算する除算器501と、エンジン回転速度Neとインマニ圧比(ピーク値)Rppとのマップに基づく排温設定部502と、除算器501の除算結果、排温Texおよびインマニ温Tbに基づく筒内温度算出部503と、エンジン回転速度Neと吸気VVT10の位相角InVVTとのマップに基づくPin算出ゲイン設定部504と、エンジン回転速度Neと吸気VVT10の位相角InVVTとのマップに基づくPin算出オフセット設定部505と、インマニ圧ピーク値Pbpと各設定部504、505からのPin算出ゲインおよびPin算出オフセットの設定値とに基づく圧力比算出部506と、インマニ温Tbと各算出部503、506からの算出結果(筒内温度Tin、圧力比Pin/Pbp)に基づく吸気効率算出部507と、を備えている。
まず、除算器501は、排気効率Kexの算出部(図11)で算出した排気効率Kexと圧縮比εとに基づき、前述の式(15)を用いて内部EGR率Regrを算出し、排温設定部502は、エンジン回転速度Neとインマニ圧比(ピーク値)Rppとのマップに基づき排温Texを算出する。
なお、排温設定部502におけるマップデータとしては、エンジン回転速度Neとインマニ圧ピーク値Pbpごとの計測値を設定しておけばよい。
または、マップを用いずに、別途にエンジン制御で算出される熱効率のような指標を用いて排温Texを計算してもよく、さらに簡単には、排温Texを固定値(たとえば、800℃程度)としてもよい。
続いて、筒内温度算出部503は、先に算出した内部EGR率Regrおよび排温Texと、別途に計測されるインマニ温Tbとに基づき、前述の式(19)を用いて吸気行程終了時の筒内温度Tinを算出する。
一方、Pin算出ゲイン設定部504およびPin算出オフセット設定部505は、エンジン回転速度Neと吸気VVT10の位相角InVVTとのマップデータを用いて、圧力比Pin/Pbpを算出するための係数となるPin算出ゲインKgainおよびPin算出オフセットKofsを算出する。
次に、圧力比算出部506は、インマニ圧ピーク値Pbpと、Pin算出ゲインKgainおよびPin算出オフセットKofsに基づき、前述の式(18)を用いて圧力比Pin/Pbpを算出する。
最後に、吸気効率算出部507は、吸気行程終了時の筒内温度Tin、インマニ温Tbおよび圧力比Pin/Pbpに基づき、前述の式(18)を用いて吸気効率Kinを算出する。
次に、図13および図14を参照しながら、体積効率補正係数Kvの算出部について説明する。
図13において、体積効率補正係数Kvの算出部は、体積効率補正係数算出部601を備えている。
体積効率補正係数算出部601は、排気効率Kexの算出部(図11)で算出した排気効率Kexと、内部EGR率Regrおよび吸気効率Kinの算出部(図12)で算出した吸気効率Kinと、圧縮比εとに基づき、前述の式(15)を用いて体積効率補正係数Kvを算出する。
このように、シリンダ吸入空気量算出手段21内の体積効率補正係数算出手段22において、体積効率補正係数Kvを算出することができる。
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図14)に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、電子制御スロットル4(スロットルバルブ)の下流側のインテークマニホールド6(吸気管)に設けられたエンジン1(内燃機関)のシリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)を推定するために、吸気管からシリンダ内に入る空気量を示す指標である体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を算出する体積効率補正係数算出手段22(体積効率相当値算出手段)と、体積効率相当値を用いてシリンダ内に実際に吸入される空気量を推定するシリンダ吸入空気量算出手段21(シリンダ吸入空気量推定手段)と、を備えている。
体積効率補正係数算出手段22(体積効率相当値算出手段)(図13、図14)は、燃焼後の排気ガスがシリンダ内からエキゾーストマニホールド13(排気管)に排出されずにシリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率Kexと、吸気管からの、残留ガス分を除いてシリンダ内に入る空気量を示す指標である吸気効率Kinと、に基づいて体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を算出する。
上記構成によれば、体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を、新気量を表す吸気効率Kinと残留ガス量を表す排気効率Kexとに基づき算出するので、体積効率相当値を、運転状態に応じて高精度に算出することが可能となる。
また、この発明の実施の形態1に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、電子制御スロットル4(スロットルバルブ)の上流側に設置され、スロットルバルブを通過してエンジン1(内燃機関)に吸入される吸入空気量Qa(n)T(n)を検出するAFS2(吸入空気量検出手段)と、スロットルバルブを通過した空気がシリンダ内に入るまでの吸気系の応答遅れをモデル化した物理モデルと、を備えている。
