JP2013191754A - 太陽電池裏面封止シートおよび太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1枚のポリエステルフィルムのみからなる太陽電池裏面封止シートであり、当該ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステルのカルボキシル末端濃度がポリエステルに対し25eq/ton以下であり、厚みが150〜380μmであり、広角X線回折法により測定した(−105面)における長手方向に配向した結晶の長さが30Å以上であり、フィルム厚みを50μmに換算したときのMORの値(MOR−C)が1.0〜2.0であり、フィルムの密度が1.37〜1.40g/cm3であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
さらに、これらのフィルムは電気絶縁性や遮光性、ガス遮断性、光反射性などを確保するための他のフィルムやバリア性フィルムなどと積層させて太陽電池裏面封止シートとして用いることが常であり、そのために太陽電池裏面封止シートの製造プロセスが複雑になったり、コスト高となったりしていた。
前記フィルムの150℃における熱収縮率は、長手方向、幅方向ともに、−1.0%以上、3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは−0.5%以上、0.5%以下である。フィルムを構成するポリエステルは、アルミニウム及び/又はその化合物と、フェノール部位を有するリン系化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されてなり、カルボキシル末端濃度がポリエステルに対し25eq/ton以下であり、フィルムの固有粘度(IV)が0.60〜0.90dl/gであることが好ましい。なお、MORは、molecular orientation ratioの略であり、MOR−Cはmolecular orientation ratio-correctionの略である。
加えて本発明は、上記の太陽電池裏面封止シートと、太陽電池裏面封止シートに隣接する充填剤層と、充填剤層に埋設された太陽電池素子を備えることを特徴とする太陽電池モジュールである。
前記太陽電池用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法;芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させる方法;芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる方法;等によって製造することができる。このポリエステルは第三成分を共重合したものであっても良いが、耐久性の点からホモポリマーが好ましい。かかるポリエステルの代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等が挙げられる。
TS=0.245×{[IV]f -1.47−[IV]i -1.47}
この場合、粒子を含む最外層はフィルムの厚みに対して両面合計で2〜50%、さらには4〜40%、特には6〜30%であることが好ましい。
内層の粒子含有量を最外層より少なくさせる場合や、基材全体に少量含有させて塗布層に粒子を含有させる場合は、内層や基材全体の粒子の含有量は0.05質量%未満、さらには0.03質量%未満、特には0.01質量%未満であることが好ましい。
分子量やカルボキシル末端濃度の異なるポリエステルからなる2層以上の多層構造は、前述の最外層に粒子含有層を配置した3層以上のフィルムの内層部分に適応させることもできる。
このような、最も分子量が高いかまたはカルボキシ末端濃度の低い層の厚みのいずれか(但し、最外層に粒子含有層を配置した3層以上のフィルムの内層部分に適応させた場合の内層部分の最も分子量が高いかまたはカルボキシ末端濃度の低い層の厚みのいずれか)はフィルム全体の厚みの20%以上、さらには25%以上、特には30%以上であることが好ましく、80%以下、さらには75%以下、特には70%以下であることが好ましい。
本発明において、塗布層中に粒子を含有させることもできる。粒子は、(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
さらには、前記の充填剤層との易接着塗布層とは反対側に絶縁性、耐擦り傷性、ガスバリア性、遮光性、光反射性、防汚性等の各種機能を付与するための塗工層が設けられていることも好ましい形態である。
耐擦り傷性の塗工層としてはアクリル系のハードコートが代表として挙げられる。防汚コートとしてはフッ素系のコートや酸化チタン含有コートが挙げられる。バリア性コートとしてはPVDCコートや無機層状化合物含有コートが挙げられる。光反射性コートとしては酸化チタン等の白色顔料含有コートが挙げられる。遮光性コートとしては酸化チタン、カーボンブラックなどの着色顔料含有コートが挙げられる。中でも、光反射性コートや遮光性コートなどの着色塗布層を設けることは発電効率を向上させたり、紫外線による劣化を防ぐために好ましい。光反射性コートや遮光性コートには、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂が好ましいバインダー樹脂として用いられる。
