JP2013193026A - 炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法 - Google Patents

炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013193026A
JP2013193026A JP2012062418A JP2012062418A JP2013193026A JP 2013193026 A JP2013193026 A JP 2013193026A JP 2012062418 A JP2012062418 A JP 2012062418A JP 2012062418 A JP2012062418 A JP 2012062418A JP 2013193026 A JP2013193026 A JP 2013193026A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrocarbon oil
metal oxide
composite metal
catalyst
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012062418A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5901061B2 (ja
Inventor
Tomohito Furuta
智史 古田
Masataka Torai
正孝 戸來
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Eneos Corp
Original Assignee
Japan Petroleum Energy Center JPEC
JX Nippon Oil and Energy Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Petroleum Energy Center JPEC, JX Nippon Oil and Energy Corp filed Critical Japan Petroleum Energy Center JPEC
Priority to JP2012062418A priority Critical patent/JP5901061B2/ja
Publication of JP2013193026A publication Critical patent/JP2013193026A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5901061B2 publication Critical patent/JP5901061B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

【課題】水の存在下で炭化水素油を分解する際に用いられる触媒であって、複合金属酸化物を触媒活性成分として含み、且つ、機械的強度および反応系内での安定性が高い炭化水素油分解用触媒を製造する方法を提供する。また、その製造方法を用いて調製した炭化水素油分解用触媒を使用して炭化水素油を分解する方法を提供する。
【解決手段】炭化水素油の分解に用いられる炭化水素油分解用触媒の製造方法であって、炭化水素油分解用触媒は、複合金属酸化物を含み、複合金属酸化物と、亜鉛を含む酸性溶液との混合物を調製する混合工程と、混合物を焼成して炭化水素油分解用触媒を調製する焼成工程とを含む、炭化水素油分解用触媒の製造方法である。また、水の存在下で、炭化水素油と、炭化水素油分解用触媒とを接触させて炭化水素油を分解する、炭化水素油の分解方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法に関し、特には、系外から水素を供給することなく炭化水素油を分解して軽質化する際に用いられる触媒の製造方法、および、その製造方法を用いて調製した触媒を使用して炭化水素油を分解する方法に関するものである。
従来、重質炭化水素油を分解して軽質化することにより、石油化学製品の原料や燃料油等として有用な軽質炭化水素油と、燃料ガス等として有用な軽質炭化水素ガスとを得る方法として、水素化分解法、熱分解法および流動接触分解法が知られている。
ここで、水素化分解法とは、高温・高圧の水素雰囲気中で重質炭化水素油と水素化触媒とを接触させることにより、重質炭化水素油を軽質化する方法である(例えば、特許文献1参照)。また、熱分解法とは、高温条件下で炭化水素分子を熱分解することにより、触媒を用いることなく重質炭化水素油を軽質化する方法である(例えば、特許文献2参照)。更に、流動接触分解法とは、流動している触媒と重質炭化水素油とを接触させることにより、重質炭化水素油を軽質化する方法である(例えば、特許文献3参照)。
しかし、水素化分解法には、分解反応に大量の高圧水素ガスを使用するため、大規模な水素ガス製造設備が必要であり、コストが増大するという問題があった。また、熱分解法には、大量のコークスが発生すると共に、芳香環の開裂が殆ど起こらないために軽質炭化水素油の製造効率が悪く、重質炭化水素油を十分に分解し得ないという問題があった。更に、流動接触分解法には、装置の運転コストが高いという問題があった。
また、水素化分解法では、水素化触媒の劣化(被毒)を防止するために重質炭化水素油を予め脱硫および脱窒素しておく必要があった。更に、熱分解法および流動接触分解法では、炭化水素油の脱硫反応および脱窒素反応が殆ど起こらないため、水素化分解法と同様に重質炭化水素油を予め脱硫および脱窒素しておく必要があった。即ち、水素化分解法、熱分解法および流動接触分解法には、重質炭化水素油の前処理が必要であるという問題があった。
特開2008−297452号公報 特開2009−102471号公報 特開平8−269464号公報
そこで、本発明者は、炭化水素油を予め脱硫および脱窒素することなく、且つ、高圧水素ガスを使用することなく、低コストで効率的に炭化水素油を軽質化することができる方法を提供することを目的として鋭意研究を行った。そして、本発明者は、所定の複合金属酸化物を触媒活性成分として含む炭化水素油分解用触媒を用いることにより、反応系外から水素を供給することなく、水の存在下で炭化水素油を分解して軽質化し得ることを新たに見出した。
ところで、石油精製プラント等において触媒を用いて炭化水素油を工業的に軽質化する場合、反応容器内で炭化水素油の分解反応(軽質化反応)を所望した通りに進める観点からは、反応容器内に充填される触媒が、触媒充填時や分解反応中に損壊または変性しないことが必要である。即ち、工業的な炭化水素油の分解に使用される触媒には、高い機械的強度と、反応系内における安定性とが要求される。そのため、複合金属酸化物を触媒活性成分として含む上記炭化水素油分解用触媒についても、工業的に使用する際には、触媒の機械的強度と、反応系内における安定性とを高める必要がある。
