JP2013193331A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 両最表層がエステル環状三量体の含有量0.5重量%以下のポリエステル80重量%以上から構成された厚み4μm以上の層であり、少なくとも3層以上の積層構造を有する、厚み45〜200μmの積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂と酸化チタン粒子を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
イソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
塗布層を形成する塗布液中における4級アンモニウム塩基含有ポリマーの配合量は20重量%〜70重量%の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは40重量%〜70重量%の範囲であるのがよい。当該範囲を外れる場合、所望するエステル環状三量体の封止効果を得るのが困難になる場合がある。また、より良好な塗布外観で、エステル環状三量体の析出を封止するため、メラミン化合物やポリビニルアルコールを併用する事が好ましい。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定した。
TEM(Hitachi社製 H−7650、加速電圧100V)を使用して塗布層を観察し、粒子10個の粒径の平均値を平均粒径とした。
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させる。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加える。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のエステル環状三量体量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、含有エステル環状三量体量(重量%)とする。DMF中のエステル環状三量体量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
試料フィルムをJIS−K−7136に準じ、村上色彩技術研究所製ヘーズメーター「HM−150」により、フィルムヘーズを測定した。
あらかじめ、未処理の積層ポリエステルフィルムを空気中、150℃で90分間加熱する。その後、熱処理をした当該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面に出来るだけ密着させて箱形の形状とする。このとき、A面が外側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のエステル環状三量体量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面のエステル環状三量体量(mg/m2)とした。なお、DMF中のエステル環状三量体量は上記(3)ポリエステル原料に含有される含有エステル環状三量体量の測定方法に記載の絶対検量線法に従い算出した。
積層ポリエステルフィルムにおいて、B面に、アルゴンガス95%と酸素ガス5%とからなる0.4Paの雰囲気下で、酸化インジウム95重量%、酸化スズ5重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ25nmの ITO膜(透明導電性薄膜)を形成した。また、ITO膜は150℃×1時間の加熱 処理により結晶化させた。
得られたフィルムの透明性・視認性について、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
○:透明性・視認性良好(実用上、問題ないレベル)
×:透明性・視認性不良(実用上、問題あるレベル)
150℃、2時間加熱したフィルムに芯なし両面粘着材を貼り、反対面にフィルムを張り合わせ判定を行った。尚、貼り合わせ時には、ローラーを使用した。
《判定基準》
○:シワが入らず特に良好(実用上、問題ないレベル)
×:シワが入り不良(実用上、問題あるレベル)
A4カット判サイズのフィルムサンプルをループ状に曲げ、そのループの直径方向
を押しつぶしたときのロードによって、コシの強弱を評価した。
《判定基準》
○:フィルムのコシが弱くシート柔軟性が良好(実用上、問題ないレベル)
×:フィルムのコシが強くシート柔軟性が不良(実用上、問題あるレベル)
A面の表面をRuO4で染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuO4染色し、塗布層断面をTEM(Hitachi社製 H−7650、加速電圧100V)を用いて測定した。
あらかじめ、ポリエステルフィルムの測定裏面に黒テープ(ニチバン株式会社製、ビニールテープVT−50)を貼り、分光光度計(日本分光株式会社製、紫外可視分光光度計V−570、および自動絶対反射測定装置AM−500N)を使用して同期モード、入射角5°、N偏光、レスポンスFast、データ取区間隔1.0nm、バンド幅10nm、走査速度1000nm/minでA面を波長範囲400〜800nmの絶対反射率を測定した。
ポリエステルフィルムのA面に、ジペンタエリスリトールアクリレート60重量部、1,6−ヘキサンジオールアクリレート15重量部、五酸化アンチモン25 重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカル製)1重量部、メチルエチルケトン200重量部の混合塗液を乾燥膜厚が5μmになるように塗布し、紫外線を照射して硬化させ、ポリエステルフィルムと同等の屈折率を有するハードコート層を形成した。得られたフィルムを3波長域型蛍光灯下にて、目視にて干渉ムラを観察し、干渉ムラが確認できないものを◎、薄くまばらな干渉ムラが確認されるものを○、薄いが線状の干渉ムラが確認できるものを△、明瞭な干渉ムラが確認されるものを×とした。
密着性の評価を行うために、上記(10)の評価で使用したハードコート液から五酸化アンチモンを除いた材料で検討した。すなわち、ジペンタエリスリトールアクリレート80重量部、1,6−ヘキサンジオールアクリレート20重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカル製)5重量部、メチルエチルケトン200重量部の混合塗液を乾燥膜厚が5μmになるように塗布し、紫外線を照射して硬化させハードコート層を形成した。得られたフィルムに対して、60℃、90%RHの環境下で100時間後、10×10のクロスカットをして、18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18を貼り付け、180°の剥離角度で急激に剥がした後の剥離面を観察し、剥離面積が3%未満ならば◎、3%以上10%未満なら○、10%以上50%未満なら△、50%以上なら×とした)
[ポリエステル(A1)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A1)の極限粘度は0.65、エステル環状三量体の含有量は0.97重量%であった。
