JP2013193430A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層体は、蓄熱層2及び炭化断熱層を形成できる保護層1が積層されたもの、又は、蓄熱層、ガスバリヤ層及び保護層が積層され、該保護層が、炭化断熱層を形成できるものであることを特徴とする積層体。前記積層体において、蓄熱層が有機潜熱蓄熱層であり、前記保護層が塩素樹脂層であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
床暖房システムでは、例えば、電熱線などで発熱した熱が床下へ逃げるのを防止するため、断熱材等を設置し、熱を床下へ逃さず、熱効率を向上させている。この場合、断熱材は、ある程度の厚みを付けることにより、熱効率をより向上させることができる。
蓄熱材を含有した蓄熱体を導入した場合、発熱した熱を蓄熱体に蓄えることができるため、床下等への放熱を抑え、熱効率を向上させることが可能である。
しかし、温度制御システム等がなんらかの原因で故障した場合、温度の過剰な上昇によって、蓄熱体が変質するという問題が発生するおそれがある。
1.蓄熱層を有する積層体であって、
蓄熱層及び保護層が積層され、
該保護層が、炭化断熱層を形成できるものであることを特徴とする積層体。
2.蓄熱層を有する積層体であって、
蓄熱層、ガスバリヤ層及び保護層が積層され、
該保護層が、炭化断熱層を形成できるものであることを特徴とする積層体。
3.前記蓄熱層が、有機潜熱蓄熱層であることを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
4.前記保護層が、ハロゲン樹脂層であることを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
5.前記保護層が、塩素樹脂層であることを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
6.ガスバリヤ層が、ポリアルキレン樹脂層であることを特徴とする2.に記載の積層体。
7.前記保護層が、結合材と、無機質粒子及び/または発泡剤を含むことを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
2:蓄熱層
3:ガスバリヤ層
蓄熱材を含む蓄熱層は、過剰な温度上昇等に対して、蓄熱層から蓄熱材が漏れだしたり、蓄熱材が揮発する場合があり、蓄熱層の性能が損なわれたり、蓄熱層が変形するおそれがある。本発明では、このような蓄熱層の変質を防止し、優れた蓄熱性能を維持することができる。
本発明の蓄熱層は、顕熱蓄熱材、潜熱蓄熱材等の蓄熱材を含むものであれば特に限定されないが、特に、物質の相変化による潜熱を利用した潜熱蓄熱材を含む潜熱蓄熱層が好ましい。潜熱蓄熱材は、物質が固体から液体に相変化する時に熱を蓄え(蓄熱)、液体から固体に相変化する時に熱を放出(放熱)するという性質を利用し、蓄熱・放熱させるものである。本発明では、潜熱蓄熱材のなかでも特に、有機潜熱蓄熱材を含有する有機潜熱蓄熱層が好ましい。
相溶化剤としては、例えば、脂肪酸トリグリセリド、親水親油バランス(HLB)が1以上10未満(好ましくは1以上5以下)の非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合し用いることができる。
粘土鉱物は、過剰な温度上昇等に対して蓄熱層の変質を防止する効果がある。
蓄熱材と有機処理層状粘土鉱物を混合することにより、有機処理層状粘土鉱物の層間に蓄熱材が入り込み、蓄熱材が有機処理層状粘土鉱物の層間に保持されやすい構造となる。特に蓄熱材として、有機潜熱蓄熱材を使用した場合、有機潜熱蓄熱材が有機処理層状粘土鉱物の層間に、より保持されやすい構造となる。
本発明では、特に、スメクタイト、バーミキュライトが有機処理されやすい点から、好適に用いられる。さらに、スメクタイトの中でも、特に、モンモリロナイトが好適に用いられ、本発明では、特に、有機処理されたモンモリロナイトを好適に用いることができる。
ホージュン社製のエスベン、エスベン C、エスベン E、エスベン W、エスベン P、エスベン WX、エスベン NX、エスベン NZ、エスベン N-400、オルガナイト、オルガナイトーD、オルガナイトーT(商品名)
ズードケミー触媒社製のTIXOGEL MP、TIXOGEL VP、TIXOGEL VP、TIXOGEL MP、TIXOGEL EZ 100、MP 100、TIXOGEL UN、TIXOGEL DS、TIXOGEL VP−A、TIXOGEL VZ、TIXOGEL PE、TIXOGEL MP 250、TIXOGEL MPZ(商品名)
エレメンティスジャパン社製のBENTONE 34、38、52、500、1000、128、27、SD−1、SD−3(商品名)
等が挙げられる。
(i)蓄熱材、ヒドロキシル基を含有する化合物、及びイソシアネート基を含有する化合物を均一に混合し、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物を反応させる方法、
