第1の実施形態に係る欠陥検査装置を、図1〜4を用いて説明する。図1は、欠陥検査装置10を示す概略図である。欠陥検査装置10は、本実施形態では、一例として、ガラス基板5上に形成されるパターンに欠陥があるか否かを検査する。パターンが形成されるガラス基板5は、欠陥検査装置10によって検査される被検査物の一例である。
図1に示すように、欠陥検査装置10は、XYテーブル20と、照明光学系30と、結像部40と、変換部50と、欠陥判定回路90と、制御部140とを備えている。ガラス基板5は、XYテーブル20上に固定されている。XYテーブル20は、互いに直交するX軸XとY軸Yに沿って移動可能である。XYテーブル20の動作は、後述される制御部140によって制御される。
照明光学系30は、ガラス基板5を照明する。照明光学系30は、レーザー光照射装置31と、ミラー32と、レンズ33とを備えている。レーザー光照射装置31から照射されたレーザー光は、ミラー32で反射されてレンズ33にいたる。レーザー光は、レンズ33で集光されて焦点がガラス基板5上に形成される。レーザー光は、ガラス基板5を照射する。ガラス基板5上においてレーザー光が照射される位置は、XYテーブル20が移動することによって調整される。
ガラス基板5を照射したレーザー光は、ガラス基板5を通過し、結像部40に導かれる。結像部40は、ガラス基板5においてレーザー光が照射された位置の光学像を、後述される変換部50の撮像面上に結像する。
結像部40は、対物レンズ41と、結像レンズ42と、光路分割機構43と、光路長調整部44とを備えている。対物レンズ41と結像レンズ42とは、ガラス基板5を通過したレーザー光の光路上に、記載の順番どおりに配置されている。対物レンズ41と結像レンズ42とは、後述される変換部50の撮像面上にレーザー光の焦点位置を合わせるべく機能する。
光路分割機構43は、対物レンズ41と結像レンズ42とを通過したレーザー光を、複数の光路に分割する機能を有する。言い換えると、レーザー光照射装置31から照射されたレーザー光が光路分割機構43に到達するまでの光路は、1筋である。
光路分割機構43は、本実施形態では、レーザー光の光路を2筋に分割する。分割された後の光路を、第1の光路L1と、第2の光路L2とする。図2は、光路分割機構43をより明確に示す欠陥検査装置10の一部を示す概略図である。図2では、欠陥検査装置10において、レーザー光照射装置31から変換部50までを示している。
図2に示すように、光路分割機構43は、第1のハーフミラー43aと、第1のミラー43bとを備えている。第1のハーフミラー43aは、結像レンズ42を通過したレーザー光の光路上に配置されている。第1のハーフミラー43aは、レーザー光の50パーセントを通過させるとともに残りの50パーセントを第1のミラー43bに向けて反射する。第1のハーフミラー43aを通過したレーザー光の光路が第1の光路L1となる。第1のミラー43bは、第1のハーフミラー43aから反射された光を100パーセント反射する。第1のミラー43bが反射したレーザー光の光路が第2の光路L2となる。
光路長調整部44は、第1のプレーンパラレル44aと、第2のプレーンパラレル44bとを備えている。第1のプレーンパラレル44aは、第1の光路L1上に配置されている。第2のプレーンパラレル44bは、第2の光路L2上に配置されている。第1,2のプレーンパラレル44a,44bを通過したレーザー光は、変換部50の撮像面に到達する。
第1,2のプレーンパラレル44a,44bは、第1,2の光路L1,L2を通って変換部50の撮像面上に到達するレーザー光の光路長を互いに同じにする。言い換えると、ガラス基板5を通過したレーザー光のうち第1の光路L1を通って変換部50の撮像面に到達するレーザー光の光路長と、第2の光路L2を通って変換部50の撮像面に到達するレーザー光の光路長とを同じにする。また、第1,2のプレーンパラレル44a,44bは、第1,2の光路L1,L2を通るレーザー光の焦点F1,F2を変換部50の撮像面上に形成すべく第1,2の光路L1、L2の光路長を調整する。
変換部50は、第1,2の光路L1,L2を通って形成される光学像を画像データに変換する。図1に示すように、変換部50は、第1の蓄積型ラインセンサ51と、第1のAD変換回路60とを備えている。第1,2の光路L1,L2を通るレーザー光は、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52上に到達する。センサ面52は、ガラス基板5の光学像が結像される撮像面の一例である。本実施形態では、第1の蓄積型ラインセンサ51上に、第1の光路L1を通って形成される光学像が撮像されるとともに、第2の光路L2を通って形成される光学像が撮像される。
図3は、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52を示す平面図である。図3に示すように、センサ面52には、第1の光路L1を通るレーザー光が結像される第1の範囲53と、第2の光路L2を通るレーザー光が結像される第2の範囲54とを有している。第1の範囲53、54の形状、大きさは、互いに同じである。図3中、第1,2の範囲53,54を明確に示すために、第1,2の範囲53,54にハッチングを施している。このハッチングは、切断面を示すものではない。
第1の光路L1を通るレーザー光の光軸は、第1の範囲53の中心C1を通る。第2の光路L2を通るレーザー光の光軸は、第2の範囲54の中心C2を通る。このように、本実施形態では、1つの蓄積型ラインセンサのセンサ面上に2つの光学像が結像される。
第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52上に結像される2つの光学像は、ともに、ガラス基板5上において同じ部分を示している。第1の蓄積型ラインセンサ51は、センサ面52上の第1,2の範囲53,54内に結像される光学像を電気信号に変換し、第1のAD変換回路60に出力する。
第1のAD変換回路60は、第1の蓄積型ラインセンサ51が出力する電気信号を画像データ70に変換する。画像データ70は、第1の範囲53の画像データ71と、第2の範囲54の画像データ72とを有している。
図1に示すように、第1のAD変換回路60は、第1の分配回路80に接続されている。第1の分配回路80は、画像データ70を、第1の範囲53内に結像された光学像の画像データ71と、第2の範囲54内に結像された光学像の画像データ72とに分ける。第1の分配回路80は、欠陥判定回路90に接続されている。
欠陥判定回路90は、第1の範囲用特異部検出部91と、第2の範囲用特異部検出部110と、欠陥判定部130とを備えている。第1の分配回路80は、第1,2の範囲用特異部検出部91,110に接続されている。第1の分配回路80は、第1の範囲用特異部検出部91に第1,2の範囲53,54の画像データ71,72を送信し、第2の範囲用特異部検出部110に第1,2の範囲53,54の画像データ71,72を送信する。
図4は、第1,2の範囲用特異部検出部91,110を示すブロック図である。図4に示すように、第1の範囲用特異部検出部91は、第1の範囲用出力変位算出部92と、第1の範囲用閾値判定部100とを備えている。
第1の範囲用出力変位算出部92は、第1の範囲53の画像データ71の中央部が、その周辺に対して特異である特異部であるか否かを判断するべく、画像データ71の中央部の周辺領域の出力レベルに対する中央部の出力レベルの大きさを算出する。第1の範囲用出力変位算出部92は、第1の範囲中央部出力レベル算出部93と、第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94と、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95と、周辺領域出力レベル平均値算出部96と、第1の範囲用出力レベル差算出部97とを備えている。
第1の範囲中央部出力レベル算出部93は、第1の範囲53の画像データ71が送信される。第1の範囲中央部出力レベル算出部93には、第2の範囲54の画像データ72は、送信されない。
第1の範囲中央部出力レベル算出部93は、第1の範囲53の画像データ71に基づいて、中央部71aの出力レベルを算出する。図3中、第1の範囲53の中央部53aを明確に示すために、中央部53aにハッチングを施している。このハッチングは切断面を示すものではない。図3中、第2の範囲54の中央部54aを明確に示すために、中央部54aにハッチングを施している。このハッチングは、切断面を示すものではない。
図5は第1の範囲53の画像データ71を示し、図6は第2の範囲54の画像データ72を示している。図5,6に示すように、画像データ71,72は、複数の画素であらわされる。また、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72の中央部71a,72aは、一つの画素で示される。図5,6中において、画像データ71,72において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する中央部71a,72aにハッチングを施す。このハッチングは、中央部71a,72aと、その周辺の周辺領域71b,72bを区別するために施すためのものであり、切断面を示すものではない。なお、図3に示すように、第1,2の範囲53,54において中央部53a,54a以外の部分が、周辺領域53b,54bとなる。画像データ71,72において周辺領域53b,54bに対応する部分が、周辺領域71b,72bとなる。周辺領域71b,72bは、図5,6において中央部71a,72a以外の部分である。
上記のように、本実施形態では、第1の範囲53の中央部53aは、画像データ71では1つの画素に対応している。このため、中央部53aの出力レベルを算出することは、画像データ71において中央部53aに対応する中央部71aの画素が示す色に応じた出力レベルを算出することである。
第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94は、第1の範囲53の画像データ71が送信される。第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94は、第1の範囲53の画像データ71に基づいて、第1の範囲53の周辺領域53bを示す各画素、つまり画像データ71の周辺領域71bの画素が示す色に応じた出力レベルを算出するとともに、周辺領域53bを示す全ての画素の出力レベルを加算する。第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94の算出結果は、周辺領域出力レベル平均値算出部96に送信される。
第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95は、第2の範囲54の画像データ72が送信される。第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95は、第2の範囲54の画像データ72に基づいて、第2の範囲54の周辺領域54bを示す、つまり周辺領域72bの各画素において画素が示す色に応じた出力レベルを算出するとともに、周辺領域54bを示す全ての画素の出力レベルを加算する。第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95の算出結果は、周辺領域出力レベル平均値算出部96に送信される。
周辺領域出力レベル平均値算出部96は、第1,2の範囲53,54の周辺領域53b,54bにおいて第1の範囲53の中央部53aと同じ大きさの範囲の画像データでの出力レベルの平均値を算出する。周辺領域出力レベル平均値算出部96には、第1,2範囲周辺領域出力レベル算出部94,95の算出結果が送信される。
周辺領域出力レベル平均値算出部96は、第1,2の範囲周辺領域出力レベル算出部94,95の算出結果に基づいて、算出結果どうしを加算する。そして、得られた加算値を、周辺領域71b,72bを示す画素数で除算する。そして、得られた除算値に、中央部53aを示す画素数を積算する。
この積算値は、周辺領域71b,72bにおいて、中央部71aと同じ大きさの範囲からの出力レベルの平均値を示す。本実施形態では、中央部71aは、1画素で表されるので、上記除算値がそのまま周辺領域出力レベルの平均値になる。
なお、本実施形態では、周辺領域53b,54bにおいて第1の範囲53の中央部53aと同じ大きさの範囲から出力されるレベルの平均値を算出するために、第1,2の範囲53,54の周辺領域53b,54bを用いている。
