JP2004316245A - 蓄熱性樹脂ボード及びその利用方法 - Google Patents
蓄熱性樹脂ボード及びその利用方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004316245A JP2004316245A JP2003111576A JP2003111576A JP2004316245A JP 2004316245 A JP2004316245 A JP 2004316245A JP 2003111576 A JP2003111576 A JP 2003111576A JP 2003111576 A JP2003111576 A JP 2003111576A JP 2004316245 A JP2004316245 A JP 2004316245A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat storage
- resin
- range
- storage material
- resin board
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/14—Thermal energy storage
Landscapes
- Building Environments (AREA)
- Central Heating Systems (AREA)
Abstract
【課題】住宅の壁、天井、床などの室内側面、及び畳の芯材や床暖房用蓄熱材として配置させることにより、予め冷暖房器具又は自然エネルギーで蓄熱した熱が徐々に放熱して、外気温に大きな変化が生じても快適な室温を長時間維持する建築用建材として利用可能な蓄熱性を有する樹脂ボードを提供する。
【解決手段】蓄熱材を内包するマイクロカプセルと合成樹脂裁断物、及び接着剤から成る組成物を熱圧着成型せしめて蓄熱性樹脂ボードを得る。合成樹脂裁断物の大きさは、短径が0.1〜10mm、長径が1〜50mmの範囲であることが好ましく、ボードの少なくとも一方の面が不燃性及びまたはガス不透過性のシートで覆われていることが好ましい。蓄熱材の融点が5〜40℃の範囲の蓄熱材を内包するマイクロカプセルを用いて建築用内装材して、融点が20〜60℃の範囲の蓄熱材を用いて床暖房用蓄熱材として利用される。
【選択図】 なし
【解決手段】蓄熱材を内包するマイクロカプセルと合成樹脂裁断物、及び接着剤から成る組成物を熱圧着成型せしめて蓄熱性樹脂ボードを得る。合成樹脂裁断物の大きさは、短径が0.1〜10mm、長径が1〜50mmの範囲であることが好ましく、ボードの少なくとも一方の面が不燃性及びまたはガス不透過性のシートで覆われていることが好ましい。蓄熱材の融点が5〜40℃の範囲の蓄熱材を内包するマイクロカプセルを用いて建築用内装材して、融点が20〜60℃の範囲の蓄熱材を用いて床暖房用蓄熱材として利用される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱性を有する樹脂ボードに関するものであり、本発明の蓄熱性樹脂ボードを建築物、住宅やビルの床材、壁材、天井材等の内装材、畳用芯材または床暖房用蓄熱材として用いることにより冷暖房のためのエネルギーが著しく節約可能で、快適な温度域を長時間維持しうる新規な蓄熱性樹脂ボードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球温暖化抑制が世界的に重要視されるようになり、その対策として化石燃料を燃焼させた際に多量に発生する二酸化炭素の削減化策が大きな問題となっている。特に建物の居住環境や作業環境を維持するために消費するエネルギーは膨大な量となり、その削減や有効利用等の省エネルギー対策が不可欠である。通常、外気温の変動に対し室内の温度を快適な範囲の温度域に維持するために、建物自体の機密性を高めたり、壁や天井、床などの建物の中に断熱材を配する対策が広く一般に用いられており、室内と室外の熱移動を極力抑える対策がとられている。
【0003】
これに対し、太陽熱や冷暖房などのエネルギーを水や建物の躯体の一部に顕熱として蓄えたり、潜熱材を用いた建材や蓄熱技術が提案されており、球状蓄熱材を建築壁内に配した蓄熱体(例えば、特許文献1参照)。無機系の蓄熱材を合成樹脂製チューブに充填したものを内接した蓄断熱材(例えば、特許文献2参照)。蓄熱材を植設した複合板(例えば、特許文献1参照)、断熱材と潜熱蓄熱材との組み合わせ(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、一般にこれらの潜熱蓄熱材の熱伝導性が悪いため蓄放熱特性が低下し、効率よく潜熱を使い切らない場合が多かった。その対策として複数の潜熱蓄熱材をカプセル化して基材中に分散し放熱面温度をほぼ一定に保つことができる蓄熱建材が紹介されている。(例えば、特許文献4参照)
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−202493号公報
【特許文献2】
特開昭58−2379号公報
【特許文献3】
特開昭62−117931号公報
【特許文献4】
特公平6−33633号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、本発明の樹脂ボードを住宅の壁、天井、床などの室内側面、及び畳の芯材や床暖房用蓄熱材として配置することにより、予め冷暖房器具又は自然エネルギーで蓄熱した熱が徐々に放熱して、外気温に大きな変化が生じても快適な室温を長時間維持する建築用建材として利用可能な蓄熱性を有する樹脂ボードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、蓄熱材を内包するマイクロカプセルと合成樹脂裁断物、及び接着剤から成る組成物をボード状に熱圧着成型せしめて樹脂ボードを得ることにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂ボードは一般に建築材料として用いられている合成樹脂ボード中に、蓄熱材を内包するマイクロカプセルを高比率で含有させたものである。一般的な建材用樹脂ボードとして、フェノール樹脂、メラミン樹脂が材料として用いられている。これらの樹脂ボードは、紙や不織布に樹脂前駆体を含浸させ、それらを多数枚積層した後、高温高圧で成型して得られるが、本発明の樹脂ボードはこれらのボードとは材料と製法が異なり、合成樹脂を細かく裁断した材料が用いられることが特徴である。