この場合、シリンダ吸入空気量算出手段21(シリンダ吸入空気量推定手段)は、吸入空気量Qa(n)T(n)、体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)および物理モデルに基づいて、シリンダ内に実際に吸入されるシリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)を推定する。
上記構成によれば、AFS2による吸気量計測において、単純化された物理モデルと体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)とを用いてシリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)を算出するので、少ない適合定数および少ない演算負荷で、エンジン1を好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定することが可能となる。
また、体積効率補正係数算出手段22(体積効率相当値算出手段)(図13、図14)は、吸気効率Kin、排気効率Kexおよび圧縮比εに基づく式(15)を用いて体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を算出するので、理論に基づき、高精度に体積効率相当値を推定することが可能となる。
また、吸気効率Kinは、吸気行程終了時の筒内圧Pin[kPa]、吸気管内圧Pb[kPa]、吸気行程終了時の筒内温度Tin[°K]および吸気管内温度Tb[°K]に基づく式(16)を用いて算出されるので、理論に基づき、高精度に吸気効率Kinを推定することが可能となる。
また、吸気効率Kinの算出(式(16)参照)に用いられる、吸気行程終了時の筒内圧Pinとインマニ圧Pb(吸気管内圧)との圧力比Pin/Pb(Pin/Pbp)は、吸気管内圧Pbの1次関数として近似されるので、少ない適合定数および少ない演算負荷で、エンジン1を好適に制御するために十分な精度で吸気効率を推定することが可能となる。
また、排気効率Kexは、シリンダ隙間容積(上死点時の容積)Vmin[cc]、残留ガス容積Vex[cc]、吸気行程終了時の筒内圧Pin[kPa]、排気管内圧Pex[kPa]、吸気行程終了時の筒内温度Tin[°K]および排気温度Tex[°K]に基づく式(20)を用いて算出される。
上記構成によれば、式(20)により排気効率Kexを算出するので、理論に基づき、高精度に排気効率Kexを推定することが可能となる。
また、排気効率Kexは、インマニ圧Pb(吸気管内圧)の1次関数として近似されるので、少ない適合定数と少ない演算負荷で、エンジン1を好適に制御するために十分な精度で排気効率を推定することが可能となる。
さらに、インマニ圧Pb(吸気管内圧)として、エンジン1(内燃機関)の所定クランク角度間のインマニ圧ピーク値Pbp(吸気管内圧の最大値)が用いられるので、高精度に体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を推定することが可能となる。
この発明の実施の形態1によれば、吸気VVT10および排気VVT(可変動弁機構)が設けられた内燃機関の制御装置において、体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を、新気吸入量を表す吸気効率Kin(吸気管からの、残留ガス分を除いたシリンダ内に入る空気量を示す指標:吸気管内圧の1次関数)と、残留ガス量を表す排気効率Kex(燃焼後の排気ガスがシリンダ内から排気管に排出されずにシリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標:吸気管内圧の1次関数)と、に基づいて算出するので、運転状態に応じて高精度に体積効率相当値を算出することができる。これにより、吸気系の物理モデルによりシリンダ内に実際に吸入される空気量を高精度に推定することができる。
また、吸気系の単純化した物理モデルと、単純化した物理モデルにて使用する体積効率補正係数とを近似的に算出することにより、膨大なメモリ容量を必要とせずに、少ない適合定数および少ない演算負荷で、エンジン1を好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定することができる。
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1、図2)では、吸気VVT10および排気VVT11を備えたエンジン1において、吸気管の電子制御スロットル4の上流側に設けられたAFS2により空気量を計測するAFS方式の構成例を示したが、AFS2を用いずに、図15および図16のように、エンジン1のインマニ圧Pb(吸気管内圧)を計測するインマニ圧センサ7を設け、インマニ圧センサ7により計測されるインマニ圧Pbとエンジン回転速度Neとから、シリンダに吸入される空気量を推定するS/D(Speed/Density)方式の構成を用いてもよい。