ここで、例えば特開2001−314770号公報(特許文献4)では、炭化水素油を工業的に水素化分解する際に、機械的強度および反応系内での安定性が高い担体に触媒活性成分を担持させてなる触媒を用いている。具体的には、特許文献4では、炭化水素油を水素化分解する際に使用する水素化触媒として、亜鉛を含有する含亜鉛アルミナ担体に触媒活性成分を担持してなる触媒を用いている。そして、この特許文献4に記載の水素化触媒によれば、含亜鉛アルミナ担体の使用により触媒の機械的強度および反応系内での安定性を高めることができるので、炭化水素油の水素化分解を所望した通りに進めることができる。
しかし、複合金属酸化物を触媒活性成分として含む上記炭化水素油分解用触媒は、高温高圧の水(水蒸気)の存在下で使用される。そのため、上記炭化水素油分解用触媒の触媒活性成分は、上述したような含亜鉛アルミナ担体やシリカ担体等の担体に担持して用いることができない。γアルミナやシリカは、高温高圧の水蒸気により結晶構造が大きく変化してしまう(即ち、反応系内での安定性が低い)からである。一方、担体を用いることなく、複合金属酸化物よりなる触媒活性成分のみを用いて炭化水素油分解用触媒を成形した場合には、十分な機械的強度が得られない。
そのため、複合金属酸化物を触媒活性成分として含む上記炭化水素油分解用触媒について、触媒の機械的強度および反応系内での安定性を高める手法を確立することが求められていた。
そこで、本発明は、水の存在下で炭化水素油を分解する際に用いられる触媒であって、複合金属酸化物を触媒活性成分として含み、且つ、機械的強度および反応系内での安定性が高い炭化水素油分解用触媒を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、その製造方法を用いて調製した炭化水素油分解用触媒を使用して炭化水素油を分解する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、触媒活性成分である複合金属酸化物と、亜鉛を含有する酸性溶液との混合物を焼成することにより、機械的強度および反応系内での安定性が高い炭化水素油分解用触媒を製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法は、炭化水素油の分解に用いられる炭化水素油分解用触媒の製造方法であって、前記炭化水素油分解用触媒は、複合金属酸化物を含み、前記複合金属酸化物と、亜鉛を含む酸性溶液との混合物を調製する混合工程と、前記混合物を焼成して炭化水素油分解用触媒を調製する焼成工程とを含むことを特徴とする。
ここで、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法は、前記混合工程において、混練により混合物を調製することが好ましい。
また、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法は、前記亜鉛を含む酸性溶液が、硝酸亜鉛水溶液であることが好ましい。
なお、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、前記硝酸亜鉛水溶液の硝酸亜鉛濃度が、1〜10質量%であることが更に好ましい。
更に、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法は、前記複合金属酸化物が、
(A)ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物と、
(B)擬ブルッカイト型構造を有する複合金属酸化物と、
(C)IVA族元素から選択される1種の元素Xと、IIIA族元素、VIA族元素およびVIIA族元素、並びに、第4〜6周期のIVA族元素および第4周期のVIII族元素からなる群より選択され、且つ、前記元素Xとは異なる1種の元素Yと、IIIA族元素、VIA族元素およびVIIA族元素、並びに、第4〜6周期のIVA族元素および第4周期のVIII族元素からなる群より選択され、且つ、前記元素Xおよび前記元素Yとは異なる1種の元素Yとを含有し、元素Yの存在量(y)と元素Yの存在量(y)との合計(y+y)に対する元素Xの存在量(x)の比(x/(y+y))が、0.5以上2.0以下であり、元素Yの存在量(y)に対する元素Yの存在量(y)の比(y/y)が、0.02以上0.25以下である複合金属酸化物と、
からなる群より選択される少なくとも一つからなることが好ましい。
なお、本発明において、「元素の存在量」は、複合金属酸化物を溶解して得た溶液をICP発光分光分析法で分析し、得られた測定値から複合金属酸化物中の各元素の金属単体換算でのモル濃度を算出することにより求めることができる。そして、「元素の存在量の比(モル比)」は、算出した各元素のモル濃度の比を算出することにより求めることができる(以下、元素の存在量の比の算出方法を「融解/ICP−AES法」と称する場合がある。)。
なお、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、前記ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物が、LaAlO、NiTiO、CoTiO、KTiO、BaTiO、SrTiO、および、これらの複合金属酸化物の金属元素の一部を他の金属元素で置換した複合金属酸化物からなる群より選択されることが好ましい。
また、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、前記擬ブルッカイト型構造を有する複合金属酸化物が、FeTiOであることが好ましい。
更に、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、前記元素Xがジルコニウムであり、前記元素Yがセリウムであり、前記元素Yがタングステン、鉄およびマンガンからなる群より選択される1種であることが好ましい。
そして、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法は、前記炭化水素油分解用触媒が、無機酸化物よりなるバインダーを更に含み、前記バインダーは、Al含有量が1質量%以下であり、且つ、Si含有量が1質量%以下であり、前記混合工程において、前記複合金属酸化物と、前記亜鉛を含む酸性溶液と、前記バインダーとの混合物を調製することが好ましい。
なお、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、前記無機酸化物が、二酸化チタンであることが好ましい。
ここで、本発明において、「Al含有量」および「Si含有量」は、バインダーを溶解して得た溶液をICP発光分光分析法で分析することにより求めることができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の炭化水素油の分解方法は、水の存在下で、炭化水素油と、上述した炭化水素油分解用触媒の製造方法の何れかを用いて製造した炭化水素油分解用触媒とを接触させて、炭化水素油を分解することを特徴とする。
本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法によれば、水の存在下で炭化水素油を分解する際に用いられる触媒であって、複合金属酸化物を触媒活性成分として含み、且つ、機械的強度および反応系内での安定性が高い炭化水素油分解用触媒を製造することができる。また、本発明の炭化水素油の分解方法によれば、原料となる炭化水素油を予め脱硫および脱窒素することなく、且つ、高圧水素ガスを使用することなく、低コストで効率的に炭化水素油を分解することができる。