【0008】
本発明の樹脂ボードの製法は、1.合成樹脂の破砕又は裁断工程、2.合成樹脂と蓄熱材を内包するマイクロカプセル及びバインダーを混合する工程、3.組成物を成型・熱圧着する工程、の3工程から成る。1.の工程で用いられる合成樹脂の具体例として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が用いられ、これらは破砕機又は粉砕器を用いて短冊状または粉末状に裁断される。
【0009】
裁断物の大きさは、短径が0.1〜10mm、長径が1〜50mmの範囲に裁断されることが好ましい。このサイズ以下であるとボードとしての強度が得られなかったり、バインダーの量が多く必要になるため好ましくなく、またこの範囲以上であると熱圧着成型時にうまくボードの形状にまとまりにくいため好ましくない。また、本発明で用いられる合成樹脂は樹脂塊を裁断して用いても良いが、例えばシート状の樹脂や、廃棄物として産出される合成樹脂類片やシートまたは一般家庭から排出される不燃性のプラスティックゴミまたは産業廃棄物をそのまま、又は適する大きさに切断して用いることができ、資源のリサイクルとして環境配慮の面からも好ましい態様である。合成樹脂のほかに、紙、天然繊維などを併用して添加することも可能である。
【0010】
本発明で用いられるマイクロカプセルはシェル内に蓄熱材を内包した微少な粒子である。一般に蓄熱材をマイクロカプセル化する方法としては、複合エマルジョン法によるカプセル化法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(同62−45680号公報)、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(同62−149334号公報)、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(同62−225241号公報)、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法(特開平2−258052号公報)等に記載されている方法を用いることができる。
【0011】
カプセル膜材としては、界面重合法、インサイチュー法等の手法で得られる、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂、またゼラチンとカルボキシメチルセルロース若しくはアラビアゴムとのコアセルベーション法を利用した合成あるいは天然の樹脂が用いられるが、熱圧着工程で高温で加圧されるため熱的に安定な熱硬化性樹脂皮膜を有するマイクロカプセルが好ましく、特に脂肪族系炭化水素化合物でも良好な品質のマイクロカプセルが得られるインサイチュー法による尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂皮膜を用いたマイクロカプセルが好ましい。
【0012】
本発明に係るマイクロカプセルの粒子経は、塗工又は含浸する過程で物理的圧力による破壊を防止するために10μm以下、特に好ましくは5μm以下が好ましい。マイクロカプセルの粒子径は、乳化剤の種類と濃度、乳化時の乳化液の温度、乳化比(水相と油相の体積比率)、乳化機、分散機等と称される微粒化装置の運転条件(攪拌回転数、時間等)等を適宜調節して所望の粒子径に設定する。この粒子径以上になるとマイクロカプセルが外圧で容易に壊れやすくなったり、蓄熱材の比重が分散媒のそれと大きく差がある場合など、浮遊したり沈降したりし易くなるので好ましくない。
【0013】
本発明で用いられる蓄熱材の相変化点、即ち融点は生活温度域において快適と感じられる下限と、床暖房などの蓄熱温度域を含めた温度域に設定することが好ましく、5〜60℃の範囲に設定されることが好ましい。具体的には、炭素数が約14〜30程度のn−パラフィン類や、無機系共晶物及び無機系水和物、パルミチン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸類、ベンゼン、p−キシレン等の芳香族炭化水素化合物、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のエステル化合物、ステアリルアルコール等のアルコール類等の化合物が挙げられ、化学的、物理的に安定でしかも安価なものが用いられる。これらは混合して用いても良いし、必要に応じ過冷却防止材、比重調節材、劣化防止剤等を添加することができる。また、融点の異なる2種以上のマイクロカプセルを混合して用いることも可能である。
【0014】
本発明の樹脂ボードの具体的な利用方法として、建築物の内装材としての応用と床暖房用蓄熱材としての利用方法が挙げられる。前者の建築物の内装材とは、室内側に直に面した建材のみならず、床下や天井裏等の直接室内側面に面していない部分に配された建材も含む。建築物の内装材としての使用方法は、通常人間が適温と感じられる温度域を長時間持続することを目的としており、この用途に用いられる蓄熱材の融点は5〜40℃の範囲に設定されることが好ましい。
【0015】