(ii)蓄熱材と、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、ヒドロキシル基を含有する化合物、及びイソシアネート基を含有する化合物を混合し、蓄熱材をコロイド状に分散させ、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物を反応させる方法、等が挙げられる。
この過程では、相溶状態から非相溶状態の変化に伴うミクロ相分離が起こり、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物からなる緻密に入り組んだ3次元網目構造型多孔体が形成されるものと思われる。この3次元網目構造型多孔体に蓄熱材が担持された状態となり、蓄熱層が形成される。
特に、蓄熱材として有機潜熱蓄熱材を用いた場合、ヒドロキシル基を含有する化合物、イソシアネート基を含有する化合物と混合した際に相溶状態になりやすく、より緻密に入り組んだ3次元網目構造型多孔体に有機潜熱蓄熱材が担持された有機潜熱蓄熱層を形成することができる。
特に、蓄熱材として有機潜熱蓄熱材を用いた場合、微細なコロイド状に分散しやすく、より緻密に入り組んだ3次元網目構造型多孔体に有機潜熱蓄熱材が微細に分散した状態で担持された有機潜熱蓄熱層を形成することができる。
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
反応促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート等の錫カルボン酸塩類;
ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;
ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;
アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物;
等が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。
さらに、有機潜熱蓄熱材が、緻密に入り組んだ3次元網目構造型多孔体に担持されているため、有機潜熱蓄熱材の固液変化に伴う体積変化による有機潜熱蓄熱層自体の形状変化を軽減することもできる。
アルミニウム、金、銀、銅、鉄、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、ニッケル、ビスマス、スズ、コバルトから選ばれる一種以上の金属、または、これら金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびこれらの複合物から選ばれる一種以上、
等を主成分とするフィルムを用いることができる。
保護層は、高温時に炭化断熱層を形成できるもので、温度の過剰な上昇等による蓄熱層の変質を防止するものである。
このような保護層は、温度の過剰な上昇に対し、炭化して断熱層を形成するものであれば特に限定されない。
特に本発明では、ハロゲン樹脂として、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂から選ばれる1種以上の塩素樹脂が好ましい。本発明の保護層は、このような塩素樹脂を保護層の樹脂全量に対し50重量%以上(さらには80重量%以上、さらには100重量%)含む塩素樹脂層であることが好ましい。
また保護層で用いる結合材としては、ハロゲン樹脂の他に、アクリル樹脂、エチレン樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂から選ばれる1種以上を使用することができる。
無機質粒子としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、クロム、亜鉛、マグネシウム、チタン、ニッケル、ビスマス、スズ、コバルトから選ばれる1種以上の金属、または、これら金属の酸化物、塩化物、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩およびこれらの複合物から選ばれる1種以上を挙げることができる。
発泡剤としては、例えば、熱膨張性黒鉛、ポリリン酸塩、メラミン及びその誘導体、ジシアンジアミド及びその誘導体、アゾビステトラゾーム及びその誘導体、アゾジカーボンアミド、尿素、チオ尿素等が挙げられる。
また、保護層の厚さは、特に限定されないが、通常0.1mm〜10mm、さらには0.3mm〜5mm程度が好ましい。
本願の積層体は、上記蓄熱層と保護層が積層されたものであり、その積層方法は特に限定されない。
例えば、予め製造された蓄熱層と保護層を、接着剤、接着テープ等を用いて積層する方法、予め製造された保護層に、蓄熱層を形成する成分を流し込み、乾燥固化させる方法、また予め製造された蓄熱層に、保護層を形成する成分を流し込み、乾燥固化させる方法等が挙げられる。
