JP7217452B2 - 建築用壁材 - Google Patents
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Description
本発明に係る建築用壁材の一態様は、
基材上に、
少なくとも、母材及び潜熱蓄熱材料を含有する第1の層を有し、前記第1の層中の前記蓄熱材の含有量が、10~30質量%である。
本発明に係る建築用壁材の一態様は、
基材上に、
少なくとも、母材及び潜熱蓄熱材料を含有する第1の層、
少なくとも母材を含有する第2の層をこの順に有し、
前記第1の層中の前記蓄熱材の含有量が、15~30質量%である。
適用例2の建築用壁材において、
前記第2の層が、潜熱蓄熱材料をさらに含有し、
前記第2の層中の前記潜熱蓄熱材料の含有量は、前記第1の層中の前記蓄熱材の含有量よりも小さくすることができる。
適用例3の建築用壁材において、
前記第2の層中の前記潜熱蓄熱材料の含有量が、0~10質量%であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の建築用壁材において、
前記母材が、珪藻土、シラス、半水石膏、石灰、骨材、増粘剤、無機質粉体及び有機質粉体から選ばれる少なくとも1種を含有することができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例の建築用壁材において、
前記潜熱蓄熱材料が、マイクロカプセルに潜熱蓄熱物質を内包させた粒子であり、該粒子の体積平均粒子径が1~500μmであることができる。
適用例6の建築用壁材において、
前記潜熱蓄熱物質が、パラフィン化合物及び脂肪酸エステルから選ばれた一種であることができる。
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の建築用壁材において、
前記第1の層が、組成物から形成されたものであり、
前記組成物が、少なくとも、珪藻土又はシラスを5~40質量%、半水石膏及び/又は石灰を0.5~45質量%、前記潜熱蓄熱材料を10~30質量%、無機質粉体を1~55質量%、及び有機質粉体を1~10質量%含有することができる。
適用例2ないし適用例8のいずれか一例の建築用壁材において、
前記第2の層が、組成物から形成されたものであり、
前記組成物が、少なくとも、珪藻土又はシラスを5~40質量%、半水石膏及び/又は石灰を0.5~45質量%、前記潜熱蓄熱材料を0~10質量%、無機質粉体を1~55質量%、及び有機質粉体を1~10質量%含有することができる。
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の建築用壁材において、
前記基材が、石膏ボード、コンクリート、ベニア又は合板であることができる。
本発明の建築用壁材の具体的な実施形態は、大別して2つある。以下、図面を参照しながら、実施形態ごとに説明する。
図1は、第1実施形態の一例に係る建築用壁材100の断面を模式的に示す概念図である。図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る建築用壁材100は、基材10上に、少なくとも、母材及び潜熱蓄熱材料を含有する第1の層20を有している。図1中の点は、潜熱蓄熱材料を表している。前記第1の層20中の前記潜熱蓄熱材料の含有量は、10~30質量%であり、好ましくは10~25質量%であり、より好ましくは10~20質量%である。第1の層20の潜熱蓄熱材料の含有量が前記範囲であることにより、建築用壁材に優れた蓄熱性を付与することができるので、住宅内の室温の変化を低く保ち、快適な暮らしが実現できると共に、建築用壁材の難燃性が向上する。第1の層20中の潜熱蓄熱材料の含有量が前記範囲未満であると、蓄熱性が低下し、前記範囲を超えると、難燃性が低下する。また、第1実施形態に係る建築用壁材によれば、優れた断熱性能や調湿性を付与することもでき、省エネ対策の向上にも貢献できる。
、増粘剤、無機質粉体、有機質粉体、水、各種添加剤(ガス吸着剤、防黴剤等)が挙げられる。前記組成物は、これらの母材としての成分と潜熱蓄熱材料とからなる混練物である。