本発明の蓄熱ボードのもう一つの好ましい用途として、床暖房用蓄熱材が挙げられる。床暖房は電気やガスのエネルギーを元に床面の温度を暖め輻射熱で屋内を暖房するもので、輻射熱による穏和な暖房方法として著しい普及を遂げている。しかしながら、加熱面積が広面積に及び加熱時間も長時間に及ぶにも関わらず実際に使用される時間は短いため、効率的な蓄熱が必要とされていた。床暖房用蓄熱材として本発明の樹脂ボードを用いることにより効率的な省エネ暖房が可能となる。この用途に用いられる蓄熱材の融点は20〜60℃の範囲に設定されることが好ましい。
【0016】
2の工程で示される本発明のマイクロカプセルと樹脂裁断物との混合方法として、マイクロカプセル分散液と樹脂裁断物を湿式で混合した後、マイクロカプセルの分散媒を加熱により除去する方法と、マイクロカプセルの固形物と樹脂裁断物を乾式で混合する方法の2種類があるが、好ましくは後者の乾式による方法が好ましい。マイクロカプセルの固形物の具体的な形態として、粉体、顆粒状、ペレット状等粒子径が約10μm〜20mmの範囲に揃えられることが好ましい。マイクロカプセルの固形物は、マイクロカプセルスラリーをドラムドライヤー、スプレードライヤー、フリーズドライヤー等の各種乾燥装置や造粒装置を用いて成形される。
【0017】
本発明で用いられるバインダーは、熱可塑性、熱硬化性いずれの性質のものでも使用できるが好ましくは、フェノール樹脂系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、尿素−メラミン共縮合樹脂系接着剤、レゾルシノール型接着剤、ポリウレタン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、オキシベンゾイルポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ベンゾグアナミン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩またはアンモニウム塩、その他各種ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらのバインダーは樹脂裁断物の質量に対し、3〜70%の範囲で用いられる。
【0018】
これらの接着剤は好ましくはガラス転移点または熱軟化温度が室温以上の粉体又は直径が10mm以下のビーズ状態の形態が好ましく、樹脂裁断物と予め混合されるか連続的に樹脂裁断物とマイクロカプセルの混合物の上方から散布・投下して均一に混合しても良い。更に建築材料として防黴剤、防虫剤、難燃化のための薬剤をこの工程で添加しても良い。更に必要であれば、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、粘着付与剤、滑剤、着色剤、硬化剤、発泡剤、合成繊維、合成樹脂類、断熱材、VOC除去材、活性炭、吸放湿剤などを添加、注入、貼り合わせが可能である。
【0019】
本発明の樹脂裁断物とマイクロカプセルの固形質量比率は自由に設定できるが、蓄熱性をなるべく発揮し得るように樹脂ボード中に占めるマイクロカプセルの重量比率は10〜99%以上、好ましくは30〜90%の範囲が好ましい。この範囲以下であると蓄熱性に乏しくなるため好ましくない。本発明の樹脂ボードの質量は特に限定されないが、10g/m2〜30kg/m2の範囲に設定される。
【0020】
3の熱圧着工程は樹脂ボードに強度と寸法安定性を付与する工程であり、熱圧着により樹脂ボードの密度が増す。具体的には面圧で1〜100kgf/cm2の圧力、温度は60〜160℃の範囲で1分以上かけられる。この範囲より高い圧力又は温度ではマイクロカプセルの劣化をもたらすため好ましくなく、この範囲以下の圧力、温度であるとボードとしての強度が発現しないため好ましくない。
【0021】
本発明の樹脂ボードの材料は樹脂製品であるため建築用建材として用いられる場合には可燃性である点と、仮に高温になった場合に発生する可能性のある有機ガスが問題となる場合がある。その対策として樹脂ボードの片面又は両面を不燃性及びまたはガス不透過性のシートで覆うことにより解消される。不燃性、及びまたはガス不透過性のシートの具体例として、アルミニウム、銅、鉄、等の金属シートやポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の不燃性、ガス不透過性樹脂が用いられる。これらのシートは接着剤や粘着材を用いて貼り合わせても良いし、袋状に成形して樹脂ボードを充填しても良い。
【0022】
本発明の樹脂ボードは住宅やビルの床下あるいは天井裏に貼り付けることにより蓄熱性を有する建築材料として使用することができる。また、防音性にも優れるという効果も有しているため、二世代住宅や集合住宅のように複数の世帯から成る住宅ではとかく苦情の原因となる騒音や振動を吸収できる利点が発揮される。また、建築用ボードと同様に切断したりあるいは穴を開けたり、ボード上に壁紙などを貼り付けたりすることも可能である。本発明の樹脂ボードは、ガラスウール、中空粒子、ウレタンフォーム、発泡性樹脂などの断熱材と組み合わせて用いることにより断熱性と蓄熱性の相乗効果が得られるため好ましい態様である。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。実施例中の部数は固形質量部を表す。また、融点及び融解熱量は示差熱熱量計(米国パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用いて測定した。
【0024】
実施例1
メラミン粉末12重量部に37%ホルムアルデヒド水溶液15.4重量部と水40重量部を加え、pHを8に調整した後、約70℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100重量部中に、蓄熱材として、n−オクタデカン(融点26〜28℃)80重量部を激しく撹拌しながら添加し、粒子径が3.0μmになるまで乳化を行った。
【0025】
