JP2013190017A - 連結構造 - Google Patents

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紀之 八幡
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Abstract

【課題】耐久性を向上させることのできる連結構造を提供する。
【解決手段】本体シャフト21のセレーション軸部25をエクステンションシャフト22のセレーション孔部37にセレーション嵌合させることによりこれらを一体回転可能に連結する連結構造において、本体シャフト21にセレーション軸部25の先端から突出した突部26を形成し、エクステンションシャフト22に突部26がインロー嵌合する嵌合部38を形成した。そして、セレーション軸部25の軸心O1、突部26の軸心O2、及び嵌合部38の軸心O4を同軸上に形成するとともに、これら軸心O1,O2,O4に対してセレーション孔部37の軸心O3をスリット32側に偏心させた。
【選択図】図2

Description

本発明は、連結構造に関する。
従来、二つの回転部材を一体回転可能に連結する構造として、セレーション(スプライン)嵌合を用いた連結構造が広く知られており、例えば複数の軸部材や等速ジョイント等を連結してなるステアリングシャフトに適用されている(例えば、特許文献1)。具体的には、こうした連結構造では、第1回転部材に雄セレーション歯が形成されたセレーション軸部を設けるとともに、第2回転部材に雌セレーション歯が形成されたセレーション孔部を設け、このセレーション孔部にセレーション軸部をセレーション嵌合させることにより、これらを一体回転可能に連結している。また、例えば特許文献2には、第2回転部材にセレーション孔部の内外を貫通して軸方向に延びるスリット(割り溝)及び該スリットを挟んで対向する一対の締結部(受け部)を形成し、この締結部にピンチボルトを締結することにより該セレーション孔部を縮径させてセレーション嵌合させるようにしたものが開示されている。
特開昭61−52421号公報 特開2000−249157号公報
ところが、上記従来の連結構造では、スリットを挟んで設けられた一対の締結部をつまむようにしてセレーション孔部を縮径させるため、第2回転部材の周方向において、該セレーション孔部は均一に縮径しない。詳しくは、一対の締結部が互いに近接することで、第2回転部材の周方向において、スリットの近傍が大きく変形するのに対し、スリットと対向する部分(スリットから最も離れた部分)はあまり変形しない。したがって、スリットに近い位置に設けられた雌セレーション歯と雄セレーション歯とが遠い位置に設けられたものよりも強く接触するようになる。その結果、トルク伝達時において、スリットに近い位置に設けられた雄セレーション歯及び雌セレーション歯に負荷が集中することでセレーション軸部及びセレーション孔部が局所的に摩耗し易くなり、その耐久性が低下する虞があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、耐久性を向上させることのできる連結構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、外周面に雄セレーション歯が形成されたセレーション軸部を有する第1回転部材と、内周面に雌セレーション歯が形成されたセレーション孔部を有する第2回転部材とを一体回転可能に連結する連結構造において、前記第2回転部材には、前記セレーション孔部の内外に貫通して軸方向に延びるスリットが形成されるとともに、前記スリットを挟んで対向する一対の締結部が形成され、前記セレーション軸部が前記セレーション孔部に挿入された状態で該セレーション孔部を縮径させるように前記一対の締結部に対してピンチボルトが締結されるものであって、前記第1回転部材には、前記セレーション軸部の先端から突出した軸状の突部が形成され、前記第2回転部材には、前記突部がインロー嵌合する筒状の嵌合部が形成され、前記セレーション軸部及び前記セレーション孔部の少なくとも一方の軸心は、前記セレーション軸部が前記セレーション孔部における前記スリットと反対側に圧接するように、前記突部及び前記嵌合部の軸心に対して偏心されたことを要旨とする。