本発明に従う代表的な炭化水素油分解用触媒の製造方法を用いて炭化水素油分解用触媒を製造する際の製造工程を示すフロー図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。ここで、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法は、複合金属酸化物と、亜鉛を含有する酸性溶液との混合物を焼成して炭化水素油分解用触媒を形成することを特徴とする。そして、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法に従い製造された炭化水素油分解用触媒は、反応系外から水素を供給することなく、水の存在下で炭化水素油を分解して炭化水素油を軽質化する際に用いられる。
<炭化水素油分解用触媒>
本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法を用いて製造される炭化水素油分解用触媒は、水の存在下で系外から水素を供給することなく炭化水素油を分解する反応に対して触媒作用を発揮する成分(炭化水素油分解反応に対する触媒活性成分)として、複合金属酸化物を含むことを特徴とする。なお、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法を用いて製造される炭化水素油分解用触媒は、任意に、所定の無機酸化物よりなるバインダーを含んでいてもよい。
ここで、複合金属酸化物とは、2種以上の金属酸化物が複合して生ずる酸化物である。そして、上記複合金属酸化物としては、特に限定されることなく、(A)ペロブスカイト型構造(灰チタン石型構造)を有する複合金属酸化物、(B)擬ブルッカイト型構造(擬板チタン石型構造、「シュードブルッカイト型構造」と称されることもある。)を有する複合金属酸化物、(C)所定の元素X、YおよびYを含む複合金属酸化物、或いは、これらの複合金属酸化物(A)〜(C)の混合物を挙げることができる。
なお、複合金属酸化物の結晶構造は、例えばX線回折分析を用いて評価することができる。
ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物としては、一般式:ABOで表される複合金属酸化物や、該複合金属酸化物ABOのAサイト元素およびBサイト元素の少なくとも一方の一部を他の元素で置換してなる複合金属酸化物を挙げることができる。具体的には、ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物としては、下記一般式(1):
1−xA’1−yB’3−δ ・・・(1)
[式中、Aは、IA族元素、IIA族元素、IIIA族元素およびVIII族元素からなる群より選択される1種の元素を示し、A’は、VA族元素およびIIIB族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、Bは、IIIB族元素およびIVA族元素からなる群より選択される1種の元素を示し、B’は、VA族元素およびIIIB族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、A、A’、B、B’は互いに異なる元素であり、xは、元素A’の原子割合であり、yは、元素B’の原子割合であり、δは、酸素欠損量を示す。]
で表される酸化物を挙げることができる。なお、酸素欠損量とは、一般式(1)で表される酸化物が電気的に中性になる数である。
因みに、上記一般式(1)においてAサイト元素やBサイト元素の一部を他の元素A’,B’で置換した複合金属酸化物とする場合には、元素A’の原子割合xは、0.4以下(0≦x≦0.4)であることが好ましく、x=0である(即ち、Aサイト元素は置換せず、Bサイト元素のみを置換する)ことが更に好ましい。また、元素B’の原子割合yは、0.4以下(0≦y≦0.4)であることが好ましく、0.35以下(0≦y≦0.35)であることがより好ましく、0.25以下(0≦y≦0.25)であることがさらに好ましい。各元素A’,B’の原子割合が増加し過ぎると、ペロブスカイト型構造を維持するのが困難になる場合があるからである。
また、Bサイト元素は、Aサイト元素がIIIA族元素の場合にはIIIB族元素からなる群より選択される1種の元素であることが好ましい。更に、Bサイト元素は、Aサイト元素がIA族元素、IIA族元素またはVIII族元素の場合にはIVA族元素からなる群より選択される1種の元素であることが好ましい。
より具体的には、ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物としては、LaAlO、NiTiO、CoTiO、KTiO、BaTiO、SrTiO、或いは、これらの複合金属酸化物の金属元素(Aサイト元素およびBサイト元素)の一部を他の金属元素で置換した複合金属酸化物を挙げることができる。
また、擬ブルッカイト型構造を有する複合金属酸化物としては、特に限定されることなく、FeTiOを挙げることができる。
更に、所定の元素Xと、所定の元素Yと、所定の元素Yとを含む複合金属酸化物としては、
(a)IVA族元素から選択される1種の元素Xと、
(b)IIIA族元素、VIA族元素およびVIIA族元素、並びに、第4〜6周期のIVA族元素および第4周期のVIII族元素からなる群より選択される1種の元素Y(但し、元素Xとは異なる元素である。)と、
(c)IIIA族元素、VIA族元素およびVIIA族元素、並びに、第4〜6周期のIVA族元素および第4周期のVIII族元素からなる群より選択される1種の元素Y(但し、元素Xおよび元素Yとは異なる元素である。)と、
の3種の金属元素を所定の比率で含有している複合金属酸化物を挙げることができる。
ここで、上記「所定の比率」としては、融解/ICP−AES法により求めた複合金属酸化物中の各元素X,Y,Yの存在量の比(モル比)が、
(d)元素Yの存在量yと元素Yの存在量yとの合計(y+y)に対する元素Xの存在量xの比が、0.5以上2.0以下(0.5≦x/(y+y)≦2.0)となり、
(e)元素Yの存在量yに対する元素Yの存在量yの比が、0.02以上0.25以下(0.02≦y/y≦0.25)となる、
比率を挙げることができる。
より具体的には、元素X、元素Y、元素Yとしては、特に限定されることなく、Ti、Zr、Ce、W、Mn、Feなどを挙げることができる。そして、これらの元素を元素X、元素Yまたは元素Yとした複合金属酸化物としては、例えば、元素XとしてZr、元素YとしてCe、元素YとしてW、FeまたはMnを含む複合金属酸化物を挙げることができる。