得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて水を添加して乾燥固形分濃度40%の蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。
【0026】
このマイクロカプセル分散液をスプレードライヤーで水分含有率3%以下まで乾燥し粒子径約30μmのマイクロカプセル粉体を得た。このマイクロカプセル粉体100部と写真印画紙(高密度ポリエチレン樹脂)を短径1.5mm、長径30mmに破砕した裁断物300部及びバインダーとして軟化点80℃のエチレン酢ビ共重合体の3mm径ビーズ50部を良く混合した後、3kgf/cm2の圧力を加え、120℃で10分間加熱成型して1m角の蓄熱性樹脂ボードを得た。
【0027】
この樹脂ボードの片面に厚さ0.3mmのアルミシートと貼り合わせ、もう一方の面には厚さ8mmの断熱用ウレタンフォームを貼り合わせ、蓄熱性ボードを得た。このボードを広さ6畳の部屋のフローリングの下部一面に配置したところ、真夏の暑い日でも室温が28℃を上回ることが少なかった。
【0028】
実施例2
蓄熱材としてステアリン酸メチル(融点37℃)90部と、芳香族イソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製、商品名スミジュール44V10、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート)10部を混合した溶液を、室温で5%ポリビニルアルコール水溶液100部中に激しく撹拌しながら添加し、粒子径が5μmになるまで乳化を行った。乳化終了後、撹拌を施しながら3%ジエチレントリアミンの水溶液50部を徐々に添加した後、60℃で1時間撹拌を続けてステアリン酸メチルのマイクロカプセル分散液を得た。
【0029】
このマイクロカプセル分散液をスプレードライヤーで水分含有率3%以下まで乾燥し粒子径約50μmのマイクロカプセル粉体を得た。このマイクロカプセル粉体100部と家庭から排出された洗浄・乾燥済みの不燃性プラスティックゴミを短径が1mm、長径が25mmに破砕した裁断物100部、及び軟化点105℃のポリスチレンビーズ40部と良く混合した後、3kgf/cm2の圧力を加え、150℃で10分間加熱成型して1m角の床暖房用樹脂ボードを得た。この床暖房用樹脂ボードを床暖房ヒーターと共に床下に配置したところ、夜間の安価な深夜電力を用いて蓄熱しておくことにより、昼間の快適な暖房と消費電力の節約が可能であった。
【0030】
【発明の効果】
実施例の結果からも明らかなように、本発明で示される蓄熱性を有する樹脂ボードは見かけ状通常のプラスティックボードや木製のファイバーボードと同様の形態、性状であるが蓄熱性を有するために住宅やビルの内装材として使用することにより、多量の温熱又は冷熱を蓄えることが可能となり、冷暖房に要するエネルギーの節約、及び太陽光エネルギーの有効利用に大きく役立つものである。また、床材として使用することにより、防音性、吸音性に優れるという集合住宅として非常に都合の良い副次的な効果を得ることも可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱性を有する樹脂ボードに関するものであり、本発明の蓄熱性樹脂ボードを建築物、住宅やビルの床材、壁材、天井材等の内装材、畳用芯材または床暖房用蓄熱材として用いることにより冷暖房のためのエネルギーが著しく節約可能で、快適な温度域を長時間維持しうる新規な蓄熱性樹脂ボードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球温暖化抑制が世界的に重要視されるようになり、その対策として化石燃料を燃焼させた際に多量に発生する二酸化炭素の削減化策が大きな問題となっている。特に建物の居住環境や作業環境を維持するために消費するエネルギーは膨大な量となり、その削減や有効利用等の省エネルギー対策が不可欠である。通常、外気温の変動に対し室内の温度を快適な範囲の温度域に維持するために、建物自体の機密性を高めたり、壁や天井、床などの建物の中に断熱材を配する対策が広く一般に用いられており、室内と室外の熱移動を極力抑える対策がとられている。
【0003】
これに対し、太陽熱や冷暖房などのエネルギーを水や建物の躯体の一部に顕熱として蓄えたり、潜熱材を用いた建材や蓄熱技術が提案されており、球状蓄熱材を建築壁内に配した蓄熱体(例えば、特許文献1参照)。無機系の蓄熱材を合成樹脂製チューブに充填したものを内接した蓄断熱材(例えば、特許文献2参照)。蓄熱材を植設した複合板(例えば、特許文献1参照)、断熱材と潜熱蓄熱材との組み合わせ(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、一般にこれらの潜熱蓄熱材の熱伝導性が悪いため蓄放熱特性が低下し、効率よく潜熱を使い切らない場合が多かった。その対策として複数の潜熱蓄熱材をカプセル化して基材中に分散し放熱面温度をほぼ一定に保つことができる蓄熱建材が紹介されている。(例えば、特許文献4参照)
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−202493号公報
【特許文献2】
特開昭58−2379号公報
【特許文献3】
特開昭62−117931号公報
【特許文献4】