上記構成によれば、セレーション軸部及びセレーション孔部の少なくとも一方が突部及び嵌合部の軸心に対して偏心して形成されるため、突部を嵌合部にインロー嵌合させるとともにセレーション軸部をセレーション孔にセレーション嵌合させることで、セレーション軸部がセレーション孔部の一部に圧接するようになる。そして、上記構成では、セレーション軸部がセレーション孔部におけるスリットと反対側(対向する側)に圧接するように形成されるため、スリットと対向する位置に設けられた雄セレーション歯と雌セレーション歯との接触圧が高くなる。したがって、締結部にピンチボルトを締結した状態でスリットに近い位置に設けられた雄セレーション歯及び雌セレーション歯に負荷が集中することを抑制できる。これにより、セレーション軸部及びセレーション孔部が局所的に摩耗することを抑制でき、耐久性を向上させることができる。
本発明によれば、耐久性を向上させることのできる連結構造を提供することができる。
ステアリング装置の概略構成図。 本体シャフトとエクステンションシャフトとの連接構造を示す一部断面図。 (a)は図2のA−A断面図、(b)は図2のB−B断面図。 筒状部に雌セレーション歯を形成する加工工程を示す模式図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ステアリング装置1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。このラック軸5は、略円筒状をなすラックハウジング6の筒内に挿通されるとともに図示しないラックガイド及びラックブッシュを介してその軸方向に往復動可能に支持されている。これにより、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。なお、ステアリングシャフト3は、自在継手7を介してコラムシャフト8、インターミディエイトシャフト9、及びピニオンシャフト10を連結することにより構成されている。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、ラック軸5の両端に連結されたタイロッド11を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪(図示略)の舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
なお、本実施形態のステアリング装置1は、モータ13を駆動源としてコラムシャフト8を回転駆動する所謂コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置として構成されている。具体的には、モータ13は、ウォーム&ホイール等からなる減速機構14を介してコラムシャフト8と駆動連結されている。そして、モータ13の回転を減速機構14により減速してコラムシャフト8に伝達することによって、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成になっている。
次に、ピニオンシャフトの構造について説明する。
図2に示すように、ピニオンシャフト10は、ラック軸5と連結されるとともに一端がラックハウジング6から突出した第1回転部材としての本体シャフト21と、本体シャフト21にセレーション嵌合することにより一体回転可能に連結された第2回転部材としてのエクステンションシャフト22とを備えている。
本体シャフト21の一端には、外周面に雄セレーション(スプライン)歯24が形成されたセレーション軸部25が設けられるとともに、セレーション軸部25の先端には、円柱状の突部26が設けられている。突部26の外径は、セレーション軸部25における最小の外径(雄セレーション歯24の歯底部分での外径)以下に形成されている。なお、雄セレーション歯24は、それぞれ同一形状をなすとともに、セレーション軸部25の全周に形成されている。そして、セレーション軸部25の軸心O1と突部26の軸心O2とは、それぞれピニオンシャフト10(本体シャフト21及びエクステンションシャフト22)の回転軸線Lと同軸上に設けられている。また、セレーション軸部25の軸方向中央付近には、周方向に延びる円環状の係合溝27が形成されている。
一方、エクステンションシャフト22には、本体シャフト21側に開口する筒状部31が形成されている。図2及び図3(a)に示すように、筒状部31には、その軸方向(図2における略上下方向)に延びるとともに、筒状部31の内外及びその開口端側の端部に開口するスリット32が形成されている。また、筒状部31の外周面には、スリット32を挟んで対向するように筒状部31の径方向外方に延出された一対の締結部33が形成されている。そして、図3(b)に示すように、各締結部33には、筒状部31の軸方向と直交する方向に延びるボルト孔34が形成されており、ボルト孔34にはピンチボルト35が挿通されている。なお、本実施形態では、ボルト孔34は、その一部が筒状部31内の空間と重畳する位置に形成されている。これにより、ピンチボルト35が本体シャフト21のセレーション軸部25に形成された係合溝27と係合し、エクステンションシャフト22が本体シャフト21から抜け落ちることが防止されている。