図15はこの発明の実施の形態2に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置を概略的に示す構成図であり、図16はこの発明の実施の形態2によるエンジンおよびエンジン制御部を概略的に示すブロック構成図である。
図15、図16において、前述(図1、図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号が付され、前述と対応するものについては、符号の後に「A」が付されている。
この発明の実施の形態2においては、前述の実施の形態1と共通点が多いので、前述(図1、図2)との相違点を中心に説明する。
図15および図16において、図1および図2との相違点は、エンジン1の吸気系の上流側に吸入空気量を測定するAFS2が設けられていない点のみである。
図15において、エンジン1の吸気系には、吸入空気量を調整するために電子的に制御される電子制御スロットル4が設けられている。
また、電子制御スロットル4には、開度を測定するためのスロットル開度センサ3が設けられている。
さらに、電子制御スロットル4の下流側には、サージタンク5およびインテークマニホールド6内を含む空間(インマニ)の圧力(インマニ圧Pb)を測定するインマニ圧センサ7と、インマニ内の温度(インマニ温Tb)を測定する吸気温センサ8とが設けられている。
インテークマニホールド6の吸気バルブ近傍には、燃料を噴射するためのインジェクタ9が設けられ、吸気バルブおよび排気バルブには、バルブタイミングを可変するための吸気VVT10および排気VVT11がそれぞれ設けられている。
また、シリンダヘッドには、シリンダ内で火花を発生させる点火プラグを駆動するための点火コイル12が設けられている。さらに、エキゾーストマニホールド13には、図示しないO2センサや触媒が設けられている。
図16において、ECU20Aには、スロットル開度センサ3で測定された電子制御スロットル4の開度と、インマニ圧センサ7で測定されたインマニ圧Pbと、吸気温センサ8で測定されたインマニ温Tbと、大気圧センサ14で測定された大気圧Paと、が入力される。
なお、大気圧Paを測定する大気圧センサ14に代えて、大気圧Paを推定する手段を用いてもよく、またはECU20Aに内蔵された大気圧センサを用いてもよい。
また、上記以外の各種センサ(図示しないアクセル開度センサやクランク角度センサなど)からもECU20Aに測定値が入力される。
ECU20A内のシリンダ吸入空気量算出手段21A(詳細については後述する)においては、インマニ圧センサ7で測定されたインマニ圧Pbからシリンダ吸入空気量が算出される。
ECU20Aは、シリンダ吸入空気量算出手段21Aで算出されたシリンダ吸入空気量に基づき、インジェクタ9および点火コイル12を駆動制御する。
また、ECU20Aは、入力された各種データ(アクセル開度など)から目標トルクを算出し、算出された目標トルクを達成するための目標シリンダ吸入空気量を算出し、目標シリンダ吸入空気量が達成されるように、目標スロットル開度、目標吸気VVT位相角および目標排気VVT位相角を算出し、これらの目標値を達成するように、電子制御スロットル4の開度、吸気VVT10および排気VVT11の各位相角InVVT、ExVVTを制御する。さらに、図示しない他の各種アクチュエータも必要に応じて制御する。
次に、図15を参照しながら、シリンダ吸入空気量算出手段21A、つまり、インマニ圧センサ7で計測されるインマニ圧Pbからシリンダ吸入空気量を算出するための吸気系の物理モデルについて詳細に説明する。
S/D方式のシリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)の算出式は、基本的には前述の式(2)のインマニ内の新気密度および1行程間の平均値ρb(n)を用いており、さらに状態方程式(P=ρRT)により、インマニ圧Pb(n)およびインマニ温Tb(n)を用いた以下の式(24)で表される。
Figure 2013194587
なお、式(24)内の各物理量の定義は、前述の実施の形態1と同じである。
S/D方式の場合、AFS2を用いておらず、吸入空気量Qa(n)T(n)を計測することができないので、以下の式(25)で表される空燃比A/Fを用いることにより、エンジン制御定数の適合時に、体積効率補正係数Kvを算出することが可能である。
Figure 2013194587
式(25)において、Qf(n)は燃料噴射量であり、通常、インジェクタ9の流量特性とインジェクタ9の駆動パルス幅とにより算出することができる。
次に、図17のフローチャートを参照しながら、式(24)をECU20A内で実現する処理手順、すなわち、シリンダ吸入空気量算出手段21Aを、所定のクランク角度ごとの割込み処理(たとえば、B05処理)内で実行する手順について、詳細に説明する。
図17はこの発明の実施の形態2によるシリンダ吸入空気量の算出処理を示すフローチャートであり、各ステップ702〜704は、それぞれ、前述(図3)の各ステップ302、301、306に対応している。