第1の範囲中央部出力レベル算出部93の算出結果と、周辺領域出力レベル平均値算出部96の算出結果とは、第1の範囲用出力レベル差算出部97に送信される。第1の範囲用出力レベル差算出部97は、第1の範囲中央部出力レベル算出部93の算出結果から、周辺領域出力レベル平均値算出部96の算出結果をひく。第1の範囲用出力レベル差算出部97の算出結果は、第1の範囲用閾値判定部100に送信される。第1の範囲中央部出力レベル算出部93の算出結果から、周辺領域出力レベル平均値算出部96の算出結果をひくことは、第1の範囲中央部出力レベル算出部93の算出結果と、周辺領域出力レベル平均値算出部96の算出結果との差を算出することである。
第1の範囲用閾値判定部100は、第1の範囲用出力レベル差算出部97の算出結果と予め決定されている閾値とを比較し、第1の範囲53の中央部53aが特異部であるか否かを判定する。図4に示すように、第1の範囲用閾値判定部100は、第1の比較部101と、第2の比較部102と、第1の範囲用特異部判定部103とを備えている。
第1の比較部101は、第1の範囲用出力レベル差算出部97から算出結果が送信される。第1の比較部101は、算出結果が第1のLvl1より大きいか否かを判定する。第2の比較部102は、第1の範囲用出力レベル差算出部97から算出結果が送信される。第2の比較部102は、算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるか否かを判定する。第1の閾値Lvl1は、正の値であり、第2の閾値Lvl2は、負の値であり、Lvl1>Lvl2となる。
第1,2の比較部101,102の検出結果は、第1の範囲用特異部判定部103に送信される。第1の範囲用特異部判定部103は、第1,2の比較部101,102の検出結果に基づいて、第1の範囲53の画像データ71の中央部71aが特異部であるか否かを判定する。
ここで、特異部について説明する。特異部は、周辺に対して出力レベルが極端に高い、または、極端に低い部分である。ガラス基板5上に欠陥があると、画像データにおいて欠陥に対応する部分の出力レベルは、欠陥がない部分の出力レベルに対して極端に高くなったり、または、極端に低くなる。
なお、特異部は、ガラス基板5上の欠陥以外の原因によっても形成される場合がある。例えば、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52上に結像された光学像に欠陥が示されていなくても、第1の蓄積型ラインセンサ51が、周囲に放射されている放射線や宇宙線を検出することによって、この放射線と宇宙線とを電気信号に変換してしまい画像データ内に特異部が形成される場合がある。このため、周辺領域においても、放射線や宇宙線によって特異部が形成される場合がある。しかしながら、上記したように、第1の範囲用出力レベル差算出部97においては、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72の周辺領域71b,72bを用いて算出された周辺領域の出力レベルの平均値と中央部71aの出力レベルとが比較される。このため、画像データ71,72において周辺領域71b,72bを示す部分が特異部を有していても、平均値が用いられることによって、特異部の影響を小さくすることができる。さらに、周辺領域の出力レベルの平均値を算出するために、周辺領域71b,72bを用いることによって、周辺領域での特異部の影響をより一層小さくすることができる。
第1の範囲用閾値判定部100の説明に戻る。中央部53aの出力レベルが第1の閾値Lvl1より大きい場合は、中央部71aが特異部であることを示す。また、中央部71aの出力レベルが第2の閾値Lvl2未満の場合は、画像データ71の中央部71aが特異部であることを示す。
第1の範囲用特異部判定部103は、第1の範囲用出力レベル差算出部97の算出結果と、第1,2の比較部101,102との比較結果に基づいて、第1の範囲53の中央部71aが特異部であるか否かを判定する。具体的には、第1の範囲用出力レベル差算出部97の算出結果が、第1の閾値Lvl1より大きい場合、または、第1の範囲用出力レベル差算出部97の算出結果が、第2の閾値Lvl2未満の場合は、画像データ71の中央部71aが特異部であると判定する。
第1の範囲用特異部検出部91は、上記ようにして、画像データ71の中央部71aが特異部であるか否かを検出する。図1に示すように、第1の範囲用特異部判定部103の判定結果は、欠陥判定部150に送信される。
つぎに、第2の範囲用特異部検出部110を説明する。図4に示すように、第2の範囲用特異部検出部110は、第2の範囲用出力変位算出部111と、第2の範囲用閾値判定部120とを備えている。
第2の範囲用出力変位算出部111は、画像データ72の中央部が特異部であるか否かを判定するべく、周辺領域に対する中央部の出力レベルの大きさを算出する。第2の範囲用出力変位算出部111は、第2の範囲中央部出力レベル算出部112と、第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94と、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95と、周辺領域出力レベル平均値算出部96と、第2の範囲用出力レベル差算出部113とを備えている。
第2の範囲中央部出力レベル算出部112は、第2の範囲54の画像データ72が送信される。第2の範囲中央部出力レベル算出部112には、第1の範囲53の画像データ71は、送信されない。
第2の範囲中央部出力レベル算出部112は、第2の範囲54の画像データ72に基づいて、画像データ72の中央部72aの出力レベルを算出する。図6に示すように、本実施形態では、第2の範囲54の中央部54aは、画像データ72では1つの画素に対応している。
このため、第2の範囲54の中央部54aの出力レベルを算出するとは、中央部54aに対応する中央部72aの画素の色に応じた出力レベルを算出することである。
第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94と、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95と、周辺領域出力レベル平均値算出部96とは、第1の範囲用特異部検出部91と同じであるので、ここでの説明を省略する。
第2の範囲中央部出力レベル算出部112の算出結果と、周辺領域出力レベル平均値算出部96の算出結果とは、第2の範囲用出力レベル差算出部113に送信される。第2の範囲用出力レベル差算出部113は、第2の範囲中央部出力レベル算出部112の算出結果から、周辺領域出力レベル平均値算出部96の算出結果をひく。第2の範囲用出力レベル差算出部113の算出結果は、第2の範囲用閾値判定部120に送信される。
第2の範囲用閾値判定部120は、第2の範囲用出力レベル差算出部113の算出結果と予め決定されている閾値とを比較し、画像データ72の中央部72aが特異部であるか否かを判定する。図4に示すように、第2の範囲用閾値判定部120は、第1の比較部121と、第2の比較部122と、第2の範囲用特異部判定部123とを備えている。
第1の比較部121は、第2の範囲用出力レベル差算出部113から算出結果が送信される。第1の比較部121は算出結果が第1のLvl1より大きいか否かを判定する。第2の比較部122は、第2の範囲用出力レベル差算出部113から算出結果が送信される。第2の比較部122は、算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるか否かを判定する。
第1,2の比較部121,122の検出結果は、第2の範囲用特異部判定部123に送信される。第2の範囲用特異部判定部123は、第1,2の比較部121,122の検出結果に基づいて、画像データ72の中央部72aが特異部であるか否かを判定する。
中央部72aの出力レベルが第1の閾値Lvl1より大きい場合は、中央部72aが特異部であることを示す。また、中央部72aの出力レベルが第2の閾値Lvl2未満の場合は、中央部72aが特異部であることを示す。
第2の範囲用特異部判定部123は、第2の範囲用出力レベル差算出部113の算出結果と、第1,2の比較部121,122との比較結果に基づいて、中央部72aが特異部であるか否かを判定する。具体的には、第2の範囲用出力レベル差算出部113の算出結果が、第1の閾値Lvl1より大きい場合、または、第2の範囲用出力レベル差算出部113の算出結果が、第2の閾値Lvl2未満の場合は、中央部72aが特異部であると判定する。
第2の範囲用特異部検出部110は、上記ようにして、画像データ72の中央部72aが特異部であるか否かを検出する。図1に示すように、第2の範囲用特異部判定部123の判定結果は、欠陥判定部130に送信される。
欠陥判定部130は、第1の範囲用特異部検出部91の検出結果と、第2の範囲用特異部検出部110の検出結果とに基づいて、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する部分が欠陥であるか否かを判定する。
上記したように、第1,2の範囲53,54には、ガラス基板5において共通する部分の光学像が結像されている。このため、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aは、ともに、ガラス基板5において同じ箇所の光学像が結像されている。
欠陥判定部130は、第1の範囲用特異部検出部91の検出結果が、第1の範囲53の中央部53aが特異部であるという結果であり、かつ、第2の範囲用特異部検出部110の検出結果が、第2の範囲54の中央部54aが特異部であるという結果であると、ガラス基板5において、中央部53a,54aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
上記したように、画像データが示す特異部は、ガラス基板5上に形成される欠陥に起因して形成される場合と、欠陥ではなく、例えば第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52の周囲に存在する放射線や宇宙線などによっても形成される場合がある。
欠陥は、第1,2の範囲53,54に光学像として結像されるので、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72の両方に、特異部として現れる。しかしながら、放射線や宇宙線などは、第1,2の範囲53,54に対して互いに対応する箇所に共通して現れるものではない。言い換えると、画像データ71,72において、欠陥以外の原因に起因してあらわれる特異部は、ともに共通する位置にあらわれるものではない。
このため、中央部71a,72aが特異部である場合、つまり第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aがともに特異部であると判定された場合、ガラス基板5において中央部53a,54aに対応する部位に欠陥が形成されていることになるので、欠陥判定部130は、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aがともに特異部であると判定された場合のみ、欠陥であると判定する。欠陥判定部130の判定結果は、制御部140に送信される。
制御部140は、欠陥判定部130から送信された結果に基づいて、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aの位置に対応するガラス基板5の位置を算出し、モニタなどに表示する。モニタに表示することは、作業者などに通知する手段の一例である。
制御部140は、XYテーブル20を移動する際に、ガラス基板5において検査が必要な部位の全域が、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに光学像として結像されるように制御される。このことによって、ガラス基板5において検査が必要される範囲のいずれかに欠陥が形成されている場合、この欠陥の光学像は、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに結像されるので、欠陥は、欠陥判定部130で欠陥として判定される。
つぎに、欠陥検査装置10の動作を説明する。まず、ガラス基板5に欠陥が形成されている場合について説明する。図7は、ガラス基板5を示す平面図である。図7に示すように、ガラス基板5上にはパターン6が形成されている。パターン6は、一例として、アルファベットのAの形を有している。パターン6中に欠陥7が形成されている。なお、図7中、欠陥7は、誇張して大きく書かれているが、実際には、非常に小さいものである。