ポリエステル(A1)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.75、エステル環状三量体含有量0.46重量%のポリエステル(A2)を得た。
ポリエステル(A1)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加後、平均粒子径1.6μmのエチレングリコールに分散させたシリカ粒子を0.2重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A−1)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(A3)を得た。得られたポリエステル(A3)は、極限粘度0.65、エステル環状三量体含有量0.82重量%であった。
(化合物例)
・ポリエステル樹脂(A4)
下記の組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・縮合多環式芳香族を有するポリエステル樹脂(A5)
下記の組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6−ナフタレンジカルボン酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)ジエチレングリコール変性ビスフェノールA/エチレングリコール変性ビスフェノールA=94/6//90/10(mol%)
ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX−521(ナガセケムテックス製)
・エポキシ化合物(B1B)
エポキシ樹脂である、デナコールEX−1410(ナガセケムテックス製)
・エポキシ化合物(B1C)
エポキシ樹脂である、デナコールEX−1610(ナガセケムテックス製)
・オキサゾリン化合物(B2)
オキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー、エポクロスWS−500(日本触媒製)
・イソシアネート化合物(B3)
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸からなる平均分子量1000のポリエステル200重量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6重量部からなるポリイソシアネートのイソシアネート基を重亜硫酸ナトリウム84重量部でブロックして得られる、ポリエステル樹脂含有ブロックイソシアネート系化合物
・ヘキサメトキシメチルメラミン(B4)
・4級アンモニウム塩基含有ポリマー(D):
2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー
対イオン:メチルスルホネート 数平均分子量:30000
・ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー(E):
ポリエチレングリコール含有モノアクリレートポリマー 数平均分子量:20000
・粒子(C2):アルミナ表面変性コロイダルシリカ(平均粒径:0.05μm)
・バインダー(F):ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、重合度500)
上記ポリエステル(A2)、(A3)、をそれぞれ85重量%、15重量%の割合で混合した混合原料を表層の原料とし、ポリエステル(A1)100重量%の原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層で、表層:中間層:表層の厚み構成比が6:38:6になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.6倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面(A面)に下記表1に示す塗布液1を乾燥後膜厚が0.1μmとなるように塗布し、もう片面(B面)に4級アンモニウム塩基含有ポリマー(D)、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー(E)、ヘキサメトキシメチルメラミン(B4)、粒子(C2)、バインダー(F)の化合物を塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として30、10、40、10、10重量%となるように混合した塗付液を乾燥後膜厚が0.03μmとなるように塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.7倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、フィルムをロール上に巻き、厚さ50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、厚み構成比を4:42:4と変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、A面に塗布する塗布剤1を表1に示す塗布液2〜22に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、厚み構成比を3:44:3と変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、表層の原料としてポリエステル(A2)、(A3)、をそれぞれ70重量%、30重量%の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、厚み構成比を5:13:5とし、積層ポリエステルフィルムとしたときの厚みを23μmとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、厚み構成比を7:236:7とし、積層ポリエステルフィルムとしたときの厚みを250μmとした以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、A面に塗布する塗布剤1を表に示す塗布液23〜25に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
実施例1において、A面に塗布液を塗布しないこと以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表2、3に示す。
Claims (1)
- 両最表層がエステル環状三量体の含有量0.5重量%以下のポリエステル80重量%以上から構成された厚み4μm以上の層であり、少なくとも3層以上の積層構造を有する、厚み45〜200μmの積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂と酸化チタン粒子を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
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