特公平6−33633号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、本発明の樹脂ボードを住宅の壁、天井、床などの室内側面、及び畳の芯材や床暖房用蓄熱材として配置することにより、予め冷暖房器具又は自然エネルギーで蓄熱した熱が徐々に放熱して、外気温に大きな変化が生じても快適な室温を長時間維持する建築用建材として利用可能な蓄熱性を有する樹脂ボードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、蓄熱材を内包するマイクロカプセルと合成樹脂裁断物、及び接着剤から成る組成物をボード状に熱圧着成型せしめて樹脂ボードを得ることにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂ボードは一般に建築材料として用いられている合成樹脂ボード中に、蓄熱材を内包するマイクロカプセルを高比率で含有させたものである。一般的な建材用樹脂ボードとして、フェノール樹脂、メラミン樹脂が材料として用いられている。これらの樹脂ボードは、紙や不織布に樹脂前駆体を含浸させ、それらを多数枚積層した後、高温高圧で成型して得られるが、本発明の樹脂ボードはこれらのボードとは材料と製法が異なり、合成樹脂を細かく裁断した材料が用いられることが特徴である。
【0008】
本発明の樹脂ボードの製法は、1.合成樹脂の破砕又は裁断工程、2.合成樹脂と蓄熱材を内包するマイクロカプセル及びバインダーを混合する工程、3.組成物を成型・熱圧着する工程、の3工程から成る。1.の工程で用いられる合成樹脂の具体例として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が用いられ、これらは破砕機又は粉砕器を用いて短冊状または粉末状に裁断される。
【0009】
裁断物の大きさは、短径が0.1〜10mm、長径が1〜50mmの範囲に裁断されることが好ましい。このサイズ以下であるとボードとしての強度が得られなかったり、バインダーの量が多く必要になるため好ましくなく、またこの範囲以上であると熱圧着成型時にうまくボードの形状にまとまりにくいため好ましくない。また、本発明で用いられる合成樹脂は樹脂塊を裁断して用いても良いが、例えばシート状の樹脂や、廃棄物として産出される合成樹脂類片やシートまたは一般家庭から排出される不燃性のプラスティックゴミまたは産業廃棄物をそのまま、又は適する大きさに切断して用いることができ、資源のリサイクルとして環境配慮の面からも好ましい態様である。合成樹脂のほかに、紙、天然繊維などを併用して添加することも可能である。
【0010】
本発明で用いられるマイクロカプセルはシェル内に蓄熱材を内包した微少な粒子である。一般に蓄熱材をマイクロカプセル化する方法としては、複合エマルジョン法によるカプセル化法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(同62−45680号公報)、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(同62−149334号公報)、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(同62−225241号公報)、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法(特開平2−258052号公報)等に記載されている方法を用いることができる。
【0011】
カプセル膜材としては、界面重合法、インサイチュー法等の手法で得られる、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂、またゼラチンとカルボキシメチルセルロース若しくはアラビアゴムとのコアセルベーション法を利用した合成あるいは天然の樹脂が用いられるが、熱圧着工程で高温で加圧されるため熱的に安定な熱硬化性樹脂皮膜を有するマイクロカプセルが好ましく、特に脂肪族系炭化水素化合物でも良好な品質のマイクロカプセルが得られるインサイチュー法による尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂皮膜を用いたマイクロカプセルが好ましい。
【0012】
本発明に係るマイクロカプセルの粒子経は、塗工又は含浸する過程で物理的圧力による破壊を防止するために10μm以下、特に好ましくは5μm以下が好ましい。マイクロカプセルの粒子径は、乳化剤の種類と濃度、乳化時の乳化液の温度、乳化比(水相と油相の体積比率)、乳化機、分散機等と称される微粒化装置の運転条件(攪拌回転数、時間等)等を適宜調節して所望の粒子径に設定する。この粒子径以上になるとマイクロカプセルが外圧で容易に壊れやすくなったり、蓄熱材の比重が分散媒のそれと大きく差がある場合など、浮遊したり沈降したりし易くなるので好ましくない。
【0013】
本発明で用いられる蓄熱材の相変化点、即ち融点は生活温度域において快適と感じられる下限と、床暖房などの蓄熱温度域を含めた温度域に設定することが好ましく、5〜60℃の範囲に設定されることが好ましい。具体的には、炭素数が約14〜30程度のn−パラフィン類や、無機系共晶物及び無機系水和物、パルミチン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸類、ベンゼン、p−キシレン等の芳香族炭化水素化合物、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のエステル化合物、ステアリルアルコール等のアルコール類等の化合物が挙げられ、化学的、物理的に安定でしかも安価なものが用いられる。これらは混合して用いても良いし、必要に応じ過冷却防止材、比重調節材、劣化防止剤等を添加することができる。また、融点の異なる2種以上のマイクロカプセルを混合して用いることも可能である。
【0014】
本発明の樹脂ボードの具体的な利用方法として、建築物の内装材としての応用と床暖房用蓄熱材としての利用方法が挙げられる。前者の建築物の内装材とは、室内側に直に面した建材のみならず、床下や天井裏等の直接室内側面に面していない部分に配された建材も含む。建築物の内装材としての使用方法は、通常人間が適温と感じられる温度域を長時間持続することを目的としており、この用途に用いられる蓄熱材の融点は5〜40℃の範囲に設定されることが好ましい。
【0015】