前記組成物は、珪藻土を含有することが好ましい。珪藻土とは、植物プランクトンが海中や湖沼で化石化した土であり、多孔質の無機固体である。珪藻土は、断熱性、調湿性、消臭性等の際立った特性を有する軽量素材であり、嵩密度が0.4g/cm3程度、平均粒子径が10μmと著しく軽い粉末素材である。
前記組成物は、珪藻土に代えてシラスを含有してもよい。シラス(白砂)とは、南九州の方言で白い砂を意味するが、地質学的には鹿児島県を始めとする南九州一帯に厚く堆積している、白色の火山噴出物(細粒の軽石や火山灰など)が集積した地層をいう。シラスは、1000℃を超す温度で自然焼成された完全無機質粉状の物質である。シラスは、珪酸70%、アルミナ14%、カルシウム3%、ナトリウム3%、磁鉄2%、カリウム2%、その他マグネシウム、チタン、マンガンなどの成分を含む。シラスの含有量は、組成物100質量%中、好ましくは5~40質量%であり、より好ましくは10~30質量%であり、特に好ましくは15~25質量%である。
前記組成物は、半水石膏及び/又は石灰を含有することが好ましい。半水石膏及び石灰は、硬化剤として機能する。半水石膏は、硫酸カルシウム二水和物の鉱物名であり、黒鉱鉱床中に多産するほか、二次鉱物としての硫化物の分解によって生成される。半水石膏としては、例えば、α型半水石膏、β型半水石膏が挙げられる。これらの半水石膏は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
は極めて短時間で硬化し、完全水和するまでの時間が短いため、現場施工後の養生期間を短くすることができ、工期短縮が図れる。さらに、半水石膏の凝結硬化反応時間を調整することで、少人数での作業においても、前記組成物の可使時間を延ばし、作業者の負荷を軽減できる。
前記組成物は、骨材を含有してもよい。骨材としては、有機質骨材でも無機質骨材でもよく、それらを併用してもよい。また、他の材料との比重が近似する軽量骨材を用いることが分散性の観点から好ましいが、重量骨材と併用してもよい。なお、軽量骨材の嵩比重は、1.1以下であることが好ましい。重量骨材は、珪砂、砂、寒水石などのことを指し、それらの嵩比重は1.3前後以上のものが多い。
前記組成物は、増粘剤を含有することが好ましい。増粘剤としては、公知の各種水溶性樹脂、再乳化型粉末樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、水に可溶で、粉末状であるため、予め乾燥状態で混合しておくことができる。前記組成物が増粘剤を含有することにより、組成物の塗布作業性や基材への接着性を向上できる。
や基材への接着性がより良好となる。
前記組成物は、無機質粉体を含有してもよい。無機質粉体は、粒径約100μm以下の各種無機質粉体を用いることができ、例えばドロマイトプラスター、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー等を用いることができる。これらの無機質粉体は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。吸湿しやすい粉体は、凝集又は凝塊化し易いので、選定の際はその点も考慮して使用材料の選定ならびに配合量を決定すればよい。
前記組成物は、有機質粉体を含有することが好ましい。有機質粉体は、粘性の改良のために添加されるものであり、公知の建築用壁材に用いられる各種の有機質粉体を用いることができる。有機質粉体の中でも、有機質繊維であることが好ましい。
前記組成物は、必要に応じて、作業性を良くするための作業性改良材、天然のホウ酸カルシウム(コレマナイト)等の防黴剤、ホルムアルデヒド等の有害ガスを吸着するためのガス吸着剤、着色するための顔料、難燃性をより向上させるための難燃剤(ハロゲン化合物系、リン系、窒素系、シリコーン化合物、無機化合物、イントメッセント系等)、難燃助剤等の添加剤を含有することができる。
前記組成物は、潜熱蓄熱物質を含む潜熱蓄熱材料を含有する。潜熱蓄熱物質は、温度が上昇すると熱を吸収して融解し、温度が下がると熱を放出して凝固するので、温度を一定時間所定の温度に保つのに適している。潜熱蓄熱物質としては、パラフィン化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族エーテル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコール、オレフィン系重合体、無機水和物等が挙げられる。潜熱蓄熱物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