パターン6は、本実施形態では、一例としてアルファベットのAの形状を有しているが、実際にはとても微細であり、それゆえ、第1,2の範囲53,54内にぼやけて結像される。このため、ガラス基板5においてパターン6が形成される部分とパターン6が形成されない部分とは、略同じように結像される。しかしながら、欠陥7は、レーザー光が通過しづらかったり、または、欠陥を通過したレーザー光が欠陥7において屈折するなどして、第1,2の範囲53,54内に、パターン6またはパターン6が形成されない部分とは異なった色で結像される。このため、第1のAD変換回路60において形成される画像データ71,72において、欠陥7は、欠陥7以外の部分とは異なる色であらわされる。
図8は、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72を示している。この説明では、図8は、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72を示しており、両符号を付している。図8は、レーザー光照射装置31から照射されたレーザー光がガラス基板5において欠陥7を照射していない状態を示している。このため、図8に示すように、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72には、特異部は形成されていない。なお、図8において、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する中央部71a,72a領域を2点鎖線で示している。なお、画像データ71,72において中央部71a,72aは、1画素で示されるため実際は小さいが、図8においては、誇張して大きく描いている。
図8に示す状態では、第1,2の範囲53,54内に欠陥が結像されていないので、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72の中央部71a,72aは特異部にならない。このため、欠陥判定部130は、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する範囲には欠陥が形成されていないと判定する。
図9は、レーザー光照射装置31から照射されたレーザー光が欠陥7を照射しているが、欠陥7は第1,2の範囲53,54の周辺領域53b,54b内に結像されており、中央部53a,54a内には結像されていない場合の第1,2の範囲53,54の画像データ71,72を示している。
図9では、画像データ71,72において第1,2の範囲53,54の周辺領域53b,54bに対応する周辺領域71b,72b内に、欠陥7に起因して形成される特異部8が形成される。しかしながら、周辺領域出力レベル平均値算出部96において平均値が求められるので、周辺領域53b,54bに特異部8が形成されても、周辺領域出力レベル平均値算出部96の算出結果は、特異部8のあるなしに関わらず大きく変化しない。このため、欠陥判定部130は、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する部分に欠陥は形成されていないと判定する。
図10は、レーザー光照射装置31から照射されたレーザー光が欠陥7を照射するとともに、欠陥7が第1,2の範囲53,54の中央部53a,54a内に結像された場合の、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72を示している。図10に示すように、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54a内に欠陥7が結像されることによって、画像データ71,72の中央部71a,72a内には、欠陥7に起因して特異部8が形成される。
中央部71a,72a内に特異部8が形成されることによって、第1,2の範囲用出力レベル差算出部96,112での算出結果が、第1の閾値Lvl1より大きい、または、第2の閾値Lvl2未満となる。このため、第1,2の範囲用第1の範囲用特異部判定部103,123は、中央部71a,72a内に特異部が形成されていると判定する。そして、欠陥判定部130は、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
制御部140は、欠陥判定部130の判定結果に基づいて、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する位置の座標を算出するとともに、この中央部53a,54aの画像データを記憶する。
このように、制御部140は、XYテーブル20を移動しながらガラス基板5の全面の画像を第1,2の蓄積型ラインセンサ51,52で撮像しながら欠陥判定を行い、欠陥判定された位置での座標および画像を記憶している。
制御部140は、ガラス基板5の全面の検査後に、欠陥の確認を行うためにXYテーブル20を欠陥位置に移動する。そして、欠陥判定された位置を再度検査する。
つぎに、ガラス基板5に欠陥が形成されていない場合において、第1の蓄積型ラインセンサ51が欠陥を誤検出した場合について、説明する。図11は、第1の範囲53の画像データ71を示している。図12は、第2の範囲54の画像データ72を示している。
図11は、第1の範囲53が、例えば周囲に存在する放射線を検出したことによって、第1の範囲53の画像データ71の中央部71a内に特異部9が形成された状態を示している。第2の範囲54は、第1の範囲53が検出した放射線を検出していない。このため、図12に示すように、第2の範囲54の画像データ72の中央部72a内には、特異部は形成されていない。
このため、欠陥判定部130は、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する箇所に欠陥は形成されていないと判定する。
このように、本実施形態では、光路を2つに分割してガラス基板5において同一箇所を示す2つの光学像の画像データを形成するとともに、ガラス基板5において同一箇所を示す2つの光学像の画像データから検出される特異部に基づいて欠陥を判定することによって、欠陥を正確に判定することができる。
本実施形態では、ガラス基板5を通過したレーザー光を2つの光路に分割して2つの光学像を第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52の第1,2の範囲53,54内に結像している。そして、第1,2の光路L1,L2におけるセンサ面52までの光路長を互いに同じにしている。さらに、第1,2の範囲53,54の中央部53a,54a内の特異部を検出し、両中央部53a,54aが特異部である場合のみ、ガラス基板5において中央部53a,54aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定し、いずれか一方のみに特異部が形成されている場合には、欠陥以外の要因による特異部であり、欠陥ではないと判定する。
このため、欠陥を正確に検出することができる。この点について、具体的に説明する。ガラス基板5に形成されるパターンは微細になる傾向にある。これに伴い、パターン中に形成される欠陥も微細になる傾向にある。このため、欠陥を検出するために、第1の蓄積型ラインセンサ51の感度を高くする必要がある。しかしながら、第1の蓄積型ラインセンサ51の感度を高くすることによって、第1の蓄積型ラインセンサ51は、放射線や宇宙線など欠陥以外のものを検出してしまうことがある。この検出が、欠陥の誤検出になる場合がある。
しかしながら、本実施形態では、第1の蓄積型ラインセンサ51の第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aがともに特異部でなければ、この特異部を欠陥とは判定しない。欠陥以外の要因による特異部は、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72に同時に形成されることが起こりにくい。このため、本実施形態では、欠陥を正確に検出することができる。
また、本実施形態では、1つの蓄積型ラインセンサのセンサ面52上に第1,2の範囲53,54を形成している。このため、第1の範囲53の位置と第2の範囲54との位置とを対応させやすくなるので、欠陥を正確に検出することができる。この点について、具体的に説明する。
例えば、ガラス基板5を通過したレーザー光を第1,2の光路L1,L2に分岐し、第1の光路L1を結像させる蓄積型ラインセンサと、第2の光路L2を結像させるラインセンサとを互いに異なるものとすると、一方のセンサの位置が、他方に対してずれる場合が生じえる。
位置がずれたセンサにおいては、当該センサのセンサ面において光学像が結像される範囲と光学像との相対関係がずれてしまう。言い換えると、光路の光軸と光学像が結像される範囲の中心位置とがずれてしまい、光学像の中心と光学像が結像される範囲の中心とがずれてしまう。
このことによって、欠陥に起因して一方のセンサでは中央部に特異部が形成されても、他方のセンサでは周辺領域に特異部が形成されてしまうことがある。この場合、欠陥判定部130は、この特異部を欠陥とは判定しない。
しかしながら、本実施形態では、第1,2の光路L1,L2を通るレーザー光が、1つの第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52上の第1,2の範囲53,54上に結像されるため、第1の光路L1に対する第1の範囲53の相対位置がずれること、または、第2の光路L2に対する第2の範囲54の相対位置がずれることが生じにくくなるので、欠陥に起因する特異部は、第1,2の範囲53,54の画像データ71,72において、互いに対応する位置に形成されることになる。このため、欠陥を正確に検出することができる。
なお、本実施形態では、光路を複数に分割する一例として、2つの光路に分割している。そして、各光路におけるセンサ面までの光路長を互いに等しくしている。光路を2つ以上の複数に分割する場合、各光路に対して、第1,2の特異部検出部81,110と同様に光学像を画像データに変換し、かつ、特異部検出部を設ける。そして、各光路において光学像が結像される撮像面までの光路長を互いに等しくする。欠陥判定部130は、各光路に対して設けられる特異部検出部の全てが特異部を検出すると、ガラス基板5において各光路の画像データにおいて中央部に対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。このようにすることによって、本実施形態と同様の作用と効果とが得られる。
つぎに、第2の実施形態に係る欠陥検査装置を、図13〜15を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の範囲用特異部検出部が、第1の実施形態と異なる。他は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、説明する。
図13は、本実施形態の第2の範囲用特異部検出部110を示している。本実施形態では、第2の範囲用特異部検出部110は、第2の範囲54の画像データ72の中央部72aが特異部であるか否かを検出するとともに、さらに、中央部72aの周辺において所定の範囲が特異部であるか否かを判定する。
図14は、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52において、第2の範囲54の近傍を示している。図14は、第2の範囲54の中央部54aと、中央部54aの周辺において所定の範囲である所定領域54cとを示している。図14に示すように、所定領域54cは、周辺領域54bの一部である。図15は、第2の範囲54の画像データ72を示している。図15に示すように、所定領域54cは、本実施形態では、中央部54aを示す1つの画素を中心とする3×3の画素によって示されている。
上記したように、本実施形態では、第2の範囲用特異部検出部110は、所定領域54c内の特異部も検出する。このため、本実施形態の第2の範囲用特異部検出部110は、図13に示すように、第2の範囲中央部出力レベル算出部112に加えて、所定領域54cを示す各画素が特異部であるか否かを判定するべく、所定領域出力レベル算出部を備えている。本実施形態では、画像データ72内において所定領域54cに対応する所定領域72cは、中央部72aを示す1つの画素の周囲に配置される8個の画素によって示されている。この8個の画素を第1〜8の画素141,142,143,144,145,146,147,148とする。
本実施形態の第2の範囲用特異部検出部110は、第1〜8の画素141〜148が特異部であるか否かを、中央部が特異部であるか否かを判定するのと同様に判定する。このため、図13に示すように、本実施形態の第2の範囲用特異部検出部110は、第1〜8の画素141〜148の各々に対して第2の範囲用出力変位算出部と第2の範囲用閾値判定部とが形成される。