これらのコートの下地として前述の易接着コートを設けてもよい。
部分放電電圧の上限はフィルムの厚みの上限の関係から、2000V程度である。
太陽電池モジュールは、太陽光、室内光などの入射光を取り込んで電気に変換し、当該電気を蓄えるシステムをいい、例えば、配線を配設した光起電力素子としての太陽電池素子と、太陽電池素子を挟むように介在する充填剤と、受光面側の透明部材、本発明の太陽電池裏面封止シートを用いて構成される。充填剤としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリビニルブチラール樹脂等のオレフィン樹脂が好適に用いられる。
受光側の部材としては、ガラス、透明樹脂シート、透明樹脂フィルムなどが用いられる。
1−1.ポリエステル原料・フィルムの固有粘度(IV)
ポリエステル原料又はフィルムを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(質量比)混合溶媒を使用して溶解し、温度30℃にて測定した。
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、「DSC6200」)を使用して、DSC曲線からガラス転移開始温度を求めた。
X線回析装置(理学電機社製)の試料ホルダーに、フィルムのMD方向の子午線方向を測定するように試料を設置した。フィルムの幅方向に対するX線の入射角を変えながら、透過法で回析ピークを観測した。このとき、2θが約43°の回析ピークから、同ピークの回析結晶面である(−105)面方向の結晶サイズD(オングストローム)を、シェラーの式に従って算出し、「長手方向(MD方向)に配向した結晶の長さ」とした。
D=λ/(B−b)cosθ
ここで、B:回析ピーク半価幅(rad)、b=0.12(rad)、λ:CuのKα線波長(1.5418オングストローム)
縦方向に連続したテープ状サンプル(横方向5cm×縦方向1m)を採取し、電子マイクロメータ(セイコーイーエム社製、「ミリトロン1240」)を用いて、1cmピッチで20点の厚みを測定し、その平均値として求めた。
フィルムを幅方向に5等分し、それぞれの位置で長手方向、幅方向が100mmの正方形サンプルを採取した。得られたサンプルを、マイクロ波透過型分子配向計(王子計測機器社製、「MOA−6004」)を用いて、MOR値を測定した。厚み補正を50μmとしてMOR−C値を求め、5点の平均値を算出した。
JIS K 7112に準じて、密度勾配管を用いて25℃で測定した。
フィルムを幅10mm、長さ250mmのサイズに長辺(250mm)がそれぞれ長手方向、幅方向と一致する方向に沿ってカットし、試験片を作製した。試験片に、2点の印を約200mm間隔となるようにつけ、5gの一定張力下でこれら2点の間隔Aを測った。続いて、試験片を、無荷重で、150℃の雰囲気のオーブン中で30分間放置した。フィルムをオーブンから取り出し、室温まで冷却した後、5gの一定張力下で印の間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率を求めた。なお、フィルムの150℃における熱収縮率は、フィルム幅方向に100mm間隔で測定し、サンプル3点の平均値を小数第3位の桁で四捨五入し、小数第2位の桁に丸め使用し、長手方向、幅方向で値の大きい方向の値を用いた。
熱収縮率(%)=[(A−B)/A]×100
フィルム及び原料ポリエステル樹脂について、下記の方法で測定した。なお、ポリエステル樹脂の場合はチップをそのまま、太陽電池裏面封止シートの場合はナイフでコート層を削り取りサンプルとした。
i.試料の調製
サンプルを粉砕し、70℃で24時間真空乾燥を行った後、天秤を用いて0.20±0.0005gの範囲となるように秤量した。このときの質量をW(g)とした。試験管にベンジルアルコール10mlと秤量した試料を加え、試験管を205℃に加熱したベンジルアルコール浴に浸し、ガラス棒で攪拌しながら試料を溶解した。溶解時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれA,B,Cとした。次いで、新たに試験管を用意し、ベンジルアルコールのみ入れ、同様の手順で処理し、時間を3分間、5分間、7分間としたときのサンプルをそれぞれa,b,cとする。ただし、サンプル中に無機微粒子が存在する場合は、無機微粒子の質量を除いた値がW(g)となるようにした。なお、無機微粒子の含有量は、サンプルを溶媒で溶解した後、遠心分離で固形分を回収、質量を測定することにより求めることができる。
ii.滴定