ガスバリヤ層を積層することにより、過剰な温度上昇時による蓄熱層の変質を防止する効果を高めることができる。
ガスバリヤ層としては、例えば、ポリアルキレン樹脂層が好適に用いられる。
特に、ポリアルキレン樹脂層としては、炭素数が8未満のポリアルキレン樹脂から形成されるポリアルキレン樹脂層が好ましく、さらには、炭素数2のポリエチレン樹脂層、炭素数3のポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン‐ポリプロピレン共重合樹脂層から選ばれる1種以上、中でもポリプロピレン樹脂層を好適に用いることができる。
ガスバリヤ層の厚みは、10μm以上500μm以下、さらには20μm以上300μm以下、さらには30μm以上200μm以下であることが好ましい。
床暖房用として、電気式床暖房用を用いる場合は、基材(コンクリート、モルタル等)や既存のフローリングの上に、本発明の積層体、面状発熱層、床材層を順に積層して用いる方法が挙げられる。また温水式床暖房用を用いる場合は、基材(温水管が埋め込まれた基材等)の上に、本発明の積層体、床材層を順に積層して用いる方法が挙げられる。
この場合、本発明積層体のうち、蓄熱層側を基材や既存のフローリング側に、保護層側を面状発熱層(床材層)側になるように積層すればよく、また、積層体の下側には、断熱層を積層することもできる。さらに、必要に応じ、金属層や樹脂フィルム、あるいは金属蒸着フィルム等を積層することもできる。
なお、積層には、公知の接着剤や接着テープや、釘、ピン、ネジ等を用いればよい。
面状発熱体としては、例えば、ニクロム線を蛇行させて絶縁体表面に配置したもの、電気抵抗発熱体と電極を積層したもの、PTC面状発熱体等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のフィルム等が挙げられる。
金属蒸着フィルムとしては、上記樹脂フィルムに、上記金属が蒸着されたフィルム等が挙げられる。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、潜熱蓄熱材、ヒドロキシル基含有化合物、イソシアネート基含有化合物等を温度50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、表3に示す保護層を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で180分硬化させ、脱型して、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、潜熱蓄熱材、ヒドロキシル基含有化合物、イソシアネート基含有化合物等を温度50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、表3に示すガスバリヤ層を敷いた300×180×5mmの型枠中に流し込み、50℃で180分硬化させ、脱型して、蓄熱層とガスバリヤ層の積層体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。
次に表4に示す組み合わせにて、蓄熱層とガスバリヤ層の積層体のガスバリヤ層側と表3に示す保護層を接着テープにて貼り合わせ、試験体を得た。
なお実験例21は、保護層の替わりに不織布を用いた。
試験体の保護層から距離10cmの位置から、プロパンガスバーナーの炎で1分間加熱し、蓄熱層の状態(変形性)を目視にて評価した。評価は、異常なしを「10」、著しく変形したものを「1」とする10段階評価で行った。結果は表4に示す。
Claims (7)
- 蓄熱層を有する積層体であって、
蓄熱層及び保護層が積層され、
該保護層が、炭化断熱層を形成できるものであることを特徴とする積層体。 - 蓄熱層を有する積層体であって、
蓄熱層、ガスバリヤ層及び保護層が積層され、
該保護層が、炭化断熱層を形成できるものであることを特徴とする積層体。 - 前記蓄熱層が、有機潜熱蓄熱層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
- 前記保護層が、ハロゲン樹脂層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
- 前記保護層が、塩素樹脂層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
- ガスバリヤ層が、ポリアルキレン樹脂層であることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
- 前記保護層が、結合材と、無機質粒子及び/または発泡剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
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