因みに、元素Xと、元素Yと、元素Yとを含む複合金属酸化物では、元素Xがジルコニウム(Zr)であることが特に好ましい。元素XをZrとすれば、高温高圧の条件下で炭化水素油分解用触媒を使用した場合であっても、複合金属酸化物の構造を維持することができるからである。即ち、元素XがZrからなる複合金属酸化物では、炭化水素油の水素化分解に使用される、水熱合成されたゼオライトや、シリカや、γ−アルミナからなる水素化触媒のように、高温高圧の水蒸気により触媒活性成分の結晶構造が大きく変化して触媒が使用不能となることがない。また、触媒活性成分の劣化が起こりにくく、炭化水素油を前処理(脱硫および脱窒素)する必要がない。なお、複合金属酸化物の構造を確実に維持する観点からは、複合金属酸化物中の全ての金属元素の存在量mに対する元素Xの存在量xのモル比(x/m)は、0.55以上であることが好ましく、0.60以上であることが更に好ましい。
なお、上述した複合金属酸化物は、共沈法やゾル−ゲル法等の既知の手法を用いて調製することができる。具体的には、例えば共沈法を用いる場合には、特に限定されることなく例えば以下のようにして複合金属酸化物を調製することができる。
(i)まず、複合金属酸化物を構成する金属元素を含む水溶液を調製する。
(ii)次に、調製した水溶液に対し、アンモニア水や、炭酸ナトリウム水溶液などの共沈剤を、水溶液のpHがアルカリ側に偏らないように(例えばpHが5〜8の範囲となるように)調整しながら滴下し、共沈殿物を生成させる。
(iii)そして最後に、得られた沈殿をろ過および乾燥した後、乾燥した沈殿を焼成して複合金属酸化物とする。
ここで、上記(iii)において沈殿を乾燥する温度は、水分を効率的に蒸発させる観点からは100℃以上であることが好ましく、急激な乾燥を防止する観点からは160℃以下であることが好ましい。また、乾燥した沈殿を焼成する温度は、生成する複合金属酸化物の構造安定性(即ち、触媒活性成分として使用して炭化水素油を分解した際の複合金属酸化物の構造変化の抑制)の観点からは500℃以上であることが好ましく、生成する複合金属酸化物の表面積の減少を抑制する観点からは900℃以下であることが好ましい。
また、所定の無機酸化物よりなるバインダーとは、複合金属酸化物と、亜鉛を含有する酸性溶液とを含む混合物の成形性を向上するためのものである。そして、バインダーとして用いる無機酸化物としては、特に限定されることなく、上記複合金属酸化物以外の無機酸化物、例えば二酸化チタンを挙げることができる。
なお、バインダーは、混合物を焼成してなる炭化水素油分解用触媒中に含有されることとなる。そのため、バインダーは、炭化水素油分解用触媒の使用条件下(高温高圧の水蒸気下)で安定な無機酸化物であることが必要である。従って、無機酸化物よりなるバインダーは、Al含有量が1質量%以下であり、且つ、Si含有量が1質量%以下である必要がある。Alの酸化物であるアルミナや、Siの酸化物であるシリカは、高温高圧の水蒸気下で変性するからである。因みに、バインダーは、AlおよびSiを実質的に含まないことが好ましい。
そして、上述した複合金属酸化物を含み、任意に、バインダーを更に含む炭化水素油分解用触媒は、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法に従い、例えば以下のようにして製造することができる。
<炭化水素油分解用触媒の製造方法>
図1に、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法の一例を用いて炭化水素油分解用触媒を製造する際の製造工程を示す。ここで、この一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、上述した複合金属酸化物と、上述したバインダーとを含む炭化水素油分解用触媒を製造する。
具体的には、この一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、図1に示すように、まず、ニーダーやバンバリーミキサー等の混練装置に、粒子状の複合金属酸化物と、粒子状の無機酸化物よりなるバインダーとを投入し、混練を開始する(S1)。次に、亜鉛を含む酸性溶液(以下「亜鉛含有酸性溶液」と称することがある。)を逐次添加しつつ、複合金属酸化物と、バインダーと、亜鉛含有酸性溶液とを混練し(S2)、複合金属酸化物と、バインダーと、亜鉛含有酸性溶液との混合物を得る(混合工程)。その後、任意に、得られた混合物を押出成形装置で押出成形し(S3)、ペレット状に成形する(成形工程)。そして最後に、得られたペレットを乾燥(S4)および焼成(S5)して、炭化水素油分解用触媒を調製する(焼成工程)。
なお、この一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、混練装置および押出成形装置の代わりにエクストルーダーを用いて混合工程および成形工程を連続的に実施してもよい。
ここで、亜鉛含有酸性溶液としては、特に限定されることなく、亜鉛を含有し、且つ、pHが3〜6の水溶液を用いることができる。具体的には、亜鉛含有酸性溶液としては、例えば硝酸亜鉛水溶液、硫酸亜鉛水溶液、塩化亜鉛水溶液を用いることができる。
また、混合工程において、複合金属酸化物と、バインダーと、亜鉛含有酸性溶液とを混練する条件は、複合金属酸化物と、バインダーと、亜鉛含有酸性溶液とが均一に分散した混合物を得ることができる任意の条件とすることができる。
ここで、混合工程において、亜鉛含有酸性溶液は、混練装置内に全量を一気に投入してもよいが、上述したように逐次添加し、或いは、一部(例えば総投入量の半量)を混練装置内に投入した後に残量を逐次添加することが好ましい。亜鉛含有酸性溶液の全量を混練装置内に一気に投入した場合、混合物がダマになり易く、複合金属酸化物と、バインダーと、亜鉛含有酸性溶液とが均一に分散した混合物を調製し難いからである。
また、混合工程において複合金属酸化物およびバインダーと混合する亜鉛含有酸性溶液の量は、得られる混合物の25〜35質量%とすることが好ましい。亜鉛含有酸性溶液の量を混合物の25〜35質量%とすれば、成形に適した水分含有量および流動性を有する混合物を得ることができるからである。
成形工程において混合物を押出成形する条件は、混合物を所望の形状のペレットに成形し得る任意の条件とすることができる。また、混合物を成形してなるペレットの形状は、円柱状などの任意の形状とすることができる。
更に、成形工程で得られたペレットの乾燥は、例えば温度110〜130℃の乾燥機内にペレットを5〜20時間放置することにより行うことができる。なお、ペレットは、含水率が10質量%以下になるまで乾燥することが好ましい。因みに、ペレットの含水率は、例えば水分計(島津製作所製、MOC63u等)を用いて、乾燥減量法により測定することができる。
また、乾燥させたペレットの焼成は、例えば温度500〜800℃の焼成炉内で、空気雰囲気下、ペレットを0.5〜5時間焼成することにより行うことができる。
そして、この一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法によれば、複合金属酸化物を含む混合物よりなるペレットを焼成しているので、炭化水素油分解反応に対する触媒活性成分として複合金属酸化物を含む炭化水素油分解用触媒を調製することができる。
また、この一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法によれば、亜鉛含有酸性溶液を含む混合物よりなるペレットを焼成しているので、機械的強度および反応系内での安定性が高い炭化水素油分解用触媒を調製することができる。