予めファクターの分かっている0.04mol/l水酸化カリウム溶液(エタノール溶液)を用いて滴定した。指示薬はフェノールレッドを用い、黄緑色から淡紅色に変化したところを終点とし、水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)を求めた。サンプルA,B,Cの滴定量をXA,XB,XC(ml)とし、サンプルa,b,cの滴定量をXa,Xb,Xc(ml)とした。
iii.カルボキシル末端濃度の算出
各溶解時間に対しての滴定量XA,XB,XCを用いて、最小2乗法により、溶解時間0分での滴定量V(ml)を求めた。同様にXa,Xb,Xcを用いて、滴定量V0(ml)を求めた。次いで、次式に従いカルボキシル末端濃度を求めた。
カルボキシル末端濃度(eq/ton)=[(V−V0)×0.04×NF×1000]/W
NF:0.04mol/l水酸化カリウム溶液のファクター
ポリエステル0.1gをメタノール2ml中で250℃で加熱分解した後、ガスクロマトグラフィーにより定量して求めた。
i.サンプル処理
JIS C−60068−2−66で規格化されているHAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)を行った。機器はエスペック社製EHS−221を用い、105℃、100%Rh、0.03MPa下の条件で行った。
フィルムを70mm×190mmにカットし、治具を用いてフィルムを設置した。各フィルムは各々が接触しない距離を保ち設置した。105℃、100%Rh、0.03MPaの条件下で200時間処理を行った。
耐加水分解性の評価は、破断伸び保持率で行った。それぞれの処理前、処理後の破断伸びをJIS C 2318−1997 5.3.31(引張強さ及び伸び率)に準拠して測定し、下記式に従い破断伸度保持率を算出した。
破断伸度保持率(%)=〔(処理後の破断伸び)×100〕/(処理前の破断伸び)
フィルム([IV]i)を冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末にした。この粉末を130℃で12時間真空乾燥し、粉末300mgを内径約8mm、長さ約140mmのガラス試験管に入れ70℃で12時間真空乾燥した。次いで、シリカゲルを入れた乾燥管を試験管上部につけて乾燥した空気下で、230℃の塩バスに浸漬して15分間加熱した後の[IV]f1を測定した。
TSは、下記のように求めた。ただし、[IV]i及び[IV]f1はそれぞれ加熱試験前と加熱試験後のIV(dl/g)を指す。冷凍粉砕は、フリーザーミル(米国スペックス社製、6750型)を用いて行った。専用セルに約2gのレジンチップ又はフィルムと専用のインパクターを入れた後、セルを装置にセットし液体窒素を装置に充填して約10分間保持し、次いでRATE10(インパクターが1秒間に約20回前後する)で5分間粉砕を行った。
TS=0.245{[IV]f1 -1.47−[IV]i -1.47}
下記の測定法に基づき部分放電電圧Umax(V)を測定した。
(測定方法)
準拠規格 :IEC60664/A2:2002 4.1.2.4
試験器 :KPD2050(菊水電子工業製)
開始電圧電荷しきい値:1.0pC
消滅電圧電荷しきい値:1.0pC
試験時間 :22.0s。
測定パターン:台形
測定数:10点の平均
(評価)
○:1000eV以上
△:800eV以上、1000eV未満
×:800eV未満
水蒸気透過度は、JIS−K7129 B法に準じて
水蒸気透過度測定装置(PERMATRAN-W 3/31、Modern Controls社製)により、温度40℃、湿度90%RH、2日パージ後測定した。単位はg/m2・24hrである。
○:5g/m2・24hr以下
△:7g/m2・24hr以下
×:7g/m2・24hrより大きい
太陽電池裏面封止シートを100mm×100mmに、下記のEVAシートを70mm×90mmに切り出したものを用意し、太陽電池裏面封止シート/EVAシート/太陽電池裏面封止シート(いずれの太陽電池裏面封止シートも塗布層面がEVAシートに対向するように設置した。)の構成で重ね、下記接着条件で加熱圧着し、サンプルを作製した。作製したサンプルを20mm×100mmに切り出した後、SUS板に貼りつけ、引張り試験機を用いて下記条件でフィルム層とEVAシート層の剥離強度を測定した。剥離強度は極大点を超えた後に安定して剥離している部分の平均値として求めた。下記の基準でランク分けした。
○:いずれのEVAを用いたサンプルも75N/20mm以上の接着力を示した。
△:1〜3種のEVAにおいて50N/20mm未満の接着力であった。
×:いずれのEVAを用いたサンプルも50N/20mm未満の接着力であった。
装置:真空ラミネーター(エヌ・ピー・シー社製、LM−30×30型)
加圧:1気圧
EVAシート:
A.スタンダードキュアタイプ
I.サンビック社製、UltraPearl(登録商標)PV standard cure Type(0.4mm)
ラミネート工程:100℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:熱処理150℃(常圧45分)