図17において、シリンダ吸入空気量算出手段21Aは、まず、1行程間のインマニ圧平均値Pb(n)[kPa]を算出する(ステップ701)。
ステップ701の算出処理を実現するためには、たとえば、インマニ圧センサ7の出力電圧を、1.25msごとにサンプリングしながら積算していき、前回の割込み処理から今回の割込み処理までの間の積算値を積算回数で除算すればよい。これにより、1行程間のインマニ圧平均値Pb(n)[kPa]を算出することができる。
続いて、体積効率補正係数Kv(n)を算出する(ステップ702)。
ステップ702の処理は、体積効率補正係数算出手段22Aに相当し、体積効率補正係数算出手段22A内の体積効率補正係数Kv(n)の算出部は、前述(図13参照)と同じ演算処理を行う。
続いて、式(24)により実シリンダ吸入空気量の演算を行い(ステップ703)、最後にステップ703で算出された実シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)[g]の格納を行い(ステップ704)、図17の処理ルーチンを終了する。
図17のように、体積効率補正係数Kv(n)を用いた単純な演算処理により、高精度に実シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)[g]の算出を行うことができる。
これにより、前述のAFS方式においても、この発明の実施の形態2によるS/D方式においても、吸気系の単純化した物理モデルにより、実シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)[g]の算出を行うことができる。
また、実シリンダ吸入空気量の算出の過程で必要となる体積効率補正係数Kvは、近似的に算出することにより、膨大なメモリ容量を必要とせず、少ない適合定数と少ない演算負荷でエンジン1を好適に制御するために十分な精度で算出することができる。
以上のように、この発明の実施の形態2(図15〜図17)に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、電子制御スロットル4(スロットルバルブ)の下流側のインテークマニホールド6(吸気管)に設けられたエンジン1(内燃機関)のシリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)を推定するために、吸気管からシリンダ内に入る空気量を示す指標である体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を算出する体積効率補正係数算出手段22A(体積効率相当値算出手段)と、体積効率相当値を用いてシリンダ内に実際に吸入される空気量を推定するシリンダ吸入空気量算出手段21A(シリンダ吸入空気量推定手段)と、を備えている。
体積効率補正係数算出手段22A(体積効率相当値算出手段)は、燃焼後の排気ガスがシリンダ内からエキゾーストマニホールド13(排気管)に排出されずにシリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率Kexと、吸気管からの、残留ガス分を除いてシリンダ内に入る空気量を示す指標である吸気効率Kinと、に基づいて体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を算出する。
上記構成によれば、体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を、新気量を表す吸気効率Kinと残留ガス量を表す排気効率Kexとに基づき算出するので、体積効率相当値を、運転状態に応じて高精度に算出することが可能となる。
また、この発明の実施の形態2に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、吸気管内の圧力をインマニ圧Pb(吸気管内圧)として検出するインマニ圧センサ7(吸気管内圧検出手段)を備えている。
この場合、シリンダ吸入空気量算出手段21A(シリンダ吸入空気量推定手段)は、吸気管内圧および体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)に基づいてシリンダ内に実際に吸入される空気量を推定する。
上記構成によれば、S/Dによる吸気量計測において、単純化された物理モデルと体積効率相当値を用いてシリンダ吸入空気量を算出するので、少ない適合定数と少ない演算負荷で、エンジンを好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定することが可能となる。
また、体積効率補正係数算出手段22A(体積効率相当値算出手段)は、吸気効率Kin、排気効率Kexおよび圧縮比εに基づく式(15)を用いて体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を算出するので、理論に基づき、高精度に体積効率相当値を推定することが可能となる。
また、吸気効率Kinは、吸気行程終了時の筒内圧Pin[kPa]、吸気管内圧Pb[kPa]、吸気行程終了時の筒内温度Tin[°K]および吸気管内温度Tb[°K]に基づく式(16)を用いて算出されるので、理論に基づき、高精度に吸気効率Kinを推定することが可能となる。