第1の画素141が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111aと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第2の画素142が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111bと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第3の画素143が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111cと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第4の画素144が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111dと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第5の画素145が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111eと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第6の画素146が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111fと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第7の画素147が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111gと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第8の画素148が特異部であるか否かを検出するために、第2の範囲用出力変位算出部111hと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。
第1〜8の画素141〜148に対して用いられる第2の範囲用出力変位算出部111a〜111hと第2の範囲用閾値判定部120について、第1の画素141に対して用いられる第2の範囲用出力変位算出部111aと第2の範囲用閾値判定部120aとを代表して説明する。
図13に示すように、第1の画素141に対して用いられる第2の範囲用出力変位算出部111aは、第2の範囲中央部出力レベル算出部112に代えて、第1の画素出力レベル算出部112aを備えている。第1の画素出力レベル算出部112aは、第2の範囲54の画像データ72が送信される。第1の画素出力レベル算出部112aは、第2の範囲54の画像データ72に基づいて、第1の画素141が示す色に応じた出力レベルを算出する。
第2の範囲用出力変位算出部111aは、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95に代えて、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95aを備えている。第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95aは、画像データ72が送信されるとともに、画像データ72において第1の画素141以外を周辺領域とし、第1の画素141以外の各画素の出力レベルを算出して全て加算する。第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94は、第1の実施形態と同じである。
第2の範囲用出力変位算出部111aは、周辺領域出力レベル平均値算出部96に代えて、周辺領域出力レベル平均値算出部96aを備えている。周辺領域出力レベル平均値算出部96aは、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95aの算出結果と、第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94の算出結果とが送信される。周辺領域出力レベル平均値算出部96aは、第1,2の範囲周辺領域出力レベル算出部94a,95の算出結果に基づいて、算出結果どうしを加算する。そして、得られた加算値を、画像データ72において第1の画素141以外の部分と周辺領域71bとを示す画素数で除算する。そして、得られた除算値に、中央部72aを示す画素数を積算する。
この積算値は、画像データ72において第1の画素141以外の部分と周辺領域71bとを組み合わせたものにおいて、中央部72aと同じ大きさの範囲からの出力レベルの平均値を示す。本実施形態では、中央部72aは、1画素で表されるので、上記除算値がそのまま周辺領域出力レベルの平均値になる。
第2の範囲用出力変位算出部111aは、第2の範囲用出力レベル差算出部113に代えて、第2の範囲用出力レベル差算出部113aを備えている。第2の範囲用出力レベル差算出部113aは、第1の画素出力レベル算出部112aの算出結果から、周辺領域出力レベル平均値算出部96aの算出結果をひく。第2の範囲用出力レベル差算出部113aの算出結果は、第2の範囲用閾値判定部120に送信される。
第2の範囲用閾値判定部120は、第1の実施形態と同じである。第1の比較部121とは、第2の範囲用出力レベル差算出部113aの算出結果が第1の閾値Lvl1より大きさ否かを判定し、第2の比較部122は、第2の範囲用出力レベル差算出部113aの算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるか否かを判定する。
このように、第1の画素141に対する第2の範囲用出力変位算出部111aは、第1の実施形態で説明された第2の範囲用出力変位算出部111と略同様であり、異なる点としては、第2の範囲用出力変位算出部111の処理として中央部72aのデータを用いていたところを、第1の画素141のデータを用いることに置き換えるとともに、周辺領域72bのデータを用いていたところを、第1の画素141以外の部分のデータを用いることに置き換える点である。
同様に、第2〜8の画素142〜148に対して用いられる第2の範囲用出力変位算出部111b〜111hにおいても、第2の範囲用出力変位算出部111aと同様である。具体的には、各々、第1の実施形態で説明された第2の範囲用出力変位算出部111と略同様であり、異なる点としては、第2の範囲用出力変位算出部111において中央部71aのデータを用いてところを、第2〜8の画素142〜148のデータを用いることに置き換えるとともに、周辺領域72bのデータを用いていたところを、第2〜8の画素142〜148以外の部分のデータを用いることに置き換える点である。
なお、図13中では、第2の範囲用出力変位算出部111,111a,111hを示しており、111b〜111gは、省略している。第2の範囲用出力変位算出部111hは、第8の画素出力レベル算出部112hと、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95hと、出力レベル平均値算出部96hとを備えている。このように、第2の範囲用出力レベル算出部111b〜111gは、各々、第2〜7の画素142〜147のうち対応する画素の出力レベルを算出する出力レベル算出部112b〜112gのうち対応するものと、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95b〜95gのうち対応するものと、出力レベル平均値算出部96b〜96gのうち対応するものとを有する。
中央部72aと第1〜8の画素141〜148に対して設定される特異部判定部123の判定結果は、欠陥判定部130に送信される。
本実施形態では、欠陥判定部130は、第1の範囲用特異部判定部103の判定結果が、中央部71aが特異部であるという結果であるとともに、中央部72aに対して設けられる第2の範囲用特異部判定部123の検出結果と第1〜8の画素141〜148に対して設けられる第2の範囲用特異部判定部123の検出結果とのいずいれか1つが特異部を検出すると、特異部を欠陥と判定する。このときの特異部は、中央部71a,72aである。
例えば、第1の範囲用特異部判定部103が、第1の範囲53の画像データ71の中央部71aに特異部が形成されていると判定するとともに、第2の範囲用特異部検出部110において中央部72aに対して設けられる第2の範囲用特異部判定部123が中央部72aが特異部であると判定すると、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。また、第1の範囲用特異部判定部103が、第1の範囲53の画像データ71の中央部71aに特異部が形成されていると判定するとともに、第1の画素141に対して設けられる第2の範囲用特異部判定部123が第1の画素141が特異部であると判定すると、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する位置に欠陥が形成されていると判定する。
本実施形態では、第2の範囲54の中央部54aを中心として周囲に設定される所定領域54cにおいても特異部を検出する。このため、欠陥を正確に検出することができる。この点について具体的に説明する。
例えば、第2の光路L2を通るレーザー光の光軸と第2の範囲54の中心C2とがずれる場合がある。この場合、第2の範囲54に対する光学像の相対位置関係が変化する。この結果、ガラス基板5に欠陥が形成されていても、第1,2の範囲53,54において欠陥が結像される位置が互いに異なるので、欠陥が検出されなくなる。例えば、第1の範囲53では、ガラス基板5の欠陥の光学像が中央部53a内に形成されるとともに、第2の範囲54では、ガラス基板5の欠陥の光学像が周辺領域54b内に形成される場合がある。この場合では、欠陥は、欠陥として判定されない。
しかしながら、本実施形態のように、第2の範囲54において中央部54aに加えて中央部54aを中心とする周囲の所定領域54cにおいても欠陥を検出することによって、第1,2の範囲53,54において特異部の位置がずれていても、このずれを吸収することができるので、欠陥を正確に検出することができる。
なお、本実施形態では、第2の範囲用特異部検出部110において、画像データ72の所定領域72cの特異部を検出することを行っている。他の例としては、所定領域72cと同様に、第1の範囲53の画像データ71において中央部71aに対して設定される所定領域内の特異部を検出するようにしてもよい。中央部71aに対する所定領域の位置、大きさ、形状は、中央部72aに対する所定領域72c位置、大きさ、形状と同じである。
本実施形態の第1,2の光路L1,L2は、複数の光路の一例である。光路が3つ以上に分割される場合、各光路に対して、光学像を画像データに変換するとともに、第1,2の特異部検出部91,110と同様の特異部検出部を設ける。そして、1つの光路に対して設けられる特異部検出部は、画像データの中央部のみ特異部を検出し、この1つの光路以外の残りの光路に対して設けられる特異部検出部は、画像データの中央部と所定領域との特異部を検出するようにする。そして、欠陥判定部は、中央部のみ特異部を検出する特異部検出部が特異部を検出し、かつ、残りの特異部検出部全てが中央部または所定領域に特異部を検出した場合に、ガラス基板5において画像データの中央部に対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
このことによって、本実施形態と同様の効果が得られる。
つぎに、第3の実施形態に係る欠陥検査装置を、図16〜18を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、第1の蓄積型ラインセンサ51に加えて、第の第2の蓄積型ラインセンサ55が用いられる点と、光路長調整部44が第1の実施形態と異なる。他は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、説明する。
図16は、本実施形態の欠陥検査装置10を示す概略図である。図16に示すように、本実施形態では、変換部50は、第1の蓄積型ラインセンサ51に加えて、第2の蓄積型ラインセンサ55が用いられる。第1の蓄積型ラインセンサ51と第2の蓄積型ラインセンサ55とは、同じものである。