II.三井ファブロ社製、ソーラーエバ(登録商標)SC4(0.4mm)
ラミネート工程:130℃(真空5分、真空加圧5分)
キュア工程:熱処理150℃(常圧45分)
B.ファストキュアタイプ
I.サンビック社製UltraPearl(登録商標)PV fast cure Type(0.45mm)
ラミネート工程:135℃(真空5分、真空加圧15分)
II.三井ファブロ社製ソーラーエバ(登録商標)RCO2B(0.45mm)
ラミネート工程:150℃(真空5分、真空加圧15分)
2−1.PET−Iの製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸86.4質量部及びエチレングリコール64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm2、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物0.071質量部、次いでリン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036質量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。
PET−Iを予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、固有粘度0.70dl/g、酸価10eq/tonのPET樹脂(PET−II)を得た。
PET−Iと同様の方法で、平均粒径2.3μmの不定形塊状シリカ粒子を1000ppm含有したポリエチレンテレフタレートのマスターバッチペレット(固有粘度0.62dl/g)を作製した。
PET−IIIを予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、固有粘度0.71dl/g、酸価10eq/tonのPET樹脂(PET−IV)を得た。
I.重縮合触媒溶液の調製
(1)リン化合物のエチレングリコール溶液の調製
窒素導入管、冷却管を備えたフラスコに、常温常圧下、エチレングリコール2.0リットルを加えた後、窒素雰囲気下200rpmで攪拌しながら、リン化合物としてIrganox(登録商標)1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)を200g加えた。さらに2.0リットルのエチレングリコールを追加した後、ジャケット温度の設定を196℃に変更して昇温し、内温が185℃以上になった時点から60分間還流下で攪拌した。その後加熱を止め、直ちに溶液を熱源から取り去り、窒素雰囲気下を保ったまま、30分以内に120℃以下まで冷却した。得られた溶液中のIrganox1222のモル分率は40%、Irganox1222から構造変化した化合物のモル分率は60%であった。
冷却管を備えたフラスコに、常温常圧下、純水5.0リットルを加えた後、200rpmで攪拌しながら、塩基性酢酸アルミニウム200gを純水とのスラリーとして加えた。さらに全体として10.0リットルとなるよう純水を追加して常温常圧で12時間攪拌した。その後、ジャケット温度の設定を100.5℃に変更して昇温し、内温が95℃以上になった時点から3時間還流下で攪拌した。攪拌を止め、室温まで放冷し水溶液を得た。
上記方法で得たアルミニウム化合物水溶液に等容量のエチレングリコールを加え、室温で30分間攪拌した。その後、内温80〜90℃にコントロールし、徐々に減圧して、到達27hPaとして、数時間攪拌しながら系から水を留去し、20g/lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を得た。得られたアルミニウム溶液の27Al−NMRスペクトルのピーク積分値比は2.2であった。
3基の連続エステル化反応槽及び3基の重縮合反応槽よりなり、且つ第3エステル化反応槽から第1重縮合反応槽への移送ラインに、高速攪拌器を有するインラインミキサーが設置された連続式ポリエステル製造装置を用いた。高純度テレフタル酸1質量部、エチレングリコール0.75質量部をスラリー調製槽に連続的に供給し、スラリーを調整した。調製されスラリーをエステル化反応層へ連続的に供給し、第1エステル化槽が反応温度250℃、110kPa、第2エステル化反応槽が260℃、105kPa、第3エステル化反応槽が260℃、105kPaとした。同時に、第2エステル化反応槽にエチレングルコール0.025質量部を連続的に投入しポリエステルオリゴマーを得た。該オリゴマーを3基の反応槽よりなる連続重縮合装置に連続的に移送した。この際、移送ラインに設置されたインラインミキサーに上記方法で調製したアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液及びリン化合物のエチレングリコール溶液を添加した。なお、それぞれポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子及びリン原子として0.015モル%及び0.036モル%となるように攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加した。初期重縮合反応槽を265℃、9kPa、中期重縮合反応槽を265〜268℃、0.7kPa、最終重縮合反応槽を273℃、13.3Paとして重縮合を行い、固有粘度が0.630dl/g、カルボキシル末端濃度が10.5eq/tonのPET樹脂(PET−V)を得た。