また、吸気効率Kinの算出(式(16)参照)に用いられる、吸気行程終了時の筒内圧Pinとインマニ圧Pb(吸気管内圧)との圧力比Pin/Pbは、吸気管内圧の1次関数として近似されるので、少ない適合定数および少ない演算負荷で、エンジン1を好適に制御するために十分な精度で吸気効率を推定することが可能となる。
また、排気効率Kexは、シリンダ隙間容積(上死点時の容積)Vmin[cc]、残留ガス容積Vex[cc]、吸気行程終了時の筒内圧Pin[kPa]、排気管内圧Pex[kPa]、吸気行程終了時の筒内温度Tin[°K]および排気温度Tex[°K]に基づく式(20)を用いて算出されるので、理論に基づき、高精度に排気効率Kexを推定することが可能となる。
また、排気効率Kexは、インマニ圧Pb(吸気管内圧)の1次関数として近似されるので、少ない適合定数と少ない演算負荷で、エンジン1を好適に制御するために十分な精度で排気効率を推定することが可能となる。
さらに、インマニ圧Pb(吸気管内圧)として、エンジン1(内燃機関)の所定クランク角度間のインマニ圧ピーク値Pbp(吸気管内圧の最大値)が用いられるので、高精度に体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を推定することが可能となる。
この発明の実施の形態2によれば、吸気VVT10および排気VVT(可変動弁機構)が設けられた内燃機関の制御装置において、体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を、新気吸入量を表す吸気効率Kinと残留ガス量を表す排気効率Kexとに基づいて算出するので、運転状態に応じて高精度に体積効率相当値を算出することができる。
また、吸気系の単純化した物理モデルと、単純化した物理モデルにて使用する体積効率補正係数とを近似的に算出することにより、膨大なメモリ容量を必要とせずに、少ない適合定数および少ない演算負荷で、エンジン1を好適に制御するために十分な精度でシリンダ吸入空気量を推定することができる。
すなわち、燃焼後の排気ガスがシリンダ内からエキゾーストマニホールド13(排気管)に排出されずにシリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率Kex(吸気管内圧の1次関数)と、インテークマニホールド6(吸気管)から、残留ガス分を除いてシリンダ内に入る空気量を示す指標である吸気効率Kin(吸気管内圧の1次関数)とに基づき、体積効率補正係数Kv(体積効率相当値)を算出するので、少ない適合定数で高精度に推定することができる。
さらに、前述のAFS方式に限らず、S/D方式においても、吸気系の単純化した物理モデルにより実シリンダ吸入空気量Qc(n)T(n)[g]の算出を行うことができ、また、実シリンダ吸入空気量の算出の過程で必要となる体積効率補正係数Kvを近似的に算出することにより、膨大なメモリ容量を必要とすることなく十分な精度で算出が可能となる。
1 エンジン(内燃機関)、2 AFS(吸入空気量検出手段)、3 スロットル開度センサ、4 電子制御スロットル(スロットルバルブ)、5 サージタンク、6 インテークマニホールド、7 インマニ圧センサ(吸気管内圧検出手段)、8 吸気温センサ、9 インジェクタ、10 吸気VVT、11 排気VVT、12 点火コイル、13 エキゾーストマニホールド、14 大気圧センサ、20、20A ECU(電子制御ユニット)、21、21A シリンダ吸入空気量算出手段、22、22A 体積効率補正係数算出手段、501 内部EGR率算出部(除算器)、503 筒内温度算出部、506 圧力比算出部、507 吸気効率算出部、601 体積効率補正係数算出部、ExVVT 排気VVTの位相角、InVVT 吸気VVTの位相角、Kex 排気効率、Kin 吸気効率、Kv 体積効率補正係数(体積効率相当値)、Pa 大気圧、Pb インマニ圧(吸気管内圧)、Pb(n) インマニ圧平均値、Pbp インマニ圧ピーク値、Pex 排圧(有効排気バルブ閉成時の筒内圧:排気管内圧)、Pin 筒内圧、Pin/Pb、Pin/Pbp 圧力比、Qa 吸入空気量(実吸入空気量)、Qa(n) 吸入空気量(平均値)、Qc シリンダ吸入空気量(実シリンダ吸入空気量)、Qc(n) シリンダ吸入空気量(平均値)、Regr 内部EGR率、Tb インマニ温(吸気管内温度)、Tegr 残留ガス温度、Tex 排気温度(有効排気バルブ閉成時の筒内温度)、Tin 筒内温度、Vex 残留ガス容積、Vmax 最大容積、Vmin 隙間容積、Vnew 実新気容積、Vs 吸気管容積、ΔKex 排気効率誤差、ε 圧縮比、ρb インマニ新気質量(平均値)、ρex 排気質量、ρin 気筒内密度。