本発明の蓄熱ボードのもう一つの好ましい用途として、床暖房用蓄熱材が挙げられる。床暖房は電気やガスのエネルギーを元に床面の温度を暖め輻射熱で屋内を暖房するもので、輻射熱による穏和な暖房方法として著しい普及を遂げている。しかしながら、加熱面積が広面積に及び加熱時間も長時間に及ぶにも関わらず実際に使用される時間は短いため、効率的な蓄熱が必要とされていた。床暖房用蓄熱材として本発明の樹脂ボードを用いることにより効率的な省エネ暖房が可能となる。この用途に用いられる蓄熱材の融点は20〜60℃の範囲に設定されることが好ましい。
【0016】
2の工程で示される本発明のマイクロカプセルと樹脂裁断物との混合方法として、マイクロカプセル分散液と樹脂裁断物を湿式で混合した後、マイクロカプセルの分散媒を加熱により除去する方法と、マイクロカプセルの固形物と樹脂裁断物を乾式で混合する方法の2種類があるが、好ましくは後者の乾式による方法が好ましい。マイクロカプセルの固形物の具体的な形態として、粉体、顆粒状、ペレット状等粒子径が約10μm〜20mmの範囲に揃えられることが好ましい。マイクロカプセルの固形物は、マイクロカプセルスラリーをドラムドライヤー、スプレードライヤー、フリーズドライヤー等の各種乾燥装置や造粒装置を用いて成形される。
【0017】
本発明で用いられるバインダーは、熱可塑性、熱硬化性いずれの性質のものでも使用できるが好ましくは、フェノール樹脂系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、尿素−メラミン共縮合樹脂系接着剤、レゾルシノール型接着剤、ポリウレタン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、オキシベンゾイルポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ベンゾグアナミン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩またはアンモニウム塩、その他各種ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらのバインダーは樹脂裁断物の質量に対し、3〜70%の範囲で用いられる。
【0018】
これらの接着剤は好ましくはガラス転移点または熱軟化温度が室温以上の粉体又は直径が10mm以下のビーズ状態の形態が好ましく、樹脂裁断物と予め混合されるか連続的に樹脂裁断物とマイクロカプセルの混合物の上方から散布・投下して均一に混合しても良い。更に建築材料として防黴剤、防虫剤、難燃化のための薬剤をこの工程で添加しても良い。更に必要であれば、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、粘着付与剤、滑剤、着色剤、硬化剤、発泡剤、合成繊維、合成樹脂類、断熱材、VOC除去材、活性炭、吸放湿剤などを添加、注入、貼り合わせが可能である。
【0019】
本発明の樹脂裁断物とマイクロカプセルの固形質量比率は自由に設定できるが、蓄熱性をなるべく発揮し得るように樹脂ボード中に占めるマイクロカプセルの重量比率は10〜99%以上、好ましくは30〜90%の範囲が好ましい。この範囲以下であると蓄熱性に乏しくなるため好ましくない。本発明の樹脂ボードの質量は特に限定されないが、10g/m2〜30kg/m2の範囲に設定される。
【0020】
3の熱圧着工程は樹脂ボードに強度と寸法安定性を付与する工程であり、熱圧着により樹脂ボードの密度が増す。具体的には面圧で1〜100kgf/cm2の圧力、温度は60〜160℃の範囲で1分以上かけられる。この範囲より高い圧力又は温度ではマイクロカプセルの劣化をもたらすため好ましくなく、この範囲以下の圧力、温度であるとボードとしての強度が発現しないため好ましくない。
【0021】
本発明の樹脂ボードの材料は樹脂製品であるため建築用建材として用いられる場合には可燃性である点と、仮に高温になった場合に発生する可能性のある有機ガスが問題となる場合がある。その対策として樹脂ボードの片面又は両面を不燃性及びまたはガス不透過性のシートで覆うことにより解消される。不燃性、及びまたはガス不透過性のシートの具体例として、アルミニウム、銅、鉄、等の金属シートやポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の不燃性、ガス不透過性樹脂が用いられる。これらのシートは接着剤や粘着材を用いて貼り合わせても良いし、袋状に成形して樹脂ボードを充填しても良い。
【0022】
本発明の樹脂ボードは住宅やビルの床下あるいは天井裏に貼り付けることにより蓄熱性を有する建築材料として使用することができる。また、防音性にも優れるという効果も有しているため、二世代住宅や集合住宅のように複数の世帯から成る住宅ではとかく苦情の原因となる騒音や振動を吸収できる利点が発揮される。また、建築用ボードと同様に切断したりあるいは穴を開けたり、ボード上に壁紙などを貼り付けたりすることも可能である。本発明の樹脂ボードは、ガラスウール、中空粒子、ウレタンフォーム、発泡性樹脂などの断熱材と組み合わせて用いることにより断熱性と蓄熱性の相乗効果が得られるため好ましい態様である。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。実施例中の部数は固形質量部を表す。また、融点及び融解熱量は示差熱熱量計(米国パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用いて測定した。
【0024】
実施例1
メラミン粉末12重量部に37%ホルムアルデヒド水溶液15.4重量部と水40重量部を加え、pHを8に調整した後、約70℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100重量部中に、蓄熱材として、n−オクタデカン(融点26〜28℃)80重量部を激しく撹拌しながら添加し、粒子径が3.0μmになるまで乳化を行った。