PET−Vを、回転型真空重合装置を用い、0.5mmHgの減圧下、220℃で時間を変えて固相重合を行い、固有粘度が0.72dl/g、カルボキシル末端濃度が5.0eq/tonのPET樹脂(PET−VI)を作製した。
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、および溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拝し、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。ポリウレタンプレポリマー溶液に水450質量部を添加し、25℃に調整して2000min−1で擁拝混合することによって水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液を調製した。得られたポリウレタン樹脂のガラス転移温度は−30℃であった。
実施例1
(フィルムの作製)
PET樹脂(PET−II)50質量%と、(PET−IV)50質量%とを混合したものを(A)層の原料とした。PET樹脂(PET−II)100質量%を(B)層の原料とした。これらの原料を、それぞれ別々の押出機に投入し、285℃で混合、溶融し、続いてフィードブロックを用い、A/B/A層となるように溶融状態で接合した。このとき、A層とB層の吐出量比率は、ギアポンプを用いて制御した。次いでT−ダイを用いて30℃に調節された冷却ドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。
得られた未延伸シートを、加熱ロールを用いて75℃に均一加熱し、非接触ヒーターで100℃に加熱して3.3倍のロール延伸を行った。縦延伸を終えた一軸配向PETフィルムに、塗布液Aをロールコート法でPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/m2になるように調整した。得られた1軸延伸フィルムをテンターに導き、140℃に加熱して4.0倍に横延伸し、幅固定して215℃で5秒間の熱処理を施し、更に210℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚み250μm(A/B/A=15/220/15μm)の太陽電池裏面封止シートを得た。
実施例1で作製したフィルムを、オフラインのドライヤー(5ゾーン温度制御、各ゾーン長3m、幅2m、非接触、風速7m/min)で最高設定温度170℃、速度30m/minで通した。なお、平面性を保つため、ラインテンションをコントロールしながら処理を行い、太陽電池裏面封止シートを得た。
実施例1と同様の方法で得られた未延伸シートを、加熱ロールを用いて75℃に均一加熱し、非接触ヒーターで100℃に加熱して3.3倍のロール延伸を行った。縦延伸を終えた一軸配向PETフィルムに、塗布液Aをロールコート法でPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/m2になるように調整した。得られた1軸延伸フィルムをテンターに導き、140℃に加熱して4.0倍に横延伸し、幅固定して215℃で5秒間の熱処理を施した。更に210℃で幅方向に4%緩和させ、さらに170℃でフィルムの両端部をカットした。次いで、端部をピンチロールで把持しながら引き取りロールの速度を調整して縦方向の弛緩処理を行い、太陽電池裏面封止シートを得た。
実施例1において、縦方向の延伸倍率を3.7倍、横の延伸倍率を3.8倍とした以外は実施例1と同様の方法で、厚み250μmの太陽電池裏面封止シートを得た。
実施例5
A層とB層の厚みを表1に示すように変えた以外は実施例1と同様に行い、太陽電池裏面封止シートを得た。
B層にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−VI)100質量%とした以外は実施例1と同様の方法で、厚み250μmの太陽電池裏面封止シートを得た。
A層とB層の厚みを表1に示すように変えた以外は実施例6と同様に行い、太陽電池裏面封止シートを得た。
A層とB層の厚みを表1に示すように変えた以外は実施例6と同様に行い、太陽電池裏面封止シートを得た。