この発明に係る内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置は、スロットルバルブの下流側の吸気管に設けられた内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定するために、前記吸気管から前記シリンダ内に入る空気量を示す指標である体積効率相当値を算出する体積効率相当値算出手段と、前記体積効率相当値を用いて前記シリンダ内に実際に吸入される空気量を推定するシリンダ吸入空気量推定手段と、を備えた内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、前記体積効率相当値算出手段は、燃焼後の排気ガスが前記シリンダ内から排気管に排出されずに前記シリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率と、前記吸気管からの、前記残留ガス分を除いて前記シリンダ内に入る空気量を示す指標である吸気効率と、シリンダ隙間容積(上死点時の容積)に対するシリンダ最大容積(下死点での容積)の比を示す圧縮比と、に基づいて前記体積効率相当値を算出するものである。

Claims (9)

  1. スロットルバルブの下流側の吸気管に設けられた内燃機関のシリンダ吸入空気量を推定するために、
    前記吸気管から前記シリンダ内に入る空気量を示す指標である体積効率相当値を算出する体積効率相当値算出手段と、
    前記体積効率相当値を用いて前記シリンダ内に実際に吸入される空気量を推定するシリンダ吸入空気量推定手段と、
    を備えた内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置において、
    前記体積効率相当値算出手段は、
    燃焼後の排気ガスが前記シリンダ内から排気管に排出されずに前記シリンダ内に残留した残留ガス量を示す指標である排気効率と、
    前記吸気管からの、前記残留ガス分を除いて前記シリンダ内に入る空気量を示す指標である吸気効率と、に基づいて前記体積効率相当値を算出することを特徴とする内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  2. 前記スロットルバルブの上流側に設置され、前記スロットルバルブを通過して前記内燃機関に吸入される吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
    前記スロットルバルブを通過した空気が前記シリンダ内に入るまでの吸気系の応答遅れをモデル化した物理モデルと、を備え、
    前記シリンダ吸入空気量推定手段は、前記吸入空気量、前記体積効率相当値および前記物理モデルに基づいて、前記シリンダ内に実際に吸入される空気量を推定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  3. 前記吸気管内の圧力を吸気管内圧として検出する吸気管内圧検出手段を備え、
    前記シリンダ吸入空気量推定手段は、前記吸気管内圧および前記体積効率相当値に基づいて前記シリンダ内に実際に吸入される空気量を推定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  4. 前記体積効率相当値算出手段は、吸気効率Kin、排気効率Kexおよび圧縮比εに基づく以下の式(1)、
    Figure 2013194587
    を用いて体積効率相当値Kvを算出することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  5. 前記吸気効率Kinは、吸気行程終了時の筒内圧Pin[kPa]、吸気管内圧Pb[kPa]、吸気行程終了時の筒内温度Tin[°K]、吸気管内温度Tb[°K]に基づく以下の式(2)、
    Figure 2013194587
    を用いて算出されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  6. 前記吸気効率の算出に用いられる、前記吸気行程終了時の筒内圧Pinと前記吸気管内圧Pbとの圧力比Pin/Pbは、前記吸気管内圧の1次関数として近似されることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  7. 前記排気効率Kexは、シリンダ隙間容積(上死点時の容積)Vmin[cc]、残留ガス容積Vex[cc]、吸気行程終了時の筒内圧Pin[kPa]、排気管内圧Pex[kPa]、吸気行程終了時の筒内温度Tin[°K]および排気温度Tex[°K]に基づく以下の式(3)、
    Figure 2013194587
    を用いて算出されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  8. 前記排気効率は、前記吸気管内圧の1次関数として近似されることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
  9. 前記吸気管内圧として、前記内燃機関の所定クランク角度間の吸気管内圧の最大値が用いられることを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載の内燃機関のシリンダ吸入空気量推定装置。
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