更に、この一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法によれば、所定の無機酸化物よりなるバインダーを用いているので、バインダーを使用しない場合と比較し、混合物の調製およびペレットの成形を容易に行うことができる。
ここで、炭化水素油分解用触媒の高い機械的強度は、亜鉛含有酸性溶液を含む混合物よりなるペレットを焼成した際にペレット中の亜鉛が酸化亜鉛(ZnO)となり、その酸化亜鉛が結合材として機能するために達成されると推察される。即ち、ペレット中に分散している亜鉛がペレットを焼成した際に酸化亜鉛となり、ペレット中の複合金属酸化物同士、バインダー同士、或いは、複合金属酸化物とバインダーとが酸化亜鉛を介して互いに強く結合されるため、高い機械的強度を有する炭化水素油分解用触媒が得られると推察される。
また、炭化水素油分解用触媒の反応系内での高い安定性は、亜鉛含有酸性溶液を含む混合物を焼成した際に生成する酸化亜鉛を利用して触媒の機械的強度を高めているために達成されると推察される。即ち、炭化水素油分解用触媒は高温高圧の水(水蒸気)の存在下で使用されるため、高温高圧の水蒸気下でも安定な(変性し難い)酸化亜鉛を結合材として用いれば、反応系内での触媒の安定性を高めつつ、触媒の機械的強度を高めることができると推察される。なお、酸化亜鉛は、炭化水素油分解用触媒の性質(例えば触媒表面の酸性質)への影響が少ない化合物であるという点においても結合材として適している。
因みに、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)の酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、酸化スズ)等を結合材として用いて触媒の機械的強度を高めようとした場合、それらの酸化物は高温高圧の水蒸気下では変性してしまうため、反応系内での触媒の安定性は低下してしまう。従って、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法に用いる混合物は、Al、Si、Snの含有量の合計が混合物の1質量%以下であることが好ましく、Al、Si、Snを実質的に含まないことが更に好ましい。また、混合物を焼成してなる炭化水素油分解用触媒は、Al、Si、Snの含有量の合計が炭化水素油分解用触媒の2質量%以下であることが好ましく、Al、Si、Snを実質的に含まないことが更に好ましい。
ここで、上述した亜鉛含有酸性溶液としては、硝酸亜鉛水溶液を用いることが好ましい。硝酸亜鉛は、硫酸亜鉛などと比較し、比較的低温(例えば、200〜300℃)でも熱分解して酸化亜鉛となるからである。また、硝酸亜鉛水溶液は、pHが3〜6程度であるため、炭化水素油分解用触媒の調製に使用する装置(例えば、混練装置等)が腐蝕し難いからである。
なお、硝酸亜鉛水溶液の硝酸亜鉛濃度は、1〜10質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることが更に好ましい。前述した通り、成形に適した水分含有量および流動性を有する混合物を得る観点からは硝酸亜鉛水溶液の使用量は自ら制限されるところ、硝酸亜鉛濃度を1質量%以上とすれば、触媒の機械的強度を十分に高めることができるからである。また、硝酸亜鉛濃度を10質量%超とすると、硝酸亜鉛の使用量の増加に伴い触媒の製造コストが増加し、経済的に不利だからである。
ここで、上記一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、混合工程において複合金属酸化物、バインダーおよび亜鉛含有酸性溶液を混練して混合物を調製し、その後、混合物を押出成形してペレットを作製した。しかし、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、複合金属酸化物およびバインダーを亜鉛含有酸性溶液に含浸して、複合金属酸化物、バインダーおよび亜鉛含有酸性溶液の混合物を調製してもよい。具体的には、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、粒子状の複合金属酸化物および粒子状の無機酸化物よりなるバインダーを、必要に応じて水を添加しつつ混練し、得られた混練物を、必要に応じてペレット状に押出成形した後、亜鉛含有酸性溶液に含浸することにより、複合金属酸化物、バインダーおよび亜鉛含有酸性溶液の混合物を調製してもよい。但し、複合金属酸化物およびバインダーを亜鉛含有酸性溶液に含浸して複合金属酸化物、バインダーおよび亜鉛含有酸性溶液の混合物を調製した場合、混合物を焼成して得た炭化水素油分解用触媒は、表面の大部分が酸化亜鉛で覆われ、触媒の表面に存在する触媒活性成分の量が減少する(即ち、触媒活性が低下する)。従って、十分に高い触媒活性を確保する観点からは、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、混練により混合物を調製することが好ましい。
また、上記一例の炭化水素油分解用触媒の製造方法では、混合工程において複合金属酸化物、バインダーおよび亜鉛含有酸性溶液を混練して混合物を調製し、複合金属酸化物およびバインダーを含む炭化水素油分解用触媒を製造した。しかし、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法において、複合金属酸化物のみを含有する炭化水素油分解用触媒を製造する場合には、混合工程では、複合金属酸化物と亜鉛含有酸性溶液とを混合して混合物を調製してもよい。
<炭化水素油の分解方法>
そして、上述のようにして調製した炭化水素油分解用触媒は、本発明の炭化水素油の分解方法に従い炭化水素油を工業的に分解(軽質化)して軽質炭化水素油を製造する際に用いることができる。
ここで、本発明の炭化水素油の分解方法を用いて軽質炭化水素油を製造する際に原料として用いる炭化水素油としては、特に限定されることなく、石油精製時に得られる常圧蒸留残油や減圧蒸留残油などの重質炭化水素油を挙げることができる。具体的には、軽質炭化水素油の原料となる炭化水素油としては、常圧蒸留における50容量%留出温度(T50)が150℃以上550℃以下の炭化水素油や、T50が200℃以上550℃以下の炭化水素油や、T50が250℃以上550℃以下の炭化水素油を挙げることができる。
そして、本発明の炭化水素油の分解方法は、原料となる炭化水素油を分解して軽質炭化水素油にする反応器と、原料となる炭化水素油を反応器内へ供給する原料供給手段と、水を反応器内へ供給する水供給手段とを備える軽質炭化水素油製造装置を用いて実施することができる。
具体的には、本発明の炭化水素油の分解方法を用いた炭化水素油の分解(軽質化)は、上述した炭化水素油分解用触媒を充填した反応器内に炭化水素油および水を供給し、水の存在下で、炭化水素油と、炭化水素油分解用触媒とを接触させることにより行うことができる。