本実施形態では、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52には、第1の光路L1を通るレーザー光が結像され、第2の光路L2を通るレーザー光は、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56に結像される。このため、本実施形態では、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52には第2の範囲54は形成されず、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56に第2の範囲54が形成される。第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56の第2の範囲54に第2の光路L2を通るレーザー光が結像される。第2の蓄積型ラインセンサ55においても、第2の光路L2の光軸は、第2の範囲54の中心C2を通る。図16中、2点鎖線で囲む範囲16aに、第1の範囲53を示す第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52を示す。図16中、2点鎖線で示す範囲16bに、第2の範囲54を示す第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56の平面図を示す。
図17は、第1,2の光路L1,L2を明確に示す欠陥検査装置10の一部を示す概略図である。図17に示すように、本実施形態では、光路長調整部44は、第2のプレーンパラレル44bが第1の実施形態と異なる。第1のプレーンパラレル44aは、第1の実施形態と同じであり、第1の光路L1を通るレーザー光の焦点F1は、第1の範囲53上に設けられる。第2のプレーンパラレル44bは、第2の光路L2を通るレーザー光の焦点F2を、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56上ではなく、センサ面56よりも前に形成するように第2の光路L2の光路長を調整する。
第2の光路L2を通るレーザー光の焦点F2が第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56上に位置していないことによって、第1の範囲53内で結像される光学像と、第2の範囲54内で結像される光学像とは、異なるものになる。このため、画像データ71,72は、互いに異なるものになる。
図18は、本実施形態の第1,2の範囲用特異部検出部91,110を示すブロック図を示している。図18に示すように、本実施形態では、第1の範囲用特異部検出部91は、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95を有していない。また、第2の範囲用特異部検出部110は、第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94を有していない。
これは、第1の光路L1を通るレーザー光の焦点F1が第1の範囲53上に位置するとともに第2の光路L2を通るレーザー光の焦点F2が第2の範囲54上に位置しないことによって、画像データ71,72とが異なるものになるため、周辺領域71b,72bの出力レベルの平均値を算出する際に画像データ71の周辺領域71bと画像データ72の周辺領域72bとを組み合わせることができないためである。
本実施形態では、第1の範囲用特異部検出部91では、周辺領域出力レベル平均値算出部96は、第1の範囲周辺領域出力レベル算出部94の算出結果に基づいて周辺領域71bの出力レベルの平均値を算出する。第2の範囲用特異部検出部110では、周辺領域出力レベル平均値算出部96は、第2の範囲周辺領域出力レベル算出部95の算出結果に基づいて周辺領域72bの出力レベルの平均値を算出する。
本実施形態では、欠陥判定部130は、第1の範囲用特異部検出部91の第1の範囲用特異部判定部103が中央部71aに特異部が形成されていると判定するか、または、第2の範囲用特異部検出部110の特異部判定部123が中央部72a内に特異部が形成されていると判定すると、ガラス基板5において第1,2の範囲53,54の中央部53a,54aに対応する部位に欠陥が形成されていると判定する。
この点について具体的に説明する。上記のように、第1の光路L1を通るレーザー光の焦点F1は、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52の第1の範囲53上に形成され、第2の光路L2を通るレーザー光の焦点F2は、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56より前に位置に形成される。このことによって、第1,2の範囲53,54に形成される光学像が互いに異なるものになるので、画像データ71,72は互いに異なるものになる。
一方、微細な欠陥の場合、光学像の焦点位置をセンサ面からずらすことによって、センサ面上での欠陥を示す光学像の形成のされかたが変わり、欠陥を示す画像データが異なるようになる。このため、光学像の焦点がセンサ面上に形成される場合では欠陥を認識しづらい場合であっても、センサ面に対するレーザー光の焦点の位置を変更することによって、欠陥が認識されやすくなる場合がある。
第2の蓄積型ラインセンサ55と第2の光路L2とは、第1の蓄積型ラインセンサ51に対して、センサ面52に対するレーザー光の焦点F1の位置を変更したものとなる。つまり、第1,2の光路L1,L2の、センサ面52,56までの光路長を互いに異なるものにしている。このため、第1の範囲用特異部検出部91が欠陥を特異部として検出できなくても、第2の範囲用特異部検出部110が欠陥を特異部として検出する場合があり、または、第2の範囲用特異部検出部110が欠陥を特異部として検出できなくても、第1の範囲用特異部検出部91が欠陥を特異部として検出する場合がある。
このため、欠陥判定部130が、第1,2の範囲用特異部検出部91,110のいずれか一方が特異部を検出すると、ガラス基板5において特異部に対応する位置に欠陥が形成されていると判定することによって、欠陥を正確に検出できる。
なお、本実施形態の第1,2の光路L1,L2は、分割された複数の光路の各々において光学像が結像される撮像面までの光路長が互いに異なることの一例である。3つ以上の光路を有し、これら光路において撮像面までの光路長が互いに異なる場合は、各光路に対して、光学像を画像データに変換するとともに第1,2の特異部検出部91,110と同様の特異部検出部を設ける。そして、欠陥判定部は、各光路に対して設けられる特異部検出部の少なくとも1つが特異部を検出すると、ガラス基板5において画像データの中央部に対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
また、本実施形態であっても、第2の実施形態と同様に、中央部71a,72aに対して所定領域を設定し、これら所定領域内の特異部を検出してもよい。そして、所定領域内の特異部も用いて欠陥を判定してもよい。
例えば、第1の範囲用特異部検出部91が、中央部71aに対して設定される所定領域内の特異部も検出する場合、欠陥判定部130は、第1の範囲用特異部検出部91の中央部71aに対して設けられる特異部判定部103が中央部71aが特異部であると判定した場合、第1の範囲用特異部検出部91の中央部71aに対して設定される所定領域内に対して設けられる特異部判定部が所定領域内に特異部が形成されていると判定した場合、または、第2の範囲用特異部検出部110の特異部判定部123が中央部72aが特異部であると判定した場合の少なくとも1つの場合に、ガラス基板5において中央部72aに対応する箇所を欠陥と判定する。
同様に、第2の範囲用特異部検出部110が、中央部72aに対して設定される所定領域内の特異部も検出する場合、欠陥判定部130は、第2の範囲用特異部検出部110の中央部72aに対して設けられる特異部判定部123が中央部72aが特異部であると判定した場合、第2の範囲用特異部検出部110の中央部72aに対して設定される所定領域内に対して設けられる特異部判定部が所定領域内に特異部が形成されていると判定した場合、または、第1の範囲用特異部検出部91の特異部判定部103が中央部71aが特異部であると判定した場合の少なくとも1つの場合に、ガラス基板5において中央部71aに対応する箇所を欠陥と判定する。このことによって、ガラス基板5の欠陥をより一層正確に検出できる。
または、第1,2の範囲用特異部検出部91,110の両方において、それぞれ、中央部71a,72aに対して設定される所定領域内の特異部も検出してもよい。この場合、欠陥判定部130は、第1の範囲用特異部検出部91において中央部71aまたは所定領域に対して設けられる特異部判定部103の少なくとも1つが特異部を検出し、または、第2の範囲用特異部検出部110において中央部72aまたは所定領域に対して設けられる特異部判定部123の少なくとも1つが特異部を検出すると、ガラス基板5において、中央部71a,72aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
このように、光路分割機構によって分割された全ての光路の撮像面までの光路長が全て異なる場合、各光路に対して設けられる特異部検出部の少なくとも1つは、画像データの中央部の特異部を検出することに加えて中央部に対して設定される所定領域の特異部を検出してもよい。そして、中央部の特異部のみ検出する特異部検出部のいずれか1つが特異部を検出し、または、中央部に加えて所定流域の特異部を検出する特異部検出部のいずれか1つが特異部を検出すると、欠陥判定部は、画像データの中央部を欠陥として判定する。
つぎに、第4の実施形態に係る欠陥検査装置を、図19〜21を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、光路分割機構43は、光路を、第1,2の光路L1,L2に加えて、さらに第3の光路L3に分割する。さらに、光路を3つに分けることにともない、欠陥検査装置10が第1の実施形態に対して異なる。他は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について、説明する。
図19は、本実施形態の欠陥検査装置10を示す概略図である。図20は、本実施形態の光路分割機構43を明確に示す欠陥検査装置10の一部を示す概略図である。図19に示すように、本実施形態の欠陥検査装置10は、さらに、第2の蓄積型ラインセンサ55と、第2のAD変換回路61と、第3の範囲用特異部検出部170とを備える。図20に示すように、光路分割機構43は、さらに、第2のハーフミラー43cと、第2のミラー43dとを備える。
第2のハーフミラー43cは、第1のハーフミラー43aよりも光路上においてガラス基板5側に配置されている。第2のハーフミラー43cは、結像レンズ42を通過したレーザー光の2/3を通過し、1/3を反射する。第2のハーフミラー43cを通過したレーザー光は、第1のハーフミラー43aに到達する。第2のハーフミラー43cは、第2のミラー43dに向かってレーザー光を反射する。第2のミラー43dは、レーザー光を第2の蓄積型ラインセンサ55に向かって反射する。第2のハーフミラー43cで分岐される光路を、第3の光路L3とする。
光路長調整部44は、さらに、第3のプレーンパラレル44cを備えている。第3のプレーンパラレル44cは、第3の光路L3中に設けられており、第3の光路L3を通るレーザー光の焦点F3が第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56よりも前に形成されるように第3の光路L3の光路長を調整する。
このように、本実施形態では、光路長調整部44は、第1,2の光路L1,L2のセンサ面52までの光路長を互いに同じにするとともに、第3の光路L3のセンサ面56までの光路長を、第1,2の光路L1,L2のセンサ面52までの光路長に対して異なるものにしている。
第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56上には、第3の光路L3を通るレーザー光が結像される第3の範囲57が形成されている。第3の範囲57は、第1,2の範囲53,54と同じ大きさであり、かつ、同じ形状である。第3の光路L3の光軸は、第3の範囲57の中心C3を通る。第3の範囲57は、第1,2の範囲53,54と同じ形状であり、かつ、同じ大きさである。図19中、2点鎖線で囲む範囲F19a内に、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56と、第3の範囲57とを示している。