、潜熱蓄熱材料の使用温度範囲を広げる点から、-20~50℃の温度範囲に融点を有するものが好ましい。融点は、JIS K 7121に準拠して示差走査熱量計(DSC)によって測定した際の結晶融解ピークにおける補外融解開始温度(Tim)である。
デカノール、1-テトラデカノール、7-テトラデカノール、1-オクタデカノール、1-エイコサノール、1,10-デカンジオール等が挙げられる。
が使用できる。
前記組成物は、前記各材料を特定範囲で含有し、その混合物を予め強制撹拌などで粉末混合することにより調製することができる。粉末混合の手法としては、公知の手法を適宜に採用すればよく、市販されている各種粉末混合機を用いてもよく、乾燥状態における各材料粉末を撹拌、振動、回転等を適宜に組み合わせて強制撹拌してもよい。
図2は、第2実施形態の一例に係る建築用壁材200の断面を模式的に示す概念図である。図2に示されるように、本発明の第2実施形態に係る建築用壁材200は、基材110上に、少なくとも、母材及び潜熱蓄熱材料を含有する第1の層120、少なくとも母材を含有する第2の層130をこの順に有している。図2中の点は、潜熱蓄熱材料を表している。
材料の含有量が少なく、建築用壁材200のより表面側に存在するので、建築用壁材の難燃性がより向上する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<潜熱蓄熱材料の作成>
脂肪酸エステル(潜熱蓄熱物質)、ポリウレタンウレア(被膜剤)からなる、マイクロカプセルを以下の方法にて作成した。
された体積平均粒子径は150μmであった。また、示差走査熱量測定計(DSC、NETZSCH社製、DSC 204 F1 Phoenix)を用いて、100℃において5分間保持した後、100℃から-50℃まで10℃/分の速度で冷却し、-50℃において5分間保持した後、-50℃から100℃まで10℃/分の速度で昇温して得られたマイクロカプセルの融解潜熱量は140J/g(潜熱蓄熱物質の理論含有量は70質量部)であった。
表1~表4に示す配合組成の合計量が10kgとなるように各材料をそれぞれ秤量してステンレス製容器内に投入し、上方から羽根攪拌機を用いて5分程度強制撹拌して混合した。得られた組成物をポリプロピレン製袋内に封入して保存した。表1~表4中、組成物組成の数値は「質量%」を表す。
このようにして得られた各組成物を用いて建築用壁材を作製した。具体的には、木造住宅の室内部分の内壁及び間仕切り壁の石膏ボードの目地部分に前記組成物を埋めるように塗付け、塗着表面の水分が引いた後、同じ組成物を塗付け、3mm程度となるように施工した。
表1~表4に記載の各評価試験は、以下のようにして行った。
発熱性試験では、「ISO 5660-1:2015 Reaction-to-fire tests」に従って、上記で得られた建築用壁材の総発熱量(MJ/m2)を求めた。その結果を表1及び表2に併せて示す。加熱開始後の10分間の総発熱量が8MJ/m2以下である場合、準不燃性と評価でき、加熱開始後の5分間の総発熱量が8MJ/m2以下である場合、難燃性と評価することができる。なお、表1~表4に示す総発熱量は、準不燃性である場合、加熱時間10分時の総発熱量を表し、難燃である場合、加熱時間5分時の総発熱量を表す。
蓄熱性試験は、特開2015-118012号公報記載されている試験方法に準拠し、以下の試験条件(昇温速度、降温速度、一定温度保持時間)にて蓄熱性(kJ/m2)を測定した。その結果を表1~表4に併せて示す。蓄熱性が30kJ/m2以上であれば建築用壁材として十分な蓄熱性を有すると評価することができる。
(試験条件)
・0℃で2時間保持
・3℃/時間で50℃まで昇温
・50℃で2時間保持
・3℃/時間で0℃まで降温
・0℃で2時間保持
調湿性試験は、JIS A 6909(建築用仕上塗材)の「7.29 吸放湿性試験」に従って行った。その結果を表1~表4に併せて示す。調湿性が70g/m2以上であれば建築用壁材として十分な調湿性を有すると評価することができる。
ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド放散速度は、JIS A 1901の小型チャ
ンバー法に準じて行った。まず、56cm2のガラスシャーレに上記で得られた組成物15gを均等に敷き詰めた測定用サンプルを準備した。測定には、温度28℃±1℃、相対湿度50%±5%の恒温室に設定した小型チャンバーを用いた。換気回数は、0.5回/hrとなるように設定し、捕集管(ジーエルサイエンス社、商品名「GL-Pak mini AERO DNPH」)により容器より排出される空気を10L捕集し、アセトニトリルで抽出し、高速液体クロマトグラフにより分析し放散速度を測定した。その結果を表1~表4に併せて示す。
下表1~下表4に、各組成物の組成及び評価結果を示す。
・珪藻土:商品名「ゼムライトスーパーM」、白山工業株式会社製
・シラス:商品名「ウインライト」、株式会社アクシーズケミカル製
・半水石膏:商品名「半水石膏 β型 SB」、株式会社ノリタケカンパニーリミテド
・消石灰:商品名「特選消石灰」、宮田石灰株式会社製
・PCM:上記で作製した潜熱蓄熱材料
・骨材:商品名「ゼオフィル#1632」、新東北化学工業株式会社製 商品名「加工用5号」、三井金属鉱業株式会社製
・無機質粉体:商品名「ミクロンカルMC-100」、旭鉱末株式会社製 商品名「タンカル-0.7」、旭鉱末株式会社製
・有機質粉体:商品名「パルプフロック」、株式会社山田洋治商店製
同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
Claims (9)
- 基材上に、
少なくとも、母材及び潜熱蓄熱材料を含有する第1の層を有し、
前記第1の層は、組成物から形成されたものであり、
前記組成物が、少なくとも、珪藻土又はシラスを5~40質量%、半水石膏及び/又は消石灰を0.5~45質量%、前記潜熱蓄熱材料を10~30質量%、無機質粉体を1~55質量%、及び有機質粉体を1~10質量%含有し、
前記第1の層中の前記潜熱蓄熱材料の含有量が、10~30質量%である、建築用壁材。 - 基材上に、
少なくとも、母材及び潜熱蓄熱材料を含有する第1の層、
少なくとも母材を含有する第2の層をこの順に有し、
前記第1の層は、組成物から形成されたものであり、
前記組成物が、少なくとも、珪藻土又はシラスを5~40質量%、半水石膏及び/又は消石灰を0.5~45質量%、前記潜熱蓄熱材料を10~30質量%、無機質粉体を1~55質量%、及び有機質粉体を1~10質量%含有し、
前記第1の層中の前記潜熱蓄熱材料の含有量が、15~30質量%である、建築用壁材。 - 前記第2の層が、潜熱蓄熱材料をさらに含有し、
前記第2の層中の前記潜熱蓄熱材料の含有量が、前記第1の層中の前記潜熱蓄熱材料の含有量よりも小さい、請求項2に記載の建築用壁材。 - 前記第2の層中の前記潜熱蓄熱材料の含有量が、0~10質量%である、請求項3に記載の建築用壁材。
- 前記母材が、珪藻土、シラス、半水石膏、石灰、骨材、増粘剤、無機質粉体及び有機質粉体から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の建築用壁材。
- 前記潜熱蓄熱材料が、マイクロカプセルに潜熱蓄熱物質を内包させた粒子であり、該粒子の体積平均粒子径が1~500μmである、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の建築用壁材。
- 前記潜熱蓄熱物質が、パラフィン化合物及び脂肪酸エステルから選ばれた1種である、請求項6に記載の建築用壁材。
- 前記第2の層が、組成物から形成されたものであり、
前記組成物が、少なくとも、珪藻土又はシラスを5~40質量%、半水石膏及び/又は消石灰を0.5~45質量%、前記潜熱蓄熱材料を0~10質量%、無機質粉体を1~55質量%、及び有機質粉体を1~10質量%含有する、請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の建築用壁材。 - 前記基材が、石膏ボード、コンクリート、ベニア又は合板である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の建築用壁材。
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