ここで、上述した炭化水素油分解用触媒と炭化水素油とを水の存在下で接触させることにより炭化水素油を分解することができる理由は、明らかではないが、前述したような複合金属酸化物、特にペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物や、擬ブルッカイト型構造を有する複合金属酸化物や、所定の元素X、YおよびYを含む複合金属酸化物は、格子酸素の供給速度が高く、水を分解して酸素および水素を放出する能力が高いためであると推察される。即ち、これらの複合金属酸化物は、水を水素源として利用して重質炭化水素化合物を分解する際に、炭化水素化合物の一部と水とが下記反応式に示すように反応して水素源となる水素を生成するのを促進することができるためであると推察される。
+2nHO→nCO+(2n+(m/2))H
なお、炭化水素油を分解する際に用いる水の量は、原料となる炭化水素油を分解(軽質化)するのに十分な量であれば良く、例えば、炭化水素油100質量部に対して、水を5〜2000質量部、好ましくは10〜1000質量部、更に好ましくは10〜500質量部の割合で添加するのが望ましい。炭化水素油100質量部に対する水の添加量が5質量部未満の場合、水素源が不足して炭化水素油が十分に分解されない場合があるからである。一方、水の添加量が2000質量部を超えると、炭化水素油の分解に寄与しない水の量が増大することとなり、コストが増加したり、炭化水素油の分解効率が低下したりする場合があるからである。
また、軽質炭化水素油製造装置の反応器内の温度は、比較的低い温度、例えば300〜600℃、好ましくは350〜550℃、更に好ましくは400〜500℃とすることができる。温度が300℃未満の場合、反応に必要な活性化エネルギーが得られず炭化水素油の分解が十分に進行しない場合があるからである。また、温度が600℃超の場合、不要なガス(メタン、エタン等)が大量に発生し、炭化水素油の分解効率が低下するおそれがあるからである。
更に、反応器内の圧力は、例えば0.1〜40MPa、好ましくは0.1〜35MPa、更に好ましくは0.1〜30MPaとすることができる。圧力が0.1MPa未満の場合、炭化水素油と水とを反応器へスムーズに流入させることが困難になる場合があるからである。また、圧力が40MPa超の場合、反応器の製造コストが高くなる場合があるからである。
また、反応器に炭化水素油および水を流通する際の液空間速度(LHSV)は、例えば0.01〜10h−1、好ましくは0.05〜5h−1、更に好ましくは0.1〜2h−1とすることができる。液空間速度が0.01h−1未満の場合、不要なガスの発生が支配的となり、炭化水素油の分解効率が低下する場合があるからである。また、液空間速度が10h−1超の場合、反応時間が短すぎて炭化水素油の分解が十分に進行しない場合があるからである。
ここで、上述したように、本発明の炭化水素油の分解方法によれば、炭化水素油の分解反応に必要な水素を系内に存在する水から供給することができる。従って、本発明の炭化水素油の分解方法では、系外から水素を添加する必要はなく、系外からの水素の添加量と、原料となる炭化水素油の供給量とのモル比(水素添加量/炭化水素油供給量)は、0.1以下、好ましくは0とすることができる。よって、本発明の炭化水素油の分解方法によれば、高圧水素ガスを使用することなく、炭化水素油を低コストで効率的に分解することができる。
なお、本発明の炭化水素油の分解方法で用いている炭化水素油分解用触媒は劣化し難いので、該触媒を用いた本発明の炭化水素油の分解方法によれば、分解する原料炭化水素油を予め脱硫および脱窒素する必要がない。
また、本発明の炭化水素油の分解方法で用いている炭化水素油分解用触媒は、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法を用いて製造されており、機械的強度および反応系内における安定性が高いので、触媒充填時や分解反応中に損壊または変性し難い。従って、本発明の炭化水素油の分解方法によれば、炭化水素油を工業的に分解(軽質化)する場合であっても、反応容器内で炭化水素油の分解反応(軽質化反応)を所望した通りに進めることができる。
因みに、バインダーを炭化水素油分解用触媒に含有させる場合、炭化水素油分解用触媒中の複合金属酸化物の量(A)に対するバインダーの量(B)の質量比(B/A)は、0.2〜1.0とすることができる。複合金属酸化物の量が少ないと、炭化水素油の分解が十分に進行しない場合があるからである。また、バインダーの量が多すぎると、炭化水素油の分解効率が低下するからである。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法には適宜変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
硝酸亜鉛六水和物(和光純薬工業(株)製)を純水に溶解し、表1に示す濃度の硝酸亜鉛水溶液を調製した。そして、元素Xがジルコニウムであり、元素Yがセリウムであり、元素Yがタングステンである複合金属酸化物(第一稀元素化学工業(株)製、Z−2001)と、バインダーとしての二酸化チタン(テイカ(株)製、IP212)と、表1に示す濃度の硝酸亜鉛水溶液とを混練し、混合物を調製した。具体的には、450gの複合金属酸化物と、150gの二酸化チタンと、300gの硝酸亜鉛水溶液とをバンバリーミキサーで混練し、混合物を得た。なお、硝酸亜鉛水溶液は、混練開始時にバンバリーミキサー内に半量(150g)を投入し、残りの150gは、450gの複合金属酸化物と、150gの二酸化チタンと、150gの硝酸亜鉛水溶液とを30分間混練した後に、5分間かけて逐次添加した。
次に、得られた混合物を押出成形してペレット(円柱状、直径2mm)を調製し、得られたペレットを温度130℃で16時間乾燥した。その後、乾燥したペレットを温度600℃、空気雰囲気下で2時間焼成し、炭化水素油分解用触媒を製造した。
なお、使用した複合金属酸化物のZr、Ce、Wの存在比(モル比)を融解/ICP−AES法で確認したところ、Zr:Ce:W=16:16:1であった。
そして、得られた炭化水素油分解用触媒について、機械的強度および触媒活性を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜3)
使用する硝酸亜鉛水溶液の濃度を表1に示す濃度とした以外は、実施例1と同様にして炭化水素油分解用触媒を製造した。
そして、得られた炭化水素油分解用触媒について、機械的強度および触媒活性を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
硝酸亜鉛水溶液の替わりに同量(300g)の純水を使用した以外は実施例1と同様にして、複合金属酸化物と二酸化チタンとの混練物を得た。そして、得られた混練物を押出成形してペレット(円柱状、直径2mm)を調製し、得られたペレットを表1に示す濃度の硝酸亜鉛水溶液中に浸漬した。
次に、硝酸亜鉛水溶液中に浸漬したペレットを温度130℃で16時間乾燥した。その後、乾燥したペレットを温度600℃、空気雰囲気下で2時間焼成し、炭化水素油分解用触媒を製造した。
そして、得られた炭化水素油分解用触媒について、機械的強度および触媒活性を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