第2の蓄積型ラインセンサ55は、第3の範囲57上に結像された光学像を電気信号に変換する。第2のAD変換回路61は、第2の蓄積型ラインセンサ55の出力した電気信号を画像データに変換する。図19中、2点鎖線で囲む範囲19b内に第3の範囲57の画像データ73を示している。
図21は、欠陥判定回路90の一部を示すブロック図である。図21に示すように、欠陥判定回路90は、第3の範囲用特異部検出部170を備えている。第3の範囲用特異部検出部170の構成は、第1,2の範囲用特異部検出部91,110と同様であり、第3の範囲用出力変位算出部171と、第3の範囲用閾値判定部180とを備えている。
第3の範囲用出力変位算出部171は、第3の範囲57の画像データ73の中央部が特異部であるか否かを判定するために、周辺領域に対する中央部の出力レベルの大きさを算出する。
第3の範囲用出力変位算出部171は、第3の範囲中央部出力レベル算出部172と、第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173と、周辺領域出力レベル平均値算出部174と、第3の範囲用出力レベル差算出部175とを備えている。
第3の範囲中央部出力レベル算出部172には、第2のAD変換回路61から第3の範囲57の画像データ73が送信される。第3の範囲中央部出力レベル算出部172は、画像データ73において第3の範囲57の中央部57aに対応する中央部73aの出力レベルを算出する。第3の範囲57に対する中央部57aの位置、大きさ、形状は、第1,2の範囲53,54に対する中央部53a,54aの位置、大きさ、形状と同じである。第3の範囲57の中央部57aは、画像データ73において、画像データ71,72と同様に、1つの画素に対応している。
第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173は、第2のAD変換回路61から第3の範囲57の画像データ73が送信される。第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173は、画像データ73において第3の範囲57の周辺領域57bに対応する周辺領域73bの出力レベルを、第1,2の範囲周辺領域出力レベル算出部94,95と同様に算出する。具体的には、周辺領域73bの各画素の出力レベルを算出するとともに、周辺領域73bの各画素の出力レベルを加算する。周辺領域57bは、第3の範囲57において中央部57a以外の部分である。
第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173は、算出結果を周辺領域出力レベル平均値算出部174に送信する。周辺領域出力レベル平均値算出部174は、画像データ73の周辺領域73bにおいて中央部73aと同じ範囲の出力レベルの平均値を算出する。周辺領域出力レベル平均値算出部174の算出結果は、第3の範囲用出力レベル差算出部175に送信される。
第3の範囲用出力レベル差算出部175は、第3の範囲中央部出力レベル算出部172の算出結果から、周辺領域出力レベル平均値算出部174の算出結果を減算する。第3の範囲用出力レベル差算出部175の算出結果は、第3の範囲用閾値判定部180に送信される。
第3の範囲用閾値判定部180は、第3の範囲用出力レベル差算出部の算出結果と閾値とを比較し、中央部73aが特異部であるか否かを判定する。第3の範囲用閾値判定部180は、第1の比較部181と、第2の比較部182と、第3の範囲用特異部判定部183とを備えている。
第1の比較部181は、第3の範囲用出力レベル差算出部175の算出結果が送信される。第1の比較部181は、第3の範囲用出力レベル差算出部175の算出結果と、第1の閾値Lvl1より大きいか否かを判定する。第2の比較部182は、第3の範囲用出力レベル差算出部175の算出結果が送信される。第2の比較部182は、第3の範囲用出力レベル差算出部175の算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるか否かを判定する。
第1,2の比較部181,182の比較結果は、第3の範囲用特異部判定部183に送信される。第3の範囲用特異部判定部183は、第1の比較部181の比較結果が第3の範囲用出力レベル差算出部175の算出結果が第1の閾値Lvl1より大きいという比較結果である場合、または、第2の比較部182の比較結果が第3の範囲用出力レベル差算出部175の算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるという比較結果である場合、画像データ73の中央部73aは、特異部であると判定する。第3の範囲用特異部判定部183の判定結果は、欠陥判定部130に送信される。
本実施形態では、欠陥判定部130は、第1〜3の範囲用第1の範囲用特異部判定部103,123,183の判定結果が送信される。欠陥判定部130は、第1,2の第1の範囲用特異部判定部103,123がともに画像データ71,72の中央部71a,72aが特異部であると判定した場合に、ガラス基板5において、第1,2,3の範囲53,54,57の中央部53a,54a,57aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。または、第3の範囲用第3の範囲用特異部判定部183が画像データ73の中央部73aが特異部であると判定すると、ガラス基板5において第1〜3の範囲53,54,57の中央部53a,54a,57aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
これは、第2の実施形態で説明したように、第3の光路L3を通るレーザー光の焦点を第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56の前に形成することによって、第1,2の範囲53,54に結像される光学像と、第3の範囲57に結像される光学像とが異なるものになるためである。
このため、第1,2の範囲用特異部検出部91,110が欠陥を特異部として検出できない場合であっても、第3の範囲用特異部検出部170が欠陥を特異部として検出できる場合があり、逆に、第3の範囲用特異部検出部170が欠陥を特異部として検出できなくても、第1,2の範囲用特異部検出部91,110が欠陥を特異部として検出できる場合があるためである。
本実施形態では、ガラス基板5の欠陥を正確に検出することができる。
なお、本実施形態は、第1,2の光路L1,L2が撮像面までの光路長が互いに等しく、第3の光路L3の光路長が第1,2の光路L1,L2の光路長に対して異なる。これは、光路分割機構が3つ以上の光路に分割し、かつ、これら3つ以上の光路において光学像が結像される撮像面までの光路長を複数設定し、少なくとも2つの光路長を互いに等しくすることの一例である。
例えば、光路分割機構が5つの光路に分割した場合、これら5つの光路のうち、3つの光路の撮像面までの光路長を互いに等しく、残りの2つの光路は互いに光路長が異なるとともに上記3つの光路の光路長とも異なるものとしてもよい。そして、各光路に対して、光学像を画像データに変換するとともに第1〜3の欠陥検出部91,110,170と同様の欠陥検出部を設ける。そして、互いに光路長が等しい3つの光路を有するグループの各光路に対して設けられる特異部検出部が全て特異部を検出した場合、または、残りの2つの光路に対して設けられる特異部検出部のいずれか一方が特異部を検出した場合、欠陥判定部130は、ガラス基板5において画像データの中央部に対応する箇所に欠陥が形成されている判定する。
このように、撮像面までの光路長が互いに等しい光路を有するグループが複数ある場合は、それらグループの少なくとも1つにおいてそのグループを構成する光路に対して設けられる特異部検出部の全てが特異部を検出した場合に、欠陥判定部は、ガラス基板5において画像データの注す員流域に対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。さらに、加えて、他の光路に対して異なる光路長を有する1つの光路が複数ある場合、これらの光路に対して設けられる特異部検出部の少なくとも1つが特異部を判定した場合でも、欠陥判定部は、ガラス基板5において画像データの中央部に対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
また、本実施形態においても、第2、3の実施形態と同様に、第1〜3の範囲用特異部検出部91,110,170の少なくとも1つが、第1,2,3の範囲53,54,57の中央部53a,54a,57aの周囲に設定される所定領域53b,53b,57b内の特異部を検出するようにしてもよい。
例えば、第1の範囲用特異部検出部91が中央部71aに加えて、中央部71aに対して設定される所定領域内の特異部を検出する場合、欠陥判定部は、第1の範囲用特異部検出部91において、中央部71aまたは所定領域に対して設けられる特異部判定部103の少なくともいずれか1つが特異部を検出し、かつ、第2の範囲用特異部検出部110の特異部判定部123が特異部を検出すると、ガラス基板5において中央部71a,72a,73aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。または、第3の範囲用欠陥検出部170が欠陥を検出すると、欠陥判定部130は、ガラス基板5において中央部71a,72a,73aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
同様に、第2の範囲用特異部検出部110が中央部72aに加えて所定領域の特異部を検出する場合、欠陥判定部は、第2の範囲用特異部検出部110において、中央部72aまたは所定領域に対して設けられる特異部判定部123の少なくともいずれか1つが特異部を検出し、かつ、第1の範囲用特異部検出部91の特異部判定部103が特異部を検出すると、ガラス基板5において中央部71a,72a,73aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。または、第3の範囲用欠陥検出部170が欠陥を検出すると、欠陥判定部130は、ガラス基板5において中央部71a,72a,73aに対応する箇所に欠陥が形成されていると判定する。
このように、光路分割機構によって分割される光路が3つ以上であって、これら3つ以上の光路において光学像が結像される撮像面までの光路長を複数種類設定するとともに、少なくとも2つの光路の光路長を互いに同じとする場合、各光路に対して、光学像を画像データに変換するとともに第1〜3の特異部検出部91,110,170と同様の特異部検出部を設ける。そして、撮像面までの光路長が等しい複数の光路の組み合わせの少なくとも1組において、1つの光路に対して設けられる特異部検出部が特異部を検出し、かつ、残りの光路に対して設けられた特異部検出部が画像データにおいて特異部に対応する位置に対して設定される所定範領域内に特異部を検出すると、欠陥判定部130は、特異部を欠陥と判定し、または、他の光路に対して異なる光路長を有する1つの光路がある場合は、この光路に対して設けられる特異部検出部が特異部を検出すると、欠陥判定部130は、特異部を欠陥と判定する。
つぎに、第5の実施形態に係る欠陥検査装置を、図22〜25を用いて説明する。なお、第4の実施形態と同様の機能を有する構成は、第4の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、光路分割機構43が、さらに、第4の光路L4を分割する。さらに、第4の光路L4を備えることにともなって、欠陥検査装置10の構成が第4の実施形態と異なる。異なる点について説明する。
図22は、本実施形態の欠陥検査装置10を示す概略図である。図22に示すように、本実施形態では、欠陥検査装置10は、さらに、第2の分配回路81と、第4の範囲用特異部検出部190と備えている。
図23は、光路を明確に示す欠陥検査装置10の一部を示す概略図である。図23に示すように、光路分割機構43は、さらに、第3のハーフミラー43eと、第3のミラー43fとを備える。第3のハーフミラー43eは、第3の光路中L3に設けられている。本実施形態では、第2のハーフミラー43cは、50パーセントのレーザー光を通過し、50パーセントのレーザー光を第2のミラー43dに向かって反射する。
第3のハーフミラー43eは、50パーセントのレーザー光を通過し、50パーセントのレーザー光を第3のミラー43fに反射する。第3のミラー43fは、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56に向かってレーザー光を反射する。第3のハーフミラー43eでレーザー光が反射されることによって、第4の光路L4が分岐される。第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56上には、第3の範囲57に加えて、第4の光路L4を通るレーザー光が結像される第4の範囲58が形成される。