【0025】
得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて水を添加して乾燥固形分濃度40%の蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。
【0026】
このマイクロカプセル分散液をスプレードライヤーで水分含有率3%以下まで乾燥し粒子径約30μmのマイクロカプセル粉体を得た。このマイクロカプセル粉体100部と写真印画紙(高密度ポリエチレン樹脂)を短径1.5mm、長径30mmに破砕した裁断物300部及びバインダーとして軟化点80℃のエチレン酢ビ共重合体の3mm径ビーズ50部を良く混合した後、3kgf/cm2の圧力を加え、120℃で10分間加熱成型して1m角の蓄熱性樹脂ボードを得た。
【0027】
この樹脂ボードの片面に厚さ0.3mmのアルミシートと貼り合わせ、もう一方の面には厚さ8mmの断熱用ウレタンフォームを貼り合わせ、蓄熱性ボードを得た。このボードを広さ6畳の部屋のフローリングの下部一面に配置したところ、真夏の暑い日でも室温が28℃を上回ることが少なかった。
【0028】
実施例2
蓄熱材としてステアリン酸メチル(融点37℃)90部と、芳香族イソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製、商品名スミジュール44V10、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート)10部を混合した溶液を、室温で5%ポリビニルアルコール水溶液100部中に激しく撹拌しながら添加し、粒子径が5μmになるまで乳化を行った。乳化終了後、撹拌を施しながら3%ジエチレントリアミンの水溶液50部を徐々に添加した後、60℃で1時間撹拌を続けてステアリン酸メチルのマイクロカプセル分散液を得た。
【0029】
このマイクロカプセル分散液をスプレードライヤーで水分含有率3%以下まで乾燥し粒子径約50μmのマイクロカプセル粉体を得た。このマイクロカプセル粉体100部と家庭から排出された洗浄・乾燥済みの不燃性プラスティックゴミを短径が1mm、長径が25mmに破砕した裁断物100部、及び軟化点105℃のポリスチレンビーズ40部と良く混合した後、3kgf/cm2の圧力を加え、150℃で10分間加熱成型して1m角の床暖房用樹脂ボードを得た。この床暖房用樹脂ボードを床暖房ヒーターと共に床下に配置したところ、夜間の安価な深夜電力を用いて蓄熱しておくことにより、昼間の快適な暖房と消費電力の節約が可能であった。
【0030】
【発明の効果】
実施例の結果からも明らかなように、本発明で示される蓄熱性を有する樹脂ボードは見かけ状通常のプラスティックボードや木製のファイバーボードと同様の形態、性状であるが蓄熱性を有するために住宅やビルの内装材として使用することにより、多量の温熱又は冷熱を蓄えることが可能となり、冷暖房に要するエネルギーの節約、及び太陽光エネルギーの有効利用に大きく役立つものである。また、床材として使用することにより、防音性、吸音性に優れるという集合住宅として非常に都合の良い副次的な効果を得ることも可能となった。
Claims (5)
- 蓄熱材を内包するマイクロカプセルと合成樹脂裁断物、及び接着剤から成る組成物を熱圧着成型せしめた蓄熱性樹脂ボード。
- 合成樹脂裁断物の大きさが、短径が0.1〜10mm、長径が1〜50mmの範囲である請求項1記載の蓄熱性樹脂ボード。
- 少なくとも一方の面が不燃性及びまたはガス不透過性のシートで覆われた請求項1記載の蓄熱性樹脂ボード。
- 融点が5〜40℃の範囲の蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含む請求項1記載の蓄熱性樹脂ボードを建築用内装材して利用する方法。
- 融点が20〜60℃の範囲の蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含む請求項1記載の蓄熱性樹脂ボードを床暖房用蓄熱材として利用する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003111576A JP2004316245A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 蓄熱性樹脂ボード及びその利用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003111576A JP2004316245A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 蓄熱性樹脂ボード及びその利用方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004316245A true JP2004316245A (ja) | 2004-11-11 |
Family
ID=33472086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003111576A Pending JP2004316245A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | 蓄熱性樹脂ボード及びその利用方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004316245A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013193430A (ja) * | 2012-03-22 | 2013-09-30 | F Consultant:Kk | 積層体 |