硝酸亜鉛水溶液の替わりに同量(300g)の純水を使用し、硝酸亜鉛水溶液を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして炭化水素油分解用触媒を製造した。
そして、得られた炭化水素油分解用触媒について、機械的強度および触媒活性を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
<機械的強度>
調製した炭化水素油分解用触媒について、触媒圧潰強度(SCS:サイドクラッシュストレングス)を測定した。具体的には、円柱状の炭化水素油分解用触媒を横置きして炭化水素油分解用触媒の外周面を直径3mmのピンで押圧し、炭化水素油分解用触媒が壊れた際の荷重(破壊荷重)を測定した。そして、破壊荷重をピンの直径で除してサイドクラッシュストレングス(N/mm)を求めた。
<触媒活性>
調製した炭化水素油分解用触媒を超合金(インコネル625)製の反応器に充填した。次いで、触媒を充填した反応器にイオン交換水を通水しつつ、反応器内を温度470℃、圧力15MPaまで加熱および加圧した。その後、水素を供給することなく、表2に示すような性状の重質炭化水素油(熱分解装置から留出した油)と、イオン交換水とを反応器内に連続的に流通させた(イオン交換水の質量流量/重質炭化水素油の質量流量=1.0であり、LHSVは0.75h−1である。)。
そして、通油開始から6時間経過後に、反応器からの流出物(分解反応生成物)を1時間採取し、下記式を用いて所定の軽質炭化水素油(沸点180〜380℃の留分)の収率Yを算出した。
Y=(M/F)×100%
Y:沸点180〜380℃の留分(灯軽油)の収率 [質量%]
M:軽質炭化水素油の収量 [g/hr]
F:重質炭化水素油の供給量 [g/hr]
Figure 2013193026
Figure 2013193026
表1より、実施例1〜4の炭化水素油分解用触媒は、比較例1の炭化水素油分解用触媒に比べて機械的強度が高いことが分かる。また、実施例1〜3の炭化水素油分解用触媒は、実施例4の炭化水素油分解用触媒に比べて触媒活性が高いことが分かる。
因みに、γ―アルミナと複合金属酸化物(第一稀元素化学工業(株)製、Z−2001)とを混合して形成した炭化水素油分解用触媒を用いて実施例1と同様にして炭化水素油の分解を行ったところ、アルミナが擬ベーマイトへと変化し、触媒がその形状を保持できず、複合金属酸化物が反応器外へ流出してしまった。
本発明によれば、水の存在下で炭化水素油を分解する際に用いられる触媒であって、複合金属酸化物を触媒活性成分として含み、且つ、機械的強度および反応系内での安定性が高い炭化水素油分解用触媒を製造する方法を提供することができる。また、本発明によれば、その製造方法を用いて調製した炭化水素油分解用触媒を使用して炭化水素油を分解する方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 炭化水素油の分解に用いられる炭化水素油分解用触媒の製造方法であって、
    前記炭化水素油分解用触媒は、複合金属酸化物を含み、
    前記複合金属酸化物と、亜鉛を含む酸性溶液との混合物を調製する混合工程と、
    前記混合物を焼成して炭化水素油分解用触媒を調製する焼成工程と、
    を含むことを特徴とする、炭化水素油分解用触媒の製造方法。
  2. 前記混合工程において、混練により混合物を調製することを特徴とする、請求項1に記載の炭化水素油分解用触媒の製造方法。
  3. 前記亜鉛を含む酸性溶液が、硝酸亜鉛水溶液であることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭化水素油分解用触媒の製造方法。
  4. 前記硝酸亜鉛水溶液の硝酸亜鉛濃度が、1〜10質量%であることを特徴とする、請求項3に記載の炭化水素油分解用触媒の製造方法。
  5. 前記複合金属酸化物が、
    ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物と、
    擬ブルッカイト型構造を有する複合金属酸化物と、
    IVA族元素から選択される1種の元素Xと、IIIA族元素、VIA族元素およびVIIA族元素、並びに、第4〜6周期のIVA族元素および第4周期のVIII族元素からなる群より選択され、且つ、前記元素Xとは異なる1種の元素Yと、IIIA族元素、VIA族元素およびVIIA族元素、並びに、第4〜6周期のIVA族元素および第4周期のVIII族元素からなる群より選択され、且つ、前記元素Xおよび前記元素Yとは異なる1種の元素Yとを含有し、元素Yの存在量(y)と元素Yの存在量(y)との合計(y+y)に対する元素Xの存在量(x)の比(x/(y+y))が、0.5以上2.0以下であり、元素Yの存在量(y)に対する元素Yの存在量(y)の比(y/y)が、0.02以上0.25以下である複合金属酸化物と、
    からなる群より選択される少なくとも一つからなることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の炭化水素油分解用触媒の製造方法。
  6. 前記炭化水素油分解用触媒が、無機酸化物よりなるバインダーを更に含み、
    前記バインダーは、Al含有量が1質量%以下であり、且つ、Si含有量が1質量%以下であり、
    前記混合工程において、前記複合金属酸化物と、前記亜鉛を含む酸性溶液と、前記バインダーとの混合物を調製することを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の炭化水素油分解用触媒の製造方法。
  7. 前記無機酸化物が、二酸化チタンであることを特徴とする、請求項6に記載の炭化水素油分解用触媒の製造方法。
  8. 水の存在下で、炭化水素油と、請求項1に記載の炭化水素油分解用触媒の製造方法を用いて製造した炭化水素油分解用触媒とを接触させて、炭化水素油を分解することを特徴とする、炭化水素油の分解方法。
JP2012062418A 2012-03-19 2012-03-19 炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法 Active JP5901061B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012062418A JP5901061B2 (ja) 2012-03-19 2012-03-19 炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012062418A JP5901061B2 (ja) 2012-03-19 2012-03-19 炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013193026A true JP2013193026A (ja) 2013-09-30
JP5901061B2 JP5901061B2 (ja) 2016-04-06

Family