図24は、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56を示している。図24に示すように、第4の範囲58は、第1〜3の範囲53,54,57と同じ大きさであり同じ形状である。第4の光路L4の光軸は、第4の範囲58の中心C4を通る。第4の範囲58に対する中央部58aの位置、大きさ、形状は、第1〜3の範囲53,54,57に対する中央部53,54,57の位置、大きさ、形状と同じである。図24中、第4の範囲58の中央部58aに、明確にするために、ハッチングを施している。このハッチングは、切断面を示すものではない。中央部58aは、第1〜3の範囲53,54,57の中央部53a,54a,57aと同様である。図中、第4の葉に58の周辺領域58bに、明確にするために、ハッチングを施している。このハッチングは切断面を示すものではない。同様に、図24中、第3の範囲57の中央部57aと周辺領域57bとを、明確に示すためにハッチングを施している。このハッチングは切断面を示すものではない。
図23に示すように、第4の光路L4を通るレーザー光の焦点F4は、第3の光路L3を通るレーザー光の焦点F3と同じ位置である。ここで言う同じ位置とは、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56に対して、同じ距離離れた位置に焦点F3,F4があることである。つまり、第3の光路L3にそってセンサ面56から焦点F3までの距離M3と、第4の光路L4にそってセンサ面56焦点F4までの距離M4とは、同じである。なお、本実施形態では、第4の光路L4上に光路長を調整するプレーンパラレルを設けてなくても、第3,4の光路L3,L4を通るレーザー光の焦点F3,F4の位置が同じになるため、第4の光路L4上にプレーンパラレルは設けられていない。他の例としては、第4の光路L4中にプレーンパラレルのように光路長を調整できる装置を設けてもよい。
図22に示すように、第2の蓄積型ラインセンサ55の第4の範囲58は、第4の範囲58に結像される光学像を電気信号に変換する。第2のAD変換回路61は、第3,4の範囲57、58に結像された光学像を画像データに変換する。
第2の分配回路81は、第2のAD変換回路61の形成した画像データから第3の範囲57の画像データ73と第4の範囲58の画像データ74とに分配し、第3,4の範囲57,58の画像データ73,74を第3,4の範囲用特異部検出部170,190に送信する。
図25は、欠陥判定回路90の一部を示すブロック図である。図25に示すように、本実施形態の欠陥判定回路90は、さらに、第4の範囲用特異部検出部190を備えている。本実施形態では、第3の範囲用特異部検出部170は、さらに、第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194を備えている。第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194は、第4の範囲58の画像データ74が送信される。第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194は、第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173と同様に、画像データ74において第4の範囲58の周辺領域58bに対応する周辺領域74bの出力レベルを算出する。具体的には、周辺領域74bを示す各画素の出力レベルを算出するとともに全てを加算する。第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194の算出結果は、周辺領域出力レベル平均値算出部174に送信される。
本実施形態では、周辺領域出力レベル平均値算出部174は、第1の範囲用特異部検出部91と同様に、第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173の算出結果と第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194の算出結果とから、周辺領域73b,74bにおいて中央部73aと同じ範囲の出力レベルの平均値を算出する。具体的には、第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173の算出結果と第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194の算出結果とを加算し、中央部73aと同じ大きさつまり1画素当たりの平均出力レベルを算出する。
第4の範囲用特異部検出部190は、第4の範囲用出力変位算出部191と、第4の範囲用閾値判定部200とを備えている。第4の範囲用出力変位算出部191は、画像データ74の中央部74aが特異部であるかを判定するために、周辺領域74bに対する中央部74aの出力レベルの大きさを算出する。
第4の範囲用出力変位算出部191は、第4の範囲中央部出力レベル算出部192と、第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173と、第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194、周辺領域出力レベル平均値算出部174と、第4の範囲用出力レベル差算出部195とを備えている。
第4の範囲中央部出力レベル算出部192は、第4の範囲58の画像データ74が送信される。第4の範囲中央部出力レベル算出部192は、第3の範囲中央部出力レベル算出部172と同様に、第4の範囲58の中央部58aに対応する中央部74aの出力レベルを算出する。
第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173と第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194とは、上記した第3の範囲用出力変位算出部171の第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173と第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194と同じである。
周辺領域出力レベル平均値算出部174は、上記のように、第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173と第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194との算出結果が送信され、これら算出結果に基づいて、中央部73a,74aと同じ範囲の出力レベルの平均値を算出する。
第4の範囲用出力レベル差算出部195は、第4の範囲中央部出力レベル算出部192の算出結果と、周辺領域出力レベル平均値算出部174の算出結果とが送信される。第4の範囲用出力レベル差算出部195は、第4の範囲中央部出力レベル算出部192の算出結果から周辺領域出力レベル平均値算出部174の算出結果を減算する。
第4の範囲用閾値判定部200は、第4の範囲用出力レベル差算出部195の算出結果と閾値とを比較して、画像データ74の中央部74aが特異部であるか否かを判定する。第4の範囲用閾値判定部200は、第1の比較部201と、第2の比較部202と、特異部判定部203とを備えている。
第1の比較部201は、第4の範囲用出力レベル差算出部195の算出結果が送信される。第1の比較部201は、第4の範囲用出力レベル差算出部195の算出結果が第1の閾値Lvl1より大きいか否かを判定する。第2の比較部202は、第4の範囲用出力レベル差算出部195の算出結果が送信される。第2の比較部202は、第4の範囲用出力レベル差算出部195の算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるか否かを判定する。
特異部判定部203は、第1,2の比較部201,202の比較結果が送信される。特異部判定部203は、第1の比較部201の比較結果が第4の範囲用出力レベル差算出部195の算出結果が第1の閾値Lvl1より大きいという比較結果であり、または、第2の比較部202の比較結果が第4の範囲用出力レベル差算出部195の算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるという比較結果である場合、画像データ74の中央部74aは特異部であると判定する。
図22に示すように、本実施形態では、第1〜4の範囲用第1の範囲用特異部判定部103,123,183,203は、欠陥判定部130に送信される。欠陥判定部130は、第1,2の範囲用特異部検出部91,110の検出結果がともに画像データ71,72の中央部71a,72aが特異部であるという検出結果であった場合、または、第3,4の範囲用特異部検出部170,190の検出結果がともに画像データ73,74の中央部73a,74aが特異部であるという検出結果であると、ガラス基板5において、第1〜4の範囲53,54,57,58の中央部53a,54a,57a,58aに対応する位置に欠陥が形成されていると判定する。
本実施形態では、第1,2の実施形態と同様に、ガラス基板5の欠陥を正確に検出することができる。
これは、第2の実施形態で説明したように、第1の蓄積型ラインセンサ51の第1,2の範囲53,54に結像される光学像が互いに同じであるとともに第2の蓄積型ラインセンサ55の第3,4の範囲57,58に結像される光学像が互いに同じであり、かつ、第1の蓄積型ラインセンサ51のセンサ面52に対する第1,2の光路L1,L2の焦点F1,F2の位置の相対関係と、第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56に対する第3,4の光路L3,L4の焦点F3,F4の位置の相対関係が異なることによって、第1,2の範囲53,54に形成される光学像と、第3,4の範囲57,58に形成される光学像とが異なるためである。
つまり、互いに焦点位置が異なる光学像の画像データの一方が特異部を検出したとき、この特異部を欠陥として判定することによって、欠陥を正確に検出することができる。
また、第1〜4の光路L1〜L4を、第1,2の光路L1,L2のグループと、第3,4の光路L3,L4のグループとに分けて、各グループではセンサ面に対する焦点の相対位置関係を同じにするとともに、この相対位置関係をグループごとに異なるものにすることによって、各グループにおいてグループを構成する光路によって形成される光学像の画像データの全てに特異部が形成されていないと、特異部を欠陥と判定しないこととすることによって、欠陥をより一層正確に検出することができる。
なお、本実施形態においても、第1〜4の範囲用出力変位算出部は、第2の実施形態と同様に、中央部71a,72a,73a,74aに対して所定領域を設定し、この設定領域内の特異部を検出してもよい。そして、所定領域内の特異部を用いて欠陥を判定してもよい。
つぎに、第6の実施形態に係る欠陥検査装置を、図13〜15,26〜28を用いて説明する。なお、第5の実施形態と同様の機能を有する構成は、第5の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の範囲用特異部検出部110と、第4の範囲用特異部検出部190とが、第2の実施形態と同様に、中央部72a,74aが特異部であるか否かを判定するとともに、中央部72a,74aに対して設定される所定領域が特異部であるか否かを判定する点が、第5の実施形態に対して異なる。さらに、この相違点に応じて、欠陥検査装置10の構成が異なる。異なる点を説明する。
本実施形態では、第2の範囲用特異部検出部110は、第2の実施形態と同様に、画像データ72の中央部72aが特異部であるか否かを検出するとともに、画像データ72の中央部72aに対して設定される所定領域72cが特異部であるか否かを判定する。このため、図13に示すように、第2の範囲用特異部検出部110は、第2の実施形態と同じである。つまり、画像データ72において所定領域72cを示す第1〜8の画像141〜148において、これらが特異部であるか否かを判定する。
また、図14に示すように、第2の範囲54は、第2の実施形態と同じに、所定領域54cが設定されている。図15に示すように、画像データ72は、第2の実施形態と同じに、所定領域72cが設定されている。