KR20210070357A (ko) * | 2018-11-26 | 2021-06-14 | 후지필름 가부시키가이샤 | 축열 시트, 축열 부재, 전자 디바이스, 및 축열 시트의 제조 방법 |
KR20210070358A (ko) * | 2018-11-26 | 2021-06-14 | 후지필름 가부시키가이샤 | 축열 시트, 축열 부재 및 전자 디바이스 |
-
2003
- 2003-04-16 JP JP2003111576A patent/JP2004316245A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013193430A (ja) * | 2012-03-22 | 2013-09-30 | F Consultant:Kk | 積層体 |
KR20210070357A (ko) * | 2018-11-26 | 2021-06-14 | 후지필름 가부시키가이샤 | 축열 시트, 축열 부재, 전자 디바이스, 및 축열 시트의 제조 방법 |
KR20210070358A (ko) * | 2018-11-26 | 2021-06-14 | 후지필름 가부시키가이샤 | 축열 시트, 축열 부재 및 전자 디바이스 |
CN113166447A (zh) * | 2018-11-26 | 2021-07-23 | 富士胶片株式会社 | 储热片、储热构件、电子器件以及储热片的制造方法 |
JPWO2020110661A1 (ja) * | 2018-11-26 | 2021-10-14 | 富士フイルム株式会社 | 蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法 |
JP7050953B2 (ja) | 2018-11-26 | 2022-04-08 | 富士フイルム株式会社 | 蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法 |
JP2022075992A (ja) * | 2018-11-26 | 2022-05-18 | 富士フイルム株式会社 | 蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法 |
KR102545868B1 (ko) * | 2018-11-26 | 2023-06-20 | 후지필름 가부시키가이샤 | 축열 시트, 축열 부재 및 전자 디바이스 |
KR102550885B1 (ko) * | 2018-11-26 | 2023-07-03 | 후지필름 가부시키가이샤 | 축열 시트, 축열 부재, 전자 디바이스, 및 축열 시트의 제조 방법 |
JP7307226B2 (ja) | 2018-11-26 | 2023-07-11 | 富士フイルム株式会社 | 蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7166355B2 (en) | Use of microcapsules in gypsum plasterboards | |
US8132382B2 (en) | Insulation containing heat expandable spherical additives, calcium acetate, cupric carbonate, or a combination thereof | |
EP1628110B1 (en) | Loose fill insulation product having phase change material therein | |
JP2004027219A (ja) | 物品の防火仕上げ加工のための発泡性防炎塗料の使用及び防火仕上げ加工された物品 | |
Cao et al. | Properties evaluation and applications of thermal energystorage materials in buildings | |
ES2366568T3 (es) | Elementos compuestos de espuma rígida de poliuretano. | |
CN107266116A (zh) | 一种气凝胶复合材料及其制备方法 | |
JP2006225986A (ja) | 石膏ボード | |
JP2009138339A (ja) | コンクリート養生シートおよびコンクリートの養生方法 | |
JP2007196465A (ja) | 不燃性蓄熱パネル | |
JP2006192428A (ja) | マイクロカプセル固形物およびその利用方法 | |
JP2003306672A (ja) | 蓄熱性シートおよびその利用方法 | |
JP2003260705A (ja) | 蓄熱性繊維ボード及びその利用方法 | |
JP2004316245A (ja) | 蓄熱性樹脂ボード及びその利用方法 | |
EP1490642B1 (en) | Wall lining | |
JP2001279582A (ja) | 蓄熱用シート | |
JP2004324246A (ja) | 蓄熱性建材及び利用方法 | |
JP2003261716A (ja) | 蓄熱性ゴム材料及びその利用方法 | |
JP2004301397A (ja) | 蓄熱性ボード | |
JP2004060350A (ja) | 蓄熱性ボード | |
JP2003155789A (ja) | 蓄熱性ボード | |
KR20160028654A (ko) | 축열기능을 갖는 난방용 온열보드 | |
JP2004036909A (ja) | 温度調整用エレメント | |
JP6438782B2 (ja) | 蓄熱性シート及びその製造方法 | |
JP2003034993A (ja) | 建築物の躯体構造 |