ID=49392624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012062418A Active JP5901061B2 (ja) 2012-03-19 2012-03-19 炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5901061B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105273746A (zh) * 2014-07-18 2016-01-27 中国石油化工股份有限公司 一种加氢脱氧方法
JP2016059860A (ja) * 2014-09-17 2016-04-25 トヨタ自動車株式会社 纎維状ペロブスカイト型酸化物触媒の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5550087A (en) * 1978-10-05 1980-04-11 Agency Of Ind Science & Technol Modification of bituminous raw material
JP2011178919A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Jx Nippon Oil & Energy Corp 重質炭化水素油の分解方法
WO2011114670A1 (ja) * 2010-03-19 2011-09-22 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 重質炭化水素油分解用触媒及び重質炭化水素油の分解方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5550087A (en) * 1978-10-05 1980-04-11 Agency Of Ind Science & Technol Modification of bituminous raw material
JP2011178919A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Jx Nippon Oil & Energy Corp 重質炭化水素油の分解方法
WO2011114670A1 (ja) * 2010-03-19 2011-09-22 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 重質炭化水素油分解用触媒及び重質炭化水素油の分解方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105273746A (zh) * 2014-07-18 2016-01-27 中国石油化工股份有限公司 一种加氢脱氧方法
JP2016059860A (ja) * 2014-09-17 2016-04-25 トヨタ自動車株式会社 纎維状ペロブスカイト型酸化物触媒の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5901061B2 (ja) 2016-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200368725A1 (en) Heterogeneous catalysts
Mahamulkar et al. Formation and oxidation/gasification of carbonaceous deposits: a review
AU2020201017A1 (en) Catalysts for oxidative coupling of methane and oxidative dehydrogenation of ethane
WO2010134326A1 (ja) タール含有ガス改質用触媒、タール含有ガス改質用触媒の製造方法、タール含有ガス改質用触媒を用いたタール含有ガス改質方法、及びタール含有ガス改質用触媒の再生方法
WO2014129585A1 (ja) 単環芳香族炭化水素の製造方法
Khalesi et al. Production of syngas by CO2 reforming on M x La1− x Ni0. 3Al0. 7O3− d (M= Li, Na, K) catalysts
JP6187282B2 (ja) 炭化水素改質触媒
Lawson et al. Direct ink writing of metal oxide/H-ZSM-5 catalysts for n-hexane cracking: a new method of additive manufacturing with high metal oxide loading
CN108654618B (zh) 金属氧化物催化剂、其制备方法及使用其的醇的制备方法
Xing et al. Hydrotalcite-Derived Cu x Mg3–x AlO Oxides for Catalytic Degradation of n-Butylamine with Low Concentration NO and Pollutant-Destruction Mechanism
JP5901061B2 (ja) 炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法
JP3989078B2 (ja) 固体酸触媒の製造方法
JP5091401B2 (ja) 水素の製造方法、改質ガソリンの製造方法及び芳香族炭化水素の製造方法
WO2003080768A1 (fr) Procede d'isomerisation d'hydrocarbures
JP2013119526A (ja) 炭化水素のメタン化方法
JP5687941B2 (ja) 炭化水素油分解用触媒および炭化水素油の分解方法
US3926850A (en) Catalyst and process for the conversion of higher hydrocarbons
JP5901062B2 (ja) 炭化水素油分解用触媒の製造方法および炭化水素油の分解方法
JP5943906B2 (ja) 軽質炭化水素油の製造方法および製造装置
JP2010069434A (ja) オートサーマルリフォーミング触媒
CN102716748B (zh) 用于偏三甲苯加氢生产btx芳烃的催化剂及其制备方法
JP5881218B2 (ja) 炭化水素油分解用触媒および炭化水素油の分解方法
Rajpurohit et al. Realizing Influence of Supports in Aqueous‐Phase Hydrogenation of Furfural over Nickel Catalysts
JP5998127B2 (ja) 潤滑油用基油の製造方法
JP5479307B2 (ja) 触媒及び改質ガスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160307

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5901061

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250