図26は、本実施形態の第4の範囲用特異部検出部190を示している。第4の範囲用特異部検出部190は、第2の範囲用特異部検出部110と同様に、画像データ74の中央部74aが特異部であるか否かを判定するとともに、中央部74aに対して設定される所定領域74cが特異部であるか否かを判定する。
図27は、本実施形態の第2の蓄積型ラインセンサ55のセンサ面56において第4の範囲58の近傍を示す平面図である。図30に示すように、第4の範囲58には、所定領域58cが設定されている。第4の範囲58に対する所定領域58cの位置、形状、大きさは、第2の範囲54に対する所定領域54cの位置、形状、大きさをと同じである。所定領域58cは、周辺領域58bの一部である。なお、図30中、中央部58aと所定領域58cとは、明確になるようにハッチングを施している。このハッチングは切断面を示すものではない。
図28は、画像データ74を示している。図31に示すように、画像データ74には、所定領域58cに対応する所定領域74cが設定されている。所定領域74cは、中央部74aを囲む8つの画素で示される。所定領域74cを示す画素を、第1〜8の画素211,212,213,214,215,216,217とする。
図26に示すように、第4の範囲用特異部検出部190は、本実施形態の第2の範囲用特異部検出部110と同様に構成を有している。つまり、第4の範囲用特異部検出部190は、中央部74aが特異部であるか否かを検出するための第4の範囲用出力変位算出部191に加えて、第1〜8の画素211〜218が特異部であるか否かを判定するための第4の範囲用出力変位算出部191a,191b,191c,191d,191e,191f,191g,191hと、閾値判定部200とを備えている。図29中では、第4の範囲用出力変位算出部191,191a,191hを示しており、第4の範囲用出力変位算出部191b〜191gは省略されている。
第4の範囲用出力変位算出部191a,191b,191c,191d,191e,191f,191g,191hは、第2の範囲用出力変位算出部111a〜111hと同様である。
具体的に説明する。第1の画素211が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191aと、第4の範囲用閾値判定部200とが用いられる。第2の画素212が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191bと、第4の範囲用閾値判定部200とが用いられる。第3の画素213が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191cと、第2の範囲用閾値判定部120とが用いられる。第4の画素214が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191dと、第4の範囲用閾値判定部200とが用いられる。第5の画素215が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191eと、第4の範囲用閾値判定部200とが用いられる。第6の画素216が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191fと、第4の範囲用閾値判定部200とが用いられる。第7の画素217が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191gと、第4の範囲用閾値判定部200とが用いられる。第8の画素218が特異部であるか否かを検出するために、第4の範囲用出力変位算出部191hと、第4の範囲用閾値判定部200とが用いられる。
第1〜8の画素211〜218に対して用いられる第4の範囲用出力変位算出部191a〜191hと第4の範囲用閾値判定部200について、第1の画素211に対して用いられる第4の範囲用出力変位算出部191aと第4の範囲用閾値判定部200とを代表して説明する。
図26に示すように、第1の画素211に対して用いられる第4の範囲用出力変位算出部191aは、第4の範囲中央部出力レベル算出部192に代えて、第1の画素出力レベル算出部192aを備えている。第1の画素出力レベル算出部192aは、第4の範囲58の画像データ74が送信される。第1の画素出力レベル算出部192aは、第4の範囲58の画像データ74に基づいて、第1の画素211が示す色に応じた出力レベルを算出する。
第4の範囲用出力変位算出部191aは、第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194に代えて、第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194aを備えている。第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194aは、画像データ74が送信されるとともに、画像データ74において第1の画素211以外を周辺領域とし、第1の画素211以外の各画素の出力レベルを算出して全て加算する。第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173は、第5の実施形態と同じである。
第4の範囲用出力変位算出部191aは、周辺領域出力レベル平均値算出部174に代えて、周辺領域出力レベル平均値算出部174aを備えている。周辺領域出力レベル平均値算出部174aは、第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194aの算出結果と、第3の範囲周辺領域出力レベル算出部173の算出結果とが送信される。周辺領域出力レベル平均値算出部174aは、第3,4の範囲周辺領域出力レベル算出部173,194aの算出結果に基づいて、算出結果どうしを加算する。そして、得られた加算値を、画像データ74において第1の画素211以外の部分と周辺領域73bとを示す画素数で除算する。そして、得られた除算値に、中央部74aを示す画素数を積算する。
この積算値は、画像データ74において第1の画素211以外の部分と周辺領域73bとを組み合わせたものにおいて、中央部74aと同じ大きさの範囲からの出力レベルの平均値を示す。本実施形態では、中央部74aは、1画素で表されるので、上記除算値がそのまま周辺領域出力レベルの平均値になる。
第4の範囲用出力変位算出部191aは、第4の範囲用出力レベル差算出部195に代えて、第4の範囲用出力レベル差算出部195aを備えている。第4の範囲用出力レベル差算出部195aは、第1の画素出力レベル算出部192aの算出結果から、周辺領域出力レベル平均値算出部174aの算出結果をひく。第4の範囲用出力レベル差算出部195aの算出結果は、第4の範囲用閾値判定部200に送信される。
第4の範囲用閾値判定部200は、第5の実施形態と同じである。第1の比較部201は、第4の範囲用出力レベル差算出部195aの算出結果が第1の閾値Lvl1より大きいか否かを判定し、第2の比較部202は、第4の範囲用出力レベル差算出部195aの算出結果が第2の閾値Lvl2未満であるか否かを判定する。
このように、第1の画素211に対する第4の範囲用出力変位算出部191aは、第5の実施形態で説明された第4の範囲用出力変位算出部191と略同様であり、異なる点としては、第4の範囲用出力変位算出部191の処理として中央部74aのデータを用いていたところを、第1の画素211のデータを用いることに置き換えるとともに、周辺領域74bのデータを用いていたところを、第1の画素211以外の部分のデータを用いることに置き換える点である。
同様に、第2〜8の画素212〜218に対して用いられる第4の範囲用出力変位算出部191b〜191hにおいても、第4の範囲用出力変位算出部191aと同様である。具体的には、各々、第5の実施形態で説明された第4の範囲用出力変位算出部191と略同様であり、異なる点としては、第4の範囲用出力変位算出部191において中央部74aのデータを用いてところを、第2〜8の画素212〜218のデータを用いることに置き換えるとともに、周辺領域74bのデータを用いていたところを、第2〜8の画素212〜218以外の部分のデータを用いることに置き換える点である。
なお、図29中では、第4の範囲用出力変位算出部191,191a,191hを示しており、191b〜191gは、省略している。第4の範囲用出力変位算出部191hは、第8の画素出力レベル算出部192hと、第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194hと、出力レベル平均値算出部174hとを備えている。このように、第2の範囲用出力変位算出部191b〜191gは、各々、第2〜7の画素212〜217のうち対応する画素の出力レベルを算出する出力レベル算出部192b〜192gのうち対応するものと、第4の範囲周辺領域出力レベル算出部194b〜194gのうち対応するものと、出力レベル平均値算出部174b〜174gのうち対応するものと、第4の範囲用出力変位算出部195b〜195はのうち対応するものを有する。
第1の範囲用特異部検出部91の検出結果と、第2の範囲用特異部検出部110の中央部72aと第1〜8の画素141〜148に対して設定される特異部判定部123の判定結果と、第3の範囲用特異部検出部170の検出結果と、第4の範囲用特異部検出部190の中央部74aと第1〜8の画素211〜218に対して設定される特異部判定部123の判定結果は、欠陥判定部130に送信される。
本実施形態では、欠陥判定部130は、第1の範囲用特異部判定部103の判定結果が、中央部71aが特異部であるという結果であるとともに、中央部72aに対して設けられる第2の範囲用特異部判定部123の検出結果と第1〜8の画素141〜148に対して設けられる第2の範囲用特異部判定部123の検出結果とのいずいれか1つが特異部を検出すると、特異部を欠陥と判定する。または、第3の範囲用特異部判定部183の判定結果が、中央部73aが特異部であるという結果であるとともに、中央部74aに対して設けられる第4の範囲用特異部判定部203の検出結果と第1〜8の画素211〜218に対して設けられる第4の範囲用特異部判定部203の検出結果とのいずいれか1つが特異部を検出すると、特異部を欠陥と判定する。
本実施形態では、ガラス基板5の欠陥を正確に判定することができる。さらに、第2,4の範囲54,58の画像データ72,74の所定領域72c,74cの特異部を検出し、この検出結果を用いて欠陥を判定することによって、ガラス基板5の欠陥をより一層正確に検出することができる。
なお、第1〜6の実施形態では、ガラス基板5は、被検査物の一例である。照明光学系30は、被検査物を照明する照明光学系の一例である。結像部40は、照明光学系による被検査物の通過光または通過光を複数の光路に分割する光路分割手段を備えて被検査物の同一部分の光学像を複数形成する結像光学系の一例である。光路分割機構43は、光路分割手段の一例である。変換部50は、複数の光学像の各々を画像データに変換する変換手段の一例である。第1〜4の範囲用特異部検出部91,110,170,190は、画像データの各々において周囲に対する特異部を検出する特異部検出手段の一例である。欠陥判定部130は、特異部検出手段の検出結果に基づいて欠陥を判定する欠陥判定手段の一例である。
第1,2の実施形態において、光路長調整部44は、変換手段での撮像面までの複数の光路の光路長を全て互いに同じにする光路長調整手段の一例である。第3の実施形態において、光路長調整手段44は、複数の光路の変換手段の撮像面までの光路長を互いに異ならせる光路長調整手段の一例である。第4〜6の実施形態において、光路長調整手段44は、3つ以上の光路において変換手段の撮像面までの光路長を複数種類設定するとともに、少なくとも2つの光路の光路長を互いに同じとする光路長調整手段の一例である。
なお、第1〜6の実施形態では、結像部40の光路分割機構44は、ガラス基板5を通過した光を複数の光路に分割する構成である。他の例としては、結像部40は、ガラス基板5にレーザー光を照射し、この反射光を複数の光路に分割し、光学像を形成してもよい。
第1〜6の実施形態では、変換手段の一部として、第1,2の蓄積型ラインセンサ51,55を用いている。他の例としては、CCDのエリアセンサを用いて光学像を電気信号に変換してもよい。
また、第1〜6の実施形態では、一例として、欠陥検査装置は、ガラス基板5に形成されるパターンの検査を行った。他の例としては、ウェハ、ナノインプリントの検査、EVUマスクのブランクス検査、パターンが形成される前のガラス基板の検査を行ってもよい。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。