B層を2層構成にし(A層/B1層/B2層/A層)、B1層にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−VI)100質量%、B2層にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−II)100質量%とした以外は実施例1と同様の方法で、厚み250μmの太陽電池裏面封止シートを得た。なお、コートはB2層側に行った。
実施例10
フィルムの両面に塗工を行った以外は実施例1と同様に行い、フィルムを得た。さらに、得られたフィルムの片面に下記条件で白色塗工を施し、太陽電池裏面封止シートを得た。
(顔料分散液の調整)
メチルエチルケトン120重量部、疎水性シリカとしてCAB−O−CIL TS−7
20(キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製)18.2重量部、酸化チ
タンとしてタイピュアR−105(デュポン株式会社製)100重量部を混合した後、T
.K.ホモディスパー(特殊機化工業株式会社製)を使用して30分間分散させ、顔料分
散液を調整した。
(フッ素含有樹脂コート剤塗料)
フッ素含有樹脂(A)としてルミフロンLF200(旭硝子株式会社製、CTFE系フ
ッ素樹脂、52mgKOH/g(solid)、60%溶液)を100重量部、架橋剤(
B)としてスミジュールN3300(住化バイエルウレタン株式会社製、HMDI系ポリイソシアネート)6.4重量部、架橋促進剤(C)としてBXX3778−10(東洋インキ製造株式会社製、ジオクチル錫ジラウレート、固形分濃度2.5%)を0.004重量部、溶媒としてメチルエチルケトンを110重量部添加し、混合してフッ素含有樹脂コート剤塗料を調整した。
(白色塗工)
フッ素含有樹脂コート剤塗料221重量部に、顔料分散液1を87重量部添加し、混合して調整したコート剤塗料をフィルム片面上に、乾燥塗膜重量が30g/m2となるようにバーコーターを使用して塗工し、120℃で1分間乾燥後、23℃50%RH環境下で7日間静置し、太陽電池裏面封止シートを得た。
(A)、(B)層共にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−I)100質量%とした以外は製造例1と同様の方法で、厚み250μmの太陽電池裏面封止シートを得た。
実施例1において、縦延伸倍率を2.6倍、横延伸倍率を3.8倍、テンターでの熱固定温度を245℃とした以外は実施例1と同様の方法で、厚み250μmの太陽電池裏面封止シートを得た。
実施例1において、フィルム厚みを100μmとした以外は実施例1と同様の方法で太陽電池裏面封止シートを得た。
Claims (8)
- 1枚のポリエステルフィルムのみからなる太陽電池裏面封止シートであり、当該ポリエステルフィルムは、
フィルムを構成するポリエステルのカルボキシル末端濃度がポリエステルに対し25eq/ton以下であり、
厚みが150〜380μmであり、
広角X線回折法により測定した(−105面)における長手方向に配向した結晶の長さが30Å以上であり、
フィルム厚みを50μmに換算したときのMORの値(MOR−C)が1.0〜2.0であり、
フィルムの密度が1.37〜1.40g/cm3であることを特徴とする太陽電池裏面封止シート。 - フィルムの150℃における熱収縮率が、長手方向、幅方向ともに、−1.0%以上、3.0%以下である請求項1に記載の太陽電池裏面封止シート。
- フィルムの150℃における熱収縮率が、長手方向、幅方向ともに、−0.5%以上、0.5%以下である請求項1に記載の太陽電池裏面封止シート。
- フィルムを構成するポリエステルが、
アルミニウム及び/又はその化合物と、フェノール部位を有するリン系化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されてなり、
フィルムを構成するポリエステルの固有粘度(IV)が0.60〜0.90dl/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池裏面封止シート。 - 太陽電池裏面封止シートが少なくとも片面の表層に充填剤層との接着性を向上させるための塗布層を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面封止シート。
- 前記塗布層が、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項5に記載の太陽電池裏面封止シート。
- 前記塗布層とは反対側に着色塗布層が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の太陽電池裏面封止シート。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池裏面封止シートと、太陽電池裏面封止シートに隣接する充填剤層と、充填剤層に埋設された太陽電池素子を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
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