図2及び図3に示すように、筒状部31は、内周面に上記雄セレーション歯24と噛み合う雌セレーション歯36が形成されたセレーション孔部37、及びセレーション孔部37に連続して形成されるとともに突部26がインロー嵌合する嵌合部38を有している。すなわち、上記スリット32は、セレーション孔部37の内外に貫通して軸方向に延びている。なお、雌セレーション歯36は、それぞれ同一形状をなすとともに、セレーション孔部37におけるスリット32の周方向両端近傍及びスリット32と対向する位置を除いて形成されている。嵌合部38は、円筒状に形成されており、その内径は、セレーション孔部37における最小の内径(雌セレーション歯36の歯先部分での内径)以下であり、上記突部26の外周面と嵌合部38の内周面との間の隙間は、突部26を嵌合部38にインロー嵌合させることで、本体シャフト21とエクステンションシャフト22とが同軸配置される、すなわち軸心合わせがなされるように設定されている。
そして、嵌合部38の軸心O4は、突部26の軸心O2(ピニオンシャフト10の回転軸線L)と同軸上に設けられている。一方、セレーション孔部37の軸心O3は、突部26及び嵌合部38の軸心O2,O4に対して、突部26と嵌合部38との間の隙間よりも大きくスリット32(ボルト孔34)側に偏心して形成されている。なお、図2及び図3では、説明の便宜上、軸心O2,O4に対するセレーション孔部37の軸心O3の偏心量を誇張して示している。そして、本体シャフト21とエクステンションシャフト22とは、突部26が嵌合部38にインロー嵌合するとともに、セレーション軸部25がセレーション孔部37にセレーション(スプライン)嵌合し、締結部33にピンチボルト35が締結されることにより一体回転可能に連結されている。
なお、エクステンションシャフト22の筒状部31と反対側の端部は、本体シャフト21の一端と同様に形成されている。また、自在継手7は、十字軸と介して連結される一対のジョイントヨーク(いずれも図示略)からなり、このジョイントヨークにはエクステンションシャフト22の筒状部31と同様に形成された筒状部が設けられている。そして、エクステンションシャフト22及びジョイントヨークは、本体シャフト21及びエクステンションシャフト22と同様に連結されている。
また、セレーション軸部25は、転造により形成される。一方、図4に示すように、セレーション孔部37は、雌セレーション歯36と対応する歯部を有する軸状の加工工具41を筒状部31内に挿入し、該筒状部31の内周面を塑性変形するプレス加工により形成される。詳しくは、加工工具41の軸心O5を嵌合部38の軸心O4に対して偏心させた状態で、加工工具41を筒状部31内に挿入することにより、嵌合部38の軸心O4に対して偏心した軸心O5を有するセレーション孔部37が形成される。
次に、本実施形態の連結構造を適用したピニオンシャフトの作用について説明する。
上記のようにピンチボルト35を締結部33に締結することで、セレーション孔部37は、締結部33がつままれるようにして縮径するため、エクステンションシャフト22の周方向において、スリット32の近傍が大きく変形するのに対し、スリット32と対向する部分(スリット32から最も離れた部分)はあまり変形しない。その結果、スリット32に近い位置に設けられた雌セレーション歯36と雄セレーション歯24との接触圧が高くなる。ここで、本実施形態では、セレーション軸部25の軸心O1、突部26の軸心O2、及び嵌合部38の軸心O4が同軸(回転軸線L)上に設けられる一方、セレーション孔部37の軸心O3が回転軸線Lに対してスリット32側に偏心しているため、セレーション軸部25はセレーション孔部37におけるスリット32と反対側(対向する側)に圧接する。これにより、スリット32と対向する位置に設けられた雄セレーション歯24と雌セレーション歯36との接触圧が高くなり、締結部33にピンチボルト35を締結した状態でスリット32に近い位置に設けられた雄セレーション歯24及び雌セレーション歯36に負荷が集中することが抑制されるようになっている。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)セレーション孔部37の軸心O3を軸心O2,O4に対して偏心させることで、上記のようにスリット32に近い位置に設けられた雄セレーション歯24及び雌セレーション歯36に負荷が集中することが抑制されるため、セレーション軸部25及びセレーション孔部37の摩耗が局所的に進むことを抑制でき、耐久性を向上させることができる。
(2)セレーション孔部37の軸心O3をセレーション軸部25の軸心O1、突部26の軸心O2、及び嵌合部38の軸心O4に対して偏心させることで、セレーション軸部25がセレーション孔部37におけるスリット32と反対側に圧接するようにした。
ここで、セレーション軸部25の軸心O1を回転軸心である突部26の軸心O2に対して偏心させる場合には、転造では困難であるため、例えば切削等の他の加工方法でセレーション軸部25を形成することになり、製造コストが増大し易い。この点、プレス加工では、加工工具41の挿入位置を変更することで容易にセレーション孔部37の軸心O3を偏心させることができる。したがって、セレーション孔部37の軸心O3を偏心させることで製造コストの増大を抑制することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、セレーション孔部37の軸心O3を突部26及び嵌合部38の軸心O2,O4に対してスリット32側に偏心させた。しかし、これに限らず、例えばセレーション孔部37の軸心O3を軸心O2,O4と同軸上に設けるとともに、セレーション軸部25の軸心O1を軸心O2,O4に対してスリット32と反対側に偏心させてもよい。また、セレーション孔部37の軸心O3を軸心O2,O4に対してスリット32側に偏心させるとともに、セレーション軸部25の軸心O1を軸心O2,O4に対してスリット32と反対側に偏心させてもよい。要は、セレーション軸部25がセレーション孔部37におけるスリット32と反対側に圧接すればよく、突部26及び嵌合部38の軸心O2,O4をピニオンシャフト10の回転軸線Lと同軸上に設けなくともよい。
・上記実施形態では、セレーション孔部37をプレス加工により形成し、セレーション軸部25を転造により形成したが、これに限らず、例えば切削等の他の加工方法を用いてもよい。
・上記実施形態では、ピニオンシャフト10を本体シャフト21及びエクステンションシャフト22により構成したが、エクステンションシャフト22を設けず、本体シャフト21のみによりピニオンシャフト10を構成してもよい。
・上記実施形態では、本発明を本体シャフト21とエクステンションシャフト22との連結構造、及びエクステンションシャフト22と自在継手7との連結構造に適用したが、例えばインターミディエイトシャフト9と自在継手7との連結構造や、ステアリングシャフト3を構成する部材以外の回転部材の連結構造に適用してもよい。
1…ステアリング装置、3…ステアリングシャフト、10…ピニオンシャフト、21…本体シャフト、22…エクステンションシャフト、24…雄セレーション歯、25…セレーション軸部、26…突部、31…筒状部、32…スリット、33…締結部、34…ボルト孔、35…ピンチボルト、36…雌セレーション歯、37…セレーション孔部、38…嵌合部、O1〜O5…軸心。

Claims (1)

  1. 外周面に雄セレーション歯が形成されたセレーション軸部を有する第1回転部材と、内周面に雌セレーション歯が形成されたセレーション孔部を有する第2回転部材とを一体回転可能に連結する連結構造において、
    前記第2回転部材には、前記セレーション孔部の内外に貫通して軸方向に延びるスリットが形成されるとともに、前記スリットを挟んで対向する一対の締結部が形成され、
    前記セレーション軸部が前記セレーション孔部に挿入された状態で該セレーション孔部を縮径させるように前記一対の締結部に対してピンチボルトが締結されるものであって、
    前記第1回転部材には、前記セレーション軸部の先端から突出した軸状の突部が形成され、
    前記第2回転部材には、前記突部がインロー嵌合する筒状の嵌合部が形成され、
    前記セレーション軸部及び前記セレーション孔部の少なくとも一方の軸心は、前記セレーション軸部が前記セレーション孔部における前記スリットと反対側に圧接するように、前記突部及び前記嵌合部の軸心に対して偏心されたことを特徴とする連結構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015178858A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 日本精工株式会社 自在継手および該自在継手を備えたステアリング装置

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